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【発明の名称】 乾麺の製造方法
【発明者】 【氏名】吉越 昇

【要約】 【課題】海藻を混入するも、麺のコシ等の食感が低下しない乾麺を製造することのできる乾麺の製造方法を提供する。

【解決手段】第一工程として、乾燥海藻に重量比約0.5の量の深層海水を加えて、海藻が充分柔らかくなるまで煮込んで、熱処理海藻となす。第二工程として、乾麺の原料粉に上記熱処理海藻を重量比で、0.1〜0.3混入して、塩分量を原料粉に対して重量比0.02から0.03に、加水量を原料粉に対して重量比0.26から0.27に調整した後、混練、製麺して麺状体となす。第三工程として、上記麺状体を、温度と湿度を調整して7時間以上の時間をかけて乾燥する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第一工程として、乾燥海藻に重量比約0.5の量の、深層の海水、又はその析出成分の食塩濃度換算4%の水溶液を加えて、海藻が充分柔らかくなるまで煮込んで、熱処理海藻となし、第二工程として、乾麺の原料粉に上記熱処理海藻を重量比で、0.1〜0.3混入して、塩分量を原料粉に対して重量比0.02から0.03に、加水量を原料粉に対して重量比0.26から0.27に調整した後、混練、製麺して麺状体となし、第三工程として、上記麺状体を、温度と湿度を調整して7時間以上の時間をかけて乾燥するようになした乾麺の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乾麺の製造方法に関するものである。
【0002】従来、海藻を麺の「ツナギ材」とし、麺の原料中に混入する提案が行われている。海藻中に含まれる粘性物質は製麺時のツナギ材として有益であり麺のコシが強くなり食味、食感が顕著に向上する。また、海藻の有する豊富なミネラル分は健康増進にも期待が持てるものであるとされている。
【0003】しかし、海藻を混入して乾麺を製造すると、場合によっては製造された乾麺が折れ易くなったり、乾麺を煮ると本来海藻をツナギとして使用したのにかかわらず麺のコシがなくなる場合もあるという問題点を有するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、海藻を混入するも、麺のコシ等の食感が向上し、甘味も喪向上する乾麺を製造することのできる乾麺の製造方法を提供することを課題としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため本発明乾麺の製造方法は、第一工程として、乾燥海藻に重量比約0.5の量の、深層の海水、又はその析出成分の食塩濃度換算4%の水溶液を加えて、海藻が充分柔らかくなるまで煮込んで、熱処理海藻となし、第二工程として、乾麺の原料粉に上記熱処理海藻を重量比で、0.1〜0.3混入して、塩分量を原料粉に対して重量比0.02から0.03に、加水量を原料粉に対して重量比0.26から0.27に調整した後、混練、製麺して麺状体となし、第三工程として、上記麺状体を、温度と湿度を調整して7時間以上の時間をかけて乾燥するようになした技術的手段を講じたものである。
【0006】それ故、本発明は乾燥海藻を深層の海水、又はその析出成分の食塩濃度換算4%の水溶液で煮たので、従来乾麺の製造には食塩(ほぼ純粋な塩化ナトリウム)を使用していたが、深層の海水中には食塩以外の多数のミネラル成分を豊富に含まれ、このミネラル成分を利用できる。このミネラル分は栄養的に歓迎される物質であるが、本発明では塩化ナトリウム以外の、主として塩化マグネシウムが保水性を向上する作用を呈するもので、食塩換算で同量の塩分濃度、加水量とした場合、塩化マグネシウムが多少混入すると乾燥時間が長くなる傾向を呈するものであった。
【0007】なお、海藻は麺のツナギ材に有益であることは、よく知られたことであるが、海藻を混入して製麺して乾麺に乾燥すると、乾麺の機械的強度に相違が生じたり、食感が安定的でないことがあった。この原因を鋭意追求したところ、原料粉と海藻とに多少の水分放出条件〈乾燥条件〉に相違があるようで、乾燥した高温空気中で急速乾燥すると、得られた乾麺の機械的強度が低く、コシが弱くなるものであった。そこで、本発明では、加水する水分量は従来の乾麺製造法と実質的に相違しないが、海藻成分の保水性が大きいので、深層の海水の塩化マグネシウムで全体の保水性を高め、さらに乾燥時間を7時間以上と長く設定することで、各原料別の保水性の差を無視できる程度の、均一した水分放出条件となし、均一に乾燥し、乾麺の機械的強度の低下を防ぐ作用と、食感の低下を防ぐ作用とを呈するものである。
【0008】
【実施例】次ぎに、本発明の実施例を説明する。先ず、本発明は、第一工程として、乾燥海藻に重量比約0.5の量の深層の海水、又はその析出成分の食塩濃度換算4%の水溶液を加えて、海藻が充分柔らかくなるまで煮込んで、熱処理海藻となす。
【0009】海藻としては、食用となるものなら種々応用可能であるが、本実施例では一部地区で食用に使用されている布海苔を使用した。この布海苔は採取したものを洗浄して乾燥して販売されているので、これを入手して、洗浄を行い、布海苔1kgに対して500gの深層海水を加水して煮た。
【0010】上記深層の海水は富山沖の日本海で、深度300メータ以下の海水を採取した。この海水は最近、豊富なミネラル分を有し、雑菌等はほとんど混入しないもので、塩分濃度は四季を通じて4.1%と多少通常の海水よりは高い濃度であるが安定した塩分濃度を有してなる。なお、この海水は一度成分を析出し、後に水溶液となせば、実質的に同じものをえられるが、溶質として使用される水に純水を使用することは意外と煩雑で、殺菌して塩素やオゾンが残る水を使用すると、食味影響が出るので、可能な限り海水を直接使用することが望ましい。
【0011】本発明は、この豊富なミネラルに着目したのは無論であるが、深層の海水、又はその析出成分の食塩濃度換算4%の水溶液を使用した理由は以下の通りである。
【0012】■ 深層の海水はミネラル分が多くタンパク質の乾麺と共に食すると、栄養的に望ましいし、食味を向上させる。
【0013】■ 海水のミネラル成分は、極少成分を除くと、食塩の他は所謂豆腐の凝固剤に使用される苦汁で、塩化マグネシウム・硫酸マグネシウム・塩化カリウムである。したがって、この苦汁を麺類に使用するとタンパク質を凝固させコシを強くし、食感も向上する。
【0014】■ 上記苦汁は吸湿性・保水性が高く、乾麺原料中に混入すると、乾燥時間を遅らせ、均一な乾燥が可能となる。
【0015】そこで、本発明では、深層の海水を、海藻を煮る段階で使用した。特に、この段階で使用しなくてはいけな理由は無く、後に、原料粉を混練するときに混入してもよいが。自然水であるので殺菌をかねて、海藻を煮るために深層の海水を使用した。なお、この海藻を煮るには鍋で直火で煮てもよいが、本実施例では、二重容器の内鍋と外鍋との間に高温蒸気を流す蒸気式加熱装置で海藻と深層海水との混合物を、海藻が充分軟化するまで加熱した。
【0016】次ぎに、本発明は、第二工程として、乾麺の原料粉に上記熱処理海藻を重量比で、0.1〜0.3混入して、塩分量を原料粉に対して重量比0.02から0.03に、加水量を原料粉に対して重量比0.26から0.27に調整した後、混練、製麺して麺状体となした。
【0017】この第三工程は従来法と同じで、本実施例では原料粉として小麦粉2に対してそば粉8を混ぜたものを125kg、撹拌混練装置に投入し、前記第一工程で製造した熱処理海藻を煮汁と共に30kg混ぜ合わせ、水分量と塩分量を調整し、30分撹拌混練し麺生地となした。この麺生地はそのまま製麺装置で製麺して麺状体となしてもよいが、一定時間放置した後、製麺するのが通常である。
【0018】そして、本発明は、第三工程として、上記麺状体を、温度と湿度を調整して7時間以上の時間をかけて乾燥するようになした。最近は、急速乾燥が主流となりつつ有り、3〜4時間で乾麺に仕上げているが、海藻を混入した場合、このような急激な乾燥は、製造した乾麺が折れやすく、滑らかな喉ごしの食感が得られないものであった。
【0019】そこで、本発明では、製麺した上記麺条をコンベヤー等の自動移行装置に吊るして、場所によって雰囲気条件を、湿度90%から10%、温度15℃から40℃に調整した乾燥室内を7〜9時間で通過するようになしたところ、機械的強度が大きく、食感が滑らかな乾麺に仕上げることができた。
【0020】海藻の粘性成分は非常に保水性がよく、これを原料粉に混入して乾燥室で乾麺に仕上げると、そば粉・小麦粉・海藻の順に保水力が大きくなり、急激に乾燥するとこれら保水力の相違から、組織内が均一に乾燥できずその結果、乾麺の機械的強度と食感が低下する。そこで、本発明では、一つはそば粉と小麦粉の保水力を海藻に近づけるため、食塩ではなく保水性の大きい深層海水の苦汁成分を利用した。さらに、乾燥時間を長く設定してゆっくりと乾燥することで、各原料の保水力に差が有っても均一に乾燥が進行するようになして、機械的な強度が低下することなく、食感、食味のよい乾麺を得るように成したものである。
【0021】
【発明の効果】本発明は上記のごときで、ツナギとして海藻を使用したので、腰が強い乾麺を製造でき、また、深層海水を使用したので海水中に含まれる、ミネラル成分が栄養分として有益であると共にタンパク質を凝固し、より腰を強くするもので、両者の相乗的効果で腰の強い乾麺を製造できるものである。
【0022】なお、海藻と深層海水との混用は、特に、生麺ではなく乾麺とした場合に、乾麺特有のきめの粗さを低減し、乾燥時間を長く設定することできめが細かく、喉ごしのよい食感を向上した乾麺が製造できるものである。
【0023】また、海藻中のアルギン酸や、カリウム等は、人体に摂取される塩分を排出する機能があるとされており、海水との併用でも塩分摂取量が多少低減できる期待の持てる乾麺の製造方法を提供できるものである。
【出願人】 【識別番号】599074888
【氏名又は名称】桝田屋食品株式会社
【出願日】 平成11年6月1日(1999.6.1)
【代理人】 【識別番号】100067703
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 信
【公開番号】 特開2000−342205(P2000−342205A)
【公開日】 平成12年12月12日(2000.12.12)
【出願番号】 特願平11−153152