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【発明の名称】 抗菌性たわし
【発明者】 【氏名】瀧川 久幸

【要約】 【課題】抗菌効果を長期間にわたって持続するようにすること。

【解決手段】構成繊維1の交絡部分及び表面に、二酸化チタンの芯物質を多孔質シリカの壁物質でマイクロカプセル化した微粉末状の抗菌材3を含有したバインダー樹脂2を、乾燥付着量で100g/m2 〜300g/m2 付着して成る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 構成繊維の交絡部分及び表面に、二酸化チタンの芯物質を多孔質シリカの壁物質でマイクロカプセル化した微粉末状の抗菌材を含有したバインダー樹脂を、乾燥付着量100g/m2 〜300g/m2 付着したことを特徴とする抗菌性たわし。
【請求項2】 二酸化チタンがアナターゼである請求項1に記載の抗菌性たわし。
【請求項3】 バインダー樹脂に研摩砥粒を含有した請求項1または2に記載の抗菌性たわし。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌機能を付与したたわしの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、主として台所用品(食器、鍋、釜等)を洗浄するたわしとしては、不織布たわし、金属繊維たわし、繊維状編物たわし等種々のものが用いられている。しかし、この種たわしは、構成繊維間に入り込んだ洗浄汚物(食物の残り滓)を簡単に取り除くことができず、そのまま放置すると、洗浄汚物がカビや細菌の発生原因となり、ときに悪臭を生じ、外観上、食品衛生上好ましくなかった。
【0003】そこで、抗菌効果を付与したものとして、薬剤をたわしに直接付着したものと薬剤を混合した合成樹脂液を公知のスプレー法や含浸法によって付着したものとがある。しかし、前者は、たわしを使用すると、薬剤が簡単に脱落するため、初期効果を有するが、効果の持続性に乏しく、また食品衛生法上、殺菌効果のある薬剤や水に溶解する薬剤を使用することができず、薬剤の種類やその付着量も制限されるため、特定のカビや細菌に対してのみ効果を発揮するにすぎず、抗菌効果の点で劣るものであった。また、後者は、バインダー樹脂との相溶性、添加量等の制限を受けるばかりか、薬剤が樹脂によって完全に被覆されているため、その抗菌効果が前者よりもさらに劣るものであった。
【0004】ところで、最近、光触媒が新しい抗菌材として注目されている。通常、光触媒として使用されている二酸化チタンは、安全(無害・無毒)で安価な材料であり、紫外線を受けると、酸化作用により発生する活性酸素が殆ど全ての有機物を分解して二酸化酸素と水等に変えてしまうという光活性作用を生じ、有機系や無機系の薬剤のように選択効果が出ないので、たわしの抗菌材として非常に有効なものであることが判明した。しかし、二酸化チタンを混合したバインダー樹脂をたわしに付着すると、バインダー樹脂が二酸化チタンの光活性作用よって劣化されて、たわしが脆くなり、短期間でぼろぼろになるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、バインダー樹脂に混合しても溶解せず、また樹脂の性能を低下させず、使用により摩耗しても常に新しい研摩面が表面に出る抗菌材をバインダー樹脂でたわしの構成繊維表面に付着することにより、抗菌効果を長期間にわたって持続するようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る抗菌性たわしは、構成繊維の交絡部分及び表面に、二酸化チタンの芯物質を多孔質シリカの壁物質でマイクロカプセル化した微粉末状の抗菌材を含有したバインダー樹脂を、乾燥付着量で100g/m2 〜300g/m2 付着して成る。
【0007】この手段によれば、抗菌材が二酸化チタンを多孔質シリカでマイクロカプセル化したものであるから、二酸化チタンの光活性作用によるバインダー樹脂の劣化作用が抑制される。また、抗菌材がバインダー樹脂で被覆されているから、未使用時には二酸化チタンの光活性作用が生ぜず、使用により被覆バインダー樹脂が摩耗して壁物質である多孔質シリカの面が露出すると、二酸化チタンの光活性作用が発現され、この光活性作用により、たわしの表面や内部に付着した洗浄汚物に起因する悪臭物質が酸化分解されて、たわしが無菌・無臭状態となる。
【0008】本発明において、抗菌材含有バインダー樹脂の乾燥付着量は、100g/m2未満になると軟らかくなって、たわしとしての洗浄機能がなくなり、300g/m2 を越えると硬くなって、食器等の曲面に対してなじみが悪くなるから、その範囲としては、100g/m2 〜300g/m2 が好適である。
【0009】また、二酸化チタンとしては、特に限定されるものではないが、光活性作用の強いアナターゼ(エイスイ石型二酸化チタン)を用いると、抗菌効果を増大することができる。
【0010】さらに、バンダー樹脂に研摩砥粒を含有すると、たわしとしての汚れ除去作用をより一層向上することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る抗菌性たわしの実施の形態を図面を参照にして説明する。図1において、1はたわしの構成繊維で、この構成繊維1の交絡部分及び表面にはバインダー樹脂2で以て抗菌材3及び研摩砥粒4が固着されている。上記抗菌材3は、図2に示すように、二酸化チタン5を多孔質シリカ6でマイクロカプセル化したもので、たわしの未使用時には、その表面がバインダー樹脂2で被覆されている。
【0012】この場合において、上記抗菌材3の混合割合としては、特に限定されるものではないが、光活性作用及び脱落の点より、通常、バインダー樹脂100部に対して1〜300部の範囲が好ましく、50〜100部の範囲がより好適である。
【0013】また、バインダー樹脂としては、溶剤系のものであればよく、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂やSBR,NBR等の合成ゴム系ラテックスを用いることができる。
【0014】さらに、たわしとしては、特に限定されるものではなく、構成繊維に植物繊維(麻・ヤシ等)や合成繊維(ナイロン・ポリエステル等)を用いた不織布たわし、金属繊維たわし、繊維状編物たわし等公知のものでよい。
【0015】
【実施例】ナイロン15d×38mm、100%をランドマシーンにかけて重量150g/m2 の繊維ウェブを作製し、次に下記配合条件の一次樹脂液をスプレーして繊維間を部分的に接着固定した不織布マット(重量:210g/m2 ,厚み:10mm)を作製した。
【0016】
配合条件1 一次樹脂液 固形比(重量部)
SBRラテックス 100部 メラミン樹脂 10部 触媒 1部 PVA樹脂 20部 水 濃度 20% 付着量 A面:30g/m2 ,B面:30g/m2 【0017】続いて、上記繊維マットを下記配合条件の二次樹脂液に含浸加工し、製品重量500g/m2 、厚み10mmになるようにマングルで調整し、150℃で乾燥して所望の抗菌性たわしを作製した。
【0018】
配合条件2 二次樹脂液 固形比(重量部)
フェノール樹脂(レゾールタイプ) 100部 研摩砥粒(番手320ホワイトアランダム) 200部 微粉末 100部 顔料 2部 溶剤(メタノール)
濃度 60% 付着量 290g/m2 【0019】次に、本発明品と従来品(抗菌剤を付着したタイプ)の試料片(直径28mmの円形)を用いて、大腸菌及びアオカビを移植して増殖試験(試験方法:ハローテスト法)を行ったところ表1に示す結果を得た。なお、表中、◎は優れた抗菌効果が見られたもの、○は抗菌効果が見られたもの、×はシャーレー全面に増殖したものを表す。
【0020】
【表1】

【0021】表1から明らかなように、従来品が使用後に抗菌効果が全く認められなかったのに対し、本発明品は、使用前及び使用後ともに変化なく抗菌効果を有することが判明した。
【0022】
【発明の効果】本発明によるときは、抗菌材が二酸化チタンを多孔質シリカでマイクロカプセル化したものであり、バインダー樹脂で被覆されているので、未使用時には二酸化チタンの光活性作用が生ぜず、使用により被覆バインダー樹脂が摩耗して、壁物質である多孔質シリカの一部が摩耗したり、多孔質シリカの面が露出すると、二酸化チタンの光活性作用が発現されて、たわしの表面や内部に付着した洗浄汚物に起因する悪臭物質を酸化分解して無菌・無臭状態にすることができる。
【0023】また、多孔質シリカによって二酸化チタンによるバインダー樹脂の劣化が抑制されるので、たわしが脆くならず、長期間にわたって抗菌効果を持続して使用することができる等の優れた効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】394010506
【氏名又は名称】金井 宏彰
【出願日】 平成10年10月30日(1998.10.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−135192(P2000−135192A)
【公開日】 平成12年5月16日(2000.5.16)
【出願番号】 特願平10−309879