| 【発明の名称】 |
調味梅干の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】生田 昇司
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| 【要約】 |
【課題】調味工程が短時間であり、かつ大型の漬け込み用タンクなどの特殊な製造設備を必要としない調味梅干の製造方法とし、また使用後の調味液が廃液として多量に発生しない製造方法を提供することである。
【解決手段】耐熱・耐水性の袋状容器1に梅果実を収容すると共に食塩、エチルアルコール、および糖類から選ばれる一種以上を含有する所定浸透圧の調味液2を梅果実または塩蔵の梅干が浸漬されるように収容し、袋状容器1を外部から熱水または加熱水蒸気などで加熱して酵母菌を殺菌すると共に、梅果実の表皮に梅干特有の皺5が形成されて調味梅干3となるように調味し、袋状容器1を封緘して袋入りの調味梅干とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 耐熱・耐水性の袋状容器に梅果実または塩蔵の梅干からなる原料梅を収容すると共に所定浸透圧の調味液を収容し、前記袋状容器および原料梅を加熱して酵母菌を死滅させ、かつ前記原料梅を調味液に浸漬して調味することからなる調味梅干の製造方法。 【請求項2】 請求項1記載の調味梅干の製造方法において、原料梅を浸漬した調味液を40℃以上に加熱する調味梅干の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、梅果実を調味液に漬けて調製する調味梅干の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、梅の果実を塩漬にしたものが梅漬であり、これを日干しにして漬上げたものが梅干と呼ばれている。 【0003】このような梅干の原料の梅果実は、梅漬に用いるものよりも熟成度合いの高いものが適用され、外見的には梅果実の表皮が緑色から黄色に変わる頃のものを収穫し、一時的に塩蔵したものを用いる。 【0004】梅干を製造する際の食塩の添加量は、若もぎの原料では20重量%程度、過熟の原料に対しては20〜25重量%程度であり、塩蔵の場合はこれより多く添加する。食塩は梅果実を収容したタンクの全体に平均して溶解するようにし、少なくとも1ヶ月、好ましくは3〜4ヶ月浸漬して漬上げるようにしている。 【0005】このようにすると梅果実を漬けた食塩および梅果実から浸出した液は、梅酢と呼ばれるものになり、浸出液には梅果実から浸出した有機酸を多量に含む果汁及び水分が含まれている。 【0006】梅酢および梅干には、漬物に通常に含まれる酵母が生息している。このような酵母は、単独の菌種に限定されるものではなく、サッカロミセス属(Saccharomyces)のものが多いと考えられる。 【0007】漬け上がった梅干は、通常は夏期に日中の強い太陽光線の下で2〜4日程度日干しにされ、表皮に梅干特有の皺が形成されたものになる。日干しされた梅干は、色や光沢がよくなり、梅肉の質もしまって形くずれし難くなる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来の梅干の製造方法は、前述のように1〜4ヶ月という長期の日数を要し、製造に長時間を要するという問題点がある。 【0009】また、従来方法で梅干を大量に生産するには大型タンクが必要であり、また漬梅を日干しにするために日当たりがよく広い加工場が必要であり、年間限られた季節に使用される製造設備は効率のよい利用が難しいという問題点がある。 【0010】また、梅干の製造後には多量の梅酢が副産物として残り、梅酢は通常のコンクリートタンクを腐食するような強い酸を含み、また酵母菌を含む梅酢が浄化槽や貯水槽に流入すると、酵母菌が大増殖して排水のBOD値をきわめて高い状態にするので、このような梅酢を一括して多量に処理することが容易でないという問題点がある。さらに、従来の調味梅漬に使用されている調味液は、非常に濃厚なものであり、残液の処理は通常の梅酢以上に多くの問題を有している。 【0011】そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して調味工程が短時間であり、かつ大型の漬け込み用タンクなどの特殊な製造設備を必要としない製造方法であり、また使用後の調味液が廃液として多量に発生しない調味梅干の製造方法を提供することである。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明においては、耐熱・耐水性の袋状容器に梅果実または塩蔵の梅干からなる原料梅を収容すると共に所定浸透圧の調味液を収容し、前記袋状容器および原料梅を加熱して酵母菌を死滅させ、かつ前記原料梅を調味液に浸漬して調味することからなる調味梅干の製造方法としたのである。上記の調味梅干の製造方法において、原料梅を調味液に浸漬した状態で調味液を40℃以上に加熱する方法を採用することが好ましい。 【0013】この発明の調味梅干の製造方法は、所定浸透圧の調味液に梅果実を浸漬して調味するので、形くずれせずに調味することが可能となり、かつ調味時間が短縮され、例えば24時間以内という短時間で梅干の調味工程を完了させることができる。 【0014】原料梅を浸漬した調味液を40℃以上に加熱する方法では、酵母菌類の殺菌および調味を同時に進行させることができ、しかも調味処理時間が短かくなる。 【0015】また、この発明の調味梅干の製造方法は、梅干の流通販売に適量の梅果実を袋状容器に入れ、袋入りの梅果実を調味するので、漬け込みのための大型のタンクなどの特別な製造設備を必要とせず、また調味加工後の梅干をいれた袋状容器を封緘するだけで出荷できる。 【0016】袋入りの状態で製造された調味梅干は、調味液と共に販売されるので、製造時に梅干に使用した調味液を産業廃液として多量に一括して処分する必要がない。消費者は、梅酢成分を含む調味液を生姜漬け等に再利用することもできる。 【0017】 【発明の実施の形態】この発明の実施形態を添付図面を参照して以下に詳細に説明する。図1に示すように、この発明に用いる耐熱・耐水性の袋状容器1は、調味液2および調味梅干(梅果実)3を外部に漏らさず、沸騰水等の熱水中に浸漬するか、または加熱水蒸気を接触させた際に変形しない耐熱・耐水性を有するものである。袋状容器の具体的な素材は、開口部を熱シールした場合に接着力が失われることがなく、蒸気透過性やガス透過性の小さい単層フィルムまたは複合フィルム(ラミネートフィルム)からなるものを採用することが好ましい。 【0018】袋状容器の形状は、一端部が開口した方形状その他の周知の袋状のものであればよく、特に限定されるものではない。 【0019】袋状容器の具体的な素材例としては、合成樹脂フィルム、アルミニウム箔などの金属箔、紙などの天然素材があり、さらに具体的にはポリエステル、ポリカーボネート、ナイロン、共重合フッ素樹脂フィルムとポリエチレンとのラミネートフィルム、またはアルミニウム箔、ポリマーコート防湿セロハンなどを組み合わせた3〜5層のラミネートフィルムなどが挙げられる。なお、図1には袋状容器1の開口部が、紐4や接着テープで封緘することができるものを示したが、開口部内面を熱可塑性合成樹脂で形成してヒートシールすれば、封緘時の作業性が向上しかつ密閉性も確実になって好ましい。 【0020】この発明に用いる梅果実は、その種類や大きさを特に限定したものではなく、要望に応じて様々の種類や熟度の梅果実を採用することができる。また、塩蔵の梅干は、保存用に塩漬された梅干であり、これも前記原料の生の梅果実と同様にして使用できる。因みに、冷凍保存されたものは梅果実中の繊維が損傷していて好ましくない。 【0021】この発明に用いる所定浸透圧の調味液は、食塩、エチルアルコールおよび糖類から選ばれる一種以上のものを含有する調味液であって浸透圧を所定の範囲に調整したものであり、「標浸度」と呼ばれるパラメータで評価することもできるものである。 【0022】なお、この梅干製品は、流通販売される際に保存に適当な所定浸透圧に調整した調味液を使用することが好ましいが、このようにすると梅果実の表皮に梅干特有の皺が形成された状態や品質が長期間にわたって維持されるようになり、通常、保存時に起こりやすい「梅やせ」も防止される。 【0023】袋状容器1を加熱して殺菌または調味するには、図1の鎖線で示すように上部を広げて開口した袋状容器1とし、その下部を沸騰水等の加熱液体中に浸漬するか、または所要温度の加熱水蒸気を袋外面に接触させるなどにより外部から加熱する。加熱温度は、前記した調味液の所定浸透圧との関係によって変更されるが、できるだけ短時間で梅果実の表皮に梅干特有の皺(しわ)5が形成されるようにすればよい。加熱温度は、酵母を殺菌するために40℃以上必要であり、速やかに処理するためには50℃〜85℃程度であり、梅果実の熱変成がないように40〜100℃の範囲で加熱調整すれば、酵母菌を死滅させながら調味できる。 【0024】 【実施例】〔実施例1〕中密度ポリエチレン、アルミニウム箔、ポリマーコート防湿セロハンを組み合わせた3層のラミネートフィルムで形成した縦20cm、横10cmの一端開口の方形状袋状容器に梅果実(生梅)300gを入れた袋を形成し、食塩を含有する所定浸透圧の調味液150mlを入れて袋状容器内で梅果実を浸漬した。そして、袋状容器の開口部を水面上に保持されるようにして50℃の水中に浸漬し、そのまま50℃で10時間加熱した。 【0025】加熱後に常温にまで自然冷却された調味梅干の表皮には梅干特有の皺が形成されており、しかも形くずれもなく、これを試食すると長時間かけて従来法で製造された梅干と全く同じ食感と特有の酸味があり、賞味できる調味梅干を得ることができた。 【0026】〔実施例2〕ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンをラミネートした縦20cm、横10cmの一端開口の方形状袋状容器に塩蔵の梅干300gを入れたこと以外は、実施例1と全く同様にして調味梅干を製造した。 【0027】得られた調味梅干は、従来法で製造された梅干と全く同じ食感と特有の酸味があり、賞味できるものが得られた。 【0028】 【発明の効果】この発明は、以上説明したように、所定浸透圧の調味液に梅果実や塩蔵の梅干を浸漬して加熱調味する調味梅干の製造方法としたので、形くずれせずに加熱調味することが可能になり、調味時間を常温での調味時間よりも短時間にすることができるという利点がある。 【0029】また、梅果実や塩蔵の梅干を袋状容器に入れた状態で調味加工するので、漬け込みのための大型のタンクなどの特殊な製造設備を必要としないという利点がある。 【0030】また、調味液に浸漬した状態で袋状容器を密封すれば、そのまま流通・販売できるので、生産時に多量の酸性廃液が発生せず、調味液は消費者によって有効利用することもできるという利点もある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】397018969 【氏名又は名称】生田 昇司
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| 【出願日】 |
平成10年10月29日(1998.10.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074206 【弁理士】 【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−135065(P2000−135065A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月16日(2000.5.16) |
| 【出願番号】 |
特願平10−308416 |
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