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【発明の名称】 吊り戸棚
【発明者】 【氏名】大嶋 一吉

【氏名】増田 裕行

【要約】 【課題】扉を一時的な載置棚として使用することができる吊り戸棚を提供する。

【解決手段】戸棚本体2の背面側下部に支持板4を固定し、この支持板4に連結腕5の一端部を水平な支持軸82を介して回動可能に連結する。連結腕5の他端部は、扉3の下端部に連結固定する。これにより、扉3を閉位置と開位置との間において上下方向へ回動可能にする。扉3は、閉位置では戸棚本体2の前面開口部を閉じ、開位置では戸棚本体2の下方にほぼ水平な状態で位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前面部が開口した箱状をなす戸棚本体と、この戸棚本体の開口部を開閉する扉とを備えた吊り戸棚において、上記戸棚本体と上記扉との間に、上記扉を上記戸棚本体に閉位置と開位置との間で変位可能に連結する連結部材を設け、上記扉が、上記閉位置では上記戸棚本体の開口部を閉じ、上記開位置では上記戸棚本体の下方にほぼ水平な状態で上記連結部材に支持されることを特徴とする吊り戸棚。
【請求項2】 上記連結部材が、上記戸棚本体の下側の左右に配置された一対の連結腕であり、この一対の連結腕の各一端部が上記戸棚本体の背面側の左右の下端部に左右方向へ延びる水平な軸線を中心としてそれぞれ回動可能に連結され、各他端部が上記閉位置に位置しているときの扉の左右の下端部にそれぞれ連結固定されていることを特徴とする請求項1に記載の吊り戸棚。
【請求項3】 上記戸棚本体と上記連結部材との間に、上記扉の開位置側への急速回動に対して抵抗を発揮するダンパ機構を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の吊り戸棚。
【請求項4】 上記戸棚本体と上記連結部材との間に、上記扉を上記連結部材を介して閉位置側へ回動付勢する付勢手段を設け、この付勢手段の付勢力を、上記扉が閉位置から開位置側へ向かって所定の回動位置までの間では、重力による上記扉に対する開位置側への回動力より大きく、上記所定の回動位置から開位置までの間では重力による上記扉に対する開位置側への回動力と同等以下に設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吊り戸棚。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば台所の天井等に設置される吊り戸棚に関する。なお、この発明で吊り戸棚とは、その上部が天井等によって支持されるもののみならず、その背面部が側壁等によって支持されるものをも含む。
【0002】
【従来の技術】一般に、吊り戸棚は、前面が開口した箱状をなす戸棚本体と、この戸棚本体の開口部を開閉する扉とから構成されており、台所に多く設置されている。これは、吊り戸棚が天井等に吊り下げ状態で支持されている関係上、大重量のものの収納には適さず、比較的小さなもの、例えば調味料の容器、食器等の収納に適しているからである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】吊り戸棚を台所に設置した場合には、その内部に収納された調味料を料理の途中で頻繁に出し入れすることが多い。ところが、吊り戸棚が高い位置に設置されているため、容器の出し入れ、あるいは所望の容器の確認が比較的困難であるという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するために、請求項1に係る発明は、前面部が開口した箱状をなす戸棚本体と、この戸棚本体の開口部を開閉する扉とを備えた吊り戸棚において、上記戸棚本体と上記扉との間に、上記扉を上記戸棚本体に閉位置と開位置との間で変位可能に連結する連結部材を設け、上記扉が、上記閉位置では上記戸棚本体の開口部を閉じ、上記開位置では上記戸棚本体の下方にほぼ水平な状態で上記連結部材に支持されることを特徴としている。
【0005】この場合、上記連結部材として、上記戸棚本体の下側の左右に配置された一対の連結腕を用い、この一対の連結腕の各一端部を上記戸棚本体の背面側の左右の下端部に左右方向へ延びる水平な軸線を中心としてそれぞれ回動可能に連結し、各他端部を上記閉位置に位置しているときの扉の左右の下端部にそれぞれ連結固定するのが望ましい。上記戸棚本体と上記連結部材との間に、上記扉の開位置側への急速回動に対して抵抗を発揮するダンパを設けるのが望ましい。上記戸棚本体と上記連結部材との間に、上記扉を上記連結部材を介して閉位置側へ回動付勢する付勢手段を設け、この付勢手段の付勢力を、上記扉が閉位置から開位置側へ向かって所定の回動位置までの間では、重力による上記扉に対する開位置側への回動力より大きく、上記所定の回動位置から開位置までの間では重力による上記扉に対する開位置側への回動力と同等以下に設定するのが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態について、図1〜図5を参照して説明する。図3はこの発明に係る吊り戸棚1が設置された台所の一部を示す斜視図であり、台所には調理台Aおよび流し台Bが一体に設けられ、側壁Wに沿って配置されている。流し台Bの上方には、収容戸棚Cが設けられている。この収容戸棚Cの底板Ca(図2参照)下面には、吊り戸棚1が底板Caを貫通するボルト(図示せず)によって固定されている。吊り戸棚1は天井に固定してもよく、その背部を側壁Wに固定してもよい。
【0007】図1および図2に示すように、吊り戸棚1は、戸棚本体2と扉3とを備えている。戸棚本体2は、左右に対向した一対の側板21,21と、この一対の側板21,21の上部間、下部間および背部間にそれぞれ設けられた天板22、底板23および背板24とにより、前面が開口した四角形の箱状に形成されている。底板23は、側板21の下端より若干上側に配置されている。したがって、側板21の下端部は底板23から下方に突出している。
【0008】一方、扉3は、戸棚本体2の前面開口部を開閉するためのものであり、平板状に形成されている。扉3は、戸棚本体2の前面開口部を開閉するために、後述するようにして戸棚本体2に上下方向へ回動可能に連結されている。この場合、扉3は、閉位置と開位置との間を回動可能であり、閉位置に回動すると、図1において想像線で示すように、戸棚本体2の前面に突き当たってその開口部を閉じる。開位置に回動すると、図1において実線で示すように、戸棚本体2の下方に位置し、水平な状態になる。
【0009】図1および図5に示すように、上記一対の側板21,21の互いに対向する面の背面側の下端部には、支持板4がボルト81によってそれぞれ固定されている。各支持板4には、連結腕5の一端部(図1において上端部)がそれぞれ連結されている。すなわち、連結腕5の一端面(図1において上端面)には、その前面から後面まで貫通する収容溝51が形成されており、この収容溝51には支持板4の下部が挿入されている。そして、軸線を左右方向に向けた水平な支持軸82が連結腕5および支持板4を貫通しており、この支持軸82によって連結腕5の一端部が支持板4に上下方向へ回動自在に支持連結されている。連結腕5の他端部は、図1において想像線で示すように、扉3が閉位置に位置しているときには、水平方向前方へ向かって延び、扉3の下端部に連結固定されている。したがって、扉3が開位置に回動したときには、連結腕5がほぼ鉛直下方を向くようになり、長さの分だけが扉3が戸棚本体2に対して下方に位置することになる。
【0010】図4に示すように、上記支持板4の下面には、軸線を上下方向に向けたストッパボルト83が螺合されている。一方、連結腕5には、当接ピン84が固定されている。この当接ピン84は、扉3が閉位置側から開位置まで回動したときストッパボルト83に突き当たるように配置されている。したがって、扉3は、開位置を越えて回動することがない。しかも、ストッパボルト83のねじ込み量を適宜に調節することにより、扉3が開位置で水平になるように開位置を調節することができる。なお、支持板4と連結腕5との間には、扉3が開位置から閉位置側へ回動するのを阻止する係止機構を設けるのが望ましい。
【0011】上記支持板4と連結腕5との間には、連結腕5、ひいては扉3の低速回動は許容するが高速回動を阻止するダンパ機構6が設けられている。この場合、ダンパ機構6は、扉3の開方向および閉方向のいずれの回動方向に対しても抵抗を発揮するものを用いてもよいが、この実施の形態では、閉方向への回動に対しては抵抗を発揮せず、開方向への回動に対してのみ抵抗を発揮するものが用いられている。そのようなダンパ機構6によれば、開位置側へ高速回動する扉3よって怪我をするのを防止することができるのみならず、扉3を閉位置側へは楽に回動させることができるからである。なお、このようなダンパ機構6は、特開平5−10366号公報、その他に開示されているので、その具体構造についての説明は省略する。勿論、他の構造を有するダンパ機構を用いてもよい。
【0012】上記支持板4と連結腕5との間には、連結腕5を開位置側から閉位置側へ向かって回動付勢する付勢手段としてのカム機構7が設けられている。すなわち、連結腕5には、その収容溝51の底面から連結腕5の長手方向他端部側(図4および図5において下側)に延びる収容孔52が形成されている。この収容孔52には、保持部材71の下端部が摺動自在に設けられている。この保持部材71の上端部は、収容溝51内に突出しており、そこにはローラ72が軸73を介して回転自在に支持されている。このローラ72は、ばね74により保持部材71を介して支持板4側へ付勢されている。一方、ローラ72と対向する支持板4の下面には、カム面75が形成されている。このカム面75には、ローラ72が押し当てられている。
【0013】カム面75は、ばね74の直線的な付勢力を、連結腕5(扉3)を開位置側から閉位置側へ向かって回動させようとする回動力に変換する。この回動力は、扉3が閉位置から開位置側へ所定の角度範囲、例えば20程度の範囲では、扉3および連結腕5に作用する重力による扉3の開位置側への回動力より大きく、扉3が所定の角度範囲を越えて開位置側へ回動したときには、重力による扉3に対する開位置側への回動力と同等以下に設定されている。したがって、扉3は、外力が作用しない限り、閉位置および開位置に位置し続ける。しかも、扉3を開位置から閉位置側へ回動させる際には、カム機構7の回動付勢力の分だけ扉3を容易に回動させることができる。
【0014】上記構成の吊り戸棚1においては、扉3が開位置まで回動すると水平になるので、図3に示すように、扉3を戸棚本体2から取り出した調味料の容器C1,C2(図3参照)等を載置するための一時的な載置棚として用いることができる。しかも、扉3に載置した容器C1,C2については、開位置に回動した扉3が連結腕5の長さの分だけ戸棚本体2の下方に位置しているので、戸棚本体2から容器C1,C2を出し入れする場合に比して、容易に出し入れすることができる。また、所望の容器を容易に確認することができる。容器C1,C2の使用が完了したら、容器C1,C2を戸棚本体2内に戻し、扉3によって戸棚本体2を閉じる。
【0015】なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜設計変更可能である。例えば、上記の実施の形態においては、一対の連結腕5,5によって扉3を戸棚本体2に回動可能に連結しているが、他の連結構造、例えば平行リンク機構を採用してもよい。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜4に係る発明によれば、開位置に回動した扉を、戸棚本体から取り出した容器等の一時的な載置棚として使用することができる。しかも、扉に載置した容器等は、扉が戸棚本体より下方に位置するので、戸棚本体から出し入れする場合に比して容易に出し入れすることができるとともに、容易に確認することができるという効果が得られる。請求項3に係る発明によれば、扉が開位置側へ高速で回動するのを阻止することができるので、人体に扉がぶつかって怪我するのを防止することができるという効果が得られる。請求項4に係る発明によれば、扉を閉位置側へ容易に回動させることができ、しかも扉を閉位置に維持することができるという効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000107572
【氏名又は名称】スガツネ工業株式会社
【出願日】 平成10年7月17日(1998.7.17)
【代理人】 【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
【公開番号】 特開2000−33014(P2000−33014A)
【公開日】 平成12年2月2日(2000.2.2)
【出願番号】 特願平10−219770