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【発明の名称】 マネキン
【発明者】 【氏名】田中 賢司

【氏名】森田 三郎

【要約】 【課題】見栄えがよく、リサイクル可能で廃棄上の問題が少なく、肌触りが良好で商品よりも目立ちすぎることがない、搬送便利な優れた中空合体式マネキン。

【解決手段】ポリエチレンテレフタレート系樹脂の発泡シート材料を、真空型成形して、所要の表面状態をもつ板状の前部本体1及び後部本体2の半割体をそれぞれ形成する。この前部本体と後部本体とを連結しするのを構成上の特徴とする。軽量のために輸送、移動等の取り扱いが簡易であり、倒れた場合でも怪我等をせずに安全で、前部、後部本体を反転させて重ね合わせることにより輸送や保管時の収納スペースの低減が図れる。また、ゴミとして破棄されていたPETボトルを再利用できてゴミの問題を解消する一助となり、発泡シート材の特性を充分に活用してビス止めで簡単に組み付けたり分解が可能であり、艶消し等の後塗装を施さなくても例えばパール状に綺麗に表面を仕上げることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート系樹脂の発泡シート材料を真空型成形して所要の表面状態をもつ板状の前部本体及び後部本体の半割体をそれぞれ形成し、この前部本体と後部本体とを連結してなる中空合体式のマネキン人形。
【請求項2】 ポリエチレンテレフタレート系樹脂の発泡シート材料を真空型成形して所要の表面状態をもつ板状の前部本体及び後部本体の半割体をそれぞれ形成し、この前部本体と後部本体とを連結してなる中空合体式のボディー。
【請求項3】 ポリエチレンテレフタレート系樹脂の発泡シート材料を真空型成形して所要の表面状態をもつ半割れ板状のレリーフ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量で搬送の際の利便性に優れ、肌触りが良好で商品を引き立たせ、布地等をピン止め固定でき、しかも、リサイクル可能でペットボトル等のリサイクルを可能として廃棄上の問題の少ない中空合体式のマネキン人形並びにボディー、及び半割れ板状のレリーフに関するものである。
【0002】ところで、この明細書において、”マネキン人形”とは、衣類などの着脱を可能とするため腕部や脚部が着脱自在に連結できる人体全身の模擬成型体のことである。”ボディー”とは、人体の部分模擬成型体であり、より具体的には、半身模擬体、頭部模擬成型体、胸部模擬成型体、腰部模擬成型体、脚部模擬成型体、腕部模擬成型体等の模擬成形体が例示できる。”レリーフ”とは、人体模擬成型体の半割れタイプのものであり、特に肌着やアクセサリー等の商品を展示するために使用されるものであり、例えばオブジェなどの販促ツール類を含むものとする。
【0003】
【従来の技術】ショールーム等で例えば下着や水着等を含む衣類などやアクセサリーなどの商品を展示するために使用するマネキンは、これら商品をもっとも好ましい状態にして人の目を引きつけるために極めて重要な役割を担うものであり、人体と均等な寸法形状に形成される。従来のかかるマネキンは、そのほとんどが通常の合成樹脂及び金属も用いて作製されたものである。
【0004】従来、発泡性合成樹脂を使用したマネキンとしては、発泡性ポリエチレン樹脂に熱可塑性樹脂シートをラミネートした積層体を真空型成形したものが市販されており、柔軟性合成樹脂材で肉薄に形成された中空外体に、その内くうにあわせて形成した発泡性合成樹脂製の内体を内装して一体化したものが提案されている(特開昭61−86063号公報)。
【0005】また、発泡性合成樹脂として発泡性ウレタン樹脂を使用して、頭部、胸部、腹部等の人体構成部材を作製し、これら人体構成部材をボルト等で連結することによって人のポーズに近いマネキンなどが作製されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した発泡性ウレタン樹脂を含め従来の発泡性合成樹脂を用いて人体構成部材を成型する場合には、金型内に所定の配合原料を注入し、これを発泡、硬化させることにより金型の内面形状に添って得られた表面形状とするものである。そのため、各部材を型成形加工する際に極めて高価な金型が必須となり、また、マネキンが破損したり不要になってこれを廃棄する場合には、産業廃棄物として処分する必要があった。であるためにコスト高になるとともに、その生産調整が困難であるという問題があった。
【0007】なお、発泡性合成樹脂としてポリテトラフルオロエチレン系の合成樹脂を発泡シート材料に成形し、ついでこのシート材料を2次加工すると、いわゆる発泡性合成樹脂製のマネキンが製造できるはずである。しかし、このマネキンにあっては、特にはポリテトラフルオロエチレン系合成樹脂が高価であるのみならず、リサイクルするできない点において問題があるから、後述の「本発明が解決しようとする課題」を解決することができない。
【0008】特開昭61−86063号公報記載の従来技術は、発泡性合成樹脂を内体として成型し使用するにすぎない。このマネキン人形は軽くて割れ難く安価であるという利点があるものの、マネキンの表面は柔軟性合成樹脂材でありしかも肉薄に形成されているため、内体が内装されていないと自体では自立不能であり、しかも発泡性合成樹脂にてのみ得られる例えば表面仕上がり等の特性を得ることはできないものである。
【0009】ところで、従来のかかる合成樹脂性のマネキンが破損したり不要になってこれを廃棄する場合には、産業廃棄物として処分する必要があった。特に当該発泡性合成樹脂がポリウレタン樹脂であると、地球環境保全、省資源等という問題に強く影響されており、中でもリサイクルや発泡剤用特定フロンの削減・全廃が重要な課題として取り上げられ、極限すればウレタン樹脂の存続を賭けての検討が進められているのが現状である。
【0010】特開平9−121994号公報には、土中や水中の微生物の作用で二酸化炭素と水に分解され自然環境に戻るものと一般的に定義される生分解性プラスチックからなるマネキンが提案されている。
【0011】本発明はこのような実状に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、見栄えがよく、リサイクル可能でPETボトル等のリサイクルを可能として廃棄上の問題が少なく、肌触りが良好で商品よりも目立ちすぎることがなく、しかも布地等をピン止め固定でき、さらに、軽量で搬送の際の利便性に優れた中空合体式マネキン並びにボディー、及び半割れ板状のレリーフを提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するために各請求項の発明が採用した手段の要旨とするところは、叙上の特許請求の範囲の欄に記載のとおりである。
【0013】すなわち、請求項1の発明は、後述する実施の態様の説明中において使用する符号を付して説明すると、「ポリエチレンテレフタレート系樹脂の発泡シート材料を真空型成形して所要の表面状態をもつ板状の前部本体及び後部本体の半割体をそれぞれ形成し、この前部本体と後部本体とを連結してなる中空合体式のマネキン」を、その要旨とするものである。
【0014】請求項2の発明は、「ポリエチレンテレフタレート系樹脂の発泡シート材料を真空型成形して所要の表面状態をもつ板状の前部本体及び後部本体の半割体をそれぞれ形成し、この前部本体と後部本体とを連結してなる中空合体式のボディー」を、その要旨とするものである。
【0015】請求項3の発明は、「ポリエチレンテレフタレート系樹脂の発泡シート材料を真空型成形して所要の表面状態をもつ半割れ板状のレリーフ」を、その要旨とするものである。
【0016】すなわち、本発明に係るマネキン、ボディー或いはレリーフは、ゴミとして破棄されてきたペットボトルを構成していたPET系の樹脂をその主材として発泡シート材料を形成し、この発泡シート材料から型成形技術を適用して2次加工して製造されている点で、上述した従来の発泡性合成樹脂製のマネキンとは相違するものである。ところで、従来公知の発泡性合成樹脂を発泡させて発泡シート材を得、ついでこのシートを例えば加熱2次加工すると、発泡シート材がト゛ローダウンして単なる樹脂シートになってしまうことは当業者周知のことであり、このため、従来の発泡体シート材料を真空成型することによりマネキンを作製することはできなかった。
【0017】本発明のマネキン等を製造するために使用した発泡シート材料は、ポリエチレンテレフタール系樹脂を発泡して板状に成型したものである。より具体的には、非晶性のポリエチレンテレフタレート(以下、PETGという)を主たる原材料とするものであり、この樹脂はイーストマンケミカル社より商品名「スペクター」として販売されており、ペットボトル等に成形されているものもある。また、PETGを発泡処理して板状の発泡体に成形する発泡体の製造法は、本発明者らが新規開発したものであり、その技術的内容の詳細は別途開示する予定である。
【0018】なお、従来のポリエチレンテレフタレート系の樹脂は線状の結晶性であるために、例えば非結晶性のポリスチレン系樹脂と同様の発泡シート製造法にて行うと、部分的に結晶化度の高い部分が発生して裂けやしわが発生する。又冷却むらにより温度の低い部分での発泡が止まり、発泡倍率のむらが生じ、表面にしわができて綺麗な発泡体にすることができない。
【0019】本発明のマネキン等を成型する発泡シート材料は、厚さ0.5〜4.0mm程度が好ましい。その理由は、0.5mmよりも薄いと、真空成型処理する際に裂けを発生することがあり、また最終製品であるマネキンなどに充分な強度を保持させることができないためである。厚さが4.0mmよりも厚すぎると、板状の発泡体のシート成形が難しく、シート成形時にしわが入りやすい。発泡シート材料の厚さが、1.5〜3.5mmであると、成形性や軽量化及び強度等の点において極めて好適である。
【0020】PETGの発泡倍率は、発泡倍率が小さすぎると、使用樹脂量が多くなるため、強度的には優れるものの、軽量化し難いとか発泡体であるが故に得られる格別の表面特性を得られない傾向があり、発泡倍率が5倍を越えると、発泡シート材料やマネキン等の軽量化が図れるものの、発泡シート材料のシート形成が難しく、また2次成形時に裂けやしわが入り表面を綺麗に仕上げ難く、さらにはマネキン等に充分な強度をもたせることが難しくなる傾向がある。
【0021】本発明に係るマネキン等を、板状の前部本体及び後部本体の半割体をそれぞれ形成し、この前部本体と後部本体とを連結するようにしたのは、(1) 中空で軽量のため、輸送、移動等の取り扱いが簡易であり、倒れた場合でも怪我等をせずに安全である(立体的にマネキンが形成されていると、嵩ばり、輸送、移動に大変不便であった)、(2) ユーザーのニーズに合わせて、例えば前部本体の形状のみ変更したい時、前部本体だけを選択し、後部本体は共通の同一のものを使用できるから、それだけ安価に提供できる、(3) 輸送、保管する場合、前部、後部本体を反転させて重ね合わせることにより、その容積を約半分にすることができる(立体的にマネキンが形成されていると、広い収納スペースを必要とした)、ようにするためである。ただし、工場にて組み付けを完了して分離不能に一体化した後、出荷しても構わない。
【0022】また、本発明に係るマネキン等によれば、例えばゴミとして破棄されていたPETボトルを再利用できるから、ゴミの問題を解消する一助となるのみならず、発泡シート材の特性を充分に活用して、ビス止めにて簡単に組み付けたり分解したりすることができ、艶消し等の後塗装を施さなくても例えばパール状に綺麗に表面を仕上げることができ、表面が適度な滑り止め作用があって肌触りが良く、しかも商品が滑って歪んだり滑り落ちることがなく、また衣料等の生地を簡単にピント止め固定でき、しかも所望する適度強度を備えた製品となるのである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面でより具体的に示した各実施例に基いてさらに詳細に説明するが、これらはその代表的なものを示したものであり、その要旨を越えない限りにおいて様々な設計変更が可能である。
【0024】図1は、本発明の第1実施例となるボディーの分解斜視図である。
【0025】図において、このボディー10は婦人用の衣類を陳列するためのものである。ポリエチレンテレフタレート系樹脂を発泡して得られる発泡シート材料を真空型成形法にて人体の表面状態に模した凹凸を有する前部本体1と及び後部本体2の半割体としてそれぞれ形成されており、両者1,2は、首の部分がPET製の留め具3にて固定され、両側の腋部がPET製の腕部連結具4を介装してトランスネジ5にてビス止め固定され、その下面には座板6が取り付けされる。陳列等に使用する際は、支持台7の支柱8にタップネジ9にて着脱自在に取付けされる。すなわち、この前部本体1と後部本体2とは自在に組み付け分解できるものである。
【0026】前部本体1及び後部本体2は、厚さ1.0〜4.0mmのPETGの発泡シート材料を二次成型したものであり、両者の周端部は、互いに重ね合せできる寸法形状に形成される。成形方法としては、発泡シート材料を成型機のヒータ部にて成形可能温度まで加熱する。加熱された発泡シート材料を、成型用金型上にて真空状態にし、金型とシート材料とを密着させ成形し、その後冷却しシートを金型形状から取り出して完成する。前部本体1を成形するための金型と、後部本体2を成形するための金型が必要である。ただし、同様にシート材料を加熱し、金型とシート材料とを密着させ、真空状態にする際に、真空と同時にシートに、空気圧をかけるいわゆる圧空真空成型法を採用すると、より精度に優れた形状を再現できるようになる。
【0027】前部本体1の周端部と後部本体2の周端部とを公知の接着剤にて接着固定し一体化しても構わない。後部本体2の周端と重ね合せ可能な寸法形状を有し且つ表面状態が互いに異なる複数の前部本体1’、1”・・を準備しておくと、後部本体2を共通して使用することができるから、前部本体1’、1”・・をの表面状態の異なるボディー10のデザイン変更が簡単に行えるようになるので極めて好適である。
【0028】また、ボディー1が縦方向に前部本体1と後部本体2の半割りに形成されているため、図2に示すように、前部本体1同士及び後部本体部2同士を複数枚重ねてバンドや紐などでまとめて結束すること等ができ、これにより、嵩張らずコンパクトになるため、輸送や保管時の収納スペースが低減できる。
【0029】特に、図3に斜視図で示したように、首の部分にフック11を設けた半割れの前部本体1はいわゆる当業者が”レリーフ”等と呼称するものに相当するから、壁面などに掛止し、肌着やアクセサリー等を展示する目的に使用することができる。請求項3の発明に相当する実施態様である。
【0030】図4には、上述したボディーを組み付けてマネキン人形100を作製する一方法が模式的に示されている。
【0031】図において、このマネキン人形100は、頭部を有する胸部上部21と、右腕部22並びに左腕部23と、胴部24と、右脚部を有する腰部25、及び左脚部26とからなり、各パーツはいずれも上述した発泡シート材料を真空成型法若しくは圧空真空成型法にて作製した前部本体及び後部本体を接着剤で接着して一体化したものである。
【0032】このように構成されたマネキン人形100によると、例えば脚部や腕部等のポーズが相違する数種類を用意し、必要なものを選択してこれらを組み込むと、様々なポーズをしたマネキン人形を形成することができる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るマネキン、ボディー或いはレリーフは、PETG樹脂を主たる原材料とし、これに、ゴミとして破棄されてきたペットボトルを構成していたPET樹脂を混ぜ込み発泡させて発泡シート材料を形成し、この発泡シート材料から型成形技術を適用して2次加工して、厚さが0.5〜4.0mm程度の範囲内となるように製造されている点に構成特徴がある。
【0034】本発明に係るマネキン等によると、マネキン等全体の軽量化が図れ、2次成形時に裂けやしわがなく表面を綺麗に仕上げることができ、さらにマネキン等に充分な強度をもたせることができる。
【0035】また、板状の前部本体及び後部本体の半割体をそれぞれ形成し、この前部本体と後部本体とを連結するため、(1) 中空で軽量のため、輸送、移動等の取り扱いが簡易であり、倒れた場合でも怪我等をせずに安全であり、(2) ユーザーのニーズに合わせて、例えば前部本体の形状のみ変更したい時、前部本体だけを選択し、後部本体は共通の同一のものを使用できるから、それだけ安価に提供でき、(3) 輸送、保管する場合、前部、後部本体を反転させて重ね合わせることにより、その容積を約半分にすることができ、輸送や保管時の収納スペースの低減が図れる、のである。
【0036】さらに又、本発明に係るマネキン等によれば、(4) 例えばゴミとして破棄されていたPETボトルを再利用できるから、ゴミの問題を解消する一助となり、(5) 発泡シート材の特性を充分に活用して、ビス止めにて簡単に組み付けたり分解したりすることができ、(6) 艶消し等の後塗装を施さなくても例えばパール状に綺麗に表面を仕上げることができ、(7) 表面が適度な滑り止め作用があって肌触りが良く、(8) しかも商品が滑って歪んだり滑り落ちることがなく、(9) また衣料等の生地を簡単にピント止め固定でき、しかも所望する適度強度を備えた製品となる、等、極めて実効性に優れた作用効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】595001321
【氏名又は名称】株式会社パールマネキン
【出願日】 平成11年1月27日(1999.1.27)
【代理人】 【識別番号】100083932
【弁理士】
【氏名又は名称】廣江 武典
【公開番号】 特開2000−210167(P2000−210167A)
【公開日】 平成12年8月2日(2000.8.2)
【出願番号】 特願平11−18061