| 【発明の名称】 |
車両用シ―ト及び車両用シ―トの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】芦田 信勝
【氏名】宮嶋 巌
【氏名】杉本 昭
|
| 【要約】 |
【課題】本発明の目的は、表皮材とクッション材との間に防水フィルムを精度良く簡単に配設し、表皮材の縫合部から水やゴミ等が浸入するのを確実に防止することができる車両用シート及び車両用シートの製造方法を提供する。
【解決手段】クッション材20を表皮材10で被覆してなる車両用シートにおいて、表皮材10は座面部領域を含む表皮材10aと、座面部領域を含まない表皮材10bとを接合して形成され、クッション材20の稜線側で接合ラインを含む所定位置に、接合ラインより座面部領域側に凹溝22が形成され、表皮材10と、クッション材20との間には、座面部領域を含まない表皮材10b側から凹溝22の位置まで防水フィルム21が配設される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クッション材を表皮材で被覆してなる車両用シートにおいて、前記表皮材は座面部領域を含む表皮材と、座面部領域を含まない表皮材とを接合して形成され、前記クッション材の稜線側で接合ラインを含む所定位置に、前記接合ラインより座面部領域側に凹溝が形成され、前記表皮材と、前記クッション材との間には、前記座面部領域を含まない表皮材側から前記凹溝の位置まで防水フィルムが配設されたことを特徴とする車両用シート。 【請求項2】 前記表皮材は、合成樹脂シートと、基布と、合成樹脂発泡体を順次積層して形成してなることを特徴とする請求項1記載の車両用シート。 【請求項3】 前記表皮材は、表面処理材が施されたPVCと、ナイロン糸による編み物からなる基布と、合成樹脂発泡体を順次積層して形成してなることを特徴とする請求項1記載の車両用シート。 【請求項4】 前記合成樹脂発泡体は独立気泡の発泡体であることを特徴とする請求項2または3記載の車両用シート。 【請求項5】 前記合成樹脂発泡体はPVC発泡体であることを特徴とする請求項2乃至4いずれか記載の車両用シート。 【請求項6】 前記表面処理材は塩化ビニルアクリル酸エステル共重合樹脂或いは塩化ビニルメタクリル酸エステル共重合樹脂からなることを特徴とする請求項3記載の車両用シート。 【請求項7】 前記表皮材と前記クッション材とは接着剤により接合されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の車両用シート。 【請求項8】 前記接着剤は前記表皮材と前記クッション材の両方または少なくとも一方に塗布されたことを特徴とする請求項7記載の車両用シート。 【請求項9】 前記接着剤はシート先端部側を除き、前記座面領域の稜線の内側領域に塗布されたことを特徴とする請求項7または8記載の車両用シート。 【請求項10】 クッション材を表皮材で被覆してなる車両用シートの製造方法において、前記クッション材の前記表皮材に面する側において、前記クッション材の稜線側で接合ラインを含む所定位置において、前記接合ラインより座面部領域側に凹溝を形成する工程と、前記クッション材に防水フィルムを取り付ける工程と、前記凹溝に沿って前記防水フィルムを切断する工程と、前記クッション材と前記表皮材との当接面にそれぞれ接着剤を塗布する工程と、前記表皮材と前記クッション材とを圧着させる工程と、前記表皮材で前記クッション材を被覆する工程と、を備えてなることを特徴とする車両用シートの製造方法。 【請求項11】 クッション材を表皮材で被覆してなる車両用シートの製造方法において、前記クッション材の前記表皮材に面する側において、前記クッション材の稜線側で接合ラインを含む所定位置において、前記接合ラインより座面部領域側に凹溝を形成する工程と、前記クッション材に防水フィルムを取り付ける工程と、前記凹溝に沿って前記防水フィルムを切断する工程と、前記表皮材を真空成形する工程と、前記クッション材と前記表皮材との当接面にそれぞれ接着剤を塗布する工程と、前記表皮材と前記クッション材とを一体に成形する工程と、前記表皮材で前記クッション材を被覆する工程と、を備えてなることを特徴とする車両用シートの製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は車両用シート、特に屋外で使用される車両用シート及び車両用シートの製造方法に係り、仕上がりが良好で、高い耐久性を有し、且つ効率よく製造することが可能な車両用シート及び車両用シートの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から車両用シートは、例えばボトムプレート上にクッション材を配置して表皮で被覆して形成されている。車両用シートは、特に意匠性や乗り心地等を考慮して凹凸部形状をしたシートが提案されている。例えば凹凸部形状をしたシートを製造する技術としては、図10に示すように、クッション材120に凹部ラインを形成し、吊り込み具(吊り込み紐)140でボトムプレート130側へ表皮材110を吊り込む技術や、図11に示すように、表皮材110でクッション材120を被覆する技術が知られている。表皮材110は立体形状とするために、複数の表皮材片を縫合することにより凹凸形状を持たせて形成されている。 【0003】表皮材110でクッション材120を被覆した技術の場合、複数枚の表皮材110を縫合した表皮材110の接合部から、クッション材120へ水,ゴミ等が侵入するのを防止する必要がある。このため、表皮材110とクッション材120との間に防水フィルム(図示せず)を配設し、この防水フィルムにより雨水等の侵入を防いでいる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】このように防水フィルムを使用する技術では、適切な位置に防水フィルムを位置させることにより、接合部からの水,ゴミ等の侵入を確実に防止することが可能となるため、防水フィルムを精度良く配置させる必要がある。 【0005】また縫製による表皮材110でクッション材120を被覆して形成した車両用シートにおいては、凹凸部、特に凹部において、図11に示すように表皮材110とクッション材120との間で浮きが発生し易くなるため、表皮材110とクッション材120との間に接着剤を塗布して浮きを防止する技術がある。 【0006】表皮材110とクッション材120との間に接着剤が塗布されている場合、前記防水フィルムが適切な位置に配置されていないと、防水フィルムが接着剤塗布領域に入り込んで、接着剤が付着してヨレが発生したり、防水フィルムが接着剤と表皮材110との間に挟まって、表皮材110とクッション材120との接着を妨げてしまうという問題があった。 【0007】このため防水フィルムを正確な位置で精度良く切り取る必要があるが、切断位置を確認しながらの作業には手間がかかり、効率よく作業を行うことができないという問題があった。 【0008】本発明の目的は、表皮材とクッション材との間に防水フィルムを精度良く簡単に配設し、表皮材の縫合部から水やゴミ等が浸入するのを確実に防止することができる車両用シート及び車両用シートの製造方法を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記課題は、クッション材を表皮材で被覆してなる車両用シートにおいて、前記表皮材は座面部領域を含む表皮材と、座面部領域を含まない表皮材とを接合して形成され、前記クッション材の稜線側で接合ラインを含む所定位置に、前記接合ラインより座面部領域側に凹溝が形成され、前記表皮材と、前記クッション材との間には、前記座面部領域を含まない表皮材側から前記凹溝の位置まで防水フィルムが配設されることにより、解決される。 【0010】このように本例の車両用シートは、クッション材の稜線側で接合ラインを含む所定位置に、前記接合ラインより座面部領域側に凹溝が形成されているので、この凹溝をガイドラインとして、座面部領域を含まない表皮剤側から凹溝の位置まで防水フィルムを配設することにより、防水フィルムを適切な位置に簡単に配設することができる。 【0011】なお、このとき、前記表皮材は、合成樹脂シートと、基布と、合成樹脂発泡体を順次積層して形成してなると好適である。より具体的には、前記表皮材は、表面処理材が施されたPVCと、ナイロン糸による編み物からなる基布と、合成樹脂発泡体を順次積層して形成される。なお合成樹脂発泡体は独立気泡の発泡体とし、たとえばPVC発泡体とすると好適である。 【0012】上記のように構成されているので、合成樹脂発泡体により合成樹脂に含まれる可塑剤がクッション材側に移行することを防止でき、表皮材側の部分的な硬化により着座感が悪化するという不都合が防止できるという作用を奏する。さらに合成樹脂発泡体が配設されていることにより、クッション材に含まれるアミン触媒が表皮材側へ移行して、合成樹脂を変色させたり、退色させたりして、シートの美観を損ねるという不都合を防止できるという作用を奏する。 【0013】また表皮材に表面処理材が施されているので表面の光沢を抑えて外観上重厚感を持たせることが可能であり、また表皮材に絞付けを施すことにより、シート表面をレザータッチとして、高級感のある良好な車両用シートとすることができる。さらに表面処理材を塩化ビニルアクリル酸エステル共重合樹脂或いは塩化ビニルメタクリル酸エステル共重合樹脂とすることにより、高周波溶着が可能となり、表皮材同士の接合や、表皮端末のボトムプレート或いはフレームへの固着を確実且つ効率良く行うことが可能となる。 【0014】前記表皮材と前記クッション材は接着剤により接合させると好適である。このように接着剤で接合することにより、表皮材との組み付け作業が容易になる。なお前記接着剤は前記表皮材と前記クッション材の両方または少なくとも一方に塗布されていると良い。 【0015】また前記接着剤はシート先端部側を除き、前記座面部の稜線の内側領域に塗布されていると好適である。このように、接着剤の塗布範囲をクッション材の稜線の内側領域とすることにより、最も荷重のかかる稜線部で表皮材が固着されないため、表皮材に無理な力がかからず、折れやしわの発生を防ぎ、外観上良好な車両用シートを得ることができる。 【0016】さらに車両用シートの製造方法は、クッション材を表皮材で被覆してなる車両用シートの製造方法において、前記クッション材の前記表皮材に面する側において、前記クッション材の稜線側で接合ラインを含む所定位置において、前記接合ラインより座面部領域側に凹溝を形成する工程と、前記クッション材に防水フィルムを取り付ける工程と、前記凹溝に沿って前記防水フィルムを切断する工程と、前記クッション材と前記表皮材との当接面にそれぞれ接着剤を塗布する工程と、前記表皮材と前記クッション材とを圧着させる工程と、前記表皮材で前記クッション材を被覆する工程と、を備えていることを特徴とする。 【0017】このように本発明の車両用シートの製造方法では、クッション材に凹溝が設けられており、この凹溝をガイドラインとして、凹溝に沿って防水フィルムを切断するだけで、防水フィルムを適切な位置に配設することが可能となり、作業効率が向上する。 【0018】或いは車両用シートの製造方法は、クッション材を表皮材で被覆してなる車両用シートの製造方法において、前記クッション材の前記表皮材に面する側において、前記クッション材の稜線側で接合ラインを含む所定位置において、前記接合ラインより座面部領域側に凹溝を形成する工程と、前記クッション材に防水フィルムを取り付ける工程と、前記凹溝に沿って前記防水フィルムを切断する工程と、前記表皮材を真空成形する工程と、前記クッション材と前記表皮材との当接面にそれぞれ接着剤を塗布する工程と、前記表皮材と前記クッション材とを一体に成形する工程と、前記表皮材で前記クッション材を被覆する工程と、を備えてなることを特徴とする。 【0019】上記のように表皮材を真空成形することにより、凹凸形状の激しいクッション材にも対応することが可能となり、デザインの自由性,機能性等を確保することが可能となる。 【0020】 【発明の実施の形態】本発明の車両用シートとして、例えば二輪車用シートSは、ボトムプレート30上にクッション材20を配設し、クッション材20を表皮材10で被覆した構成とされている。また表皮材10は座面部領域を含む表皮材10aと、座面部領域を含まない表皮材10bとを接合することにより形成されている。 【0021】クッション材20の稜線23側で、表皮材10aと表皮材10bとが接合された接合ライン10cを含む所定位置には、接合ライン10cより座面部領域側に凹溝22が形成されている。そして表皮材10と、クッション材20との間には、座面部領域を含まない表皮材10b側から凹溝22の位置まで防水フィルム21が配設されている。 【0022】なお表皮材10は、合成樹脂シートと、基布と、独立気泡の発泡体である合成樹脂発泡体を順次積層して形成されている。より具体的には、表皮材10は、表面処理材11が施されたPVC12と、ナイロン糸による編み物からなる基布13と、PVC発泡体14を順次積層して形成されている。また表面処理材11は、例えば塩化ビニルアクリル酸エステル共重合樹脂或いは塩化ビニルメタクリル酸エステル共重合樹脂から構成されている。 【0023】表皮材10とクッション材20とは接着剤40により接合されており、接着剤40は表皮材10とクッション材20の両方または少なくとも一方に塗布されている。接着剤40の塗布範囲は、クッション材20の稜線23の内側領域50とする。 【0024】車両用シートの製造方法は、次の工程からなる。先ずクッション材20の表皮材10に面する側において、クッション材20の稜線23側で、表皮材10の接合ライン10cを含む所定位置において、接合ライン10cより座面部領域側に凹溝23を形成する。 【0025】そしてクッション材20に防水フィルム21を取り付ける。さらに凹溝23に沿って防水フィルム21を切断する。次いでクッション材20と表皮材10との当接面にそれぞれ接着剤40を塗布し、表皮材10とクッション材20とを圧着させる。最後に表皮材10でクッション材20を被覆する。 【0026】或いは、クッション材に凹溝23を形成し、クッション材20に防水フィルム21を取り付け凹溝23に沿って防水フィルム21を切断し、表皮材10を真空成形して、クッション材20と表皮材10との当接面にそれぞれ接着剤40を塗布し、表皮材10とクッション材20とを一体に成形し、表皮材10でクッション材20を被覆する方法としても良い。 【0027】 【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。 【0028】図1乃至図6は本発明の一実施例を示すものであり、図1は本発明の車両用シートを示す斜視図、図2は図1のA−A線断面図であり、表皮材の構成を示す断面図、図3はクッション材を示す斜視図、図4は図3のB−B線断面図、図5は車両用シートの要部断面図、図6は溝部の拡大断面図である。 【0029】本実施例では車両用シートとしての二輪車用シートSについて説明する。なお本明細書において、車両用シートとは、陸上のオートバイ,スクーターだけでなく、スノーモービル,水上バイクを含み、また三輪バギー車等や跨座式乗物、或いは建機シートに関する乗物用シートを含むものとする。 【0030】本例の二輪車用シートSは、ボトムプレート30上にクッション材20を配設し、該クッション材20を表皮材10で被覆してなる二輪車用シートである。つまりボトムプレート30上にクッション材20を載置して、このクッション材20を表皮材10で被覆し、表皮材10の端末をボトムプレート30の裏面側で固着させて形成している。 【0031】表皮材10は、座面部領域を含む表皮材10aと、座面部領域を含まない表皮材10bとを縫合することにより、クッション材20の立体形状に合わせて形成され、クッション材20を被覆可能に構成されている。なお座面部領域を含む表皮材10aと、座面部領域を含まない表皮材10bとの接合部を接合ライン10cとする。 【0032】次に表皮材10の素材の構成について説明する。図2は図1におけるA−A線断面図である。表皮材10は、表面側の合成樹脂と、基布と、合成樹脂発泡体が積層されて構成されている。つまり基布を挟んで合成樹脂と合成樹脂発泡体が積層されている。このように合成樹脂及び基布とクッション材20との間に合成樹脂発泡体が存在している。合成樹脂発泡体は独立気泡の発泡体である。 【0033】そしてより具体的な実施例として、表皮材10は、表面処理材11が施された合成樹脂としてのPVC12と、基布13と,合成樹脂発泡体としてのPVC発泡体14を順次積層して構成されている。また表皮材10の外側面には任意のエンボス(絞付け)が施されており、レザータッチに形成されている。エンボスとしては、例えば平版プレス機、ロールエンボス機等の公知のプレス機、エンボス機を用いることができ、熱及び圧力によりエンボス版の凹凸形状がシート上に賦形される。 【0034】本例の表面処理材11は、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合樹脂或いは塩化ビニルメタクリル酸エステル共重合樹脂から構成されている。 【0035】PVC12としては、PVCと粒径1乃至40μのプロテイン粉末(例えば天然タンパク繊維の微粉末)とを複合化させたものを用いても良い。プロテイン粉末は、上記粒径のうち3乃至8ミクロン、好ましくは4乃至7ミクロンのものを用いる。これは表皮材10の表面層を形成するPVC11の厚さにおいて均一な分散を確保するためである。 【0036】本例の基布13は、ナイロン糸による編み物から形成されている。本例では、基布13のPVC12及びPVC発泡体14との当接面に、それぞれ接着剤13aが塗布され、PVC12及びPVC発泡体14と一体に成形されている。 【0037】本例のPVC発泡体14は、架橋させたもので、独立発泡体を用いている。なお本実施例では合成樹脂発泡体としてPVCを用いた例を示しているが、発泡体としてはPVCのほかに、PEフォーム(ポリエチレンフォーム)、PPフォーム(ポリプロピレンフォーム)を用いることも可能である。この場合にも、独立気泡発泡体で構成したり、独立気泡を含む発泡体とすることも可能である。 【0038】また本例では基布13に接着剤13aが塗布され、PVC12と基布13とPVC発泡体14とを積層しているが、基布13に接着剤13aを塗布する方法に限らず、PVC12と、基布13と,PVC発泡体14の積層技術としては、他の公知技術を用いることも可能である。さらに積層するときに、上記各部材を高周波ウェルダ加工により互いに接合させることも可能である。このように高周波ウエルダ加工をすることによって所定の加工ラインを形成することもできる。 【0039】また表皮材10は、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合樹脂或いは塩化ビニルメタクリル酸エステル共重合樹脂からなる表皮材11や、PVC12等の高周波溶着可能な素材から構成されているので、複数枚の表皮材合わせ部分において高周波溶着を行いやすくなり、効率よく、且つ確実に接合部に強度を持たせることが可能となる。 【0040】また本実施例の表皮材10では、合成樹脂及び基布と,クッション材20との間に独立気泡の発泡体が存在しているので、合成樹脂に含まれる可塑剤がクッション材側に移行することがなくなり、シートが硬化して着座感が悪化することなく、良好な二輪車用シートとすることができる。 【0041】更に、表皮材10において、合成樹脂とクッション材との間に独立気泡の発泡体が存在することにより、クッション材に含まれるアミン触媒が合成樹脂と直接接触しないため、合成樹脂を変色、退色させ、シートの美観を損ねるという従来からの問題点を解決することができる。 【0042】また上記構成の二輪車用シートの表皮材は、発泡体が存在することにより、レザー質感を充分保持する。また、クッション材の上にクッション性を有する発泡体を重ねて積載することにより、衝撃を和らげる性質が生じるため、ライダーの底付感を和らげ、シートの風雨等に対する対候性が高くなるという効果を有する。 【0043】次に本例のクッション材20について説明する。本例のクッション材20はウレタンフォームから形成されている。本例のクッション材20は、図3に示すように、表皮材の接合部に相当する位置に防水フィルム21が貼着されている。 【0044】図4は図3におけるB−B線断面図であり、図中b−b線よりも右側のクッション材20の断面を示すものである。図4及び図5に示すように、クッション材20の稜線23側で、表皮材10aと表皮材10bとが接合された接合ライン10cを含む所定位置には、接合ライン10cより座面部領域側に凹溝22が形成されている。 【0045】そして上記凹溝22をガイドラインとして防水フィルム21が配設されている。即ち防水フィルム21は図6に示すように、凹溝22の位置でカットされる。これにより防水フィルム21は、クッション材20の座席面上において、後述する表皮材10とクッション材20との接着面50まで延出したりすることなく、適切な位置に配設される。 【0046】なお本例では、防水フィルム21をカットするときに、鋏等の切断手段が入り込みやすいように、凹溝22の形状を断面略V字状に形成した例を示したが、これに限らず、断面矩形の溝や略U字状の溝等他の形状としても良いことは勿論である。 【0047】本例では、上記クッション材20に表皮材10を被覆するときに、接着剤40により接合される。接着剤40は表皮材10とクッション材20の両方または少なくとも一方に塗布されており、各種のタイプのものを用いることができる。 【0048】例えば接着剤40としては、接着フィルム状のホットメルト型接着剤があり、この接着剤はホットメルト接着中に活性二重結合を有して、紫外線、電子線によって硬化するもの、エポキシ基及び潜在性硬化剤を有して熱硬化するもの、NCO基、Si(OR)3基を有して水分によって硬化するもの、SH基及び金属酸化物触媒を有し酸素によって硬化するもの等がある。特にウレタン系の湿式硬化剤の接着剤は好ましい。ウレタン系の湿式硬化剤の接着剤の具体例としては、ポリエステル系イソシアネートプレポリマーを主成分とする湿気硬化型ホットメルト接着剤であり、上市されているものを用いることが出来る。 【0049】また表皮材10とクッション材20との接着について、本例の二輪車用シートSでは、図1に示すように、接着範囲50を、クッション材20の稜線23の内側領域としている。 【0050】次にボトムプレート30について説明する。ボトムプレート30は、本例では合成樹脂により成形され、この合成樹脂のボトムプレート上にクッション材20を載置して、このクッション材20を表皮材10で被覆し、表皮材10の端末をボトムプレート30の裏面側で固着させて形成している。なおボトムプレート30は、上記実施例では合成樹脂としているが、それに限らず各種の材質を用いることも可能である。 【0051】表皮材10の端末をボトムプレート30に固着させるときには、ステイプル等の固着具で表皮端末を固着する他、高周波溶着による処理を行うことが可能である。すなわち本発明の表皮材10は、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合樹脂或いは塩化ビニルメタクリル酸エステル共重合樹脂からなる表面処理材11や、PVC等の高周波溶着可能な材質から構成されているため、超音波溶着や高周波溶着等の高周波溶着等の手段を用いることができる。高周波溶着を採用することにより、確実且つ効率良く端末処理を行うことが可能となる。 【0052】なお本例では二輪車用シートSを例として説明しているため、ボトムプレート30上にクッション材20が載置され、表皮端末はボトムプレート30に固着されているが、他の構成からなるシート、例えば建機シートでは、クッション材はフレーム上に載置されており、表皮材10の端末はフレームに固着される。 【0053】次に本発明の二輪車用シートSの製造方法について説明する。先ず、クッション材20へ防水フィルム21接着用の接着剤を塗布し、クッション材20へ防水フィルム21を貼り付ける。 【0054】本実施例では、クッション材20に凹溝22が形成されているので、防水フィルム21はこの凹溝22をガイドラインとして、凹溝22の形成箇所で切断される。 【0055】さらにクッション材20座面部の稜線23の内側領域50へ接着剤を塗布する。接着剤40は、表皮材10とクッション材20の両方、或いは少なくとも一方に塗布する。 【0056】最後に、表皮材10とクッション材20とを圧着し、表皮材10をクッション材20に被覆させ、端末部を熱処理或いはタッカー処理して、二輪車用シートSが完成する。 【0057】なお上記製造方法の他、表皮材10を真空成形により凹凸形状に成形しておき、クッション材20と接合させる方法としても良い。表皮材10を真空成形することにより、表皮材10に凹凸形状を簡単に持たせることができる。 【0058】従来では、複雑な凹凸形状を有する二輪車用シートSを形成するときには、シート形状に合わせて表皮材10に凹凸を持たせるため、図12乃至図14に示すように、複数枚の表皮材110を縫合することにより立体形状を形成していた。しかし、真空成形を採用することにより、例えば図9に示すように複雑な凹凸形状を有する二輪車用シートSであっても、シート形状に合わせた凹凸形状を、表皮材10に簡単に持たせることが可能となる。 【0059】図7は真空成形により成形された表皮材10を使用した二輪車用シートSを示すものであり、図8は図7のC−C断面図であり、図中c−c線よりも右側の二輪車用シートSの断面を示すものである。図8に示すように、真空成形により凹凸形状に成形された表皮材10に接着剤40を塗布し、クッション材20とボトムプレート30からなるクッション部材を型枠内に圧入して固着させる。 【0060】或いは型枠内で凹凸形状に成形された表皮材10に接着剤40を塗布した後、ウレタンフォームの原料を注入し、発泡させて成形する方法としても良い。このように表皮材10を真空成形することにより、凹凸形状の激しいクッション材にも対応することが可能となり、デザインの自由性,機能性等を確保することが可能となる。 【0061】なお上記実施例では二輪車用シートSとして、一人乗り用の二輪車用シートSについて説明したが、図9に示すような二人乗用のシートでも良く、シートの形状は特に限定されない。 【0062】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、クッション材の座面部領域を含む表皮材に面する側に、座面部領域を含む表皮材と座面部領域を含まない表皮材の接合ラインから所定距離離間した位置に、接合ラインに沿った凹溝が形成されているので、この凹溝をガイドラインとして、座面部領域を含まない表皮剤側から凹溝の位置まで防水フィルムを配設することにより、防水フィルムを適切な位置に簡単に配設することができる。 【0063】また車両用シートを構成する表皮材とクッション材とが、シート先端部側を除き、前記座面部の稜線の内側領域に塗布された接着剤により接合されているので、最も荷重のかかる稜線部で表皮材が固着されないため、表皮材に無理な力がかからず、折れやしわの発生を防ぎ、外観上良好な車両用シートを得ることができる。 【0064】さらに表皮材は、クッション材の稜線付近から端末部まで接着されずに自由になっているため、クッション材への被覆や、タッカー処理等の組付け作業を容易に行うことができ、作業性の向上を図ることが可能となる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000220066 【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年12月28日(1998.12.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088580 【弁理士】 【氏名又は名称】秋山 敦
|
| 【公開番号】 |
特開2000−189274(P2000−189274A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月11日(2000.7.11) |
| 【出願番号】 |
特願平10−374534 |
|