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【発明の名称】 とろろ芋豆腐及びその製造方法
【発明者】 【氏名】井上 昇吾

【氏名】亀本 清行

【氏名】柳屋 芳雄

【氏名】水野 正幸

【氏名】田辺 康夫

【要約】 【課題】大豆を原材料とした本来の豆腐の食味や食感を持ちながら、併せてとろろ芋類の食味や食感を味わえる新しい形態(混合豆腐)のとろろ芋豆腐及びその製造方法の提供。

【解決手段】大豆を加工して得た豆乳を冷却し、その冷却豆乳に摺りとろろ芋類を加えて冷却とろろ混合豆乳を作り、次にこの冷却とろろ混合豆乳に凝固剤を添加した状態でジュール熱加熱方式により急速加熱して凝固させる構成。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 大豆ととろろ芋類を原材料とし、豆乳に摺りとろろ芋類を加えて加工され、この摺りとろろ芋類が全体重量の3〜50%含まれていることを特徴としたとろろ芋豆腐。
【請求項2】 摺りとろろ芋類が冷凍摺りとろろ芋類を解凍したものである請求項1記載のとろろ芋豆腐。
【請求項3】 摺りとろろ芋類が粉末摺りとろろ芋類に水を加えて作られたものである請求項1記載のとろろ芋豆腐。
【請求項4】 大豆を加工して得た豆乳を冷却し、その冷却豆乳に摺りとろろ芋類を加えて冷却とろろ混合豆乳を作り、次にこの冷却とろろ混合豆乳に凝固剤を添加した状態でジュール熱加熱方式により急速加熱して凝固させることを特徴としたとろろ芋豆腐の製造方法。
【請求項5】 摺りとろろ芋類が冷凍摺りとろろ芋類を解凍したものである請求項4記載のとろろ芋豆腐の製造方法。
【請求項6】 摺りとろろ芋類が粉末摺りとろろ芋類に水を加えて作られたものである請求項4記載のとろろ芋豆腐の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、とろろ芋類を混合したとろろ芋豆腐及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、豆腐といえば大豆を原材料として加工されたものである。この豆腐に類するものとして、ゴマ豆腐やたまご豆腐が一般に知られているが、これらはゴマやたまごを原材料とし、その原材料に大豆は含まれていない。このように、従来より知られているゴマ豆腐やたまご豆腐(豆腐に類するもの)は、単独の原材料を用いて加工されたもので、大豆を原材料とした豆腐をベースとし、これに他の原料、特にとろろ芋類を混合したものは見受けられない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、豆腐に類する食品として、大豆を原材料とした本来の豆腐の食味や食感を持ちながら、併せてとろろ芋類の食味や食感を味わえる新しい形態(混合豆腐)のとろろ芋豆腐及びその製造方法を提供することを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明(請求項1)のとろろ芋豆腐は、大豆ととろろ芋類を原材料とし、豆乳に摺りとろろ芋類を加えて加工され、この摺りとろろ芋類が全体重量の3〜50%含まれている構成とした。このとろろ芋豆腐において、摺りとろろ芋類が冷凍摺りとろろ芋類を解凍したものである態様(請求項2)と、摺りとろろ芋類が粉末摺りとろろ芋類に水を加えて作られたものである態様(請求項3)がある。
【0005】従って、このとろろ芋豆腐では、原材料として大豆ととろろ芋類を用いているため、本来の豆腐の食味や食感と、とろろ芋類の食味や食感を同時に味わうことができる。尚、摺りとろろ芋類が全体重量の3%以下の場合には、とろろ芋類の食味や食感が少なく、逆に摺りとろろ芋類が全体重量の50%を越えると、本来の豆腐の食味や食感が消える。このことから摺りとろろ芋類が全体重量の3〜50%の範囲で含まれていることが、本来の豆腐の食味や食感を保ちながら、とろろ芋類の食味や食感を同時に味わえるという点で好ましい。
【0006】又、本発明(請求項4)のとろろ芋豆腐の製造方法は、大豆を加工して得た豆乳を冷却し、その冷却豆乳に摺りとろろ芋類を加えて冷却とろろ混合豆乳を作り、次にこの冷却とろろ混合豆乳に凝固剤を添加した状態でジュール熱加熱方式により急速加熱して凝固させる構成とした。このとろろ芋豆腐の製造方法において、摺りとろろ芋類が冷凍摺りとろろ芋類を解凍したものである態様(請求項5)と、摺りとろろ芋類が粉末摺りとろろ芋類に水を加えて作られたものである態様(請求項6)、又、とろろ混合豆乳のうち摺りとろろ芋類が全体重量の3〜50%含まれている態様がある。
【0007】大豆と、とろろ芋類を原材料として用いた場合、その製造過程で生じる問題として、両原料の混ざり具合、食味の維持、凝固状態等が挙げられる。豆腐は、大豆を水に浸す浸漬工程、これを摩砕する摩砕工程、煮沸する煮沸工程、豆乳を得る絞り工程、凝固させる加熱凝固工程等、多くの工程を経て製造される。この豆腐製造工程のうち、本発明では、まず、大豆を加工して得た豆乳に対し、とろろ芋類を摺り下ろした状態の摺りとろろ芋類を混合している。仮りに、大豆ととろろ芋類を絞り工程以前の工程で混合すれば、とろろ芋類の粘りによって加工が困難になるし、食味や食感が損なわれてしまう。従って、豆乳に対し、とろろ芋類を摺り下ろした状態で混合すれば、液状の豆乳と流動性のある摺りとろろ芋類の混合になるため、両原料をムラなく均一に混合させることができる。
【0008】又、上述のようにして両原料を均一に混合させたとしても、両原料には粒度及び比重に差があるため、時間の経過によって摺りとろろ芋類の沈殿による分離が生じる。これに対処するため、本発明では、ジュール熱加熱方式により急速加熱して凝固させることにした。このように、ジュール熱加熱方式を用いることによって、両原料が分離する前にとろろ混合豆乳を急速に凝固させることができる。尚、このジュール熱加熱方式を採用すると、冷却豆乳を使用して凝固剤の凝固反応を遅くさせ、豆乳を取り扱いやすくすることができる。このため、摺りとろろ芋類を加える前に、豆乳を事前に冷却し、この冷却豆乳に対して摺りとろろ芋類を加えるようにした。即ち、両原料を混合したのち冷却すると、この冷却時に両原料の分離が生じるからである。
【0009】又、本発明では、冷却とろろ混合豆乳のうち摺りとろろ芋類が全体重量の3〜50%含まれている態様がある。この点に関しては、前記したとろろ芋豆腐の項で述べたことと同様である。
【0010】また、本発明では、冷却とろろ混合豆乳のうち摺りとろろ芋類が全体重量の3〜15%前後含まれ、凝固剤として塩化マグネシウムのみを添加している態様と、冷却とろろ混合豆乳のうち摺りとろろ芋類が全体重量の15〜50%前後含まれ、凝固剤として塩化マグネシウムとグルコノデルタラクトンを添加している態様がある。凝固剤としての塩化マグネシウムは、一般にニガリと称されるもので、豆乳に添加すると、すぐに反応を起こすため取り扱いにくいといわれるが、大豆の味を損なうことがないため、おいしい豆腐ができるという性質を有する。一方、凝固剤としてのグルコノデルタラクトンは水溶液中でグルコン酸に分解され、このグルコン酸が凝固反応を起こすもので、水に溶けやすく、凝固反応が遅いために使いやすく、しっかりとした豆腐を作ることができるという性質を有する。ただ、価格が高い。
【0011】そして、前者のように、摺りとろろ芋類の混合比率が低い場合には、摺りとろろ芋類による粘りが少ないため、凝固しやすくなるし、又、冷却した冷却とろろ混合豆乳を用いるため、凝固剤の反応を遅くすることができる。従って、凝固剤としては塩化マグネシウムのみを使用し、大豆の味を損なうことなく、おいしい豆腐を製造することができる。又、後者のように、摺りとろろ芋類の混合比率が高い場合には、摺りとろろ芋類による粘りが多いため、凝固しにくくなる。従って、凝固剤として塩化マグネシウムのみでは、凝固が弱くなる。そこで、塩化マグネシウムとグルコノデルタラクトンを用いるもので、これにより、摺りとろろ芋類の混合比率を高い場合でも、大豆の味を維持しながら、しっかりとした豆腐を作ることができる。
【0012】尚、本発明で言うとろろ芋類には、長芋、イチョウ芋、ヤマト芋、つくね芋、山の芋、伊勢芋等、摺り下ろした状態で粘りが生じる芋全般を含むものとする。又、摺りとろろ芋類としては、とろろ芋類の現物を摺り下ろしたもの、摺りとろろ芋類を冷凍した冷凍摺りとろろ芋類(例えば、株式会社井上天極堂製:冷凍とろろいも)を解凍したもの(請求項2及び請求項5)、又、粉末摺りとろろ芋類(例えば、株式会社井上天極堂製:つくね芋粉末)に冷水(約3倍の冷水を加える)を加えて作ったもの(請求項3及び請求項6)を使用できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明のとろろ芋豆腐の製造方法の実施の形態を説明する。とろろ芋豆腐のベースとなる豆腐の原材料である大豆を水洗いしたのち、水に浸ける(浸漬工程)。この浸漬工程によって大豆に十分に水を含ませ柔らかくする。この場合の浸漬時間は、気温によって異なり、一般的には夏で8〜10時間、冬で18〜20時間程度としている。次に、浸漬工程を経た大豆をグラインダによって粉砕するもので、このとき、水を加えながら摩砕する(摩砕工程)。この加水量は大豆の約5倍程度であり、これにより、呉ができる。次に、呉を蒸気釜等で煮るもので(煮沸工程)、この際、沸騰してから約5分程度加熱を続ける。次に、煮沸工程を経た呉を布や絞り機を使って濾過するもので、これにより豆乳ができる(絞り工程)。尚、絞った後に残るのがオカラとなる。次に、この豆乳を5〜10℃程度に冷却する(冷却工程)。一般的な豆腐製造工程では、絞り工程で絞った直後の熱い豆乳に凝固剤を添加するが、ジュール加熱方式では、この冷却工程の後に凝固剤を添加することになる。そして、冷却工程を経た冷却豆乳に対して摺りとろろ芋を加えて冷却とろろ混合豆乳を作る(とろろ芋混合工程)。この摺りとろろ芋の混合に際しては、十分に攪拌し、両材料が均一に混ざるようにする。尚、冷凍摺りとろろ芋はこれを解凍して使用し、又、粉末摺りとろろ芋は冷水を加えて使用する。尚、この実施の形態では、摺りとろろ芋類が全体重量の約10%になるように冷凍摺りとろろ芋を作っている。次に、この冷却とろろ混合豆乳に凝固剤を添加した状態で、ジュール加熱方式による豆腐製造機の型に充填し、熟成させる(加熱凝固工程)。この場合、凝固剤として塩化マグネシウムのみを用い、これを冷却豆乳の約0.3%添加した。又、加熱温度はジュール加熱方式によって2〜3分で約80℃になるように設定した。このような条件で、30秒〜3分間熟成させることによってとろろ芋豆腐が出来上がる。尚、ジュール加熱方式による豆腐製造機は、型の内面に1対の電極板を対向して設け、この電極板を電源に接続して印加することで、型に充填した冷却とろろ混合豆乳を急速加熱するものである。そして、上記のようにして製造したとろろ芋豆腐を型から取り出し、所定のサイズや形状にカットして包装し(包装工程)、商品として提供することになる。
【0014】尚、上記した製造方法は、あくまでも1例であり、例えば、とろろ芋混合工程で摺りとろろ芋類が全体重量の約30%程度になるようにして、加熱凝固工程で凝固剤に塩化マグネシウム及びグルコノデルタラクトンを使用してもよい。又、大豆やとろろ芋類の種類、新鮮度、豆乳や摺りとろろ芋類の濃度や状態、凝固剤の種類、豆腐製造機の型の大きさ等によって製造条件が異なるもので、適宜に調整することになる。
【0015】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のとろろ芋豆腐では、原材料として大豆ととろろ芋類を用いているため、本来の豆腐の食味や食感と、とろろ芋類の食味や食感を同時に味わうことができる新しい形態の混合豆腐として提供することができる。
【0016】又、本発明のとろろ芋豆腐の製造方法では、冷却とろろ混合豆乳を作り、次にこの冷却とろろ混合豆乳に凝固剤を添加した状態でジュール熱加熱方式により急速加熱して凝固させることとした。従って、大豆と、とろろ芋類という異なる原材料として用いた場合の製造過程で生じる問題、即ち、両原料の混ざり具合、食味の維持、凝固状態等に関し、これらを解決して食味を維持しながら形くずれがなく、付加価値商品としてのとろろ芋豆腐を製造することができる。
【0017】又、この製造方法において、摺りとろろ芋類の混合比率が低い場合には、凝固剤としては塩化マグネシウムのみを使用すると、大豆の味を損なうことなく、おいしい豆腐を製造することができる。又、摺りとろろ芋類の混合比率が高い場合には、凝固剤として塩化マグネシウムとグルコノデルタラクトンを使用するため、大豆の味を維持しながら、しっかりとした豆腐を作ることができる。
【出願人】 【識別番号】398055037
【氏名又は名称】株式会社井上天極堂
【識別番号】000138288
【氏名又は名称】株式会社ヤナギヤ
【出願日】 平成10年11月30日(1998.11.30)
【代理人】 【識別番号】100081592
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 義則
【公開番号】 特開2000−157194(P2000−157194A)
【公開日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【出願番号】 特願平10−340629