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【発明の名称】 衣類用肩紐及びそれを具備した女性用下着
【発明者】 【氏名】坂木 修二

【氏名】山内 廣美

【要約】 【課題】着用時の使用状態での取付環が取り付けられている部分の肩紐の厚みが薄くでき、着用者に与える圧迫感、違和感を軽減し、取付環近房部分の盛り上がりによるアウターウェアーへの反映が軽減しうる衣類用肩紐及びそれを具備した女性用下着を提供する。

【解決手段】取付環10に肩紐本体1の一端部3が取り付けられている衣類用肩紐であって、前記肩紐本体1はその一端部3が肩紐本体1の一端部3から取付環10の取付支柱11の外周を回り前記肩紐本体1の前記一端部3に至る糸状物30の複数のループにより取り付けられている衣類用肩紐。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 取付環に肩紐本体の一端部が取り付けられている衣類用肩紐であって、前記肩紐本体の一端部が前記取付環に取り付けられている機構が、(A)肩紐本体の一端部から取付環の取付支柱の外周を回り前記肩紐本体の前記一端部に至る糸状物の複数のループにより取り付けられてなる構造、(B)肩紐本体の一端部の一方の面から取付環の取付支柱の外周を回り前記肩紐本体の前記一端部の反対面に至る薄い金属板からなる筒状物で前記肩紐本体の前記一端部を挟んで固定することにより取り付けられてなる構造、または、(C)取付環の取付支柱に肩紐本体の一端部が接着されて取り付けられてなる構造、のいずれかの取り付け構造を有してなる衣類用肩紐。
【請求項2】 肩紐本体の一端部が取付環に取り付けられている機構が、前記(A)の肩紐本体の一端部から取付環の取付支柱の外周を回り前記肩紐本体の前記一端部に至る糸状物の複数のループにより取り付けられてなる構造の場合において、前記取付環の取付支柱がその長さ方向を横切る方向に複数の溝が設けられている取付支柱であって、前記糸状物が前記溝を通っている請求項1に記載の衣類用肩紐。
【請求項3】 糸状物が、天然繊維、合成繊維、人造繊維から選ばれた少なくとも1種から成る糸状物である請求項1又は2のいずれかに記載の衣類用肩紐。
【請求項4】 薄い金属板からなる筒状物が、肩紐本体の一端部を挟む部分に歯を有してなる金属板からなる請求項1に記載の衣類用肩紐。
【請求項5】 薄い金属板の材質が、ステンレスである請求項1又は4のいずれかに記載の衣類用肩紐。
【請求項6】 薄い金属板の厚みが、0.15〜0.3mmである請求項1,4又は5のいずれかに記載の衣類用肩紐。
【請求項7】 取付環に取り付けられている機構が、前記(C)の取付環の取付支柱に肩紐本体の一端部が接着されて取り付けられてなる構造の場合において、取付環の材質が熱可塑性樹脂からなり、取付環の取付支柱に肩紐本体の一端部が熱融着で接着されて取り付けられてなる構造である請求項1に記載の衣類用肩紐。
【請求項8】 熱融着が、高周波熱接着である請求項7に記載の衣類用肩紐。
【請求項9】 取付環が、肩紐本体の一端部が取り付けられる取付支柱が取付環の中間部に位置する取付支柱であって当該取付支柱が取付環の外枠より若干下側に略凹字状に突出している取付環である請求項1〜8のいずれかに記載の衣類用肩紐。
【請求項10】 取付環が、肩紐本体の一端部が取り付けられる取付支柱が取付環の中間部に位置する取付支柱であって当該取付支柱とほぼ平行な向きでその左右に存在している支柱の少なくともいずれか一方の内側面に、ほぼ取付支柱方向に向いて突出した突起が設けられている取付環である請求項1〜9のいずれかに記載の衣類用肩紐。
【請求項11】 取付環が、突起が1つの支柱に間隔をおいて2個設けられており、且つ、前記2個の突起は当該支柱の両端ではないが両端に近い位置に設けられている請求項10に記載の衣類用肩紐。
【請求項12】 衣類用肩紐が、下着類又は肌に直接肩紐が接触する衣類用の肩紐である請求項1〜11のいずれかに記載の衣類用肩紐。
【請求項13】 請求項1〜11のいずれかに記載の衣類用肩紐を具備してなる女性用下着。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衣類用肩紐及びそれを具備した女性用下着に関する。特に下着類又は肌に直接肩紐が接触する衣類用の肩紐として有用な肩紐ならびにそれを具備した女性用下着に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より衣類用肩紐、特に下着類又は肌に直接肩紐が接触する衣類用の肩紐、具体的には例えばブラジャー、スリップ、ブラスリップ、キャミソール、テディ、ボディスーツなどの肩紐は、通常、伸縮性を有するテープ状の帯状物からなる肩紐本体の一端が、通常中央部にその取り付け用支柱を有する取付環の前記中央部に位置する取付支柱の外周に巻き付けられてその端部を縫製により肩紐本体に縫い合わせて固定された状態のものが使用されている。この従来の肩紐及び肩紐が女性用下着に取り付けられて使用される状態を図27及び図28を用いて説明する。図27は従来の肩紐がブラジャーに取り付けられている状態を説明するための従来のブラジャーの斜視図であり、図28は従来の肩紐の使用態様における要部の見取図である。
【0003】図27、図28において、1は肩紐本体、2はその一端部近傍部分、3は肩紐本体の一端部、4は肩紐用取付環10の中央部に位置する取付支柱11の外周に巻き付けられている肩紐本体部分、6は肩紐本体の一端部3を縫製により肩紐本体の一端部近傍部分2に縫い合わせている縫製ライン、7は肩紐本体1が反転される部分、5は肩紐本体1が前記の如く反転されて取付環10に挿入されている部分を表している。肩紐本体の一端部3は、取付環10の中央部に位置する取付支柱11の外周に巻き付けられて肩紐本体の一端部近傍部分2に重ね合わされて縫製ライン6で縫い合わせて取付環10の取付支柱11に固定されている。そして一般に衣類にこの肩紐を取り付けるには、この肩紐本体の他方の端が反転されて図28に示されるように再度取付環10に挿入された状態にして使用される。9は肩紐本体が再度取付環10に挿入される部分の取付環の下側に潜り込む部分を示している。この際、反転部7は、図27に示すように、衣類本体(この場合は、ブラジャー22)に取り付けられている肩紐挿入環20に挿入されており、肩紐本体の他方の端は衣類本体(この場合は、ブラジャー22)の後側21に例えば縫製などの適宜の手段で取り付けられている。そして、衣類着用時に着用者の体型や好みのフィット感に応じて、取付環10の位置を肩紐本体1上で上下にスライドさせることにより肩紐の長さを調整できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に肩紐は衣類を肩で吊り下げる作用を担わせるために設けられており、肩紐が人体に接している部分には、大なり小なり人体に負荷がかかり人体を圧迫している。例えば特に乳房の大きい人や、乳房が下垂している女性や太り気味の女性は、乳房を支えるために肩紐にもより多くの負荷がかかり、人体への圧迫感も強くなる傾向にある。
【0005】しかして、従来の肩紐は図28で示したように、取付環が取り付けられている部分の厚みが、符号で引用すると下から2の厚み、3の厚み、9の厚み、10の厚み、4の厚み、5の厚みの合計6層の厚みとなるため、他の部分に比べてかなり厚くなり、そのため着用者に与える圧迫感、違和感が大きく、また、この部分の厚みが厚いと比較的タイトなアウターウェアーを着用した場合に、その部分の厚みがアウターウェアーにも響いて、反映し、外部からその部分の盛り上がりが見えやすく見苦しいという問題があった。
【0006】本発明は、これらの従来の肩紐の問題点を軽減し、着用時の使用状態での取付環が取り付けられている部分の肩紐の厚みが薄くでき、その結果、着用者に与える圧迫感、違和感を軽減でき、また、この部分の厚みが比較的薄くなるので比較的タイトなアウターウェアーを着用した場合においても、その部分の厚みがアウターウェアーにも大きく響いて、反映し、外部からその部分の盛り上がりが大きく見えやすく見苦しいという問題が軽減しうる衣類用肩紐及びそれを具備した女性用下着を提供することを目的とする。また、本発明の好ましい態様としては、上記の目的のほか、更に、取付環に通した肩紐本体が、当該衣類着用中に取付環部において、滑りにくく、ずれにくい衣類用肩紐及びそれを具備した女性用下着を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明の衣類用肩紐及びそれを具備した女性用下着は次のものである。
【0008】[1] 取付環に肩紐本体の一端部が取り付けられている衣類用肩紐であって、前記肩紐本体の一端部が前記取付環に取り付けられている機構が、(A)肩紐本体の一端部から取付環の取付支柱の外周を回り前記肩紐本体の前記一端部に至る糸状物の複数のループにより取り付けられてなる構造、(B)肩紐本体の一端部の一方の面から取付環の取付支柱の外周を回り前記肩紐本体の前記一端部の反対面に至る薄い金属板からなる筒状物で前記肩紐本体の前記一端部を挟んで固定することにより取り付けられてなる構造、または、(C)取付環の取付支柱に肩紐本体の一端部が接着されて取り付けられてなる構造、のいずれかの取り付け構造を有してなる衣類用肩紐。
【0009】本発明の肩紐は上記の構成を採用することにより、比較的厚みの厚い肩紐本体が取付支柱の外周の周り回っていないので、図28で説明した少なくとも符号3と4の部分の層が存在しなくなったり、その部分がより細い糸状物や薄い金属板に置き換えられるので、取付環が取り付けられている部分の肩紐の厚みが薄くでき、その結果、着用者に与える圧迫感、違和感を軽減でき、また、この部分の厚みが比較的薄くなるので比較的タイトなアウターウェアーを着用した場合においても、その部分の厚みがアウターウェアーにも大きく響いて、反映し、外部からその部分の盛り上がりが大きく見えやすく見苦しいという問題が軽減しうる衣類用肩紐を提供できる。
【0010】[2] 肩紐本体の一端部が取付環に取り付けられている機構が、前記(A)の肩紐本体の一端部から取付環の取付支柱の外周を回り前記肩紐本体の前記一端部に至る糸状物の複数のループにより取り付けられてなる構造の場合において、前記取付環の取付支柱がその長さ方向を横切る方向に複数の溝が設けられている取付支柱であって、前記糸状物が前記溝を通っている前記[1]項に記載の衣類用肩紐。
【0011】かかる本発明の好ましい態様とすることにより、糸状物が取付支柱の長さ方向にスライドして複数本の糸状物の取付支柱上の位置が不均一に偏在することを防止でき好ましい。
【0012】[3] 糸状物が、天然繊維、合成繊維、人造繊維から選ばれた少くとも1種から成る糸状物である前記[1]項又は[2]項のいずれかに記載の衣類用肩紐。
【0013】かかる本発明の好ましい態様とすることにより、金属繊維などを用いた場合に比べて洗濯などで繊維の先端が飛び出した場合でも、皮膚に突き刺さる危険性などがなく好ましい。
【0014】[4] 薄い金属板からなる筒状物が、肩紐本体の一端部を挟む部分に歯を有してなる金属板からなる前記[1]項に記載の衣類用肩紐。
【0015】かかる本発明の好ましい態様とすることにより、前記金属板に設けられた歯によって肩紐本体をしっかりと保持できるので、肩紐本体が金属板からなる筒状物の噛み込みから外れる恐れがなく好ましい。
【0016】[5] 薄い金属板の材質が、ステンレスである前記[1]項又は[4]項のいずれかに記載の衣類用肩紐。
【0017】かかる本発明の好ましい態様とすることにより、ステンレスは強度が高く薄くてもしっかりと肩紐本体を保持することができ、洗濯で錆びる恐れもなく、コストも安く、好ましい。
【0018】[6] 薄い金属板の厚みが、0.15〜0.3mmである前記[1]項、[4]項又は[5]項のいずれかに記載の衣類用肩紐。
【0019】かかる本発明の好ましい態様とすることにより、肩紐本体を保持するのに必要な強度を有し、かつ取付環近傍の肩紐の厚みが余り厚くならずに好ましい。
【0020】[7] 取付環に取り付けられている機構が、前記(C)の取付環の取付支柱に肩紐本体の一端部が接着されて取り付けられてなる構造の場合において、取付環の材質が熱可塑性樹脂からなり、取付環の取付支柱の肩紐本体の一端部が熱融着で接着されて取り付けられてなる構造である前記[1]項に記載の衣類用肩紐。
【0021】かかる本発明の好ましい態様とすることにより、熱接着部分はほとんど厚みが増加しないか、従来の取付機構に比べて厚みを薄くできるので取付環近傍の肩紐全体の厚みが余り厚くならず好ましい。
【0022】[8] 熱融着が、高周波熱接着である前記[7]項に記載の衣類用肩紐。
【0023】かかる本発明の好ましい態様とすることにより、熱接着が容易で且つきれいに仕上ることができ、また熱接着部分はほとんど厚みが増加しないか、従来の取付機構に比べて厚みを薄くできるので、取付環近傍の肩紐全体の厚みが余り厚くならず好ましい。
【0024】[9] 取付環が、肩紐本体の一端部が取り付けられる取付支柱が取付環の中間部に位置する取付支柱であって当該取付支柱が取付環の外枠より若干下側に略凹字状に突出している取付環である前記[1]〜[8]項のいずれかに記載の衣類用肩紐。
【0025】かかる本発明の好ましい態様とすることにより、取付環の外枠より若干下側に略凹字状に突出している取付支柱に肩紐本体を取り付けることにより、取付環近傍の肩紐の厚みをより薄く保つことが可能となり好ましい。
【0026】[10] 取付環が、肩紐本体の一端部が取り付けられる取付支柱が取付環の中間部に位置する取付支柱であって当該取付支柱とほぼ平行な向きでその左右に存在している支柱の少なくともいずれか一方の内側面に、ほぼ取付支柱方向に向いて突出した突起が設けられている取付環である前記[1]〜[9]項のいずれかに記載の衣類用肩紐。
【0027】かかる本発明の好ましい態様とすることにより、取付環に通した肩紐本体が、取付環に設けられた突起により、取付環内で滑ったり、ずれたりしにくくなるので、当該衣類着用中に取付環部において、肩紐本体が滑ったり、ずれたりして、肩紐の長さが当所調整した長さから変わってしまって着崩れなどの生じる恐れを防止した衣類用肩紐を提供できる。
【0028】[11] 取付環が、突起が1つの支柱に間隔をおいて2個設けられており、且つ、前記2個の突起は当該支柱の両端ではないが両端に近い位置に設けられている前記[10]項に記載の衣類用肩紐。
【0029】かかる本発明の好ましい態様とすることにより、肩紐本体を取付環に通す作業性をあまり低下させずに、取付環に通した肩紐本体が、取付環に設けられた2つの突起により、取付環内で滑ったり、ずれたりすることを確実に防止でき、当該衣類着用中に取付環部において、肩紐本体が滑ったり、ずれたりして、肩紐の長さが当所調整した長さから変わってしまって着崩れなどの生じる恐れを防止した衣類用肩紐を提供できる。
【0030】[12] 衣類用肩紐が、下着類又は肌に直接肩紐が接触する衣類用の肩紐である前記[1]〜[11]項のいずれかに記載の衣類用肩紐。
【0031】かかる本発明の好ましい態様とすることにより、下着類又は肌に直接肩紐が接触する衣類は、肩紐が直接着用者の肌に接触するか、または肌に近い部分に位置することになるので、肩紐の人体に対する圧迫感を受けやすい衣類であり、圧迫感の軽減がより効果的に発揮されることになり好ましい。
【0032】[13] 前記[1]〜[11]項のいずれかに記載の衣類用肩紐を具備してなる女性用下着。
【0033】かかる本発明の衣類用肩紐を具備してなる女性用下着は、肩紐の取付環が取り付けられている部分の厚みが薄くでき、その結果、着用者に与える圧迫感、違和感を軽減でき、また、この部分の厚みが比較的薄くなるので比較的タイトなアウターウェアーを着用した場合においても、その部分の厚みがアウターウェアーにも大きく響いて、反映し、外部からその部分の盛り上がりが大きく見えやすく見苦しいという問題が軽減しうる女性用下着を提供できる。
【0034】特に女性用下着は、肩紐が直接着用者の肌に接触するか、または肌に近い部分に位置することになるので、肩紐により人体に対する圧迫感を受けやすい衣類であり、圧迫感の軽減がより効果的に発揮されることになり好ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の肩紐ならびにそれを具備してなる女性用下着の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明の肩紐ならびにそれを具備した女性用下着は、この実施形態に記載されたもののみに限定されるものではない。
【0036】図1は本発明の肩紐に用いる肩紐用取付環の一例の斜視図である。
【0037】図1において示した取付環10は略四角形状の外形を有する取付環であり、中央部に位置する支柱11とその左右に位置する支柱12、13と、これらの支柱を連結している横枠14、14とから一体に形成されている。12、13、14、14をまとめて外枠と称することがある。肩紐本体の一端部が取り付けられる支柱は、目的に応じて中央部に位置する支柱11とその左右に位置する支柱12、13のいずれでもよく、このうち具体的に肩紐本体の一端部が取り付けられる支柱のことを、本発明では取付支柱と呼んでいる。通常は、中央部に位置する支柱11を取付支柱とするのが一般的であるが、前述したように、取付支柱としては、目的に応じて中央部に位置する支柱11とその左右に位置する支柱12、13のいずれでもよい。ただ、肩紐本体に表と裏があり、表は比較的見栄えが良いようにきれいに仕上られているが、裏側はあまり見栄えが良くないような肩紐本体を用いる場合には、中央部に位置する支柱11を取付支柱とするのが好ましい。左右に位置する支柱12、13のいずれかを取付支柱として用いた場合には、衣類に取り付けられた状態で、肩紐本体が反転した時に裏側が見えるようになるからである。
【0038】図2は、本発明の肩紐に用いる肩紐用取付環の別の一例の斜視図である。図1に示した取付環と実質的に異なる点は、中央部に位置する支柱11を肩紐本体を取付ける取付支柱とする場合に、当該取付支柱11にその取付支柱の長さ方向を横切る方向に溝15が複数個設けられている点である。かかる複数の溝15を設けることにより、図8、図9、図10で後述するように肩紐本体の一端部をこの取付環の取付支柱11にその外周を回る糸状物の複数のループを絡めて取り付ける態様とする場合に、糸状物が取付支柱の長さ方向にスライドして複数本の糸状物の取付支柱上の位置が不均一に偏在することを防止でき好ましい。この場合に溝15は、肩紐本体を糸状物により取付ける際に、当該糸状物が前記溝を通っていて、それにより取付支柱の長さ方向への糸状物のスライドを防止できれば良いので、溝の長さは当該取付支柱全周にわたっていることは必ずしも必要ではなく、取付支柱の全周より短い部分的な周、例えば半周とか1/3周、1/4周、1/6周とかの全周より短い長さでもその目的が達成できれば良いことは勿論である。尚また、図示していないが肩紐本体の取り付けられる支柱が中央部の支柱11ではなく、例えば、図20などで後述するように、支柱12または13で示されるような左右のいずれかに位置する支柱に、同様に糸状物によって肩紐本体が取り付けられる場合には、これらの支柱にその長さ方向を横切る方向に溝を複数個設けてもよいことは勿論である。
【0039】次に図3に本発明の肩紐に用いる肩紐用取付環の更に別の一態様の平面図を示した。図1に示した取付環と実質的に異なる点は、その全体の外形がやや丸みを帯びている点であり、図1に示した取付環も図3に示した取付環も従来より一般的に比較的広く使用されているタイプの取付環であるので、特にその構造などの詳細な説明は省略する。図示していないが、図3に示したタイプの取付環においても、11、12、13のいずれかの支柱に、図2で説明した場合と同様の目的で、その取付支柱の長さ方向を横切る方向に溝を複数個設けてもよいことは当然である。
【0040】次に図4に本発明の肩紐に用いる肩紐用取付環の更に別の一態様の斜視図を、また、図5にそのB−B´ラインにおける切断面の端面図ならびに図6にそのA−A´ラインにおける切断面の端面図を示した。図1に示した取付環と実質的に異なる点は、中央部に位置する支柱11を肩紐本体を取付ける取付支柱とする場合に、当該取付支柱11が取付環の外枠12、13、14より若干下側に略凹字状に突出している点である。11aは取付支柱11の両脇の下降部分を示している。この図に示した態様では図4からも明らかなように、前記下降部分11aは外枠14の内側縁に近い部分から下側に下降しているが、この図示したものに限られるものではなく、外側縁に近い部分から下側に下降していても良いし、外側縁と内側縁の中間から下降していても良い。
【0041】かかる本発明の好ましい態様とすることにより、取付環の外枠より若干下側に略凹字状に突出している取付支柱に肩紐本体を取り付けることにより、図11、図12、図25などを参照して後に詳細に説明するように、取付環近傍の肩紐の厚みをより薄く保つことが可能となり好ましい。
【0042】次に図7に本発明の肩紐に用いる肩紐用取付環の更に別の一態様の平面図を示した。図3に示した取付環と若干デザインが異なるところもあるが、実質的に異なる点は、肩紐本体の一端部が取り付けられる取付支柱を取付環の中間部に位置する取付支柱11とすると当該取付支柱11とほぼ平行な向きでその左右に存在している支柱12及び13の内側面に、ほぼ取付支柱方向11方向にに向いて突出した突起16a、16b、17a、17bが設けられている点である。突起は図示したように、突起が1つの支柱12または13上に間隔をおいて2個設けられており、且つ、前記2個の突起は当該支柱の両端ではないが両端に近い位置に設けられていることが、肩紐本体を取付環に通す作業性をあまり低下させずに、取付環に通した肩紐本体が、取付環に設けられた2つの突起により、取付環内で滑ったり、ずれたりすることを確実に防止でき、特に好ましいが、必ずしも、その態様のみに限定されるものではなく、それぞれの支柱12、13に突起は1個づつ設けられていても、2個より多く設けられていても差し支えない。また、突起は必ずしも支柱12、13の両方の支柱に設けられていなければならないものではなく、いずれか一方のみでも良い。また、図示していないが、後述する図20のように支柱12、13のうちのいずれか一方を取付支柱とする場合には(説明が複雑になるのでここでは支柱12を取付支柱と仮定して以下説明する。)、突起を設ける支柱としては、例えば■支柱13の内側面(すなわち図7の17aや17bのような位置)、■支柱11の右側の内側面で支柱13方向に向いて突出した突起、■支柱11の左側の内側面で支柱12方向に向いて突出した突起のいずれかの位置か、前記■と■の両方の位置、前記■と■の両方の位置に設けることができる。
【0043】なお、図示していないが、図1、図2、図4などに示したタイプの取付環においても、上記の如く適宜突起を設けても良いことはもちろんである。
【0044】また、図7に示したタイプの取付環においても、取付支柱に、図2で説明した場合と同様の目的で、その取付支柱の長さ方向を横切る方向に溝を複数個設けてもよいことは当然である。
【0045】なお、図7の態様において、各突起16a、16b、17a、17bの位置を支柱12や13の長さ方向の両端ではないが両端に近い位置に設けることが好ましく、あまりに端部に寄せて設けた場合に比べて、両端に近い位置ではあるが若干中央に寄った位置に設けることにより、取付環部において、肩紐本体が滑ったり、ずれたりすることを防止し得る効果が効率よく発揮でき好ましいし、また、突起を中央に設ける場合に比べて、肩紐本体を取付環に通す作業もしやすく特に好ましい。
【0046】次に図2に示したような取付環10の中央部の支柱11に、肩紐本体1を糸状物により取り付けた状態の一態様の要部の斜視図を図8に、またそのA−A´ラインにおける切断面の模式的端面図を図9に示した。図8及び図9に示されるように、肩紐本体1の一端部3は糸状物30によって当該糸状物30が肩紐本体の一端から取付環の取付支柱11の外周を回り図2を用いて説明した溝15を通って前記肩紐本体の一端に至る糸状物30の複数のループにより縫い付けられて取り付けられている構造の態様である。かかる態様とすることにより、図28で示した従来例の如く、糸状物よりはるかに厚みの厚い肩紐本体の端部が取付支柱11の外周を回っている取付構造に比べて、はるかにこの部分の厚みを薄くでき、従って着用者に与える圧迫感、違和感を軽減でき、また、この部分の厚みが比較的薄くなるので比較的タイトなアウターウェアーを着用した場合においても、その部分の厚みがアウターウェアーにも大きく響いて、反映し、外部からその部分の盛り上がりが大きく見えやすく見苦しいという問題が軽減し得る。そしてこの態様の場合には、取付環の取付支柱11が図2に示したようなその長さ方向を横切る方向に複数の溝15が設けられている取付支柱であって、前記糸状物30が前記溝を通っているので、糸状物30が取付支柱11の長さ方向にスライドして複数本の糸状物30の取付支柱11上の位置が不均一に偏在することを防止でき好ましいし、また、溝の深さにもよるが、糸状物が溝に入り込むとその分だけ、この部分の厚みも小さくなり好ましい。また、このような糸状物30で、肩紐本体1の一端部を取付支柱11に取り付ける場合に、図9と同様な図8のA−A´ラインにおける切断面の端面に相当する別の態様の模式的端面図である図10で示した如く、肩紐本体1の一端部3を取付支柱11の下側に肩紐本体1の一端部3が取付支柱11と一部オーバーラップした態様にして取り付けることもできる。この場合には、この部分の厚みが図9で示した態様に比べて、やや厚くなるが、図28で示した従来例に比べて薄くし得る。
【0047】また、図8〜図10に示したような取付構造を例えば図1や図3、図4、図7で示した他の態様の取付環にも適用できることは勿論である。ただ、図4の態様の取付環に適用する場合には、図11にその長さ方向に沿った方向の断面の模式的端面図で示すように、図9で示したと同様の構造で取り付けて良いことは勿論であるが、図10に示したような肩紐本体1の一端部3が取付支柱11と一部オーバーラップした態様にして取り付ける場合には、図12にその長さ方向に沿った方向の断面の模式的端面図で示すように、肩紐本体1の一端部3が取付支柱11の上側に一部オーバーラップした態様にして取り付けることが厚みを薄くするために好ましい。
【0048】次に図7に示したような取付環10の中央部の支柱11に、肩紐本体1を糸状物により取り付けた状態の一態様の要部の平面図を図13に示した。図13に示されるように、肩紐本体1の一端部3は糸状物30によって当該糸状物30が肩紐本体の一端から取付環の取付支柱11の外周を回り、前記肩紐本体の一端に至る糸状物30の複数のループにより縫い付けられて取り付けられている構造の態様であり、図8や図9を用いて説明した場合と同様の態様である。かかる態様とすることにより、図28で示した従来例の如く、糸状物よりはるかに厚みの厚い肩紐本体の端部が取付支柱11の外周を回っている取付構造に比べて、はるかにこの部分の厚みを薄くでき、従って着用者に与える圧迫感、違和感を軽減でき、また、この部分の厚みが比較的薄くなるので比較的タイトなアウターウェアーを着用した場合においても、その部分の厚みがアウターウェアーにも大きく響いて、反映し、外部からその部分の盛り上がりが大きく見えやすく見苦しいという問題が軽減し得る。そしてこの態様の場合には、取付環の取付支柱11が図2に示したようなその長さ方向を横切る方向に複数の溝15が設けられている取付支柱としても良いことはもちろんである。また、このような糸状物30で、肩紐本体1の一端部を取付支柱11に取り付ける場合に、図10で示した如く、肩紐本体1の一端部3を取付支柱11の下側に肩紐本体1の一端部3が取付支柱11と一部オーバーラップした態様にして取り付けることもできる。この場合には、この部分の厚みが図9で示した態様に比べて、やや厚くなるが、図28で示した従来例に比べて薄くし得る。そして、この態様においては、特に、支柱12及び13の内側面に、ほぼ取付支柱方向11方向に向いて突出した突起16a、16b、17a、17bが設けられているので、肩紐本体1を取付環10に通す(例えば図23や図24で示したような状態に肩紐本体1を取付環10に通す)作業性をあまり低下させることなく、取付環10に通した肩紐本体が、取付環に設けられた突起により、取付環内で滑ったり、ずれたりすることを確実に防止でき、当該衣類着用中に取付環部において、肩紐本体が滑ったり、ずれたりして、肩紐の長さが当所調整した長さから変わってしまって着崩れなどの生じる恐れを防止した衣類用肩紐を提供できる。
【0049】尚、突起の数や、突起を設ける位置、肩紐本体を取り付ける取付支柱の支柱12又は13への変更などの変形態様については、すでに図7の説明の際に、詳細に説明したので、ここに重複して説明することは省略するが、前記変形態様に応用し得ることは明白である。
【0050】以上、いくつかの実施態様を例に挙げて説明したような、糸状物を用いて取り付ける態様の場合に用いられる糸状物としては、天然繊維、合成繊維、人造繊維、テグス、金属細線等が挙げられる。このうち天然繊維、合成繊維、人造繊維から選ばれた少くとも1種から成る糸状物が金属細線などの金属繊維を用いた場合に比べて洗濯などで繊維の先端が飛び出した場合でも、皮膚に突き刺さる危険性などがなく好ましい。特に合成繊維、例えばポリアミド繊維糸やポリエステル繊維糸などは強度も強く好ましい。糸状物の太さは用いる肩紐本体の厚みより小さいものが用いられるが、肩紐本体は一般に比較的その厚みが厚いので、通常の場合、縫い糸などの糸状物はいちいちその太さを測定しなくても一般に衣類の縫製などに通常用いられている糸は肩紐本体の厚みよりその太さは細い。繊維の太さは前述したように肩紐本体の厚みより小さいものを用いれば良く、用いる肩紐本体生地の厚みによって変わるので、一概に数値で規定することはできないが、通常、太さで270〜350μmの範囲のものが用いられる。尚、上記の例では肩紐本体1を取付環の中央部に位置する支柱11に取りつける場合の態様について説明したが、前述したように、取付支柱としては、目的に応じて中央部に位置する支柱11ではなく、その左右に位置する支柱12、13のいずれに取り付けてもよい。ただ、前述したように、肩紐本体に表と裏があり、表は比較的見栄えが良いようにきれいに仕上られているが、裏側はあまり見栄えが良くないような肩紐本体を用いる場合には、中央部に位置する支柱11を取付支柱とするのが好ましい。左右に位置する支柱12、13のいずれかを取付支柱として用いた場合には、衣類に取り付けられた状態で、肩紐本体が反転した時に裏側が表側に現れて見えるようになるからである。また、用いる取付環の形状も図1や図2、図7に示した取付環だけでなく、図3に示した取付環など本発明の目的を達成しうる限り他の形状の取付環を使用しても良いことは勿論である。
【0051】次に図14〜図16を参照して、肩紐本体の一端部の一方の面から取付環の取付支柱の外周を回り前記肩紐本体の前記一端部の反対面に至る薄い金属板からなる筒状物で前記肩紐本体の前記一端部を挟んで固定することにより取り付けられてなる構造を採用した場合の一態様について説明する。
【0052】図1に示したような取付環10の中央部の支柱11に、肩紐本体1を金属板からなる筒状物32で前記肩紐本体1の一端部3を挟んで固定することにより取り付けた状態の一態様の要部の斜視図を図14に、またそのA−A´ラインにおける切断面の模式的端面図を図15に、更に肩紐本体1の一端部3を挟んで固定する金属板からなる筒状物32の一態様の斜視図を図16に示した。
【0053】この取付構造は、金属板からなる筒状物32を取付環10の取付支柱11の外周を覆うように取り付け、筒状物32の開口部34に肩紐本体1の一端部3を挿入し、この部分を必要に応じてかしめるなどして挟んで固定する。この例では金属板からなる筒状物32の開口部34に歯33を設けた金属板からなる筒状物を用いているが、歯33は必ずしも必要ではない。しかし歯が設けられている方が肩紐本体をよりしっかりと保持できるので、肩紐本体が金属板からなる筒状物の噛み込みから外れる恐れがより少なくなり好ましい。また歯33の形も図16に示された鋸歯状に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる限り他の適宜の歯で良いことは勿論である。薄い金属板の材質は本発明の目的が達成できる限り特に限定するものではないが、ステンレスが強度が高く薄くてもしっかりと肩紐本体を保持することができ、洗濯で錆びる恐れもなく、コストも安く、好ましい。また薄い金属板の厚みは、本発明の目的が達成でき、且つ、用いる肩紐の厚みより薄いものであれば特に限定するものではないが、通常0.15〜0.3mmの範囲が肩紐本体を保持するのに必要な強度を有し、かつ取付環近傍の肩紐の厚みが余り厚くならずに好ましい。
【0054】尚、上記の例では肩紐本体1の一端部3を取付環の中央部に位置する支柱11に取りつける場合の態様について説明したが、前述したように、取付支柱としては、目的に応じて中央部に位置するする支柱11ではなく、その左右に位置する支柱12、13のいずれに取り付けてもよいことは前述の通りである。また、用いる取付環の形状も図1に示した取付環だけでなく、図3や図4あるいは図7に示した取付環など本発明の目的を達成しうるし限り他の形状の取付環を使用しても良いことは勿論である。
【0055】次に図17〜図19を参照して、肩紐本体が取付環に取り付けられている機構が、取付環の取付支柱に肩紐本体の一端部が接着されて取り付けられてなる構造の場合の一態様について説明する。
【0056】図1に示したような取付環10の中央部の支柱11に、肩紐本体1の一端部が接着されて取り付けられた状態の一態様の要部の斜視図を図17に、またそのA−A´ラインにおける切断面の模式的端面図を図18に、更に図18と同様な図17のA−A´ラインにおける切断面の端面に相当する別の態様の模式的端面図を図19に示した。
【0057】この取付構造は、取付支柱11に肩紐本体1の一端部3が接着によって取り付けられた構造を有する。35は接着部を示している。かかる態様とすることにより、図28で示した従来例の如く、肩紐本体の端部が取付支柱11の外周を回っている取付構造に比べて、はるかにこの部分の厚みを薄くでき、従って着用者に与える圧迫感、違和感を軽減でき、また、この部分の厚みが比較的薄くなるので比較的タイトなアウターウェアーを着用した場合においても、その部分の厚みがアウターウェアーにも大きく響いて、反映し、外部からその部分の盛り上がりが大きく見えやすく見苦しいという問題が軽減し得る。
【0058】この態様においては、図18からも明らかなように、肩紐本体1の一端部3を取付支柱11の側面部に接着により取り付けることが好ましく、接着は、接着剤を用いる方法でも良いが、熱融着可能な場合には、熱融着により取り付ける方が接着剤のはみ出しや接着剤の厚みなどが問題にならず好ましく、特に高周波熱接着が可能な場合には、高周波熱接着は熱接着加工が容易で且つきれいに仕上ることができ接着力も十分に保つことができるので好ましい。接着剤による接着の場合には、取付環や肩紐本体の素材は特に問題にならないが、熱融着の場合には、両者の素材が熱融着可能な熱可塑性樹脂からなることが必要であり、高周波熱接着を採用する場合には、高周波熱接着が可能な熱可塑性樹脂からなることが必要である。
【0059】図19にかかる接着による別の取付構造の一態様の図17のA−A´ラインにおける切断面の端面と同様の別の態様の切断面の模式的端面図を示した。図19に示した態様においては、取付支柱11の下側の面に重ねて、肩紐本体1の一端部3が取付支柱11の下にオーバーラップした態様にして取り付けた構造である。ただ、この場合は図18に示した取付構造に比べて肩紐本体1の一端部3の厚み分だけ厚みが増加するが、図28に示した従来例に比べては薄くできる。
【0060】尚、上記の例では肩紐本体1を取付環の中央部に位置する支柱11に取りつける場合の態様について説明したが、前述したように、取付支柱としては、目的に応じて中央部に位置する支柱11ではなく、その左右に位置する支柱12、13のいずれかに取り付けてもよいことは前述の通りである。また、用いる取付環の形状も図1に示した取付環だけでなく、図3や図4あるいは図7に示した取付環など本発明の目的を達成しうる限り他の形状の取付環を使用しても良いことは勿論である。
【0061】次に図20〜図22を参照して、肩紐本体が取付環の中央部の支柱11ではなく、その左右の支柱12又は13のいずれか、この場合は左側の支柱12に取り付けられている場合の一態様について説明する。
【0062】取付環10の左側の支柱12に、肩紐本体1の一端部3を糸状物により取り付けた状態の一態様の要部の斜視図を図20に、またそのA−A´ラインにおける切断面の模式的端面図を図21に、更に図21と同様な図20のA−A´ラインにおける切断面の端面に相当する別の態様の模式的端面図を図22に示した。図20及び図21に示されるように、肩紐本体1の一端部3は糸状物30によって当該糸状物30が肩紐本体の一端部から取付環の取付支柱12の外周を回り前記肩紐本体の一端部に至る糸状物30の複数のループにより縫い付けられて取り付けられている。この取り付け構造は、肩紐本体1が取り付けられる支柱が中央部の支柱11かそれとも左側の支柱12であるかが図8や図9を用いて説明した構造と異なるのみで、本質的な取付機構は図8や図9を用いて説明した構造と略同様であるので、詳細説明を省略する。
【0063】尚、この場合においても左側の支柱12には、図2を用いて説明した取付支柱11の如く、その長さ方向を横切る方向に溝15と同様な溝を設けたものを使用しているが、図1に示したような溝の設けられていない取付環を用いることもできることは前述の例と同様である。ただ、糸状物30で肩紐本体を取付支柱12に取り付ける場合には、前述のような溝が設けられている方が、糸状物30が取付支柱12の長さ方向にスライドして複数本の糸状物30の取付支柱12上の位置が不均一に偏在することを防止できるので好ましいし、また、溝の深さにもよるが、糸状物が溝に入り込むとその分だけ、この部分の厚みも小さくなり好ましい。
【0064】また、図22の別の態様の模式的端面図に示したように、肩紐本体1の一端部3を取付支柱12の下側に肩紐本体1の一端部3が取付支柱12と一部オーバーラップした態様にして取り付けることもできる。この場合には、この部分の厚みが図21で示した態様に比べて、やや厚くなるが、図28で示した従来例に比べて薄くし得る。
【0065】図20〜図22は糸状物30を用いて取付支柱12に肩紐本体1を取り付ける場合について説明したが、図14〜図16で説明した薄い金属板からなる筒状物で取り付ける機構を採用しても良いし、また、図17〜図19で説明した接着、好ましくは熱融着、より好ましくは高周波熱接着で取り付ける機構を採用しても良い。尚、右側または左側の支柱に肩紐本体の一端部を取り付ける上述のような態様の場合は、前述したように肩紐が衣類に取り付けられた状態で、肩紐本体が反転した時に裏側が表側に現われて見えるようになる。
【0066】以上に説明した態様においても、図28で示した従来例の如く、肩紐本体の端部が取付支柱11の外周を回っている取付構造に比べて、この部分の厚みを薄くでき、従って着用者に与える圧迫感、違和感を軽減でき、また、この部分の厚みが比較的薄くなるので比較的タイトなアウターウェアーを着用した場合においても、その部分の厚みがアウターウェアーにも大きく響いて、反映し、外部からその部分の盛り上がりが大きく見えやすく見苦しいという問題が軽減しうる。
【0067】また、用いる取付環の形状も上記図面に示した取付環だけでなく、図3や場合により図7の変形態様で説明したような取付環など本発明の目的を達成しうるし限り他の形状の取付環を使用しても良いことは勿論である。
【0068】次に、図23に、上述したような本発明の肩紐が衣類、この場合にはブラジャー、に取り付けられている状態を説明するため、本発明の肩紐を用いたブラジャーの斜視図を示した。
【0069】図23のブラジャーにおいては、肩紐本体1の取付環10への取付構造が例えば図8〜図19で説明したような構造になっている点を除いては、ブラジャー本体に取り付けられて使用される状況は、本質的には、従来のものと実質的に同様な組み込みで使用される。そして一般に衣類、この場合にはブラジャー、に本発明の肩紐を取り付けるには、取付環10の取付支柱にその一端部3が前述した機構で固定されている肩紐本体1の他方の端部8をブラジャー22の後部のバック布26の上部側の適宜の位置に取り付けられている肩紐挿入環20に挿入して反転し(7は肩紐本体1が反転される部分を示している。)、取付環10の左右の支柱の下側で中央の支柱の上側を通るように取付環10をくぐらせて、前記他方の端部8をブラジャーのカップ25の端部27に縫製などにより取り付けて組み込まれることになる。この場合肩紐本体1の他方の端部8のブラジャーカップ25の端部27への取付方法は必ずしも縫製によるものでなく、スナップや鉤状物その他の取り外し可能な機構により取り外し可能に取り付けても良いことは勿論である。また、図23に示した例では、反転部分7をブラジャーの後部側になるようにしているが、従来例の図27で示したように、反転部分がブラジャーの前側になるようにしても良いことはもちろんである。しかし、どちらかと言うと、取付環10が着用者の背中側に位置するように、反転部分7をブラジャーの後部側に配置する方が、圧迫感が若干少なくなる。同じ圧力がかかっても、人体の胸部の方が背中部に比べて圧迫感を感じやすい傾向にあるからと思われる。
【0070】次にこのような使用状態での肩紐の長さ方向切断面の要部端面図で本発明の肩紐と従来の肩紐の厚みを比較してみる。
【0071】図24は、図8、図9で説明した本発明の肩紐の前述したような使用状態での肩紐の長さ方向切断面の要部端面図、図25は図4〜図6に示した取付環を用い図11に示すように上記のものと同様に糸状物を用いて肩紐本体を取付環に固定している態様の本発明の肩紐の前述したような使用状態での肩紐の長さ方向切断面の要部端面図、図26は、図28で説明した従来の肩紐の使用状態での肩紐の長さ方向切断面の端面図である。
【0072】これらの図面では厚みについて図示された各部の厚みは正確ではないが、仮に各支柱11,12,13と肩紐本体1の厚みが同じ厚みXであるとして、また糸状物30の厚みはそれに比べてほとんど無視できるくらい小さい(仮に肩紐本体の厚みの1/4)としておく。
【0073】図24で最も上に突出した位置はJで示された部分であり、最も下に突出した位置はHで示された部分となる。位置Jと位置Hの厚みの合計aは4X+(1/4)Xである。
【0074】次に図25で最も上に突出した位置はMで示された部分であり、最も下に突出した位置はLで示された部分となる。位置Mと位置Lの厚みの合計bは3X+(1/4)Xとなる。
【0075】一方、従来例の図26で示された肩紐においては、最も上に突出した位置はFで示された部分であり、最も下に突出した位置はEで示された部分となる。位置Fと位置Eの厚みの合計cは6Xであり、更に縫製ライン6の縫い糸が縫製されている肩紐の上下の表面にも現れているとすると6X+(2/4)Xとなる。しかも現実には図26の3、4、2からなる肩紐本体のループなどは肩紐本体が比較的厚いため、きわめて小さいループを作ることが難しく、素材の厚み以外の要素により厚みが増大するのが一般的である。
【0076】以上の比較からも明らかなように、図25で示した態様の本発明の肩紐が、この中では最も薄く作成しうる態様となり、図24で示した本発明の肩紐も図26で示した従来のものに比べて十分薄くし得ることが理解される。
【0077】上記の式でaとcならびにbとcの厚み比を単純に計算するとaは(a/c)×100%の値は65%となり、図24に示した本発明の肩紐は図26に示した従来品の65%の厚みになる。同様にbは(b/c)×100%の値は50%となり、図25に示した本発明の肩紐は図26に示した従来品の50%の厚みになる。ちなみに、各構成部品の厚みは両者とも同一の厚みのものを用い、実際に図24に示した本発明の肩紐と図26に示した従来品の肩紐を本発明者らが作成して比較したところ、a=3.17mmで、c=4.98mmのものになり、aはcの約64%の厚みになっているものが得られている。なお、厚みの測定には布用ハイトゲージ“THICKNESS GAUGE ”(大栄化学精器製作所製)を使用した。
【0078】以上の様に、本発明においては、着用時の使用状態での取付環が取り付けられている部分の肩紐の厚みが薄くできるので、着用者に与える圧迫感、違和感を軽減でき、また、比較的タイトなアウターウェアーを着用した場合においても、その部分の厚みがアウターウェアーにも大きく響いて、反映し、外部からその部分の盛り上がりが大きく見えやすく見苦しいという問題が軽減しうる衣類用肩紐を提供し得るのである。
【0079】尚、取付環に使用される材料としては、ステンレスや鋼、真鍮などが強度もあり、コストも比較的安価であり好ましいが、本発明の目的を達成し得る限り他の金属も用いることができる。ステンレスや鋼、真鍮、その他の金属材料で取付環を構成する場合には、必要に応じて塗料などで取付環表面を塗装着色して用いることは好ましい。そのほか、取付環の素材としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等、本発明の目的を達成し得る限り各種の合成樹脂を用いることも出来、前述した熱融着や高周波熱接着で肩紐本体を取付環に接着する場合には、これらの加工が可能な熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、特にポリアセタール樹脂やナイロン樹脂などが加工性や強度、コストなどの点からは好ましい樹脂であるが、本発明の目的を達成し得る限りこれらの樹脂のみに限定されるものではない。
【0080】また、肩紐本体の材質は、従来より肩紐として用いられているもの等は通常問題なく用いることが出来、特に限定するものではないが、例えばナイロン繊維やポリエステル繊維、木綿、麻などの非弾性繊維とポリウレタン繊維、ゴム繊維などの弾性繊維とを組み合わせた伸縮性を有するテープ状物が好適に用いられる。
【0081】本発明の肩紐を具備した女性用の下着の例としては、具体的には例えばブラジャー、スリップ、ブラスリップ、キャミソール、テディ、ボディスーツなどが挙げられる。これらの女性用下着への肩紐の取り付け態様は、肩紐として本発明の肩紐を用いる点を除いては、従来の女性用下着への肩紐の取り付け態様と特に変わるものではない。図23や図27で示した様な通常の肩紐の取り付け態様などが代表的な取り付け態様である。
【0082】
【発明の効果】[1]以上のように本発明にかかる肩紐は、取付環が取り付けられている部分の厚みが薄くでき、その結果、着用者に与える圧迫感、違和感を軽減でき、また、この部分の厚みが比較的薄くなるので比較的タイトなアウターウェアーを着用した場合においても、その部分の厚みがアウターウェアーにも大きく響いて、反映し、外部からその部分の盛り上がりが大きく見えやすく見苦しいという問題が軽減しうる衣類用肩紐を提供できる。
【0083】[2]また本発明の衣類用肩紐において、肩紐本体の一端部が取付環に取り付けられている機構が、前記(A)の肩紐本体の一端部から取付環の取付支柱の外周を回り前記肩紐本体の前記一端部に至る糸状物の複数のループにより取り付けられてなる構造の場合において、前記取付環の取付支柱がその長さ方向を横切る方向に複数の溝が設けられている取付支柱であって、前記糸状物が前記溝を通っている本発明の好ましい態様とすることにより、糸状物が取付支柱の長さ方向にスライドして複数本の糸状物の取付支柱上の位置が不均一に偏在することを防止でき好ましい。
【0084】[3]また本発明の衣類用肩紐において、糸状物が、天然繊維、合成繊維、人造繊維から選ばれた少くとも1種から成る糸状物である本発明の好ましい態様とすることにより、金属繊維などを用いた場合に比べて洗濯などで繊維の先端が飛び出した場合でも、皮膚に突き刺さる危険性などがなく好ましい。
【0085】[4]また本発明の衣類用肩紐において、薄い金属板からなる筒状物が、肩紐本体の一端部を挟む部分に歯を有してなる金属板からなる本発明の好ましい態様とすることにより、前記金属板に設けられた歯によって肩紐本体をしっかりと保持できるので、肩紐本体が金属板からなる筒状物の噛み込みから外れる恐れがなく好ましい。
【0086】[5]また本発明の衣類用肩紐において、薄い金属板の材質が、ステンレスである本発明の好ましい態様とすることにより、ステンレスは強度が高く薄くてもしっかりと肩紐本体を保持することができ、洗濯で錆びる恐れもなく、コストも安く、好ましい。
【0087】[6]また本発明の衣類用肩紐において、薄い金属板の厚みが、0.15〜0.3mmである本発明の好ましい態様とすることにより、肩紐本体を保持するのに必要な強度を有し、かつ取付環近傍の肩紐の厚みが余り厚くならずに好ましい。
【0088】[7]また本発明の衣類用肩紐において、取付環に取り付けられている機構が、前記(C)の取付環の取付支柱に肩紐本体の一端部が接着されて取り付けられてなる構造の場合において、取付環の材質が熱可塑性樹脂からなり、取付環の取付支柱の肩紐本体の一端部が熱融着で接着されて取り付けられてなる構造である本発明の好ましい態様とすることにより、熱接着部分はほとんど厚みが増加しないか、従来の取付機構に比べて厚みを薄くできるので取付環近傍の肩紐全体の厚みが余り厚くならず好ましい。
【0089】[8]また本発明の衣類用肩紐において、前記熱融着が、高周波熱接着である本発明の好ましい態様とすることにより、熱接着が容易で且つきれいに仕上ることができ、また熱接着部分はほとんど厚みが増加しないか、従来の取付機構に比べて厚みを薄くできるので、取付環近傍の肩紐全体の厚みが余り厚くならず好ましい。
【0090】[9]また本発明の衣類用肩紐において、取付環が、肩紐本体の一端部が取り付けられる取付支柱が取付環の中間部に位置する取付支柱であって当該取付支柱が取付環の外枠より若干下側に略凹字状に突出している取付環である本発明の好ましい態様とすることにより、取付環の外枠より若干下側に略凹字状に突出している取付支柱に肩紐本体を取り付けることにより、取付環近傍の肩紐の厚みをより薄く保つことが可能となり好ましい。
【0091】[10]また本発明の衣類用肩紐において、取付環が、肩紐本体の一端部が取り付けられる取付支柱が取付環の中間部に位置する取付支柱であって当該取付支柱とほぼ平行な向きでその左右に存在している支柱の少なくともいずれか一方の内側面に、ほぼ取付支柱方向に向いて突出した突起が設けられている取付環である本発明の好ましい態様とすることにより、取付環に通した肩紐本体が、取付環に設けられた突起により、取付環内で滑ったり、ずれたりしにくくなるので、当該衣類着用中に取付環部において、肩紐本体が滑ったり、ずれたりして、肩紐の長さが当所調整した長さから変わってしまって着崩れなどの生じる恐れを防止し出来、好ましい。
【0092】[11]また本発明の衣類用肩紐において、取付環が、突起が1つの支柱に間隔をおいて2個設けられており、且つ、前記2個の突起は当該支柱の両端ではないが両端に近い位置に設けられている本発明の好ましい態様とすることにより、肩紐本体を取付環に通す作業性をあまり低下させずに、取付環に通した肩紐本体が、取付環に設けられた2つの突起により、取付環内で滑ったり、ずれたりすることを確実に防止でき、当該衣類着用中に取付環部において、肩紐本体が滑ったり、ずれたりして、肩紐の長さが当所調整した長さから変わってしまって着崩れなどの生じる恐れを防止し出来、好ましい。
【0093】[12]また、前記本発明の衣類用肩紐が、下着類又は肌に直接肩紐が接触する衣類用の肩紐である本発明の好ましい態様とすることにより、下着類又は肌に直接肩紐が接触する衣類は、肩紐が直接着用者の肌に接触するか、または肌に近い部分に位置することになるので、肩紐の人体に対する圧迫感を受けやすい衣類であり、圧迫感の軽減がより効果的に発揮されることになり好ましい。
【0094】[13]更に本発明の衣類用肩紐を具備してなる女性用下着は、肩紐の取付環が取り付けられている部分の厚みが薄くでき、その結果、着用者に与える圧迫感、違和感を軽減でき、また、この部分の厚みが比較的薄くなるので比較的タイトなアウターウェアーを着用した場合においても、その部分の厚みがアウターウェアーにも大きく響いて、反映し、外部からその部分の盛り上がりが大きく見えやすく見苦しいという問題が軽減しうる女性用下着を提供できる。
【0095】特に女性用下着は、肩紐が直接着用者の肌に接触するか、または肌に近い部分に位置することになるので、肩紐により人体に対する圧迫感を受けやすい衣類であり、圧迫感の軽減がより効果的に発揮される。
【出願人】 【識別番号】000139399
【氏名又は名称】株式会社ワコール
【出願日】 平成11年7月6日(1999.7.6)
【代理人】 【識別番号】100095555
【弁理士】
【氏名又は名称】池内 寛幸 (外1名)
【公開番号】 特開2000−96325(P2000−96325A)
【公開日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願番号】 特願平11−192156