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【発明の名称】 電気掃除機用吸込具
【発明者】 【氏名】蓮 浩二

【氏名】柳沢 健児

【氏名】石井 史郎

【氏名】上岡 孝暢

【要約】 【課題】起毛布ローラ体そのものの構成およびその自由回転抑制機構を単純化でき、起毛布の片減りがなく、かつ起毛布ローラ体を回動自在に支持する支承部に砂ごみ等の侵入があってもこれを使用者が簡単に取り除くことができるようにする。

【解決手段】起毛布ローラ体22を、起毛布24を巻き付けた円筒ローラ23とその両端部に一体化されて吸込具本体に回転自在に直接支持される支持部25,26とから構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 床面などを拭くための起毛布ローラ体を備えた電気掃除機用吸込具において、前記起毛布ローラ体を、起毛布を巻き付けた円筒ローラとその両端部に一体化されて吸込具本体に回転自在に直接支持される支持部とから構成したことを特徴とする電気掃除機用吸込具。
【請求項2】 起毛布ローラ体の各支持部の外端に、それぞれ突起を設けるとともに、吸込具本体に、前記一方の突起を支承する凹部と他方の突起を支承する穴を形成し、かつ該穴の内方には、該穴を貫通した前記突起を前記凹部側へ直接付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項3】 突起を栓塞可能な円筒状に形成するとともに、円筒ローラに多数の微細孔を設けあるいは円筒ローラを多孔体から構成したことを特徴とする請求項2記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項4】 付勢手段は、吸込具本体を形成する上ケースと下ケースの間に基端が挾持されて自由端が穴の内方に延出する板ばねから成ることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項5】 付勢手段は、吸込具本体を形成する上ケースまたは下ケースから穴の内方に延出する舌状片から成ることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項6】 舌状片の背面側を、吸込具本体を形成する上ケースと下ケースの間に介在設置したバンパーにて保持してなることを特徴とする請求項5記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項7】 吸込具本体における舌状片の基部両側にスリットを形成したことを特徴とする請求項5記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項8】 付勢手段は、吸込具本体を形成する上ケースと下ケースの間に介在設置した軟質材料製のバンパーから延出して穴の内方空間を埋める膨出部から成ることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項9】 起毛布ローラ体の回転方向の一方向の動きを制限する制動手段を設けてなる請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項10】 制動手段を、起毛布ローラ体の突起が貫通する穴側に配置したことを特徴とする請求項9記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項11】 制動手段を、吸込具本体における起毛布ローラ体の支持部周面と対向する壁面の一部に設けられて該支持部周面との間で楔状空間を形成する平面部と、該楔状空間内に所定量食い込み可能に前記平面部と前記支持部周面との間に介在設置され、床面抵抗に伴う負荷が規定以上に作用した場合に、制限方向の回動を許容する軟質体からなる制動部材とから構成してなる請求項9又は請求項10記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項12】 制動部材を、中心軸を有するコマ形の制動輪から構成して横軸配置するとともに、下ケースに、該制動輪の輪部を楔状空間内に挿入可能とする孔を形成し、該孔の縁部を制動輪食い込み量の制限手段として構成したことを特徴とする請求項11記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項13】 制動輪の上方向移動量を制限するリブを上ケースより垂下して設けたことを特徴とする請求項12記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項14】 制動部材を、吸込具本体を形成する上ケースと下ケースの間に介在設置した軟質材料製のバンパーから楔状空間内まで延びる腕と、該楔状空間内で該腕の先端に形成した膨出部とから構成したことを特徴とする請求項11記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項15】 起毛布ローラ体の制動部材と接触する支持部周面を末端が縮径するテーパに形成したことを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項16】 制動手段を、起毛布ローラ体の支持部周面に形成した爪車と、吸込具本体側に設けられて該爪車と噛み合う逆転止掣子片とから構成してなる請求項9記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項17】 爪車の逆転止掣子片先端が当接する歯面を、爪車通常回転方向へ傾斜する所定角度の斜面に形成し、床面抵抗に伴う負荷が規定以上に作用した場合に、該逆転止掣子片先端が該斜面を超えて制限方向の回動を許容するように構成してなる請求項16記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項18】 逆転止掣子片を、爪車との係合を解除できる軸方向ストロークを有する外部操作可能なスライダと一体化してなる請求項16又は請求項17記載の電気掃除機用吸込具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、拭き機能を備えた電気掃除機用吸込具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図15乃至図17は例えば特開平5−261035号公報に示されている従来のこの種電気掃除機用吸込具を示すもので、図15はその縦断面図、図16はその要部の分解斜視図、図17はその要部の縦断面図である。
【0003】この従来例の電気掃除機用吸込具は、床用吸込具の本体1が上ケース2と下ケース3をバンパー4を挟んで一体に結合されている。5は下部ケース3に設けた吸込口で、吸込口5から吸引された空気流は上下のケース2,3に回転自在に装着された連結管6を介して電気掃除機本体(図示せず)に流れるようになっている。7は下部ケース3の前部の左右端に設けた前車輪、8は下ケース3の後部に着脱自在に設置した起毛布ローラ体8である。
【0004】起毛布ローラ体8は、図16及び図17に示すように円筒ローラ9の外周に起毛布11を巻き付けたもので、取り外すことにより起毛布11の洗浄を行えるようにしている。起毛布ローラ体8の両端にはそれぞれ段筒状のホルダ12が嵌着固定され、各ホルダ12の中心孔12aにそれぞれポペット状の軸受部材13の軸部13aが摺動自在に差し込まれている。軸受部材13は、その軸部13aの先端が反割に形成され、反割部の外周にそれぞれ爪13bが形成されていて、軸部13aをホルダ12の中心孔12aに差し込んだ際には、各爪13bがホルダ12の内端面と係合できるようになっており、これによってホルダ12からの脱落が防止されるようになっている。軸受部材13の頭部外側端面には、矩形状の突起13cが突出形成され、この突起13cが下ケース3に穿設した矩形孔3a内に嵌入して回動を規制された状態で支承されるようになっている。また、軸受部材13の頭部内側端面とホルダ12の外端面との間には、軸受部材13を常時外側方向(爪によるホルダとの係合方向)に付勢するコイルばね14が配設されている。従って、起毛布ローラ体8、ホルダ12、軸受部材13、及びコイルばね14は、組付によって一体化される。
【0005】この従来例において、吸込口5から吸込まれた塵埃などは、連結管6から図示しない延長パイプ、可撓性ホースを通って電気掃除機本体内に堆積する。吸込具の前進時には、吸込口5が塵埃などを吸込んだあとで起毛布ローラ体8が床面上を通過し、床面上に付着したほこりなどを起毛布11によって拭きとる。このとき、起毛布ローラ体8は、床面上では摩擦抵抗がコイルばね14の付勢力より小さいため回転せず、固定された状態で床面を拭きとる。一方、吸込具により絨毯の掃除をするときは、摩擦抵抗が大きいため起毛布ローラ体8はコイルばね14の付勢力に打勝って回転し、絨毯の表面をクリーニングする。
【0006】起毛布11の洗浄のために起毛布ローラ体8を下ケース3より取り外すには、まず起毛布ローラ体8を手で掴み、その状態で軸方向の一方側に移動させ、移動方向先端に位置する軸受部材13の頭部をコイルばね14の付勢力に抗してホルダ12側に移動させる。この移動によって、移動方向後端に位置する軸受部材13の頭部の突起13cが下ケース3の矩形孔3aより抜けるので、その状態から起毛布ローラ体8を傾けることにより、起毛布ローラ体8を下ケース3から離脱させることができる。ホルダ12側に移動させられていた軸受部材13は、起毛布ローラ体8の下ケース3からの離脱後にコイルばね14の付勢力により元の位置まで復帰する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の電気掃除機用吸込具は、以上のように起毛布ローラ体8、ホルダ12、軸受部材13、及びコイルばね14を、組付によって一体化して独立構成しているため、起毛布11の洗浄のために起毛布ローラ体8を下ケース3から取り外しても、起毛布ローラ体8からコイルばね14を分離できず、起毛布11を水洗いしたりするとコイルばね14が錆び、軸受部の動作に不具合が生じて着脱が不可能になる可能性がある。また起毛布ローラ体8を消耗品として消費者に提供する場合、高コストの物となり不利益を与えることになる。更に摩擦抵抗が小さい床面上では、起毛布ローラ体8が回転せず、固定された状態で床面を拭きとるため、被掃除面と常に一か所で接することとなり、起毛布11の摩耗が激しく、片減りの原因になる。
【0008】そこで、コイルばねを起毛布ローラ体から分離して床用吸込具本体側に配置し、前記起毛布水洗い後の軸受部の動作不具合等の問題を解消するとともに、くさび効果を利用して、例えば前進時に起毛布ローラ体を自動的に固定し、後進時に起毛布ローラ体の拘束を自動的に解いて自由転動できるようにしたものや、このくさび効果を利用した機構の手動解除機構等を設けて、被掃除面が絨毯である場合の操作性をも考慮したものが提案されている。この場合には、摩擦抵抗が小さい床面上においても、後進時に起毛布ローラ体が回転するため、前記従来例のように起毛布ローラ体が一か所で接することはなく、前後進を繰り返す度に接触面の移動が行われ、片減りが低減される。とは言え、前進時には起毛布ローラ体の回転が完全に固定されるため、片減りの問題が完全に解消されたわけではなかった。
【0009】そこで、前記同様にコイルばねを起毛布ローラ体から分離構成するとともに、起毛布ローラ体の支持部に粘性抵抗装置を設けて、摩擦抵抗の小さい被掃除面を掃除する際は起毛布ローラ体をゆっくり回転させ、摩擦抵抗の大きい被掃除面を掃除するときは起毛布ローラ体を前記よりも若干早く回転させるようにして、片減りの問題を解消したものが提案されている。しかしながら、この場合には粘性抵抗装置が複雑で部品点数の増加も招き、コスト高になるのを避けられない。
【0010】また、いずれの従来例においても、起毛布ローラ体は、起毛布を巻き付けた円筒ローラと、その両端に一体化される支持部とが相対回動する方式を採用している。このため、起毛布ローラ体の部品点数が多く、この面でもコストの削減が図れない。更に相対回動部の隙間から砂ごみが侵入するのを避けられず、回転不良が発生する。このような状態になると、その構造上、使用者が分解掃除することは不可能である。
【0011】本発明の技術的課題は、起毛布ローラ体そのものの構成およびその自由回転抑制機構を単純化でき、起毛布の片減りがなく、かつ起毛布ローラ体を回動自在に支持する支承部に砂ごみ等の侵入があってもこれを使用者が簡単に取り除くことができるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る電気掃除機用吸込具は、下記の構成からなるものである。すなわち、床面などを拭くための起毛布ローラ体を備えた電気掃除機用吸込具において、起毛布ローラ体を、起毛布を巻き付けた円筒ローラとその両端部に一体化されて吸込具本体に回転自在に直接支持される支持部とから構成したものである。
【0013】また、本発明の請求項2に係る電気掃除機用吸込具は、起毛布ローラ体の各支持部の外端に、それぞれ突起を設けるとともに、吸込具本体に、一方の突起を支承する凹部と他方の突起を支承する穴を形成し、かつこの穴の内方には、この穴を貫通した突起を凹部側へ直接付勢する付勢手段を設けたものである。
【0014】また、本発明の請求項3に係る電気掃除機用吸込具は、突起を栓塞可能な円筒状に形成するとともに、円筒ローラに多数の微細孔を設けあるいは円筒ローラを多孔体から構成したものである。
【0015】また、本発明の請求項4に係る電気掃除機用吸込具は、付勢手段を、吸込具本体を形成する上ケースと下ケースの間に基端が挾持されて自由端が穴の内方に延出する板ばねから構成したものである。
【0016】また、本発明の請求項5に係る電気掃除機用吸込具は、付勢手段を、吸込具本体を形成する上ケースまたは下ケースから穴の内方に延出する舌状片から構成したものである。
【0017】また、本発明の請求項6に係る電気掃除機用吸込具は、舌状片の背面側を、吸込具本体を形成する上ケースと下ケースの間に介在設置したバンパーにて保持したものである。
【0018】また、本発明の請求項7に係る電気掃除機用吸込具は、吸込具本体における舌状片の基部両側にスリットを形成したものである。
【0019】また、本発明の請求項8に係る電気掃除機用吸込具は、付勢手段を、吸込具本体を形成する上ケースと下ケースの間に介在設置した軟質材料製のバンパーから延出して穴の内方空間を埋める膨出部から構成したものである。
【0020】また、本発明の請求項9に係る電気掃除機用吸込具は、起毛布ローラ体の回転方向の一方向の動きを制限する制動手段を設けたものである。
【0021】また、本発明の請求項10に係る電気掃除機用吸込具は、制動手段を、起毛布ローラ体の突起が貫通する穴側に配置したものである。
【0022】また、本発明の請求項11に係る電気掃除機用吸込具は、制動手段を、吸込具本体における起毛布ローラ体の支持部周面と対向する壁面の一部に設けられて支持部周面との間で楔状空間を形成する平面部と、楔状空間内に所定量食い込み可能に前記平面部と支持部周面との間に介在設置され、床面抵抗に伴う負荷が規定以上に作用した場合に、制限方向の回動を許容する軟質体からなる制動部材とから構成したものである。
【0023】また、本発明の請求項12に係る電気掃除機用吸込具は、制動部材を、中心軸を有するコマ形の制動輪から構成して横軸配置するとともに、下ケースに、制動輪の輪部を楔状空間内に挿入可能とする孔を形成し、この孔の縁部を制動輪食い込み量の制限手段として構成したものである。
【0024】また、本発明の請求項13に係る電気掃除機用吸込具は、制動輪の上方向移動量を制限するリブを上ケースより垂下して設けたものである。
【0025】また、本発明の請求項14に係る電気掃除機用吸込具は、制動部材を、吸込具本体を形成する上ケースと下ケースの間に介在設置した軟質材料製のバンパーから楔状空間内まで延びる腕と、楔状空間内でその腕の先端に形成した膨出部とから構成したものである。
【0026】また、本発明の請求項15に係る電気掃除機用吸込具は、起毛布ローラ体の制動部材と接触する支持部周面を末端が縮径するテーパに形成したものである。
【0027】また、本発明の請求項16に係る電気掃除機用吸込具は、制動手段を、起毛布ローラ体の支持部周面に形成した爪車と、吸込具本体側に設けられて爪車と噛み合う逆転止掣子片とから構成したものである。
【0028】また、本発明の請求項17に係る電気掃除機用吸込具は、爪車の逆転止掣子片先端が当接する歯面を、爪車通常回転方向へ傾斜する所定角度の斜面に形成し、床面抵抗に伴う負荷が規定以上に作用した場合に、逆転止掣子片先端がその斜面を超えて制限方向の回動を許容するように構成したものである。
【0029】また、本発明の請求項18に係る電気掃除機用吸込具は、逆転止掣子片を、爪車との係合を解除できる軸方向ストロークを有する外部操作可能なスライダと一体化したものである。
【0030】
【発明の実施の形態】実施形態1.以下、図示実施例により本発明を説明する。図1は本発明の請求項1〜4に係る電気掃除機用吸込具の正面側からみた縦断面図、図2はその起毛布ローラ体の着脱手順の説明図、図3はその外観を示す斜視図であり、各図中、前述の各従来例(図15乃至図17)に相当する部分には同一符号を付してある。
【0031】この第1実施形態の電気掃除機用吸込具は、床用吸込具の本体21が、上ケース2と下ケース3を軟質材料からなるバンパー4介して一体に結合されてなり、かつその後部中央に、図示しない電気掃除機本体の吸引側に延長パイプ及び可撓性ホースを介し連通する連結管6が回転自在に装着されている。下ケース3の前部中央には連結管6に連なる吸込口5(図15参照)が設けられ、吸込口5の左右に吸込溝10が延設されている。また、下部ケース3の前部の左右端には、本吸込具を前後にスムーズに移動可能にするためと、本吸込具と床面との距離を一定に保つことを目的に前車輪7が設けられているとともに、下ケース3の吸込口5の後方に、床面などを拭くための起毛布ローラ体22が着脱可能に設置されている。
【0032】起毛布ローラ体22は、外周に起毛布24を巻き付けた合成樹脂製の円筒ローラ23と、円筒ローラ23の両端にそれぞれ圧入によって嵌着固定されて支持部を形成する高摺動材からなる円筒状キャップ25,26とから構成され、下ケース3から取り外すことにより起毛布24の洗浄を行えるようになっている。なお、キャップ25,26の固定は圧入によるものばかりでなく、例えば接着剤による固定、爪による固定、キーによる固定、スプライン係合状態下での固定、など種々採用可能である。
【0033】キャップ25,26には、その外端に円筒状の突起25a,26aが設けられており、突起25a,26aを介して下ケース3に回転自在に直接支持されるようになっている。なお、突起25a,26aは円柱状に形成してもよいが、洗浄時に円筒ローラ23内に水が侵入する可能性を考慮して、内部乾燥まで行えるようにここでは円筒状とした。
【0034】ところで、突起25a,26aを円筒状とすることで、これを積極的に利用することもできる。すなわち、突起25a,26aの中心孔25b,26bより円筒ローラ23内に水を供給することができる。従って、円筒ローラ23に多数の微細孔を形成し、あるいは円筒ローラ23を多孔体(例えばセラミック)から形成して、外表面に水が滲むように構成すれば、起毛布ローラ体22に水拭き機能も持たせることが可能となる。この場合、中心孔25b,26bを内部挿入型のゴム栓などにより閉塞できるようにすることが好ましい。これによって、突起25a,26aの摺動面に影響を与えることなく、起毛布ローラ体22を水供給源となる水タンクとしても機能させることができ、構成の簡素化が図れる。
【0035】下ケース3の起毛布ローラ体設置部におけるキャップ25,26と対向する左右壁の一方には、一方のキャップ25側の突起25aを回転自在に直接支持する凹部27が設けられているとともに、他方の壁に他方のキャップ26側の突起26aを回転自在に直接支持する穴28が形成されている。なお、凹部27と穴28の内面に低摩擦材(例えば四弗化エチレン樹脂)をコーティングすることは好ましい。またここでは説明の都合上、凹部27に一方の突起25aが、また穴28に他方の突起26aが挿入されるとしているが、キャップ25,26は同一構成部材からなり、左右逆にして取り付けても問題はない。
【0036】穴28の内方には、穴28を貫通した突起26aに直接当接してこれを凹部27側へ常時付勢することで起毛布ローラ体22の脱落を防止する付勢手段である金属製の板ばね29が設けられている。板ばね29はL字状に形成され、その基端となる一方の片部29aが、上ケース2と下ケース3の間に挾持されて固定されるようになっている。すなわち、上ケース2には所定間隔離して対向する一対のボス31a,31bが設けられているとともに、下ケース3にその上ケース2との組付時にボス31a,31b間に嵌入可能な条突起32が設けられ、更に板ばね29の基端片部29aに条突起32が嵌入可能な長孔29bが形成されている。従って、上ケース2と下ケース3を組み付ける前に、板ばね29の自由端となる他方の片部29cを穴28の内方へ垂下するように配置して、板ばね29の長孔29bを下ケース3の条突起32に嵌入させておけば、上ケース2と下ケース3を組み付けるだけで、板ばね29の基端片部29aを上ケース2のボス31a,31bの下縁と下ケース3の内面との間に挾持することができ、かつ条突起32によって板ばね29の水平方向の自由動を規制することができる。
【0037】なお、板ばね29の自由端側片部29cにおける穴28と対向する面部に、低摩擦材(例えば四弗化エチレン樹脂)をコーティングしてもよく、更にその面部に穴28を貫通してきた起毛布ローラ体22の突起26aの中心孔26b内に嵌入可能な小突起を形成してもよい。このような小突起を設けることで、起毛布ローラ体22の着脱時に突起26aが穴28内にいろんな角度から挿入されても、板ばね29における突起26aの当接位置(荷重作用点)を常に同じ位置(例えば幅方向の中心位置)とすることができ、長期に亘って板ばね29の塑性変形を防止することができる。
【0038】この第1実施形態の電気掃除機用吸込具において、起毛布24の洗浄などのために起毛布ローラ体22を下ケース3より取り外すには、まず図1の状態にある起毛布ローラ体22を手で掴み、その状態で起毛布ローラ体22全体を板ばね29の付勢力に抗して穴28側軸方向に移動させる。この移動によって、移動方向後端に位置する突起25aが下ケース3の凹部27より抜けるので、その状態から起毛布ローラ体22を図2に示すように下方向に傾けることにより、起毛布ローラ体22を下ケース3から離脱させることができる。起毛布洗浄後の起毛布ローラ体22の下ケース3への取り付けは、前述と逆の手順により行う。
【0039】このように、この第1実施形態の電気掃除機用吸込具においては、起毛布ローラ体22を、外周に起毛布24を巻き付けた円筒ローラ23とその両端に一体的に固定されて支持部を形成するキャップ25,26とから構成し、起毛布ローラ体22を下ケース3に回転自在に直接支持させるようにしているので、起毛布ローラ体22の構成が簡素化されてコストの削減が図れるとともに、起毛布ローラ体22そのものには相対回動部が存在しなくなって、従来のようなごみ侵入による回転不良などの問題を無くすることができる。また起毛布ローラ体22を回動自在に支持する支承部、すなわち下ケース3の凹部27や穴28内に砂ごみ等の侵入があっても、下ケース3より起毛布ローラ体22を取り外すだけで使用者が簡単に取り除くことができる。
【0040】また、起毛布ローラ体22の支持部となるキャップ25,26の外端に、それぞれ突起25a,26aを設けるとともに、下ケース3に、一方の突起25aを回転自在に直接支持する凹部27と他方の突起26aを回転自在に直接支持する穴28を形成し、かつ穴28の内方に、穴28を貫通した突起26aを凹部27側へ直接付勢する板ばね29を設けているので、起毛布ローラ体22の支承部とストローク調整機構の構成が簡素化されて一層のコスト削減が図れる。
【0041】また、突起25a,26aを栓塞可能な円筒状に形成して円筒ローラ23に多数の微細孔を設け、あるいは円筒ローラ23を多孔体から形成することで、起毛布ローラ体22に水拭き機能と水供給源となる水タンク機能を持たせることができる。
【0042】また、板ばね29は、その基端が上ケース2と下ケース3間に挾持されることで取り付けられるように構成したので、取付作業が容易となって作業効率を向上させることができる。
【0043】実施形態2.図4は本発明の請求項2,3,5,6に係る電気掃除機用吸込具の正面側からみた要部の縦断面図であり、図中、前述の第1実施形態(図1乃至図3)のものと同一部分には同一符号を付しその説明を省略する。
【0044】この第2実施形態の電気掃除機用吸込具は、起毛布ローラ体22の下ケース3からの脱落を防止する付勢手段を、吸込具本体21の上ケース2の内面から下ケース3の穴28の内方に延出する舌状片41から構成したものであり、それ以外の構成(起毛布ローラ体に水拭き機能および水タンク機能を付加させることを可能とする構成も含む)は前述の第1実施形態のものと同一である。
【0045】この第2実施形態の電気掃除機用吸込具においては、付勢手段となる舌状片41を上ケース2に一体成形しているため、起毛布ローラ体22のストローク調整機構にコイルばね等の別体の部材を用いる必要が無くなって構成が一層簡素化され、さらなるコスト削減が図れる。
【0046】ところで、吸込具本体21の構成部材は殆どが射出成形により製作される。射出成形により製作される部材の内面側に一体の構造部が存在する場合、その構造部壁の肉厚は外殻側壁の肉厚の60%以下にしないと、固化する際の引張応力により外殻表面における前記構造部根元部位2aに引けが発生する。従って、上ケース2の内面から延出する舌状片41の肉厚tは、できるだけ上ケース2の外殻側の肉厚Tよりも薄くすることが意匠上望まれる。
【0047】この引けの問題は、図4に破線で示すように、吸込具本体21の上ケース2と下ケース3間に介在する軟質材料からなるバンパー4における舌状片対向面部に膨出部4aを設け、膨出部4aで舌状片41の背面側を保持させて、舌状片41の根元部に加わるストレスを緩和させ、これにより舌状片41の肉厚tの薄肉化を図ることで、予め回避することができる。
【0048】なお、この第2実施形態においても前述の第1実施形態のものと同様に、舌状片41の自由端における穴28と対向する面部に、低摩擦材(例えば四弗化エチレン樹脂)をコーティングしてもよく、更にその面部に穴28を貫通してきた起毛布ローラ体22の突起26aの中心孔26b内に嵌入可能な小突起を形成してもよい。
【0049】実施形態3.図5は本発明の請求項2,3,5,7に係る電気掃除機用吸込具の正面側からみた要部の縦断面図、図6はその底面図であり、各図中、前述の第1実施形態(図1乃至図3)のものと同一部分には同一符号を付しその説明を省略する。
【0050】この第3実施形態の電気掃除機用吸込具は、起毛布ローラ体22の下ケース3からの脱落を防止する付勢手段を、吸込具本体21の下ケース3の内面から穴28の内方に延出する舌状片51から構成するとともに、下ケース3における舌状片基部両側にスリット52を形成したものであり、それ以外の構成(起毛布ローラ体に水拭き機能および水タンク機能を付加させることを可能とする構成も含む)は前述の第1実施形態のものと同一である。
【0051】この第3実施形態の電気掃除機用吸込具においては、付勢手段となる舌状片51を下ケース3に一体成形しているため、前述の第2実施形態のものと同様に起毛布ローラ体22のストローク調整機構にコイルばね等の別体の部材を用いる必要が無くなって構成が簡素化され、コスト削減が図れる。
【0052】また、下ケース3における舌状片基部両側にスリット52を形成しているので、舌状片51の下ケース3からの突出寸法が短くともその弾性変形可能な変位量を大きくすることができる。
【0053】なお、この第3実施形態においても前述の第2実施形態のものと同様に、舌状片51の自由端における穴28と対向する面部に、低摩擦材(例えば四弗化エチレン樹脂)をコーティングしてもよく、更にその面部に穴28を貫通してきた起毛布ローラ体22の突起26aの中心孔26b内に嵌入可能な小突起を形成してもよい。
【0054】実施形態4.図7は本発明の請求項2,3,8に係る電気掃除機用吸込具の正面側からみた要部の縦断面図であり、図中、前述の第1実施形態(図1乃至図3)のものと同一部分には同一符号を付しその説明を省略する。
【0055】この第4実施形態の電気掃除機用吸込具は、起毛布ローラ体22の下ケース3からの脱落を防止する付勢手段を、吸込具本体21の上ケース2と下ケース3間に介在する軟質材料からなるバンパー4から延出して穴28の内方空間を埋める膨出部61から構成したものであり、それ以外の構成(起毛布ローラ体に水拭き機能および水タンク機能を付加させることを可能とする構成も含む)は前述の第1実施形態のものと同一である。
【0056】この第4実施形態の電気掃除機用吸込具においては、付勢手段となる膨出部61を軟質材料製のバンパー4から延出させて形成しているため、前述の第2、第3実施形態のものと同様に起毛布ローラ体22のストローク調整機構にコイルばね等の別体の部材を用いる必要が無くなって構成が簡素化され、コスト削減が図れる。
【0057】また、膨出部61が軟質材料すなわち弾性体からなるため、弾性変形可能な変位量を一層大きくすることができ、その分、起毛布ローラ体22の支承部の軸方向寸法を大きくとることができて、起毛布ローラ体22の装着状態が安定し、電気掃除機使用時の安定性が向上する。
【0058】なお、この第4実施形態においてもバンパー4の膨出部61における穴28と対向する部位に、低摩擦材(例えば四弗化エチレン樹脂)をコーティングしてもよい。
【0059】実施形態5.図8は本発明の請求項1〜13に係る電気掃除機用吸込具の側面側からみた要部の縦断面図、図9はその正面側からみた縦断面図であり、各図中、前述の第1実施形態(図1乃至図3)及び第2実施形態(図4)のものと同一部分には同一符号を付しその説明を省略する。
【0060】この第5実施形態の電気掃除機用吸込具は、起毛布ローラ体22の突起26aが貫通する穴28側に、起毛布ローラ体22の回転方向の一方向(ここでは前進時)の動きを制限する制動手段71を設け、拭き機能を得られるようにしたものである。
【0061】これを更に詳述すると、制動手段71は、下ケース3における起毛布ローラ体22の支持部となるキャップ26の周面26cと対向する壁面の一部に設けられてキャップ周面26cとの間で楔状空間を形成する平面部72と、この楔状空間内に所定量食い込み可能に平面部72とキャップ周面26cとの間に介在設置され、床面抵抗に伴う負荷が規定以上に作用した場合に、制限方向(前進方向)の回動を許容する軟質体からなる制動部材73とから構成されている。
【0062】また、制動部材73は、中心軸74を有するコマ形の制動輪75からなり、横軸配置されている。なお、中心軸74と制動輪75は、一体でも、また別体から構成してもよい。
【0063】下ケース3には、制動輪75の輪部を楔状空間内に挿入可能とする孔76が形成され、孔76の縁部76aが制動輪食い込み量の制限手段として構成されている。
【0064】また、上ケース2には、制動輪75の上方向移動量を制限する一対のリブ77が垂下して設けられている。それ以外の構成(起毛布ローラ体に水拭き機能および水タンク機能を付加させることを可能とする構成も含む)は前述の第1実施形態のものと同一である。
【0065】この第5実施形態の電気掃除機用吸込具において、制動部材73、特に制動輪75に使用可能な軟質体としては、例えば塩化ビニール、合成ゴム、シリコンゴムなど採用可能であるが、いずれを採用するにせよ、硬度50度〜80度、表面摩擦係数(動摩擦係数)μkは0.3〜0.9のものが望ましい。制動輪75に用いる軟質体の硬度および表面摩擦係数の数値限定理由は次の通りである。
【0066】すなわち、硬度が50度以下の場合、起毛布ローラ体22の前進時に制動輪75が楔状空間内に食い込んだ際の変形(図8に一点鎖線で示す)が大きくなり、制動輪75が孔76の縁部76aから楔状空間内へ必要以上に突出し、起毛布ローラ体22を完全に停止させてしまう傾向が現れる。この状態から起毛布ローラ体22を後進させると、キャップ26が制動輪75を楔状空間内の位置より解放する方向へ回転するので、食い込み状態が解除され、制動輪75は図8に実線で示す位置に戻されるが、あまりに硬度が低いと、変形に伴う楔状空間内への突出量が大きくなり過ぎて、起毛布ローラ体22を後進させても食い込み状態が解除されなくなり、起毛布ローラ体22は停止状態から抜け出せなくなる。
【0067】硬度が80度以上の場合、起毛布ローラ体22の前進時に制動輪75が楔状空間内に食い込む際の変形量が小さくなり、必要な食い込み量が得られず、楔効果が働かなくなる傾向が現れる。あまりに硬度が高いと、楔効果が働かなくなり、拭き機能が得られない。
【0068】制動輪75の表面摩擦係数μkが0.3以下の場合、起毛布ローラ体22の前進時に制動輪75が楔状空間内に食い込んだ際の変形量が最適(あるいはそれより若干大きい場合)であっても、制動輪75と平面部72との間で滑りが生ずる傾向が現れる。あまりに表面摩擦係数が低いと、楔効果が働かなくなり、拭き機能が得られない。
【0069】制動輪75の表面摩擦係数μkが0.9以上の場合、起毛布ローラ体22の前進時に制動輪75が楔状空間内に食い込んだ際の変形量(硬度)が最適(あるいはそれより若干小さい場合)に設定されていても、必要な変形量に達する前に制動輪75と平面部72との間で摩擦による引っかかりが生ずる傾向が現れ、甚だしい場合、引っかかりと解放が小刻みに繰り返されてサージングが発生する。あまりに表面摩擦係数が高いと、起毛布ローラ体22の前進時に直ぐに楔効果が現れ、かつ起毛布ローラ体22を後進させても食い込み状態が解除されなくなり、起毛布ローラ体22は停止状態から抜け出せなくなるばかりでなく、制動輪75やキャップ26あるいは平面部72を傷めてしまう虞れがある。
【0070】制動手段71を起毛布ローラ体22の突起26aが貫通する穴28側に配置した理由は次の通りである。既述したように、吸込具本体21の構成部材は殆どが射出成形により製作される。その関係で、キャップ25,26の周面25c,26cは、突起側末端にかけて若干縮径するテーパに形成されている。従って、制動手段71により楔効果を働かせた場合の力は、キャップ26に対し凹部27側軸方向(起毛布ローラ体取り付け方向)の分力として作用する。もし、制動手段71を起毛布ローラ体22の突起25aが支持されている凹部27側に配置すれば、前記分力の作用方向が穴28方向(起毛布ローラ体を取り外す方向)となり、起毛布ローラ体22は拭き掃除の度に下ケース3から離脱させられる可能性がある。この第5実施形態のように、制動手段71を起毛布ローラ体22の突起26aが貫通する穴28側に配置することで、起毛布ローラ体22の下ケース3への取り付け状態が安定する。
【0071】下ケース3に設けた孔76の縁部76aは、制動部材73の中心軸74が係合することで、制動輪75の輪部の楔状空間内への突出量を制限している。
【0072】また、上ケース2に設けた一対のリブ77は、起毛布ローラ体22の後進時に制動部材73が跳ね上げられることがあっても、そのリブ下縁で制動部材73の中心軸74の必要以上の上方向動を押さえることで、制動部材73の制動輪75が孔76部から脱落するのを防止している。
【0073】したがって、この第5実施形態の電気掃除機用吸込具においては、掃除する際は、前進時に制動輪75が楔状空間内に所定量食い込み、起毛布ローラ体22の動きを制限して拭き機能が得られ、また後進時には制動輪75が楔状空間内より解放されて、起毛布ローラ体22が回転する。このため、起毛布ローラ体22が一か所で接することはなく、前後進を繰り返す度に接触面の移動が行われ、片減りが低減される。
【0074】また、制動部材73の硬度や表面摩擦係数を所定の範囲に限定し、更に楔状空間内への突出量も規制しているので、摩擦抵抗の小さい被掃除面を掃除する際でも、起毛布ローラ体22の動きを完全に停止させることがなく、起毛布ローラ体22がゆっくり回転し、摩擦抵抗の大きい被掃除面を掃除するときは起毛布ローラ体22が前記よりも若干早く回転する。このため、片減りの問題が完全に解消される。
【0075】また、制動部材73を中心軸74を有するコマ形の制動輪75から形成して、下ケース3には、制動輪75の輪部を孔76から楔状空間内に挿入し、制動輪75の上方向移動量を制限する一対のリブ77を有する下ケース3を上ケース2に結合するだけで取り付けられるようにしているので、起毛布ローラ体22の自由回転を抑制する制動手段71の構成が簡素化され、その分コストを削減することができる。
【0076】実施形態6.図10は本発明の請求項1〜13,15に係る電気掃除機用吸込具の正面側からみた縦断面図であり、図中、前述の第1実施形態(図1乃至図3)及び第5実施形態(図8及び図9)のものと同一部分には同一符号を付しその説明を省略する。
【0077】この第6実施形態の電気掃除機用吸込具は、前述の第5実施形態のものの持つ機能を全て備えている。この第6実施形態では、起毛布ローラ体22の支持部となるキャップ25,26の周面に、それぞれ突起側末端にかけて若干縮径するテーパ25d,26dを積極的に形成したものであり、それ以外の構成(起毛布ローラ体に水拭き機能および水タンク機能を付加させることを可能とする構成も含む)は前述の第1実施形態のものと同一である。
【0078】この第6実施形態の電気掃除機用吸込具においては、前述の第5実施形態のものと同様、制動手段71を起毛布ローラ体22の突起26aが貫通する穴28側に配置するとともに、キャップ25,26の周面に積極的にテーパ25d,26dを形成している。従って、制動手段71により楔効果を働かせた場合の力の分は、キャップ26に対し毛布ローラ体取り付け方向である凹部27側軸方向へ確実に作用する。このため、起毛布ローラ体22の下ケース3への取り付け状態がより安定する。
【0079】実施形態7.図11は本発明の請求項1〜11,14,15に係る電気掃除機用吸込具の側面側からみた要部の縦断面図、図12はその制動手段の異なる態様を示す縦断面図であり、各図中、前述の第1実施形態(図1乃至図3)及び第6実施形態(図10)のものと同一または同一機能部分には同一符号を付しその説明を省略する。なお、ここでは説明にあたって図10を参照するものとする。
【0080】この第7実施形態の電気掃除機用吸込具は、起毛布ローラ体22の突起26aが貫通する穴28側に設けられて、起毛布ローラ体22の回転方向の一方向(ここでは前進時)の動きを制限する制動手段81を、下ケース3における起毛布ローラ体22の支持部となるキャップ26のテーパ(周面)26dと対向する壁面の一部に設けられてキャップ周面26cとの間で楔状空間を形成する平面部72と、軟質材料製のバンパー4の内面の一部から下ケース3の孔82を介して前記楔状空間内まで延びるL状の腕83と、楔状空間内に所定量食い込み可能に腕83の先端に形成されて、床面抵抗に伴う負荷が規定以上に作用した場合に、前進方向の回動を許容する制動部材となる球状の膨出部84とから構成したものである。それ以外の構成(起毛布ローラ体に水拭き機能および水タンク機能を付加させることを可能とする構成も含む)は前述の第1実施形態のものと同一である。
【0081】この第7実施形態の電気掃除機用吸込具において、バンパー4すなわち膨出部84は、前述の第5実施形態のものと同様の硬度50度〜80度、表面摩擦係数(動摩擦係数)μkが0.3〜0.9の軟質体(塩化ビニール、合成ゴム、シリコンゴムなど)から構成した。この膨出部83に用いる軟質体の硬度および表面摩擦係数の数値限定理由は前述の第5実施形態で述べた通りであるので、ここでは説明を省略する。
【0082】この第7実施形態の電気掃除機用吸込具において、掃除する際は、前進時に膨出部84が、楔状空間を形成するキャップ26のテーパ26d及び平面部72との摩擦力により楔状空間内に引っ張られて腕83が延び、膨出部84が楔状空間内に所定量食い込み(図12)、起毛布ローラ体22の動きを制限して拭き機能が得られ、また後進時には膨出部84が楔状空間内より解放されて、起毛布ローラ体22が回転する。このため、起毛布ローラ体22が一か所で接することはなく、前後進を繰り返す度に接触面の移動が行われ、片減りが低減される。
【0083】また、制動部材すなわち膨出部84の硬度や表面摩擦係数を所定の範囲に限定し、更に楔状空間内への突出量も腕83により規制しているので、摩擦抵抗の小さい被掃除面を掃除する際でも、起毛布ローラ体22の動きを完全に停止させることがなく、起毛布ローラ体22がゆっくり回転し、摩擦抵抗の大きい被掃除面を掃除するときは起毛布ローラ体22が前記よりも若干早く回転する。このため、片減りの問題が完全に解消される。
【0084】また、制動部材をバンパー4と一体の膨出部84から形成しているので、起毛布ローラ体22の自由回転を抑制する制動手段81の構成がより簡素化され、一層コストを削減することができる。
【0085】実施形態8.図13は本発明の請求項1〜10,16,17に係る電気掃除機用吸込具の側面側からみた要部の縦断面図であり、図中、前述の第1実施形態(図1乃至図3)及び第5実施形態(図8及び図9)のものと同一または同一機能部分には同一符号を付しその説明を省略する。なお、ここでは説明にあたって図9を参照するものとする。
【0086】この第8実施形態の電気掃除機用吸込具は、起毛布ローラ体22の突起26aが貫通する穴28側に設けられて、起毛布ローラ体22の回転方向の一方向(ここでは前進時)の動きを制限する制動手段91を、起毛布ローラ体22の支持部となるキャップ周面に形成した爪車92と、上ケース2から垂下して先端が下ケース3の孔95を貫通して爪車92と噛み合う逆転止掣子片93とからなる基本的にワンウェイクラッチに構成したものである。
【0087】また、爪車92の逆転止掣子片先端が当接する歯面を、爪車通常回転方向(ここでは時計方向)へ傾斜する所定角度の斜面92aに形成し、床面抵抗に伴う負荷が規定以上に作用した場合に、逆転止掣子片93の先端が斜面92aを超えて制限方向(ここでは反時計方向)の回動を許容するように構成したものである。
【0088】更に、バンパー4の内面突起74を利用して逆転止掣子片93の背面側を保持させて、逆転止掣子片93の根元部に加わるストレスを緩和させ、これにより逆転止掣子片93の薄肉化を図り、予め引けの問題を回避するようにしたものである。それ以外の構成(起毛布ローラ体に水拭き機能および水タンク機能を付加させることを可能とする構成も含む)は前述の第1実施形態のものと同一である。
【0089】この第8実施形態の電気掃除機用吸込具において、掃除する際は、前進時に逆転止掣子片93の先端が爪車92と噛み合い、起毛布ローラ体22の動きを制限して拭き機能が得られ、また後進時には逆転止掣子片93と爪車92との噛み合いが解かれて、逆転止掣子片93が爪車92の歯面上を滑り、起毛布ローラ体22が回転する。このため、起毛布ローラ体22が一か所で接することはなく、前後進を繰り返す度に接触面の移動が行われ、片減りが低減される。
【0090】また、爪車92の逆転止掣子片先端が当接する歯面を、爪車通常回転方向へ傾斜する斜面92aに形成し、床面抵抗に伴う負荷が規定以上に作用した場合に、逆転止掣子片93の先端が斜面92aを超えて制限方向の回動を許容するように構成しているので、摩擦抵抗の小さい被掃除面を掃除する際でも、起毛布ローラ体22の動きを完全に停止させることがなく、起毛布ローラ体22が間欠的にゆっくり回転し、摩擦抵抗の大きい被掃除面を掃除するときは起毛布ローラ体22が前記よりも若干早く回転する。このため、片減りの問題が完全に解消される。
【0091】実施形態9.図14は本発明の請求項1〜10,16,17,18に係る電気掃除機用吸込具の正面側からみた要部の縦断面図であり、図中、前述の第1実施形態(図1乃至図3)、第3実施形態(図5及び図6)、及び第5実施形態(図8及び図9)のものと同一または同一機能部分には同一符号を付しその説明を省略する。なお、ここでも説明にあたって図9を参照するものとする。
【0092】この第9実施形態の電気掃除機用吸込具は、前述の第8実施形態のものの持つ機能を全て備えているが、ここでは起毛布ローラ体22の動きが制限される方向を後進方向となるように爪車92と逆転止掣子片93を組み付け、更に逆転止掣子片93を、爪車92との係合を解除できる軸方向ストロークを有する外部操作可能なスライダ101と一体化している。なお、図中の符号102は上ケース2に設けた長孔であり、この長孔102内にスライダ101の操作部101aが挿入され、外部操作を可能にしている。それ以外の構成(起毛布ローラ体に水拭き機能および水タンク機能を付加させることを可能とする構成も含む)は前述の第1実施形態および第3実施形態のものと同一である。
【0093】この第8実施形態の電気掃除機用吸込具において、掃除する際は、後進時に逆転止掣子片93の先端が爪車92と噛み合い、起毛布ローラ体22の動きを制限して拭き機能が得られ、また後進時には逆転止掣子片93と爪車92との噛み合いが解かれて、逆転止掣子片93が爪車92の歯面上を滑り、起毛布ローラ体22が回転する。このため、起毛布ローラ体22が一か所で接することはなく、前後進を繰り返す度に接触面の移動が行われ、片減りが低減される。このように後進時に拭き機能を得られるようにすることで、起毛布ローラ体22の前方配置が可能となる。
【0094】また、このように転止掣子片93の先端が爪車92と噛み合う向きを前述の第8実施形態のものと逆にすると、爪車92の逆転止掣子片先端が当接する歯面が、爪車通常回転方向(前進方向)へ傾斜する斜面92aとなり、床面抵抗に伴う負荷が規定以上に作用した場合に、逆転止掣子片93の先端が斜面92aを超えて制限方向の回動を許容する。これにより、摩擦抵抗の小さい被掃除面を掃除する際でも、起毛布ローラ体22の動きを完全に停止させることがなく、起毛布ローラ体22が間欠的にゆっくり回転し、摩擦抵抗の大きい被掃除面を掃除するときは起毛布ローラ体22が前記よりも若干早く回転する。このため、片減りの問題が完全に解消される。
【0095】また、逆転止掣子片93を、爪車92との係合を解除できる軸方向ストロークを有する外部操作可能なスライダ101と一体化しているので、スライダ101を操作して逆転止掣子片93と爪車92との係合を解除することができる。従って、摩擦抵抗の大きい絨毯面を掃除するときに逆転止掣子片93と爪車92との係合を解除することで、起毛布ローラ体22の自由回転を許容することができ、かつ逆転止掣子片93と爪車92との間で係合回転時に生じていた音を消すことができる。
【0096】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1の発明によれば、起毛布ローラ体を、起毛布を巻き付けた円筒ローラとその両端部に一体化されて吸込具本体に回転自在に直接支持される支持部とから構成したので、起毛布ローラ体の構成が簡素化されてコスト削減が図れる。また起毛布ローラ体そのものには相対回動部が存在しなくなって、従来のようなごみ侵入による回転不良などの問題を無くすることができる。更に起毛布ローラ体を回動自在に支持する支承部内に砂ごみ等の侵入があっても、これを吸込具本体より起毛布ローラ体を取り外すだけで使用者が簡単に取り除くことができる。
【0097】また、請求項2の発明によれば、起毛布ローラ体の各支持部の外端に、それぞれ突起を設けるとともに、吸込具本体に、一方の突起を支承する凹部と他方の突起を支承する穴を形成し、かつこの穴の内方には、この穴を貫通した突起を凹部側へ直接付勢する付勢手段を設けたので、起毛布ローラ体の支承部とストローク調整機構の構成が簡素化されて一層のコスト削減が図れる。
【0098】また、請求項3の発明によれば、突起を栓塞可能な円筒状に形成するとともに、円筒ローラに多数の微細孔を設けあるいは円筒ローラを多孔体から構成したので、起毛布ローラ体に水拭き機能と水供給源となる水タンク機能を持たせることができる。
【0099】また、請求項4の発明によれば、付勢手段を、吸込具本体を形成する上ケースと下ケースの間に基端が挾持されて自由端が穴の内方に延出する板ばねから構成したので、取付作業が容易となって作業効率を向上させることができる。
【0100】また、請求項5の発明によれば、付勢手段を、吸込具本体を形成する上ケースまたは下ケースから穴の内方に延出する舌状片から構成したので、起毛布ローラ体のストローク調整機構にコイルばね等の別体の部材を用いる必要が無くなって構成が一層簡素化され、さらなるコスト削減が図れる。
【0101】また、請求項6の発明によれば、舌状片の背面側を、吸込具本体を形成する上ケースと下ケースの間に介在設置したバンパーにて保持したので、舌状片の根元部に加わるストレスを緩和させることができて、舌状片の肉厚の薄肉化を図ることができる。このため、引けの問題を予め回避することができる。
【0102】また、請求項7の発明によれば、吸込具本体における舌状片の基部両側にスリットを形成したので、舌状片の下ケースからの突出寸法が短くともその弾性変形可能な変位量を大きくすることができる。
【0103】また、請求項8の発明によれば、付勢手段を、吸込具本体を形成する上ケースと下ケースの間に介在設置した軟質材料製のバンパーから延出して穴の内方空間を埋める膨出部から構成したので、起毛布ローラ体のストローク調整機構にコイルばね等の別体の部材を用いる必要が無くなって構成が簡素化され、コスト削減が図れるとともに、弾性変形可能な変位量を一層大きくすることができる。このため、起毛布ローラ体の支承部の軸方向寸法を大きくとることができて、起毛布ローラ体の装着状態を安定化することができ、電気掃除機使用時の安定性を向上させることができる。
【0104】また、請求項9の発明によれば、起毛布ローラ体の回転方向の一方向の動きを制限する制動手段を設けたので、拭き機能を持たせることができる。
【0105】また、請求項10の発明によれば、制動手段を、起毛布ローラ体の突起が貫通する穴側に配置したので、楔効果を働かせた場合の力の分力を起毛布ローラ体取り付け方向に作用させることができて、起毛布ローラ体の取り付け状態の安定化が図れる。
【0106】また、請求項11の発明によれば、制動手段を、吸込具本体における起毛布ローラ体の支持部周面と対向する壁面の一部に設けられて支持部周面との間で楔状空間を形成する平面部と、楔状空間内に所定量食い込み可能に前記平面部と支持部周面との間に介在設置され、床面抵抗に伴う負荷が規定以上に作用した場合に、制限方向の回動を許容する軟質体からなる制動部材とから構成したので、起毛布ローラ体の片減りの問題を完全に解消することができる。
【0107】また、請求項12の発明によれば、制動部材を、中心軸を有するコマ形の制動輪から構成して横軸配置するとともに、下ケースに、制動輪の輪部を楔状空間内に挿入可能とする孔を形成し、この孔の縁部を制動輪食い込み量の制限手段として構成したので、起毛布ローラ体の自由回転を抑制する制動手段の構成が簡素化され、その分コストを削減することができる。
【0108】また、請求項13の発明によれば、制動輪の上方向移動量を制限するリブを上ケースより垂下して設けたので、制動輪が跳ね上げられることがあっても、そのリブ下縁で制動輪の必要以上の上方向動を押さえることができ、制動輪が孔部から脱落するのを防止することができる。
【0109】また、請求項14の発明によれば、制動部材を、吸込具本体を形成する上ケースと下ケースの間に介在設置した軟質材料製のバンパーから楔状空間内まで延びる腕と、楔状空間内でその腕の先端に形成した膨出部とから構成したので、起毛布ローラ体の自由回転を抑制する制動部材の構成がより簡素化され、一層コストを削減することができる。
【0110】また、請求項15の発明によれば、起毛布ローラ体の制動部材と接触する支持部周面を末端が縮径するテーパに形成したので、制動部材により楔効果を働かせた場合の力の分力を、毛布ローラ体取り付け方向である凹部側軸方向へ確実に作用させることができる。このため、起毛布ローラ体の取り付け状態がより安定させることができる。
【0111】また、請求項16の発明によれば、制動手段を、起毛布ローラ体の支持部周面に形成した爪車と、吸込具本体側に設けられて爪車と噛み合う逆転止掣子片とから構成したので、起毛布ローラ体の制動・解放を確実に行わせることができる。
【0112】また、請求項17の発明によれば、爪車の逆転止掣子片先端が当接する歯面を、爪車通常回転方向へ傾斜する所定角度の斜面に形成し、床面抵抗に伴う負荷が規定以上に作用した場合に、逆転止掣子片先端がその斜面を超えて制限方向の回動を許容するように構成したので、起毛布ローラ体の片減りの問題を完全に解消することができる。
【0113】また、請求項18の発明によれば、逆転止掣子片を、爪車との係合を解除できる軸方向ストロークを有する外部操作可能なスライダと一体化したので、逆転止掣子片と爪車との係合をスライダによって解除することができる。このため、摩擦抵抗の大きい絨毯面を掃除するときに逆転止掣子片と爪車との係合を解除することで、起毛布ローラ体の自由回転を許容することができ、かつ逆転止掣子片と爪車との間で係合回転時に生じていた音を消すことができる。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
【出願日】 平成10年9月18日(1998.9.18)
【代理人】 【識別番号】100061273
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 宗治 (外3名)
【公開番号】 特開2000−93365(P2000−93365A)
【公開日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願番号】 特願平10−264761