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【発明の名称】 座席用マット
【発明者】 【氏名】河合 貴美子

【要約】 【課題】長時間椅座時においても臀部や脚部にしびれの発生がなく、また座面のむれ感がなく、しかも座り心地が良い座席用マットを提供する。

【解決手段】クッション材と表皮材からなる座席用マットにおいて、前記クッション材は、線条ランダムル−プからなる三次元立体構造網状体であり、平盤への接触面積比が18%〜75%であることを特徴とする座席用マット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クッション材と表皮材からなる座席用マットにおいて、前記クッション材は、線条ランダムル−プからなる三次元立体構造網状体であり、平盤への接触面積比が18%〜75%であることを特徴とする座席用マット。
【請求項2】 クッション材は、平盤接触時の接触面が不連続に独立しており、該独立した接触面の面積は5cm2以下であり、且つその個数が100cm2当たり20個以上であることを特徴とする請求項1記載の座席用マット。
【請求項3】 クッション材の厚み方向に75%圧縮した後の回復率が90%以上であることを特徴とする請求項1記載の座席用マット。
【請求項4】 前記クッション材が熱可塑性弾性樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の座席用マット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、臀部や脚部にしびれの発生がなく、また座面のむれ感がなく、しかも座り心地が良い座席用マットに関する。
【0002】
【従来の技術】座席の上に設置して使用する座席用マットに用いられているクッション材としては、木綿綿、ポリエステル綿、ウレタンフォーム等があり、またそれらは積層体として用いられていることもあり、多様なものが使用されている。
【0003】しかしながら、木綿綿、ポリエステル綿は、使用によってすぐに厚みが減少し硬くなってしまう、いわゆるへたるという問題がある。ひとたびへたってしまうとこれらの綿は圧縮時の弾力回復性に劣り、初期の適切な厚みと硬さのある状態に比べ、硬くしまった状態となってしまう。こうした状態にある綿を、座席用マットのクッション材として使用していると、臀部や脚部には硬くしまった綿が接するため、鬱血が起こりしびれを感じ不快な使用感となってしまう。
【0004】また、へたりの点から現在最も優れた素材はウレタンフォームであるといわれているが、通気性がないため暑熱時にはむれ感が感じられ、使用感の不快さは否めない。またウレタンフォームの種類と着座する人の体重によっては、すなわち体重の重い人がやわらかいウレタンフォームに着座した場合には、臀部や脚部でウレタンフォームがぴったりと密着して使用されるため、鬱血が起こりしびれを感じ、不快な使用感となってしまう。
【0005】一方、へたりとむれ感の軽減をめざした素材として、プラスチックチップがあげられるが、これらは樹脂成型品をチップ状にして用いるため、座席用マットとした場合に、肌に当たる面がぼこぼこした感触となり、脚部にしびれが生じる。しかもチップそのものには透湿性や通気性がないため、暑熱時にはむれ感が感じられ、快適とは言い難くなるものである。
【0006】また、鬱血を防ぎしびれにくい座席用マットとしては、車椅子用のゼリー状クッションが提案され市販されているが、ゼリーとしてゲル状を包んだ構造になっているため完全に不透湿、通気性のないものであり、暑熱発汗時の使用においては不快となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前期問題点を解決し、長時間椅座時においても、臀部や脚部にしびれの発生がなく、また座面のむれ感がなく、しかも座り心地が良い座席用マットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、次の構成を有する座席用マットを発明した。すなわち、本発明はクッション材と表皮材からなる座席用マットにおいて、前記クッション材は、線条ランダムル−プからなる三次元立体構造網状体であり、平盤への接触面積比が18%〜75%であることを特徴とする座席用マットである。さらに、前記クッション材は、平盤接触時の接触面が不連続に独立しており、該独立した接触面の面積は5cm2以下であり、且つその個数が100cm2当たり20個以上であることを特徴とする前記記載の座席用マットである。そしてさらに前記クッション材は、厚み方向に75%圧縮した後の回復率が90%以上、および、熱可塑性弾性樹脂からなることを特徴とする前記記載の座席用マットである。 以下、本発明を詳述する。
【0009】本発明で用いた、平盤接触部の測定方法について以下に説明する。まず測定対象となるクッション材をたてよこ各10cm四方の大きさで切り出す。そして肌側に使用する面に、カラースプレー(例えば株式会社アサヒペン製水性スプレー・ニューフロント)を噴霧した後、直ちに白い紙(例えばOA紙)を乗せる。次にたてよこ15cm、重さ9000gの金属製平盤をクッション材中央部に乗せる。これによりクッション材には40g/cm2荷重が与えられることになる。5分経過後、平盤をクッション材上より取り除き、OA紙をクッション材よりはがしてよく乾かす。こうして紙に接触部分を写し取った後、用紙上の接触部模様を画像処理することにより、クッション材が平盤に接触してスプレーの色が付いた部分、接触していなかったことにより白いままの部分の総和を求めその面積を求める。さらに、接触していた部分の面積を全体の面積で割った値を%単位で求めたものが、クッション材への平盤接触部の面積比である。画像処理装置としては、例えば東洋紡製ラボ用画像処理装置(Image AnalyzerV10 LAB)等が適しているが、特に限定するものではなく、取り込んだ画像を2値化処理した後、それぞれの画像面積を計測する機能を備えたものであれば何でもよい。さらにこの元画像より、独立した接触面の個数とその面積とを計測する。
【0010】本発明の座席用マットは、前記測定方法により測定できる接触部の表面積の合計比が18〜75%であることが望ましい。さらに好ましくは25〜60%である。座席用マットのクッション材が、上記測定方法による平盤接触部の面積比が18〜75%である線条ランダムル−プからなる三次元立体構造網状体であることにより、座席用マットとした場合に、長時間の着座においても、体表面の毛細血管が押しつぶされてしまうことがなく、血流を阻害せず、よってしびれや鬱血を生じることがない、という利点を生じる。接触部表面積の合計比が18%より低い場合は、クッション材としての耐久性が悪くなる方向であり、座席用マットとして欠点となるへたりを生じる可能性が大きくなる。一方75%より高い場合は、クッション材が線条ランダムル−プからなる三次元立体構造網状体を呈していても、体表面の毛細血管を押しつぶす可能性が大きくなり、体表面の血流を阻害し、しびれや鬱血を生じることになり好ましくない。
【0011】また、前記クッション材は、平盤接触時の接触面が不連続に独立しており、該独立した接触面の面積は5cm2以下であり、且つその個数が100cm2当たり20個以上であることが望ましい。さらに好ましくは該独立した接触面の面積は2cm2以下であり、且つその個数が100cm2当たり40個以上である。接触面の面積が5cm2より大きい場合は、おのずと100cm2当たりの接触面の個数が19個以下と少なくなり、その場合は、広い面積で体に接触することになるため、臀部や脚部の鬱血につながりしびれを生じることになる。
【0012】さらに、前記クッション材は、厚み方向に75%圧縮した後の回復率が90%以上あることより、良好な圧縮回復特性を持っており、座席用のクッション材として適度なクッション性と耐久性を備えている。75%圧縮した後の回復率が90%以下の場合は、座席用マットとして使用した場合に、使用開始直後よりへたりが顕著に認められ、耐久性の点で劣ることとなる。
【0013】さらに、本発明の座席用マットは、そのクッション材が線条ランダムル−プからなる三次元立体構造網状体であることを特徴とするので、極めて通気性に優れており、長時間の着座使用によってもむれ感を生ずることがない。
【0014】さらに、前記クッション材は熱可塑性弾性樹脂からなっているので、廃棄の際焼却処分にした場合にも、有毒な燃焼ガスが発生することがない。従来主要なクッション材であるウレタンフォームでは、燃焼時に有毒ガスが発生することより、環境への負荷が問題となり焼却処分できないが、本座席用マットのクッション材は、上記理由により環境負荷が少ないので、焼却が可能である。
【0015】また、本発明のクッション材である線条ランダムル−プからなる三次元立体構造網状体は、JIS K1091に準拠した50%硬さの1.5〜2.2倍の圧縮特性であることが望ましい。組成は上述のとおり熱可塑性弾性樹脂が好ましく、本発明においては、かかる樹脂の多数の連続線条が交互に接触した点を有した三次元立体構造網状体で構成されている。この構造は曲率を有した連続の繊維が互いに不規則に交絡し、接触した点を有した厚さが5mm以上の立体的な構造体でその繊維の繊維径が0.1mm〜5mm、更に好ましくは0.05〜3mmで、その構造体の嵩密度が20kg/m3〜200 kg/m3、更に好ましくは30〜80 kg/m3であることが好ましい。なお、ここにいう繊維径とは繊維断面を円形として考えたときの直径である。
【0016】
【実施例】以下実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
(実施例1)座席用マットのクッション材として、商品名東洋紡績製ブレスエア−(登録商標):タイプA5050(見掛け密度0.050g/cm3、厚み50mm)を用い、それを綿ブロード(綿100%、40番手、打ち込み本数たて130本よこ70本)を側地として包み込み、大きさ42cm角の座席用マットを作成した。
【0017】(実施例2)座席用マットのクッション材として、東洋紡製ブレスエア−:タイプA3050(見掛け密度0.030g/cm3、厚み50mm)を用い、それを天竺ニット(ポリエステル100%、40番手)を側地として包み込み、大きさ42cm×42cmの座席用マットを作成した。
【0018】(実施例3)座席用マットのクッション材として、東洋紡製ブレスエア−:タイプA4535(見掛け密度0.045g/cm3、厚み35mm)を用い、クッション材を包む側地は、その片面が、東洋紡製ポリエステルふとん綿エスマーブル(登録商標)(10デニール、繊維長64mm、糸−糸間静摩擦係数0.25)と東洋紡製エスプリーマ(登録商標)(6デニール、繊維長76mm、糸−糸間静摩擦係数0.10)とを各々質量比にして50%ずつ混合し、厚みを20mmとしたものを積層し、両面に天竺ニット(ポリエステル100%、40番手)を側地として包み込み7cm角で綿部のキルティングを行ない、もう一方面の布帛とし、クッション材を入れる口を一箇所作成し、ジッパーで閉塞できるように縫製した(側地1)。この側地1にクッション材を挿入して厚み50mm、大きさ42cm×42cmの座席用マットを作成した。
【0019】(比較例1)定法により製造された繊度6デニール、中空断面の立体捲縮を有するポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルステープル(A)と芯鞘型で芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘部が酸成分がテレフタレートとイソフタレート、グリコール成分がエチレングリコールを共重合した融点が110℃の低融点ポリエステルからなる4デニールの熱接着繊維(B)とをA/B:65/35重量比に混合開繊してウェッブとしたものを積層して密度が0.045g/cm3、厚み35mmになるように圧縮後、160℃の熱風で10分間接着処理後冷却して作成した平板の硬綿を切断して、実施例3に使用した側地1に挿入して厚み50mm、大きさ42cm×42cmの座席用マットを作成した。
【0020】(比較例2)市販の連通孔を有する密度0.045g/cm3、厚み35mmの発泡ウレタンを切断して、実施例3に使用した側地1に挿入して厚み50mm、大きさ42cm×42cmの座席用マットを作成した。
【0021】(比較例3)定法により米綿を開繊してカードウェブを目付けが1550g/m2となるように積層したウエッブ約270gを一個分とした玉綿を実施例3で用いた側地1に挿入して大きさ42cm×42cmの座席用マットを作成した。
【0022】作成したこれらの座席用マットについて、次の(1)および(2)の方法でクッション材の計測を、(3)の方法で人による感覚の評価を行なった。なお(3)の評価に用いた椅子は全て共通なもので、座面までの高さは35cm、座面の大きさは44×44cmあり、実施例および比較例の座席用マットがちょうど座面に設置できる大きさのものである。
【0023】(1)平盤接触部の測定方法クッション材をたてよこ各10cm四方の大きさで切り出し、肌側に使用する面側からカラースプレー(株式会社アサヒペン製水性スプレー・ニューフロント)を噴霧した後、直ちにOA紙を乗せる。次にたてよこ15cm、重さ9000gの金属製平盤をクッション材中央部に乗せ5分経過後、平盤をクッション材上より取り除き、さらにOA紙をクッション材よりはがしてよく乾かす。こうして紙に写し取った接触部を、東洋紡製ラボ用画像処理装置(Image AnalyzerV10 LAB)を用いて、用紙上の接触部模様を2値化する画像処理を行ない、クッション材が平盤に接触していた部分、接触していなかった白いままの部分の総面積を求め、さらに、接触していた部分の面積を全体の面積で割った値を%単位で求めて、クッション材への平盤接触部の面積比を求めた。さらにこの元画像より、独立した接触面の個数とその面積とを計測した。
【0024】(2)75%圧縮時の圧縮回復率JIS K6401「クッション用軟質ウレタンフォーム」の、硬さ試験の項目に則り初めの厚さを測定した後、以下のようにして求めた。すなわち、直径200mmの円形加圧板を試験片の上面に載せて、荷重を4.9Nにしたときの厚さを測定し、これを初めの厚さとした。次に円形加圧板を10mm/s以下の速さで、初めの厚さの75%まで押し込んだ後、直ちに荷重を除き、除重1分後の厚さを測定する。圧縮除重後の厚さを、初めの厚さで割った比を%で示し、圧縮回復率とした。
【0025】(3)しびれ具合、むれ感、座り心地身長172cm体重64kgの男性を標準パネラーとし、25℃50%RH環境下で、作成した実施例1〜3および、比較例1〜3の座席用マットを前述した椅子上に置き、それぞれ30分づつ椅座静止した時の、臀部や脚部のしびれ具合、座面のむれ感、および全体的な座り心地について、それぞれ以下の基準で評価させた。
しびれ具合:◎;しびれない、○;ややしびれない、△;ややしびれる、×;
しびれる むれ感 :◎;むれない、○;ややむれない、△;ややむれる、×;むれる 座り心地 :◎;非常によい、○;ややよい、△;ややよくない、×;よくな い得られた結果を表1に示す。
【0026】
【表1】

表1の結果から、実施例に示した本発明の座席用マットは、長時間椅座時においても臀部や脚部にしびれの発生がなく、また座面のむれ感がなく、座り心地が良いものであった。一方、比較例のように、接触部の面積比が大きすぎたり、独立した接触面の個数が少なすぎたりするものでは、充分な効果を得ることができなかった。
【0027】
【発明の効果】本発明によると、長時間椅座時においても臀部や脚部にしびれの発生がなく、また座面のむれ感がなく、長時間にわたって座り心地を良くする座席用マットを提供することを可能とした。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成11年3月19日(1999.3.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−262356(P2000−262356A)
【公開日】 平成12年9月26日(2000.9.26)
【出願番号】 特願平11−76127