トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 寿司飯用炊飯調味液、それを使用した寿司飯、及び寿司飯の製造方法
【発明者】 【氏名】西 祐二

【氏名】鈴木 誠

【氏名】前田 和宏

【要約】 【課題】食感と老化耐性に優れ、製造後、寿司飯が流通、保存される温度帯で所定時間、即ちチルド寿司では、1℃〜15℃程度のチルド温度帯、特に5℃程度の温度において、24時間程度、常温寿司では、常温(15℃〜25℃程度の温度)において48時間程度、それぞれ保存された場合にも、老化を生じることなく、炊飯当初の美味しい状態を保持することのできる、炊飯前に添加する寿司飯用の炊飯調味液と、この寿司飯用炊飯調味液を使用して製造された寿司飯と、そのような寿司飯の製造方法とを提供することを目的とする。

【解決手段】精白米1重量部当たり、少なくとも糖アルコール0.005〜0.025重量部及び食塩0.005〜0.033重量部を含有することを特徴とする、炊飯前に添加する寿司飯用炊飯調味液と、前記寿司飯用炊飯調味液を使用した寿司飯と、寿司飯を製造するにあたり、精白米1重量部当たり、少なくとも糖アルコール0.005〜0.025重量部及び食塩0.005〜0.033重量部を炊飯前に添加することを特徴とする寿司飯の製造方法とを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 精白米1重量部当たり、少なくとも糖アルコール0.005〜0.025重量部及び食塩0.005〜0.033重量部を含有することを特徴とする、炊飯前に添加する寿司飯用炊飯調味液。
【請求項2】 炊飯調味液がチルド寿司飯用である請求項1記載の炊飯調味液。
【請求項3】 請求項1記載の寿司飯用炊飯調味液を使用した寿司飯。
【請求項4】 寿司飯がチルド寿司飯である請求項3記載の寿司飯。
【請求項5】 寿司飯を製造するにあたり、精白米1重量部当たり、少なくとも糖アルコール0.005〜0.025重量部及び食塩0.005〜0.033重量部を炊飯前に添加することを特徴とする寿司飯の製造方法。
【請求項6】 寿司飯がチルド寿司飯である請求項5記載の寿司飯の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チルド寿司用と常温寿司用とを含む寿司飯用、特にチルド寿司用の炊飯調味液、それを使用した寿司飯、及び寿司飯の製造方法に関する。さらに、詳細には、本発明は、炊飯前に添加する寿司飯用の炊飯調味液と、この寿司飯用炊飯調味液を使用して製造された、食感と老化耐性に優れた寿司飯と、そのような寿司飯の製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンビニエンスストアやスーパーマーケットにて寿司・米飯・惣菜類を購入し、持ち帰って食べるという、いわゆる「中食」と呼ばれる習慣が定着してきた。このような「中食」では、製造してから消費者が食するまでに時間を要するため、品質劣化抑制のニーズが強い。特に寿司飯においては、老化による品質劣化が最も問題視されている。
【0003】すなわち、寿司は、常温もしくはチルド温度帯(1℃〜15℃程度の温度帯)での流通・販売が行われている。一般に、いなり寿司や巻き寿司は前者で、生寿司は後者で取り扱われることが多い。
【0004】いなり寿司や巻き寿司などのように一般に常温下で流通・販売される寿司(以下、常温寿司という。)には常温で48時間程度、生寿司などのようにチルド温度帯で流通・販売される寿司(以下、チルド寿司という。)には5℃で24時間程度、それぞれ保存された場合にも、炊飯当初の品質が保持されていることが要求されている。
【0005】ところが、そのような寿司に用いられる寿司飯のもととなる炊飯米には、炊飯によりα化した澱粉が、時間の経過と共に、加熱処理前のβ澱粉の状態に戻る、いわゆる老化と称する現象が生じて、硬く、ボソボソになってしまうという性質がある。このような老化現象は、常温において緩やかに見られ、特にチルド温度帯においては、老化は速やかに進行する。すなわち、常温寿司が流通、保存される常温において老化現象は緩やかに見られ、さらに、チルド寿司が流通、保存されるチルド温度帯、特に5℃程度の温度は、寿司飯が最も老化しやすい温度帯である。
【0006】このため、これまでこのような寿司飯の老化を防止するための様々な工夫がなされてきたが、これまで必ずしも十分に満足し得る老化防止方法は確立されていなかった。
【0007】一般に炊飯米の老化防止のために有効な方法の一つは、炊飯米に水分を多く含ませること、つまり炊飯時の加水を多くすることである。ところが、水分を多く含ませると、当然のことながら、出来上がりの炊飯米は、柔らかく、ベタついてきてしまい、寿司飯に用いるには不適当なものとなってしまう。すなわち、多量の水を加えて炊飯すると、炊飯時間が延長され、米粒の膨潤や米粒からの溶出成分の増加などに起因して、得られる炊飯米の軟化が激しく、寿司飯として適さないものとなってしまう。
【0008】そこで、炊飯時に食塩を加えることによって、炊飯米を硬めに上げることが知られているが、必ずしも食味や食感が満足し得るものではなかった。
【0009】一方、炊飯後の炊飯米について、アミラーゼ,プロテアーゼなどの酵素剤、アミノ酸、油脂などを単独で、若しくは適宜組み合わせて添加して、老化を改善する方法などが知られているが、これらの方法には一長一短があり、炊飯米の保存目的などを考慮して、個別に適切な方法を採用しているのが実情であり、コンビニエンスストアなどで業務用として使用するには不適当であった。
【0010】そこで本願出願人は、加水量を増やすと共に、糖類と食塩とを所定割合で加えることにより、炊飯米並びにすし飯を製造する方法を提案している(特開平9−191840号公報)。
【0011】この方法によれば、冷蔵耐性を有し、冷蔵保存中においても硬化することなく、美味しい状態に保持されたすし飯を製造し得るものの、若干焦げつき易いなど、解決すべき点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来技術の問題点を悉く解消し、焦げつき易いという問題がなく、しかも食感と老化耐性に優れ、製造後、寿司飯が流通、保存される温度帯で所定時間、すなわちチルド寿司では、1℃〜15℃程度のチルド温度帯、特に5℃程度の温度において、24時間程度、常温寿司では、常温(15℃〜25℃程度の温度)において48時間程度、それぞれ保存された場合にも、老化を生じることなく、炊飯当初の美味しい状態を保持することのできる、炊飯前に添加する寿司飯用の炊飯調味液と、この寿司飯用炊飯調味液を使用して製造された寿司飯と、そのような寿司飯の製造方法とを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1記載の本発明は、精白米1重量部当たり、少なくとも糖アルコール0.005〜0.025重量部及び食塩0.005〜0.033重量部を含有することを特徴とする、炊飯前に添加する寿司飯用炊飯調味液を提供するものである。
【0014】次に、請求項2記載の本発明は、炊飯調味液がチルド寿司飯用である請求項1記載の炊飯調味液を提供するものである。
【0015】また、請求項3記載の本発明は、請求項1記載の寿司飯用炊飯調味液を使用した寿司飯を提供するものである。
【0016】さらに、請求項4記載の本発明は、寿司飯がチルド寿司飯である請求項3記載の寿司飯を提供するものである。
【0017】次に、請求項5記載の本発明は、寿司飯を製造するにあたり、精白米1重量部当たり、少なくとも糖アルコール0.005〜0.025重量部及び食塩0.005〜0.033重量部を炊飯前に添加することを特徴とする寿司飯の製造方法を提供するものである。
【0018】最後に、請求項6記載の本発明は、寿司飯がチルド寿司飯である請求項5記載の寿司飯の製造方法を提供するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】請求項1記載の本発明は、炊飯前に添加する寿司飯用炊飯調味液に関する。請求項1記載の本発明の調味液を炊飯後に添加しても、本発明の目的を達成することはできない。
【0020】請求項1記載の本発明の対象となる寿司としては、前記したようなチルド寿司と常温寿司とが含まれる。ここでチルド寿司とは、前記したように、製造後、チルド温度帯(1℃〜15℃程度の温度帯)で流通、販売を行う寿司を指しており、チルド寿司飯とはそのようなチルド寿司用の寿司飯を指している。チルド寿司では、1℃〜15℃程度のチルド温度帯、特に5℃程度の温度において、24時間程度、一方、常温寿司では、常温(15℃〜25℃程度の温度)において48時間程度、それぞれ保存された場合にも、老化を生じることなく、炊飯当初の美味しい状態を保持することが要求されているが、本発明はこれらの要求をいずれも満足するものである。特に、本発明は、請求項2に記載したように、老化しやすく、これまで特に老化防止が要望されていたチルド寿司飯用の炊飯調味液として有用である。
【0021】請求項1記載の本発明の調味液は、精白米1重量部当たり、少なくとも糖アルコール0.005〜0.025重量部及び食塩0.005〜0.033重量部を含有することを特徴とする。
【0022】ここで糖アルコールとは、糖のカルボニル基が還元されている鎖状又は環状多価アルコール、具体的には例えば還元水飴、ソルビトール、マルチトール等を上げることができる。これらの中でも、コストなどの点からみて、特に還元水飴が最も好ましい。また、使用する食塩は、食用に供される、いわゆる塩化ナトリウムを主成分とする食用塩であれば良い。
【0023】請求項1記載の本発明の調味液は、精白米1重量部当たり、糖アルコールを0.005〜0.025重量部、好ましくは0.010〜0.020重量部の割合で含有するものである。ここで糖アルコールの含有割合が下限値未満であると、保水効果が十分に得られない。一方、糖アルコールの含有割合が上限を超えると、炊飯時の焦げ付きの原因となるばかりか、コスト上昇の原因となるため、好ましくない。
【0024】さらに、請求項1記載の本発明の調味液は、精白米1重量部当たり、食塩を0.005〜0.033重量部、好ましくは0.010〜0.025重量部の割合で含有するものである。食塩は、寿司飯の硬さを保つ作用があり、炊飯時に適量の食塩を加えることによって、硬めに炊き上げることができる。ここで食塩の含有割合が下限値未満であると、目的とする効果が十分に得られない。一方、食塩の含有割合が上限を超えると、寿司飯の食味に影響を与え、官能的に好まれないものとなってしまう。
【0025】請求項1記載の本発明の調味液は、糖アルコール及び食塩の両方を含有することが必要であって、いずれか一方のみを用いたとしても、本発明の目的を達成することはできない。両者を併用することにより、はじめて本発明の目的を達成することができる。
【0026】請求項1記載の本発明の調味液は、基本的には糖アルコール及び食塩を含有するものであれば良いが、その目的を損なわない範囲内で、公知の添加物、例えば醸造酢、有機酸、並びに有機酸塩等の酸味料やその他保存料等を配合・添加したものであっても良い。なお、請求項1記載の本発明の調味液は、通常、水を含有している。
【0027】以上の如き請求項1記載の本発明の調味液は、寿司飯用の調味液として、特に請求項2に記載したようにチルド寿司飯用の調味液として、炊飯前に精白米に添加される。洗浄後、水に浸漬し加水された精白米に、上記請求項1記載の本発明の調味液を添加し、炊飯することにより、老化耐性に優れた寿司飯用の炊飯米が得られる。
【0028】なお、請求項1記載の本発明の調味液を精白米に添加し、寿司飯用、特に請求項2に記載したようなチルド寿司飯用の炊飯米を製造するにあたっては、水の使用量を一般に使用される量よりも多くすることが好ましい。請求項1記載の本発明の調味液の場合、加水量を多くしても、炊飯米を硬めに炊き上げることができる。請求項1記載の本発明の調味液を使用する場合、精白米1重量部当たり、加水量が1.45〜1.65重量部、特に 1.5〜1.6重量部となるように水を加えて炊飯することが好ましい。このときの加水量は、洗米浸漬時の吸水量、並びに請求項1記載の本発明の調味液に含まれている水を含んだ割合である。
【0029】精白米としては、好ましくは寿司飯に適した品種の精白米を用いることができる。また、低グレード米なども、単独で、若しくは他の品種のものと適宜組み合わせて使用することができる。
【0030】チルド寿司飯用の炊飯米を製造するにあたっては、原料の精白米をよく洗った後、この洗米を水に30分〜2時間、好ましくは1〜2時間浸漬する。この浸漬処理によって、原料の精白米の重量に基づいて、0.25〜0.3倍の水分が精白米に保持されることになる。次いで、この洗米に、請求項1記載の本発明の調味液、及び必要に応じて添加料を加え、常法により炊飯する。これにより、水分含量62〜67%(w/w)の炊飯米が得られる。
【0031】このようにして炊飯された炊飯米を、常法により、蒸らし、酢合わせ、ほぐし、冷却の各工程を行って、請求項3に記載した如き寿司飯、特に請求項4に記載したようなチルド寿司飯を製造することができる。請求項3記載の本発明は、前記請求項1記載の寿司飯用炊飯調味液を使用した寿司飯であり、請求項4記載の本発明は、特にチルド寿司飯としたものである。
【0032】すなわち、まず上記のようにして炊飯された炊飯米を、所定時間、通常は20〜40分程度蒸らす。蒸らし工程が終了した後、合わせ酢を用いて酢合わせを行う。酢合わせは、冷却後、寿司飯の水分含量が58〜62%(w/w)になるように、合わせ酢の使用量を調節しながら行うことが望ましい。
【0033】なお、合わせ酢は、食酢,食塩,糖類,調味料などからなる組成のものを使用すればよいが、請求項1記載の本発明の調味液に含まれる塩分を考慮して、寿司酢の塩分を減量しておく必要がある。請求項1記載の本発明の調味液由来の塩分を考慮せず、通常の寿司酢を使用してしまうと、塩味の強い寿司飯となってしまう。従って、合わせ酢には、減塩タイプの寿司酢が好適に用いられる。
【0034】酢合わせ(合わせ酢を炊飯米に散布する)を行った後、1分間乃至数分間静置し、次いで別の容器に移して反転させ、しゃり切り(合わせ酢を炊飯米に混合する)を実施し、ほぐす。その後、寿司飯の温度が25〜35℃程度になるまで冷却する。冷却の方法としては、自然放冷する方法、強制冷却する方法などがある。この後、寿司飯を成型し、そのまま、或いは魚介類等の寿司種や具を取り合わせた後、冷蔵、配送する。冷蔵は、チルド温度帯(1℃〜15℃)で行うが、請求項2記載の本発明により得られるチルド寿司飯は、この状態で24時間以上、例えば36〜45時間程度保っても、表面が硬くならず、美味しく食することができる。
【0035】さらに、請求項5記載の本発明は、寿司飯を製造するにあたり、精白米1重量部当たり、少なくとも糖アルコール0.005〜0.025重量部及び食塩0.005〜0.033重量部を炊飯前に添加することを特徴とする寿司飯の製造方法を提供するものであり、請求項6記載の本発明は、特にチルド寿司飯の製造方法に関するものとしたものである。この請求項5記載の本発明の場合、前記請求項3,4についての説明中において、請求項1記載の寿司飯用炊飯調味液を使用して炊飯米を製造するする代わりに、精白米1重量部当たり、少なくとも糖アルコール0.005〜0.025重量部及び食塩0.005〜0.033重量部を炊飯前に添加して炊飯米を製造すること以外は、それと同様にして行えば良い。
【0036】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれによって何ら制限されるものではない。
【0037】試験例1精白米(品種:コシヒカリ)450gを十分に洗米し、水に60分間浸漬して十分に吸水させた浸漬米を水切りした後、市販の炊飯釜[松下電器産業(株)製、商品名:ナショナル電子ジャー炊飯器SR−GC10]に入れ、浸漬米と水との総重量が1148g(精白米に対する総加水倍率1.55倍)となるように水を加えた。これに、表1に示す量の食塩、還元水飴[(株)林原商事製、糖アルコール含量70%]19重量%、醸造酢[(株)ナカノス製]2重量%及び水(これら全体を100重量%としうる残量)からなるチルド寿司飯用炊飯調味液を50g添加し、炊飯した。このとき、精白米1重量部当たり、糖アルコール含量が0.015重量部(調味液中19重量%)となるように固定した。なお、このチルド寿司飯用炊飯調味液由来の水分を含めた場合の加水倍率は、1.61倍〜1.64倍となった。その後、チルド寿司飯用炊飯調味液由来の食塩分を考慮し、減塩タイプの寿司酢(食塩含量は表中に示す)にて酢合せし、シャリ切りを行って良くほぐし、冷却を行って、寿司飯を製造した。
【0038】製造された寿司飯を25〜28g/カンの重さになるようにシャリ玉に成型し、5℃にて24時間保存した後、食したときの食感及び寿司飯としての塩味加減を下記の評価基準にて評価した。これらの結果を、合せ酢中の食塩濃度及び精白米1重量部当たりの総食塩量と共に表1に示す。
【0039】[評価基準]
(1)食感:食したときの硬さ、粘り、及び老化したときの特徴であるボソボソ感を熟練パネラー6人により、次の5段階で評価した。
【0040】
◎:美味しい○:やや柔らかいが、美味しい△:やや硬いが、美味しい×:柔らか過ぎる、ベタついている××:老化しており、まずい(粘りがなく、硬くなり、ボソボソした食感)
【0041】(2)寿司飯としての塩味加減:食したときの寿司飯としての塩味を熟練パネラー6人により、次の2段階で評価した。
【0042】
○:丁度良い△:やや塩味が強い×:塩味が強過ぎる【0043】
【表1】

【0044】表1の結果によれば、糖アルコール含量を精白米1重量部当たり0.015重量部に固定して調べたとき、精白米1重量部当たりの食塩量が、0.003重量部であると、食感に劣るものとなることが分かる。一方、このとき、精白米1重量部当たりの食塩量が、0.035重量部であると、食感がやや劣る他、塩味が強くなり過ぎて好ましくないことが分かる。精白米1重量部当たりの食塩量が、0.006重量部,0.020重量部,0.032重量部のときに好ましい評価を受け、特に0.020重量部のときに最も好ましい評価を受けた。従って、精白米1重量部当たりの食塩量は、0.005〜0.033重量部の範囲、特に0.010〜0.025の範囲が好ましいことが明らかである。
【0045】試験例2精白米(品種:コシヒカリ)450gを十分に洗米し、水に60分間浸漬して十分に吸水させた浸漬米を水切りした後、市販の炊飯釜[前記と同じもの]に入れ、浸漬米と水との総重量が1148g(精白米に対する総加水倍率1.55倍)となるように水を加えた。これに、食塩14重量%、表2に示す量の還元水飴[(株)林原商事製、糖アルコール含量70%]、醸造酢[(株)ナカノス製]2重量%及び水(これら全体を100重量%としうる残量)からなるチルド寿司飯用炊飯調味液を50g添加し、炊飯した。このとき、精白米1重量部当たり、食塩含量が0.016重量部(調味液中14重量%)となるように固定した。なお、このチルド寿司飯用炊飯調味液由来の水分を含めた場合の加水倍率は、1.61倍〜1.64倍となった。その後、チルド寿司飯用炊飯調味液由来の食塩分を考慮し、減塩タイプの寿司酢(食塩含量3.5重量%)にて酢合せし、ほぐし、冷却を行って、寿司飯を製造した。
【0046】製造された寿司飯を5℃にて24時間保存した後、食したときの食感及び焦げ加減を評価した。結果を表2に示す。なお、食感の評価は、上記試験例1に記載したと同様にして行った。焦げ加減は、下記の評価基準にて評価した。
【0047】[評価基準]
・焦げ加減:炊飯時の炊飯米の焦げ加減を次の3段階で評価した。
【0048】
○:焦げが見られない△:若干焦げが見られる×:焦げが多く見られる【0049】
【表2】

【0050】表2の結果によれば、食塩含量を精白米1重量部当たり0.016重量部に固定して調べたとき、精白米1重量部当たりの糖アルコール量が、0.003重量部であると、著しく食感に劣るものとなることが分かる。一方、このとき、精白米1重量部当たりの糖アルコール量が、0.030重量部であると、著しく焦げが生じて好ましくないことが分かる。精白米1重量部当たりの糖アルコール量が、0.005重量部,0.015重量部,0.025重量部のときに好ましい評価を受け、特に0.015重量部のときに最も好ましい評価を受けた。従って、精白米1重量部当たりの糖アルコール量は、0.005〜0.025重量部の範囲、特に0.010〜0.020の範囲が好ましいことが明らかである。
【0051】実施例1精白米(品種:コシヒカリ)450gを十分に洗米し、水に60分間浸漬して十分に吸水させた浸漬米を水切りした後、市販の炊飯釜[前記と同じもの]に入れ、浸漬米と水との総重量が1148g(精白米に対する総加水倍率1.55倍)となるように水を加えた。これに、食塩 19重量%、還元水飴[(株)林原商事製、糖アルコール含量70%]19重量%、醸造酢[(株)ナカノス製]2重量%及び水60重量からなる寿司飯用炊飯調味液(食塩含量19重量%)を35g添加し、炊飯した。このとき、精白米1重量部当たり、食塩が0.015重量部、糖アルコールが0.010重量部となった。なお、この寿司飯用炊飯調味液由来の水分を含めた場合の加水倍率は、1.60倍となった。その後、寿司飯用炊飯調味液由来の食塩分を考慮し、減塩タイプの寿司酢100mlにて酢合せし、ほぐし、冷却を行って、寿司飯を製造した。
【0052】製造された寿司飯を5℃にて24時間保存した後、食したときの食味の評価結果を、製造直後の食味の評価結果と共に表3に示す。また、20℃にて48時間保存した後、食したときの食味の評価結果を表4に示す。なお、食味の評価は、食したときのボソボソ感(老化したときの特徴)の強弱を、6人の熟練パネラーにより官能評価した。
【0053】実施例2精白米(品種:コシヒカリ)450gを十分に洗米し、水に60分間浸漬して十分に吸水させた浸漬米を水切りした後、市販の炊飯釜[前記と同じもの]に入れ、浸漬米と水との総重量が1148g(精白米に対する総加水倍率1.55倍)となるように水を加えた。これに、食塩 10重量%、ソルビトール[東和化成工業(株)製、糖アルコール含量70%]10重量%、及び水80重量%からなる寿司飯用炊飯調味液(食塩含量10重量%)を40g添加し、炊飯した。このとき、精白米1重量部当たり、食塩が0.009重量部、糖アルコールが0.006重量部となった。なお、この寿司飯用炊飯調味液由来の水分を含めた場合の加水倍率は、1.62倍となった。その後、寿司飯用炊飯調味液由来の食塩分を考慮し、減塩タイプの寿司酢(食塩含量6重量%)にて酢合せし、ほぐし、冷却を行って、寿司飯を製造した。
【0054】製造された寿司飯を5℃にて24時間保存した後、食したときの食味の評価結果を、製造直後の食味の評価結果と共に表3に示す。また、20℃にて48時間保存した後、食したときの食味の評価結果を表4に示す。
【0055】比較例1(通常炊飯)
精白米(品種:コシヒカリ)450gを十分に洗米し、水に60分間浸漬して十分に吸水させた浸漬米を水切りした後、市販の炊飯釜[前記と同じもの]に入れ、浸漬米と水との総重量が1058g(精白米に対する総加水倍率1.35倍)となるように水を加え、炊飯した。その後、寿司酢(食塩含量10重量%)にて酢合せし、ほぐし、冷却を行って、寿司飯を製造した。製造された寿司飯を5℃にて24時間保存した後、食したときの食味の評価結果を、製造直後の食味の評価結果と共に表3に示す。また、20℃にて48時間保存した後、食したときの食味の評価結果を表4に示す。
【0056】比較例2(多加水炊飯)
精白米(品種:コシヒカリ)450gを十分に洗米し、水に60分間浸漬して十分に吸水させた浸漬米を水切りした後、市販の炊飯釜[前記と同じもの]に入れ、浸漬米と水との総重量が1170g(精白米に対する総加水倍率1.60倍)となるように水を加え、炊飯した。その後、寿司酢(食塩含量10重量%)にて酢合せし、ほぐし、冷却を行って、寿司飯を製造した。製造された寿司飯を5℃にて24時間保存した後、食したときの食味の評価結果を、製造直後の食味の評価結果と共に表3に示す。また、20℃にて48時間保存した後、食したときの食味の評価結果を表4に示す。
【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】表3によれば、本発明(実施例1,2)においては、比較例1(通常炊飯の場合)や比較例2(多加水炊飯の場合)と比べて、5℃で24時間後においても、老化せず、十分に美味しい寿司飯が得られることが分かる。なお、本発明(実施例1,2)では、5℃で36時間経過するまで、十分に美味しく食することができた。また、表4によれば、本発明(実施例1,2)においては、比較例1(通常炊飯の場合)や比較例2(多加水炊飯の場合)と比べて、20℃で48時間後という常温保存においても、十分に美味しい寿司飯が得られることが分かる。
【0060】
【発明の効果】請求項1記載の本発明の寿司飯用炊飯調味液によれば、これを炊飯前に精白米に添加することにより、食感と老化耐性に優れていて、請求項2に記載したように、特にチルド温度帯(1℃〜15℃程度の温度帯)、とりわけ5℃程度の温度において、24時間程度保存された場合にも、老化を生じることなく、炊飯当初の美味しい状態の保持された寿司飯用の炊飯米を製造することができる。
【0061】また、請求項1記載の本発明の寿司飯用炊飯調味液によれば、これを炊飯前に精白米に添加することにより、食感と老化耐性に優れていて、常温(15℃〜25℃程度の温度)において48時間程度保存された場合にも、老化を生じることなく、炊飯当初の美味しい状態の保持された寿司飯用の炊飯米を製造することができる。
【0062】次に、請求項3記載の本発明の寿司飯によれば、食感と老化耐性に優れていて、請求項4に記載したように、特にチルド温度帯(1℃〜15℃程度の温度帯)、とりわけ5℃程度の温度において、24時間程度保存された場合にも、老化を生じることなく、炊飯当初の美味しい状態の保持された寿司飯が得られる。
【0063】また、請求項3記載の本発明の寿司飯によれば、食感と老化耐性に優れていて、常温(15℃〜25℃程度の温度)において48時間程度保存された場合にも、老化を生じることなく、炊飯当初の美味しい状態の保持された寿司飯が得られる。
【0064】さらに、請求項5記載の本発明の寿司飯の製造方法によれば、食感と老化耐性に優れていて、請求項6に記載したように、特にチルド温度帯(1℃〜15℃程度の温度帯)、とりわけ5℃程度の温度において、24時間程度保存された場合にも、老化を生じることなく、炊飯当初の美味しい状態の保持された寿司飯を製造することができる。
【0065】また、請求項5記載の本発明の寿司飯の製造方法によれば、食感と老化耐性に優れていて、常温(15℃〜25℃程度の温度)において48時間程度保存された場合にも、老化を生じることなく、炊飯当初の美味しい状態の保持された寿司飯を製造することができる。
【出願人】 【識別番号】398065531
【氏名又は名称】株式会社ミツカングループ本社
【出願日】 平成11年1月25日(1999.1.25)
【代理人】 【識別番号】100074077
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 藤郎 (外1名)
【公開番号】 特開2000−210044(P2000−210044A)
【公開日】 平成12年8月2日(2000.8.2)
【出願番号】 特願平11−15300