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【発明の名称】 車両用シートのリクライニングデバイス
【発明者】 【氏名】吉 田 知 徳

【氏名】藤 本 涼

【氏名】江 口 森 幸

【要約】 【課題】衝撃時のロック部の拡がりを防止できるラウンド型のリクライニングデバイスにおいて、シート側への組付作業性を高める。

【解決手段】ラウンド型のリクライニングデバイス本体40のアウター面側にスライドフレーム20と固着するロア側ブラケット50を設ける一方、リクライニングデバイス本体40のインナー面側にシートバックフレーム30と固着するアッパー側ブラケット60を設け、各ブラケット50、60に夫々操作用レバー70、レバー復帰用スプリング71、リターンスプリング72を組付け、リクライニングデバイス10をユニット化することにより、シート側への組付作業性を高める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シートクッションに傾動可能にシートバックが取付けられると共に、シートクッション側のベースフレームとシートバック側のシートバックフレームとの間にラウンド型のリクライニングデバイス本体が介挿され、該デバイス本体内の内歯と外歯とが係合することにより、シートバックを所定ポジションで固定できると共に、操作用レバーの操作により外歯と内歯との係合を解除してリターンスプリングによりシートバックを強制的に前方に傾倒させるようにした車両用シートのリクライニングデバイスにおいて、前記ラウンド型のリクライニングデバイス本体のインナー面に、シートバックフレーム側に取付けられるアッパー側ブラケットが固着され、前記リクライニングデバイス本体のアウター面に、ベースフレームに取付けられるロア側ブラケットが固着され、レバー復帰用スプリングを組付けた操作用レバーがロア側ブラケットに装着されると共に、リターンスプリングがアッパー側ブラケットに装着されることにより、復帰用スプリングを備えた操作用レバーとリターンスプリングとがアッパー側ブラケット、ロア側ブラケットを介してリクライニングデバイス本体にユニット化されていることを特徴とする車両用シートのリクライニングデバイス。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートクッションに対してシートバックを傾動させる車両用シートのリクライニングデバイスに係り、更に詳述すれば、衝突時(後突時)におけるロック部の拡がり不良を防止できるラウンド型のリクライニングデバイスをシート側に組付ける作業性を向上させると共に、シートの造形変更に対しても容易に対応できる車両用シートのリクライニングデバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】通常、車両の運転席、あるいは補助席に設置される車両用シートには、背もたれとなるシートバックの傾斜角度を適宜調節できるリクライニングデバイスが設置されている。即ち、一般的なリクライニングデバイスの構成としては、シートバックを傾倒可能にシートクッション側に支持する回動支持ポイントに、相互に係合するギア部を夫々シートクッション側、シートバック側に設け、シートバックを所定の角度位置でギア部の噛合によりシートバックをロックするというものであり、操作用レバーを操作することにより、ギア部の噛合状態を解除して、リターンスプリング等により強制的に前傾させるという構成をとっているが、衝突時(後突時)の衝撃により、これらリクライニングロック機構部分の相互に噛合するギアが離間して、噛合い不良を起こすという問題点がある。
【0003】これを対策するために、最近では図4に示すようにラウンド型のリクライニングデバイスが提案されている。即ち、ラウンド型のリクライニングデバイス1は、図示はしないが内部に相互に噛合する内歯と外歯とが対向設置されており、内歯と外歯とが噛合することによりアウタープレート1aとインナープレート1bが一体化し、シートバックをロックすることができる。また、この噛合状態が解除された時、アウタープレート1aとインナープレート1bとの連結が解除され、相互に回動可能となり、シートバックが強制的に前傾させられるという構成である。
【0004】そして、このリクライニングデバイス1をシート側に取付けるには、リクライニングデバイス1のインナープレート1bをシートバックフレーム2にボルト締め等により固定されると共に、リクライニングデバイス1のアウタープレート1aはシートクッションの側部に固着されてシートクッションをスライド自在に支持するスライドフレーム3にこれもボルト締めにより固定されている。
【0005】そして、シートバックフレーム2及びスライドフレーム3にリクライニングデバイス1をボルト締め等により固定した後、操作用レバー4をレバー復帰用スプリング5を介してリクライニングデバイス1に取付けると共に、リクライニングデバイス1のロック状態が解除された時、シートバックフレーム2を前方に強制前傾させるために、リターンスプリング6もリクライニングデバイス1に取付けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、図4に示すラウンド型のリクライニングデバイス1においては、通常のリクライニングデバイスに比べ、ロック強度が優れているため、衝突時等、ロック機構部分に拡がり等の不良が発生することがなく、ロック信頼性に優れてはいるものの、前述したように、リクライニングデバイス1をシートバックフレーム2やスライドフレーム3に多くの固定ポイントを介してボルト締めにより固定する必要があり、また、操作用レバー4、レバー復帰用スプリング5、リターンスプリング6を後付けで装着するため、組付作業が非常に面倒であり、生産性を低下させる大きな要因となっている。
【0007】また、リクライニングデバイス1の作動確認は、各部品の組付けを完了した後に行なうため、作動不良が確認された時には、リクライニングデバイス1全体を取外さなければならないという問題点があった。
【0008】更に、リクライニングデバイス1を取付けるシートバックフレーム2及びスライドフレーム3には、夫々サポート部2a、3aを設定しなければならず、シートバックフレーム2及びスライドフレーム3の製作コストを増加させるという欠点も指摘されている。
【0009】本発明の目的は、衝撃時のロック強度に優れ、薄型化、小型化が図れるラウンド型のリクライニングデバイスをシート側に簡単に組付けることができると共に、フレーム取付位置の変更に対しても簡単且つ廉価に対応できる車両用シートのリクライニングデバイスを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上述せる課題に鑑みてなされたもので、本発明の請求項1に記載の車両用シートのリクライニングデバイスは、シートクッションに傾動可能にシートバックが取付けられると共に、シートクッション側のベースフレームとシートバック側のシートバックフレームとの間にラウンド型のリクライニングデバイス本体が介挿され、該デバイス本体内の内歯と外歯とが係合することにより、シートバックを所定ポジションで固定できると共に、操作用レバーの操作により外歯と内歯との係合を解除してリターンスプリングによりシートバックを強制的に前方に傾倒させるようにした車両用シートのリクライニングデバイスにおいて、前記ラウンド型のリクライニングデバイス本体のインナー面に、シートバックフレーム側に取付けられるアッパー側ブラケットが固着され、前記リクライニングデバイス本体のアウター面に、ベースフレームに取付けられるロア側ブラケットが固着され、レバー復帰用スプリングを組付けた操作用レバーがロア側ブラケットに装着されると共に、リターンスプリングがアッパー側ブラケットに装着されることにより、復帰用スプリングを備えた操作用レバーとリターンスプリングとがアッパー側ブラケット、ロア側ブラケットを介してリクライニングデバイス本体にユニット化されていることを特徴とする。
【0011】従って、請求項1に記載の発明によれば、シートクッションに対してシートバックを傾倒可能に支持するリクライニングデバイスとしては、円盤状のアウタープレート、インナープレート間にロック部を内装したラウンド型のリクライニングデバイスを使用することを前提としているため、衝突時(後突時)、シートに衝撃が加わっても、リクライニングロック部に広がり等が生じることがなく、良好なリクライニングロック強度を維持できる。
【0012】更に、ラウンド型のリクライニングデバイス本体にアッパー側ブラケット、ロア側ブラケットが溶接等により固着され、これらのブラケットを介して復帰用スプリングを備えた操作用レバーとリターンスプリングとを予め装着してユニット化しておき、アッパー側ブラケットをシートバックフレームに固定すると共に、ロア側ブラケットをベースフレームに固定するだけで、リクライニングデバイスをシート側に簡単に組付けることが可能となる。
【0013】また、シートバックフレーム並びにスライドフレームの取付孔に対応して夫々アッパー側ブラケット及びロア側ブラケットに取付孔が設けられているため、高価なシートバックフレームやスライドフレームの形状変更をすることなく安価なブラケットを変更するだけで、様々なフレーム取付位置に対応することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る車両用シートのリクライニングデバイスの実施形態について、図面を参照して詳述する。図1は本発明に係るリクライニングデバイスとシートバックフレーム、スライドフレームを示す全体斜視図、図2は本発明に係るリクライニングデバイスの一実施形態の構成を示す分解斜視図、図3は本発明に係るリクライニングデバイスをユニット化した状態を示す構成説明図である。
【0015】図1において、本発明に係るリクライニングデバイス10は、シートクッション側のスライドフレーム20と、シートバック側のシートバックフレーム30との間に介挿設置される。前記スライドフレーム20は、図示しないシートクッションの側部にビス止め等の固定手段により固着され、フロア面に取付けられているガイドレール21に車両の前後方向に沿って摺動可能に装着されている。
【0016】そして、このスライドフレーム20のリヤ側の2箇所にリクライニングデバイス10を取付けるための取付孔22が設けられており、この取付孔22の内面側にナット23が溶接等により固着されている。
【0017】一方、シートバックフレーム30は、シートバックの外形をなすサイドフレーム31、上部フレーム32、下部フレーム33の各フレームと、両側のサイドフレーム31間に懸架されるジグザグバネ34とから構成されており、図示はしないが、パッド材、表皮材等により被包される。
【0018】ここで、リクライニングデバイス10は、具体的にはサイドフレーム31の下端側に固着されるが、以後の説明では便宣上、シートバックフレーム30に固着するものとして説明する。即ち、シートバックフレーム30の下端側の前後2箇所に取付孔35が開設されており、その内面側にナット36が溶接等により固着されている。そして、本発明に係るリクライニングデバイス10は、スライドフレーム20及びシートバックフレーム30の夫々取付孔22、35にボルト24、37を締付けるだけで簡単に取付けることができ、取付作業性を従来のものに比べ著しく向上させることができる。
【0019】次に、図2及び図3において、前述したリクライニングデバイス10の構成について、詳細に説明する。まず、図2に示すように、本発明に係るリクライニングデバイス10は、ラウンド型のリクライニングデバイス本体40と、リクライニングデバイス本体40のアウター面側に溶接等により固着されるロア側ブラケット50と、リクライニングデバイス本体40のインナー面側にこれも溶接等により固着されるアッパー側ブラケット60と、各ブラケット50,60に組付けられる操作用レバー70,レバー復帰用スプリング71、リターンスプリング72とから大略構成されている。
【0020】更に詳しくは、前記リクライニングデバイス本体40は、円盤状のアウタープレート41、並びにインナープレート42が平行状態を保って相互に回動可能であり、図3に示すように内部に内歯と外歯とが噛合する噛合部43が設定されており、この噛合部43は、通常の噛合状態でアウタープレート41とインナープレート42とが一体化され、シートバックを所定角度でロック保持すると共に、操作用レバー70の操作により、シャフト80を回動操作して、図示しないカム機構等の作用により噛合部43の係合を解除してアウタープレート41とインナープレート42とが相互にシャフト80の軸廻りに回動可能となり、リターンスプリング72のバネ力によりシートバックを前方向に強制的に傾倒させる構成が採用されているが、カム機構等の詳しい内部構成は本発明の要部ではないのでここでは省略する。
【0021】そして、このリクライニングデバイス本体40に取付けられるロア側ブラケット50とアッパー側ブラケット60の構成について詳細に説明すると、まず、リクライニングデバイス本体40のアウター面(アウタープレート41)に固着されるロア側ブラケット50は、シートクッション側のスライドフレーム20に取付ける取付座51と、このプレート取付座51から弯曲状の段部52を介してリクライニングデバイス本体40のアウタープレート41面をサポートするサポート部53が連設されている。
【0022】更に、ロア側ブラケット50の先端は、外方に向けて折曲され、この折曲部54はリターンスプリング72の内側端末721を係止すると共に、弯曲状の段部52には、操作用レバー70を挿入させ、操作用レバー70の操作が可能となる細長状のガイド孔55が設けられており、また、折曲部54と反対側には、レバー復帰用スプリング71の一端711と係止する係止部56が設けられている。尚、スライドフレーム20の取付孔22に対応して、取付座51には2箇所に取付孔57が開設されている。
【0023】一方、リクライニングデバイス本体40のインナー面(インナープレート42)の上部側に溶接等により固着されるアッパー側ブラケット60は、シートバックフレーム30に取付けるための取付座61が設けられていると共に、リターンスプリング72の外側端末722を係止する係止部62が形成されている。このアッパー側ブラケット60の取付座61には、2箇所にシートバックフレーム30の取付孔35と対応する位置に取付孔63が開設されている。
【0024】また、リクライニングデバイス本体40の中央部の貫通孔44内に挿入されるシャフト80の挿入端は、操作用レバー70の貫通孔701に嵌め込む形状に設定されており、レバー復帰用スプリング71の他端712は、操作用レバー70の係止部702に係止されている。
【0025】次いで、本発明に係るリクライニングデバイス10の組付順序について簡単に説明すると、ロア側ブラケット50の係止部56にレバー復帰用スプリング71の一端711を係止させた状態で、このロア側ブラケット50の弯曲状の段部52のガイド孔55を通じて操作用レバー70を挿入し、操作用レバー70の係止部702にレバー復帰用スプリング71の他端712を係止させると共に、ロア側ブラケット50の折曲部54にリターンスプリング72の内側端末721を係止させる。
【0026】即ち、ロア側ブラケット50に対して操作用レバー70、レバー復帰用スプリング71、リターンスプリング72を装着した状態でロア側ブラケット50の弯曲状の段部52にリクライニングデバイス本体40の下半部分のアウター面を溶接等により固着する。
【0027】更にリクライニングデバイス本体40の貫通孔44内にシャフト80を挿入してシャフト80の挿入端を操作用レバー70の貫通孔701内に嵌め込み、その後、リクライニングデバイス本体40のインナー面上部にアッパー側ブラケット60を溶接等により固着して、このアッパー側ブラケット60の係止部62にリターンスプリング72の外側端末722を係止することにより、本発明に係るリクライニングデバイス10の組付けが完了する。
【0028】従って、本発明に係るリクライニングデバイス10は、リクライニングデバイス本体40のアウタープレート41の下部側にロア側ブラケット50を固着すると共に、インナープレート42の上部側にアッパー側ブラケット60を固着して、これらブラケット50、60に夫々操作用レバー70、レバー復帰用スプリング71、リターンスプリング72、シャフト80を組付ければユニット化でき、図1に示す仮組付状態のものをシートバックフレーム30並びにスライドフレーム20にボルト締めすれば簡単に装着することができ、従来のように個々の部品を組付ける作業に比べれば、生産性を著しく向上させることができる。
【0029】更に、図1及び図4とを比較すれば明らかなように、本発明に係るリクライニングデバイス10は、スライドフレーム20及びシートバックフレーム30については、ロア側ブラケット50、アッパー側ブラケット60を設定している関係で、リクライニングデバイス10の全面を支持する取付部をスライドフレーム20、シートバックフレーム30に設定する必要がなく、取付孔を各2箇所ずつ設置するだけでよく、スライドフレーム20及びシートバックフレーム30を小型化でき、軽量化並びにコストダウンを招来するという有利さがある。
【0030】また、スライドフレーム20とシートバックフレーム30との取付位置変更に際しても、高価なフレーム形状を変更するというコストのかかる対応ではなく、安価なブラケット50、60を変更するだけで簡単に対応できることも本発明の利点の一つである。加えて、リクライニングデバイス10の作動確認もシート側への取付前に行なえるため、作動不良時における部品の交換も簡単に行なえる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、シートクッションに対してシートバックを傾倒可能に支持するリクライニングデバイスとしては、円盤状のアウタープレート、インナープレート間にロック部を内装したラウンド型のリクライニングデバイスを使用することを前提としているため、衝突時(後突時)、シートに衝撃が加わっても、リクライニングロック部に拡がり等が生じることがなく、良好なリクライニングロック強度を維持できる。
【0032】本発明に係る車両用シートのリクライニングデバイスは、ラウンド型のリクライニングデバイスを使用しているため、衝撃(後突衝撃)時にロック部分が拡がることがなく、ロック強度を強固に保て、リクライニングロック機構の信頼性を高めることができるものである。
【0033】更に、ラウンド型のリクライニングデバイス本体に固着されるロア側ブラケット並びにアッパー側ブラケットを介して、操作用レバー、レバー復帰用スプリング、リターンスプリングをユニット化するという構成であるため、ユニット化したリクライニングデバイスをシート側に取付けるだけで済むため、取付作業性が著しく向上するというものである。
【0034】また、リクライニングデバイス本体に固着するロア側ブラケットとアッパー側ブラケットにより強度を保持する関係で、スライドフレーム並びにシートバックフレームに取付強度を維持する取付補強部を設定する必要がなく、フレーム構成を簡素化、低コスト化できると共に、フレームの取付位置の変更に対しても廉価なブラケットを変更するだけで変更できるため、フレーム使用に対しても廉価に対応できるというものである。
【出願人】 【識別番号】000210089
【氏名又は名称】池田物産株式会社
【出願日】 平成11年3月24日(1999.3.24)
【代理人】 【識別番号】100074170
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 修
【公開番号】 特開2000−270947(P2000−270947A)
【公開日】 平成12年10月3日(2000.10.3)
【出願番号】 特願平11−80380