| 【発明の名称】 |
全粒大豆を用いた大豆加工食品およびその製法 |
| 【発明者】 |
【氏名】矢崎 達雄
【氏名】三宅 文則
【氏名】有馬 清武
【氏名】川野 郁夫
【氏名】滝口 強
【氏名】吉野 功
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| 【要約】 |
【課題】外皮を含めた全粒大豆粉末を含む懸濁液を原料とし、該懸濁液中の外皮成分などに由来する繊維質成分などを含めた全大豆成分を微粒化することにより、実質的にオカラを生じさせることなく全てを豆乳や豆腐などの大豆加工食品として飲食可能にすると共に、栄養成分をより効率よく溶出せしめ、更には大豆の子葉細胞や、原料大豆に付着する菌類や微生物の細胞を破砕してこれらを死滅させ、保存性の高い大豆加工食品を高歩留まり製造できる方法を提供すること。
【解決手段】外皮を含めた全粒大豆粉末を含有する懸濁液を湿式ジェットミルにかけ、該懸濁液を圧力100MPa以上及び/又は流速200m/sec 以上で相互に及び/又は壁面と衝突させることにより、全大豆成分を極微粒化する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外皮を含めた全粒大豆粉末を含有する懸濁液を湿式ジェットミルにかけ、該懸濁液を圧力100MPa以上及び/又は流速200m/sec 以上で相互に及び/又は壁面と衝突させることにより、全大豆成分を極微粒化することを特徴とする豆乳の製法。 【請求項2】 外皮を含めた全粒大豆粉末を含有する懸濁液を湿式ジェットミルにかけ、該懸濁液を圧力100MPa以上及び/又は流速200m/sec 以上で相互及び/又は壁面と衝突させることにより極微粒化すると共に大豆の子葉細胞を破砕し、細胞中の栄養成分を溶出させることを特徴とする豆乳の製法。 【請求項3】 湿式ジェットミルによる処理によって、懸濁液中に含まれる不溶物を平均粒径10μm 以下に極微粒化する請求項1または2に記載の豆乳の製法。 【請求項4】 外皮を含めた全粒大豆粉末を含む懸濁液を、前記請求項1〜3のいずれかに記載の方法により処理し、全大豆成分を極微粒化すると共に菌類および微生物の細胞を破壊して滅菌することを特徴とする保存性の高められた豆乳の製法。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法によって得た豆乳に、凝固剤を加えて凝固させることを特徴とする大豆加工食品の製法。 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法によって得た豆乳を乾燥することを特徴とする乾燥大豆加工食品の製法。 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の方法によって製造されたものである大豆加工食品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、外皮を含めた全粒大豆粉末を含む懸濁液(全粒大豆の磨砕液を包含する、以下同じ)を原料とし、該懸濁液中の外皮成分などに由来する繊維質成分などを含めた全大豆成分を微粒化することにより、実質的にオカラを生じさせることなく全てを豆乳や豆腐などの大豆加工食品として飲食可能にすると共に、栄養成分をより効率よく溶出せしめ、更には大豆の子葉細胞や、原料大豆に付着する芽胞菌・枯草菌などの菌類や微生物の細胞を破砕してこれらを死滅させ、保存性の高い大豆加工食品を高い歩留まりで効率よく製造することのできる技術に関するものである。 【0002】 【従来の技術】豆乳や豆腐を製造する方法として従来から一般的に採用されているのは、乾燥大豆を水に一晩程度浸漬して吸水・膨潤させた後、適量の水を加えながら粉砕もしくは磨砕し、加熱処理することにより可溶成分を溶出させた後、圧搾濾過などにより不溶性成分であるオカラを除去する方法である。 【0003】ところがこの方法では、原料となる全粒大豆のうち約50%余りがオカラとして分離され、豆乳や豆腐としての歩留まりを大きく低下させる。該オカラの一部は、食用、家畜などの飼料用、肥料用あるいは食品への添加物や加工用原料として利用されているが、保存性が悪いこともあってその殆どは産業廃棄物として処理されており、環境問題となっている。 【0004】また栄養学的には、非消化成分である繊維質を摂取することが整腸作用等を高めて人体に好ましく作用することが明らかにされているが、昨今の欧米化され食肉中心となった食生活においては、食物繊維の摂取量不足が指摘されるに及び、食物繊維成分の摂取量を高めた強化食品が種々上市されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記の様な現状に鑑み、大豆加工食品ついても繊維質を主体とする外皮成分であるオカラを豆乳や豆腐成分中に積極的に取り込み、繊維質としての摂取量を高めると共にオカラとしての廃棄量を低減すべく、幾つかの方法が提案されている。例えば特開昭59−59167号公報や特公昭62−17507号公報、同第62−17509号公報には、外皮を含む全粒大豆あるいは脱皮大豆の磨砕液を高圧ホモゲナイザーにかけて均質化し、オカラ成分を微細化することによってこれを繊維質成分として豆乳製品中に取り込み、併せてオカラの排出を無くす方法を開示している。 【0006】ところが、現在市販されている高圧ホモジナイザーの常用能力としての処理圧は50−70MPa程度であり、限界まで操作圧力を高めたとしても設備耐久性を考慮した操作圧力は100MPa程度が限界である。そしてこの程度の微粒化装置では、外皮成分などに由来する繊維質成分を十分に微粒化することができず、飲食時にざらつきや粉っぽさの残る舌触りをどうしても改善できず、本来の豆乳や豆腐の触感が損なわれる傾向は否めない。また特公昭62−17509号公報に開示された発明では、従来から行なわれている分離工程を完全になくすことができず、更に特開昭63−304960号公報に開示されている様な方法では、予備工程で必須となる原料大豆の粉砕条件の調整が煩雑であり、破砕処理条件によって製品である豆腐の状態が変わるため、豆腐等の製法として汎用化するには尚改善の余地を残している。 【0007】更に、前記特公昭62−17507号公報に示された方法では、上記特公昭62−17509号公報や特開昭63−304960号公報に開示された方法と同様に、高圧ホモジナイザーを用いて繊維(オカラ)成分の微粒化を行っているため、同様に満足のいく食感が得られ難い。しかも高周波電位発生装置などを利用する方法は、設備コスト面の制約もあって汎用性を欠く。 【0008】更に他の公知技術として、特開平8−89197号公報に記載されている如く、プロトペクチナーゼを浸漬した原料大豆に加えて酵素処理することにより子葉細胞を乳化させて抽出率を上げる方法、特開平7−51016号公報に開示されている如く、低温粉砕した大豆粉末を利用し、分離大豆タンパクを加えてから凝固剤により凝固させて豆腐を製造する方法などが知られているが、特開平8−89197号公報に開示の方法では、酵素処理などに高度な技術を要し、また抽出率は向上するもののオカラの発生を完全に無くすことはできない。また特開平7−51016号公報に開示の方法では、分離大豆タンパクといった特殊な添加物を必要とし、且つ大豆繊維分の粉砕を低温粉砕のみによって行うため、繊維質成分を平均粒度で30μm 以下に微細化することが困難であり、ざらつき等の食感の劣化を解消できない。 【0009】また最近では、無菌充填豆腐やLL豆腐の如く長期保存の可能な豆腐も上市されているが、従来の豆腐製造法では原料大豆に付着している耐熱性菌(芽胞菌や枯草菌など)やその他の微生物を完全に滅菌することは容易でなく、また豆腐の種類によっては圧搾などの分離工程や水さらし等の工程が必要となるため、加熱処理後に菌が付着することもあり、保存性の向上にも限界がある。 【0010】本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、外皮等を含む全粒大豆の全成分を比較的簡単な処理で極微粒化し、オカラを全く生成することなく且つ舌触りなどの触感不良等を生じることなく、更には細菌や微生物を効率よく滅菌し、保存安定性に優れた大豆加工食品を効率よく得ることのできる技術を確立することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決することのできた本発明に係る大豆加工食品の製法は、外皮を含めた全粒大豆粉末を含有する懸濁液を湿式ジェットミルにかけ、該懸濁液を圧力100Mpa以上及び/又は流速200m/sec 以上で相互に及び/又は壁面と衝突させることにより、全大豆成分を極微粒化し、あるいは外皮を含めた全粒大豆粉末を含有する懸濁液を湿式ジェットミルにかけ、該懸濁液を圧力100MPa以上、流速200m/sec 以上で相互及び/又は壁面と衝突させることにより極微粒化すると共に大豆の子葉細胞を破砕し、細胞中の栄養成分を溶出させるところに特徴を有している。 【0012】上記方法を実施するに当たっては、上記湿式ジェットミルによる処理によって、懸濁液中に含まれる不溶物を平均粒径10μm 以下に極微粒化することが望ましく、またこの方法を採用すれば、全大豆成分を極微粒化する際に、原料大豆に付着し或いはその後の取り扱い工程で付着することのある菌類や微生物の細胞を破壊することにより滅菌することができ、保存性の高められた大豆加工食品を得ることができ、また上記方法によって得られる豆乳に、凝固剤を加えて凝固させ、あるいは該豆乳を乾燥することによっても、商品形態の異なる大豆加工食品を得ることができ、これらの大豆加工食品も本発明の保護範囲に包含される。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明者等は前述した様な解決課題の下で、外皮を含む全粒大豆を原料として使用し、オカラ等の繊維質成分を含めた全成分を極微粒子状に破砕することによって、オカラを生成することなく且つ触感等を阻害することなく全大豆成分を加工食品として有効に活用可能にすべく鋭意研究を進めてきた。その結果、全粒大豆の破砕物を含む懸濁液を湿式ジェットミルにより超高速・高圧で処理すれば、その目的が見事に達成されると共に、該超高速・高圧処理によって細菌や微生物の細胞も破壊されて滅菌され、保存安定性にも優れた大豆加工食品が得られることを知り、上記本発明に想到した。 【0014】即ち本発明によれば、オカラとなる繊維成分を従来法では実現できない状態にまで極度に微粒化することができ、ざらつきや粉っぽさが全くなく、豆乳や豆腐としたときの触感不良を解消できるばかりでなく、豆腐としたときの保型性にも優れ、更には、同時に子葉細胞までも破砕して有価成分の抽出率を大幅に高めることができる。 【0015】更には、超高速・高圧処理を行う際の摩擦による発熱と超高速・高圧下での処理による特異的な物質変性によって窒素溶解指数(以下、NSIと称す)は80程度以上となり、且つ青豆臭や変色のない全粒豆乳の製造が可能となる。また、超高速・高圧処理によって原料大豆に付着している耐熱性菌等の雑菌も細胞破砕されるので、同時に殺菌処理も可能となる。更には、加熱冷却も含めた全ての処理を密閉系で行うことにより雑菌の混入しない状態での製造が可能となるため、非常に保存性の高い全粒大豆加工食品を得ることができる。 【0016】以下、本発明について詳細に説明する。まず第1工程で全粒大豆懸濁液を作製するには、乾燥大豆粉末を利用する場合は、乾式磨砕機あるいは衝撃式粉砕機、乾式ジェットミル、低温あるいは凍結粉砕機等によって大豆を粉砕し、得られる粉末を所定の濃度となる様に水に懸濁させる。 【0017】また、水に浸漬させ膨潤させた大豆を使用する場合は、従来通り原料大豆を10時間程度水に浸漬し、最終的に目的とする濃度となる様に水添加量を調整しながら湿式磨砕機を用いて粉砕すると、全粒大豆の懸濁液を得ることができる。 【0018】なお粉砕品の粒度は、超高速・高圧処理の繰り返し処理回数(以下、パス回数という)を少なくし且つ繊維成分の極微粒化をより効率よく進めるために、500μm 程度以下、理想的には300μm 程度以下にしておくことが望ましい。更に使用する水量については、本発明により得られる大豆加工食品の用途や形態によって異なるが、一般的なのは8〜15%程度である。ただし、全粒大豆懸濁液の製造工程は、本発明に係る湿式ジェットミルを用いた超高速・高圧の極微粒化処理の予備工程となるものであり、上記以外の方法を採用することも勿論可能である。 【0019】本発明では、上記の様にして得られる全粒大豆懸濁液を使用し、湿式ジェットミルを用いて超高速・高圧処理を行うことによって極微粒化を行う。湿式ジェットミルとしては、被処理流体を相互にもしくは壁面と超高速・高圧で衝突させた時の衝突エネルギーを利用して固形物(繊維質成分)を破砕する構造のものが使用される。 【0020】このとき、本発明で意図する超微粒化効果を発揮させるには、上記超高速・高圧処理部における流速を200m/sec 以上、より好ましくは300m/sec 以上、更に好ましくは400m/sec 以上とし、および/または圧力を100MPa以上、より好ましくは150MPa以上、更に好ましくは200MPa以上を確保することが必要となる。ちなみに、流速が200m/sec 未満及び/ 又は圧力が100MPa未満では、従来の高圧ホモジナイザー等を用いた粉砕法を超える極微粒化を達成できず、豆乳や豆腐としたときのざらつき感などが解消できないばかりでなく、オカラの発生量を皆無にすることができず、更には細菌などの細胞破砕による滅菌効果も得られなくなる。 【0021】上記流速と圧力を確保し得る限り、湿式ジェットミルの具体的な構造などは特に制限されないが、本発明の目的を果たすうえで好ましいのは、本出願人によって先に提案した特開平9−201521号や同9−201522号等の公報に開示されたものであり、中でも特に好ましいのは、同出願人により、商品名「ジーナスPY」として市販されている超高速・高圧湿式ジェットミルであり、この装置を使用すれば、前述した超高速・高圧の処理条件を容易に達成することができ、処理条件によっては1回のパスで、また必要により2パス以上の繰り返し処理で、全粒大豆中の繊維質成分を10μm程度以下、より好ましくは5μm程度以下にまで超微粒化することができ、従来法で指摘される触感不良を解消できるばかりでなく、細菌類の細胞膜破壊による滅菌効果等を確保することができる。 【0022】上記の様にして得られる豆乳は、その後濾過や熱処理などを要することなくそのままで、あるいは必要により甘味料や香料などを適量添加すると、飲料用の豆乳となる。また、湿式ジェットミルで処理して得られる上記豆乳をそのままで、或いは必要により香料等を加えてから凝固剤によって固化させると、豆腐を得ることができる。 【0023】この工程で、従来法では破砕の後80〜100℃で10分〜30分程度の加熱処理を行い、また特公昭63−17507公報に開示されている様な方法では、高周波電位発生装置などを用いた特殊な工程により蛋白質分およびその他の可溶性成分の溶出と、蛋白質分の熱変成を行っているが、本発明では超高速・高圧の湿式ジェットミル処理によって蛋白質分の溶出と変性が同時に進行し、或いは該超高速・高圧処理により発生する摩擦熱による昇温によって蛋白質分の熱変性も同時に進行するので、従来例の如く別途加熱処理を行う必要がなく、或いは必要とする場合でも処理時間を短縮することができる。 【0024】なお本発明を実施する際に、蛋白質分の熱変成をより効率よく行うには、湿式ジェットミルで処理する前の被処理懸濁液を50℃以上、好ましくは80℃以上に加熱しておく方法が最も効果的である。また、本発明で採用される湿式ジェットミルによる微粒化処理は、前述の如く超高速・高圧の密閉系で行われるので、上記の予備加熱を行う際には、プレート式熱交換器や多管式熱交換器など一般の密閉系加熱装置を湿式ジェットミルの直前或いは直後に設置して加熱できるようにすることが望ましく、それにより一連の操作を密閉系で連続的に行うことが可能となる。 【0025】更に、例えば滅菌処理された充填豆腐を製造する方法として、豆腐製造ラインにプレート式滅菌器を設けて120℃程度で5〜10秒程度の滅菌処理を行う方法も知られているが、この方法の場合、大豆が本来有している芽胞菌や枯草菌は土中に存在する菌であることから大豆の表皮内に多く存在しているので、通常は脱皮大豆を使用することで芽胞菌・枯草菌の存在を少なくした上で、更に滅菌器を用いて残存する芽胞菌・枯草菌の滅菌を図っている。 【0026】ところが、芽胞菌や枯草菌は耐熱性菌であり、通常操作では130℃程度の温度でも死滅しないため、上記の様な加熱処理でも完全に滅菌することはできず、また、仮に130℃以上の高温で滅菌処理を行うと豆乳成分の熱分解が進み、豆腐として固める際の凝固性が悪くなったり或いは風味が損なわれるといった弊害が生じてくる。 【0027】これに対し本発明で採用する超高速・高圧の湿式ジェットミル処理であれば、大豆の子葉細胞を破砕しその溶出率が高められることからも理解できるように、処理と同時に芽胞菌や枯草菌などの菌類の細胞も同時に破砕して滅菌するため、特別に滅菌のための処理は不要であり、また高温の滅菌処理ではなく従来から採用されている通常の溶出・熱変成温度範囲内での処理で滅菌処理も同時に行われるので、豆腐として固める際の凝固性に悪影響を与えたり風味を損なうといった問題も生じない。 【0028】更に本発明では、前述の如く飲料用としての豆乳あるいはこれを凝固した豆腐として商品化し得る他、場合によっては湿式ジェットミルによって得られる豆乳をスプレードライヤーや冷凍乾燥機などの乾燥機を用いて乾燥し、乾燥豆乳として各種食品加工原料として利用可能にすることもできる。更には、粉末状態で商品化した乾燥豆乳を水に再分散させ、これ50〜80℃程度に加温してから凝固剤を加えると簡単に凝固するので、家庭においても簡便に豆腐を製造するとが可能となる。この商品形態であれば、乾燥物とすることによって保存性が飛躍的に向上するので、緊急時の非常食料、或いは携帯食料などとして利用することも可能である。 【0029】上記の様に本発明によって得られる大豆加工品は、飲料用としての豆乳、これを凝固させた豆腐、或いは乾燥豆乳粉末など様々形態で商品化できるが、本発明は前述の如く外皮を含めた全粒豆乳を全て有価成分として活用できる様にしたところに特徴を有しているので、その商品形態は勿論前述したものに制限されず、飲料用としての豆乳や豆腐等の最終製品形態以外にも、繊維質含有植物蛋白源として様々の食品添加剤としても有効に活用できる。 【0030】また、本発明で採用される超高速・高圧湿式ジェットミルによる処理は、全粒豆乳の製造に限らず、一般の豆乳の製造工程に適用し、有価成分の抽出率向上あるいは滅菌処理などに利用することも可能である。 【0031】次に、本発明で使用する湿式ジェットミルについてその構成を簡単に説明する。 【0032】本発明で使用する湿式ジェットミルとは、ノズル部に固定式の微少流路を有し、任意の方法で超高速・高圧流を発生させて被処理流体を対向流で衝突させ及び/又は流体を流路壁に衝突させ、或いは更に高速・高圧流によって生じる乱流・剪断およびキャビテーション効果などによって被処理懸濁液中の不溶物を微粒化する機能を備えた装置を総称する。 【0033】具体的には、 プランジャーポンプやロータリーポンプ等によって、被処理液をノズル内に施された微少流路へ圧送して被処理液を高速流とし、該流体を固定板への衝突と被処理液同士の衝突を繰り返させることにより、乱流・剪断力を与えることにより、被処理流体中に含まれる分散質を粉砕・剪断すると共に、衝突直後の超高圧の状態から大気圧レベルへの急激な圧力降下によるキャビテーション効果を与え、急激な放圧による衝撃を利用して分散質内部からの破砕を増進するもので、これらの相加的ないし相乗的作用効果によって被処理液中の分散質を著しく微粒化する機能を備えた装置である。 【0034】この様な湿式ジェットミルとしては、スリット状に形成した流路内で被処理液を高速衝突させるタイプ(「マイクロフルイダイザー」マイクロフルイディクス社製)、90°位相させて連通せしめたそれぞれ一文字の流路内で高速衝突を起こさせるタイプ(「ナノマイザー」ナノマイザー社製)、同一ノズル内で流体同士の衝突回数を複数回発生させるタイプ(「ナノメイカー」エスジー・エンジニアリング社製)、あるいは対向するオリフィスから非球面構造の部屋へ噴射させて衝突させるタイプ(「アルティマイザー」スギノマシン社製)、また渦流状のジェット流を形成させることによる高度の剪断並びに高速ジェット流同士及び流路壁面への衝突を利用するタイプ(「ジーナスPY」ジーナス社製)等が挙げられる。 【0035】これらに対し、「高圧ホモジナイザー」として市販されているバルブプレートによる高速噴射を利用したタイプ(APVゴーリン社製、ラニー社製、ソアビ社製、日本精機社製など)も湿式ジェットミルと類似した微細化効果を有する技術と考えられるが、 その効果は、上記固定式微少流路を形成したタイプの湿式ジェットミルに比べると、使用可能な圧力が低くて本発明で意図する様な超高速・高圧の処理条件を得ることができず、本発明で使用する湿式ジェットミルの代用としての機能は果たし得ない。 【0036】上記湿式ジェットミルは、それぞれ装置タイプにより、全粒大豆の粉砕・微粒化効果や抽出効率・細胞破砕率、更には殺菌効率などの効果において多少の差を生じるが、いずれにしても上記「高圧ホモジナイザー」に較べると微細化効率がきわめて高く、抽出・細胞破砕・殺菌などを極めて高い効率で行うことを可能とする。 【0037】従って本発明で使用する湿式ジェットミルのタイプは特に制限されないが、中でも特に好ましいのは、本出願人会社によって開発され「ジーナスPY」として市販されている湿式ジェットミルを上げることができる。 【0038】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。 【0039】尚、湿式ジェットミルとしては本発明人会社ジーナス製「ジーナスPY」を使用した。比較例で用いた高圧ホモジナイザーとしてはAPVゴーリン社製「高圧ホモゲナイザー」、湿式摩砕式粉砕機としては増幸産業社製「マスコロイダー」、衝撃式粉砕機としてはホソカワミクロン社製「バンタムミル」を使用し、また、乾燥には大河原化工機製「L−8型スプレードライヤー」を使用した。 【0040】また評価は、成人男女10人に市販の絹ごし豆腐と下記実験で得た試作品を試食してもらい、そのアンケート結果によって行った。更に菌体数の確認については、全粒豆乳1ml中の菌体群数の確認試験を日本食品分析センターに依頼した。 【0041】[全粒豆乳並びに全粒豆乳粉末製造試験及び絹ごし豆腐試作試験] (試験1−1)全粒大豆5kgを使用し、図1のフローチャートに示す如く、前処理で十分に洗浄してから水5kgを加え20℃で2時間浸漬し、湿式磨砕機(増幸産業社製「マスコロイダー」)により粉砕した後、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」)または高圧ホモジナイザー(APVゴーリン社製「高圧ホモゲナイザー」)を用いて全粒豆乳を製造し、次いで80℃に加熱してから凝固剤(CaSO4 :20g/kg−大豆、MgCl2 :20g/kg−大豆を夫々水100gに懸濁・溶解させて使用)を加えて凝固させ、冷却して絹ごし豆腐を製造した。 【0042】(試験2−1)全粒大豆5kgを使用し、図2のフローチャートに示す如く、衝撃式粉砕機(ホソカワミクロン社製「バンタムミル」)により粉砕し、水30kgへ懸濁・攪拌した後、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」)または高圧ホモジナイザー(APVゴーリン社製「高圧ホモゲナイザー」)を用いて全粒豆乳を製造し、次いで80℃に加熱してから凝固剤(CaSO4 :20g/kg−大豆、MgCl2 :20g/kg−大豆を夫々水100gに懸濁・溶解させて使用)を加えて凝固させ、冷却して絹ごし豆腐を製造した。 【0043】(試験2−2)図3のフローチャートに示す如く、前記(試験2−1)で得た全粒豆乳(5種)を、スプレードライヤー(大河原化工機製「L−8型スプレードライヤー」)により熱風温度180℃て乾燥し、粉末豆乳を製造した。この粉末豆乳に、1kg当たり6kgの水を加えて攪拌し再懸濁した後、該懸濁液を80℃に加熱してから凝固剤(CaSO4 :20g/kg−粉末豆乳、MgCl2 :20g/kg−粉末豆乳を夫々水100gに懸濁・溶解させて使用)を加えて凝固させ、冷却して絹ごし豆腐を製造した。 【0044】上記(試験1−1)、(試験2−1)、(試験2−2)の結果を表1に示す。但し、表1に示した評価は下記の基準で行った。 【0045】1)食感評価については、10人の評価結果を集計したものである。 2)総合評価は、風味・舌触り・堅さの評価結果を合計し平均したもの(小数点以下の端数は四捨五入)である。 3)菌体群数評価は、全粒豆乳1ml中に存在する菌体群数を計数し、下記の基準で示した。 ・100以上の群数を有する場合:××・50−100の群数を有する場合:×・20−50の群数を有する場合:△・10−20の群数を有する場合:○・10未満の群数を有する場合:◎【0046】 【表1】
【0047】 【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、湿式ジェットミルを用いて超高速・高圧で処理することにより、外皮等を含む全粒大豆の全成分を効率よく極微粒化することができ、外皮等に由来するオカラを全く生成することなく且つ舌触りなどの触感不良等を生じることなく、全大豆成分を豆乳または豆腐原料として有効に利用できることになった。しかも上記超高速・高圧処理によって細菌や微生物も同時に効率よく滅菌することができるので、保存安定性にも優れた大豆加工食品を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】596011884 【氏名又は名称】株式会社ジーナス 【識別番号】591032703 【氏名又は名称】群馬県
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| 【出願日】 |
平成10年9月29日(1998.9.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067828 【弁理士】 【氏名又は名称】小谷 悦司 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−102357(P2000−102357A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月11日(2000.4.11) |
| 【出願番号】 |
特願平10−275900 |
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