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【発明の名称】 片手でスムーズな締付け、係合を可能とする面ファスナー緊締具
【発明者】 【氏名】矢野 貫之

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 雌雄の面ファスナーを係合手段とする、面ファスナー緊締具に於いて、少なくとも可撓性を持つ平板状基材の緊締部材の一方の先端側には、容易に変形しない環状部材を設けると共に、該環状部材の更に先端側には内側面に面ファスナーを持つ係合片を設け、残る一方の緊締部材は環状部材の環状内部にスムーズな挿通が可能で、夫々の緊締部材が環状部材を介して互いに交差する形態とし、緊締部材の係合片の面ファスナーとの対接面にはこれと係合する側の面ファスナーを設けたことを特徴とする、片手でスムーズな締付け、係合を可能とする面ファスナー緊締具。
【請求項2】 前記、緊締部材が環状部材を介して互いに交差することにより構成される二組の対接面のうちの、前記の他の対接面の相互にも雌雄の面ファスナーを設け、ダブルロック機構とした請求項1記載の、片手でスムーズな締付け、係合を可能とする面ファスナー緊締具。
【請求項3】 環状部材に、指当て部を設けた請求項1または請求項2記載の、片手でスムーズな締付け、係合を可能とする面ファスナー緊締具。
【請求項4】 緊締部材が腕時計のベルトである、請求項1または請求項2または請求項3記載の、片手でスムーズな締付け、係合を可能とする面ファスナー緊締具。
【請求項5】 前記、腕時計のベルトの一対の相互間を、中折れ連結部材で連結した、請求項4記載の、片手でスムーズな締付け、係合を可能とする面ファスナー緊締具。
【請求項6】 雌雄の面ファスナーを係合手段とする、面ファスナー緊締具に於いて、少なくとも可撓性を持つ平板状基材の表裏に夫々雌雄の面ファスナーを一体的に構成したものであって、緊締部材の一方の先端側には、容易に変形しない環状部材を設けると共に、該環状部材の更に先端側にも前記雌雄の面ファスナーで構成された係合片を設け、残る一方の緊締部材は環状部材の環状内部にスムーズな挿通が可能で、夫々の緊締部材が環状部材を介して互いに交差する形態としたことを特徴とする、片手でスムーズな締付け、係合を可能とする面ファスナー緊締具。
【請求項7】 環状部材が鳩目状金属製部材である、請求項1または請求項2または請求項6記載の、片手でスムーズな締付け、係合を可能とする面ファスナー緊締具。
【請求項8】 環状部材が樹脂製で、一対の雌雄の嵌合構造であると共に、少なくとも可撓性を持つ平板状基材に噛み込む歯状部を持つものである、請求項1または請求項2または請求項6記載の、片手でスムーズな締付け、係合を可能とする面ファスナー緊締具。
【請求項9】 緊締方向と直交する側に開口部を設けた環状部材である、請求項1または請求項2または請求項6記載の、片手でスムーズな締付け、係合を可能とする面ファスナー緊締具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベルクロ(登録商標)、マジックテープ(登録商標)、等の名で広く知られている面ファスナーを係合手段とする、面ファスナー緊締具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の面ファスナー緊締具は、図6に示す如く、雌面ファスナー(ループ面)を持つ緊締部材の先端部に雄面ファスナー(フック面)部を設け、環状部材を介して折り返す方式、乃至はこれと雌雄が逆の構成によるもの、或いは単に雌雄の面ファスナーを付着させる方式によるものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の面ファスナー緊締具の前者にあっては、締付け作用を得るに当たっては、環状部材を介して折り返す所作によってのみ得られるが為、緊締部材の素材には極めて柔軟な屈曲性を持つもののみに限定される難点があった。例えば、腕時計の一般的な皮革製ベルトの場合、適度な腰の強さを持ち、環状部材を介しての極端な折り返しには適さない為、実現し得なかった。
【0004】本発明は、締付け作用を得る場合に、従来の面ファスナー緊締具と同様に環状部材を介して折り返す手段に於いても、さらに従来技術に於いては不可能であった、折り返しを伴わない手段、の何れに於いても片手でスムーズな締付け、係合を可能とする面ファスナー緊締具を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に於いては、少なくとも可撓性を持つ平板状基材の緊締部材の一方の先端部には、容易に変形しない環状部材を設けると共に、該環状部材の更に先端側には内側面に面ファスナーを持つを設け、残る一方の緊締部材は環状部材の環状内部にスムーズな挿通が可能で、夫々の緊締部材が環状部材を介して互いに交差する形態とし、緊締部材の係合片の面ファスナーとの対接面にはこれと係合する側の面ファスナーを設けたことを特徴とするものである。
【0006】前記、平板状基材の緊締部材は柔軟性に富むものは無論であるが、撓む程度の腰の強さを持つ素材に於いても目的を達成することが可能である。
【0007】前記、緊締部材の一方、残る一方の緊締部材とは、腕時計の皮革製ベルトの場合のような基本的にはツーピースの構成の場合の夫々のみならず、図12に示す如くの一本の緊締部材の場合に於いても環状部材を設けた近傍部分を一方とし、環状部材に挿通する部分を残る一方と指すものである。
【0008】本発明では、緊締部材が環状部材を介して交差する構成であるため、緊締部材相互間に出来る対接面は必然的に二組となる。二組の夫々の対接面に雌雄の面ファスナーを設けた場合、ダブルロック機構となり、用途によっては信頼性の面からは好ましいと言える。
【0009】本発明は、前記の折り返しを伴わない場合に於いても片手でスムーズな締付け、係合を可能とするものであるが、図8の態様は腕時計のベルトの実施例である。即ち、環状部材の先端側に面ファスナーを持つ係合片を設けた本発明では、図のように環状部材部分を親指で前方に押すことによりスムーズな締付けが可能である。締付け力を大きくしたい場合には、環状部材に指当て部を設けるとよい。
【0010】面ファスナーを用いた腕時計のベルトは腕への取りつけ、取り外しが極めてスピーディーかつ簡単である。この為、不用意に取り外すと腕時計を落下させることにもなりかねない。このようなことを未然に防止するには、本発明の腕時計のベルトの一対の相互間を中折れ連結部材で連結するとよい。
【0011】古くからある面ファスナーで一般的なものは、雌雄の面ファスナーが夫々別々となっているが、表裏に夫々雌雄の面ファスナーを一体的に構成したものも開発されている。少なくとも可撓性を持つ平板状基材の表裏に夫々雌雄の面ファスナーを一体的に構成したものであって、緊締部材の一方の先端側には、容易に変形しない環状部材を設けると共に、該環状部材の更に先端側にも前記雌雄の面ファスナーで構成された係合片を設け、残る一方の緊締部材は環状部材の環状内部にスムーズな挿通が可能で、夫々の緊締部材が環状部材を介して互いに交差する形態としても本発明は実施できる。
【0012】本発明に於いては、スムーズな締付けと充分な緊締力を保持するために、環状部材には容易に変形しない、緊締に必要にして充分な強度が求められる。緊締部材に環状部材を構成する上で、環状を形成するための穴を穿つ場合に於いては環状部材として、鳩目状金属製部材を用いるとよい。
【0013】前記、鳩目状金属製部材をプラスチック素材で構成する場合に於いては、環状部材が樹脂製で、一対の雌雄の嵌合構造であると共に、緊締部材に噛み込む歯状部を持つもので可能となる。
【0014】また、環状部材が、閉じた環状では不都合な用途に対応するものとして、環状部材が、緊締方向と直交する側に開口部を設けたものも可能である。
【0015】
【作用】先ず、従来の技術による作用を図6で説明すると、環状部材13の中に挿通した緊締部材22には外面側に雌面ファスナー5が構成されており、先端部にはこれと係合する雄面ファスナー6が構成されている。図に於いてA方向に力を加えることで締付け作用がなされ、締付けた状態のままB方向に移動することで雌雄の面ファスナー相互が係合する。
【0016】前記構成による本発明の作用は、緊締部材の素材が極めて柔軟な屈曲性を持つものである場合は、図1に於いて、従来の面ファスナー緊締具と同様にA方向に力を加えることで締付け作用がなされ、締付けた状態のままB方向に移動することで環状部材3の先端側に設けた係合片4も移動し、係合片4の内側面と緊締部材2の外側面の夫々に設けられた雌雄の面ファスナー相互が係合する。
【0017】緊締部材が環状部材を介して交差することによって、緊締部材相互間に出来る二組の対接面の夫々に雌雄の面ファスナーを設けた図2の構成に於いては、図3から図5で示す矢印のAからBの所作に加えCの所作によりダブルロックの作用が得られるものである。
【0018】緊締部材の素材が、例えば一般的な腕時計のベルトの皮革のような、ある程度の腰の強さを持つ素材である場合、図8の如く、環状部材23を親指で前方に押す所作により、緊締部材を折り返すことなくスムーズな締付けが出来る。更に締付けた状態から親指を係合片14にスリップさせることで瞬時に雌雄の面ファスナー相互が係合し、緊締作用が得られるものである。
【0019】係合片の面積は雌雄の面ファスナーの係合力を左右するものであり、用途によってその大きさを決定する必要がある。使い勝手からは例えば、図1、図2の実施態様の場合で係合片4が環状部材3に確実に軸着されているとした場合に於いて、係合片4が自重で垂れ下がり、面ファスナー相互が接触しない程度に止めるのが好ましい。
【0020】
【実施例】実施例を図面によって説明すると、図1は緊締部材全体をフレキシブルな雌面ファスナーで構成し、硬質プラスチック製環状部材3には、締付け時に係合片4と緊締部材とを接触させないためのガイド部7を設けてあり、係合片4には雄面ファスナー6を設けている。図2は緊締部材12の先端部にも雄面ファスナー6を設けたもので、ダブルロック機構が得られるものである。
【0021】図7は環状部材23に指当て部8を設けた実施例。図8は腕時計への実施例である。図は締付けを行っている状態であり、次ぎの動作である係合をスムーズに行う為には、係合片14へ親指をスリップさせやすくする上で、指当て部8の山の高さは高くし過ぎないほうが好ましい。
【0022】図9から図11は腕時計への実施態様で、図9はダブルロック機構としたもの。図10は中折れ連結部材16をフレキシブルな素材で構成したもの。図11は中折れ連結部材16を持つと共に、ダブルロック機構としたものを夫々示す。
【0023】図12から図16は雌雄の面ファスナーを表裏に一体的に備えた面ファスナー自体を緊締部材とした緊締具の実施例で、図12に於いて、前記図3から図5で述べたのと同様、A、B、C、の順の所作にてダブルロック機構が得られる。図13、図14では環状部材33を鳩目状金属製部材で実施したもの。また、鳩目であっても可能であるが、長円形状である方が好ましい。図15は環状部材43をプラスチック製としたもので、一対の雌雄の嵌合構造を持ち、ヒンジ部18を折り曲げ、前記緊締部材に予め孔を開けておき嵌合させる。実施例では、複数の歯状部20を設けてありこれが緊締部材に噛み込み一体的な構成となる。図16は環状部材53の、緊締方向と直交する側に開口部29を設けたものである。
【0024】図17はクロコダイル皮革製腕時計ベルト、図18は靴、図19は鞄、図20は手袋への実施例を示す。図示しないが、ズボン、スカート等に用いる腰ベルトへの実施も可能である。また、ウェアラブル情報機器類への実施にも適する。
【0025】
【発明の効果】本発明は、以上の説明のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0026】緊締部材がフレキシブルなものにあっては、従来技術と同様に環状部材を介しての、折り返しによる締付けが出来る。
【0027】さらに、ダブルロック機構も可能であり、緊締の信頼製が向上する。
【0028】また、緊締部材が極端な折り返しに適さない材質の場合に於いても対応出来るので、例えば腕時計のベルトの場合、従来技術では織布製ストラップにほぼ限定されていたものが、牛革を始め、コードバン、爬虫類皮革、更には人工皮革等にも対応出来る。即ち面ファスナーの持つ優れた機能が、織布製ストラップに限定されることなく、高級感を打ち出せる天然皮革でも実現出来ることとなり、この分野に於いては画期的とも言える。
【0029】人の手首の太さは、体温、血圧の変動等により絶えず変化するものである。従来の天然皮革製腕時計ベルトの場合の尾錠に於いては、ベルトに穿った穴の間隔で段階的にしか調節できなかったものが、本発明では面ファスナーの持つ無段階調節が可能となり、常に最適なフィッティング感覚が得られる。
【0030】また、環状部材に指当て部を設けると、折り返しを伴わない場合に於ても片手での確実な締付けが可能となる。
【0031】また、腕時計のベルトの一対の相互間を、中折れ連結部材で連結すると、不用意な落下を防止出来るばかりでなく、腕へ装着しようとする段階に於いても至便である。
【0032】腕時計のベルトの場合で、従来技術の折り返しを伴う緊締に於いては、手首を中心として回転力が作用する難点があったが、本発明では図8の緊締所作によるため、回転方向の力が作用せず、確実に所望の位置での位置決めが可能となる。
【0033】雌雄の面ファスナーを表裏に一体的に構成した面ファスナーを緊締部材とする本発明に於いては、実施例で述べた環状部材を用いることで簡便にして本発明を量産可能であり、またダブルロック機構が必然的に得られる利点がある。
【0034】緊締部材が極めて長い場合、或いは頻繁に緊締をくり返すような場合で、環状部材が閉ループ状では煩わしい場面も少なからずある。環状部材に開口部を設けた本発明は図16に示す、測部の開口部から緊締部材の任意の部位を挿入出来る利便性を生むものである。
【出願人】 【識別番号】593068236
【氏名又は名称】矢野 貫之
【出願日】 平成11年6月9日(1999.6.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−342307(P2000−342307A)
【公開日】 平成12年12月12日(2000.12.12)
【出願番号】 特願平11−199382