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【発明の名称】 袴及びその着用方法
【発明者】 【氏名】柴田 増夫

【要約】 【課題】従来の袴をそのまま用いて、その袴を容易に着用ができるとともに、従来の袴本来の着用方法によっても着用することができる袴及びその着用方法を提供する。

【解決手段】袴の二本の前紐1a、1bの各中間部分に、角帯の上部で且つ袴の後ろ布と身体との間で二本の前紐1a、1bの中間部分を連結するための雌部材11及び雄部材12を取り外し可能な状態で取り付け、二本の前紐1a、1bの各端部部分に、角帯の下部で且つ袴の後ろ布と身体との間で二本の前紐1a、1bの端部部分を連結するための雌部材13及び雄部材14を取り外し可能な状態で取り付け、袴の二本の後ろ紐2a、2bの各端部部分に、袴の前布と身体との間で二本の後ろ紐2a、2bの端部部分を連結するための雌部材21及び雄部材22を取り外し可能な状態で取り付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 袴の二本の前紐の各中間部分に、腰帯の上部で且つ袴の後ろ布と身体との間で前記二本の前紐の中間部分を連結するための第一の着脱手段を取り外し可能な状態で取り付け、前記二本の前紐の各端部部分に、腰帯の下部で且つ袴の後ろ布と身体との間で前記二本の前紐の端部部分を連結するための第二の着脱手段を取り外し可能な状態で取り付け、袴の二本の後ろ紐の各端部部分に、袴の前布と身体との間で前記二本の後ろ紐の端部部分を連結するための第三の着脱手段を取り外し可能な状態で取り付けてなる袴。
【請求項2】 袴の二本の前紐の各中間部分に第一の着脱手段を取り外し可能な状態で取り付け、前記二本の前紐の各端部部分に第二の着脱手段を取り外し可能な状態で取り付け、袴の二本の後ろ紐の各端部部分に第三の着脱手段を取り外し可能な状態で取り付け、着用後に腰帯の上部で且つ袴の後ろ布と身体との間に位置するように前記第一の着脱手段により前記二本の前紐の中間部分を連結し、着用後に袴の前布と身体との間に位置するように前記第三の着脱手段により前記二本の後ろ紐の端部部分を連結し、着用後に腰帯の下部で且つ袴の後ろ布と身体との間に位置するように前記第二の着脱手段により前記二本の前紐の端部部分を連結する袴の着用方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、袴及びその着用方法に関し、特に、容易に着用することができる男性用の袴及びその着用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の袴は、図11に示すように、前布の上部に取り付けられた長尺の二本の前紐1a、1bと、後ろ布の上部の腰板に取り付けられた短尺の二本の後ろ紐2a、2bとを備える。このような袴の従来の着用方法は、以下の手順で行われていた。
【0003】まず、腰回りに膨らみを持たせるために着物の上から角帯を締める。次に、その上から袴を履き、二本の前紐1a、1bを身体の後ろに回し、さらに前に回して身体の正面で交叉させ、さらに身体の後ろに回して二本の前紐1a、1bの端部を結ぶ。最後に、二本の後ろ紐2a、2bを身体の前で飾り結びを形成して止める。上記の着用方法による着用後の状態は、図12に示すようになり、二本の前紐1a、1bが身体の正面で交叉され、後ろ紐2a、2bが身体の正面で飾り結びされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来の袴の着用方法では、前紐1a、1bを折り返してきれいに交叉させたり、後ろ紐2a、2bをきれいに飾り結びするためには、相当な着付けの知識及び経験が必要とされ、初心者は着付師に頼まなければきれいに着付けできないという問題があった。
【0005】また、袴を容易に着用するために、例えば、実開昭55−743号のマイクロフィルム等に種々の改良された袴が提案されている。これらの袴は、いずれも袴自体に物理的に何らかの加工が施されて通常の袴とその形態が異なるため、使用者が袴の着付けに慣れた場合でも、従来の袴本来の着用方法により着用することができず、使用者が従来の着用方法で着用するためには、新たに通常の袴を購入する必要があるという問題もあった。
【0006】本発明の目的は、従来の袴をそのまま用いて、その袴を容易に着用ができるとともに、従来の袴本来の着用方法によっても着用することができる袴及びその着用方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の袴は、袴の二本の前紐の各中間部分に、腰帯の上部で且つ袴の後ろ布と身体との間で前記二本の前紐の中間部分を連結するための第一の着脱手段を取り外し可能な状態で取り付け、前記二本の前紐の各端部部分に、腰帯の下部で且つ袴の後ろ布と身体との間で前記二本の前紐の端部部分を連結するための第二の着脱手段を取り外し可能な状態で取り付け、袴の二本の後ろ紐の各端部部分に、袴の前布と身体との間で前記二本の後ろ紐の端部部分を連結するための第三の着脱手段を取り外し可能な状態で取り付けてなる。
【0008】上記の構成により、第一乃至第三着脱手段を用いて前紐の中間部分及び端部部分並びに後ろ紐の端部部分を単に連結することにより、袴を容易に着用することができる。また、第一乃至第三着脱手段が袴の内側で連結されるため、装着後の外観状態は従来の通常の着用方法によるものとほぼ同様であり、着付け状態の良好なものとなる。さらに、第一乃至第三着脱手段は、取り外し可能な状態で前紐及び後ろ紐に取り付けられるため、第一乃至第三着脱手段を取り外せば、従来の袴そのままの状態となるため、従来の袴本来の着用方法によっても、着用することができる。
【0009】また、前記袴は、前記二本の前紐を結ぶことにより前記前紐の中間部分と端部部分との間に飾り部を形成することが好ましい。この場合、飾り部用の別部材を用いることなく、通常の袴を用いて飾り部も形成することができる。
【0010】また、前記袴は、環状部を有する別体の飾り部をさらに備え、前記環状部に前記二本の前紐を交叉させて通すことにより前記前紐の中間部分と端部部分との間に飾り部を配置させることが好ましい。この場合、より容易に飾り部を形成することができると共に、二本の前紐を交叉させて通しているので、飾り部が常に中心に位置するようになる。
【0011】また、本発明の袴の着用方法は、袴の二本の前紐の各中間部分に第一の着脱手段を取り外し可能な状態で取り付け、前記二本の前紐の各端部部分に第二の着脱手段を取り外し可能な状態で取り付け、袴の二本の後ろ紐の各端部部分に第三の着脱手段を取り外し可能な状態で取り付け、着用後に腰帯の上部で且つ袴の後ろ布と身体との間に位置するように前記第一の着脱手段により前記二本の前紐の中間部分を連結し、着用後に袴の前布と身体との間に位置するように前記第三の着脱手段により前記二本の後ろ紐の端部部分を連結し、着用後に腰帯の下部で且つ袴の後ろ布と身体との間に位置するように前記第二の着脱手段により前記二本の前紐の端部部分を連結するものである。
【0012】上記の方法により、第一乃至第三着脱手段を用いて前紐の中間部分及び端部部分並びに後ろ紐の端部部分を単に連結することにより、袴を容易に着用することができる。また、第一乃至第三着脱手段が袴の内側で連結されるため、装着後の外観状態は従来の通常の着用方法によるものとほぼ同様であり、着付け状態の良好なものとなる。さらに、第一乃至第三着脱手段は、取り外し可能な状態で前紐及び後ろ紐に取り付けられるため、第一乃至第三着脱手段を取り外せば、従来の袴そのままの状態となるため、従来の袴本来の着用方法によっても、着用することができる。
【0013】また、前記袴の着用方法では、前記二本の前紐を結ぶことにより前記前紐の中間部分と端部部分との間に飾り部を形成することが好ましい。この場合、飾り部用の別部材を用いることなく、通常の袴を用いて飾り部も形成することができる。
【0014】また、前記袴の着用方法では、環状部を有する別体の飾り部を準備し、前記環状部に前記二本の前紐を交叉させて通すことにより前記前紐の中間部分と端部部分との間に飾り部を配置させることが好ましい。この場合、より容易に飾り部を形成することができると共に、二本の前紐を交叉させて通しているので、飾り部が常に中心に位置するようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施の形態について説明する。図1乃至図9は、本発明の一実施の形態の袴及びその着用方法を説明するための概略図である。
【0016】図1に示すように、袴の一方の前紐1aの中間部分に、ワンタッチで脱着可能なバックルの雌部材11を取り外し可能な状態で取り付け、袴の他方の前紐1bの中間部分にバックルの雄部材12を取り外し可能な状態で取り付ける。次に、二本の前紐1a、1bを結ぶことにより前紐1a、1bの中間部分と端部部分との間に飾り部3を形成する。次に、一方の前紐1aの端部部分にバックルの雌部材13を取り外し可能な状態で取り付け、他方の前紐1bの端部部分にバックルの雄部材14を取り外し可能な状態で取り付ける。最後に、袴の一方の後ろ紐2aの端部部分にバックルの雌部材21を取り外し可能な状態で取り付け、袴の他方の後ろ紐2bの端部部分にバックルの雄部材22を取り外し可能な状態で取り付ける。上記の作業により、本実施の形態の袴が作られる。
【0017】上記の脱着手段として用いるバックルとしては、例えば、クローバー株式会社製27−423(S−カラーバックル 30mm)等を用いることができる。また、上記のバックルの雌部材及び雄部材は、係止部(図示省略)例えば、鋸刃状の係止部を有し、前紐及び後ろ紐の任意の位置に取り付け可能なため、その取り付け位置を使用者の体型に応じて変更することにより、種々の体型に適用可能である。例えば、使用者のウエスト長が85cm、腰骨部分長が90cm、ヒップ長が96cmの場合、雌部材11と雄部材12との間の距離をウエスト長の85cm、飾り部3を経由した雌部材11と雄部材12との間の距離をヒップ長の96cm、飾り部3を経由した雌部材13と雄部材14との間の距離をウエスト長の85cm、雌部材21と雄部材22との間の距離を腰骨部分長の90cmに設定すれば、使用者の身体にフィットした状態となる。また、使用中に長さを微調整したい場合は、上記係止部により雌部材又は雄部材の位置を調整してもよい。また、前紐1a、1b及び後ろ紐2a、2bが余る場合は、端部部分又は中間部分を折り曲げて上記の係止部により固定して長さを調整してもよい。
【0018】なお、着脱手段は、上記のバックルに特に限定されず、取り外し可能な状態で取り付けることができるものであれば、他のものを用いてもよく、例えば、フック、ボタン、ベルベット式ファスナー等を前紐及び後ろ紐に縫い付け等してもよい。また、対応する雌部材及び雄部材毎に色を変えて着脱する雌部材と雄部材とを明確にしてもよいし、対応する雌部材及び雄部材毎に形状等を変化させて対応しないもの同士は着脱できないようにしてもよい。また、上記の各雌部材及び雄部材の取り付け及び飾り部の形成の順序も、上記の順序に特に限定されず、最終的に図1に示す状態になれば、種々の順序を採用することができる。また、飾り部の形状も、図1に示す例に特に限定されず、前紐を結ぶことにより形成できるものであれば、他の形状であってもよい。また、前紐及び後ろ紐に対する雌部材及び雄部材の取り付け位置も上記の例に特に限定されず、雄部材の位置に雌部材を、雌部材の位置に雄部材を取り付ける等の種々の変更が可能である。
【0019】次に、上記のように雌部材11、13、21及び雄部材12、14、22が取り付けられ、飾り部3が形成された後、使用者が袴に足を通し、二本の前紐1a、1bを後ろに回し、予め腰に巻かれた腰帯である角帯5の上部で雌部材11と雄部材12とを連結する。このときの使用者の正面の状態を図2に、側面の状態を図3に示す。図2に示すように、飾り部3は、従来と同様に、袴の正面の中央位置に位置する。また、図3に示すように、雌部材11と雄部材12との連結部が角帯5の上部に固定されるので、着崩れを防止することができる。
【0020】次に、図4及び図5に示すように、使用者は、二本の後ろ紐2a、2bの端部部分を持って前に回し、袴の前布4の裏側すなわち前布4と身体との間で雌部材21と雄部材22とを連結する。このときの使用者の側面の状態を図6に示す。このとき、後ろ紐2a、2bの端部が雌部材21及び雄部材22を越えて相当部分余る場合は、適当に折り返して雌部材21及び雄部材22に固定して、見栄えをよくするようにしてもよい。
【0021】次に、図7に示すように、二本の前紐1a、1bの端部部分を持って後ろに回し、袴の後ろ布6の裏側で雌部材13と雄部材14とを連結する。このとき、前紐1a、1bの端部が雌部材13及び雄部材14を越えて相当部分余る場合は、適当に折り返して雌部材13及び雄部材14に固定して、見栄えをよくするようにしてもよい。
【0022】上記のようにして袴を着用した後の使用者の正面の状態を図8に、側面の状態を図9に示す。図8及び図9に示すように、雌部材11、13、21と雄部材12、14、22との連結部分が袴の裏側に隠れ、二本の前紐1a、1bにより飾り部3及び交叉部分が形成されるため、本袴の着用方法により袴を着用した外観は、図12に示す従来の袴の着用方法によるものとほぼ同様である。従って、本袴では、単に雌部材11、13、21と雄部材12、14、22とを連結するだけで袴を容易に着用することができる。
【0023】また、使用者が袴の着付けに慣れて本来の袴の着用方法により袴を着用したい場合は、雌部材11、13、21と雄部材12、14、22とを前紐1a、1b及び後ろ紐2a、2bから取り外すだけで通常の袴に戻り、従来の袴本来の着用方法により袴を着用することもできる。
【0024】上記の実施の形態では、前紐1a、1bを結ぶことにより飾り部3を形成したが、以下に説明するように別部品の飾り部を用いてもよい。図10は、本発明の他の実施の形態の袴の正面を示す概略図である。なお、本実施の形態の袴の着用方法は、上記の実施の形態の袴の着用方法と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0025】図10に示すように、袴の一方の前紐1aの中間部分に、雄部材12を取り外し可能な状態で取り付け、袴の他方の前紐1bの中間部分に雌部材11を取り外し可能な状態で取り付ける。次に、二本の前紐1a、1bを交叉させると共に交叉部に別体の飾り部3’を通すことにより前紐1a、1bの中間部分と端部部分との間に飾り部3’を配置する。ここで、飾り部3’は、前紐1a、1bと同一素材の帯状体を折り曲げる等して通常の飾り部の形状にされると共に、その中心部が環状になっており、その中に、前紐1a、1bを通すことができるようになっている。次に、一方の前紐1aの端部部分に雌部材13を取り外し可能な状態で取り付け、他方の前紐1bの端部部分に雄部材14を取り外し可能な状態で取り付ける。最後に、袴の一方の後ろ紐2aの端部部分に雄部材22を取り外し可能な状態で取り付け、袴の他方の後ろ紐2bの端部部分に雌部材21を取り外し可能な状態で取り付ける。上記の作業により、本実施の形態の袴が作られる。
【0026】本実施の形態の雌部材及び雄部材も、上記の実施の形態と同様に、その取り付け位置を使用者の体型に応じて変更することにより、種々の体型に適用可能である。例えば、使用者のウエスト長が85cm、腰骨部分長が90cm、ヒップ長が96cmの場合、雌部材11と雄部材12との間の距離をウエスト長の85cm、飾り部3を経由した雌部材11と雄部材14との間の距離を腰骨部分長の90cm、飾り部3を経由した雄部材12と雌部材13との間の距離を腰骨部分長の90cm、雌部材21と雄部材22との間の距離を腰骨部分長の90cmに設定すれば、使用者の身体にフィットした状態となる。他の点は、上記の実施の形態と同様である。
【0027】上記の構成により、別体の飾り部3’を前紐1a、1bに通すだけで飾り部を形成することができ、より容易に袴を作ることができるとともに、飾り部3’に前紐1a、1bが交叉して通されているので、飾り部3’が中心に位置するように力が働き、飾り部3’の位置を常に中央に保つことが可能になる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、第一乃至第三の着脱手段を連結することにより、従来の袴をそのまま用いて、その袴を容易に着用ができる。また、第一乃至第三の着脱手段を取り外すことにより、通常の袴に戻るため、従来の袴本来の着用方法によっても着用することができる。
【出願人】 【識別番号】598156550
【氏名又は名称】株式会社京都文化懇話会
【出願日】 平成10年11月12日(1998.11.12)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二 (外10名)
【公開番号】 特開2000−144506(P2000−144506A)
【公開日】 平成12年5月26日(2000.5.26)
【出願番号】 特願平10−321911