| 【発明の名称】 |
肉体疲労時用内服液剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】堀尾 強
【氏名】阪田 泰子
|
| 【要約】 |
【課題】肉体疲労時に高い嗜好性を示す内服液剤を提供する。
【解決手段】アスコルビン酸を0.5〜10mmol/Lの濃度で配合したことを特徴とする、肉体疲労時用内服液剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】アスコルビン酸を0.5〜10mmol/Lの濃度で配合したことを特徴とする、肉体疲労時用内服液剤。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、肉体疲労時の嗜好性を向上させた内服液剤に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、運動などによる肉体疲労時には甘味の強い物が好まれることは経験上知られている。これは、生体が運動負荷によって起こるエネルギー不足状態を正常に戻そうとして、エネルギー源となるグルコースなどを含有する甘味物質を選択しているものと考えられている。堀尾らは人の運動による風味嗜好性変化について検討しており、肉体疲労時にはショ糖の嗜好性が有意に上昇することを報告している(日本味と匂い学会誌 3(1)37-45,1996)。 【0003】一方、一般的に元来腐敗味である酸味物質は、元来毒物の味である苦味物質とともに忌避物質と言われている(Nippon Shokuhin Kogyo Gakkaisi 41(3)241-248,1994)。 【0004】また、新生児に酸味含有果物、ヨーグルトなどをなめさせると明らかに忌避の表示を示すというPfaffmannらの研究(Annal N.Acad.Sci.290,18-34,1977)から、酸味物質の嗜好性は経験、教育や学習によって向上するものと考えられている。 【0005】従来、肉体疲労時の栄養補給を目的に甘味に重点を置いた風味で多数のドリンク剤などが製品化されているが、必ずしも疲労状態での嗜好性が優れているとは言えなかった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、運動などによる肉体疲労時に生体が要求する、肉体疲労時の嗜好性を向上した内服液剤を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成するためにヒトの疲労モデルにより種々検討した結果、特定の濃度のアスコルビン酸により酸味を付すことにより、本能的には忌避するはずの酸味に対して、肉体疲労時の嗜好性が有意に上昇することを見出し本発明を完成した。 【0008】すなわち本発明は、アスコルビン酸を0.5〜10mmol/Lの濃度で配合したことを特徴とする、肉体疲労時用内服液剤である。 【0009】 【発明の実施の形態】酸味物質で肉体疲労時に嗜好性を向上させるのはアスコルビン酸に特異的な性質である。本発明において使用できるアスコルビン酸は、アスコルビン酸の塩を用いることもできる。本発明でのアスコルビン酸の配合量は、0.5〜10mmol/Lの濃度範囲であり、5mmol以下が特に好ましい。0.5mmol未満であると酸味を感じなくなり、10mmolを超えて配合すると肉体疲労時の嗜好性の向上がはかれないからである。この濃度範囲は通常のドリンク剤、飲料などで使用されている濃度と比較して、特に低い濃度である。 【0010】本発明の内服液剤は肉体疲労の改善に有効な成分(ビタミン類、タウリン、生薬類など)を配合することができ、また必要に応じて他の添加剤、例えば賦形剤、pH調製剤、清涼化剤、懸濁化剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、着色剤、橋味橋臭剤、界面活性剤、香料などを混合して、常法により液剤とすることができる。 【0011】 【実施例】以下、試験例により本発明を詳細に説明する。 【0012】試験法被験者は健康な男子20名、女子21名計41名で実施した。実験開始30分前から食事、喫煙を禁じた。運動負荷として、自転車エルゴメーターにて、被験者の安全性および一定時間継続できる点から、負荷強度を最大酸素摂取量の50%に相当する心拍数となる強度に設定し、その心拍数に達した時から30分間継続した。運動による疲労は、運動後、収縮期血圧が上昇した状態で30分間維持することから被験者にとってかなり高い負荷で疲労していることを確認した。 【0013】疲労前後に疲労による酸味感受性の判断閾値テストおよび嗜好性テストを実施した。疲労前後による各味溶液の判断閾値に違いが見られないことを確認後、嗜好性テストを実施した。 【0014】嗜好性テストは酸味物質を溶解した試験溶液を恒温槽を用いて20℃に保った試験溶液10mlをランダムに与えた。各酸味物質の呈示の間隔は30秒以上あけ、その間に精製水でうがいを行わせた。嗜好度は7段階の評定嗜好尺度法を用いて、大変好き+3、かなり好き+2、少し好き+1、好きでも嫌いでもない±0、少し嫌い−1、かなり嫌い−2、大変嫌い−3とし、各被験者の平均値を嗜好数値とした。 【0015】疲労前後の嗜好性の相違の有無は3元分散分析法、下位検定はT検定を用いて調べた。 【0016】酸味物質として、アスコルビン酸、酒石酸、酢酸、α−ケトグルタル酸を用い、各酸味物質ごとの結果を表1〜4に示した。 【0017】試験例1 アスコルビン酸【0018】 【表1】
【0019】表から明らかなように、アスコルビン酸に由来する酸味の嗜好性は5mmol/Lの濃度において、運動負荷により上昇することがわかった。小さいほど運動前後の嗜好性の差がみられたことを示すP値は0.05未満と有意の差があることから、肉体疲労時には、低濃度のアスコルビン酸に由来する酸味の嗜好性が向上するということを証明した。 【0020】試験例2 酒石酸【0021】 【表2】
【0022】酒石酸に由来する酸味の嗜好性は、運動疲労により変化しなかった。 【0023】試験例3 酢酸【0024】 【表3】
【0025】酢酸に由来する酸味の嗜好性は、運動疲労により変化しなかった。 【0026】試験例4 αケトグルタル酸【0027】 【表4】
【0028】αケトグルタル酸に由来する酸味の嗜好性は、運動疲労により変化しなかった。 【0029】 【発明の効果】前記試験例から明らかなように、アスコルビン酸を特定の濃度で配合した液剤は、肉体疲労時に嗜好性が向上するので、肉体疲労時に生体が要求する風味の内服液剤を提供することが可能となった。 【0030】したがって、肉体疲労時の嗜好性が向上したドリンク剤、スポーツ飲料などを提供することが可能になった。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000002819 【氏名又は名称】大正製薬株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年9月24日(1998.9.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074114 【弁理士】 【氏名又は名称】北川 富造
|
| 【公開番号】 |
特開2000−93134(P2000−93134A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月4日(2000.4.4) |
| 【出願番号】 |
特願平10−269439 |
|