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【発明の名称】 気密化粧料容器
【発明者】 【氏名】柚原 幸知

【要約】 【課題】気密化粧料容器における蓋体の容器本体に対する枢着部に傾斜方向の融通を積極的に与えることにより、蓋体によるパッキンの押圧力を全体的に均等化させて優れた気密性能を得ると共に、蓋体のスムーズな開閉とフリーストップを可能とする。

【解決手段】蓋体20の容器本体10に対する枢着部30を蝶番ピン31と蝶番孔32とで構成し、蝶番ピン31と蝶番孔32間の半径方向間隔を、枢着部30のほぼ中央の支持部34よりも両端側で大きくして、該支持部34を中心にして蝶番ピン31と蝶番孔32とが相対的に斜めに揺動し得るように、かつ、支持部34にて蓋体20が容器本体10に対して任意の開き角度位置に回動静止し得るように形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器本体と蓋体とをそれぞれの後方部において開閉自在に枢着し、前記容器本体に化粧料を収納する凹所を形成するとともに、前記容器本体の前記凹所の周縁部に位置するようにパッキンを設け、前記蓋体を閉じると前記パッキンにより前記凹所の周縁部が気密保持されるようにした気密化粧料容器において、前記蓋体の前記容器本体に対する枢着部を、前記蓋体又は容器本体の一方に設けた蝶番ピンと、前記蓋体又は容器本体の他方に設けられ前記蝶番ピンが挿通される蝶番孔とで構成し、前記蝶番ピンの軸方向中央部のみを前記蝶番孔に摺動回転自在に圧接させ、それ以外の軸方向端部と前記蝶番孔との間には隙間を形成したことを特徴とする気密化粧料容器。
【請求項2】 前記蝶番孔を前記蓋体又は容器本体に設けた蝶番片に形成すると共に、その蝶番片に前記蝶番孔と連通する割溝を形成したことを特徴とする請求項1に記載の気密化粧料容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化粧料を収納した携帯可能な気密化粧料容器に関するものであって、より具体的には、容器本体と蓋体とをそれぞれの後方部において開閉自在に枢着し、容器本体に化粧料を収納する凹所を形成するとともに、容器本体の前記凹所の周縁部に位置するようにパッキンを設け、蓋体を閉じると前記パッキンにより前記凹所の周縁部が気密保持されるようにした気密化粧料容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の気密化粧料容器としては、蓋体の内面に弾性のあるパッキンを設け、蓋体を閉じることによってパッキンが化粧料を収納する凹所の外周面上に押圧され、これによって凹所内を密閉するようにした気密化粧料容器がある。また、容器本体の凹所の周縁部にパッキンを設け、蓋体を閉じると蓋体がパッキンに当接して気密保持するようにした気密化粧料容器も知られている。
【0003】この種の気密化粧料容器における問題点の一つは、蓋体やパッキンあるいは容器本体にわずかな反りなどの変形があった場合、パッキン・容器本体間又は蓋体・パッキン間において互いに正常な密着が行なわれず、揮発性の化粧料を収納した凹所を安定的に気密保持することが困難となるという点である。
【0004】この問題点を解決するものとして、実開昭60−116907号公報に開示されたものがある。この気密化粧料容器では、蓋体の内面にパッキンを形成し、このパッキンの容器本体側に環状の嵌合壁を突出形成し、この嵌合壁を容器本体内の化粧皿の開口部の内周面に挿入嵌合することにより気密を保持し、蓋体あるいは容器本体に変形などが発生した場合でも安定的に気密を保持することができるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の気密化粧料容器にあっては、化粧料を収納した容器本体又は蓋体の一方に、それらの取付姿勢が変化しない固定状態で蝶番ピンを取り付け、この蝶番ピンを中心として蓋体が回動可能となるように容器本体に枢着するという構造を採用している。また、容器本体と蓋体との前端部間に設けられるフック機構で蓋体の閉止状態を保持するようになっている。このため、次のような解決すべき課題があった。
【0006】(1)第1の課題は、製造誤差等に起因して枢着部に変形、寸法バラツキ等が発生した場合、それがそのまま蓋体やパッキンあるいは容器本体の変形や相互の位置ずれとして現れ、気密化粧料容器の気密保持性能に悪影響を与えるという点である。
【0007】即ち、蓋体を閉じる際に、パッキンと容器本体間又は蓋体とパッキン間が平行とならず、環状のパッキンの周方向全域に見て全体的又は部分的に対接面の傾きを生じた場合、パッキンの直径方向の一側で所要の圧接力を得ようとすると、他側では押圧力が著しく大きくなって、当該部分のパッキンが部分的に強く圧縮されるため、パッキンがその周方向全域に見て均一に押圧されなくなり、気密性が低下すると共に、パッキンの耐久性が低下してしまうという課題があった。
【0008】例えば、パッキンと容器本体間又は蓋体とパッキン間に、蝶番ピンを含む水平面内で当該蝶番ピンを強引に左右方向に振れさせるような傾きが生じたり、又は当該蝶番ピンが無理に上下方向に振れさせられて上記水平面の外に出るような傾きが生じた場合、従来では、この傾きに相当する変位を許容する部位が存在しなかったため、パッキンと容器本体間又は蓋体とパッキン間では、この生じた傾きを修正して互いに正常な密着を行なわせることはできなかった。
【0009】また、蓋体内面のパッキンに突出形成した環状の嵌合壁を、容器本体の化粧皿の開口部の内周面に挿入嵌合する形態の気密化粧料容器においては、蓋体を閉じる際に、パッキンの環状の嵌合壁と開口部の内周面とが一致するのが理想的であるが、容器本体に蓋体を枢着する蝶番ピンの位置ずれにより、パッキンの環状の嵌合壁と開口部の内周面とが閉止する直前の同じ水平面内で位置ずれを起こしていることがある。かかる場合、パッキンの嵌合壁が化粧皿の開口部に部分的に重なったり不均一に接触する状態になる。従って、この状態からさらに蓋体を閉じ、化粧皿内にパッキンの嵌合壁を嵌入させようとするには比較的強い力を必要とし、それによって強引にパッキンの嵌合壁を変形させて、押し込まなくてはならなくなる。また、蓋体を開く場合も同様にパッキンの嵌合壁が化粧皿の開口部から離れるときに比較的強い力を必要とするなど、開閉操作時に於ける不具合を伴うようになるといった問題点があった。
【0010】さらに、パッキンの嵌合壁を強引に嵌入させるため、パッキンの嵌合壁に傷が付いたり、部分的に変形するなどの問題が発生し、気密化粧料容器の気密不良をまねく恐れがあった。
【0011】これらの問題点、即ち、蝶番ピンや蝶番孔に強引に左右に振れる方向の位置ずれが生じた場合、それがパッキンによる気密性能の低下を招くという問題点は、容器本体の凹所の周縁部に位置するように環状パッキンを設け、その環状パッキンの周囲に蓋体の環状の嵌合壁を嵌入させるようにした気密化粧料容器の形態においても、当てはまるものである。
【0012】(2)第2の課題は、容器本体に対して蓋体を任意の開閉角度位置で静止させるという、いわゆるフリーストップの実現が、上記課題の解決と同時に要請されるという点である。
【0013】即ち、上記第1の課題の解決だけを目的とするのであれば、例えば蓋体の容器本体に対する枢着部を構成するに際し、その蝶番孔とこれに挿通される蝶番ピンとの間の隙間を、蝶番ピンが蝶番孔内で自由に動き得るように大きく構成することが有効と考えられる。しかしながら、かかる構成の下では、上記フリーストップ機能の実現が全く不可能になってしまう。
【0014】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、蓋体の容器本体に対する枢着部に傾斜方向の融通を積極的に与えることにより、パッキンの押圧力を全体的に均等化させて優れた気密性能を得ると共に、蓋体のスムーズな開閉とフリーストップを可能とした気密化粧料容器を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の気密化粧料容器は、次のように構成したものである。
【0016】(1)請求項1に記載の発明は、容器本体と蓋体とをそれぞれの後方部において開閉自在に枢着し、前記容器本体に化粧料を収納する凹所を形成するとともに、前記容器本体の前記凹所の周縁部に位置するようにパッキンを設け、前記蓋体を閉じると前記パッキンにより前記凹所の周縁部が気密保持されるようにした気密化粧料容器において、前記蓋体の前記容器本体に対する枢着部を、前記蓋体又は容器本体の一方に設けた蝶番ピンと、前記蓋体又は容器本体の他方に設けられ前記蝶番ピンが挿通される蝶番孔とで構成し、前記蝶番ピンの軸方向中央部のみを前記蝶番孔に摺動回転自在に圧接させ、それ以外の軸方向端部と前記蝶番孔との間には隙間を形成したものである。
【0017】蝶番ピンの軸方向中央部のみを蝶番孔に摺動回転自在に圧接させ、それ以外の軸方向端部と蝶番孔との間には隙間を形成するようにしているので、蓋体を閉じる際に、仮にパッキンと容器本体間又は蓋体とパッキン間が平行とならず、環状のパッキンの周方向全域に見て全体的又は部分的に対接面の傾きを生じていたとしても、これに追従して枢着部の蝶番ピン又は蝶番孔が変位し、パッキンの押圧力を全体的に均等化させるため、優れた気密性能を得ることができる。
【0018】具体的に3つの場合に分けて説明する。
【0019】(a) 容器本体の凹所の周縁部にパッキンを設け、蓋体を閉じると蓋体がパッキンに当接して気密保持するようにした気密化粧料容器の場合かかる気密化粧料容器において、蓋体を閉じる際に、蓋体・パッキン間に、蝶番ピンを含む水平面内で当該蝶番ピンが上下方向に振れて上記水平面の外に出るような傾きが生じていたとする。この場合、パッキンの直径方向の一側が先に蓋体と接する。従って、その一側が接した時点よりパッキンの直径方向の他側が接する位置まで、枢着部の圧接箇所である蝶番ピンの軸方向中央部を中心にして蓋体が斜めに揺動し、上記対接面の傾きを吸収することになる。このため、蓋体からパッキンにかかる圧接力はパッキンの直径方向の両側で均等になる。よって、パッキンがその周方向全域に見て均一に押圧され、化粧料に対する所要の気密性が容易に確保される。
【0020】かかる作用効果は、下記の(b)(c)の形態の気密化粧料容器でも発揮されるものである。
【0021】(b) 容器本体の凹所の周縁部にパッキンを設ける一方、蓋体内面に上記パッキンに対応する環状突片を設け、蓋体を閉じるとその蓋体の環状突片が容器本体のパッキン外周に嵌装されて径嵌合し、気密保持するようにした気密化粧料容器(実施例1〜4)の場合かかる気密化粧料容器において、蓋体を閉じる際に、蓋体の環状突片と容器本体のパッキンとの間に、蝶番ピンを含む水平面内で当該蝶番ピンが左右方向に振れるような傾きが生じていたとすると、一時的には蓋体の環状突片が容器本体のパッキンに部分的に重なって不均一に接触する状態になる。しかし、上記圧接箇所を中心にして蝶番ピンと蝶番孔とが相対的に斜めに揺動し得るように枢着部を構成してあるので、そのまま蓋体を閉じて行くと、蓋体は、その蓋体の環状突片が全体として容器本体のパッキンの外周に挿入されるように変位する。従って、無理な力を加えずに容易に蓋体を閉じることができると共に、蓋体の環状突片と容器本体の環状パッキンとが一致するようになるため、結果的に蓋体と容器本体間に生じた傾きを修正して、互いに正常な密着を行なわせることができる。
【0022】(c) 蓋体内面にパッキンを設け、そのパッキンの嵌合壁を容器本体の開口部内に挿入嵌合する形態の気密化粧料容器の場合かかる気密化粧料容器において、蓋体を閉じる際に、蓋体と容器本体間に、蝶番ピンを含む水平面内で当該蝶番ピンが左右方向に振れるような傾きが生じていたとすると、一時的には蓋体のパッキンの嵌合壁が化粧皿の開口部に部分的に重なって不均一に接触する状態になる。しかし、上記圧接箇所を中心にして蝶番ピンと蝶番孔とが相対的に斜めに揺動し得るように枢着部を構成してあるので、そのまま蓋体を閉じて行くと、蓋体は、そのパッキンの嵌合壁が全体として容器本体の開口部に挿入されるように変位する。従って、無理な力を加えずに容易に蓋体を閉じることができると共に、パッキンの環状の嵌合壁と開口部の内周面とが一致するようになるため、結果的にパッキンと容器本体間に生じた傾きを修正して、互いに正常な密着を行なわせることができる。
【0023】上記3つの形態の気密化粧料容器において、本発明では、さらに上記枢着部が、蝶番ピンをその軸方向中央部にて蝶番孔に摺動回転自在に圧接するように構成されているので、蓋体が容器本体に対して任意の開き角度位置に回動静止しうることとなり、蓋体をスムーズに開閉し且つ任意の回動位置でフリーストップさせることができる。従って、非常に使い良い気密化粧料容器を得ることができる。
【0024】(2)請求項2に記載の発明は、前記蝶番孔を前記蓋体又は容器本体に設けた蝶番片に形成すると共に、その蝶番片に前記蝶番孔と連通する割溝を形成したものである。
【0025】この割溝の存在により、上記枢着部においては、蝶番ピンに対して蝶番片が撓み変形可能となる。すなわち、蝶番片は蝶番ピンに対してその相対移動が許容されることになる。
【0026】このため、蓋体を閉じる際、又は、容器本体と蓋体との前端部間に設けられるフック機構で蓋体を閉止した際の位置ずれを吸収することができる。即ち、通常は上記フック位置から枢着部までの距離が製作誤差等に起因して必ずしも一定でなく、このためフック位置を基点として上記枢着部に、外側方向への押圧力又は内側方向への引張り力がかかることがある。しかし、枢着部には上記割溝の存在により僅かながら水平方向の変位が許容されているため、かかる押圧力又は引張り力が枢着部にかかったとしても、その誤差を吸収することができる。従って、パッキンの押圧力を全体的に均等化させて優れた気密性能を得ると共に、蓋体の開閉をスムーズに行なわせることができ、非常に使い心地の良い気密化粧料容器を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
【0028】(実施形態1)図1から図5は本発明の気密化粧料容器の第1の実施形態を示し、図1は枢着部の分解斜視図、図2は蓋体を開いて枢着部を分離した状態の斜視図、図3は蓋体を閉止した状態の断面図、図4は蓋体を開いた状態の平面図、図5は蓋体を閉じた状態の図3の部分拡大図である。本実施形態は基本的には、容器本体10と蓋体20とをそれぞれの後方部において開閉自在に枢着し、容器本体10に化粧料13を収納する凹所11を形成するとともに、容器本体10の凹所11の周縁部11aに位置するようにパッキン15を設け、蓋体20を閉じるとパッキン15により凹所11の周縁部11aが気密保持されるようにした気密化粧料容器において、蓋体20の容器本体10に対する枢着部30を、蓋体20又は容器本体10の一方に設けた蝶番ピン31と、蓋体20又は容器本体10の他方に設けられ蝶番ピン31が挿通される蝶番孔32とで構成し、蝶番ピン31の軸方向中央部のみを蝶番孔32に摺動回転自在に圧接させ、それ以外の軸方向端部と蝶番孔32との間には隙間を形成して構成される。また特に、蝶番孔32を蓋体20又は容器本体10に設けた蝶番片35に形成すると共に、その蝶番片35に蝶番孔32と連通する割溝36を形成して構成されている。
【0029】本実施形態の気密化粧料容器は、図2に示すように、容器本体10と蓋体20とを、それぞれの後方部において、蝶番から成る枢着部30により開閉自在に枢着して構成されている。
【0030】容器本体10の上面には円形の凹所11が図3の如く設けられ、ここには揮発性の化粧料13を収納した化粧皿12が着脱自在に嵌着されている。また、容器本体10には、上記凹所11の周縁部11a、正確には凹所11の外周側に環状溝14が設けられ、ここに環状のパッキン15が嵌入されている。このパッキン15は、平坦な頂部15a及び該頂部から外周面の途中まで円弧状に膨出された膨出部15bを有し、頂部15aの内側端部は凹所11の周縁部11aの頂部と嵌合されている。さらに、環状溝14の内側面の上部には、その周方向の3箇所にフック機構の構成要素の一つである係合突起16が一体的に形成されている。
【0031】一方、蓋体20の下面には、上記パッキン15の外周を被うことができる大きさと位置関係で、環状突片21が設けられている。そして、蓋体20を閉じると、該蓋体20の環状突片21が図3の如く上記パッキン15に径嵌合してパッキン15の外周囲から当接し、従って図5の如くパッキン15の膨出部15bを半径方向内側に押圧して、気密を保持するようになっている。この環状突片21のパッキン15の外周囲への嵌入を容易にすると共に、蓋体20のパッキン15に対する心出しを可能にするため、環状突片21の内周面の下端には、先拡がり状の傾斜面21aが形成されている。
【0032】また蓋体20の環状突片21の外周面には、上記容器本体10の係合突起16に対応させて周方向の3箇所に爪片22が突設されていて、蓋体20を閉じるとその爪片22が容器本体10の係合突起16を乗り越えて下側に入り、当該爪片22と係合突起16とが係合して蓋体20が止錠状態を占めるようになっている。環状突片21で囲まれた蓋体20の裏面領域内には、閉鎖時にパッキン15の頂部15aに接して、凹所11を気密に封止する封止用突条23が設けられている。なお、24は蓋体20を開閉するための操作部である。
【0033】上記容器本体10と蓋体20との枢着部30は、上記蓋体20又は容器本体10の一方に設けた蝶番ピン31と、上記蓋体20又は容器本体10の他方に上記蝶番ピン31が挿通できるように設けられる蝶番孔32とで構成される。この実施形態の場合、枢着部30は、容器本体10の後方部に設けた蝶番ピン31と、蓋体20の後方部に設けた蝶番孔32とで構成されている。
【0034】図1に示すように、蝶番ピン31は、容器本体10の後方部に耳の形で設けた2つの蝶番片33間に架設されており、その蝶番ピン31の直径は軸方向に同一となっている。
【0035】しかし、上記蝶番ピン31の挿通される蝶番孔32は、そのほぼ中央部を上記蝶番ピン31とほぼ同一径の支持部34とし、この支持部34よりも両端側についてはその内径を徐々に外側になるほど大きく形成していて、蝶番ピン31の軸方向中央部のみを蝶番孔32に摺動回転自在に圧接させ、それ以外の軸方向端部と蝶番孔32との間には隙間を形成するようにしてある。換言すれば、蝶番ピン31と蝶番孔32との間の半径方向間隔を、枢着部30のほぼ中央の支持部34よりも両端側で大きくして、該支持部34を中心にして蝶番ピン31と蝶番孔32とが相対的に斜めに揺動し得るように、かつ、支持部34にて蓋体20が容器本体10に対して回動でき且つ任意の開き角度位置にて静止しうるように構成されている。また、蝶番孔32は蓋体20に設けた蝶番片35に形成され、その蝶番片35には、その蝶番孔32の直径方向に亘る割溝36が形成され、これによって蝶番片35は僅かながら可撓変形可能に蝶番ピン31を挟持し、かつ、若干拡開し得るようになっている。
【0036】要するに、この実施形態の場合、気密保持機構を有する気密化粧料容器において、容器本体10側に蝶番ピン31を一体的に形成し、蓋体20側に蝶番ピン31を挟持する割溝を備えた蝶番片35を設け、フリーストップを持たせた状態で容器本体10と蓋体20とを揺動可能に蝶着している。このため、蝶番部たる枢着部30に変形、寸法バラツキが発生しても、気密化粧料容器を閉じた状態では、蓋体20が自在に揺動し、気密シール部分は均一に当接する。
【0037】次に、上記のように構成された気密化粧料容器の枢着部の作用について更に詳しく説明する。
【0038】蝶番孔32内に、その蝶番孔32の半径方向外側から蝶番ピン31を挿入する。蝶番孔32は、そのほぼ中央部に最も径の小さい部分として形成された支持部34により蝶番ピン31で回動可能に支持される。これにより、蝶番孔32に一体の蓋体20は、枢着部30を中心として任意の開き位置に回動させることができ、かつ、その回動位置に静止(フリーストップ)させることが可能となっている。また蝶番孔32及びこれに一体の蓋体20の傾動は、蝶番ピン31と蝶番孔32との間の半径方向間隔内に限定されるが、枢着部30のほぼ中央の支持部34を中心として自在に傾動することができる。
【0039】蓋体20を容器本体10に対して閉じる時には、まず蓋体20の環状突片21の枢着部30に近い側が容器本体10の環状溝14内に入り、その傾斜面21aがパッキン15の膨出部15bに当たる。割溝36により付与されている可撓性により、僅かながら蓋体20の全体が後方へ変位し、これによって蓋体20の環状突片21の傾斜面21aは比較的容易にパッキン15の膨出部15bを通過し、蓋体20の環状突片21が図5に示すようにパッキン15の外周に嵌入する。
【0040】また、蓋体20を閉じる際に、枢着部30の軸線が、蓋体20と容器本体10が正しく整合する位置からずれており、環状突片21とパッキン15との間に、蝶番孔32を含む水平面内で当該蝶番孔32が相対的に左右方向に振れるような傾き(図4の紙面内の振れ)が生じていたとすると、一時的には蓋体20の環状突片21の嵌合壁がパッキン15に部分的に重なって不均一に接触する状態になる。しかし、支持部34を中心にして蝶番ピン31と蝶番孔32とが相対的に斜めに揺動し得るため、そのまま蓋体20を閉じて行くと、蓋体20は、その環状突片21が全体として容器本体10の環状溝14つまりパッキン15外周に挿入されるように変位する。従って、無理な力を加えずに容易に蓋体20を閉じることができると共に、パッキン15の環状突片21の嵌合壁とパッキン15の外周面とが一致するようになるため、結果的にパッキン15と蓋体20との間に生じていた傾きを修正して、互いに正常な密着を行なわせることができる。
【0041】この嵌入が終ると、環状突片21で囲まれた蓋体20の裏面領域内に設けてある封止用突条23が、パッキン15の頂部15aに接する。これによりパッキン15はその外周側に僅かに膨らみ、環状突片21に対する膨出部15bの密着性を高めて、凹所11を気密に封止する。
【0042】上記実施形態では、蓋体20に環状突片21を設けてあるが、この環状突片21を省略した形態にした場合でも、本発明を適用して、優れた機密保持性能を得ることができる。即ち、容器本体の凹所の周縁部にパッキンを設け、蓋体20を閉じると蓋体20がパッキン15に当接して気密保持するように構成した気密化粧料容器において、蓋体20を閉じる際に、蓋体20・パッキン15間に、蝶番孔32の中心線(又は蝶番ピン31)を含む水平面内で当該蝶番孔32が上下方向に振れて上記水平面の外に出るような傾きが生じていた場合には、パッキン15の直径方向の一側が先に蓋体20と接する。従って、その一側が接した時点よりパッキン15の直径方向の他側が接する位置まで、枢着部30のほぼ中央の支持部34を中心にして蓋体20が斜めに揺動し、上記対接面の傾きを吸収することになる。このため、蓋体20からパッキン15にかかる圧接力はパッキン15の直径方向の両側で均等になる。よって、パッキン15がその周方向全域に見て均一に押圧され、化粧料13に対する所要の気密性が容易に確保される。
【0043】また、上記実施形態ではパッキン15を凹所11の外周部に設けたが、パッキン15を蓋体20に設け、そのパッキン15の環状突片が上記凹所11内の開口部に嵌合して気密保持するように構成することもできる。
【0044】(実施形態2)図6から図8は本発明の気密化粧料容器の第2の実施形態を示し、図6は枢着部の分解斜視図、図7は蓋体を開いた状態の枢着部の拡大図、図8は蓋体の閉止状態の部分断面図である。
【0045】この第2の実施形態は、上記枢着部30において、蝶番ピン31の側に支持部37を形成した例である。即ち、図6及び図7に示すように、蓋体20の蝶番片35に設けた蝶番孔32は、その直径が軸方向に同一に形成されている。これに対し、容器本体10の蝶番片33間に架設した蝶番ピン31は、その軸方向のほぼ中央部が上記蝶番ピン31とほぼ同一径の支持部37として形成され、この支持部37よりも両端側についてはその外径が徐々に小さく形成されている。
【0046】換言すれば、この第2の実施形態においても、上記した第1の実施形態と同じく、蝶番ピン31と蝶番孔32との間の半径方向間隔を、枢着部30のほぼ中央の支持部37よりも両端側で徐々に大きくなるように形成して、該支持部37を中心にして蝶番ピン31と蝶番孔32とが相対的に斜めに揺動し得るように、かつ、支持部37にて蓋体20が容器本体10に対して回動でき且つ任意の開き角度位置にて静止しうるように構成されている。
【0047】また、蓋体20の環状突片21が図8の如くパッキン15の外周に径嵌合する際、割溝36の存在により、蝶番孔32が若干拡開して、スムーズな開閉及び気密性を高める作用をなすように構成されている点も、上記第1の実施形態と同じである。
【0048】(実施形態3)図9から図10は本発明の気密化粧料容器の第3の実施形態を示し、図9は枢着部の分解斜視図、図10は蓋体を開いた状態の枢着部の拡大図である。
【0049】この第3の実施形態は、上記第2の実施形態の枢着部30において、蝶番ピン31の側に設けた支持部37を、一点支持の形態ではなく、若干の幅を持った面的な支持形態に変えた例である。かかる構成の下でも、蓋体20の開閉における蝶番ピン31と蝶番孔32間の傾動による気密保持機能と、蓋体20の任意の回動位置でのフリーストップ機能とを確保することができる。
【0050】なお、上記第1の実施形態の枢着部30において蝶番孔32の側に設けた支持部34も、一点支持の形態ではなく、若干の幅を持った面的な支持形態に変えることもできる。
【0051】(実施形態4、5)上記第1〜第3の実施形態は一体構成の容器本体10であったが、第4の実施形態として図11に、また第5の実施形態として図12に示すように、容器本体10を、蝶番42により開閉可能に外蓋41の付いた外枠40と、その外枠40内に別途収納した皿枠50とで構成し、この皿枠50に、蓋体20との枢着部30を備える形態とすることもできる。
【0052】図11に示す第4の実施形態の場合、皿枠50は、その四隅の取付爪片51と共に外枠40内に収納され、その取付爪片51の下端に設けた外向き突起52を外枠40の内周面に設けた凹部43に嵌入することで、外枠40と一体化される。このとき枢着部30は外部に突出しないように外枠40の切欠44内に納められる。なお容器本体10には、その外枠40内の中央に化粧皿が収納される凹所11が嵌合する凹部47が形成され、また外蓋41の内側面にはバニティミラー48が取り付けられている。
【0053】図11に示す皿枠50の他の構造や、蓋体20の構造、及び枢着部30の構造は、上記第1の実施形態(図1)のものと同じである。外蓋41を外枠40に対して閉じ、フック機構を構成する係合突起45、46を掛け合わせることで気密化粧料容器全体が閉止状態に保持される。
【0054】図12に示す第5の実施形態は、外枠40内に収納される皿枠50を全体として長細く形成して、この皿枠50に、化粧料収納部たる凹所11と、化粧具収納部たる凹所53とを並べて形成したものであり、従って外蓋41の付いた外枠40もこれに対応して長細く形成されている。この点以外の構造は、枢着部30を含め、図11と同じである。
【0055】上述したように、従来では、パッキンと容器本体間又は蓋体とパッキン間が閉止時に平行とならず、環状のパッキンの周方向全域に見て全体的又は部分的に対接面の傾きを生じた場合、この傾きに相当する変位を許容する部位が存在しなかったため、パッキン・容器本体間又は蓋体・パッキン間において互いに正常な密着が行なわれず、安定的に気密を保持することが困難であった。しかし、本実施形態では、枢着部30のほぼ中央付近に位置する支持部34又は37を中心にして、蝶番ピン31と蝶番孔32とが相対的に揺動し得るように構成したので、パッキン15がその周方向全域に見て均一に押圧されない場合、それを修正して高い気密性を確保することができる。しかも、枢着部30のほぼ中央付近に位置する支持部34又は37では、蝶番ピン31の外径と蝶番孔32の内径とをほぼ同じにしているので、蝶番ピン31を蝶番孔32内で相対的に回動させることを可能ならしめると共に、蓋体20を容器本体10に対して任意の開き角度位置で静止させる、いわゆるフリーストップを実現することができる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次のような優れた効果が得られる。
【0057】(1)請求項1に記載の発明によれば、蓋体を閉じる際に、パッキンと容器本体間又は蓋体とパッキン間とが平行とならず、環状のパッキンの周方向全域に見て全体的又は部分的に対接面の傾きを生じた場合であっても、これに追従して枢着部の蝶番ピン又は蝶番孔が変位し、パッキンの押圧力を全体的に均等化させるため、優れた気密性能を得ることができる。
【0058】また、蓋体が容器本体に対して任意の開き角度位置に回動静止しうるので、蓋体をスムーズに開閉し且つ任意の回動位置でフリーストップさせることができ、非常に使い良い気密化粧料容器を得ることができる。
【0059】(2)請求項2に記載の発明によれば、蓋体をフック機構で閉止した際、仮にそのフック位置を基点として上記枢着部に外側方向への押圧力又は内側方向への引張り力がかかったとしても、これを吸収してパッキンの押圧力を全体的に均等化させ、化粧料収納部に対する優れた気密性能を得ると共に、蓋体の開閉をスムーズに行なわせることができる。
【出願人】 【識別番号】000160223
【氏名又は名称】吉田工業株式会社
【出願日】 平成11年2月4日(1999.2.4)
【代理人】 【識別番号】100071283
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 健輔 (外3名)
【公開番号】 特開2000−225020(P2000−225020A)
【公開日】 平成12年8月15日(2000.8.15)
【出願番号】 特願平11−27785