| 【発明の名称】 |
麺類およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】赤松 伸行
【氏名】河村 康将
【氏名】塚本 真一
【氏名】中尾 博一
【氏名】上田 雅夫
【氏名】森田 良文
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| 【要約】 |
【課題】小麦粉以外の穀粉および/または澱粉を主原料とした原料粉とアルギン酸類とを含む製麺原料から得られた、茹で処理時の茹で溶けが少なく、かつ良好な食味・食感を呈する麺類を提供する。
【解決手段】実質的にグルテンを含まない穀粉および/または澱粉を主原料として含む原料粉、アルギン酸類、アルカリ剤および水とを混練して得た混練物から、弱酸性から弱アルカリ性の麺生地pHを呈する麺生地を調製する。 この麺生地から得た麺線をα化処理および酸液処理して、酸性域の麺線pHを呈する麺線を調製し、次いで、必要に応じて、麺線を水洗する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 麺線のα化処理と酸液処理を経て製造された麺類において、該麺類が、原料粉およびアルギン酸類を含む製麺原料から得られた麺類であり、かつ該原料粉が、実質的にグルテンを含まない穀粉および/または澱粉を主原料として含む、ことを特徴とする麺類。 【請求項2】 前記穀粉が、とうもろこし粉、そば粉、米粉およびこれらの混合物からなるグループから選択される請求項1に記載の麺類。 【請求項3】 前記原料粉が、小麦粉を含まない原料粉である請求項1または2に記載の麺類。 【請求項4】 麺類の製造方法であって、以下の工程、すなわち、(a) 原料粉、アルギン酸類、アルカリ剤および水とを混練して得た混練物から、弱酸性から弱アルカリ性の麺生地pHを呈する麺生地を調製し、(b) 該麺生地から麺線を調製し、および(c) 該麺線にα化処理と酸液処理を施して、酸性域の麺線pHを呈する麺線を調製する、工程を含み、かつ前記原料粉が、実質的にグルテンを含まない穀粉および/または澱粉を主原料として含み、および前記アルギン酸類が、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸のエステル、およびこれらの混合物からなるグループから選択される、ことを特徴とする麺類の製造方法。 【請求項5】 前記工程(c)が、前記麺線をα化処理した後に、麺線の酸液処理を行う工程である請求項4に記載の麺類の製造方法。 【請求項6】 前記工程(c)が、前記麺線を酸液処理した後に、麺線のα化処理を行う工程である請求項4に記載の麺類の製造方法。 【請求項7】 前記工程(c)が、前記麺線を酸液処理と同時にα化処理を行う工程である請求項4に記載の麺類の製造方法。 【請求項8】 前記工程(c)にてα化処理および酸液処理した麺線の麺線pHが、6.5以下である請求項4乃至7のいずれかに記載の麺類の製造方法。 【請求項9】 前記アルギン酸類の量が、原料粉に対して0.01重量%〜1.5重量%の量である請求項4乃至8のいずれかに記載の麺類の製造方法。 【請求項10】 前記穀粉が、とうもろこし粉、そば粉、米粉およびこれらの混合物からなるグループから選択される請求項4乃至9のいずれかに記載の麺類の製造方法。 【請求項11】 前記原料粉が、小麦粉を含まない原料粉である請求項4乃至10のいずれかに記載の麺類の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】本発明は、茹で処理時の麺線の茹で溶けが少なく、また、良好な食味・食感を呈する麺類、具体的には、実質的にグルテンを含まない穀粉および/または澱粉、例えば、とうもろこし粉、米粉、そば粉や澱粉などを主原料とした原料粉とアルギン酸類とを含む製麺原料から得られた麺類とその製造方法に関する。 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】これまで一般には、麺は小麦粉を主原料として製造されており、小麦粉以外の穀粉を主原料とした麺の製造は困難であるとする認識が当該技術分野では半ば常識化していた。 その根拠の一つに、麺生地に必要とされる展延性、粘着性、結着性などの諸性状が、小麦粉を水と混捏して得た混練物(麺生地)において、小麦粉に豊富に含まれている「グルテン」と呼ばれる蛋白質が形成する特有のネットワーク構造(網目構造)によって付与されるとの考え方がある。 つまり、この「グルテン」によってもたらされた諸性状によって、麺生地の圧延・切り出し、もしくは麺生地の押し出し工程等を含む製造工程(機械的処理工程)に供給可能な麺生地が形成され、また、麺のコシを含めた麺特有の食感も、このグルテンの性質によるものと考えられている。これに対して、とうもろこし粉(コーン粉)、米粉、そば粉等の小麦粉以外の穀粉や澱粉にはグルテンがほとんど含まれていないと言われており、これらを主原料とした原料粉を含む製麺原料から麺を製造すると、グルテンによる網目構造が麺線中に形成されないため、麺生地の展延性、粘着性、結着性が劣るのみならず、得られた麺の麺質は脆く、また、茹で処理時に麺が茹で溶け(麺の構成組織が溶出)するなどの不都合な事態を招くことになる。小麦粉以外の穀粉に起因するこれら問題点を解決すべく、従来から、グリアジン(グルテンの主要成分)を含有しない澱粉質穀粉に等量以下の小麦粉を混捏し、これを高圧で押し出して麺を得る工程を特徴とした麺類の製造方法(特開昭54−2352号)や、米粒を主原料として麺を製造するに当たり、少なくともその一部をα化して粘着性を付与させた後に、これを混練して、製麺する方法(特開昭54−55745号)などが提案されている。さらに、米粉を主原料とした原料粉を含む製麺原料からの麺の製造において、製麺原料にカードランを添加することで、米粉麺の食感、茹でのびを防止する方法も提案されている(特開平2−249466号)。 しかし、本発明者らが、この方法に沿って、カードランの他、キサンタンガム、アルギン酸およびローカストビーンガム等の各種増粘多糖類を添加した製麺原料からとうもろこし麺の製造を試み、得られた麺線の茹で溶けを確認した限りにおいては、十分な茹で溶け防止効果は認められなかった。同様に、澱粉質材料を主原料とした原料粉を含む製麺原料からパスタを製造する方法において、アルギン酸等のイオン性ゲル化剤を混合して得たパスタを、イオン性ゲル化剤とゲル形成カチオンを含む水とに接触させて、パスタを乾燥する方法なども提案されている(特開昭59−6855号)。しかしながら、これらいずれの従来技術によっても、茹で溶けが少なく、良好な食味・食感を呈する麺を獲得するにはほど遠いのが実情であった。本発明は、従来技術では解決し得なかったこれら課題、すなわち、澱粉あるいは小麦粉以外の穀粉類を主原料とした原料粉を含む製麺原料から得られた麺類、特に、茹で処理時の茹で溶けが少なく、かつ良好な食味・食感を呈する麺類の実現を目的とする。 【課題を解決するための手段】本発明者らは、これまでに、小麦粉を主原料とした原料粉を利用する麺の製造方法において、原料粉に、アルギン酸類、アルカリ剤、水とを混練して得た、弱酸性から弱アルカリ性のpHを呈する混練物(麺生地)から麺線を調製し、これをα化処理および酸液処理することを特徴とした、長期保存性を備えた生麺類の製造方法(特開平5−15331号、特開平6−209730号)と、食感に優れ、かつ湯のびが少ない即席麺の製造方法(特開平6−64号)を世に送り出してきた。そして、本発明者らは、小麦粉を主原料とした原料粉を利用する麺の製造方法に関するその後の研究過程にて、澱粉あるいは小麦粉以外の穀粉を主原料とする原料粉を含む製麺原料を、これら先行発明での一連の製造工程に適用してみたところ、意外にも、麺類に要求される種々の特性を獲得できることを知見し、本発明の完成に至ったのである。すなわち、本発明の要旨とするところは; (1)実質的にグルテンを含まない穀粉および/または澱粉を主原料とした原料粉とアルギン酸類とを含む製麺原料を用い、かつ麺線のα化処理と酸液処理を経て製造された麺類;および、(2) (a)(i)実質的にグルテンを含まない穀粉および/または澱粉を主原料として含む原料粉、(ii)アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸のエステルおよびこれらの混合物からなるグループから選択されるアルギン酸類、(iii)アルカリ剤および(iv)水とを混練して得た混練物から、弱酸性から弱アルカリ性の麺生地pHを呈する麺生地を調製し、(b) 該麺生地から麺線を調製し、および(c) 該麺線にα化処理と酸液処理を施して、酸性域の麺線pHを呈する麺線を調製する工程を含む麺類の製造方法、にある。このような本発明の構成によって、澱粉あるいは小麦粉以外の穀粉類を、麺類の製麺原料での原料粉中の主原料として利用しても、茹で処理時の麺線の茹で溶けが少なく、かつ良好な食味・食感を呈する麺類が得られるのである。 【発明の実施の形態】本発明に用いられる麺類の麺線としては、常法によって製麺して麺線としたものを用いることができる。 この「常法」とは、例えば、実質的にグルテンを含まない穀粉および/または澱粉と、必要に応じて、小麦粉を適宜配合した原料粉に、かんすいや食塩、それに増粘剤等の多糖類、酵素素材、麺質改良剤などや、その他の副原料を任意に添加し、これに水を加えて混練して混練物を得、この混練物(麺生地)を圧延して麺帯とした後に切り出すか、もしくはこの混練物を押し出して麺線とする方法を指す。 この製麺工程において、製麺原料の混練や麺帯の形成を減圧下で行ったり、得られた麺帯や麺線を熟成させることで、麺線のコシや食感を向上させることもできる。また、製麺工程において、複数の麺帯を重ね合わせて多層麺とし、この麺帯の内層に麺線のコシを強化する素材を添加することで、中芯感のある良好な食感の麺とすることができる。 また、得られた麺線を一旦乾燥させる等の方法によっても、麺線のコシや食感を向上させることができる。本明細書で使用する「実質的にグルテンを含まない穀粉」の語は、小麦粉以外の穀粉であって、例えば、とうもろこし粉、米粉、そば粉等の穀粉を指すものであるが、これらに限定されない。同様に、本発明で使用可能な「澱粉」としては、小麦澱粉、米澱粉、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、豆類澱粉、タピオカ澱粉等、あるいはこれらの加工または化工澱粉類などがある。また、本明細書で使用する「主原料」の語は、重量比的に原料粉の大部分を占める原料を指すものであって、その重量比等は特に限定されない。 すなわち、茹で処理時に麺線の茹で溶けが生じるレベルにまで原料粉中の小麦粉含量が少なくなっている場合や、あるいは小麦粉が全く含まれない場合において、本発明は有効に利用できる。 通常、原料粉に占める小麦粉の割合が60重量%程度で麺線の茹で溶けが出現し、そして、小麦粉の割合が40重量%以下になると麺線の茹で溶けが著しくなり(後出の実施例8を参照)、小麦粉を含まない場合に至っては、麺線の組織のほとんどが溶解する程度にまで茹で溶けしてしまう。 麺線の茹で溶けを招く小麦粉の配合割合は、製麺方法や併用する他の原材料によっても異なってくるが、本発明は、上述した小麦粉の配合割合にある原料粉に対して特に有効に利用できる。 また、本発明によれば、小麦粉を全く含まない原料粉でも茹で溶けが抑制でき、良好な食感を有する麺が製造できる。 また、小麦粉以外の穀粉を製麺原料での主原料に用いた場合、通常、独特の強い穀粉臭が発生するが、本発明によれば、このような穀粉臭の発生も有意に抑制できる。本明細書で使用する「アルギン酸類」の語は、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステル、およびこれらの混合物を包含する。 本発明で使用可能なアルギン酸塩として、アルギン酸のアルカリ金属塩(例えば、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリウム等)、マグネシウム塩、アンモニウム塩などがある。また、アルギン酸のエステルとして、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどがある。 加えて、本発明のアルギン酸類として、上掲したものの中で市販されているものを適宜使用することもできる。 これらアルギン酸類は、粉体の形態でも、また、予め水溶液の形態に調製した上で添加してもよく、いずれの態様のものでも適宜選択できる。原料粉へのアルギン酸類の添加量は、他の原料との関係、例えば、アルカリ剤の添加量、麺生地pH、また、α化処理および酸液処理の処理程度や、獲得しようとする麺質等を考慮して適宜決定されるが、好ましくは、原料粉1kgに対して約0.1g(0.01重量%)以上とする。 これはすなわち、アルギン酸類が0.01重量%よりも少ないと茹で溶け防止の効果が十分でなく、反面、過剰量(約1.5重量%超)のアルギン酸類を添加しても茹で溶け防止の効果はほとんど変わらず、かえって麺のコシが強くなりすぎて食感が損なわれる場合もあるので、原料粉に対して約0.01重量%〜約1.5重量%程度のアルギン酸類の添加量が適当である。次に、本発明で使用可能なアルカリ剤とは、通常、一般に入手・使用可能な公知の食品用アルカリ剤であって、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸塩、あるいはこれらの混合物等が使用できる。 しかしながら、カルシウム塩を含むアルカリ剤は、カルシウムがアルギン酸と反応してゲル化し、混練しづらくなるので、本発明においては好ましくない。 従って、カルシウム塩を含むアルカリ剤は、このような反応を起こさない方法もしくは範囲内において適用可能である。アルカリ剤の添加量は、アルカリ剤の種類に応じて適宜加減されるものであるが、本発明にあっては、麺生地pHが、弱酸性から弱アルカリ性のpH、好ましくは、約6.5〜約9.0になるように、アルカリ剤の添加量を調整する。 これはすなわち、麺生地pHが酸性側により過ぎると、麺線の茹で溶け防止効果や、良好な食感が獲得できず、一方で、アルカリ性側により過ぎると、後工程での酸液処理において、麺線pHの酸性域への移行が不十分となり、やはり本発明の効果が十分発揮されないことによる。本発明での麺生地の調製は、通常の製造装置によって実施できる。 製麺は、麺生地を圧延・切り出す装置によっても、あるいは麺線を押し出す装置によっても実施できる。 製麺しやすさの観点からすれば、押し出し装置による製麺が好ましい。 また、麺生地の調製にあっては、良好な食感の麺を得る観点からして、減圧下での混練や、真空麺帯機を使用して、麺質を緻密にする方法も好ましい。本発明での麺線のα化処理は、茹で処理および/または蒸し処理によって行われるが、α化処理中の麺線組織の溶出が少ない蒸し処理による麺線のα化処理が好ましい。 また、α化処理の程度は特に限定されず、麺線の中心部までα化する加熱処理でも、または麺線表面の一部が軽くα化する程度の加熱処理のいずれでも適宜任意に選択できる。また、麺線の酸液処理は、α化処理の前または後、あるいはα化処理と同時に行う。 酸液処理は、麺線の酸液中への浸漬や、麺線への酸液の塗布・噴霧等によって行われ、α化処理と同時に行う場合は、酸を添加した酸性溶液を用いて茹で処理または蒸し処理をするか、もしくは酸液を麺線に散布・噴霧するなどしてα化処理される。そして、この酸液処理に使用できる酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、醸造酢等の食品に対して使用できる酸が挙げられる。 酸液処理の条件は、使用する酸の種類、麺線pH、麺線のアルカリ度や麺質などを考慮して決定されるが、麺線の茹で溶け防止効果の観点からして、麺線のpHを約6.5以下に調整することが望ましいが、麺線pHが過剰に酸性側により過ぎると食味に好ましくない影響があるので注意を要する。 本発明においては、麺線の酸液処理を経ることで、製麺原料に添加されたアルギン酸類が不溶化して、麺全体に三次元的な網目組織が形成され、実質的にグルテンを含まない麺であっても、適度の粘弾性(麺線のコシ)に加え、茹で溶けが少なく、良好な食味・食感を呈する麺の実現に至ったものと推定される。このような一連の処理工程を経て得られた麺線は、得られた麺線をそのまま、もしくは水洗等して所定量毎に包装して包装麺とすることもできるし、密封包装したものを加熱処理もしくは加熱加圧処理してロングライフ麺(LL麺)もしくはレトルト麺とすることもできる。 また、油揚げ乾燥、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、フリーズドライ等の乾燥工程を経ることで即席麺とすることができるし、あるいは冷凍処理を施して冷凍麺として市場に流通せしめることもできる。 【実施例】本発明を、その好適な実施例に基づいて、以下に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例の開示に基づいて限定的に解釈されるべきでない。 実施例1:麺線の酸液処理条件(乳酸溶液の濃度)の検討麺線を酸液処理する際の酸液濃度(乳酸溶液の濃度)が麺の性状に与える影響に関して、以下の方法によって検討を行った。食塩20g、炭酸ナトリウム2.8g、重合リン酸塩2.0gおよびアルギン酸5gを、水530mlに溶解して練水を調製した。 次に、この練水を、コーン粉800gとα化コーン粉200gからなる混合粉(主原料)に加え、ミキサーによって混練して混練物(麺生地)を得た。 この麺生地のpHは、7.3であった。この麺生地を、圧延ロールに通して圧延し、最終麺帯厚が1.35mmの麺帯とし、これを角切刃22番で切り出して麺線を得た。 得られた麺線を、蒸し機で2分間常圧蒸煮(100℃)して、1食分(125g)ずつに裁断した。 裁断したこれら蒸し麺を、15g/lの50%乳酸溶液に約1分間浸漬して酸液処理を行い、次いで、液切りした。 液切りした麺線を、85℃の乾燥温度で、30分間、熱風乾燥処理した。このようにして得られた即席乾燥麺(熱風乾燥麺:本発明品1)を、500mlの熱湯で5分間茹でて調理した。 調理した即席麺は、茹で溶けが少なく、食感・食味も良好で、また、コーン粉特有の不快なコーン臭も感じられなかった。さらに、酸液処理した麺線の一部を粉砕し、そして、蒸留水と混合して得た10%懸濁水のpHを測定して麺線pHを求めたところ、本発明品1の麺線pHは、5.1であった。酸液処理に用いた乳酸溶液の濃度(50%乳酸添加量(g/l))を下記表1に記載の各種濃度に調整した以外は、前述した本発明品1の製造方法に従って、さらに4種類の麺(本発明品2〜5)を製造した。 なお、乳酸溶液に代えて水を用いて製造した麺を、対照品とした。そして、得られた各麺線(対照品と本発明品2〜5)に関して、前述した本発明品1での調理手順と同様にして調理を行い、各麺線に関して、茹で溶けとコーン臭の有無、麺線の酸味とコシの発現程度および麺線の結着性について官能評価を行った。 この官能検査とは、各麺線に関して、5人のパネラーに、麺線の茹で溶けとコーン臭の有無、麺線の酸味とコシの発現程度および麺線の結着性について評価してもらい、その平均的な評価をとりまとめたものである。 これらの結果を、以下の表1に示した。 【表1】
表1に記載の結果から、酸液処理後の麺線pHを6.5以下とすることで、麺線の茹で溶けが抑制され、また、麺線を酸液処理することで、不快なコーン臭が軽減または解消され、さらには、本実施例での製造工程によったことで、麺線の酸味とコシの発現程度および麺線の結着性についても改善が認められた。 実施例2:アルギン酸添加による効果の検討製麺原料へのアルギン酸の添加による効果に関して、以下の方法によって検討を行った。食塩20g、重合リン酸塩2.0g、適量の炭酸ナトリウム(麺生地pH調整剤)、および、0.05g、0.1g、1.0gまたは2.0gのアルギン酸を、水530mlに溶解して練水を調製した。 次に、この練水を、コーン粉800gとα化コーン粉200gからなる混合粉(主原料)に加え、ミキサーによって混練して混練物(麺生地)を得た。 なお、前出の炭酸ナトリウムは、麺生地pHを約7.0に調整するに必要な量を添加した。これら4種類の麺生地を、それぞれ圧延ロールに通して圧延し、最終麺帯厚が1.35mmの麺帯とし、これを角切刃22番で切り出して麺線を得た。 得られた麺線を、蒸し機で2分間常圧蒸煮(100℃)して、1食分(125g)ずつ裁断した。裁断したこれら蒸し麺を、15g/lの50%乳酸溶液に約1分間浸漬して酸液処理を行い、次いで、液切りした。 液切りした麺線を、85℃の乾燥温度で、30分間、熱風乾燥処理したて熱風乾燥麺(本発明品6〜9)を得た。そして、実施例1に記載の調理手順と同様にして各麺線を調理し、次いで、麺線の茹で溶けの程度、コシの発現程度および結着性について、実施例1に記載の手順と同様にして官能評価を行った。 その結果を、以下の表2にまとめた。 【表2】
表2に記載の結果から、アルギン酸の添加量を0.1g(原料粉重量の0.01重量%)以上とすることで、麺線の茹で溶け抑制の効果が出現し始め、また、アルギン酸の添加量を1.0g(原料粉重量の0.1重量%)以上とすることで、麺線の茹で溶け抑制効果に加えて、麺線のコシと結着性に改善が認められた。 実施例3:そば粉または米粉の利用による効果の検討製麺原料へのそば粉または米粉の添加による効果に関して、以下の方法によって検討を行った。食塩20g、重合リン酸塩2.0g、適量の炭酸ナトリウム(麺生地pH調整剤)、および、アルギン酸5gを、水530mlに溶解して練水を調製した。 次に、この練水を、800gのそば粉と200gのα化そば粉からなる混合粉(主原料)、あるいは1000gの米粉(主原料)のいずれかに加え、ミキサーによって混練して混練物(麺生地)を得た。 なお、前出の炭酸ナトリウムは、麺生地pHを約7.0に調整するに必要な量を添加した。これら2種類の麺生地を、パスタマシン(ダイス直径1.8mm)に通して押し出して麺線を得た。 得られた麺線を、蒸し機で2分間常圧蒸煮(100℃)して、1食分(125g)ずつ裁断した。 裁断したこれら蒸し麺を、33g/lの50%乳酸溶液に約1分間浸漬して、麺線pHが約5に調整されるように酸液処理を行い、次いで、液切りした。 液切りした麺線を、85℃の乾燥温度で、30分間、熱風乾燥処理して熱風乾燥麺(本発明品10と11)を得た。そして、各熱風乾燥麺(本発明品10と11)を、実施例1に記載の調理手順と同様にして調理を行ったところ、いずれの麺も、茹で溶けが少なく、食感・食味が良好で、しかも独特の穀粉臭も解消されていた。 また、これら各熱風乾燥麺に関して、実施例1に記載の手順と同様にして、麺線の茹で溶けの程度、麺線のコシの発現程度および結着性についても官能評価を行った。 その結果を、以下の表3にまとめた。 【表3】
表3に記載の結果から、製麺原料にそば粉もしくは米粉を添加しても、本発明によれば、麺線の茹で溶けが抑制され、また、麺線のコシと結着性も良好であった。 実施例4:ロングライフ麺(LL麺)本発明に従って、ロングライフ麺(LL麺)を製造した。炭酸ナトリウム1.5gとアルギン酸5gを、水530mlに溶解して練水を調製した。次に、この練水を、コーン粉800gとα化コーン粉200gからなる混合粉(主原料)に加え、ミキサーによって混練して混練物(麺生地)を得た。この麺生地を、圧延ロールに通して圧延し、最終麺帯厚が1.35mmの麺帯とし、これを角切刃22番で切り出して麺線を得た。 得られた麺線を、蒸し機で2分間常圧蒸煮(100℃)して、1食分(125g)ずつ裁断した。 裁断したこれら蒸し麺を、沸騰水中で約10秒間煮沸し、次いで、水に浸漬して冷却した後に、15g/lの50%乳酸溶液に約1分間浸漬して酸液処理を行い、そして、液切りして得た麺線を本発明品12とした。 一方で、50%乳酸溶液に代えて、水道水で浸漬処理して得た麺線を対照品とした。 次に、一食当たり2gの白絞油をこれら各麺線に添加して、一食毎にパウチに封入し、これを98℃の蒸気中にて、35分間殺菌した後に、流水に曝して冷却した。この一連の工程を経て得られたLL麺(本発明品12)を、室温下で1日間放置した後に、スチロール製の容器に入れ、熱湯を注いで3分後に各麺線に関して、麺線の茹で溶けの程度、コシの発現程度および結着性について評価を行った。その結果を、以下の表4にまとめた。 【表4】
表4に記載の結果から、本発明の方法をロングライフ麺(LL麺)の製造に応用しても、麺線の茹で溶けが抑制され、また、麺線のコシと結着性に関しても改善が認められた。 実施例5:澱粉麺(熱風乾燥麺)本発明に従って、澱粉麺(熱風乾燥麺)を製造した。食塩20g、炭酸ナトリウム2.8g、重合リン酸塩2g、およびアルギン酸5gを、水450mlに溶解して練水を調製した。 次に、この練水を、タピオカ澱粉800gとα化馬鈴薯澱粉200gからなる混合粉(主原料)に加え、ミキサーによって混練して混練物(麺生地)を得た。 この麺生地のpHは、7.7であった。この麺生地を、パスタマシン(ダイス直径1.8mm)に通して押し出して麺線とし、1食分(100g)ずつ裁断した。 裁断した麺線を、沸騰水中で約10秒間煮沸し、次いで、水に浸漬して冷却した後に、20g/lの50%乳酸溶液に約30秒間浸漬して酸液処理を行い、そして、液切りした後に、85℃の乾燥温度で、30分間、熱風乾燥処理して熱風乾燥麺(本発明品13)を得た。 澱粉のみを主原料として製造したこの熱風乾燥麺を、実施例1に記載の調理手順と同様にして調理を行って食したところ、茹で溶けが少なく、食感・食味が良好な麺であった。また、本発明品13の製麺原料でのアルギン酸5gと炭酸ナトリウム2.8gに代えて、1.0gの炭酸ナトリウムだけを添加した以外は、本発明品13の製造手順と同様にして澱粉麺を製造した(対照品1:アルギン酸無添加)。 対照品1の麺生地pHは、7.4であった。さらに、本発明品13の製麺工程での50%乳酸溶液による酸液処理に代えて、通常の水道水への浸漬処理を行った以外は、本発明品13の製造手順と同様にして澱粉麺を製造した(対照品2)。これら各澱粉麺(熱風乾燥麺)に関して、麺線の茹で溶けの程度、コシの発現程度および結着性についても、実施例1に記載の手順と同様にして官能評価を行った。 その結果を、以下の表5にまとめた。 【表5】
表5に記載の結果から、本発明の方法を澱粉麺(熱風乾燥麺)の製造に応用しても、麺線の茹で溶けが抑制され、また、麺線のコシと結着性に関しても改善が認められた。 これに対して、酸液処理またはアルギン酸添加のいずれかを欠いた条件下で製造した澱粉麺(対照品1または2)では、麺線の茹で溶け防止効果、それに麺線のコシと結着性のいずれについても満足のゆく結果は得られなかった。 実施例6:澱粉麺(LL麺)本発明に従って、澱粉麺(LL麺)を製造した。実施例5に記載の手順と同様にして麺生地を調製した。 この麺生地を、パスタマシン(ダイス直径1.8mm)に通して押し出して麺線とし、1食分(100g)ずつ裁断した。 裁断した麺線を、沸騰水中で約10秒間煮沸し、次いで、水に浸漬して冷却した後に、20g/lの50%乳酸溶液に約30秒間浸漬して酸液処理を行い、そして、液切りした。 次に、一食当たり2gの白絞油をこの麺線に添加して、一食毎にパウチに封入し、これを98℃の蒸気中にて、35分間殺菌した後に、流水に曝して冷却した。この一連の工程を経て得られたLL麺(本発明品14)を、室温下で1日間放置した後に、スチロール製の容器に入れ、熱湯を注いで3分後に各麺線に関して、麺線の茹で溶けの程度、コシの発現程度および結着性について評価を行った。また、本発明品14の製麺原料でのアルギン酸5gと炭酸ナトリウム2.8gに代えて、1.0gの炭酸ナトリウムだけを添加した以外は、本発明品14の製造手順と同様にして澱粉麺を製造した(対照品3:アルギン酸無添加)。 なお、対照品3の麺生地pHは、7.4であった。さらに、本発明品14の製麺工程での50%乳酸溶液による酸液処理に代えて、通常の水道水への浸漬処理を行った以外は、本発明品14の製造手順と同様にして澱粉麺を製造した(対照品4)。これら各澱粉麺(LL麺)に関して、実施例1に記載の手順と同様にして、麺線の茹で溶けの程度、コシの発現程度および結着性についても評価を行った。その結果を、以下の表6にまとめた。 【表6】
表6に記載の結果から、本発明の方法を澱粉麺(LL麺)の製造に応用しても、麺線の茹で溶けが抑制され、また、麺線のコシと結着性に関して改善が認められた。 これに対して、酸液処理またはアルギン酸添加のいずれかを欠いた条件下で製造した澱粉麺(対照品3または4)では、麺線の茹で溶け抑制効果、それに麺線のコシと結着性のいずれについても満足のゆく結果は得られなかった。 実施例7:増粘多糖類の選択アルギン酸の代替物として、各種増粘多糖類の製麺原料への添加を試み、その効果について検討を行った。実施例1の製麺原料でのアルギン酸5gに代えて、製麺原料によく用いられている増粘多糖類である、キサンタンガム、カロブビーンガム、グアーガムまたはカラギナンの5gを添加した以外は、実施例1の製造手順と同様にして熱風乾燥麺を製造した。 これら各熱風乾燥麺に関して、実施例1に記載の手順と同様にして、麺線の茹で溶けについて評価を行った。 その結果、アルギン酸以外の増粘多糖類を利用して製造したいずれの熱風乾燥麺も、茹で溶けが著しく、アルギン酸を用いた際に認められた麺線の茹で溶け防止効果は認められなかった。 実施例8:主原料(原料粉の組成)の検討主原料中に占める小麦粉以外の穀粉量と、麺線の茹で溶けとの関連を検討すべく、実施例1の主原料での小麦粉とコーン粉との配合比(重量比)を、8:2、6:4、および4:6の3通りに変化させ、また、製麺原料にアルギン酸を添加せず、さらに、麺線の酸液処理を省いた以外は、実施例1の製造手順と同様にして熱風乾燥麺を製造した。 なお、本実施例で用いた小麦粉の蛋白含量は、11重量%であった。 これら各熱風乾燥麺に関して、実施例1に記載の手順と同様にして、各麺線に関して、麺線の茹で溶けの有無、コシの発現程度および結着性について評価を行った。 その結果を、以下の表7にまとめた。 【表7】
表7に記載の結果から、主原料に占める小麦粉の割合が60重量%程度で麺線の茹で溶けが出現し、そして、小麦粉の割合が40重量%以下になると麺線の茹で溶けが著しくなっていた。 小麦粉不使用の原料粉での本発明の有用性を実証した実施例1〜7の結果をも加味すれば、小麦粉含量が60重量%以下の原料粉についても、その小麦粉が本質的に保有するグルテンが奏する効果と本発明による独特の効果とが相俟って、麺線の茹で溶け防止を含めた諸効果の発現が十分に期待される。 【発明の効果】このように本発明によると、所期の目的であった、小麦粉以外の穀粉および/または澱粉を主原料とした原料粉を含む製麺原料であっても、茹で処理時の麺の茹で溶けが少なく、かつ優れた食感・食味を呈する、麺類の製造が可能となるのである。 また、本発明によると、小麦粉以外の穀粉を主原料を利用した場合に認められる、独特の穀粉臭の発生も抑制ないしは解消することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000226976 【氏名又は名称】日清食品株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年3月2日(1999.3.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065868 【弁理士】 【氏名又は名称】角田 嘉宏 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−245375(P2000−245375A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月12日(2000.9.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−53772 |
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