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【発明の名称】 γ−アミノ酪酸富化発芽玄米およびγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉
【発明者】 【氏名】佐々木 正光

【氏名】阿部 雪子

【要約】 【課題】ビタミン、ミネラル、食物繊維等、玄米の有用成分およびγ−アミノ酪酸を摂取できるγ−アミノ酪酸富化発芽玄米の提供、および長期貯蔵による品質劣化を抑制できるγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉を提供する。

【解決手段】玄米を発芽させることによりγ−アミノ酪酸を富化する。また、このγ−アミノ酪酸富化発芽玄米を乾燥、粉砕してγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉をうる。玄米の発芽に伴いγ−アミノ酪酸が富化されるとともに、調理しやすくなって料理応用範囲が拡大される。また、乾燥・粉砕して発芽玄米粉とすれば、さらに多くの食品に加工可能となり、玄米の有用成分とγ−アミノ酪酸を摂取でき、品質の劣化なく長期保存に適する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】玄米を発芽させることによりγ−アミノ酪酸を富化したことを特徴とするγ−アミノ酪酸富化発芽玄米。
【請求項2】請求項1記載のγ−アミノ酪酸富化発芽玄米を乾燥、粉砕したことを特徴とするγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、γ−アミノ酪酸富化発芽玄米および品質変化が抑制され長期保存に適したγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉に関する。
【0002】
〔発明の詳細な説明〕
【0003】
【従来の技術】γ−アミノ酪酸は神経抑制作用や精神安定作用などの機能を有しており、血圧降下作用、脳の代謝促進作用、動脈硬化の予防、二日酔い防止、皮膚の老化防止などの効果もある物質として注目されている。近年、γ−アミノ酪酸が胚芽に含めれていることが知られ、γ−アミノ酪酸を蓄積させる方法が発表されている(特開平7−213252号公報、特開平9−238650号公報)。
【0004】本願出願人は、胚芽米に、ピリドキサルリン酸および/またはピリドキサルリン酸ナトリウムと、グルタミン酸および/またはグルタミン酸ナトリウムとを加え、γ−アミノ酪酸の含有量を増加したγ−アミノ酪酸富化米およびその加工食品を提案しており(特願平11−92837号)、玄米の発芽過程とγ−アミノ酪酸の生成にも注目してきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本願出願人は、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、健康によい食品とされている玄米の消費拡大の必要性を説くものであるが、玄米は調理に圧力鍋が必要とされ、他の方法でも調理に手間がかかるという難点がある。また、精白された白米の食味に慣れてしまった現在の日本人には、玄米ご飯はなじみにくく、消費は極く限られているのが現状である。
【0006】日本人が日常食べている食品中、米は主食の米飯として少なからぬ量が消費されている。この米飯あるいはそれに代わる食品として、γ−アミノ酪酸富化発芽玄米を食すれば、コンスタントに望ましい量のγ−アミノ酪酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維が摂取可能となる。なお、図3に示すように、玄米のビタミンB1は、1年7ヶ月の貯蔵で、常温貯蔵では0.43mgから0.22mgへと約半減し、13℃、湿度70%の低温貯蔵で0.43mgから0.34mgへと約21%減少、10℃、湿度80%の低温貯蔵で0.43mgから0.32mgへと約25パーセント減少している。低温貯蔵すれば品質の劣化は低減されるがコストがかさむという難点があり、貯蔵による劣化の防止、管理維持費の削減が求められている。
【0007】本発明は、ビタミン、ミネラル、食物繊維等、玄米の有用成分およびγ−アミノ酪酸を摂取できるγ−アミノ酪酸富化発芽玄米の提供、および長期貯蔵による品質劣化を最小限にできるγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のγ−アミノ酪酸富化発芽玄米は、玄米を発芽させることによりγ−アミノ酪酸を富化したものである。また、本発明のγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉は、上述のγ−アミノ酪酸富化発芽玄米を乾燥、粉砕したものである。
【0009】玄米の発芽に伴いγ−アミノ酪酸が富化されるとともに、玄米を発芽させるので、調理しやすくなって料理応用範囲が拡大される。また、発芽玄米を乾燥・粉砕して発芽玄米粉とすれば、さらに多くの食品に加工可能となり、玄米の有用成分とγ−アミノ酪酸を摂取でき、品質の劣化なく長期保存に適する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のγ−アミノ酪酸富化発芽玄米およびγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉における好ましい実施の形態例を詳述する。本発明のγ−アミノ酪酸富化発芽玄米は、玄米を発芽させることによりγ−アミノ酪酸を富化したものであり、そのγ−アミノ酪酸富化発芽玄米を乾燥、粉砕してγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉を得る。
【0011】玄米を発芽させる条件としては、溶存酸素が多い(約20ppm)水を使用して浸漬、育成を行うことが望ましい。水温は、稲の発芽に好適な30〜33℃が望ましくより好ましくは約32℃前後である。浸漬後の育成に伴って生じる老廃物成分を除去し微生物の繁殖を抑制し腐敗させないため、育成中は約6時間ごとに水交換を行うことが望ましい。溶存酸素が約7ppmの通常の水道水等を使用するときには約2時間ごとに水交換が必要である。
【0012】得られたγ−アミノ酪酸富化発芽玄米を乾燥、粉砕してγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉を得る条件としては、温度50〜57℃、より好ましくは約55℃の乾燥機で、20〜22時間の乾燥後、製粉機により150〜180meshの細かさの粉末を得る。
<実施例1>玄米を水洗し、通常の水道水の約3倍の溶存酸素(21ppm以上)が得られるシャキット君(株式会社エムアンドエム製、野菜鮮度管理システム)を使用し、水温30〜33℃で、途中6時間ごとに水交換を行いながら、16時間浸漬して発芽を促した。その後も途中6時間ごとに水交換を行いながら、室内温度、育成箱ともに32℃として120時間育成して玄米を発芽させた。
【0013】得られた発芽玄米を、55℃の乾燥機で、20〜22時間乾燥させ、製粉機により150〜180meshの細かさの粉末にした。発芽させた玄米(あきたこまち、ひとめぼれ・きよにしきブレンド米、いずれも県内産、以下同じ)を約2g秤量し、電子レンジ(730W)で45秒間加熱し、蒸留水15ml、40%トリクロロ酢酸1mlを加え、約10分間磨砕し、3000rpm、10℃で10分間遠心分離後、上澄みをミリポア(0.5μl)でろ過した。得られた試料をアミノ酸アナライザー(全自動高速アミノ酸分析機、日本電子株式会社製)により、玄米の育成時間12時間ごとのγ−アミノ酪酸量の変化を測定した。その結果を表1および図1に示す。
【0014】
【表1】

【0015】■あきたこまち、■ひとめぼれ・きよにしきブレンド米ともに、育成時間が長くなるほどγ−アミノ酪酸量が増加する傾向がみられる。特にあきたこまちの増加量は120時間後には8.4倍にも達した。γ−アミノ酪酸量の増加と、発芽に伴うビタミン、ミネラル等の含有量の推移を考慮すると、90時間前後の育成が好ましい。
【0016】つぎに、発芽玄米粉と玄米の成分比較を表2に示す。
【0017】
【表2】

【0018】なお、発芽玄米粉については財団法人日本食品分析センターの分析第44050181号、玄米については食品分析表(女子栄養大学出版部)による。そのうち、カルシウム、鉄、ビタミンB2について、水分量を0として計算し直したのが表3である。表より明らかなように、カルシウム、鉄、ビタミンB2、γ−アミノ酪酸ともに、玄米に比較して発芽玄米粉に多く含まれ、ビタミンB2、γ−アミノ酪酸は特に多く含まれる。
【0019】
【表3】

【0020】一日のγ−アミノ酪酸の摂取目安量は30mgである(わかさ 1998年11月号、79ページ)。玄米からγ−アミノ酪酸の1日必要量を摂取するには300g弱の玄米を食する必要があるが、発芽玄米粉であれば約1/8の38g弱を食することで1日必要量を摂取できる。ビタミンB2の過剰分は尿中に排出されるので、たとえ過剰摂取されても問題はない。
【0021】次に貯蔵に伴うγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉中のビタミンB1の変化を表4および図2に示す。
【0022】
【表4】

【0023】表4および図2に示すように、97年度産米を発芽玄米粉にしたものを2年間常温貯蔵した後のビタミンB1は0.30mg/100mgであり、99年度産米を発芽玄米粉にしたもののビタミンB1は0.33mgであり、発芽玄米粉を2年間常温貯蔵したとき、約9パーセントしか減少せず、1年7ヶ月常温貯蔵した玄米のビタミンB1が約半減し、13℃、湿度70%または10℃、湿度80%の低温貯蔵した玄米で約21%〜25%減少のに比較してビタミンB1の低減が抑制される。このように、γ−アミノ酪酸富化発芽玄米を加熱・粉砕してγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉とすれば、常温貯蔵が可能で経済的に保存できる。
【0024】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明のγ−アミノ酪酸富化発芽玄米およびγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉によれば、玄米を発芽させることによりγ−アミノ酪酸を富化し、また、上述のγ−アミノ酪酸富化発芽玄米を乾燥、粉砕してγ−アミノ酪酸富化発芽玄米粉を得るので、玄米の発芽に伴いγ−アミノ酪酸が富化されるとともに、玄米を発芽させるので、調理しやすくなって料理応用範囲が拡大、また、発芽玄米を乾燥・粉砕して発芽玄米粉とすれば、さらに多くの食品に加工可能となり、玄米の有用成分とγ−アミノ酪酸を摂取でき、保存にも適するようになる。
【出願人】 【識別番号】596180733
【氏名又は名称】株式会社 エムアンドエム
【出願日】 平成11年4月22日(1999.4.22)
【代理人】 【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
【公開番号】 特開2000−300196(P2000−300196A)
【公開日】 平成12年10月31日(2000.10.31)
【出願番号】 特願平11−114610