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【発明の名称】 可動式収納装置
【発明者】 【氏名】大山 真

【氏名】白井 滋

【氏名】垰 統雄

【要約】 【課題】可動式の収納装置において、可動体の動作に連動して扉体を開閉し、かつ軽い力で操作可能とする。

【解決手段】キャビネット9内に配した可動体7を移動自在に支持する可動支持機構8と、キャビネット9に設けた扉体16と、可動体7をキャビネット9から出し入れする操作に連動して扉体を開閉させる扉開閉手段18と、扉体16の重量を相殺する方向に付勢する扉付勢手段22とで構成され、可動体7を出し入れする一回の動作だけで扉体16を有するキャビネット9内に格納された可動体7を出し入れすることができる。また、扉付勢手段22による付勢力は、扉体16の重量をキャンセルする方向に作用し、軽い操作力で可動体7と扉体16を連動させることがでる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】キャビネットと、前記キャビネット内に配した収納ラック等の可動体と、前記可動体を移動自在に支持する可動支持機構と、前記キャビネットに設けた扉体と、前記可動体を前記キャビネットから出し入れする操作に連動して扉体を開閉させる扉開閉手段とで構成され、前記扉体の重量を相殺する方向に付勢する扉付勢手段を設けた可動式収納装置。
【請求項2】可動支持機構は、可動体を昇降自在に支持する昇降支持機構とした請求項1記載の可動式収納装置。
【請求項3】扉体は、フラップ式の扉とした請求項1または2記載の可動式収納装置。
【請求項4】扉体は、上方へ開放する構成とし、扉付勢手段は、扉を開放する方向に付勢した請求項1、2または3記載の可動式収納装置。
【請求項5】可動体にハンドル部を設け、前記ハンドル部はキャビネットの外部に設置した請求項1ないし4のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【請求項6】扉付勢手段は、キャビネットと扉体との間に設けた請求項1ないし5のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【請求項7】扉付勢手段は、ばね材とした請求項1ないし6のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【請求項8】扉付勢手段は、重り等のウエイトバランサとした請求項1ないし6のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【請求項9】扉付勢手段は、電気駆動手段とした請求項1ないし6のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【請求項10】扉付勢手段によって扉体に作用する付勢力を可変する付勢力調整手段を設けた請求項1ないし9のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【請求項11】扉体の重量によって扉体に作用するモーメントと扉付勢手段によって扉体に作用するモーメントとが、扉体の移動範囲の全域で略一致することを特徴とした請求項1ないし10のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【請求項12】上開きの扉において、扉体の重量によって扉体に作用するモーメントよりも扉付勢手段によって扉体に作用するモーメントの方が常に小さいことを特徴とした請求項1ないし11のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【請求項13】下開きの扉において、扉体の重量によって扉体に作用するモーメントよりも扉付勢手段によって扉体に作用するモーメントの方が常に大きいことを特徴とした請求項1、2、3、5ないし11のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【請求項14】扉体の閉塞状態における扉付勢手段による付勢力は、略零ないしは扉体を閉塞する方向へ作用する構成とした請求項1ないし13のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【請求項15】扉付勢手段は、扉開閉用ヒンジと一体で構成した請求項1ないし14のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【請求項16】可動体の移動に対して作用する可動体用ばね材および緩衝装置の両方あるいはいずれか一方を設けた請求項1ないし15のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【請求項17】可動体を駆動する可動体用電動駆動手段を設けた請求項1ないし16のいずれか1項記載の可動式収納装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可動式の収納装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の収納装置は特開平10−286131号公報に記載されているようなものがある。この装置は図9に示したように、収納キャビネット1と、収納キャビネット1内に設けたラック体2と、ラック体2を出し入れ自在に支持する昇降支持装置3と、収納キャビネット1に設けた扉4と、この扉4とラック体2の動作を連動させるスライダー5と、可動体を移動させるハンドル6とで構成されていた。スライダー5は、収納キャビネット1からラック体2を出し入れする動作と扉4の開閉を連動するため、扉4の開成や閉塞の動作を必要とせず、ラック体2を一回動作させるだけで収納キャビネット1から引出したり、格納したりできるようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の収納装置では、ラック体2の移動と同時に扉4を開放させるため、ラック体2を動作させる際には、扉4を開閉させるための操作力が余分に必要となる。図9のように扉4を上方へ開成する場合には、扉4の重力に逆らって動作させる必要があるため、大きな操作力が必要となり、ラック体2を引き出す操作が重くなるという課題を有していた。また、扉4の材質や寸法によっては、扉4の重量が重くなり、ラック体2を引出すことが不可能となる場合もあった。
【0004】また、図10のように、扉4に作用するスライダー5の作用点を低く(扉の開閉支点からの距離を長く)することにより、このラック体2の操作力を軽減することができるが、この場合には、斜線Aで示したラック体2の上部空間が収納不能なデッドスペースとなり、収納容積が減少するという課題を有していた。
【0005】なお、扉の開放方向が下開きの場合には、扉を閉塞する際に大きな力が必要となり、ラック体を収納キャビネットに格納する際に大きな操作力を必要とする課題を有する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するために、キャビネットと、前記キャビネット内に配した収納ラック等の可動体と、前記可動体を移動自在に支持する可動支持機構と、前記キャビネットに設けた扉体と、前記可動体を前記キャビネットから出し入れする操作に連動して扉体を開閉させる扉開閉手段とで構成され、前記扉体の重量を相殺する方向に付勢する扉付勢手段を設けたものである。
【0007】上記発明によれば、扉体の重量をキャンセルする方向に扉付勢手段による付勢力が作用するため、扉体の開閉操作に必要な力は小さくなり、軽い操作力で可動体を動作させることができる。付勢力の設定次第では、ほとんど零の力で扉の開閉を行うことも可能である。また、自然に扉体が開放するように付勢力を作用させることも可能であり、より使い勝手の良い収納装置を提供することができる。
【0008】また、小さい操作力で可動体を動作できるため、扉開閉手段が扉体に作用する点を上方に(扉開閉支点からの距離を短く)設置することができ、可動体の上部空間まで収納部として使用でき、収納容積が増加し、キャビネットの容積を有効に利用できる。これによって、軽い操作力と広い収納容積とを両立できる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、請求項1に記載のように、キャビネットと、前記キャビネット内に配した収納ラック等の可動体と、前記可動体を移動自在に支持する可動支持機構と、前記キャビネットに設けた扉体と、前記可動体を前記キャビネットから出し入れする操作に連動して扉体を開閉させる扉開閉手段とで構成され、前記扉体の重量を相殺する方向に付勢する扉付勢手段を設けたものである。扉体は、可動体の動作に連動して開閉するため、可動体を出し入れする一回の動作だけで扉体を有するキャビネット内に格納された可動体を出し入れすることができる。また、扉付勢手段による付勢力は、扉体の重量をキャンセルする方向に作用するため、扉体の重量に依らず扉体の開閉操作に必要な力は小さくなり、軽い操作力で可動体と扉体を連動させることができる。また、操作力が小さくなることから、収納容積を犠牲にして操作力を軽くする必要がなくなり、軽い操作力と広い収納容積とを両立できる。
【0010】また、請求項2の可動式収納装置は、可動支持機構は、可動体を昇降自在に支持する昇降支持機構としたものであり、例えば、高所設置のキャビネットから可動体を降下させて収納物を手元で出し入れすることができる。また、この際、高所設置のキャビネットの扉体を開閉する動作が不要となり、不安定な高所での操作を軽減できる。
【0011】また、請求項3の可動式収納装置は、扉体は、フラップ式の扉としたものである。フラップ式の扉では、扉体の開閉動作は、扉体の重力に逆らって動作するため、非常に大きな操作力を必要とするが、扉付勢手段を設けることにより、軽い操作力で可動体と扉体を連動させることができる。
【0012】また、請求項4の可動式収納装置は、扉体は、上方へ開放する構成とし、扉付勢手段は、扉を開放する方向に付勢したものである。
【0013】また、請求項5の可動式収納装置は、可動体にハンドル部を設け、前記ハンドル部はキャビネットの外部に設置したものであり、可動体を動作させる際にキャビネットや扉体に邪魔されることなく、安全にハンドル操作が行える。また、ハンドル部がキャビネット外にあるため、可動体の一部と扉体とでキャビネットの開放面を完全に閉塞することも可能となり、キャビネット内にゴミ、埃、臭いや蒸気などが侵入することを防止できる。
【0014】また、請求項6の可動式収納装置は、扉付勢手段は、キャビネットと扉体との間に設けたものであり、直接付勢力が働くため、最も効率よく付勢力を作用させることができる。また、途中に部材を介した場合と比べて枢軸部分のがたつきの影響や経時変化による付勢力の変動が生じにくい。
【0015】また、請求項7の可動式収納装置は、扉付勢手段は、ばね材としたものであり、電気エネルギを用いる必要もなく、簡単な構成で、安価に付勢力を作用させることができる。
【0016】また、請求項8の可動式収納装置は、扉付勢手段は、重り等のウエイトバランサとしたものであり、電気エネルギを用いる必要もなく、簡単な構成で、安価に付勢力を作用させることができる。
【0017】また、請求項9の可動式収納装置は、扉付勢手段は、電気駆動手段としたものであり、扉体の重量が重い場合でも十分な付勢力を作用させることができる。
【0018】また、請求項10の可動式収納装置は、扉付勢手段によって扉体に作用する付勢力を可変する付勢力調整手段を設けたものであり、扉体の種類や材質や寸法等が変化しても、最適な付勢力に調整することができる。同一の扉付勢手段で複数の扉体に対応できるため、部品種類の減少やコストダウンにつながる。
【0019】また、請求項11の可動式収納装置は、扉体の重量によって扉体に作用するモーメントと扉付勢手段によって扉体に作用するモーメントとが、扉体の移動範囲の全域で略一致することを特徴としたものであり、扉体重量と付勢力がバランスしており、常に軽い操作力で可動体と扉体を連動させることができる。また、可動体のみを動作している如く操作できるため、円滑な操作性が得られる。
【0020】また、請求項12の可動式収納装置は、上開きの扉において、扉体の重量によって扉体に作用するモーメントよりも扉付勢手段によって扉体に作用するモーメントの方が常に小さいことを特徴としたものである。可動体を引き出す際には、扉付勢手段の付勢力が作用しているため、軽く動作させることができる一方で、可動体を格納する際には、扉重量の方が加勢力よりも大きく、自然に扉体は閉塞するため、扉体を閉塞する手段を設ける必要がない。
【0021】また、請求項13の可動式収納装置は、下開きの扉において、扉体の重量によって扉体に作用するモーメントよりも扉付勢手段によって扉体に作用するモーメントの方が常に大きいことを特徴としたものである。可動体を引き出す際には、扉付勢手段による付勢力と扉体重量との差だけの力を必要とするが、一方、可動体を格納する際には、自然に扉体は閉塞するため、扉体を閉塞する手段を設ける必要がない。
【0022】また、請求項14の可動式収納装置は、扉体の閉塞状態における扉付勢手段による付勢力は、略零ないしは扉体を閉塞する方向へ作用する構成としたものであり、扉体の閉塞時には、確実に扉体の閉塞状態を保つことができる。
【0023】また、請求項15の可動式収納装置は、扉付勢手段は、扉開閉用ヒンジと一体で構成したものであり、扉体に扉開閉用ヒンジと扉付勢手段の両方を設置する必要がなく、組立工程が簡素化でき、優れた外観が得られる。また、扉体に設置する部材が減少することから、キャビネットの開口部への障害が少なくなり、広くキャビネットの開口部を利用できる。
【0024】また、請求項16の可動式収納装置は、可動体の移動に対して作用する可動体用ばね材および緩衝装置の両方あるいはいずれか一方を設けたものである。可動体用ばね材は、可動体を動作する際の操作力が小さくなるように作用し、扉付勢手段と効果と併せて、より軽く可動体を出し入れできる。また、緩衝装置は、可動体がゆっくり動作するように作用し、急に可動体が動作したり、危険速度で動作することを防止する。
【0025】また、請求項17の可動式収納装置は、可動体を駆動する可動体用電動駆動手段を設けたものであり、可動体や扉の重量が大きい場合でも、可動体用電動駆動手段が可動体を動作させる力を補助するため、作業者は軽い力で可動体を移動させることがでる。また、扉体の重量は扉付勢手段によって相殺されているため、可動体用電動駆動手段の駆動力は小さくて済み、駆動手段の小型化が図れる。また、可動体用電動駆動手段だけで可動体を動作可能とした場合には、リモコン等により、自動的に駆動させることもできる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0027】(実施例1)図1は本発明の実施例1の可動式収納装置の外観斜視図であり、図2は同可動式収納装置の格納状態における概略断面図、図3は同可動式収納装置の引き出し状態における概略断面図である。
【0028】図において、収納ラック等の可動体7は可動支持機構(昇降支持機構)8によってキャビネット9に支持されている。ここで、昇降支持機構8は平行リンクを構成する2本の回転アーム10、11であり、枢軸12、13でキャビネット9側に枢支され、枢軸14、15で可動体7に枢支されている。また、扉体16は例えばキャビネット9の開口面の上方で、扉開閉用ヒンジ17にて取付けられ、上方に開放するフラップ式になっている。また、扉開閉手段である開閉リンク18を枢軸19で可動体7に旋回自在に枢支し、この扉開閉リンク18の先端に設けた先端ローラー20と係合するガイド部21を扉体16内面に設置している。さらに、キャビネット9と扉体16との間に扉付勢手段22を設置しており、枢軸23で扉体16に、多端は枢軸24でキャビネット9側面に旋回自在に固定されている。本実施例における扉付勢手段22は、ばね材とし、圧縮ばね(22)を用いており、扉体16の重量によるモーメントと圧縮ばね22によるモーメントはほぼ一致するように構成されている。また、可動体7を動作させるハンドル部25を可動体7に設けている。
【0029】また、回転アーム10、11の枢軸12、13は軸受ユニット26(図2、図3では点線で表示)に設置し、この軸受ユニット26をキャビネッ16トの内面に固定している。この軸受ユニット26の内部には、回転アーム11(昇降支持機構8)の移動に対して作用する可動体用ばね材27とダンパ等の緩衝装置28を設置している(図2にのみ記載)。
【0030】また、可動支持機構8である回転アーム10、11は、可動体7の両側に設けており、左右の回転アームの動作を同期させる連結手段29を枢軸12付近に設けている。
【0031】次に動作、作用について説明すると、ハンドル部25を持って可動体7を動作させると、平行リンク構成である可動支持機構8(回転アーム10、11)の旋回によって可動体7は昇降する。キャビネット9を厨房等の高所に設置した場合には、可動体7を下方へ引き降ろして利用することができ、踏み台等を使用せずに手元で物品の出し入れを行うことができる。この時、左右の回転アーム10、11の動きは連結手段29によって同期されており、左右の回転アーム10、11が捩れることなく、安定して可動体7を移動させることができる。
【0032】また、可動体7に設けた開閉リンク18によって可動体7と扉体16は連動しており、可動体7の動作に連動して扉体16は開閉する。可動体7をキャビネット9から引き出す際には、開閉リンク18によって扉体16は押し上げられ、扉体16は開成し、一回の動作で扉体16の開放と可動体7の移動動作を行える。この際、開閉リンク18の先端ローラー20は、扉体16に設けたガイド部21によって、ガイドされるため、扉体16の連動を確実に行うことができる。一方、可動体7をキャビネット9に格納する際には、可動体7の格納動作と連動して扉体16も閉塞される。この例では、開閉リンク18がガイド部21を介して扉体16を引き込むため、確実に扉体16を閉塞させることができ、また格納後の扉体16は閉塞状態を保つことができる。このように、可動体7をキャビネット9から引き出す時も、格納する時も、いずれの場合も扉体16を開閉する動作が不要であり、閉塞された扉内に設置された可動体7を、一回の動作で素早く昇降させることができる。
【0033】また、扉付勢手段である圧縮ばね22は、扉体16を開成する方向、すなわち扉体16の重量をキャンセルする方向に、付勢力を作用する。このため、扉体16の開閉操作に必要な力は小さくなり、可動体7を昇降させる操作力も軽くなる。また、小さい操作力で可動体7を動作できるため、扉付勢手段22が扉体16に作用する点を上方(扉開閉支点からの距離を短く)に設置することができ、可動体7の上部空間まで収納部として使用でき、収納容積が増加し、キャビネット9の容積を有効に利用できる。これによって、軽い操作力と広い収納容積とを両立できる。
【0034】また、扉付勢手段22の構成次第では、付勢力を任意に設定でき、本実施例では扉体16の重量によって扉体16に作用するモーメントと扉付勢手段22によって扉体16に作用するモーメントとが、扉体16の移動範囲の全域で略一致するように構成している。扉体16の重量と付勢力がバランスしていることから、常に小さい力で扉体16は開閉することができ、扉体16が存在しない場合とほぼ同等の軽い操作力で可動体7を出し入れすることができ、円滑に可動体7を動作させることができる。
【0035】また、扉体16の閉塞状態における扉付勢手段22による付勢力は、わずかに扉体16を閉塞する方向へ作用する構成としており、図のような扉体16の閉塞時には、確実に扉体16の閉塞状態を保つことができる。
【0036】また、ハンドル部25をキャビネット9外部に設置した場合には、キャビネット9や扉体16に邪魔されることなく、安全にハンドル部25を操作することができる。また、ハンドル部25は可動体7の底面よりも下方に設置することも可能であり、背の低い人にも容易に昇降操作が行える。また、ハンドル部25がキャビネット9の外部にあるため、図2のように可動体7の一部と扉体16とで、キャビネット9の開口部を完全に閉塞することも可能であり、キャビネット9内にゴミ、埃、臭いや蒸気などが侵入することを防止できる。
【0037】また、回転アーム11(昇降支持機構8)の動作に対して可動体用ばね材27を作用させた場合には、可動体7を動作する際の操作力が小さくなるように作用し、扉付勢手段22と効果と併せて、より軽く可動体を出し入れできる。なお、この可動体用ばね材27は、可動体7の操作力を軽減するものであり、扉体16の開閉を軽くするものではない。可動支持機構8や扉体16の構成次第では、扉付勢手段22として作用する場合もあるが、本実施例のような構成では扉付勢手段としてはほとんど効果がない。
【0038】また、回転アーム11(昇降支持機構8)の動作に対して作用する油圧ダンパ等の緩衝装置28を用いた場合には、可動体7がゆっくりと動作するように作用し、可動体7が急に動作したり、危険速度で動作することを防止する。
【0039】また、図示していないが、可動体7を駆動する可動体用電動駆動手段を設けた場合には、可動体7や扉体16の重量が大きい場合でも、可動体用電動駆動手段が可動体7を動作させる力を補助するため、作業者は軽い力で可動体7を移動させることがでる。また、扉体16の重量は扉付勢手段22によって相殺されているため、可動体用電動駆動手段の駆動力は小さくて済み、駆動手段の小型化が図れる。また、可動体用電動駆動手段だけで可動体7を動作可能とした場合には、リモコン等により、自動的に駆動させることもできる。
【0040】なお、本実施例では、扉付勢手段22は、ばね材とし、圧縮ばねを用いたが、これに限定するものではなく、引張ばね、ねじりばね、板ばねやガススプリング等であっても同様の効果が得られる。また、ばね材を直接扉体に作用させずに、リンク等の部材を介して設けることもでき、付勢力の特性を任意に設定する場合には、より効果的である。
【0041】また、扉付勢手段22は、キャビネット9と扉体16との間に設けたが、これに限定するものではなく、可動体7と扉体16や、可動支持機構8と扉体16との間に設けてもよい。
【0042】また、扉開閉手段18として開閉リンクを用いたが、回転する構造に限ったものではなく、直線移動するものや、あるいは移動しない固定された構造であっても、同様の効果が得られる。また、扉開閉手段は18は、可動体7に設けたが、これに限定するのではなく、可動支持機構8やキャビネット9などの他の場所に設置してもかまわない。
【0043】(実施例2)図4は本発明の実施例2の可動式収納装置の概略断面図であり、図2、図3に示した実施例1と同じ構成要素には同一の符号を付与している。
【0044】図4に示すように、扉体16の上部に扉付付勢手段として黄銅製等のウエイトバランサ31を設置している。
【0045】扉開閉用ヒンジ17を支点として、扉体16とウエイトバランサ31との重量は相殺するように作用し、実施例1と同様の作用、効果が得られる。
【0046】(実施例3)図5は本発明の実施例3の可動式収納装置の概略断面図であり、図2、図3に示した実施例1と同じ構成要素には同一の符号を付与している。
【0047】図5に示したように、扉体16を駆動する電気駆動手段として電動モータ32をキャビネット9に設置し、電動モータ32の駆動を制御する制御部33を設けている。
【0048】扉体16の重量を相殺する方向に駆動力を作用させることにより、実施例1と同様の作用、効果が得られ、電動モータ32が扉付付勢手段となるものである。
【0049】なお、電気駆動手段(電動モータ)32は、キャビネット9に設ける必要はなく、扉体16や可動体7、可動支持機構8等に設置しても同様の効果が得られる。
【0050】(実施例4)図6は本発明の実施例4の可動式収納装置の概略断面図であり、図2、図3に示した実施例1と同じ構成要素には同一の符号を付与している。
【0051】構成は、基本的には実施例1と同様であるが、扉開閉手段としての開閉リンク18を可動支持機構8(回転アーム10、11)に設置し、開閉リンク18の先端ローラー20をガイドするガイド部は設置していない。また、扉付勢手段である圧縮ばね22の設置位置24をB、C、Dと任意に変えることができる付勢力調整手段34を設けている。
【0052】開閉リンク18を可動支持機構8に設けた場合でも、開閉リンク18は実施例1の場合と同様の動作をし、実施例1と同様の作用、効果が得られる。実施例1のように開閉リンク18を可動体7に設けた場合と比べて、可動支持機構8の動作を扉体16に伝達する際に、可動支持機構8、開閉リンク18、扉体16の経路で伝わり、途中で可動体7を介さないため、枢軸部分のがたつき等の影響が少なく、また経時変化によっても扉体16に作用する付勢力が変化しにくい。
【0053】また、圧縮ばね22の設置位置24をB、C、Dと変化させられる付勢力調整手段34を設けており、扉体16に作用する付勢力を調整することができる。Bの位置が最も強い付勢力が得られ、Dの位置では付勢力は弱まる。この圧縮ばね22の設置位置24を変えることにより、扉体16の材質や寸法との違いによる重量の違いに対応することができ、異なる種類の扉体16を用いた場合でも、実施例1に示した如く効果を得ることができる。
【0054】また、本実施例では、扉体16の重量によって扉体16に作用するモーメントよりも扉付勢手段22によって扉体16に作用するモーメントの方が常に小さくなるように扉付勢手段22の付勢力を設定している。この場合、可動体16をキャビネット9に格納し、扉体16を閉塞する際には、扉体16は自然に閉塞するため、扉体16を閉塞する手段を設ける必要がない。つまり、開閉リンク18の先端ローラー20をガイドするガイド部によって扉体16を引き戻す必要がなく、ガイド部を用いない構成とすることができ、構成を簡素化できる。
【0055】(実施例5)図7は本発明の実施例5の可動式収納装置の概略断面図であり、図2、図3に示した実施例1と同じ構成要素には同一の符号を付与している。
【0056】構成は実施例1とほぼ同様であるが、扉付勢手段22は2本の付勢リンク(付勢リンクA35、付勢リンクB36)と引張ばね37で構成しており、付勢リンクA35の一端は扉体16に、他端は付勢リンクB36に枢支し、付勢リンクB36の他端はキャビネット固定部材38に枢支されている。また、引張ばね37の両端は、キャビネット固定部材38と付勢リンク上に取り付けられ、キャビネット固定部材38はキャビネット9に固定されている。また、キャビネット固定部材38と付勢リンクA35を扉体16に固定する扉体固定部材39はそれぞれ扉開閉用ヒンジ17のキャビネット側と扉体側に一体で構成されている。
【0057】作用、効果は、実施例1同様であるが、引張ばね37を用いても、扉体16を開放する方向に付勢力を作用させることができる。また、リンク部材を併用することにより、より有用な特性に付勢力を設定することもできる。また、扉開閉用ヒンジ17と一体で構成されており、扉体16に複数の部材を取付ける必要がなく、構造および組立工程の簡素化が図れる。
【0058】(実施例6)図8は本発明の実施例6の可動式収納装置の概略断面図であり、図2、図3に示した実施例1と同じ構成要素には同一の符号を付与している。
【0059】図において、収納ラック等の可動体7は可動支持機構8によってキャビネットに支持されている。ここで、可動支持機構8はスライドレール40、41であり、キャビネット9の側面と可動体7との間に設置されている。また、扉体16はキャビネット9の開口部の下部に、扉開閉用ヒンジ17で取付けられ、下方に開放されるようになっている。また、可動体7に、扉開閉手段として開閉部材42を固定し、その先端部には回転する先端ローラー43を設けている。さらに、キャビネット9と扉体16との間に扉付勢手段として引張ばね44を設置しており、固定軸45で扉体16に、固定軸46はキャビネット9の側面に設置されている。また、可動体7を動作させるハンドル部25をキャビネット9の外部に設けている。なお、扉付勢手段44の付勢力は、扉体16の重量によって扉体16に作用するモーメントよりも扉付勢手段44によって扉体16に作用するモーメントの方が常に大きくなるように設定されている。
【0060】次に動作、作用について説明すると、ハンドル部25を持って可動体7を動作させると、可動体7は前後に移動し、可動体7がキャビネット9の外部に引き出される。キャビネットの奥に収納していた収納物も前方に引き出すことができ、容易に出し入れすることができる。また、可動体7に設けた開閉部材42によって、扉体16は連動し、可動体7の動作に連動して扉体16は開閉する。可動体7をキャビネット9から引き出す際には、開閉部材42によって扉体16は開成し、一回の動作で扉体16の開放と可動体7の移動動作を行える。また、可動体7をキャビネット9に格納する際には、扉付勢手段44と扉体16とのバランスによって、扉体16は自然に閉塞する。つまり、扉体16を閉塞する手段を設ける必要がなく、可動体7をキャビネット9に格納すると、自動的に扉体16も閉塞される。このように、可動体7を引き出す時も、格納する時も、いずれの場合も扉体16を開閉する動作が不要であり、閉塞された扉内に設置された可動体7を、一回の動作で素早く出し入れすることができる。
【0061】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、可動体をキャビネットから出し入れする操作に連動して扉体を開閉させる扉開閉手段と、扉体の重量を相殺する方向に付勢する扉付勢手段を設けており、扉体は、可動体の動作に連動して開閉するため、可動体を出し入れする一回の動作だけで扉体を有するキャビネット内に格納された可動体を出し入れすることができる。また、扉付勢手段による付勢力は、扉体の重量をキャンセルする方向に作用するため、扉体の重量に依らず扉体の開閉操作に必要な力は小さくなり、軽い操作力で可動体と扉体を連動させることができる。また、操作力を小さくするために、収納容積を犠牲にする必要がなく、軽い操作力と広い収納容積とを両立できる。
【0062】また、可動支持機構を、可動体を昇降自在に支持する昇降支持機構とした場合には、高所設置のキャビネットから可動体を降下させて収納物を手元で出し入れすることができるとともに、高所設置のキャビネットの扉体を開閉する動作が不要となり、不安定な高所での操作を軽減できる。
【0063】また、可動体にハンドル部を設け、そのハンドル部をキャビネットの外部に設置したものは、可動体を動作させる際にキャビネットや扉体に邪魔されることなく、安全にハンドル操作を行える。また、ハンドル部がキャビネット外にあるため、可動体の一部と扉体とでキャビネットの開放面を完全に閉塞することも可能となり、キャビネット内にゴミ、埃、臭いや蒸気などが侵入することを防止できる。
【0064】また、扉付勢手段を、キャビネットと扉体との間に設けた場合には、直接付勢力が働くため、最も効率よく付勢力を作用させることができる。また、途中に部材を介した場合と比べて枢軸部分のがたつきの影響や経時変化による付勢力の変動が生じにくい。
【0065】また、扉付勢手段を、ばね材とした場合には、電気エネルギを用いる必要もなく、簡単な構成で、安価に付勢力を作用させることができる。
【0066】また、扉付勢手段を、重り等のウエイトバランサとした場合には、電気エネルギを用いる必要もなく、簡単な構成で、安価に付勢力を作用させることができる。
【0067】また、扉付勢手段を、電気駆動手段とした場合には、扉体の重量が重い場合でも十分な付勢力を作用させることができる。
【0068】また、扉付勢手段によって扉体に作用する付勢力を可変する付勢力調整手段を設けたものは、扉体の種類や材質や寸法等が変化しても、最適な付勢力に調整することができる。同一の扉付勢手段で複数の扉体に対応できるため、部品種類の減少やコストダウンにつながる。
【0069】また、扉体の重量によって扉体に作用するモーメントと扉付勢手段によって扉体に作用するモーメントとが、扉体の移動範囲の全域で略一致する構成とした場合には、扉体重量と付勢力がバランスしており、常に軽い操作力で可動体と扉体を連動させることができる。また、可動体のみを動作している如く操作できるため、円滑な操作性が得られる。
【0070】また、上開きの扉において、扉体の重量によって扉体に作用するモーメントよりも扉付勢手段によって扉体に作用するモーメントの方が常に小さくなる構成とした場合には、可動体を格納する際に、自然に扉体は閉塞するため、扉体を閉塞する手段を設ける必要がない。
【0071】また、下開きの扉において、扉体の重量によって扉体に作用するモーメントよりも扉付勢手段によって扉体に作用するモーメントの方が常に大きくなる構成とした場合には、可動体を格納する際には、自然に扉体は閉塞するため、扉体を閉塞する手段を設ける必要がない。
【0072】また、扉体の閉塞状態における扉付勢手段による付勢力が、略零ないしは扉体を閉塞する方向へ作用する構成とした場合には、扉体の閉塞時には、確実に扉体の閉塞状態を保つことができる。
【0073】また、扉付勢手段を、扉開閉用ヒンジと一体で構成した場合には、扉体に扉開閉用ヒンジと扉付勢手段の両方を設置する必要がなく、組立工程が簡素化でき、優れた外観が得られる。また、扉体に設置する部材が減少することから、キャビネットの開口部への障害が少なくなり、広くキャビネットの開口部を利用できる。
【0074】また、可動体の移動に対して作用する可動体用ばね材を用いた場合には、可動体を動作する際の操作力が小さくなるように作用し、扉付勢手段と効果と併せて、より軽く可動体を出し入れできる。また、可動体の移動に対して作用する緩衝装置を設けた場合には、可動体がゆっくり動作するように作用し、急に動作したり、危険速度で動作することを防止する。
【0075】また、可動体を駆動する可動体用電動駆動手段を設けた場合には、可動体や扉の重量が大きい場合でも、作業者は軽い力で可動体を移動させることができる。また、扉体の重量は扉付勢手段によって相殺されているため、可動体用電動駆動手段の駆動力は小さくて済み、駆動手段の小型化が図れる。また、可動体用電動駆動手段だけで可動体を動作可能とした場合には、リモコン等により、自動的に駆動させることもできる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成11年3月17日(1999.3.17)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2000−262335(P2000−262335A)
【公開日】 平成12年9月26日(2000.9.26)
【出願番号】 特願平11−71460