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【発明の名称】 イカ珍味及びその製造方法
【発明者】 【氏名】加藤 武憲

【氏名】山部 かおる

【要約】 【課題】水分が38重量パーセント未満でエタノールによる白度向上効果を発現させる。皮付きとか白度があまり重要視されない製品の彩度向上、維持効果が発現する。乾燥度を上げてもしなやかなソフト感を付与する。乾燥度の高い場合に発生するアミノ酸の析出を防止する。

【解決手段】原料水分より最終製品の水分が高くなるように、原料の水分を低く調製した原料に対して0.1重量パーセント以上のエタノールと水分を付与することにより効果を発現出来る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】白度、彩度を良好にし、しなやかなソフト感を付与し、アミノ酸の析出を防止する目的で、イカ製品とエタノールが密封保存されてなり,前記イカにおけるエタノール含有量が0.1重量パーセント以上封入されることを特徴とするイカ珍味。
【請求項2】 特許請求範囲第一項記載のイカ製品は、エタノール処理する際のイカの水分が、最終製品の水分含有量より低く調製されたものに、水分を付与し調製したもの。
【請求項3】 最終製品の水分より低く調製されたイカに、水分とエタノールを付与し、かつこのイカ製品におけるエタノールの含有量が0.1重量パーセント以上になるようにし、エタノールと水分の共同作用により,白度,彩度を向上維持させ、しなやかなソフト感を付与し、アミノ酸の析出を防止することを特徴とするイカ珍味の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はイカ珍味及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】白度の良好なサキイカ珍味は特公平7−034725号にて提案されているが、この発明の欠点は、水分含有量が38重量パーセントより少なくなると白度が向上しないという点である。
【0003】また白度があまり重要視されない皮付きイカ珍味とか、ゲソ珍味は経日で彩度が低下して鮮度が低下したようなアピアランスを呈する。
【0004】又製品の乾燥度が高くなるとしなやかなソフト感が消失し、時として硬い芯が出来る場合もある。
【0005】又スルメとかスルメを培焼したアタリメ等の乾燥度の非常に高い製品は経日でイカに含まれるアミノ酸が析出しあたかも黴が発生した様なアピアランスを呈する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題点は従来エタノールによるイカ製品の白度向上効果は、イカ製品の水分が38重量パーセント以上無いと発現できなかったものを、水分が38重量パーセント未満のゾーンでも白サキイカはエタノールの白度向上効果を発現させること。
【0007】皮付きイカとか、ゲソ珍味等が経日で彩度が低下して鮮度が低下した様なアピアランスを呈するのを防止すること。
【0008】乾燥度を高めても製品に芯を出させず、しなやかなソフト感を付与すること。
【0009】乾燥度を非常に高めた場合に、アミノ酸が製品の表面に析出するのを防止することである。
【0010】
【課題を解決する為の手段】従来イカ珍味は水分含有の高いものを,乾燥工程を経て、水分を低く調整する為、原料及び中間品の水分は最終製品より高い状態で処理されるが、本発明の場合は、逆に原料及び中間品の水分を最終製品の水分より低く調製し、エタノール処理する際に水分を付与し、エタノールと水分との共同作用で効果を発現させることを特徴とするものである。例えば白サキイカの場合、原料のダルマの水分は50重量パーセント程度で、これを培焼し、裂いた中間品、例えば裂き済みイカの水分は45重量パーセント程度であり、このものに調味して最終製品の水分を29ないし30重量パーセントになる様に乾燥させるものであるが、本発明は逆に裂き済みイカの水分を最終製品の水分の29ないし30重量パーセントより低く調整したものに、水分とエタノールを添加し、かつイカ製品におけるエタノールの含有量が0.1重量パーセント以上になるようにすることにより,エタノールによる白度向上効果が発現出来、かつ彩度を向上維持し、しなやかなソフト感を付与し維持する、アミノ酸の析出を防止することが可能となった。
【0011】本発明の作用効果の発現は、水分とエタノールの共同作用によるものであるが、エタノール処理する際のイカの含有水分の状態が重要なポイントとなることが新たに解明された。
【0012】すなわちエタノール作用時のイカに含まれる水分は遊離水の状態の方がエタノールとの共同作用効果を発現させるのに適している。
【0013】よって一度乾燥させたイカに再度水分を付与した場合は、その水分はイカの組織に取り入れられず、本発明でのエタノールの効果発現に寄与することが判明した。
【0014】更に本発明で作用効果を発現させる為に最終イカ製品に含有させるエタノールの量は、試験例に記載されている通り0.1重量パーセント以上が望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明はエタノールと水分との共同作用で効果を発現させるものであり、そのエタノールと水分の調製実施のポイントは次の通りである。
【0016】A.水分の調製実施のポイント【0017】■ エタノール処理する際のイカの水分は、最終製品の水分より少なくとも1重量パーセント以上低いものであることが望ましく、このものに水分を付与して最終水分を調製する。
【0018】■のイカの水分調製は、予め水分調製して保存しておいても、エタノール処理する時点で調製しても良い。
【0019】B.エタノールの調製実施のポイント【0020】■ イカ製品に含有させるエタノール濃度は0.1重量パーセント以上であること。
【0021】■のイカ製品に含有させるエタノールは、イカに直接スプレーして吸着させても、又はエタノール吸着体に含有させたものを一緒に密封し、エタノール吸着体からガス化したものを吸着させても、又は前述の方法の組み合わせでも良い。
【0022】試験1 白度の向上、彩度の向上、しなやかなソフト感の付与、アミノ酸の析出防止効果を発現させるエタノール濃度と水分含有量の関係を試験した。
【0023】試験方法 凍結解凍したアカイカをつぼ抜きし、割載し45℃の温湯で脱皮したものと、脱皮しないものの2区をつくり、75℃で3分間加熱し、酵素を失活させた。このもの各1Kgに食塩30g、グラニュー糖50g、L−グルタミン酸Na、コハク酸二Na1g、5′−リボヌクレオタイドNa0.5g、クエン酸2gで粉体調味をしあんじょうした。次にこれらのイカを乾燥して水分を50重量パーセントにしてそれぞれダルマを調製した。このダルマをばい焼し、圧延し、裂き機にて細く裂いてホワイトサキイカと皮付きサキイカを調製した。このものの水分は45重量パーセントであった。この水分45重量パーセントのサキイカを乾燥させてそれぞれの水分の検体を調製した。
【0024】この裂き済みイカを使用して水分とエタノール濃度を調製して、水分含有量を変え、かつエタノール濃度を変えて調製した検体をKOP/PEのフイルムで作った袋に密封して36時間経過した後、効果の発現の有無を試験した。
【0025】比較のためにエタノールを含有させないで水分のみ同等としたものを調製して比較して効果の有無を+、-、± で判定した。この試験結果は表1〜表12に示す。
【0026】試験2 水分19.5%のスルメを培焼して圧延し、裂き機で引き裂き、アタリメを得、このものにエタノールと水分を付与しKOP/PE製の袋に密封し、常温で30日間保存し、アミノ酸の析出防止効果を試験した。
【0027】この結果は表13に示す。
【0028】
【実施例1】皮付きイカの裂き済み品で水分を26重量パーセントになるように水分調製し、凍結保存していた原料を解凍し、このもの1Kgに99%エタノールを10g噴霧し、引き続きグルタミン酸ナトリウム5g、リボタイド1g、ソルビット30g、砂糖20gを粉体調味した。更にこのものに水を30g噴霧して、厚手のポリエチレン製の袋に密封し36時間保存した。
【0029】このものを50gトレーに入れ、KOP/PE製の袋に密封し彩度の良好な製品を得た。
【0030】この製品を15℃で90日間保存したが彩度の低下は殆ど見られなかった。
【0031】
【実施例2】皮付きイカの裂き済み品で水分を26重量パーセントになるように水分調製し、凍結保存していた原料を解凍し、このもの1Kgに水を50g噴霧噴霧して、ポリエチレン製の袋に密封し冷蔵庫で24時間保存した。このもの1Kgに99%エタノールを10g噴霧し、引き続きグルタミン酸ナトリウム5g、リボタイド1g、ソルビット30g、砂糖20gを粉体調味した。
【0032】このものを厚手のポリエチレン製の袋に密封し36時間保存した後、50gをトレーに入れ、KOP/PE製の袋に密封し実施例1と同等の彩度の良好な製品を得た。
【0033】この製品を15℃で90日間保存したが彩度の低下は殆ど見られなかった。
【0034】
【実施例3】水分27重量パーセントに調製された皮無し裂き済みイカ1Kgにエタノール30重量パーセント含有するエタノール水を調製し、これを裂き済みイカ1Kgに対して60g噴霧した。引き続きグルタミン酸ナトリウム5g、リボタイド1g、ソルビット50g添加混合した。
【0035】このものを厚手のポリエチレン製袋に入れ36時間密封保存した後、トレーに50g入れ、KOP/PEの袋に密封し、白度の良好なサキイカを得た。
【0036】このものを15℃で90日間保存したが、殆ど褐変が見られなかった。
【0037】
【実施例4】いかのゲソを剥皮し乾燥し水分30重量パーセントとして凍結保存していた原料を1Kg解凍し、これに水50g、99%エタノール10g、砂糖30g、食塩30g、グルタミン酸ナトリウム5g、リボタイド1g、赤唐辛子3gを添加混合し、24時間漬け込んだ後、鉄板上で焼き上げてソフトでみずみずしい珍味が出来た。このものの水分は33重量パーセントであった。比較の為に、同じ配合のものからエタノールのみ除いたものを調製したが、エタノールを除いたものは芯があり硬いものであった。
【発明の効果】本発明は以上説明した様に構成されているので、以下に述べる様な効果を奏する。水分38重量パーセント未満のイカ珍味でも白度を向上させ、維持することが可能である。白度が重要視されないイカ珍味でも彩度を向上維持することが出来る。イカ珍味にしなやかなソフト感を付与する事が出来る。乾燥度の高い場合に生じるアミノ酸の析出を防止出来る。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【出願人】 【識別番号】391008102
【氏名又は名称】加藤 武憲
【出願日】 平成11年1月28日(1999.1.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−217555(P2000−217555A)
【公開日】 平成12年8月8日(2000.8.8)
【出願番号】 特願平11−19759