| 【発明の名称】 |
椅 子 |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 文男
【氏名】濱 克典
|
| 【要約】 |
【課題】机とセットで使用する椅子において、着座状態で床に足の届かない低学年の児童であっても正しい姿勢で楽に座ることができるようにする。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】左右の側枠体と、背もたれと、人が手で自在に前後動させ得る状態で前記左右側枠体に支持された座体と、前記座体よりも下方の部位において左右側枠体に取付けた足載せ板と、前記座体を前進方向に付勢するばね手段とを備えている、椅子。 【請求項2】前記左右両側枠体の間の部位に、当該左右側枠体に高さ調節自在に取付けられた座支持体を配置し、この座支持体に前記座体を前後動自在に取付け、更に、前記座支持体と座体とに前記ばね手段を装架している、請求項1に記載した椅子。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、児童用に適した椅子に関するものである。 【0002】 【従来の技術】児童用の椅子は一般に、左右に適宜隔てて配設した側枠体の上端間に背もたれを固着すると共に、左右側枠体の間には座体を高さ調節自在及び前後位置調節自在に装架し、更に、左右側枠体の下部間に、床に足が着かない場合のために足載せ板を配設した構成になっている。 【0003】そして、身体の成長に合わせて座体の高さ及び前後位置並びに足載せ板の高さを調節することにより、机を適正な姿勢で使用できるようにしている(例えば実公昭63−48125号公報や実公昭4−39705号公報参照)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、座体を手で自在に前後動させ得る状態で左右側枠体に取付けると、身長の低い児童であっても、椅子を机の内部に部分的に入り込ませた状態で、椅子に容易に乗り降りできる。 【0005】その場合、児童は、座体を後退させた状態で足載せ板に乗り、中腰の状態で座体を所定の位置まで前進させることになるが、中腰の状態で座体を手で掴んで手前に引き出すのは面倒である。 【0006】また、人が椅子を持ち運ぶ場合、一般に、座体の前端部と背もたれとを掴んで持ち上げるものであり、この場合、座体を前進させ切っていない状態で椅子を持ち上げると、持ち上げた弾みで座体が前進して怪我したり、椅子を落下させたりする虞がある。 【0007】本発明は、これらの問題を解消することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る椅子は、左右の側枠体と、背もたれと、人が手で自在に前後動させ得る状態で前記左右側枠体に支持された座体と、前記座体よりも下方の部位において左右側枠体に取付けた足載せ板と、前記座体を前進方向に付勢するばね手段とを備えている。 【0009】また、請求項2の発明では、請求項1において、前記左右両側枠体の間の部位に、当該左右側枠体に高さ調節自在に取付けられた座支持体を配置し、この座支持体に前記座体を前後動自在に取付け、更に、前記座支持体と座体とに前記ばね手段を装架している。 【0010】 【発明の作用・効果】椅子を机とセットで使用する場合、大人や高学年の児童のように着座した状態で床に足が届く場合は、椅子を机から離しておき、中腰の状態で椅子を机の内部に向けて引き込むことにより、適正な姿勢で使用することができる。しかし、着座状態で床に足の届かない児童の場合は、通常の椅子では、腰掛けた状態で椅子を机の内部に向けて引き込むことは困難である。 【0011】これに対して本発明の椅子は、椅子を机の内部に部分的に入り込ませた状態であっても、座体を後退させた状態で足載せ板に足を載せて下半身を机の内部に潜り込ませ、次いで、足載せ板に足を載せて中腰の状態で座体を所望の位置まで前進させてから座るという動作で着座できるため、床に足の届かない低学年の児童であっても正しい姿勢で腰掛けることができる。 【0012】そして、座体はばね手段で自動方向に付勢されているため、児童が中腰の状態で座体を前進させるに際して一々手で座体を掴んで引き出す必要はなく、このため、身長の低い児童であっても、無理な姿勢をとることなく座体の前進位置を楽に設定して着座できる。 【0013】また、座体が跳ね上げ回動式でない椅子において、人が座体の前端部と背もたれとを掴んで持ち上げる場合、座体はばね手段によって前進位置に保持されているから、常に座体を前進させ切った状態で椅子を持ち上げることができ、従って、椅子の持ち運びを安全に行うことができる。 【0014】 【発明の実施形態】次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。 【0015】(1).第1実施形態(図1〜図11) 図1〜図11では第1実施形態を示しており、このうち図1で椅子1の全体を示している。 【0016】椅子1は、後部に直立部2aを有する木製板製の左右一対の側枠体2と、左右両側枠体2における直立部2aの上端間に固定した背もたれ3と、左右両側枠体2における直立部2aの間の部位に高さ調節自在及び前後動自在に配置した座体4とを備えている。側枠体2の直立部2aには、座体4を段階的に高さ調節するためのねじ挿入穴5が上下適宜間隔で多数穿設されている。 【0017】左右両側枠体2の下部には前向きに延びる段部2bが形成されており、この左右段部2bの前端間に足載せ板6を配置している。 【0018】足載せ板6の左右両端部は、左右側枠体2における段部2bの内面に形成した係合溝7に嵌め込まれており、その状態でねじ止めされている。係合溝7及びねじの挿入穴8は複数段(実施形態は3段)形成されており、このため、足載せ板6を段階的に高さ調節できる。左右両側枠体2の下端には、それぞれ前後一対のキャスター9を取り付けている。 【0019】前記座体4は、左右両側枠体2の直立部2aに固定した座支持体10に装着されている。この点を図2以下の図面を参照して説明する。 【0020】≪座体4の支持構造≫図2は分離斜視図であり、この図2に示すように、座支持体10は、左右側枠体2の内面に2本のねじ11で固着された木製等のスペーサ12と、これら左右スペーサ12の内面に固着した金属板製の支持板13と、左右支持板13の相互間に連結した略樋状のステー部材14とを備えている。 【0021】図3は座体4を仮想線で示した要部平面図、図4は図3のIV−IV視断面図、図5は図3及び図4の V-V視断面図であり、このうちの図5に示すように、左右側枠体2の直立部2aに設けたねじ挿入穴5からねじ15をスペーサ12の雌ねじ穴16にねじ込むことにより、座支持体10を左右側枠体2の直立部2aに締結している。ねじ挿入穴5は複数段あるため、座支持体10を段階的に高さ調節できる。 【0022】図2,4,5 に示すように、座支持体10における支持板13の上端には内向きに延びる支持片13aを折り曲げ形成しており、この支持片13aの上面にゴム製等の摩擦板17を貼着している。 【0023】他方、図2や図5に示すように、座体4の左右両端部の下面には前後方向に延びる補強部材18を固着している。また、座体4の下面のうち補強部材18よりも内側の部位には、前記支持板13の支持片13aに内側から被嵌する断面略コ字状で前後長手のガイドレール19をねじ止めしている。 【0024】図2〜5に示すように、座支持体10における支持板13の上部のうち前端部内面には、アーム取付け板20を溶接によって固着している。このアーム取付け板20は、支持板13との間に断面矩形の空間ができるように形成されており、支持板13とアーム取付け板20との間に形成された空間内に、前向きに突出するアーム部材21を配置している。 【0025】前記アーム部材21の後部は左右横向きの枢軸22にて回動自在に枢着されている一方、アーム部材21の前端には、ガイドレール19の内部に嵌まり込むローラ23が回転自在に取付けられている。 【0026】また、図4に示すように、支持板13とアーム取付け板20との間には、アーム部材21の後端に空けた通孔24に貫通するピン25を取付けている。アーム部材21の通孔24をピン25よりも大径に設定することにより、アーム部材21が一定範囲で上下回動することを許容している。 【0027】更に、前記ピン25に被嵌したねじりばね26により、アーム部材21を上向き回動する方向に付勢している。前記ねじりばね26のばね力は、ローラ23を介して座体4を持ち上げできるような強さに設定されている。従って、座体4に外力が作用していない状態では、図6(A)に示すように座体4はローラ23を介して落ち上げられ、人が着座すると、図6(B)に示すように、ガイドレール19の上水平片19aが支持板13の支持片13aに密着する。 【0028】図7のうち(a) は図4のVIIa-VIIa 視断面図、(b) は(a) の b-b視断面図、(c) はスライダーの取付け状態を示す斜視図であり、この図7に示すように、座支持体10における支持板13の後端上部には、前記ガイドレール19に嵌まり込む合成樹脂製等のスライダー27がねじ28で固着されている。このスライダー27には、支持板13の後端縁に被嵌する係合部27aが形成されており、このため、スライダー27は1本のねじ28でガタ付きなく取付けられている。 【0029】図7(a)(b)に示すように、ガイドレール19の後端には、座体4を前進させた状態でスライダー27に当たる後ストッパー29を設けている。 【0030】ガイドレール19の前端部は図8でも表示しており、この図8や図2に示すように、ガイドレール19の前端には、座体4を後端させるとローラ23に当たる前ストッパー30を固着している。従って、ストッパー30で座体4の後退位置が規制される。 【0031】図9は図3のIX−IX視断面図であり、この図9や図2、図8に示すように、左右ガイドレール19は、断面逆L字状の前連結杆31と断面L字状の後連結杆32とを介して連結されている。 【0032】そして、図3や図9に示すように、後連結杆32の左右中間部とステー部材14の左右両端寄り部位とに、ばね手段の一例として、2本の引っ張りばね34を装架している。従って、座体4は引っ張りばね33によって前進方向に付勢されている。 【0033】図2や図9に示すように、座体4の下面には、座支持体10を下方から覆うカバー体34をねじで着脱自在に取付けている。図10及び図11は使用状態を示す側面図であり、このうちの図10に示すように、座体4を前進させ切った状態で、当該座体4は足載せ板6よりも適宜寸法E2だけ前向きに突出している。 【0034】≪作用の説明≫以上の構成において、座体4に外力が作用していない状態では、図4及び図6(a)に示すように、座体4はローラ23とスライダー27とで支持されているため、座体4は引っ張りばね33に抗して軽い力で後退させることができる。 【0035】他方、人が椅子1に腰掛けて座体4に人の体重が作用すると、図6(b)に示すように、座体4でローラ23が押し下げられて、ガイドレール19の上水平片19aが支持板13の支持片13aに密着し、摩擦板17の摩擦抵抗によって座体4は前後動不能に保持される。 【0036】人が着座した状態では、座体4は支持板13の前方に大きく突出しているため、座体4には右側面視で半時計回りに回動させるようなモーメントが作用するが、スライダー27の下面にガイドレール19の下水平片19bが当たることにより、座体4は略水平状の姿勢に保持される。 【0037】図10では、大人や身長の高い児童のように着座状態で床Fに足が着く人Aが椅子1を机36とセットで使用する場合を示しており、この場合は、座体4を前進させ切った状態で使用すれば良い。 【0038】図11では、床Fに足が着かない低学年の児童Cが机36とセットで使用する場合を示している。この場合は、椅子1を予め机36の内部に部分的に入り込ませておいて、片手で座体4を二点鎖線で示すように大きく後退させて、その状態を保持しつつ、片足を足載せ板6に載せた状態で机36の内部に下半身を潜り込ませ、それから両足を足載せ板6に載せ、次いで、中腰の状態で、座体4を自分の身長に応じた位置まで前進させて腰を下ろせば良い。 【0039】この場合、引っ張りばね33によって座体4が前進方向に付勢されているから、児童Cが中腰の状態で座体4を所定の位置まで前進させるに際して、児童は無理な姿勢を取ることなく座体4の前進位置を楽に設定できる。 【0040】また、人が座体4の前端と背もたれ3とを手で掴んで椅子1を持ち上げるに際して、引っ張りばね33によって座体4は前進し切った状態に保持されているから、持ち上げた弾みで座体4が前向き移動したり、持ち運びの途中で椅子1が揺れ動いたりすることはなく、従って、椅子1の持ち運びを安全に行うことができる。 【0041】≪変形例≫図12に変形例として示すように、ガイドレール19の下水平片19bに、座体4を前進させ切った状態でローラ23に被嵌係合する切欠き35を形成しておくと、座体4と背もたれ3とを掴んで椅子1を持ち運ぶに際して、座体4が不測に後退することを確実に防止できるため、椅子1の持ち運びをより一層安全に行える。 【0042】座体4を前進方向に付勢するばね手段としては実施形態のような引っ張りばね33には限らず、圧縮ばねやねじりばね等のばねやゴム紐等の弾性体など種々のものを使用することができる。また、側枠体2と座体4との間に引っ張りばね等のばね手段を設けても良い。 【0043】また、上記の実施形態では、非着座状態で座体4をスムースに前後動させる手段としてローラ23とスライダー27とを使用したが、例えばアーム21に合成樹脂製の前スライダーを取付けて、前後一対のスライダーで座体4の前後動を支持しても良い。 【0044】また、座体4をスムースに前後動させる手段としては回動自在なアーム部材21を使用することには限らず、支持体10に板ばね等の弾性板の一端を固着し、該弾性板の他端にスライダーを固着するようにしても良いのである。更に、ローラ23やスライダー27はステー部材14に取付けても良い。 【0045】(2).第2実施形態(図13) 図13では第2実施形態を示しており、(a))は縦断側面図、(b) は要部斜視図である。この実施形態は、各部材の形状・構造や座体4をスライドさせる構造は第1実施形態と同じで、支持板13をスペーサ12に対して回動自在に取付けている点が異なっている。 【0046】すなわちこの実施形態では、スペーサ12の前部に内向き突設した第1ピン38に、支持板13の前部に穿設した丸穴39を被嵌すると共に、スペーサ12の後部に内向き突設した第2ピン40に、支持板13の後部に穿設した円弧状のガイド長孔41を嵌め込んでいる。 【0047】そして、ガイド長孔41の曲率半径は両ピン38,40の軸心間の距離と同じ寸法に設定されており、このため、座体4(及び支持体10)を一定の角度θだけ後傾動させることができる。 【0048】なお、座体4の丸穴39とガイド長孔41とには、回動をスムースに行うために合成樹脂製等のブッシュ42,43を嵌着している。また、支持板13には補強板44を固着している。なお、丸穴39とガイド長孔41との位置は前後逆にしても良い。 【0049】この第2実施形態の構成では、(a) に一点鎖線で示すように、座体4の後退と後傾とを同時に行うことができるから、机36の内部に入り込ませた椅子1に児童が乗り降りするに際して、座体4が児童と干渉することを防止又は著しく低減できる。このため、机36の内部に入り込ませた椅子1への乗り降りをより容易に行える。 【0050】(3).第3実施形態(図14) 図14に示す第3実施形態も、座体4を後傾動自在に構成したものである。 【0051】この実施形態では、スペーサ12の下部を側枠体2の直立部2aに1本のねじ15で回動可能に取付けると共に、スペーサ12の後端上部に、側枠体2における直立部2aの背面に当たるストッパーピン45を外向きに突設している。従って、座体4(及び座支持体10)を跳ね上げ回動させることができる。 【0052】なお、スペーサ12を設けていない椅子の場合には、支持板13を側枠体2の直立部2aに対して直接に取付ければ良い。 【0053】(4).その他以上、本発明の実施形態を幾つか説明したが、本発明はこれら実施形態以外の種々の構造・形態に具体化できることは言うまでもない。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000139780 【氏名又は名称】株式会社イトーキクレビオ
|
| 【出願日】 |
平成7年2月9日(1995.2.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079131 【弁理士】 【氏名又は名称】石井 暁夫 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−354524(P2000−354524A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月26日(2000.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−166200(P2000−166200) |
|