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【発明の名称】 食器洗浄乾燥機の構造
【発明者】 【氏名】鯨岡 昭彦

【要約】 【課題】厨房家具の正面からビルトインするようにした食器洗浄乾燥機においては、網籠の位置がシンクから遠くなり、下段の網籠の高さが作業者の膝程度と極端に低くなるため、濡れた食器等を移す際にカウンターや床に水滴が飛散し、膝や腰を曲げひねる動作を繰り返すことで疲労の原因となっていた。

【解決手段】キャビネット2の前部には開くと水平に位置する迄開放する扉5を取り付け、内部の洗浄乾燥室3には扉5裏面に引き出し可能な網籠4を装備した食器洗浄乾燥機Wであって、この網籠4を扉5裏面上に引き出した状態で、水平に保ちながらキャビネット2前面を昇降するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャビネットの前部には開くと水平に位置する迄開放する扉を取り付け、キャビネット内の洗浄乾燥室には扉裏面に引き出し可能な網籠を装備した食器洗浄乾燥機であって、この網籠を扉裏面上に引き出した状態で、水平に保ちキャビネット前面を昇降するようにしたことを特徴とする食器洗浄乾燥機の構造。
【請求項2】 洗浄乾燥室内に扉裏面に引き出し可能な網籠を装備し、扉裏面には、その前端部に軸止した架台とこの架台上のスライド台とからなる網籠載置台を設け、扉の側部にはロープの留め具と滑車とを、前記キャビネット側面の下部には二つ、上部には一つの滑車を取り付け、留め具よりキャビネット側面の下部の滑車、扉側面の滑車、キャビネット側面の下部の他方の滑車、キャビネット側面の上部の滑車に順次ロープを巡らせ、このロープの端部にはほぼL形をなしキャビネット側面に掛止できるようにした連結金具に繋ぎ、連結金具の重みでロープを常に緊張させるようになっており、扉を水平に開いた状態で、連結金具をキャビネットより外し網籠載置台の架台に繋げてロープの両端を固定し、扉を閉じて行くと巡らせたロープの移動により網籠載置台が扉裏面より回動して水平に上昇し、扉を閉めていくと網籠載置台が水平に下降するようにし、網籠載置台を上昇した状態で停止させるために、キャビネット側面の上部に揺動自在な引っ掛け金具を設けたことを特徴とする請求項1記載の食器洗浄乾燥機の構造。
【請求項3】 請求項2記載の食器洗浄乾燥機の構造において、キャビネット側面下部に三つの滑車を設け、上部の滑車にロープを巡らせる前に通す一の滑車を移動自在としてロープの伸びに対応して調整できるようにしたことを特徴とするもの。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、システムキッチンや流し台などのカウンター下にビルトインする食器洗浄乾燥機に関するものであり、詳しくは扉の開閉動作を利用し、内部の下段に装備されている網籠を昇降させ得る食器洗浄乾燥機の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりシステムキッチンや流し台のカウンター下には食器洗浄乾燥機をビルトインすることが一般化している。ここで使用される食器洗浄乾燥機の標準的な概略構造は、キャビネットの前面下方に起倒自在として手前側に床と水平になるまで開放される扉を備え、キャビネット内部の洗浄乾燥室には、その下部に洗浄のためのノズルや乾燥のためのヒーターなどを備え、かつ食器、調理具などを並べる網籠を上下二段に出し入れ自在に装備したものである。作業者がこの食器洗浄乾燥機を使用する場合、まずカウンターのシンク内で軽く食器の下洗いを行う。次に食器洗浄乾燥機の扉を手前に倒すように開放し、通常は先に上段の網籠を手前に引き出す。上段の網籠は、レールによって支持される構造であるため、引き出した状態で主に小物の食器類を収納し、再び食器洗浄乾燥機キャビネット内に押し込む。下段の網籠は下部に脚車を備えた構造であり、キャビネット内から扉裏面上に滑らせ引き出せるようになっている。そして、作業者は、その下段の網籠に重量の嵩む食器類や鍋釜等の調理用具をシンクより移し、再び食器洗浄乾燥機キャビネット内に押し入れる。最後に、扉を持ち上げるように回転させて閉めた後、スイッチを投入して作動させる。具体的には、洗剤と共に温水を回転させながらジェット噴射をして洗浄し、濯ぎが終わるとヒータによって洗浄乾燥室内温度を上昇させ、湿気を排出しながら乾燥させるようにする。
【0003】別の手段として実開昭59−16002号公報や特開昭62−16710号公報に開示されているように、カウンターのシンク脇に食器洗浄乾燥機の上部開口を配置し、この開口から食器等の出し入れを行うようにした形態のものも提案され商品化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述の正面からビルトインするようにした食器洗浄乾燥機においては、使用上および機器の構造において次の課題を有していた。下段の網籠を引き出した状態において、網籠の位置がシンクから遠くなり、しかも高さが作業者の膝程度と極端に低くなるため、下洗いして濡れた食器等を移す動作で水滴がカウンターや床に飛散し、膝や腰を曲げひねる動作を繰り返すことになり食器を移し難いばかりか、疲労の原因となっていた。なお、乾燥後に食器を取り出す際にも同じ動作の逆となるので同様の問題があった。前述したカウンターのシンク脇に食器洗浄乾燥機の上部に開口を設けるようにした構造では、自由に使えるカウンターの面積を狭くするため作業性を損なう。また、製造時においてカウンターへの加工が必要となり、その取り付けもキャビネット内の狭い場所となるため作業性が悪く問題となっていた。そのために、この発明のように正面からビルトインする食器洗浄乾燥機において、下段の網籠を昇降させる機構が漠然と求められていたが、機構の単純さ、使い安さ、製作コスト等の面から実際に商品化しうる現実的な技術提案はなされていなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、以上のようなシステムキッチン等のカウンター下にビルトインされる食器洗浄乾燥機の課題を解決し、且つ生産性、取り付け及びメインテナンスも容易な食器洗浄乾燥機を提供しようとするものである。請求項1の発明の食器洗浄乾燥機の構造は、キャビネットの前部には開くと水平に位置する迄開放する扉を取り付け、キャビネット内の洗浄乾燥室には扉裏面に引き出し可能な網籠を装備した食器洗浄乾燥機であって、この網籠を扉裏面上に引き出した状態で、水平に保ちキャビネット前面を昇降するようにしたことを特徴とする。請求項2の発明では、洗浄乾燥室内に扉裏面に引き出し可能な網籠を装備し、扉裏面には、その前端部に軸止した架台とこの架台上のスライド台とからなる網籠載置台を設け、扉の側部にはロープの留め具と滑車とを、前記キャビネット側面の下部には二つ、上部には一つの滑車を取り付け、留め具よりキャビネット側面の下部の滑車、扉側面の滑車、キャビネット側面の下部の他方の滑車、キャビネット側面の上部の滑車に順次ロープを巡らせ、このロープの端部にはほぼL形をなしキャビネット側面に掛止できるようにした連結金具に繋ぎ、連結金具の重みでロープを常に緊張させるようになっており、扉を水平に開いた状態で、連結金具をキャビネットより外し網籠載置台の架台に繋げてロープの両端を固定し、扉を閉じて行くと巡らせたロープの移動により網籠載置台が扉裏面より回動して水平に上昇し、扉を閉めていくと網籠載置台が水平に下降するようにし、網籠載置台を上昇した状態で停止させるために、キャビネット側面の上部に揺動自在な引っ掛け金具を設けたことを特徴とする。請求項3の発明は、請求項2記載の食器洗浄乾燥機の構造において、キャビネット側面下部に三つの滑車を設け、上部の滑車にロープを巡らせる前に通す一の滑車を移動自在としてロープの伸びに対応して調整できるようにしたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下図面に示すこの発明の実施形態に則して説明する。食器洗浄乾燥機Wは、図6に示すように流し台Sのカウンター1の下部に納めるものである。食器洗浄乾燥機Wのキャビネット2内は、下部の配管スペース、中央の洗浄乾燥室3及び上部の制御部に区画されている。配管スペースには、給排水管のための接続配管、ポンプ等が装備されている。洗浄乾燥室3には、乾燥のためのヒーターと洗浄のための吐出ノズルが望むようになっており、内部に食器、調理具などを並べる脚車を備えた網籠4を出し入れ自在に装備し、キャビネット2の前面下方に起倒自在として手前側に床と水平になるまで開放される起伏自在な扉5を備え、前記網籠4は開いた扉5の裏面に引き出せるようになっている。なお、別途上段に浅い網籠を洗浄乾燥室3内の上部両側に配置したスライドレールにより出し入れ自在とし二つの網籠を設けるようにしてもよい。
【0007】扉5裏面には、その前端部に軸止した架台61とこの架台61上のスライド台62とからなる網籠載置台6を設けてある。スライド台62は扉5の上部の先端より先まで至るようにしてある。また、扉5の上部側の側面にはロープの留め具7と滑車8、9とを設けてある。キャビネット2の側面下部には二つの滑車10、11を、上部には一つの滑車12を取り付けてある。留め具7よりキャビネット側面の下部の滑車10、扉5側面の滑車8、9、キャビネット2側面の下部のもう一方の滑車11、キャビネット2側面の上部の滑車12に順次ロープ13を巡らせ、このロープ13の端部はほぼL形をなす連結金具14に繋ぎ、この連結金具の重みでロープ13を常に緊張させるようにしてある。必要であれば別途錘を取り付けるようにする。この連結金具14には、キャビネット2の側面に設けた掛け軸15に掛止する掛鉤14aを短辺141側に一体に形成してあり、扉5の開閉に伴うロープ13の移動で掛鉤14aを支点として揺動するようになっている。また、この連結金具14の短辺141は、掛け軸15より外して回動させ扉5の裏面の網籠載置台6の架台61の溝部62aに押し込んで繋げられるようになっている。キャビネット2の側面上部には、連結金具14への引っ掛け金具16を揺動自在に設けて、連結金具14と一体となって上昇した網籠載置台6を最上部で停止できるようにしてある。17は引っ掛け金具16のストッパーである。
【0008】このような構成からなる食器洗浄乾燥機Wの網籠4の動作について説明すると次の通りである。まず、網籠4を従前通り上昇させない場合は、連結金具14は掛鉤14aで掛け軸15に掛けたままとし、扉5の開閉に伴うロープ13の移動は、連結金具14の揺動で吸収されるのみとなる。網籠載置台6は扉5裏面に添って同じ動作をすることになる。次に網籠4を上昇させる場合は、扉5を開けて水平とし、網籠4を扉5の裏面の網籠載置台6のスライド台62上に引き出して置く。連結金具14を掛け軸15より外し、その短辺141を扉5の裏面側に倒すように回動させ網籠載置台6の架台61の溝部62aに嵌め込んで繋ぎロープ13の両端が固定されるようにする。ここで、網籠4をスライド台62上で、扉5の先端より離れるように移動させ、上昇してもキャビネット2に接触しないようにする。図示しないがスライド台62にはストッパーを設けて網籠4が滑り落ちないようにしてある。この状態で扉5を閉めて行くと、網籠載置台6は連結金具14により繋がれ、かつ、架台61の前端部が軸止されているので上向きに回動するが、ロープ13の移動により網籠載置台6は水平に維持されたまま上昇することになる。網籠4は設定高さに至ると引っ掛け金具16を倒して、先端の鉤片を連結金具14の短辺141に掛け止めて網籠載置台6を停止させる。このように上昇させた状態で、網籠4に下洗いをした食器等をセットしたり、洗浄を終わった後の取り出しを行うことになる。
【0009】上昇した網籠4を下降させるには、引っ掛け金具16を連結金具14の短辺141より外し扉5を引き下ろすことになる。このとき、網籠載置台6は連結金具14により繋がれているので水平を保ちながら下降することになる。巡らせたロープ13により、食器等の重みを受けることになるので緩やかな動きとなる。最下段まで網籠載置台6を降ろした状態で網籠4をキャビネット2内へ押し込み、連結金具14を架台61の溝部62aより外し、掛け軸15に掛け止める。扉5を閉めるために起こすと、スライド台62が扉5の裏面よりはみ出していても滑って扉5の裏面内に納まることになる。
【0010】図7は、キャビネット2側面下部の滑車10、11の内側にもうひとつの移動自在な滑車11aを付加したものである。この滑車11aは上部の滑車12にロープ13を巡らせる前に通すもので、ロープ13の伸びによる緩みや、ロープ13の滑車8〜12からの脱落を防ぐためのものでのである。移動自在とするため滑車11aは一方側を固定し、他方側を弧状をなす長穴11bにねじ止めするように構成し、滑車11aを所定角度回動させることでロープ13の伸びに対応してロープ13をめぐらせる距離を長くするよう調整してロープ13の緊張状態を保つ用にしてある。
【0011】以上述べた実施態様では、網籠4を扉5裏面上に引き出した状態で、水平に保ちキャビネット前面を昇降させる手段として、扉5の開閉とロープ13の移動を利用するようにしてある。しかし、この発明はこの手段に限定されず、扉5裏面上をダンパー、リンク、ギア機構などを利用して水平に保った網籠4を昇降させるようにすることもできる。また、ロープ13の緩みを調整するために移動自在な滑車11aを付加して対応したものを示したが、ロープ13を一端留め具7から外してロープ13の伸長に併せて端部を切断してもよい。
【0012】
【発明の効果】この発明は以上のような構成からなるもので、請求項1の発明では、網籠を扉裏面上に引き出した状態で、水平に保ちキャビネット前面を昇降するようにしたので、極めて使い勝手を良好となるのである。請求項2記載の発明では、扉裏面に引き出す網籠を扉の開閉に伴って昇降させることができ、食器等の洗浄物の出し入れに際して床面に水滴を飛散させることなく作業を楽にすることができるのである。また、昇降させる機構をキャビネット及び扉の側面に一括して設けるようにしたので、内部に設けるようにした場合の特殊材料の選択、特殊処理加工が不要となり、修理、部品交換等のメインテナンスが容易となる。さらに、網籠載置台を、扉裏面の前端部に軸止した架台とこの架台上のスライド台とから構成するようにしてあるので、スライド台上で網籠が扉裏面より外に出るので、網籠の昇降ストロークを大きくすることができる。昇降させる場合はロープの両端を固定し、滑車により巡らせたロープが移動するようにしたので動作がスムースで重量に耐えられることになるのである。請求項3の発明では、調整滑車を介するようにしたので、ロープの伸びによる巡らせたロープの緩みを簡単に解消することができるのである。
【出願人】 【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
【出願日】 平成10年11月25日(1998.11.25)
【代理人】 【識別番号】100077126
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 盛夫 (外1名)
【公開番号】 特開2000−157473(P2000−157473A)
【公開日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【出願番号】 特願平10−334031