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【発明の名称】 タイツ
【発明者】 【氏名】渡邊 健介

【氏名】木下 直之

【氏名】望月 克彦

【要約】 【課題】ナチュラルな外観を有し、さらさら感、ソフト性に優れた快適な着用感のあるドライ感に優れたタイツを提供する。

【解決手段】繊維軸方向に太細を有し、かつ横断面方向において単繊維間で断面積が異なるポリアミド系マルチフィラメントを少なくとも構成の一部に用いたタイツであって、該マルチフィラメントの長さ方向のウスター斑(ノーマルテスト)が5〜20%であり、かつ横断面方向における単繊維の太細比の最大値が1.2以上であることを特徴とするドライ感に優れたタイツ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】繊維軸方向に太細を有し、かつ横断面方向において単繊維間で断面積が異なるポリアミド系マルチフィラメントを少なくとも一部に用いたタイツであって、該ポリアミド系マルチフィラメントの長さ方向のウスター斑(ノーマルテスト)が5〜20%であり、かつ横断面方向における単繊維の太細比の最大値が1.2以上であることを特徴とするタイツ。
【請求項2】ポリアミド系マルチフィラメントのヤング率が7〜20g/dであることを特徴とする請求項1記載のタイツ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タイツに関するものである。さらに詳細には、ナチュラルな外観を有し、さらさら感、ドライ感、ソフト性に優れ、快適な着用感を有するタイツに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ナイロン6,ナイロン66で代表されるポリアミド系繊維は、その高強力性、耐摩耗性、ソフト性、深色性、透明性といった特徴を生かし、従来よりストッキング、タイツ等のレッグウェア製品に好まれて用いられてきている。
【0003】しかしながら、これらポリアミド系繊維には独特のぬめり感があり、また、天然繊維と比較して吸湿性が低いために、直接肌に触れて着用するタイツに使用した場合、ムレ、ベトツキを生じ、着用時における快適性という点では不十分であった。また、外観においては、合繊独特の均質なプレーン調のものばかりであり、面白みに欠けるものであった。
【0004】従来より、ポリアミド系繊維に対してさらさら感、ドライ感を付与する手段としては、繊維横断面の異形化、ポリマー改質、ポリマーへの粒子添加など種々の試みがなされており、 近年では繊維軸方向に太細を付与することでドライ感、杢感のある布帛とする手法が検討されている。
【0005】ポリアミド系繊維で太細を付与する方法としては、特公昭42−22576号公報、特公昭44−7744号公報に記載されているように紡糸口金部での異常流動を利用してメルトフラクチャを発生させる方法や、特公昭44−15573号公報、特開昭55−122017号公報、特開昭58−362107号公報に記載されているように異種ポリマを混合紡糸する方法があるが、いずれの方法も糸切れが発生しやすく製糸が不安定であり、生産性が悪いものであった。
【0006】また、特開昭62−191510号公報、特開昭63−211335号公報には繊維軸方向に断面積が変動したポリアミド系太細糸が開示されているが、これら太細糸は糸長手方向の太細周期長が数十cmに及ぶ長いものしか得られず、繊維布帛にした際にドライ感に欠けるものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の課題は、ナチュラルな外観を有し、さらさら感、ソフト性に優れた快適な着用感のあるドライ感に優れたタイツを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明のタイツは主として次の構成を有する。すなわち、繊維軸方向に太細を有し、かつ横断面方向において単繊維間で断面積が異なるポリアミド系マルチフィラメントを少なくとも一部に用いたタイツであって、該ポリアミド系マルチフィラメントの長さ方向のウスター斑(ノーマルテスト)が5〜20%であり、かつ横断面方向における単繊維の太細比の最大値が1.2以上であることを特徴とするタイツである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のタイツを構成するポリアミド系マルチフィラメントは、長さ方向のウースター斑(ノーマルテスト)を5〜20%、好ましくは6〜15%とするものである。かかるウースター斑(ノーマルテスト)が5%未満の場合には、染色したときの外観が杢調のない合繊独特の均質なものとなってしまう上に、本発明の目的とするドライ感、さらさら感のある風合いが発現しない。一方、かかるウースター斑が20%を越える場合には、染色したときの濃淡色差が強調されすぎてしまい、ナチュラルな外観が損なわれてしまう。
【0010】また、本発明のタイツを構成するポリアミド系マルチフィラメントは、その横断面方向において、単繊維間で断面積が変化するものである。横断面方向には太細が存在せず、糸長手方向にのみ太細が存在すると、マルチフィラメントとしての太細が大きくなりすぎて、濃淡色差が強調されすぎてしまう。
【0011】本発明のタイツを構成するポリアミド系マルチフィラメントは、その横断面方向における単繊維の太細比の最大値を1.2以上、好ましくは1.5以上とするものである。かかる太細比の最大値が1.2未満の場合には、太細による表面凹凸効果がほとんど発現せず、本発明の目的とするドライ感、さらさら感のある風合いが発現しない。
【0012】なお、本発明において、横断面方向における単繊維の太細比とは、横断面方向における太い単繊維と細い単繊維の横断面積の比(太い単繊維横断面積/細い単繊維横断面積)を意味し、マルチフィラメントの長さ方向10cm毎に光学顕微鏡を用いて横断面を撮影し、各横断面ごとに太い単繊維と細い単繊維の横断面の面積比を算出する。
【0013】また、かかる太細比の最大値とは、ある横断面を構成する全ての単繊維中で、最も太い単繊維と最も細い単繊維との横断面積の比(最も太い単繊維/最も細い単繊維)を意味する。
【0014】本発明のタイツを構成するポリアミド系マルチフィラメントのヤング率は、7〜20g/d、さらには8〜15g/dであることがタイツのソフト性をより優れたものとできる点で好ましい。
【0015】本発明のタイツを構成するポリアミド系マルチフィラメントの主成分は、ポリアミドであればとくに限定されないが、繊維形成能および力学的特性の点でナイロン6、ナイロン66が好ましい。また、本発明のタイツを構成するポリアミド系マルチフィラメントには、ポリアクリル酸ソーダ、ポリNビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその共重合体、ポリメタアクリル酸およびその共重合体、ポリビニルアルコールおよびその共重合体、架橋ポリエチレンオキサイド系ポリマーなどの吸湿・吸水物質やポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の汎用熱可塑性樹脂が本発明の目的を阻害しない範囲で含有されていてもよい。また、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料のほか従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤等が本発明の目的を阻害しない範囲で含有されていてもよい。
【0016】また、本発明のタイツを構成するポリアミド系マルチフィラメントの断面形状は、丸断面、凸型断面、三角断面、マルチローバル断面、偏平断面、H型断面、π型断面、C型断面その他公知の異形断面でもよい。その中でもドライ感、さらさら感により優れ、光沢、吸水性が高い等の点で凸型断面もしくは3〜8個の凹部と同数の凸部とを有するマルチローバル断面が好ましく、さらに繊維内部に中空部分を設けても良い。また、2種類以上の異形断面を混繊した断面ミックスマルチフィラメントであってもよい。
【0017】本発明のタイツは通常の方法により編成、染色、仕上げ、型板セットすることができる。本発明のタイツを構成するポリアミド系マルチフィラメントを仮撚加工し、ウーリーとして用いてもよいし、芯糸にポリウレタン弾性糸を配し、鞘糸として前記ポリアミド系マルチフィラメントをカバリングしたSCY(シングルカバードヤーン)、またはDCY(ダブルカバードヤーン)とし、かかるカバリング糸を用いてタイツとしても良い。
【0018】次に、本発明のタイツを構成するポリアミド系マルチフィラメントの製造方法の一例を図1をもって説明する。まず、溶融紡糸法によって未延伸糸を得、一旦パッケージ1に巻き取る。パッケージ1から解じょされた糸条を供給ローラー2と延伸ローラー5との間で低倍率延伸する際、仮撚加工用の流体旋回ノズル3を延伸ゾーンに設置し、走行糸条に有節バルーンを発生させる。このときスリットヒーター4の温度を50〜200℃に加熱しておく。旋回ノズルによって生じるバルーンと加熱されたスリットヒーターとの組み合わせにより、糸条は単繊維がそれぞれ別々に延伸され、さらにバルーンによる振動によって従来技術では成し得なかった短ピッチの太細糸が形成される。すなわち、有節バルーンは周期長の長い大きな太細を消滅させるとともに、バルーン振動によってマルチフィラメントの長さ方向および横断面方向の太部と細部を細かく分散化させる作用がある。このように、マルチフィラメントの太部と細部が短ピッチで混在・分散化するため、染色後の布帛外観は自然な斑感を与える。
【0019】図3は、溶融紡糸した未延伸糸を一旦巻取ることなく、直接紡糸延伸して太細糸を得る方法を示したものである。溶融紡糸した未延伸糸7に給油装置8で油剤を付与した後、第1ゴデーローラー9と第2ゴデーローラー12との間に流体旋回ノズル10を設置し、走行糸条に有節バルーンを発生させつつ加熱されたスリットヒーター11上で低倍率延伸し、太細糸を製造する。
【0020】
【実施例】本発明における各種物性値の測定方法は次の通りである。
A.ウースター斑(ノーマルテスト)
マルチフィラメントの糸長手方向の太さムラは、ツェルベガーウースター(株)社製USTER TESTER3で測定した。測定条件は、糸速度25m/分、ツイスト:Z0.5bar、測定時間:1分、測定モードはノーマルで平均偏差率(U%)を測定する。
B.マルチフィラメントの横断面方向における単繊維の太細比光学顕微鏡を用いてマルチフィラメントの長さ方向10cm毎に5カ所、横断面の写真撮影をし、各横断面の太い単繊維と細い単繊維の横断面積から次式によって算出した。
太細比=太い単繊維の横断面積/細い単繊維の横断面積C.ヤング率オリエンテック(株)社製TENSILON RTC−1210で測定した。測定条件は、試料長:5cm、引張速度:10cm/分、チャート速度:50cm/分でS−S曲線(応力−歪み曲線)を得て、初期引張抵抗度および別に測定した繊度から算出した。
D.風合特性(杢感、ドライ感、ソフト性)
各項目とも5人の被験者による官能試験を実施し、3段階評価した。「極めて優れている」を「◎」、「優れている」を「○」、「従来品並」を「△」、で表わした。また、杢感については、「杢感が強すぎてナチュラルな外観が損なわれている」ものを「×」で表した。
【0021】(実施例1)硫酸中の相対粘度ηrが2.65のナイロン6ポリマーを、紡糸温度265℃、紡糸速度800m/分で溶融紡糸して140デニール・17フィラメントの断面形状が凸型であるマルチフィラメント未延伸糸を得た。この未延伸糸を温度27±2℃、相対湿度70±10%環境下で図1の延伸装置を用いて供給ローラー速度300m/分、流体旋回ノズル圧0.2MPa、スリットヒーター温度80℃、延伸ローラー速度600m/分(延伸倍率2倍)で延伸し、70デニール・17フィラメントの太細を有するマルチフィラメントを得た。該マルチフィラメントのウースター斑(ノーマルテスト)は6.77%、単繊維太細比の最大値は2.3、ヤング率は11.7g/dであった。次に、該マルチフィラメントを摩擦仮撚機を用いて延伸倍率1.2倍、熱板温度120℃、ディスク回転数3500rpm、巻き取り速度350m/分の条件で仮撚りして仮撚加工糸を得た。続いて該仮撚加工糸をレッグ部に用いてタイツを編成し、市販の染料を用いて通常の方法にて染色、仕上げ及び型板セットしてタイツ製品とした。得られた製品の外観は自然な杢感を有したものであり、着用時の快適性もさらさら感、ドライ感、ソフト性に優れたものであった。結果を表1に示す。
【表1】

【0022】(実施例2、比較例1,2)未延伸糸の延伸において、供給ローラー速度を次のとおりに変更して延伸した以外は実施例1と同じ方法でタイツ製品としたものである。
<供給ローラー速度>実施例2:330m/分(延伸倍率1.8倍)
比較例1:170m/分(延伸倍率2.2倍)
比較例2:350m/分(延伸倍率1.7倍)
実施例2は、実施例1と比較して、杢感が強いものであったが、ドライ感、ソフト性に優れたタイツであった。結果を表1に併せて示す。比較例1は、ソフト性は優れていたものの、外観が均質なプレーン調に近いものであり、ドライ感、さらさら感に欠けるものであった。比較例2はソフト性、ドライ感は優れていたものの、杢感が強すぎてナチュラルな外観が損なわれていた。
【0023】(実施例3)断面形状が丸形である以外は、実施例1と同じ方法でタイツ製品としたものである。結果を表1に併せて示す。実施例1と比較してドライ感にやや劣るものの、自然な外観を有し、ソフト性に優れたものであった。
【0024】(実施例4)80デニール・10フィラメントの未延伸糸を実施例1と同じ条件で延伸して得た40デニール・10フィラメントの太細を有するマルチフィラメントと、公知の方法で得た30デニール・7フィラメントの太細を有しないマルチフィラメントを混繊してタイツ製品としたものである。結果を表1に併せて示す。実施例1と比較してヤング率が高いために、ソフト性にはやや劣るものの、自然な杢感、ドライ感のあるタイツが得られた。
【0025】(比較例4)未延伸糸の延伸時に流体旋回ノズルを用いずに延伸した以外は、実施例1と同じ方法でタイツ製品としたものである。結果を表1に併せて示す。得られたマルチフィラメントの横断面方向には太細が存在せず、濃淡色差が強調されすぎてしまっているため、自然な杢感が損なわれていた。
【0026】
【発明の効果】本発明により、染色した際に太細斑による自然な杢調の外観を呈し、かつ表面に微小な凹凸を有することでドライでさらさらとした触感が得られ、かつソフト性に優れた快適な着用性を持つタイツ製品を提供する。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成11年4月6日(1999.4.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−290805(P2000−290805A)
【公開日】 平成12年10月17日(2000.10.17)
【出願番号】 特願平11−98461