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【発明の名称】 椅 子
【発明者】 【氏名】小林 孝二

【要約】 【課題】背もたれ部は静止していて、座部を回動させるだけで、座部と背もたれ部との対向する部分を当接させて、雨水や埃を入りにくくすることができるようにした椅子を提供する。

【解決手段】ほぼ垂直をなして起立する背もたれ部2と、ほぼ水平の使用状態とほぼ垂直の収納状態との間を回動可能とした座部3とを有し、座部3が常時収納状態の方向に付勢されている椅子において、座部3を収納状態としたとき、座部3と背もたれ部2との対向部を、少なくとも上縁部と、両側縁部とで当接させるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ほぼ垂直に起立する背もたれ部と、ほぼ水平の使用状態とほぼ垂直の収納状態との間を回動可能とした座部とを有し、座部が常時収納状態の方向に付勢されている椅子において、座部を収納状態としたとき、座部と背もたれ部との対向部を、少なくとも上縁部と、両側縁部とで当接させるようにしたことを特徴とする椅子。
【請求項2】 座部と背もたれ部との当接する縁部の一方に、連続する凹条を、同じく他方に凸条を設け、座部を収納状態としたとき、上記凹条と凸条が噛み合うようにしたことを特徴とする請求項1記載の椅子。
【請求項3】 座部の上縁部に、背もたれ部と当接したとき、背もたれ部の上縁部よりも上方に突出する突出部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の椅子。
【請求項4】 上方に背もたれ部を取付けた支柱の座支持部に、座部を回動可能に取付ける枢支点の位置を、座部を使用状態のほぼ水平にしたときの座部上面より上方に位置させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の椅子。
【請求項5】 座部を座支持部に回動可能に取付ける取付腕の座部後方側を上方に起立させ、その起立部の先端近傍に回動の枢支点を設けたことを特徴とする請求項4に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、劇場・ホール・スタジアム等の多人数の観客を収容する場所に設置して、座部をほぼ水平状態で使用し、ほぼ垂直状態で収納する椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の椅子において、座体を直立した収納状態にすると、背凭れも引き下げられながら後退して直立し、座体と背凭れの上縁が接合して、雨水や埃を入りにくくする椅子は、特開平7−177942号公報に記載されている。
【0003】しかし、このものでは、座体を回動させるだけでなく、これと連動して背凭れをも移動させ、座体と背凭れの上縁を接合させるものであるため、背もたれを移動させるリンク機構や、このリンク機構を支持する背面カバー等が必要であり、椅子が複雑な構造の高価なものになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した椅子に見られる問題点を解消して、背もたれ部は静止していて、座部を回動するだけで、座部と背もたれ部との対向する部分が当接して、雨水や埃を入りにくくする椅子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1) ほぼ垂直に起立する背もたれ部と、ほぼ水平の使用状態とほぼ垂直の収納状態との間を回動可能とした座部とを有し、座部が常時収納状態の方向に付勢されている椅子において、座部を収納状態としたとき、座部と背もたれ部との対向部を、少なくとも上縁部と、両側縁部とで当接させるようにする。
【0006】(2) 上記(1)項において、座部と背もたれ部との当接する縁部の一方に、連続する凹条を、同じく他方に凸条を設け、座部を収納状態としたとき、上記凹条と凸条が噛み合うようにする。
【0007】(3) 上記(1)または(2)項において、座部の上縁部に、背もたれ部と当接したとき、背もたれ部の上縁部よりも上方に突出する突出部を設ける。
【0008】(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、上方に背もたれ部を取付けた支柱の座支持部に、座部を回動可能に取付ける枢支点の位置を、座部を使用状態のほぼ水平にしたときの座部上面より上方に位置させる。
【0009】(5) 上記(4)項において、座部を座支持部に回動可能に取付ける取付腕の座部後方側を上方に起立させ、その起立部の先端近傍に回動の枢支点を設ける。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の椅子の実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【0011】各図は、本発明の椅子の好適な一実施例を示すもので、(1)は椅子の支柱、(2)は背もたれ部、(3)は座部、(4)は座取付具である。
【0012】支柱(1)は、図1に示す肘形取付脚(5)によってステージの段壁へ取付けるか、直立形取付脚(図示してない)によって床面へ取付けられるものであって、上部に背もたれ部(2)を取付ける取付部(6)を設け、中間部に座部(3)を支持する座支持部(7)を設けてある。
【0013】背もたれ部(2)の後面の中央部に、取付部(6)が収まる凹部(8)を図1〜図3に示すように形成して、この凹部(8)に取付部(6)を収め、この取付部(6)と背もたれ部(2)とをボルト(9)により結合して、背もたれ部(2)の後面から取付部(6)が突出しないようにするもので、背もたれ部(2)は、合成樹脂のブロー成形によって形成される。
【0014】座部(3)は、座取付具(4)によって支柱(1)へ回動可能に取付けられているが、そのために座部(3)の裏面の中央部に座取付具(4)を収める凹部(10)を、座取付具(4)の厚さと同じ深さか、これよりも深めに形成する。そして、この座部(3)も合成樹脂のブロー成形によって、凹部(10)と一体的に形成される。
【0015】座取付具(4)は、座部(3)の凹部(10)に収まる形状をなし、その後側に支柱(1)に設けた座支持部(7)を挟持する1対の取付腕(11)を突設してある。この取付腕(11)は、水平状態で後方に突出させた場合は、座部(3)からの背もたれ部(2)の立ち高さに対して、背もたれ部(2)からの座部(3)の張出し長さが短いため、座部(3)を収納状態としたとき、その上縁部が背もたれ部(2)の上縁部と揃わないため、当接が行なわれなくなる。
【0016】このため本発明においては、座部を、上方に背もたれ部を取付けた支柱の座支持部に回動可能に取付ける枢支点の位置を、座部を使用状態のほぼ水平にしたときの座部上面より上方に位置させる。たとえば、取付腕(11)は、座部(3)の後側より図2に示す通り、支柱(1)に沿って上方へ起立させる形状とし、その起立部の先端近傍に回動の枢支点を設け、座取付具(4)に取付けた座部(3)を、図3に示す収納状態にするときは、取付腕(11)が座部(3)に回動に伴う上昇運動を行なわせて、座部(3)が背もたれ部(2)に当接するとき、その上縁部を背もたれ部(2)の上縁部に揃えて、当接の効果が十分に得られるようにする。
【0017】座部(3)を起立させた収納状態において、座部(3)と背もたれ部(2)とが当接する部分、すなわち、上側縁と両側縁には、図3および図4に示すように、一方に連続する凹条(12)を設け、他方に連続する凸条(13)を設けて、当接の際に、凹条(12)と凸条(13)とが噛み合うようにしてある。
【0018】凹条(12)と凸条(13)の形状は、図3に示す谷形と山形に限定されるものではなく、任意の形状を選択することができる。
【0019】座部(3)と背もたれ部(2)との上縁部は、当接したときに段差がないと、座部(3)を倒して使用状態にすることが困難である。そのため、座部(3)の上縁部には、背もたれ部(2)の上縁部より上側へ突出する突出部(14)を設けて、この突出部(14)に手を掛けて座部(3)を倒すことができるようにしてある。
【0020】上記取付腕(11)は、これにより支柱(1)に設けた座支持部(7)を挟持させて、該取付腕(11)と座支持部(7)に水平方向に軸孔(15)と(16)をあけ、これら軸孔(15)と(16)を一致させて、軸(17)を挿通し、取付腕(11)を座支持部(7)へ回動自在に取付ける。
【0021】座取付具(4)を座支持具(7)へ回動自在に取付けた軸(17)には、その両端部に取付腕(11)の空間に位置するコイルバネ(18)を装着して、その一端を座支持部(7)に止着し、他端を取付腕(11)に止着して、このコイルバネ(18)により座取付具(4)を収納状態の方向へ向かって付勢させる。
【0022】座支持部(7)へ回動可能に取付けられた座取付具(4)には、座部(3)を乗せて、その凹部(10)に座取付具(4)を収まらせ、座取付具(4)と座部(3)とをボルト(9)によって結合する。こうすると、座部(3)を収納状態としたとき、その裏面から座取付具(4)が通路側へ突出しなくなる。
【0023】なお、椅子の支柱(1)は、全部を取付脚(5)に取付けるものではなく、取付脚(5)を図1に示すように間隔を置いて並べて、これら取付脚(5)に連結杆(19)を渡して、この連結杆(19)へ取付金具(20)によって支柱(1)を取付けるようにしてある。
【0024】
【発明の効果】本発明によると、次のような効果を奏することができる。
(a) 請求項1記載の発明によれば、座部を、ほぼ水平の使用状態から、垂直の収納状態にすると、座部と背もたれ部との対向する部分、すなわち、上縁部と両側縁部とが当接して、両者の間から雨水や埃などが入り込みにくくなるため、座面や背もたれ面の汚れが防止される。
【0025】(b) 請求項2記載の発明によれば、座部を収納状態にすると、座部と背もたれ部の上縁部と両側縁部とに設けた凹条と凸条が噛み合って、当接の場合よりも更に雨水や埃などが入り込みにくくなるため、座面や背もたれ面の汚れの防止に一層効果がある。
【0026】(c) 請求項3記載の発明によれば、収納状態とした座部が背もたれ部に当接していても、突出部に手が掛けられるため、座部を倒して使用状態にする操作が容易にできる。
【0027】(d) 請求項4または5に記載の発明によれば、座部を収納状態の方向に回動させると、取付腕がこれに伴い座部を上昇させて、背もたれ部に当接したとき、座部の上縁部を背もたれ部の上縁部に揃えて、座部と背もたれ部との上縁部及び両側縁部による当接を確実に行なわせることが容易である。
【出願人】 【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
【出願日】 平成11年3月18日(1999.3.18)
【代理人】 【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一 (外2名)
【公開番号】 特開2000−262346(P2000−262346A)
【公開日】 平成12年9月26日(2000.9.26)
【出願番号】 特願平11−73296