| 【発明の名称】 |
面ファスナー雌材及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】有里 敏幸
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| 【要約】 |
【課題】ループの高さを均一にして接着性に優れる面ファスナー雌材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】繊維の太さが1〜20デシテックス合成繊維からなる、目付が60〜1500g/m2の不織布のニードルの貫通面側に剥離用シートを重ねてニードルパンチした後、不織布から剥離用シートを剥離させることにより不織布にループを形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 合成繊維から構成される不織布からなり、前記不織布は、ニードルの貫通面側に剥離用シートを重ねた状態でニードルパンチされた後、前記剥離用シートを剥離させることにより形成されるループを有するものであり、且つ、前記不織布の目付は、60〜1500g/m2であり、前記合成繊維の太さは、1〜20デシテックスであることを特徴とする面ファスナー雌材。 【請求項2】 前記ループの高さは、1〜10mmであり、前記ループの高さのバラツキは、±20%以内であることを特徴とする請求項1記載の面ファスナー雌材。 【請求項3】 前記不織布は、スパンボンド不織布であることを特徴とする請求項1又は2に記載の面ファスナー雌材。 【請求項4】 前記剥離用シートは、不織布又は編織物からなり、前記剥離用シートの厚さは、前記ループの高さ以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の面ファスナー雌材。 【請求項5】 繊維の太さが1〜20デシテックスの合成繊維からなる、目付が60〜1500g/m2の不織布のニードルの貫通面側に剥離用シートを重ねてニードルパンチした後、前記不織布から前記剥離用シートを剥離させることにより前記不織布にループを形成することを特徴とする面ファスナー雌材の製造方法。 【請求項6】 高さが1〜10mmで該高さのバラツキが±20%以内のループを形成することを特徴とする請求項5記載の面ファスナー雌材の製造方法。 【請求項7】 前記不織布をスパンボンド法により作製することを特徴とする請求項5又は6に記載の面ファスナー雌材の製造方法。 【請求項8】 前記剥離用シートとして、前記ループの高さ以上の厚さを有する不織布又は編織物を用いることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の面ファスナー雌材の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、均一なループを有する面ファスナー雌材及びその製造方法に関し、主に、生活資材、土木資材等に使用される面ファスナー雌材及びその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】面ファスナーは、基本的には、フックを有する面ファスナー雄材と該フックに係合するループを有する面ファスナー雌材とから構成され、使用される用途及び条件に応じて形状、材質等が検討及び工夫され、今日に至っている。しかしながら、その多くは、フックを含む雄材に関するものであり、ループを含む雌材に関するものが非常に少ないのが現状である。 【0003】また、従来からニードルパンチにより製造される不織布は、そのシートの伸びに自在性を有することから、地盤改質用の土木資材等に広く使用されてきた。このようなシートの間を繋ぐ際、従来では杭や接着剤等で仮止めしてきたが、近年では仮止めの簡便さから面ファスナーが普及してきている。しかしながら、従来の不織布では、ニードルパンチにより形成されるループの高さが不均一であったり、剥離時にループが破断して髭状になったりするため、接着力がばらつくという問題があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ループの高さを均一にして接着性に優れる面ファスナー雌材及びその製造方法を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者は、面ファスナー雌材に形成されるループの高さのバラツキに着目し、該ループの製造方法等について鋭意検討を行い、面ファスナー雌材に剥離用シートを重ねた状態でニードルパンチすること等により、ループの高さを均一化して接着力を高めると共に安定させ得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。 【0006】すなわち、本発明の面ファスナー雌材は、合成繊維から構成される不織布からなり、前記不織布は、ニードルの貫通面側に剥離用シートを重ねた状態でニードルパンチされた後、前記剥離用シートを剥離させることにより形成されるループを有し、前記不織布の目付は、60〜1500g/m2であり、前記合成繊維の太さは、1〜20デシテックスである。 【0007】また、前記ループの高さは、1〜10mmであり、前記ループの高さのバラツキは、±20%以内であることが好ましい。 【0008】また、前記不織布は、スパンボンド不織布であることが好ましい。 【0009】また、前記剥離用シートは、不織布又は編織物からなり、前記剥離用シートの厚さは、前記ループの高さ以上であることが好ましい。 【0010】また、本発明の面ファスナー雌材の製造方法は、繊維の太さが1〜20デシテックス合成繊維からなる、目付が60〜1500g/m2の不織布のニードルの貫通面側に剥離用シートを重ねてニードルパンチした後、前記不織布から前記剥離用シートを剥離させることにより前記不織布にループを形成するものである。 【0011】また、前記製造方法では、高さが1〜10mmで該高さのバラツキが±20%以内のループを形成することが好ましい。 【0012】また、前記製造方法では、前記不織布をスパンボンド法により作製することが好ましい。 【0013】また、前記製造方法では、前記剥離用シートとして、前記ループの高さ以上の厚さを有する不織布又は編織物を用いることが好ましい。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明の面ファスナー雌材は、合成繊維からなる不織布であり、該不織布にニードルパンチを施す際にニードルの貫通面側に剥離用シートを重ねて加工し、その後該シートを剥離したものである。該雌材は、例えば、ポリエステルの長繊維をランダムに配列して形成され、ニードルの貫通面側に剥離用シートを重ねた状態でニードルパンチ加工を行い、その後該シートを剥離して除去したものを用いることができる。 【0015】該不織布を構成する合成繊維の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレンナフタレート等の変成物、又はポリプロピレン等のポリオレフィンを含む紡糸可能なすべての合成樹脂を用いることができる。該合成繊維の太さは、1〜20デシテックスであることが好ましい。合成繊維の太さが1デシテックス未満の場合、繊維が細すぎ、ループの強力が低下して切断し易くなり、20デシテックスを越える場合、繊維が太すぎて交絡しにくく、すなわちループを形成しにくくなるからである。 【0016】該不織布の目付(単位面積当たりの重量)は、60〜1500g/m2であることが好ましく、100〜1200g/m2であることがより好ましい。目付が60g/m2未満の場合、繊維の交絡が不足して不織布の強力が不足し、1500g/m2を越える場合、ニードルパンチ時に針折れが発生し易くなり、折れ針の検知及び除去が困難なためである。該不織布の製造方法としては、通常、上記合成樹脂を溶融紡糸により繊維化した後、連続繊維のまま直接シート化したり、又は短繊維化して予めニードルパンチ等で不織化する方法を用いることができる。また、該不織布は、スパンボンド法により製造されるスパンボンド不織布であることが好ましい。その他、フラッシュ紡糸法やバーストファイバー法でも構わない。本発明では、接着強さのアップの観点から、連続長繊維による不織布であることが重要であり、その中でも生産コスト上スパンボンド不織布が最も好ましい。 【0017】通常のニードルパンチにおいて高さ6mmのループを形成する場合、第一バーブ針の貫通深さは、貫通数にもよるが、約10mmである。このように、貫通する針により求める高さのループを得ることができるが、連続して針が通過する際、一度形成されたループが引っ張られて一部に抜けが発生し、ループの高さが減少する。しかしながら、本発明に従えば、連続して針が貫通しても、面ファスナー雌材である上記の不織布に剥離用シートを重ねた状態でニードルパンチしているので、剥離用シートを構成する繊維の摩擦抵抗によりループの抜けを抑制することができる。この結果、所望の高さに均一化されたループを形成することができるので、優れた接着性を得ることができる。 【0018】ニードルパンチにより該不織布に形成されるループの高さは、1〜10mmであることが好ましい。ループの高さが1mm未満の場合、面ファスナー雄部材との十分な接着力を得ることができず、10mmを越える場合、ニードルパンチ時にループが切断し易くなるためである。該ループの高さのバラツキは、±20%以内であることが好ましく、±15%以内であることがより好ましい。ループ高さのバラツキは、接着強さのバラツキになり、品質保証の観点から小さい程よい。 【0019】上記ループを形成するためのニードルパンチの加工条件としては、単位面積当たりの貫通数が10〜100個/cm2であることが好ましく、第一バーブ針の貫通深さが1〜11mmであることが好ましい。貫通数、貫通深さが大きすぎると、繊維自体の伸び率がニードルパンチでの変形量に耐えきれず、繊維切断を起こし、接着強さが低下する。一方、小さすぎると、ループの効果が著しく損なわれ、接着強さが低下する。 【0020】該不織布のニードルパンチ時に使用される剥離用シートは、ニードリングに於いて形成されるループの素抜けを防止するため、不織布又は編織物からなることが好ましく、或いは、フィルム、ゴム等のシート状物(布状物)と複合されたものでもよい。該剥離用シートを構成する繊維としては、合成繊維の他、天然繊維、金属繊維等を用いることができる。該剥離用シートの厚さは、不織布に形成されたループの高さ以上であることが好ましい。シートの厚さがループの高さ未満の場合、ループの高さのバラツキが大きくなり、また、加工時にループの切断を起こし易くなるためである。 【0021】該剥離用シートは、ニードルロッカーの入口から出口までの間でエンドレスになっていることが好ましいが、巻物を繰り返し使用してもよい。該剥離用シートを剥離させる時期は、ニードルロッカーの出口のニッピングを通過した後であればいつでもよい。なお、剥離時の剥離用シートと不織布との角度は、ループが形成された不織布に剥離時の負荷による変形を抑えるため、90〜180度であることが最も好ましく、できる限り180度に近づけることが好ましい。 【0022】なお、風合いを調整したり、又は面ファスナー雄材と繰り返し脱着する用途に使用する場合、ニードルパンチによりループが形成された不織布にバインダー加工を行ってもよい。この場合、使用されるバインダーは、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等を主に用いることができるが、これら以外のものも用いることができ、要求される性能に応じて、これらの併用を含み、適時選択して用いることができる。バインダーの付与方法としては、通常用いられる浸漬法、スプレー法、コーティング法、静電法等のいずれを用いてもよく、付与量も要求される性能に応じて適宜決定される。 【0023】 【実施例】以下、実施例をあげて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、以下の実施例等の評価は、以下の方法により行った。 【0024】(イ)ループ高さ先端の尖ったピンセットにより糸を伸ばさないように張った状態で、面ファスナー雌材に形成されたループをカットし、ノギスを用いてカットされたループの高さを20回測定し、平均値AVE、最大値MAX、最小値MIN及びバラツキを求めた。なお、バラツキは、((MAX−MIN)/2)/AVE×100(%)である。 【0025】(ロ)面ファスナーの接着強さJIS L 3416−6.4.1に従って、剪断剥離強さを7回測定して平均値を求めた。評価結果として、平均値が80N/5cm以上のものを○で、50〜79N/5cmのものを△で、50N/5cm未満のものを×でそれぞれ示す。 【0026】(ハ)総合評価ループのバラツキ、接着強さ及びその他の観点から、総合的に優れているものを○で、普通のものを△で、劣っているものを×でそれぞれ示す。 【0027】(実施例1)ポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸して得た3デシテックスの連続長繊維をランダムに配列してネット上に補修した後、加熱ロールで弱圧着し、目付が60g/m2のシート状のスパンボンド不織布を作製した。 【0028】次に、該不織布の下側にスパンボンド不織布からなる厚さ8mmの剥離用シートを重ね、針番手40のフェルト針を用い、貫通数60個/cm2、第一バーブ針の貫通深さ6mmの条件にてニードルパンチを行い、ニードルロッカーの出口のニップローラを出た所で剥離用シートを剥離させて除去し、最終的に、面ファスナー雌材を得た。 【0029】(実施例2)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を400g/m2にし、第一バーブ針の貫通深さを7mmにした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0030】(実施例3)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を1500g/m2にし、第一バーブ針の貫通深さを8mmにした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0031】(実施例4)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を400g/m2にし、該不織布を構成する繊維の太さを1デシテックスにし、第一バーブ針の貫通深さを7mmにした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0032】(実施例5)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を400g/m2にし、該不織布を構成する繊維の太さを20デシテックスにし、第一バーブ針の貫通深さを7mmにした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0033】(実施例6)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を400g/m2にし、剥離用シートとして厚さ3mmのフェルトを用い、第一バーブ針の貫通深さを1mmにした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0034】(実施例7)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を400g/m2にし、剥離用シートとして厚さ11mmの短繊維不織布を用い、第一バーブ針の貫通深さを10mmにした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0035】上記実施例1〜7の各条件及び評価結果を下記の表1に示す。表1より、実施例1〜7は、ループ高さのバラツキ、接着強さ等に優れ、総合評価としても優れたものであった。 【0036】 【表1】
【0037】(比較例1)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を50g/m2にした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0038】(比較例2)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を1680g/m2にし、第一バーブ針の貫通深さを8mmにした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0039】(比較例3)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を400g/m2にし、該不織布を構成する繊維の太さを0.8デシテックスにし、第一バーブ針の貫通深さを7mmにした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0040】(比較例4)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を400g/m2にし、該不織布を構成する繊維の太さを25デシテックスにし、第一バーブ針の貫通深さを7mmにした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0041】(比較例5)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を400g/m2にし、剥離用シートとなるスパンボンド不織布の厚さを5mmにし、第一バーブ針の貫通深さを10mmにした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0042】(比較例6)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を400g/m2にし、剥離用シートとなるスパンボンド不織布の厚さを5mmにし、第一バーブ針の貫通深さを0.8mmにした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0043】(比較例7)面ファスナー雌材となるスパンボンド不織布の目付を400g/m2にし、剥離用シートとなるスパンボンド不織布の厚さを12mmにし、第一バーブ針の貫通深さを12mmにした以外は、実施例1と同様の条件で、面ファスナー雌材を作製した。 【0044】上記比較例1〜7の各条件及び評価結果を下記の表2に示す。比較例1では、面ファスナー雌材を構成する不織布自体の強力が小さく、面ファスナーの接着強さの測定において、試料が破断した。比較例2では、ループ高さのバラツキ及び接着強さは良好であったが、ニードルパンチ時に針折れが多数発生し、折れ針の検知及び除去が困難なため、品質及び安全上不適であった。 【0045】比較例3は、面ファスナー雌材を構成する不織布の繊維の太さが細すぎて繊維が切れやすく、接着強さが低かった。比較例4は、面ファスナー雌材を構成する不織布の繊維の太さが太すぎて交絡が悪くなり、接着強さが低かった。 【0046】比較例5では、剥離用シートの厚さより第一バーブ針の貫通深さが大きすぎ、ループ高さがばらつき、接着強さもばらついた。比較例6では、第一バーブ針の貫通深さが小さすぎ、ループ高さが低く、接着強さが低かった。比較例7では、第一バーブ針の貫通深さが大きすぎ、ループの破断が発生して髭状になり、接着強さが低かった。 【0047】 【表2】
【0048】 【発明の効果】本発明によれば、面ファスナー雌材のループの高さを均一にして接着性に優れる面ファスナー雌材を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003160 【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年3月4日(1999.3.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065215 【弁理士】 【氏名又は名称】三枝 英二 (外9名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−245508(P2000−245508A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月12日(2000.9.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−56447 |
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