| 【発明の名称】 |
着 物 |
| 【発明者】 |
【氏名】榎本 民子
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| 【要約】 |
【課題】裾部に袋状の保持区帯を設けず、且つおはしょりの丈や形を自在に調整することのできる着物を提供する。
【解決手段】着物10は、下衣20と、上衣50と、帯70及び上衣50で隠れて見えない腰紐とからなり、帯70を締め、帯締め72を締めれば、普通の着物(長着)と何ら変わらない出来栄えであることを示す。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 横長矩形の布地の上縁の裏に、着用するときに引張ることでしわを形成して胴廻り長さを短縮するギャザー形成用ベルトを取付けた下衣と、前記下衣を巻スカートの様に身体に巻き付けたときに下衣の上縁を身体に固定する1本の腰紐と、普通の着物の半分強の全丈で、裾がおはしょりの丈の2倍程度長く、下前の裏及び後身ごろの裏において裾に複数個のホックを取付け、これらのホックからおはしょりの丈の2倍程度上に複数のホックを取付け、裾側のホックを上のホックに止めることで下前並びに後身ごろにおはしょりを形成することができ、残った上前の裾を下前のおはしょりに下から差込むことで、身体の前面のおはしょりを任意の丈及び形にすることができる上衣と、からなる着物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は着付けが極めて容易な着物に関する。なお、和服用語には分かり難いものがあるので、本発明に関する主要用語とその意味を一覧表にしたものを次に示す。必要に応じて参照されたい。 【0002】 【表1】
【0003】 【従来の技術】日本の着物(和服)は、世界に類を見ないほど華麗で独自性に富んだ衣類である。しかし、和服は洋服に比べて着付けに熟練を要することから、着用が敬遠される傾向にある。そこで、より簡単に着ることのできる着物として、各種の形式のものが提案されている(例えば実公昭58−55202号公報「和服上衣」)。 【0004】上記公報の考案は、同公報の第1図によれば、上衣1(符号は公報記載のものを流用)の裾部に袋状の保持区帯5を設け、この保持区帯5に支持紐6を通し、この支持紐6の両端を保持区帯5から露出させたこと、及び前身頃3の上前3’のほぼ裾部前端に係止具8を設け、下前裾部脇寄りに係止部8’を設けたことを構造的特徴とする。着用に際しては、同公報の第2図に示されるとおり、裾部を内側に折り、この状態で支持紐6を身体に巻付け、支持紐の両端(符号7,7)を結合する。これで、支持紐6で身体を締付けると共に、おはしょりを形成することができる。そして、係止部8を係止部8’に掛け止める。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記公報の上衣1には、次の様な課題がある。 ■、同公報の第1図から明らかなように、裾部に袋状の保持区帯5を設けたが、この保持区帯5は多数枚(支持紐6を含む)を重ねたものであるから、他の部分より厚くなり、着用時に外へ盛り上がって見苦しくなる。後に帯で隠すことはできるが、着付けの段階では見栄えが悪くなる。 ■、同じく保持区帯5が、他の部分より格段に厚いため、折畳みにくく、折畳んだ後も保持区帯5の所だけ、盛り上がることとなり、収納し難い。 【0006】■、同公報の第4図から明らかなように、係止具8を係止部8’に掛け止めるため、おはしょりの丈寸法が一定となり、おはしょりの丈や形が画一的になる。これでは、糸で縫うことで予めおはしょりを形成した子供用着物と、さほど変わらなくなる。すなわち、着用者の好みに応じてその時々に、おはしょりの丈や形を加減することはできない。そこで、本発明の目的は、裾部に袋状の保持区帯を設けず、且つおはしょりの丈や形を自在に調整することのできる着物を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1は、横長矩形の布地の上縁の裏に、着用するときに引張ることでしわを形成して胴廻り長さを短縮するギャザー形成用ベルトを取付けた下衣と、下衣を巻スカートの様に身体に巻き付けたときに下衣の上縁を身体に固定する1本の腰紐と、普通の着物の半分強の全丈で、裾がおはしょりの丈の2倍程度長く、下前の裏及び後身ごろの裏において裾に複数個のホックを取付け、これらのホックからおはしょりの丈の2倍程度上に複数のホックを取付け、裾側のホックを上のホックに止めることで下前並びに後身ごろにおはしょりを形成することができ、残った上前の裾を下前のおはしょりに下から差込むことで、身体の前面のおはしょりを任意の丈及び形にすることができる上衣と、から着物を構成する。 【0008】畳紙(たとう)から取出した下衣のギャザー形成用ベルトを引張って下衣にギャザー状のしわを寄せる。また畳紙から取出した上衣の裾のホックを相手のホックに止めることで下前並びに後身ごろにおはしょりを造る。下衣を巻スカートの要領で身体に巻付け、腰紐で押える。次に、上衣を羽織り下前に上前を重ねる。上前の裾が垂れ下がるので、この部分を下前のおはしょりに下から差込んで身体の前面のおはしょりを造る。後は、帯を締めれば着物(和服)の着付けは完了する。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。図1は本発明に係る着物の全体図であり、着物10は、下衣20と、上衣50と、帯70及び上衣50で隠れて見えない腰紐とからなり、帯70を締め、帯締め72を締めれば、普通の着物(長着)と何ら変わらない出来栄えであることを示す。この着物10の構成及び着方(着付け)を順を追って説明する。 【0010】図2は本発明に係る着物の収納要領図であり、畳紙11を広げ、上衣50及び下衣20を想像線で示す位置に載せ、畳紙11を閉じれば、和箪笥に仕舞うことができる。小物である1本の腰紐40や着付けベルト45は前記畳紙11には入れずに、例えば衣裳ケースなどに収納する。なお、着付けベルト45は細いベルト46の両端にクリップ47,47の付いたもので、使い方は後述するが、上級者であれば不要な備品である。 【0011】図から明らかなように、本発明の着物は上衣50及び下衣20に区分けしたため、小テーブル上で上衣50(又は下衣20)を畳むことができる。同時に、普通の着物と同様に本発明の着物10を、畳紙11に入れて仕舞うことができることを特徴とする。 【0012】図3は本発明に係る下衣の正面図であり、下衣20は横長の矩形布地21の上部中央に腰紐掛け22を取付け、右上隅に第1面ファスナー23、それの左に第2面ファスナー24を各々縫い付けたものである。なお、21aは背縫い、21b,21bは脇である。 【0013】図4は本発明に係る下衣の背面図であり、横長矩形の布地21の上縁の裏に、着用するときに引張ることでしわを形成して胴廻り長さを短縮するギャザー形成用ベルト30を取付けたことを示す。このギャザー形成用ベルト30はゴムベルト31の一端(右端)を布地21に縫付け、ゴムベルト31を細長い袋32で囲い、ゴムベルト31の他端に摘み(つまみ)33を取付け、この摘み33を袋32から常に露出させる構造のものであり、左右の脇21b,21b間に掛け渡したものであるが、詳しくは次図で説明する。34は第3面ファスナーであり前記第1面ファスナー23(図3参照)に対応するものであり、35は第4面ファスナーであり前記第2面ファスナー24(図3参照)に対応するものである。 【0014】図5(a)〜(c)は本発明に係るギャザー形成用ベルトの構成図兼作用図である。(a)は、想像線で示すゴムベルト31の他端(左端)を説明の都合で手前へめくった(反転した)ものであり、ゴムベルト31の一端(右端)を布地21に縫付け、ゴムベルト31の他端に摘み33を取付け、この摘み33の裏に鈎ホック36を縫付け、この鈎ホック36に対応する受け金具37を布地21に縫付けたことを示す。この受け金具37の取付け位置は、着物の持ち主の体形に合せて決定すればよい。また、体形が変わったら、それに合せて受け金具37の位置を変更すればよい。 【0015】(b)は、想像線で示す袋32を布地21に縫付けることで、ゴムベルト31の全部及び摘み33の大部分を袋32に収納したことを示す。そして、この姿が図4のギャザー形成用ベルト30に相当する。ここではゴムベルト31は伸びたままであるから容易に折り曲げることができるとともに、布地21にしわが寄っていないので、図4の下衣20を容易に折畳むことができる。 【0016】下衣20を着るときには、畳紙から取り出して広げた図4の下衣20を、図5(c)の様に、摘み33を左へ引張り、鈎ホック36を受け金具37に掛け止める。この結果、ゴムベルト31の引き作用でゴムベルト31の一端(右端)が左に寄る。このときに、左右の脇21b,21bの間、すなわち後身ごろを縮めたことを特徴とする。図6は準備の完了した下衣を示す図であり、ギャザー形成用ベルト30の作用で、下衣20の上縁にギャザー状のしわ38・・・(・・・は複数を示す。以下同様。)を寄せることにより寸法を詰めることができ、下衣20の上縁を胴廻り寸法に合せることができる。 【0017】図7は下衣の着付け第1段階を示す図であり、着用者は、下衣20を巻スカートの要用で腰に当てて先ず矢印■の如く下前26を身体に沿わせ、次に上前27を下前26の上に重ね、矢印■の如く第3面ファスナー34を第1面ファスナー23に止め、矢印■の如く第4面ファスナー35を第2面ファスナー24に止める。 【0018】図8は下衣の着付け第2段階を示す図であり、腰紐掛け22に腰紐40を通す。このときに図示するごとく一方を短く、他方を長くし、短い方を一方の手で持ち、長い方を他方の手で持って胴に一巻きするとよい。左右の何れを短くするかは好みによる。腰紐40は腰紐掛け22に通してあるだけであるから、自由に加減できる。なお、この腰紐40は図6にて取付けてもよい。 【0019】図9は下衣の着付け第3段階を示す図であり、腰紐40を二巻きした後、先を綾に折り(交差させ)、かつ絡める。結びこぶを造るとこのこぶが身体に当って痛いが、上述の通り綾に折りし絡めればその心配はなく、楽に下衣20を着続けることができる。そして、腰紐40から上の部分(下衣20の上縁,横長三角形の部分)を腰紐40に巻き込む。 【0020】図10は下衣の着付け第4段階を示す図であり、下衣20の上縁を腰紐40に巻き込んだ状態を示し、これで下衣20の着付けは終了する。ここで、重要なことは、図5(c)で述べた如く、下衣20の後身ごろにギャザーを入れて縮めたので、図10の脇及び前身ごろは皺(しわ)が寄らず、この結果、脇及び前身ごろが綺麗になることである。更に重要なことは、下衣20の上縁を腰紐40に巻き込んだので、仮に下衣20の裾を踏んでも下衣20がずり落ちる心配は無いことである。このため、長時間に亘って下衣20を着崩れすることなく着続けることができる。 【0021】次に上衣50について説明する。図11は本発明に係る上衣の正面図、図12は本発明に係る上衣の背面図であり、この上衣50は図2で示したものを単に広げたものであり、普通の長着に比べ半分強の丈しかないので、小テーブル上で畳んで畳紙に収納すること及び、小テーブル上で畳紙から取り出して広げることができる。従来の長着のように広い面積を要せず、狭い面積で上衣50を折畳むことができる。そして、既存の子供用着物の様に上げ(おはしょり)が予め縫い付けてあるものでは、上げ(おはしょり)が分厚くなり、曲げにくくなるので、収納が難しくなる。この点、本例の上衣50は折畳みを妨げる部分が無いので、簡単に折畳める。 【0022】図13は上衣に取付けるホックの配置図であり、上衣50は、裾51がおはしょりの丈の2倍程度長く、下前52の裏及び後身ごろ53の裏において裾51に複数個(本例では5個)のホック54・・・を取付け、これらのホック54・・・からおはしょりの丈の2倍程度上に複数のホック56・・・を取付けたことを示す。ホック54・・・,56・・・はごく小さな止め具であるため、上衣50を畳むときの障害物にはなり得ない。 【0023】図14は準備の完了した上衣を示す図であり、上衣50の着用に際し、先ず、矢印■,■の要領で裾51を内側に折り曲げ、裾側のホック54・・・を上のホック56・・・に各々止める。このとき、上前57の裾57aはホックが無いので、おはしょりライン59より下へはみ出す。 【0024】図15は上衣の着付け第1段階を示す図であり、上衣50を羽織り、下前52を矢印■の要領で身体の前に沿わせ、着付けベルト45の一端のクリップ47を右衿(右、左は着用者を基準にする。以下同様。)61に止める。この着付けベルト45はコーリングベルトと称するベルトであり、図13若しくは図14の段階で取付けることは差支えない。なお、着付けベルト45は着付け補助具であって、着付けの上級者(熟練者)は必ずしも必要としない。着付けベルト45を左身八つ口62を通して、外へ出し、背中に廻す。 【0025】図16は上衣の着付け第2段階を示す図であり、上前57を下前52の上に重ね、左衿63に着付けベルト45のクリップ47を止める。このときにも上前57の裾57aはおはしょりライン59より下にはみ出したままであることを特徴とする。 【0026】図17は上衣の着付け第3段階を示す図であり、下前52の下端52aに矢印■・・・の要領で上前の裾57aを差込むことで、前面のおはしょり65を造る。差込みを加減することにより、おはしょり65の丈や形を調整することができると共に、おはしょり65の下縁に僅かにウエーブをつける如くに自然な形状にすることができる。おはしょり65をホック54,56(図13参照)で造った場合には、おはしょり65の下縁が横一直線になって不自然な形状になる。この点、本例は前部のおはしょり65の下縁を比較的自由な形状にできるので、おはしょり65を自然な形にすることができる。 【0027】図18は本発明に係る着物に帯を締めたときの正面図であり、下衣20、上衣50の順で纏ったら、胴廻りにゴムベルトを締め、帯70を締め、帯締め72を締めれば、着付けは完了する。図1でも示したが、自然なおはしょり65を形成することができるので、着付け姿は、長着と何ら変わるところはない。 【0028】図19は本発明の着物をハンガーに掛けたときの様子を示す図であり、着物10を着るときには、着付けの前(例えば前夜)に、図6の如く下衣20(ギャザー形成済み)を準備し、この下衣20を4つ折りして、図19のハンガー75に吊るす。そして、図14の如く準備した上衣50をハンガー75に掛ける。この様にしておけば、当日は洋服のスカート及びブレザーを身につける具合に短時間で着付けることができる。やや慣れた人であれば、10分程度で着付けを終えることができる。これは、従来の長着の着付けが1〜3時間を要したものと比較して格段に優れていると言える。なお、ハンガー75は図で示した和服ハンガーが好適であるが、一般のハンガーでも差支えない。 【0029】尚、請求項1に記載したホックは、おはしょりを造るために裾を止める小型掛け止め具であり、鈎ホック、小さな面ファスナーに変えることは可能である。しかし、狭義のホックは極めて小型であり、安価であるから、他の小型掛け止め具(鈎ホック、面ファスナーなど)より、使い勝手が良い。 【0030】 【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮する。請求項1は、ホックを外して平にすることのできる上衣と、ギャザー形成用ベルトを緩めることで平にすることができる下衣と、一本の腰紐とで着物を構成したので、上衣及び下衣を通常の長着と同様に折畳んで畳紙に入れ、和箪笥に仕舞うことができる。 【0031】上衣及び下衣は長着のほぼ半分の丈であるから、小テーブル上でも簡単に広げること及び畳むことができ、作業場所は狭くてすむ。下衣は巻スカートの要領で身体に巻付け、腰紐で縛った後、腰紐に下衣の上端を巻き付けることができる。従って、下衣の裾を踏んでも下衣がずり下がる心配はない。 【0032】また、上衣は上前の裾を下前に差込むことで最も目立つ前面のおはしょりを形成するようにしたので、前面のおはしょりを自然な形にすることができる。帯を締めれば着物の着付けは完了し、おはしょりがごく自然な形であるため、長着と見分けが着かないほどの着姿を得ることができる。 【0033】さらには、通常の長着では3〜5本の腰紐を使用するが、本発明では1本の腰紐のみを使用すること、及びほとんど練習を積まなくとも着付けが可能であることを特徴とする。従来の長着では、数ヵ月〜数年間の専門的訓練を積まぬと着こなすことは難しかった。しかし、本発明によればその様な訓練を必要とせず、いわゆる着物アレルギーを払拭し、着物の普及及び活用を大いに促すことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】592187556 【氏名又は名称】榎本 民子
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| 【出願日】 |
平成10年12月1日(1998.12.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067356 【弁理士】 【氏名又は名称】下田 容一郎
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| 【公開番号】 |
特開2000−160409(P2000−160409A) |
| 【公開日】 |
平成12年6月13日(2000.6.13) |
| 【出願番号】 |
特願平10−341979 |
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