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【発明の名称】 ピアス用キャッチ
【発明者】 【氏名】三輪 昌弘

【要約】 【課題】貴金属製にしながらも、十分な弾性力を発揮させて、ピンが抜け落ちるのを防ぐことのできるピアス用キャッチを提供することである。

【解決手段】装飾体2に設けたピン1を、受け板部3の表側からピン挿入孔5に挿入すると、このピン1が、カールさせた複数本の板バネ部4の間に位置して、その弾性力によって挟持される構成にし、しかも、上記カールさせた板バネ部4内には、ピン1を挟持する方向に弾性力を付与する樹脂6、7を設けている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ピン挿入孔を形成した受け板部と、この受け板部と一体に成形するとともに、受け板部の裏側に向かって起立させ、曲げ加工によりカールさせた複数本の板バネ部とを備え、装飾体に設けたピンを、受け板部の表側からピン挿入孔に挿入すると、このピンが、カールさせた複数本の板バネ部の間に位置して、その弾性力によって挟持される構成にし、しかも、上記カールさせた板バネ部内には、ピンを挟持する方向に弾性力を付与する樹脂を設けたことを特徴とするピアス用キャッチ。
【請求項2】 カールさせた各板バネ部内に、樹脂を充填する構成にしたことを特徴とする請求項1記載のピアス用キャッチ。
【請求項3】 複数本の板バネ部のカール部分に樹脂製のリング材を掛け渡し、このリング材で板バネ部を締め付ける構成にしたことを特徴とする請求項1記載のピアス用キャッチ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、装飾体に設けたピンを挟持するためのピアス用キャッチに関する。
【0002】
【従来の技術】図8、9にしたがって従来例のピアス用キャッチについて説明する。図8に示すように、ピアスは、ピン1を設けてなる装飾体2と、後述するピアス用キャッチCとからなる。このピアスを使用するときは、具体的に図示しないが、装飾体2に設けたピン1を、耳にあけたピアス孔に挿入し貫通させる。そして、耳の裏側で、このピン1をピアス用キャッチCで受けてやる。
【0003】ピアス用キャッチCは、金やプラチナ等の貴金属からなり、図9にも示すように、略円形の受け板部3と、この受け板部3の側部に一体に成形した一対の板バネ部4とからなる。そして、一対の板バネ部4を受け板部3の裏側に向けて起立させるとともに、それぞれ内側に向けてカールさせるように曲げ加工している。このようにカールさせた一対の板バネ部4は、互いに隣り合う方向に弾性力を発揮することになる。さらに、上記受け板部3の中央付近には、ピン挿入孔5を形成している。このようにしたピン挿入孔5の軸線は、上記カールさせた一対の板バネ部4間にちょうど位置することになる。
【0004】前述したように、ピン1を耳にあけたピアス孔に挿入したら、上記ピアス用キャッチCを耳の裏側に持ってきて、ピン1を、このピアス用キャッチCの受け板部3の表側からピン挿入孔5に挿入する。そして、そのままピン1を進めていくと、このピン1が、隣り合う一対の板バネ部4間に挿入される。したがって、これら板バネ部4が弾性に抗して押し広げられ、ピン1を挟持する方向に弾性力を発揮することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例のピアス用キャッチCでは、金やプラチナ等の貴金属を曲げ加工して、弾性力を発揮させるようにしている。しかし、金やプラチナ等の貴金属を曲げ加工するだけでは、十分な挟持力を得ることができない。特に、金やプラチナ等の貴金属は一般的に軟らかいものが多く、どうしても弾性力に限界があり、その弾性力をできるだけ強くしようとすると、板バネ部4に厚みを持たせなければならず、コストが高くなってしまう。また、弾性力を十分に発揮させられないということは、言い換えれば、復帰力も弱く、何回もピン1を出し入れするうちに、板バネ部4が変形してしまうおそれがある。そして、板バネ部4が変形して押し広げられたままになると、ピン1が抜けやすくなってしまう。
【0006】一方、最近では、具体的に図示しないが、樹脂体にピン挿入孔を形成してなるピアス用キャッチが使用されることもある。このピアス用キャッチは、ピンをピン挿入孔に挿入すると、樹脂体自身の弾性力によって、そのピンを挟持するようにしたものである。このようにした樹脂製のピアス用キャッチでは、十分な弾性力を発揮させることができ、耐久性にも優れるが、どうしても装飾性に欠け、安っぽいイメージをつくってしまう。また、樹脂の場合、ピンに人の脂や汗が付着していると、貴金属製のものに比べて滑りやすく、ピンが抜けやすくなってしまう。この発明の目的は、貴金属製にしながらも、十分な弾性力を発揮させて、ピンが抜け落ちるのを防ぐことのできるピアス用キャッチを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、ピアス用キャッチに係り、ピン挿入孔を形成した受け板部と、この受け板部と一体に成形するとともに、受け板部の裏側に向かって起立させ、曲げ加工によりカールさせた複数本の板バネ部とを備え、装飾体に設けたピンを、受け板部の表側からピン挿入孔に挿入すると、このピンが、カールさせた複数本の板バネ部の間に位置して、その弾性力によって挟持される構成にし、しかも、上記カールさせた板バネ部内には、ピンを挟持する方向に弾性力を付与する樹脂を設けた点に特徴を有する。
【0008】第2の発明は、第1の発明において、カールさせた各板バネ部内に、樹脂を充填する構成にした点に特徴を有する。
【0009】第3の発明は、第1の発明において、複数本の板バネ部のカール部分に樹脂製のリング材を掛け渡し、このリング材で板バネ部を締め付ける構成にした点に特徴を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】図1に、第1実施例のピアス用キャッチCを示す。ピアス用キャッチCは、前述したように、略円形の受け板部3と、この受け板部の側部に一体に成形した一対の板バネ部4とからなる。そして、一対の板バネ部4を受け板部3の裏側に向けて起立させるとともに、それぞれ内側に向けてカールさせるように曲げ加工している。また、受け板部3の中央付近には、ピン挿入孔5を形成している。さらに、カールさせた板バネ部4内には、それぞれシリコンゴム6を充填している。具体的には、あらかじめ曲げ加工し終えたピアス用キャッチCを金型内にセットし、溶かしたシリコンゴム6を、カールさせた板バネ部4内に流し込んで硬化させる。
【0011】このようにした第1実施例のピアス用キャッチCでは、カールさせた板バネ部4の弾性力に加え、シリコンゴム6の弾性力を作用させるので、十分な挟持力を得ることができる。しかも、シリコンゴム6の弾性力を作用させるので、板バネ部4にさほど強い弾性力は要求されない。したがって、この板バネ部4の厚みを薄くすることができ、高価な貴金属部分の材料費を抑えて、コストダウンを図ることも可能となる。
【0012】また、何回もピン1を出し入れしたときでも、シリコンゴム6によって復帰力を確保できるので、板バネ部4が変形したままになるのを防ぎ、挟持力を長期間維持することができる。なお、貴金属を使用するので、装飾性に欠けることもない。また、ピン1を直接挟持するのは貴金属製の板バネ部4なので、ピン1に人の脂や汗が付着していても、樹脂に比べれば、そのピン1を滑りにくくすることができる。
【0013】図2〜5には、第2実施例のピアス用キャッチCを示す。この第2実施例は、カールさせた板バネ部4内にシリコンゴム6を充填するのではなく、図2に示すように、板バネ部4のカール部分にシリコンゴム製のリング材7を掛け渡し、このリング材7で、板バネ部4を締め付けるようにしたものである。図3には、このリング材7を、どのようにして板バネ部4のカール部分に掛け渡すかを示す。図3(a)に示すように、板バネ部4を内側に向けて曲げ加工するとき、これら板バネ部4の先端をリング材7内に上方から挿入する。そして、図3(b)に示すように、板バネ部4を、受け板部3の裏側に当接させるまで曲げ加工する。
【0014】なお、例えばリング材7の径が大きいと、このリング材7の締め付け力が弱くなり、その弾性力を効果的に作用させることができなくなる。十分な弾性力を得るために、リング材7の径等の寸法をしっかりと管理しておくことが考えられる。そして、その寸法管理によって、板バネ部4をカールさせたとき、このリング材7が適度な締め付け力を発揮するようにすればよい。あるいは、リング材7として、熱を与えることで収縮する材質の樹脂を用いてもよい。このようにすれば、図3で説明したようにリング材7を組み込みながら板バネ部4を曲げ加工した後に、熱を与えることで、このリング材7を収縮させて適度な締め付け力を発揮させることができる。この場合は、リング材7の径等の寸法に厳密な管理が要らず、組み付け性を向上させることができる。
【0015】また、図4に示すように、リング材7を掛け渡すのに他の方法も考えられる。図4(a)に示すように、リング材7の一部を開口させておく一方、ピアス用キャッチCでは、あらかじめ曲げ加工を終えておく。そして、これら板バネ部4の側方から、上記リング材7の開口部分の一端をいずれか一方の板バネ部4内に挿入し、他端をいずれか他方の板バネ部4内に挿入する。この状態で、リング材7の端部同士、すなわち、図4(b)に示すk部分をつなぎ止めれば、板バネ部4をリング材7で締め付けることができる。なお、リング材7の端部同士をつなぎ止めるのに、接着剤を用いて接着してもよいし、超音波溶着などにより溶着してもよい。この場合は、リング材7の端部同士をつなぎ止めるときに、このリング材7の締め付け具合を調整することも可能である。
【0016】このようにした第2実施例のピアス用キャッチCでも、上記第1実施例と同じく、貴金属製とした利点を生かしつつ、リング材7の弾性力も加えた十分な挟持力を得ることができる。また、何回もピン1を出し入れしたときでも、リング材7によって復帰力を確保できるので、挟持力を長期間維持することができる。しかも、ただシリコンゴム6を充填するだけでなく、リング材7によって積極的に締め付け力を作用させるようにしたので、ピン1の抜けをさらに効果的に防止することができる。
【0017】さらに、この第2実施例の場合、リング材7を使用するので、シリコンゴム6を充填するのに比べれば、軽量化を図ることができる。また、上記リング材7の一部が板バネ部4の側方に突出した格好になるので、その部分を持つことで、ピアス用キャッチCをつかみやすくすることができる。なお、リング材7の断面は、どのような形状にしてもよい。例えば、リング材7の断面を、図5に示すように、O型の両側に一対の平面部8を形成した形状にしておけば、断面を単にO型にしたものに比べて、滑りにくくすることができる。
【0018】図6、7には、第3実施例のピアス用キャッチCを示す。この第3実施例は、ピアス用キャッチCの板バネ部4を3本にするとともに、これら板バネ部4のカール形状を変更したものである。図6に示すように、ピアス用キャッチCは、略円形の受け板部3と、この受け板部3の側部に一体に成形した3本の板バネ部4とからなる。
【0019】そして、図7に示すように、3本の板バネ部4を受け板部3の裏側に向けて起立させるとともに、それぞれ内側に曲げつつ、上端付近を外側に向けてカールさせるように曲げ加工している。このようにカールさせた3本の板バネ部4は、互いに当接し合う方向に弾性力を発揮することになる。なお、上記第1、2実施例のピアス用キャッチCと同じく、受け板部3の中央付近には、ピン挿入孔5を形成している。このようにしたピン挿入孔5の軸線は、上記カールさせた3本の板バネ部4間にちょうど位置することになる。
【0020】このようにした第3実施例のピアス用キャッチCでは、板バネ部4の上端を外側に向けてカールさせるときに、これら3カ所のカール部分に、シリコンゴム製のリング材7を掛け渡しはめ込んでいる。したがって、カールさせた板バネ部4の弾性力に加え、リング材7の弾性力を作用させることができ、十分な挟持力を得ることができる。また、何回もピン1を出し入れしたときでも、リング材7によって復帰力を確保できるので、挟持力を長期間維持することができる。もちろん、この第3実施例の場合でも、上記第1実施例と同じく、板バネ部4のカール部分にシリコンゴム6を充填するようにしてもかまわない。
【0021】
【発明の効果】この発明によれば、カールさせた板バネ部の弾性力に加え、樹脂の弾性力を作用させるので、十分な挟持力を得ることができる。しかも、樹脂の弾性力を作用させるので、板バネ部にさほど強い弾性力は要求されない。したがって、この板バネ部の厚みを薄くすることができ、高価な貴金属部分の材料費を抑えて、コストダウンを図ることも可能となる。
【0022】また、何回もピンを出し入れしたときでも、樹脂によって復帰力を確保できるので、板バネ部が変形したままになるのを防ぎ、挟持力を長期間維持することができる。なお、貴金属を使用するので、装飾性に欠けることもない。また、ピンを直接挟持するのは貴金属製の板バネ部なので、ピンに人の脂や汗が付着していても、樹脂製のものに比べれば、そのピンを滑りにくくすることができる。
【0023】第2の発明によれば、樹脂を充填するのに、例えば、溶かした樹脂を流し込んで硬化させるだけでよいので、比較的簡単に樹脂を設けることができる。
【0024】第3の発明によれば、樹脂製のリング材を使用するので、樹脂を充填するのに比べれば、軽量化を図ることができる。また、リング材の一部が板バネ部の側方に突出した格好になるので、その部分を持つことで、ピアス用キャッチをつかみやすくすることができる。
【出願人】 【識別番号】591164668
【氏名又は名称】株式会社光彩工芸
【出願日】 平成11年3月3日(1999.3.3)
【代理人】 【識別番号】100076163
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋 宣之
【公開番号】 特開2000−245513(P2000−245513A)
【公開日】 平成12年9月12日(2000.9.12)
【出願番号】 特願平11−54945