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【発明の名称】 乳化食品
【発明者】 【氏名】平野 和彦

【氏名】小出 元紀

【要約】 【課題】耐冷凍性・耐熱性の両者を併せ持つ水中油型の乳化食品と、この水中油型の乳化食品を用いた乳化食品を提供することを目的としている。

【解決手段】D相乳化組成物を鶏卵に添加した後、油相を加えて乳化して水中油型の乳化物を作ることにより上記課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 D相乳化物を含有する鶏卵を用いる水中油型の乳化組成物。
【請求項2】 請求項1記載の水中油型の乳化組成物を使用する乳化食品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍耐性と加熱耐性に優れた水中油型の乳化組成物であり、さらに本発明の乳化組成物を使用した乳化食品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、鶏卵はその特有の物性である加熱ゲル化性と乳化性およびそのものの風味や加熱時の風味により種々の乳化食品用素材として使用されてきた。鶏卵を使用する代表的な食品としては、茶碗蒸し、卵豆腐、卵焼き、オムレツ、とじ卵、親子丼、カツ丼等の加熱食品や、マヨネーズ、ドレッシング、カスタードクリーム等の乳化食品、または、プリン、スポンジケーキ等のお菓子やデザート等の食品がある。また、これらの食品に使用される鶏卵は、殻付きの卵、割卵した液卵、割卵した液卵を凍結した物、粉末卵を水戻したものがある。
【0003】鶏卵は長期の保存ができないために、前述の粉末卵としたり、凍結して保存性を高めているが、粉末卵はその形態から保存中に酸素による酸化を受け風香味が変化することが知られており、さらに凍結卵については凍結により鶏卵の蛋白質が変性し、加熱ゲル化性が低下したり、鶏卵が凍結により蛋白質変性をおこして増粘し作業性が悪くなる。これらの問題点を解決するために鶏卵に食塩を加えたり、砂糖や他の糖を加えたり、油脂を加えて凍結による鶏卵蛋白の変化を出来るだけ抑えることが行われている。しかし、食塩や砂糖はその塩味や甘味が食品の使用範囲を限定し、油脂は鶏卵の冷凍解凍時にオイルオフし、加熱後に油脂が浮き出て、油臭さなどから風味に問題がある。
【0004】また、鶏卵の乳化力を利用した乳化組成物はO/W(水中油型)の乳化物であり、マヨネーズや乳化型ドレッシング等があり、食品の喫食事の風味を向上させる目的で調味料として利用される。食習慣の向上と多様化により、マヨネーズや乳化型ドレッシング等は、その利用する環境が冷凍であったり、オーブン加熱やボイル加熱であったりして、過酷な条件下でしばしば利用される。この様な条件下でマヨネーズや乳化型ドレッシング等が使用された場合、冷凍解凍時にO/Wエマルジョンが壊れて離水やオイルオフが発生したり、加熱時にマヨネーズや乳化型ドレッシング等の表面に油が浮き出る現象が見られ、食味が低下するばかりか、食品としての価値を喪失してしまう。
【0005】これらの諸問題を改善するため種々の技術が提案されており、例えば、特開平7−59537号には、食用油脂20〜30重量%、卵黄20〜30重量%、食酢30〜55重量%、酢酸ナトリウム1〜5重量%、α化澱粉および/またはガム質1〜6重量%含有してなる耐熱耐冷凍性マヨネーズ風味ペースト状組成物の製造方法があり、耐熱性と耐冷凍性を有する組成物が得られるとある。また、特開平9−271355号には、油相が50〜83重量%であり、かつ水相中に2重量%以下の食塩、生卵白として20〜60重量%の卵白、20〜50重量%の糖類および酢酸酸度として1〜6重量%の酸味料を含有することを特徴とする水中油型エマルジョン食品用組成物の製造方法があり耐熱性を有する組成物が得られるとある。
【0006】特開平8−322515号には、食用油脂5〜30重量%、澱粉5〜40重量%、糖アルコール5〜60重量%、乳化剤0.1〜5重量%及び残部が水である卵乳化食品用乳化油脂組成物の技術があり、これは冷凍解凍しても離水や食感の低下が少ない事が特徴である。また、特公平2−245170号には、食用油脂30〜50重量%と全卵又は卵黄20〜40重量%と食酢10〜30重量%と酢酸ナトリウム1〜5重量%を必須成分として乳化状態とする耐冷凍、耐焼込み用ペースト状組成物を得る技術。もしくは、特開平3−27269号には、ホスフォリパーゼAで分解した卵黄、及びラクトアルブミンを含有することを特徴とする耐熱性ドレッシングに関する技術が知られている。さらに、特開平7−194336号には、カゼインまたは/およびアラビアガムとポリグリセリン脂肪酸エステルとを併用し、かつ−20℃にて固体脂含量が50%以下の油脂、食酢または酢酸、全卵または卵黄を水中油型に乳化してなるマヨネーズ様乳化食品を得る技術がある。
【0007】これら何れの技術も、鶏卵の乳化力を利用し、主として油脂を直接鶏卵に加えてO/Wの乳化組成物を作るものであり、その乳化安定性には限界があるため、油脂の含有量が少なかったり、固形分を多くしたり、澱粉、または増粘安定剤、乳化剤、他の動物性蛋白や糖類を直接鶏卵に混合して鶏卵の乳化を直接的に補強するものである。
【0008】以上の如くの技術においても、乳化を補強するために種々の原料を混合するために風味が損なわれ、また耐冷凍・耐熱性の両者を併せ持ったO/W乳化組成物では油脂含量が多く出来ないために滑らかさや美味しさに欠けたものとならざるを得ない状況であり、耐冷凍と耐熱性の両者を併せ持つマヨネーズや乳化型ドレッシング等の水中油型乳化食品はこれまで得られておらず、油脂含量が高く、風味が良く、さらに耐冷凍、耐熱性を有するマヨネーズや乳化型ドレッシング等の水中油型乳化食品が開発されることが望ましいことはいうまでもない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は以上のように、冷凍耐性と加熱耐性に優れた水中油型乳化組成物を提供し、さらに本発明の水中油型乳化組成物を使用した耐冷凍性、加熱耐性に優れた乳化食品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究の結果、D相乳化物を含有する鶏卵を用いる水中油型の乳化組成物が、冷凍耐性と加熱耐性に優れ、当該、組成物を使用した食品は冷凍または加熱による過酷な条件に対して、食感と風味が安定なものとなることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】尚、本発明のD相乳化組成物とは、界面活性剤と糖アルコ−ルまたは液糖の混合液であるD相(界面活性剤相)組成物に油脂を混合したものである。また、水中油型の乳化組成物であるO/W乳化は水相と油相を界面活性剤にて乳化させたものであり、D相乳化組成物と異なるものである。以下本発明を詳述する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において使用される鶏卵液とは、鶏卵液をさし、特に限定するものではないが通常以下に述べるものが用いられる。すなわち、殻付き卵を割卵して得た全卵液であり、また割卵分離して得た卵黄液、卵白液であり、また卵白液と卵黄液とを適宜混合した混合液卵であってもよい。また、卵黄液と卵白液の混合比率は特に限定するものではなく、また、これら鶏卵液が加糖・加塩されたもの、および前述の鶏卵液を蛋白質分解酵素や脂質分解酵素で処理されたものであってもよい。
【0013】さらに鶏卵液が、全卵粉末、卵黄粉末、卵黄・卵白混合粉末の水戻し品であってもよい。ここで鶏卵粉末の水戻し品とは、鶏卵液をスプレードライ、フリーズドライ等乾燥工程をへて得られたものを、全卵粉末であれば20〜30%固形となるように再度水を加えたものであり、卵黄粉末であれば45〜55%固形となるように再度水を加えたものであり、卵白粉末であれば5〜15%固形となるように再度水を加えたものであるが、これら水戻し品を単独、または適宜混合したものであってもよく、混合比率は特に限定するものではない。
【0014】本発明において使用される油脂は、食用に供する油脂で有れば如何なる油脂でも使用可能であり、ザラダ油、大豆油、菜種油、綿実油、トウモロコシ油、サフラワー油、ひまわり油、パーム油、椰子油、カカオ脂、バター、牛脂、乳脂、豚脂及びこれらの分別油脂、水素添加油脂、エステル交換油脂、またはショートニング、マーガリン等も含まれるが、風味の点から植物性油脂が望ましく、サラダ油、大豆油、菜種油、コーン油が好ましく、さらにサラダ油と菜種油がより好ましい。
【0015】本発明において使用される界面活性剤は、HLB6〜16の水に溶けうる界面活性剤であり、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリン、低密度リポ蛋白質、酵素改質低密度リポ蛋白質、レシチン、酵素改質レシチン等が利用される。
【0016】本発明における界面活性剤を分散可溶化させる基材として、ハイドロキシ基(−OH基)を2個以上有する糖アルコールや液糖が使用される。糖アルコールや液糖としてはオリゴトース、トレハロース、ソルビトール、ラクチトール、キシリトール、マルチトール、シュークロース、フラクトース等の水溶液が利用される。本発明において糖アルコール、液糖の濃度は高濃度であることが望ましく、通常50〜75重量%、好ましくは60〜75重量%、さらに好ましくは65〜75重量%が界面活性剤を分散させるうえで望ましい。
【0017】本発明を用いた乳化食品に使用できる酢酸は特に限定するものではないが、通常マヨネーズや乳化ドレッシングに使用される酢酸で良く、穀物酢、米酢、ワインビネガー等の醸造酢でよい。また、本発明の乳化食品に使用できるその他の原料としては、水、澱粉類、鶏卵以外の蛋白質類、糖類、塩類、調味料類、アミノ酸類、有機酸、正リン酸塩、重合リン酸塩等のpH調整剤、増粘多糖類、香辛料、色素類、香料類等があるが、これらは乳化を補強する目的で使用するものではなく、保存性や食感の改良、または風味の付与を目的として加えられるものである。
【0018】具体的には、蛋白質類としては乳蛋白、植物蛋白等やそれらの加水分解物、糖類としては単糖類、二糖類、三糖類以上の糖やそれらの還元糖、塩類としては食塩、塩化カリウム、塩化カルシウム等が挙げられ、調味料類としては核酸系調味料、昆布エキス、鰹エキス、貝エキス等が、アミノ酸類としてはグリシン、アラニン、グルタミン酸、グルタミン酸Na等が、有機酸としてはフマル酸、クエン酸、コハク酸やそれらのNa塩等がある。
【0019】さらに、正リン酸塩、重合リン酸塩やpH調整剤としてはピロリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、トリリン酸、トリポリリン酸及びそれらのNa、K、Ca、Mg等のリン酸塩類がある。
【0020】増粘多糖類としてはグアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム等があり、香辛料はコショウ、カルダモン、ターメリック、ナツメグ等が、色素類としてはカロチン色素、クチナシ色素、ローズマリー色素等の黄色系・赤黄色系を呈する色素が挙げられる。
【0021】香料としては卵風味を付与する香料でも、または香辛料、果汁、野菜フレーバー等の香料でも良く、目的に応じ適宜選択すれば良い。
【0022】次に、本発明の水中油型乳化組成物の製造工程について以下に詳述する。まず、界面活性剤と糖アルコールの混合液であるD相(界面活性剤相)組成物を調製することから始まる。調製方法としては、攪拌能力を有する加熱冷却可能なジャケット付きタンクにて、前述の望ましい濃度に調製した糖アルコールや液糖に界面活性剤を溶解分散させる。また、界面活性剤の融点が高い場合は糖アルコールや液糖を加温して界面活性剤を溶解して分散させる。溶解分散に際して、分散はプロペラ攪拌機または、ホモミキサー、ホモジナイザー、ラインホモミキサー等の強制的攪拌能力を有する機器を用いてD相組成物を調製するものである。
【0023】界面活性剤の使用量としては、糖アルコールや液糖に対して、界面活性剤の純度にもよるが、純度60〜90%の界面活性剤で有れば通常0.1〜10%、好ましくは0.5〜8%、さらに好ましくは1〜6%が好ましく、純度60%未満の界面活性剤で有れば、前述の使用量よりも多くを使用することとなる。このような条件で作られたD相組成物は界面活性剤が糖アルコールや液糖中に分散している状態にある。
【0024】次に、D相乳化(O/D乳化:界面活性剤中油型)組成物を調製するわけであるが、上記、界面活性剤が糖アルコールや液糖中に分散している状態であるD相組成物に対してプロペラ攪拌機、ホモミキサー、ホモジナイザー、ラインホモミキサー等の攪拌能力有る機器を用いて、前述した油脂を徐々に加えるものである。油脂の使用量としてはD相組成物:O相=90:10〜10:90の範囲から任意に選ぶことができ、通常90:10〜10:90、好ましくは80:20〜30:70、さらに好ましくは80:20〜50:50がより安定的なD相乳化組成物が得られる。
【0025】D相乳化組成物と鶏卵液の割合は、D相乳化組成物:鶏卵液=5:95〜30:70の範囲から任意に選ぶことができ、通常5:95〜30:70、好ましくは5:95〜50:50、さらに好ましくは10:90〜40:60、さらに好ましくは15:85〜25:75が水中油型の乳化食品として優れたものが得られる。得られたD相乳化組成物含有鶏卵液の乳化形態は、通常の乳化過程で利用されるラメラ液晶を利用しないため、親水性の界面活性剤で乳化が可能となっており、1.0μm以下の粒径のサブミクロンエマルジョンの状態となっていることが特徴である。
【0026】D相乳化組成物含有鶏卵液の調製方法は、前述の配合割合でプロペラ攪拌機または、ホモミキサー、ホモジザイザー、ラインホモミキサー等の強制的攪拌能力を有する機器を用いて調製するものであり、鶏卵液にD相乳化組成物を加えてもよいし、D相乳化組成物に鶏卵液を加えてもよく、その順番は特に問題とはならない。また事前に鶏卵液に、酢酸、水、澱粉類、鶏卵以外の蛋白質類、糖類、塩類、調味料類、アミノ酸類、有機酸、正リン酸塩、重合リン酸塩等のpH調整剤、増粘多糖類、香辛料、色素類、香料類等を、目的に応じ適宜選択して加えてもよいし、もしくは、次のO/Wの乳化物の調製時に加えてもなんら問題はない。
【0027】前述の工程にて調製されたD相乳化組成物含有鶏卵液に、さらに油脂を適宜の量を添加してO/Wの乳化物を調製する。調製方法は従来公知であるマヨネーズや乳化型ドレッシング等の製造と同じであり、例えば水に溶けうる水相原料を水に溶解させて、D相乳化組成物含有鶏卵液に加え、これに油相原料を加えて一般的な混合攪拌機にて予備乳化を行い、次いでコロイドミルやマスコロイザー等の乳化均質機にて仕上げ乳化を行う方法で製造できる。また、D相乳化組成物含有鶏卵液に対する添加油脂の比率は、一例を挙げればD相乳化組成物含有鶏卵液:油脂=10:90〜90:10の範囲内から任意に選ぶことが出来、通常のマヨネーズ、ドレッシング等と油脂の添加量と何ら変わることはなく、特にその割合は限定するものではない。
【0028】以上の工程で得られた本発明の水中油型の乳化組成物は凍結しても、凍結解凍後の水中油型の乳化組成物の粘度変化はなく、また、油脂の分離や離水も見られることなく、凍結前の状態と凍結解凍後の状態に大きな変化がないことが認められる。また、本発明の水中油型の乳化組成物を適当な密封容器に充填して100℃程度にてボイル加熱したり、180℃程度のオーブンにて天板にデボジットして焼成しても、乳化食品表面に油の浮きがないことが特徴であり、非常に安定な乳化形態である。
【0029】従来の水中油型の乳化組成物の製造方法では、鶏卵もしくは鶏卵と直接添加した界面活性剤に油脂を加えてO/Wの乳化食品を得るわけであるが、このO/Wの乳化状態は、鶏卵の乳化剤または鶏卵の乳化剤と界面活性剤が同一系にて複合体を形成している。本発明の水中油型の乳化食品の製造方法では、D相乳化組成物により形成される乳化系と、鶏卵の乳化力による乳化系は独立した乳化系であり、そのため複合体を形成せずに混在した系を形成している。
【0030】以上の如く、従来の水中油型の乳化食品の製造方法で得られた、乳化食品は同一系にて複合体を形成しているため、蛋白質沈殿剤(一例を挙げれば5重量%のトリクロロ酢酸溶液)で鶏卵の蛋白質を沈殿させた場合、O/Wの乳化系が壊れて、油脂が分離するが、本発明の水中油型の乳化食品の製造方法で得られた、乳化食品は、前述の独立した乳化系であるために、蛋白質沈殿剤で鶏卵の蛋白質を沈殿させた場合、鶏卵の乳化力による乳化は破壊されて油脂は分離するが、D相乳化により形成された乳化系の油脂は分離することがない。
【0031】本発明の水中油型の乳化食品にゆで卵のクラッシュ品や、ボイル野菜のカット品、魚介類のボイル加熱カット品等の食品を加えて、密封容器に充填して、凍結したり、あるいは100℃程度でボイル殺菌して常温にあるいは60〜70℃のホットウオーマーに保存しても、油脂の分離もなく、離水や粘度変化がない。
【0032】本発明で得られる水中油型の乳化食品は、特に限定されるものではないが、マヨネーズ、乳化型ドレッシング、パスタソース、ホワイトソース、フィリング、カスタードクリーム、フラワーペースト等の水中油型の乳化食品に使用されるものである。
【0033】以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって特に限定されるものではない。
【0034】
【実施例】実施例1純度70%のソルビトール水溶液100mlを卓上ホモミキサー(日本特殊機化工業(株)製)にて5000回転/分で純度70%大豆リゾレシチンを3.5g加えて5分間分散溶解させて、D相組成物を得た。このD相組成物に同じ卓上ホモミキサーにて5000回転/分にて3分間でコーンオイル300mlを徐々に加えてD相乳化組成物を得、さらに、このD相乳化組成物に、割卵分離した卵黄液200mlを加えて本発明のD相乳化組成物含有鶏卵液を得た。さらに、このD相乳化組成物含有鶏卵液に表1の実施例1の配合にて、水性原料を加え、さらに、卓上ホモミキサー5000回転/分でコーンオイル700mlを徐々に加えて一次乳化させた後、卓上コロイドミル(日本精機(社)製)にてクリアランス5/1000インチ・3000rpmにて本乳化させて本出願の水中油型の乳化食品を得た。
【0035】比較例1純度70%ソルビトール水溶液100mlと純度70%大豆リゾレシチン3.5gと割卵分離した卵黄液200mlを卓上ホモミキサー(日本特殊機化工業(株)製)にて5000回転/分で5分間乳化分散させて加工卵を得た。この加工卵に表1の比較例1の配合にて、水性原料を加え、さらに、卓上ホモミキサー5000回転/分でコーンオイル1000mlを徐々に加えて一次乳化させた後、卓上コロイドミル(日本精機(社)製)にてクリアランス5/1000インチ・3000rpmにて本乳化させて水中油型の乳化食品を得た。
【0036】
【表1】

【0037】試験例1前述の実施例1と比較例1の乳化食品を各々KOPの袋に100g充填シール後、−18℃まで急速凍結後、−18℃設定の冷凍庫に6ヶ月保管して、自然解凍後の状態を確認し、さらに、凍結状態のままKOPの袋ごと98℃に調整した温湯にて1時間加熱して状態を確認した。さらに、自然解凍後KOPの袋のまま65℃のホットウオーマーで1週間保存して乳化状態を確認した。確認の結果は表2となった。
【0038】
【表2】

【0039】以上のような結果であり、D相乳化組成物を鶏卵に加えた後、油脂を加えた水中油型の乳化食品は凍結耐性と耐熱性が付与されることは明白である。また、実施例1と比較例1にて得られた乳化食品10gに蒸留水を50ml加えて、蛋白質沈殿剤である7.5重量%のトリクロロ酢酸溶液を25mlさらに加えて鶏卵の蛋白質を沈殿させた場合において、比較例1では【表1】配合組成の油脂分全量に相当する油脂の分離が確認され、実施例2ではD相乳化組成物に相当する油脂の分離は見られず、後から添加した油脂分の分離のみが確認された。
【0040】実施例2純度60%のトレハロース水溶液200mlを60℃に加温して卓上ホモミキサー(日本特殊機化工業(株)製)にて5000回転/分で純度85%モノステアリン酸デカグリセリンを3.0g加えて5分間分散溶解させて、D相組成物を得た。このD相組成物に同じ卓上ホモミキサーにて5000回転/分にて3分間でコーンオイル150mlを徐々に加えてD相乳化組成物を得、さらに、このD相乳化組成物に、割卵分離した卵黄液250mlを加えて本発明のD相乳化組成物含有鶏卵液を得た。さらに、このD相乳化組成物含有鶏卵液に表4の実施例2の配合にて、水性原料を加え、さらに、卓上ホモミキサー5000回転/分でコーンオイル800mlを徐々に加えて一次乳化させた後、卓上コロイドミル(日本精機(社)製)にてクリアランス5/1000インチ・3000rpmにて本乳化させて本出願の水中油型の乳化食品を得た。
【0041】比較例2純度60%のトレハロース水溶液200mlを60℃に加温して卓上ホモミキサー(日本特殊機化工業(株)製)にて5000回転/分で純度85%モノステアリン酸デカグリセリンを3.0gと、割卵分離した卵黄液250mlを加えて加工卵を得た。この加工卵にに表4の実施例2の配合にて、水性原料を加え、さらに、卓上ホモミキサー5000回転/分でコーンオイル950mlを徐々に加えて一次乳化させた後、卓上コロイドミル(日本精機(社)製)にてクリアランス5/1000インチ・3000rpmにて乳化させて水中油型の乳化食品を得た。
【0042】
【表3】

【0043】試験例2前述の実施例2と比較例2の乳化食品を各々KOPの袋に100g充填シール後、−18℃まで急速凍結後、−18℃設定の冷凍庫に6ヶ月保管して、自然解凍後の状態を確認し、さらに、自然解凍後、天板上に絞り袋にて押し出し成型して、200℃のオーブンにて10分間焼成して、焼成後の乳化状態を確認した。また、凍結前の乳化食品に破砕したゆで卵を1:1で混合して、上述の凍結と解凍、および焼成を行い各々の状態を確認した。これら確認の結果は表4となった。
【0044】
【表4】

【0045】以上のような結果であり、D相乳化組成物を鶏卵に加えた後、油脂を加えた水中油型の乳化食品は凍結耐性と耐熱性が付与されることは明白であり、また、破砕したゆで卵を混合しても、冷凍耐性と耐熱性を有する。また、実施例2と比較例2にて得られた乳化食品10gに蒸留水を50ml加えて、蛋白質沈殿剤である7.5重量%のトリクロロ酢酸溶液を25mlさらに加えて鶏卵の蛋白質を沈殿させた場合において、比較例2では表3配合組成の油脂分に全量相当する油脂の分離が確認され、実施例2ではD相乳化組成物に相当する油脂の分離は見られず、後から添加した油脂分の分離のみが確認された。
【0046】実施例370%オリゴトース水溶液120mlに卓上ホモミキサー(日本特殊機化工業(株)製)にて5000回転/分で純度75%卵黄リゾレシチンを5.0g加えて5分間分散溶解させて、D相組成物を得た。このD相組成物に同じ卓上ホモミキサーにて5000回転/分にて3分間で大豆油80mlを徐々に加えてD相乳化組成物を得、さらに、このD相乳化組成物に、割卵した全卵液500mlを加えて本発明のD相乳化組成物含有鶏卵液を得た。さらに、このD相乳化組成物含有鶏卵液に表6の実施例3の配合にて、水性原料を加え、さらに、卓上ホモミキサー5000回転/分で大豆油300mlを徐々に加えて一次乳化させた後、ジャッケット付き真空アジホモミキサー(日本特殊機化(社)製)にてジャケット温度105℃設定で、アジホモジスパー回転数6000回転/分で加熱混合してカスタードクリーム様の本願出願の水中油型の乳化食品を得た。
【0047】比較例370%オリゴトース水溶液120mlに卓上ホモミキサー(日本特殊機化工業(株)製)にて5000回転/分で純度75%卵黄リゾレシチンを5.0g、割卵した全卵液500mlを加えた後、表6の実施例3の配合にて、水性原料を加え、さらに、卓上ホモミキサー5000回転/分で大豆油380mlを徐々に加えて一次乳化させた後、ジャケット付き真空アジホモミキサー(日本特殊機化(社)製)にてジャケット温度105℃設定で、アジホモジスパー回転数6000回転/分で加熱混合してカスタードクリーム様の水中油型の乳化食品を得た。
【0048】
【表5】

【0049】試験例3前述の実施例3と比較例3の乳化食品を各々KOPの袋に100g充填シール後、−18℃まで急速凍結後、−18℃設定の冷凍庫に6ヶ月保管して、自然解凍後の状態を確認し、さらに、凍結状態のままKOPの袋ごと98℃に調整した温湯にて1時間加熱ものと、自然解凍後、天板上に絞り袋にて造花して、200℃のオーブンにて10分間焼成して、焼成後の乳化状態を確認した。確認の結果は表6となった。
【0050】
【表6】

【0051】以上のような結果であり、D相乳化組成物を鶏卵に加えた後、油脂を加えた水中油型の乳化食品は凍結耐性と耐熱性が付与されることは明白である。また、実施例3と比較例3にて得られた乳化食品10gに蒸留水を50ml加えて、蛋白質沈殿剤である7.5重量%のトリクロロ酢酸溶液を25ml加えて鶏卵の蛋白質を沈殿させた場合において、比較例3では表6配合組成の油脂分に全量相当する油脂の分離が確認され、実施例3ではD相乳化組成物に相当する油脂の分離は見られず、後から添加した油脂分の分離のみが確認された。
【0052】本発明の実施態様を下記に記載する。
(1)D相乳化組成物を含有する鶏卵を用いる水中油型の乳化組成物。
(2)前記(1)記載の水中油型の乳化組成物を使用する乳化食品。
(3)鶏卵が、鶏卵液である殻付き卵を割卵して得た全卵液、割卵分離して得た卵黄液、卵白液、卵白液と卵黄液とを適宜混合した混合液卵、鶏卵液が加糖・加塩されたもの、鶏卵液を蛋白質分解酵素や脂質分解酵素で処理したもの、全卵粉末、卵黄粉末、卵黄・卵白混合粉末の水戻し品を単独、または適宜混合したものである前記(1)または(2)記載の水中油型の乳化組成物。(4)油脂が、サラダ油、大豆油、菜種油、綿実油、トウモロコシ油、サフラワー油、ひまわり油、パーム油、椰子油、カカオ脂、バター、牛脂、乳脂、豚脂及びこれらの分別油脂、水素添加油脂、エステル交換油脂、或いはショートニング、マーガリン等である前記(1)または(2)記載の水中油型の乳化組成物。
【0053】(5)界面活性剤が、HLB6〜16の水に溶けうる界面活性剤であり、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリン、低密度リポ蛋白質、酵素改質低密度リポ蛋白質、レシチン、酵素改質レシチン等である前記(1)または(2)記載の水中油型の乳化組成物。
(6)界面活性剤を分散可溶化させる基材が、ハイドロキシ基(−OH基)を2個以上有する糖アルコールや液糖であり、糖アルコールと液糖はオリゴトース、トレハロース、ソルビトール、ラクチトール、キシリトール、マルチトール、シュークロース、フラクトース等である前記(1)または(2)記載の水中油型の乳化組成物。
(7)糖アルコール、液糖の濃度が、通常50〜75重量%、好ましくは60〜75重量%、さらに好ましくは65〜75重量%である前記(1)または(2)記載の水中油型の乳化組成物。
(8)界面活性剤が、糖アルコール、液糖に対して、界面活性剤の純度にもよるが、純度60〜90%の界面活性剤で有れば通常0.1〜10%、好ましくは0.5〜8%、さらに好ましくは1〜6%である前記(1)または(2)記載の水中油型の乳化組成物。
【0054】(9)D相乳化組成物のD相組成物、O相の割合がD相組成物:O相=90:10〜10:90の範囲から任意に選ぶことができ、通常90:10〜10:90、好ましくは80:20〜30:70、さらに好ましくは80:20〜50:50である前記(1)または(2)記載の水中油型の乳化組成物。
(10)D相乳化組成物と鶏卵液の割合が、D相乳化組成物:鶏卵液=5:95〜30:70の範囲から任意に選ぶことができ、通常5:95〜30:70、好ましくは5:95〜50:50、さらに好ましくは10:90〜40:60、さらに好ましくは15:85〜25:75である前記(1)または(2)記載の水中油型の乳化組成物。
(11)D相乳化組成物含有鶏卵液の調整方法が、プロペラ攪拌機、ホモミキサー、ホモジナイザー、ラインホモミキサー等の強制的攪拌能力有る機器を用いて調製し、鶏卵液にD相乳化組成物を加えてもよいし、D相乳化組成物に鶏卵液を加える前記(1)または(2)記載の水中油型の乳化組成物。
(12)D相乳化組成物含有鶏卵液に対する添加油脂の比率が、一例を挙げればD相乳化組成物含有鶏卵液:油脂=10:90〜90:10の範囲内から任意に選ばれる前記(1)または(2)記載の乳化組成物。
(13)前記(1)〜(12)いずれか記載の水中油型の乳化組成物を用いて作られる乳化食品。
【0055】
【発明の効果】本発明における水中油型の乳化食品は耐冷凍性と耐熱性の両者を併せ持つものであり、単独あるいは他の食品素材と組み合わせて使用することができ、幅広い用途に利用可能である。
【出願人】 【識別番号】000204181
【氏名又は名称】太陽化学株式会社
【出願日】 平成10年9月30日(1998.9.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−102356(P2000−102356A)
【公開日】 平成12年4月11日(2000.4.11)
【出願番号】 特願平10−294489