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【発明の名称】 豆腐の製造方法及び装置
【発明者】 【氏名】野口 茂

【氏名】松浦 勝

【氏名】山中 良郎

【氏名】佐々木 淳

【氏名】武内 朋子

【要約】 【課題】豆腐を自動的に製造する方法及び装置を提供する。

【解決手段】豆乳輸送回路、該豆乳輸送回路に設置された攪拌混合装置、該攪拌混合装置の下流側に設置された凝固剤濃度検出器、豆乳輸送回路あるいは攪拌混合装置に連通された凝固剤供給手段、及び凝固剤濃度検出器の信号を受け凝固剤供給手段を制御する凝固剤濃度調節計で豆腐の製造装置を構成し、弾力、食感ともに優れた豆腐を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】豆乳に豆乳輸送回路中で連続的に凝固剤を添加して豆腐を製造するに際して、豆乳に凝固剤を添加した後、該回路中で攪拌混合し、次いで豆乳中における凝固剤の濃度を検出し、その濃度に応じて凝固剤の添加量を制御することを特徴とする豆腐の製造方法。
【請求項2】豆乳中における凝固剤の濃度の検出方法が電気伝導率測定法、又はイオン検出法である請求項1記載の豆腐の製造方法。
【請求項3】凝固剤の添加前後で豆乳の電気伝導率を測定しその差に応じて凝固剤の添加量を制御することを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の豆腐の製造方法。
【請求項4】豆乳に豆乳輸送回路中で連続的に凝固剤を添加して豆腐を製造するに際して、豆乳の流量を測定しその測定値に応じて凝固剤の添加量を制御し、次いで攪拌混合することを特徴とする豆腐の製造方法。
【請求項5】豆乳に豆乳輸送回路中で連続的に凝固剤を添加して豆腐を製造するに際して、豆乳の流量を測定しその測定値に応じて豆乳の流量を制御しかつ該測定値に応じて凝固剤の添加量を制御し、次いで攪拌混合することを特徴とする豆腐の製造方法。
【請求項6】豆乳輸送回路、該豆乳輸送回路に設置された攪拌混合装置、豆乳輸送回路あるいは攪拌混合装置に連通された凝固剤供給手段、凝固剤添加部の下流側、又は上流側及び下流側に設置された凝固剤濃度検出器、及び凝固剤濃度検出器の信号を受け凝固剤供給手段を制御する凝固剤濃度調節計より構成されることを特徴とする豆腐の製造装置。
【請求項7】凝固剤濃度検出器が電気伝導率計である請求項6記載の豆腐の製造装置。
【請求項8】豆乳輸送回路、該豆乳輸送回路に設置された攪拌混合装置、該豆乳輸送回路に設置された豆乳の流量検出器、該豆乳輸送回路あるいは攪拌混合装置に連通された凝固剤供給手段、及び豆乳の流量検出器の信号を受け凝固剤供給手段を制御する凝固剤流量調節計より構成されることを特徴とする豆腐の製造装置。
【請求項9】豆乳輸送回路、該豆乳輸送回路に設置された攪拌混合装置、該豆乳輸送回路に設置された豆乳の流量検出器、該豆乳輸送回路あるいは攪拌混合装置に連通された凝固剤供給手段、豆乳の流量検出器の信号を受け豆乳の流量を制御する豆乳流量調節計、及び豆乳の流量検出器の信号を受け凝固剤供給手段を制御する凝固剤流量調節計より構成されることを特徴とする豆腐の製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は豆腐を自動的に製造する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】我が国では豆腐が古くから製造されてきたが、伝統的製法では、浸漬大豆に水を加え粉砕した呉を加熱した後これを濾布を用いて圧搾した絞り立ての熱い豆乳に凝固剤を添加し、撹拌混合して凝固を行わせる。この寄せといわれる凝固技術の善し悪しが、豆腐の品質の大きな差となって現れると言われているように、寄せの工程は豆腐製造にとって極めて重要なものである。このような熟練の技を必要とする伝統的な豆腐製造方法に代わって、近年大量生産を目的として開発されたのが充填豆腐であり、一丁寄せと言われる連続生産システムである。充填豆腐は絹ごしタイプの豆腐の製造を目的とし、その特徴は凝固剤を均一に混合した冷たい豆乳を容器に充填、密封した後に、そのまま高温に加熱して凝固させる。また、一丁寄せは、絹ごし様豆腐、木綿様豆腐を連続システムにより衛生的に製造するために考案された。冷たい豆乳にニガリを添加したのちに一丁づつ型枠に入れ加熱凝固させて絹ごし様豆腐を製造する方法で、これを崩した後網目付容器に移して一丁づつ成形して木綿様豆腐とする。このために凝固の失敗による不良品の発生、あるいは製品のバラツキが起こりにくいので、均一な製品を大量に製造できるという利点がある。しかしながら、天然ニガリ(主成分は塩化マグネシウム、塩化カルシウム)や、塩化マグネシウム、塩化カルシウム製剤等の即効性凝固剤を用いた場合には、たとえ豆乳を冷却しておいても凝固反応を長時間抑制することは難しい。このために容器あるいは型枠への充填前に凝固反応が進んでしまうと、例え豆腐状に固まっていたとしても、柔らかく崩れ易いざらっぽい食感となり、弾力のある滑らかな食感が無くなる。
【0003】凝固剤の添加方法として、冷たい豆乳を流しているライン中に直接凝固剤溶液を注入してライン内で混合するインライン混合方式が近年提案されており、この方法であれば凝固剤添加から容器充填までの時間を極力短かく出来る。しかしながら豆乳に加える凝固剤溶液が30%以上の高濃度でなければ、凝固剤添加時に蛋白の凝固が起こり易くざらついた食感の豆腐となってしまう。このため豆乳100に対して凝固剤の添加量は0.1〜2.0%(W/W)と極めて少量となり、正確な添加量の調整が難しいという問題点がある。すなわち、凝固剤を加え過ぎると渋味、苦味等が出て呈味に影響を与えるだけでなく、凝固そのものが変わるため目的とする食感を持たせることが出来ない。またさらに、豆乳に注入後短時間に均一に分散させないと凝固剤の濃度に偏りができてしまい、均質な豆腐が得られない。ライン中で連続的に凝固剤を加え混合するという発想が提案されながらも、これまで大量生産ラインでの実用化が困難であったのは、上記した理由による添加混合システムの不確実性に起因するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状に鑑み、本願発明者は鋭意研究の結果、豆乳にライン中で連続的に凝固剤を添加後、インラインミキサーにより攪拌混合し、次いで凝固剤の濃度を検出しその濃度に応じて凝固剤供給手段を制御することにより、あるいは、豆乳の流量に応じて凝固剤供給手段を制御しその後インラインミキサーにより攪拌混合することにより、高精度で凝固剤を豆乳に添加混合でき、弾力があり食感に優れた豆腐を製造することが可能であることを知見して本願発明を完成させた。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本願発明は、豆乳に豆乳輸送回路中で連続的に凝固剤を添加して豆腐を製造するに際して、豆乳に凝固剤を添加した後、該回路中で攪拌混合し、次いで豆乳中における凝固剤の濃度を検出し、その濃度に応じて凝固剤の添加量を制御することを特徴とする豆腐の製造方法及び装置、並びに豆乳に豆乳輸送回路中で連続的に凝固剤を添加して豆腐を製造するに際して、豆乳の流量を測定しその測定値に応じて凝固剤の添加量を制御し、次いで攪拌混合することを特徴とする豆腐の製造方法および装置である。
【0006】
【発明の実施の形態】先ず本願発明では豆乳を製造するわけであるが、豆乳の製造方法には限定がなく、例えば図8に示すように原料大豆を5〜25℃の水に6〜20時間浸漬した後水切りし、次いで4〜15倍量の水とともに磨砕機に投入して磨砕する。磨砕して得られた生呉は80〜120℃で0.5〜10分間加熱した後、固液分離例えばスクリューデカンタあるいは布袋に充填後押圧する等の手段により豆乳を得る。また、原料大豆をそのままあるいは脱皮して水に浸漬することなく、4〜15倍量の水を加えて磨砕機に投入して磨砕し、生呉を上記同様に加熱処理する。次ぎに凝固剤であるが、これも特に限定はなく通常の凝固剤、天然ニガリ、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等を利用でき、濃度も通常用いられる範囲でよく、例えば30〜80%(W/W)の溶液にして用いる。
【0007】凝固剤添加の制御に関しては、豆乳中における凝固剤の濃度を測定して添加量を制御する方法、及び豆乳の流量を測定して添加量を制御する方法があり、特に前者については、その測定手段として電気伝導率法、イオン電極法あるいは電気滴定法等を挙げることができるが、制御への利用については、精度あるいは応答性等の面から電気伝導率測定法が有効である。さらに、凝固剤の濃度を測定する制御の場合、添加する凝固剤自体の濃度に影響されない利点がある。
【0008】そして、電気伝導率法による凝固剤の添加量の制御であるが、添加後における豆乳の電気伝導率のみを測定して凝固剤の添加量を制御する方法と、凝固剤の添加前後で豆乳の電気伝導率を測定して、その差に応じて凝固剤を添加する方法とがある。前者の方法は、豆乳の電気伝導率は一定であることを前提として成り立つものであるが、豆乳の電気伝導率は、原料と製造法を一定とし、豆乳濃度を固定した場合同じ値が得られるので、予め凝固剤添加前の豆乳の値が判れば、凝固剤添加後の一点のみの測定値によって制御することも可能である。
【0009】以下図面を基に本願発明を説明する。まず図1及び図9に示す実施例は、凝固剤が添加された豆乳を例えば通常スタティックミキサーと称される攪拌機で凝固剤を豆乳に均一に分散させた後、豆乳の濃度すなわち電気伝導率を測定し、その数値に応じて凝固剤の添加量を制御するものである。その後容器に充填し、80〜90℃で40〜60分間加熱して充填豆腐を得る。図1において、豆乳タンク1と送液ポンプ2、該ポンプ2と攪拌混合装置3を豆乳移送パイプ4,5でそれぞれ連結する。そして攪拌混合装置3の排出側は、豆乳送出パイプ6が連結されている。送液ポンプ2は、定量性を要求されるため例えばロータリー式あるいはモーノ式等の容積式ポンプが好ましい。
【0010】一方、攪拌混合装置3には、凝固剤を添加するための凝固剤添加パイプ7が連結されており、その上流側は、凝固剤供給手段すなわち凝固剤供給ポンプ8と凝固剤タンク9に連結されている。さらに、豆乳送出パイプ6には、添加された凝固剤濃度の検出器すなわち電気伝導率計10が設置されていて、検出信号は凝固剤濃度調節計11に送信される。凝固剤の添加量は、電気伝導率計10の信号を受けた凝固剤濃度調節計11により凝固剤供給ポンプ8の回転数を連続的に変化させて制御される。なお、凝固剤添加パイプ7は、豆乳移送パイプ4あるいは豆乳移送パイプ5と連結してもよい。ここにおいて豆乳移送パイプ4,5及び豆乳送出パイプ6で豆乳輸送回路を形成する。
【0011】次ぎに攪拌混合装置3を説明する。攪拌混合装置3は、通称スタティックミキサと称される装置が好適に利用でき、円筒状部材15とその内部に挿入された固定羽根16より構成されている。固定羽根16は図2及び図3に示す如く、板状部材の中央部を中心として90度捻って軸方向にラセン状となる翼体17で構成され、これを図1に示す如く、軸方向に位相を相互にずらして複数順次設置してなるものである。かく構成することにより、まず最初の翼体17で被処理液体は2等分され、次の翼体17で4等分、以下順次8等分、16等分というように倍づつ等分されて攪拌混合がなされる。本実施例は、凝固剤が添加された豆乳の濃度をその下流側1カ所で測定する例で、装置が簡略化できる。
【0012】次ぎに図4及び図10に他の実施例を示す。本実施例は、図1の実施例に加えて凝固剤の添加部より上流側に電気伝導率計10Aを、さらに電気伝導率計10,10Aの信号を受けそれらの差、すなわち凝固剤の添加前の電気伝導率と添加後の電気伝導率の差を演算する演算処理器19をそれぞれ設け、その信号を凝固剤濃度調節計11に送るよう構成した例である。本実施例においては、凝固剤の添加前後で豆乳の電気伝導率を測定しているので、より高精度な制御が可能である。
【0013】次ぎに図5及び図11に他の実施例を示す。本実施例は、図1あるいは図2の実施例における電気伝導率計10の代わりに、豆乳の流量検出器12を用いた例である。豆乳移送パイプ5には、豆乳の流量を検出する流量検出器12が設置されていて、検出信号は凝固剤流量調節計13に送信される。そして、凝固剤の添加量は、流量検出器12の信号を受けた凝固剤流量調節計13により凝固剤供給ポンプ8の回転数を連続的に変化させて制御される。流量検出器12は、凝固剤添加部より上流側に位置させたほうが豆乳の流量のみを検出でき、かつ凝固剤の添加位置あるいは添加のタイムラグを調整でき高精度の制御ができる。
【0014】次ぎに図6及び図12に他の実施例を示す。本実施例は、図1の実施例において凝固剤の添加経路を例えば上流側に位置する第1の凝固剤添加パイプ7aと下流側に位置する第2の凝固剤添加パイプ7bの複数にし、各々の制御回路すなわち凝固剤濃度調節計11と第1及び第2の凝固剤供給ポンプ8a,8b間の回路に第1及び第2の比率演算器18a,18bを介装させ、目的とする比率で第1の凝固剤と第2の凝固剤を添加させるよう構成した例である。本実施例により複数の種類の異なる凝固剤を任意の比率で添加することができる。
【0015】そして次ぎに図7及び図13にさらなる他の実施例を示す。本実施例は、豆乳移送パイプ5に豆乳の流量検出器12を設置し、その信号を豆乳流量調節計22に送り該調節計22によりまず豆乳の流量を一定に保持するよう制御する。そして豆乳流量調節計22から第1及び第2の比率演算器18a,18bを介して、流量の信号を第1及び第2の凝固剤流量調節計20a,20bに送る。一方第1及び第2の凝固剤添加パイプ7a,7bには、第1及び第2の凝固剤の流量検出器21a,21bが介装されておりその信号が第1及び第2の凝固剤流量調節計20a,20bの各々に送信されて、該調節計20a,20bにより第1及び第2の凝固剤供給ポンプ8a,8bが制御され、前記豆乳の流量検出器12の検出値に対応した凝固剤が各々比例配分されて添加されるよう構成されている。本実施例により豆乳流量並びに凝固剤添加量の定量性が同時に達成できる。
【0016】
【実施例】全粒大豆を水洗いし、一晩水浸漬した後に4倍量の水を加えながら横型磨砕機(TKホモミックラインミル、特殊機化工業製)を用いて磨砕した。磨砕物を二重管式加熱器を用いて連続的に65℃迄加熱した後、蒸気を吹き込み105℃迄昇温後、30秒間保持した後、80℃まで冷却してスクリューデカンター(タナベウェルテック製)で固液分離を行い豆乳を得た。この豆乳を真空チャンバー(260Torr)で脱気後、プレートクーラで10℃に冷却し、蛋白濃度6.5%(T.N.×6.25)の豆乳を得た。上記豆乳(品温10℃)を図4に示す豆乳タンク1に集め、送液ポンプ2により定量的に攪拌混合装置3に送るとともに、塩化マグネシウム(6水塩)と塩化カルシウム(2水塩)の混合液(混合比:26:7(W/W)、濃度:39.7%(W/W))を添加し、攪拌混合装置3で十分混合した。そして凝固剤添加前後で豆乳中の凝固剤の濃度を電気伝導率指示調節計(CDIC−6、東亜電波工業社製)10,10Aで検出し、それぞれの検出値の差を演算処理器19、さらに凝固剤濃度調節計11に送りそして凝固剤供給ポンプ8の回転数を制御して、凝固剤の添加量を豆乳に対して0.83%(W/W)に調整した。次いで、10〜20℃に保持したこの豆乳を容器(300g、ポリプロピレン製)に充填し、プラスチックフィルム(NY/CPP製)で密封し、これを直ちに80℃の温水槽に入れて50分間保持した後、冷水槽に移し15℃まで冷却して充填豆腐を得た。得られた充填豆腐は、弾力のある滑らかな食感であった。
【0017】
【発明の効果】本願発明により凝固剤の添加量を適量に制御できるため、弾力、食感ともに優れた豆腐を製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
【出願日】 平成11年7月19日(1999.7.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−102359(P2000−102359A)
【公開日】 平成12年4月11日(2000.4.11)
【出願番号】 特願平11−204077