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【発明の名称】 肘掛け
【発明者】 【氏名】山本 昇

【要約】 【課題】作業者の作業しやすい位置に自由に設置できる肘掛けであって、その取り外しが容易なものについて開示する。

【解決手段】上部中央に引き上げ部が設けられた吸盤と、この吸盤の周縁部を押さえるように上部から被せされたキャップと、このキャップの周壁に架橋して軸支されており、かつ、一方側がキャップの外側に延長している回転軸と、この回転軸の前記引き上げ部に対応する部分に設けられた突起と、前記キャップに対して回転自在に設けられた肘置きとからなる肘掛けを作成した。前記回転軸の回転に応じて、前記突起によって、前記引き上げ部が上方に引き上げられように、すなわち、突起が上方を向くように回転軸を回転すると、引き上げ部に嵌まるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】上部中央に引き上げ部が設けられた吸盤と、この吸盤の周縁部を押さえるように上部から被せられたキャップと、このキャップの周壁に架橋して軸支され、かつ、一方側がキャップの外側に延長している回転軸と、この回転軸の前記引き上げ部に対応する部分に設けられた突起と、前記キャップに対して回転自在に設けられた肘置きとからなり、前記回転軸の回転に応じて、前記突起が引き上げ部を上方に引き上げることを特徴とする肘掛け。
【請求項2】回転軸のキャップの外側に延長している部分は、屈曲している請求項1記載の肘掛け。
【請求項3】肘置きの軸は、前記回転軸と共通である請求項1記載の肘掛け。
【請求項4】吸盤の縁周部が、キャップの縁周からはみ出している請求項1記載の肘掛け。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、台上での精密な作業を行う作業者が使用する肘掛けについて開示する。具体的には、台から延長するように設置して使用する肘掛けであって、作業対象を目に近づけての精密な作業を行う際に肘を支えることを主目的とし、かつ、その取り外しが容易なものについて開示する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、歯科技工士による人工歯の作成等のミクロン単位の細かな作業は、台上にある対象物に目を近づけて行うため、手先と目が近寄りすぎて姿勢が悪くなりがちである。そこで従来から、肘を支えるための肘掛けが採用されており、これによって姿勢を正している。しかしながら、肘を立てるとしても、人によって好ましい位置が異なり、また、台の高さも様々であるので、脇息や椅子に設けられた肘掛けの使用は不向きであり、却って邪魔になることも多い。さらに、上述の肘掛けは、大抵の場合は大きくて移動や保存に不便であるという問題もある。結局、肘掛けは作業全般に渡って使用するものではないため、簡易に開閉のできる机の引き出しを肘掛けの代わりとしているのが現状である。
【0003】本発明では、上述した課題を解決することを目的としたものであって、作業者の作業しやすい位置に自由に設置できる肘掛けであって、その取り外しが容易なものについて開示する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を達成するために、上部中央に引き上げ部が設けられた吸盤と、この吸盤の周縁部を押さえるように上部から被せされたキャップと、このキャップの周壁に架橋して軸支されており、かつ、一方側がキャップの外側に延長している回転軸と、この回転軸の前記引き上げ部に対応する部分に設けられた突起と、前記キャップに対して回転自在に設けられた肘置きとからなる肘掛けを作成した。そして、前記回転軸の回転に応じて、前記突起によって、前記引き上げ部が上方に引き上げられように、すなわち、突起が上方を向くように回転軸を回転すると、引き上げ部に嵌まるようにした。このような手段を採用すると、吸盤が台上に吸着して当該肘掛けを固定し、吸盤の周縁部は、キャップによって下方に押さえられ、吸盤の中央部に設けられた引き上げ部は、回転軸に設けられた突起によって引き上げられ、結果として、吸盤の吸着力が増すことになる。さらに、本発明は、吸盤によって肘掛けを台等に固定するものであるから、使用者が、適宜、台の高さや位置を決定して肘掛けを設置できる。加えて、台を傷めず容易にその取り外しができる。尚、回転軸の一方がキャップの外側に延長されているのは、当該延長部分を回転することにより、前記引き上げ部の引き上げを行うためである。さらに、キャップの外側からでも突起の位置が確認できるよう、キャップの外側に延長した回転軸を屈曲するという手段も採用した。
【0005】また、さらなる装置の簡易化を図るべく、肘置きの軸は、前記回転軸と共通とする手段を採用した。
【0006】さらに、吸盤の平面への吸着を安定に保つために、キャップを設置したときに、吸盤の縁がキャップよりはみ出しているようにするという手段を採用した。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を添付した図面に従って説明する。図1は、本発明で開示する肘掛けの好ましい一例の分解斜視図である。1は、中央に引き上げ部2が設けられた吸盤を、3は、この吸盤の周縁部を押えるために上部から被せるためのキャップを、4は、前記キャップの周壁に設けられた回転軸孔5を貫くように軸架しており、かつ、前記吸盤の引き上げ部に対応する位置に設けられた突起6が設けられた回転軸を、7は、前記回転軸の回転軸孔8を備え、さらに、当該回転軸によって回転可能な肘置きをそれぞれ示している。そして、吸盤1の中央に設けられた引き上げ部2と、キャップ3及び肘置き7にそれぞれ設けられた回転軸孔5、8を回転軸4が挿通して、これらの部品は一体化して肘掛けとなる。本実施形態の特徴的な構成は、回転軸4の引き上げ部に対応する位置に突起6が設けられていることであって、この突起が前記吸盤に設けられた引き上げ部を垂直に引き上げ、結果として、吸盤の中央が引き上げられることである。従って、吸盤1が台上に吸着して当該肘掛けを固定し、吸盤1は、キャップ3によってその縁周部が、前記突起によって、その中央が垂直に引き上げられ、吸盤の吸着力を強化することとなる。このような力関係を利用する結果、作業台を傷めずに設置でき、かつ、安定性の高い肘掛けとなる。さらに、一の回転軸4を、引き上げ部2の引き上げ及び肘置き7の回転軸の両方に使用することにより、さらに、簡易な装置となった。加えて、肘置き7は台から延長することとなるので、台の高さに適応した肘掛けとなるとともに、台上の作業者の好みの位置に設置することができるので、精密な作業において特に有効なものとなった。
【0008】図2は、図1における肘掛けを台9上に固定した際の、キャップ3と吸盤1、回転軸4、肘置き7との位置関係を示した概略図である。このように、キャップ3の周壁及び肘置き7には回転軸4を挿通するための回転軸孔5、8がそれぞれ設けられている。そして、回転軸4は、吸盤に設けられた引き上げ部2をも挿通することにより、これら4つの部品が一体化して肘掛けとなるのである。組立て方としては、まず、キャップと肘置きに設けられた回転軸孔が同じ位置にくるように合せておき、他方で吸盤上の引き上げ部2に回転軸4を突起6が下方来るように挿通しておく。そして、回転軸4の両端を先に合せた回転軸孔に挿入して一体化する。回転軸4が容易に両側の回転軸孔に挿入できるように、回転軸4は、引き上げ部2に比して細くなっており、引き上げ部に対応する部分のみが突出した構成になっている。従って、引き上げ部2及び回転軸孔に回転軸4を挿通しただけの状態では力は作用せず、突起6を引き上げ部2に嵌めることにより、始めて、各部品は互いに力の掛った状態となる。尚、突起6を設けた回転軸4と肘置きの回転軸は、必要な場合には別々に設けても良い。これは、キャップや吸盤が真円ではなく、例えば、長楕円形のときに有効である。
【0009】図3は、キャップ等の断面図であって、図2とは直角な面を示している。図に示したように引き上げ部2には、突起6が嵌め込まれた状態となっており、これは、上述の要領で、吸盤、キャップ、肘置き、回転軸を一体化した状態で、回転軸4を半回転して突起6を引き上げ部2の上部に嵌める構成になっている。このようにすると、引き上げ部2は、引き上げられ、結果として、吸盤の中央が引き上げられる。一方、回転軸4も回転軸孔と引き上げ部2によって固定されることとなる。このように、吸盤の中央が引き上げられる構成にしたのは、吸盤に対して抵抗が均一に働くようにするためである。尚、本図では、分かりやすいように、肘置きは省略している。また、上記図2で示したように、回転軸4の一端が屈曲しているが、これは、回転軸をそれぞれの回転軸孔へ挿入しやすくし、上記回転軸のどの方向に突起6が設けられているかを、キャップの外からでも確認できるようにし、さらに、回転軸を回動するための持ち手として利用するためである。回転軸4の屈曲の方向は、突起6を真上にしたときに真下となるようにすると、使用時に邪魔にならないので都合が良い。
【0010】図4は、図1において、吸盤1にキャップ3を配設した際の、両者の縁側付近の断面図を示したものであって、両者はこのように縁周部でのみ接しており、キャップの内部は空洞となっている。すなわち、キャップ3が、吸盤1の縁周部を下方に押すことによって、吸盤の中央部が回転軸によって引き上げられる際に、吸盤の縁周部が引き上げられないように、また、吸盤の台への吸着が十分に保たれるよう、このような構成となっているのである。このような構成としたことにより、吸盤と台によって構成される空間の内部圧力が減じた状態に保たれ、吸盤の吸着力が増すのである。さらに詳述すると、本実施例はこの部分において、以下の三つの特徴的な構成を有している。一つは、吸盤1にキャップ3を被せたときに、吸盤1がキャップ3からはみ出す大きさとなっていることである。これは、吸盤の中央が引き上げられる際に、吸盤の縁周部がめくれて圧が漏れないよう、幅を持たせたものである。次に、キャップ3であって、吸盤1との接触部位10は比較的鋭くなるように構成されている。これは、接触部位10が鋭い方が、キャップに掛る圧力が大きくなり、また、あまりにキャップによって押さえられる部分が大きいと、吸盤の引き上げられる面積が少なくなるからである。もちろん、接触部位10が吸盤に傷を付けるような鋭いものは、本発明に適合しないのは言うまでもない。さらに、吸盤の中央部が引き上げられやすくなるよう、吸盤1の縁周部分の厚さを薄くし、加えて、吸盤1とキャップ3の垂直面及び水平面3aの間に、それぞれ遊び11を設けている。また、この水平面3aは、吸盤がキャップによって縁周部が押さえられたときに、その周辺の吸盤が盛り上がることがあるが、この場合には、吸盤が前記水平面3aによって、下方に押さえられ吸盤の吸着を安定に保つことができる。尚、吸盤の素材等については、特に限定するものではなく、従来から採用されている公知のものを広く採用することができるが、ウレタンゴムやシリコンゴムが平面になじみやすいので最適である。
【0011】図5は、キャップ3と肘置き7との関係を示した概略図であって、便宜上回転軸は省略されている。肘置き7の一部分7aには、回転軸孔8が設けられており、これをキャップ3に設けられた回転軸孔5と一致するように設置し、これらの回転軸孔5、8に一の回転軸を挿入することにより一体化される構成は、上述の通りである。このような構成のもとでは、肘置き7は、前記回転軸を軸としての回転が可能であり、使用時には、台9上に吸盤1を吸着させ、肘置き7を回転させて台上から延長するように当該肘掛けを設置する。回転軸を回転軸孔8に挿通することにより、さらに、作業中で肘掛けを使用しないとき、あるいは、肘置きが作業者の横に無い方が好ましい場合には、肘置きを反対方向に、つまり、肘置きが台上にくるように回転させると、当該肘掛けによって作業が阻害されることがなくなり効率が良い。
【0012】また、肘置き7は、キャップや回転軸と接続するための装着部7aと、実際に腕が置かれる肘置部7cと、その両者の間に設けられた、肘の微調節を可能にするための調節部7bとから構成されている。本実施形態の特徴的な構成は、この調節部7b部が設けられていることであって、図示したように、その一部が屈曲している。このような構造にすると、前記屈曲部12が台上に作用して、肘置部7cに掛る力と吸盤を引き上げる力の均衡を保って当該肘掛けを安定に保持する。すなわち、肘置部7cに掛る力が屈曲部12を支点として、装着部7aに設けられた回転軸孔8を介して回転軸に垂直に力を作用させることができるようになる。さらに、台9上に滑り止め13が設けられている場合等完全な平面でない台上でも使用できる。しかしながら、必ずしもこのような構造にする必要はなく、台の高さや形状、使用者が決定している場合等には調節部7bを全く平面にしても良いし、逆に、高さの微調節を可能にしたい場合には、複数の段差を設け、調節部7bを長めに設けるとよい。
【0013】肘置き7素材は、腕を支えられるものであれば特に定めるものではないが、その強度やコスト面から最も好ましいのは金属であろう。ただし、肘置部7cは、作業者の肘が置かれるので、肘置き7の本体の上に、腕の形状に適合するように裁断したウレタン7dを採用して作業時に滑ったりしないようにし、また、装着感を良くした。さらに、コスト面を考慮して、腕部本体側のウレタンの一部分をカットしても良い。このカットした部分は図5のように空洞としても良いし、耐久性等を考慮して、隙間を特定のもので埋めてもよい。また、ウレタンのほか、上記目的を達成できる素材であれば、他の素材を肘置部に採用しても良い。例えば、軟質ポリプロピレン、シリコンゴム、合成ゴム等が適応する。
【0014】図6は、吸盤の中央部を引き上げる器具としてねじ14を採用した肘掛けを示したものであって、上記の実施例と機能上の相違点がない部分については、符号は同じ番号を用いている。本実施形態の特徴は、上記実施例とは異なり、肘置き7を回転可能にするための回転軸とは別に、吸盤の中央を引き上げるねじ部14を設けたことである。すなわち、吸盤の中央部から、垂直にキャップの中心を貫くようにねじを設け、ねじを回すことにより、吸盤の中央部を引き上げることとしたものである。このように肘置き部の回転軸とは別に、吸盤の引き上げ装置を設けることになる。
【0015】
【発明の効果】本発明で開示する肘掛けは、吸盤を作業台等に吸着させて使用する構成としたことにより、台の高さに合せて使用できるとともに、作業者が最も作業しやすい位置に設置することが可能となった。さらに、当該肘掛けは、吸盤、キャップ、回転軸、肘置きのみから構成したため、従来の肘掛けと同様の安定性を保ちつつ、装置を簡易化、小型化し、また、取り外しが容易なものとなった。また、肘置部が回転可能であるため、台から延長するように設置した肘置きを適宜必要時に回転させて使用することが可能となった。
【0016】さらに、肘置きに複数の段及び屈曲部を有する調節部を設けたことにより、台の縁に滑り止めがあったり、肘置部の高さの微調節が必要な場合にも対応できる肘掛けとなった。
【出願人】 【識別番号】596132400
【氏名又は名称】有限会社リプラス
【出願日】 平成10年12月25日(1998.12.25)
【代理人】 【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
【公開番号】 特開2000−189283(P2000−189283A)
【公開日】 平成12年7月11日(2000.7.11)
【出願番号】 特願平10−368324