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【発明の名称】 椅子のリクライニング装置
【発明者】 【氏名】岡 本 安都夫

【要約】 【課題】ガススプリングを用いることなくリクライニング機能とその反力を得る機能とを単一の構成により達成することを課題とする。

【解決手段】背フレーム5に幅方向に摺動可能に挿通支持されたシャフト13と、受台1に基部が傾動自在に枢支され前記シャフト13が挿通される円弧状のカム孔17を有する複数枚の摩擦板兼用のカムプレート14と、これらカムプレート間に位置して前記シャフト13に嵌挿されたワッシャ18と、前記シャフト13を軸方向にバネ付勢し前記カムプレート14を固定用部材19側に圧接して背フレーム5を任意角度で固定させる付勢手段22と、上記固定状態を解除するため前記シャフト13をバネ付勢に抗してスライドさせる固定解除機構23と、前記受台1に設けられ前記カムプレート14の傾動方向側面にそって設けられた押圧部29により圧縮されリクライニング時に背フレーム5にクッション性を与えるための弾性体31を具有するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】脚に支持される受台と、この受台に前端部が枢支されて後傾自在とされた座フレームと、前記受台に前後方向に遊動的に枢支されて後傾自在とされ背もたれを有する背フレームと、前記受台に対し座フレームに弾性的に後傾時のクッション性を与えるバネ機構とを備えた椅子であって、前記背フレームに幅方向に摺動可能に挿通支持されたシャフトと、前記受台に基部が傾動自在に枢支され前記シャフトが挿通される円弧状のカム孔を有する複数枚の摩擦板兼用のカムプレートと、これらカムプレート間に位置して前記シャフトに嵌挿されたワッシャと、前記シャフトを軸方向にバネ付勢し前記カムプレートを固定用部材側に圧接して背フレームを任意角度で固定させる付勢手段と、上記固定状態を解除するため前記シャフトをバネ付勢に抗してスライドさせる固定解除機構と、前記受台に設けられ前記カムプレートの傾動方向側面にそって設けられた押圧部により圧縮されリクライニング時に背フレームにクッション性を与えるための弾性体を具有することを特徴とする椅子のリクライニング装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は椅子のリクライニング装置に係り、特に執務姿勢時には安定姿勢を保ち、背に力を加えれば身体に追従して自然なリクライニング反力を得ることができ、さらに任意の角度位置で背もたれおよび座部を固定可能とした椅子のリクライニング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】椅子の背もたれおよび座部のリクライニング状態を任意の角度位置で固定する手段として従来からガススプリングが用いられており、固定する際にはレバー操作によりガススプリングをロックすることによっている。
【0003】また上記ガススプリングでは背もたれおよび座部の理想的なリクライニング反力を受けるためには別にバネによるクッション機構を設けることによっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしてガススプリングを用いてリクライニング角の選定および固定を行なわせる構成によるものでは、ガススプリングが高価であることからコストが嵩むと同時にガススプリングの設置用スペースを大きく必要とし、設計上大きな制約を受けるという問題があり、加えてガススプリングの他にリクライニング反力を得るための機能を別に必要とすることから構成が複雑化して一層高価でかつスペース的にもきわめて効率の悪いものとなっていた。
【0005】一方、背フレームがリクライニング可能な事務用椅子では、人体の体重を支えるための弾性体としてコイルスプリングを用いるのが一般的であるが、コイルスプリングに依存するものではその反力が弱いと着座しただけで背もたれが後傾してしまい、また反力を強く調整すると背もたれが倒れにくくなって休息姿勢をとりにくいものとなり、かつリクライニング時にバネ感を感じて座り心地が悪いという問題があった。
【0006】本発明は、ガススプリングを用いることなくリクライニング構成とその反力を得る機能とを単一の構成によって達成することができ、構成の簡素化とコストの低減およびスペースの有効利用を図ることのできる椅子のリクライニング装置を提供することを課題としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する手段として本発明は、脚に支持される受台と、この受台に前端部が枢支されて後傾自在とされた座フレームと、前記受台に前後方向に遊動的に枢支されて後傾自在とされ背もたれを有する背フレームと、前記受台に対し座フレームに弾性的に後傾時のクッション性を与えるバネ機構とを備えた椅子であって、前記背フレームに幅方向に摺動可能に挿通支持されたシャフトと、前記受台に基部が傾動自在に枢支され前記シャフトが挿通される円弧状のカム孔を有する複数枚の摩擦板兼用のカムプレートと、これらカムプレート間に位置して前記シャフトに嵌挿されたワッシャと、前記シャフトを軸方向にバネ付勢し前記カムプレートを固定用部材側に圧接して背フレームを任意角度で固定させる付勢手段と、上記固定状態を解除するため前記シャフトをバネ付勢に抗してスライドさせる固定解除機構と、前記受台に設けられ前記カムプレートの傾動方向側面にそって設けられた押圧部により圧縮されリクライニング時に背フレームにクッション性を与えるための弾性体を具有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。図1は通常使用時、図2はリクライニング時の状態の各断面図を示し、図3は水平断面図を示すもので、椅子としての基本構成は従来と同様に、脚に支持される受台1、この受台1に前端部が軸2により後傾自在に枢支された座フレーム3、前記受台1に前端が軸4により前後方向に遊動的にかつ後傾自在に枢支された背フレーム5、前記受台1に対し座フレーム3に後傾時のクッション性を与えるバネ機構6等を備えるものであり、前記背フレーム5の後部は立ち上げられて背もたれ7とされている。
【0009】前記バネ機構6は、従来のものと同様に、前記受台1の下面側の幅方向中央位置に螺挿されたネジ軸8と、このネジ軸8の先端のバネ受9と、このバネ受9と受台1との間に介装されたコイルバネ10とで構成され、前記ネジ軸8の下端のつまみ11を回動してバネ受9と受台1との間隔を変えることによりコイルバネ10のバネ力を調整して使用者の好みに合ったクッション性が得られるようになされている。
【0010】本発明においては、前記背フレーム5の前記軸4が嵌合する受台1側の軸孔は前後方向に長い長孔12とされ、この軸4より所要距離だけ後方に離間した位置には前記座フレーム3の幅と略等長のシャフト13が幅方向に貫通して設けられている。
【0011】前記背フレーム5の幅方向中央位置には複数枚のカムプレート14,14…の基部が前記受台1に設けられた軸受15,15間に軸16により傾動自在に枢支されている。
【0012】このカムプレート14,14…は摩擦板を兼務するもので、少なくとも表面が摩擦係数の大きい材料で構成され、先端部には前記軸16より最も離間した位置から最も接近する位置にかけて円弧状に穿設されたカム孔17を有し、このカム孔17に前記シャフト13が可及的密に挿通されている。
【0013】また上記シャフト13には、図4に拡大断面を示すように前記カムプレート14,14…の各間に介在するワッシャ18,18…が嵌挿されており、最も外端のワッシャ18,18と背フレーム5との間のシャフト13にはパイプ材からなる固定用部材19,20が外嵌されている。このうち固定用部材20は背フレーム5、座フレーム3を貫通して座フレーム3外に至っており、前記シャフト13の外端に固着のエンド部材13aが固定用部材20の外端のフランジ部20aの外面に当接されている。
【0014】前記シャフト13の一端のバネ受21と座フレーム3との間には付勢手段を構成する圧縮バネ22が介装されていてシャフト13を常時図4において左方に牽引する方向に付勢しており、このバネ付勢力により前記エンド部材13aが固定用部材20のフランジ部20aを押し、前記カムプレート14,14…とワッシャ18,18…群が前記固定用部材19の端面に強く押しつけられてカムプレート14,14…とワッシャ18,18…とが圧着状態におかれ、これにより受台1に対して座フレーム3および背フレーム5は固定された状態を保つように構成されている。
【0015】前記シャフト13の反対端には、上記固定状態を解放するための固定解除機構23が設けられている。この固定解除機構23は、前記シャフト13の端部に同心的に固着される円環状の回動カム24(図5(A),(B)示)と、座フレーム3に固定される固定カム25(図6(A),(B)示)と、前記回動カム24の一側の軸受部26に挿着されるハンドルレバー27とで構成される。
【0016】上記回動カム24および固定カム25は、図5、図6に一例を示すようにその合わせ面の周方向に複数のカムが形成されたもので、そのカム形状は、図7(A)に固定カム25の、同(B)に回動カム24の展開図を示すように複数の高所25a,24aとこれと嵌合し得る低所25b,24bとが形成されていて回動カム24の回転時に接する側が傾斜面25c,24cとされ、反対側は垂直な面とされている。
【0017】回動カム24の高所24aの範囲には凹部24dが、固定カム25の高所25aの範囲には上記凹部24dに密嵌する凸部25dが形成されており、固定カム25の高所25aに回動カム24の高所24aが乗り上げたとき図8(A)のように凸部25dと凹部24dが係合して停止位置に保持されるようになっている。なお上記凸部25dは凹部24dへの嵌脱をスムーズにするためテーパー25eが付されている。
【0018】そして前記回動カム24の高所24aが固定カム25の低所25bに嵌合しているとき(図8(B)示)には、シャフト13がバネ22により図4において左方に引かれるのでそのエンド部材13aが固定用部材20のフランジ部20aに当ってこれを押し、前述のようにその内端が外端に位置するワッシャ18を押してカムプレート14を圧接固定状態とし、回動カム24を回動してその高所24aが固定カム25の高所25aに乗り上げると回動カム24が固定用部材20のフランジ部20aを介して押し戻し、固定用部材20によるカムプレート14の圧接が解かれるようになっている。
【0019】外端に位置するカムプレート14,14の前部側には平面視コ字状をなす部材が該プレート14,14…を貫通しているピン28により取付けられて押圧部29を構成しており、この押圧部29と対応する位置の受台1上には枠体30により拘束されたブロック状のゴムからなる弾性体31が固設されている。なおこの弾性体31は圧縮バネとしてもよく、あるいはカムプレート14の後部側に引張バネを張設するようにしてもよい。
【0020】上記弾性体31は、前記シャフト13がカムプレート14のカム孔17の上端に位置するときに初期圧縮されており、シャフト13がカム孔17内を下降する(リクライニング)に伴なってカムプレート14,14…が傾動するにつれさらに圧縮されるようになっている。
【0021】図1、図2において32は受台1を脚に取付けるための取付用ボス、33は座クッションを示す。
【0022】次に作用を説明する。
【0023】通常の使用時には、固定解除機構23のハンドルレバーを上方位置に操作すると回動カム24が図8(A)の矢印方向に回動してその高所24aが固定カム25の高所25aに乗り上げるので、この回動カム24が固定用部材20のフランジ部20aを介してエンド部材13aを押し、図4(A)のようにシャフト13がカムの高さだけバネ22の付勢に抗して引かれ、これによりカムプレート14群の固定用部材19による押し付けが解かれるのでカムプレート14,14…とワッシャ18,18…との圧着状態が解かれ、背もたれ7を使用者のとりたい姿勢に応じて後傾させることができる。
【0024】このとき、背フレーム7の後傾に伴ってシャフト13がカムプレート14のカム孔17内を下方に移動し、この移動によってカムプレート14,14…が軸16を支点に押圧部29と共に弾性体31を圧縮させつつ傾動する。この傾動時のクッションはバネ機構6のバネ10に加えてカムプレート14の傾動の角度に応じて得られる弾性体31の反力が補助反力として作用し、執務姿勢から休息姿勢までの様々な姿勢に応じた良好なリクライニング反力が得られる。
【0025】特に弾性体31は、カムプレート14の傾動開始時より傾動が進むにつれて反力が次第に増大し、背もたれ7が大きく傾くにしたがって反力が大きくなる、すなわち堅くなるので、背もたれ7に寄り掛る際の安定性がよく、バネ10との協働作用の下に良好なリクライニング状態を実現する。なおこの弾性体31による反力は、カム孔17の形状の選択によって任意の仕様とすることができる。
【0026】また、作業内容や使用者の好みによってリクライニングを任意の角度で固定したい場合には、背フレーム5の背もたれ7の後傾角度を所望の角度に選定した後に、固定解除機構23のハンドレバーを下方位置に操作すると、バネ22の付勢により回動カム24の高所24aが図8(B)のように固定カム25の低所25bへ滑り込んで落ち、これに伴ないシャフト13のエンド部材13aが固定用部材20のフランジ部20aを押すことにより図4(A)のようにこの固定用部材20でカムプレート14とワッシャ18とを圧着し、受台1に対して座フレーム3および背フレーム5が固定された状態、すなわち選定位置でのリクライニング姿勢が保たれる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、座フレームと背フレームとを固定またはリクライニングのためにフリーにする手段として背フレームに横貫するシャフトを受台に枢支された複数枚のカムプレートのカム孔に挿通し、このシャフトへのバネ付勢によりカムプレートを摩擦板として背フレームを座フレームに対し固定状態におき、シャフトをバネ付勢に抗してスライドさせることにより固定状態を解いて所望角度にリクライニングさせたのちシャフトを戻せば再び固定状態、すなわちリクライニング姿勢を保ち、かつその際のリクライニング反力をバネとカムプレートの傾動により作用する弾性体とによる協働作用により得るようにしたので、従来のようにガススプリングを用いることなく任意のリクライニング姿勢をとることができるとともにその際の補助反力として弾性体が機能し、快適なリクライニング状態を得ることができ、これにより椅子の構造を簡素化して安価に得られるとともにスペース的にも有利となるなどの効果がある。
【出願人】 【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
【出願日】 平成10年11月30日(1998.11.30)
【代理人】 【識別番号】100064285
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
【公開番号】 特開2000−157364(P2000−157364A)
【公開日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【出願番号】 特願平10−339554