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【発明の名称】 あん類の製造法
【発明者】 【氏名】宮部 正明

【氏名】江崎 光雄

【氏名】稲葉 美穂子

【要約】 【課題】大豆を原料にして風味及び食感の優れたあん類の製造法を提供する。を目的とする。

【解決手段】生あん、晒しあん等に糖類を加えて練りあんを製造する方法において、生あん、晒しあんの一部又は全部に替えて微細化おからを用いてあん類を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】生あん、晒しあん等に糖類を加えて練りあんを製造する方法において、生あん、晒しあんの一部又は全部に替えて微細化おからを用いることを特徴とするあん類の製造法。
【請求項2】前記微細化おからは、膨潤大豆を回転刃型剪断力を作用させて平均粒子径20〜100ミクロンに微細化した後摩擦剪断力を作用させて平均粒子径15〜40ミクロンに微細化して豆乳と分離して得たおからである請求項1の製造法。
【請求項3】回転刃型剪断力または/および摩擦剪断力を2回以上作用させる請求項1又は請求項2の製造法。
【請求項4】あん類における糖類の加配割合が、微細化おから100重量部に対して40〜200重量部を混合することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の製造法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大豆からあん類を製造する方法に関するものである。
【0002】。
【従来の技術】あんの原料としては、小豆、いんげん豆、そら豆、イエロービーンズ等が用いられている。これらの原料は、入手難、価格の乱高化等の面で問題を持つ。原料入手が容易で価格も安くかつ安定している大豆を用いようとする研究が進められている。特開昭59ー175850号公報に、大豆餡の製造方法が提案されている。内容としては、煮豆を細断し500ミクロン以下好ましくは70ミクロン〜300ミクロンの粒にしてから餡に仕上げるものである。しかしながら風味及び食感の点で必ずしも満足すべきものではない。又、特公昭63ー21456号公報に、大豆からあんを製造する方法が提案されている。内容としては、豆乳の製造時に発生するおからを蒸気を用い品温80〜100℃で10〜30分加熱後、砂糖を加えて練りさらに砂糖の40〜60%相当のソルビトールを加え品温80〜100℃で練り上げることを特徴とするあんの製造方法である。しかしながら、これも風味及び食感で満足すべきものでない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、大豆を原料にして風味及び食感の優れたあん類の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために種々の検討を行った結果、あん、晒しあんの一部又は全部に替えて微細化おからを用いることにより課題を解決できる地検を得て本発明を完成するに到った。即ち、本発明は、生あん、晒しあん等に糖類を加えて練りあんを製造する方法において、生あん、晒しあんの一部又は全部に替えて微細化おからを用いることを特徴とするあん類の製造法である。この微細化おからは、膨潤大豆を回転刃型剪断力を作用させて平均粒子径20〜100ミクロンに微細化した後摩擦剪断力を作用させて平均粒子径15〜40ミクロンに微細化して豆乳と分離して得たおからが好ましい。回転刃型剪断力または/および摩擦剪断力を2回以上作用させる微細化したおからが好ましい。あん類における糖類の加配割合は、微細化おから100重量部に対して40〜200重量部をが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の練りあんは、生あん、晒しあん等に糖類を加えて製造する公知の方法を利用することが出来る。本発明に用いる糖類は、庶糖、水飴、異性化糖等通常加糖あん製造に用いられる糖類のいずれでも良い。又、ソルビトール等の糖アルコール、オリゴ糖等が例示でき、これらの単独又は2種以上を併用することができる。そしてこれらの糖類は、状態としては液状、粉末状いずれでもよい。
【0006】本発明は、膨潤大豆を回転刃型剪断力を作用させて平均粒子径20〜100ミクロンに微細化した後摩擦剪断力を作用させて平均粒子径15〜40ミクロンに微細化して豆乳と分離して得た微細化おからであることに特徴を有する。この膨潤大豆は、大豆を水乃至熱湯に浸漬するなどして膨潤させた大豆を原料として用いることが出来、特に脱皮し脱胚軸した大豆を用いることが好ましい。本発明の微細化おからは、回転刃型剪断力と摩擦剪断力を併用することで、細胞壁への損傷が少なくなる。従来の磨砕方法により微細化したものは大豆の組織が引きちぎられたように破壊され蛋白質変性の度合が大きくなったり、酵素反応等が生じ易くなりいやな風味が発生すると推察される。
【0007】本発明のあん類中、微細化おから100重量部に対して、糖類を40〜200重量部、より好ましくは、80〜120重量部糖類を加配割合をするのが適当である。糖類が40重量部未満であると食感が微細おからの食感となり、あん的な食感にならない。又、200重量部を越えると風味が甘くなり糖類本来の味に近づくと共に本発明の目的とする食感を得ることが難しくなる。
【0008】
【実施例】以下に、実施例及び比較例をあげこの発明の効果をより一層明確にするがこれらは例示であってこの発明の技術思想がこれらの例示によって、限定されるものではない。なお、以下に例示の部、%は何れも重量基準を意味する。実施例及び比較例に使用した上白糖は市販の精製上白糖「ST上白」(大日本明治製糖株式会社製)を、マルトースは「マルトース」(株式会社林原製)を、ソルビトールは「ソルビットDパウダー」(東和化成工業株式会社製)を用いた。使用した機器としては、小型煮炊撹拌機は「KR-MIN」(梶原工業株式会社製)を、実験用チーズ乳化釜は「3K」(東北大江工業株式会社)を、真空レオニーダーは「蒸気加熱KH-V1E型」(梶原工業株式会社製)を用いた。評価は、パネラー10名により食感、色調、風味の3項目を4段階で評価し平均で判定した。
◎ 非常に良い商品価値あり○ 良い商品価値あり△ 商品価値なし× 非常に悪い商品価値なし【0009】実施例1脱皮脱胚軸大豆1重量部(以下、部)に水10部を加え、40℃で60分間以上浸せきして十分に吸水した脱皮脱胚軸大豆(水分含量50%)1部に対し、熱水(90℃)3部を加えたものを回転刃型剪断力により細切するコミットロール(URSCHEL社製)を用いて2回処理して粒子径45ミクロンの粉砕スラリーを得た。得られたスラリーを次に高圧ホモゲナイザー(APV社製)で200kg/平方cmで2回処理して粒子径25ミクロンの微細大豆スラリーを得た。この微細大豆スラリーを遠心分離して豆乳とおからを得た。
※得られたおからの粒子径25ミクロンであった。
尚、粒子径の測定はコールターカウンター法によった。
【0010】実施例2実施例1の微細おから2000gと上白糖2000gを小型煮炊撹拌機に入れ、3分間回転数は21rpmで、ゆっくり撹拌し均一にした。糖度計でのブリックスは58度であった。次にガス加熱を行い品温90℃で20分間練り続け、あん類3100gを得た。糖度計でのブリックスは66度であった。
【0011】実施例3実施例1の微細おから500gと上白糖500gを実験用チーズ乳化釜に入れ、回転数150rpmで、蒸気による間接加熱で品温90℃で20分間の加熱撹拌処理を行った。あん類850gを得た。糖度計でのブリックスは57度であった。
【0012】実施例4、5実施例1の微細おから700gと上白糖300gで実施例3と同様な処理を行った。糖度計でのブリックスは42度であった。(実施例4)
実施例1の微細おから350gと上白糖650gで実施例3と同様な処理を行った。糖度計でのブリックスは70度であった。(実施例5)
実施例6実施例1の微細おから500gとマルトース500gで実施例3と同様な処理を行った。糖度計でのブリックスは56度であった。
【0013】実施例7実施例1の微細おから500gとソルビトール500gで実施例3と同様な処理を行った。糖度計でのブリックスは55度であった。
実施例8実施例1の微細おから30kgと上白糖30kgを真空レオニーダーに入れ、3分間回転数は48rpmで、ゆっくり撹拌し均一にした。糖度計でのブリックスは58であった。次に同条件の回転数で蒸気圧2kg/平方cmによる間接加熱と真空度400mmHgで水分蒸発を行いながら品温90℃で30分間撹拌し続けた。得られたあん類の糖度計でのブリックスは67度であった。
【0014】比較例1市販おから500gと上白糖500gを実験用チーズ乳化釜に入れ、回転数150rpmで、蒸気による間接加熱で品温90℃で20分間の加熱撹拌処理を行った。あん類850gを得た。糖度計でのブリックスは59度であった。
比較例2、3実施例1の微細おから750gと上白糖250gで実施例3と同様な処理を行った。糖度計でのブリックスは33度であった。(比較例2)
実施例1の微細おから300gと上白糖700gで実施例3と同様な処理を行った。糖度計でのブリックスは75度であった。(比較例3)
次に市販おからと本発明の微細おからの一般成分値を表ー1に示した。
【0015】
【表ー1】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 市販おから 微細おからーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 脂肪 (%) 3.3 3.1 蛋白質 (%) 6.8 4.9 炭水化物(%) 12.8 5.3 灰分 (%) 1.1 0.6 水分 (%) 76.0 86.1 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 合計 100.0 100.0 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー実施例2〜8、比較例1〜3の評価結果を表ー2に示した。
【0016】
【表ー2】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 実施例6 実施例7 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 食感 ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ 色調 ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ 風味 ◎ ◎ ○ ○ ◎ ○ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー【0017】
【表ー3】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 実施例8 比較例1 比較例2 比較例3 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 食感 ◎ △ △ △ 色調 ◎ ○ ○ ○ 風味 ◎ ○ ○ △ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上の結果、実施例2〜8の微細おからを使用したあん類は、食感、色調、風味において良好であった。これに対して、比較例1の市販おからを使用したあん類は、食感がざらつき劣っていた。比較例2の微細おから100重量部に対して、上白糖が40重量部未満であると食感が微細おからの食感となりあん的な食感ではなかった。比較例3は微細おから100重量部に対して、上白糖が200重量部を越えると風味が甘くなり実施例のものに比較して劣っていた。
【0018】
【発明の効果】本発明により従来多くの検討がなされた大豆を原料にしたあん類において、従来の発明とは格段に風味及び食感において優れたあん類を得ることが出来るようになった。
【出願人】 【識別番号】000236768
【氏名又は名称】不二製油株式会社
【出願日】 平成10年9月30日(1998.9.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−102360(P2000−102360A)
【公開日】 平成12年4月11日(2000.4.11)
【出願番号】 特願平10−276745