| 【発明の名称】 |
水難溶性ミネラル組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】菊池 英知
【氏名】原田 浩一
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| 【要約】 |
【課題】食品への水難溶性ミネラルの強化を目的として、保存・流通中の沈降分離及び細菌最近の増殖が抑えられ長期間品質の安定した液状食品への分散性の優れた液状の水難溶性ミネラル組成物の開発を課題とする。
【解決手段】多価アルコール及び/又は糖類の水溶性とHLB=8以上の乳化剤の混合物中に水難溶性ミネラルを懸濁分散し湿式粉砕を施すことにより課題が達成される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】多価アルコール及び/又は糖類のいずれか1種又は2種以上とHLB=8以上の乳化剤との水溶液に水難溶性ミネラルを分散したことを特徴とする水難溶性ミネラル組成物。 【請求項2】HLB=8以上の乳化剤がショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセロール脂肪酸エステルの内から選ばれた1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1記載の水難溶性ミネラル組成物。 【請求項3】水難溶性のミネラルが水難溶性カルシウム、水難溶性マグネシウム又は水難溶性鉄のいずれか1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の水難溶性ミネラル組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、水難溶性ミネラルを分散した水性の液状組成物に関するものである。詳しくは、保存・流通中の組成物中の水難溶性ミネラルの分散状態が安定で、且つ細菌的な増殖が抑制され俣存性に優れた水性の液状組成物の調製に関するものである。 【0002】 【従来の技術と問題点】近年、カルシウム、マグネシウムを初めとする各種ミネラルの摂取不足が指摘され、いろんな種類のミネラル強化食品が市場に見られるようになってきた。これら食品へのミネラル強化方法としては、例えばカルシウムの場合においては、塩化カルシウム、乳酸カルシウム等の水溶性カルシウムを添加する方法と、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の水難溶性カルシウムを添加する方法が考えられる。 【0003】水溶性ミネラルを添加する場合においては、溶液中で生成したミネラルイオン、若しくは陰イオンに起因する塩味、苦味、収斂味等により、それらミネラルの添加された食品の風味が著しく損なわれたり、又、それらのイオンが蛋白質やペクチン等の高分子化合物と反応して凝固物を生成する等食品中の成分と反応して食品の組織・物性に悪影響をもたらす等の問題がある。 【0004】水難溶性ミネラルを添加する場合は上記の水溶性ミネラルの場合に見られるような問題は解決されるが、一方でそれら水難溶性ミネラルの比重が重く、添加されたミネラルが短時間の間に沈降分離してしまう難点がある。この沈降を抑制する対策の一つとしてはミネラル粒子を粉砕し微細粒子とする手段があるが乾式粉砕においては微粉砕された粒子の2次凝集が生じ、この2次凝集された粒子は水溶液中で容易には解凝集されないために微粉砕の効果が十分に意味をなさない結果となり本質的な解決をもたらさない。この2次凝集の問題を解決する方法としては溶液中での粉砕が効果的であり、例えば、炭酸カルシウムの水懸濁液にHLB=10以上の親水性乳化剤を配合し湿式粉砕機を用いて粉砕し炭酸カルシウム分散体を調製する方法(特開平6−12793号公報)、あるいは、リン酸カルシウムの水懸濁液にHLB=10以上の親水性乳化剤を配合し、湿式粉砕機を用いて粉砕しリン散カルシウム分散体を調製する方法(特開平6−127909号公報)等が開示されている。このようにHLB値の大きい乳化剤を配合し湿式粉砕することにより微粒子化されたミネラルの2次擬集は抑制され、水溶液に添加した場合の分散性も改善される。しかしながら、このようにして得られた懸濁液は単純な水溶液の系においては水難溶性ミネラル粒子の沈降分離を未だ十分抑えることが出来ず、長期間の均質な分散状態を保つことは難しく、又、細菌の成育による腐敗の同題もあり保存・流通中の長期間の安定な品質の維持が困難である。 【0005】この保存・流通対策としては、例えば、スラリー状態の炭酸カルシウムを親水性乳化剤の水溶液と混合し、この混合物を脱水処理した後、真空下に乾燥し粉末化する方法が開示されている(特公平2−31942号公報)。しかしながら、このような乾燥・粉末化は経済的でなく、また得られた製品を液状食品に添加する場合に機械的な分散が必要であり必ずしも解決したとは言えない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、食品への水難溶性ミネラル強化を目的として、上記のような従来の問題点を解決するために、液状で保存・流通中の沈降分離が抑制され分散状態が十分維持され、且つ、細菌の増殖が抑制され腐敗の問題がなく長期間品質の安定した、液状食品への分散性の優れた水難溶性ミネラル組成物の調整方法を開発することを課題とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題に鑑み、液状食品中での分散安定性及び液状態の食品加工中間組成物中での分散安定性が優れた水難溶性ミネラル組成物であって、保存・流通中の当該水難溶性ミネラル組成物の均一性が維持され、且つ細菌による腐敗の問題のない長期間品質の安定した水難溶性ミネラル組成物の調製方法について鋭意研究を重ねた結果、多価アルコール及び/又は糖類の水溶液とHLB8以上の乳化剤の混合物中に水難溶性ミネラルを懸濁させ湿式粉砕を行うことにより本課題が解決することを見いだし本発明を完成させたものである。即ち、本発明は以下の要件から構成されるものである。 【0008】1.多価アルコール及び/又は糖類のいずれか1種又は2種以上とHLB=8以上の乳化剤との水溶液に水難溶性ミネラルを分散したことを特徴とする水難溶性ミネラル組成物。 【0009】2.HLB=8以上の乳化剤がショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセロール脂肪酸エステルの内から選ばれた1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする上記1記載の水難溶性ミネラル組成物。 【0010】3.水難溶性のミネラルが水難溶性カルシウム、水難溶性マグネシウム又は水難溶性鉄のいずれか1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする上記1及び2記載の水難溶性ミネラル組成物。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明において、水難溶性ミネラルとは水に難溶解性のミネラル物質を言い、水難溶性カルシウム、難溶性マグネシウムあるいは水難溶鉄等が適用される。水難溶力ルシウムとしては貝殻カルシウム、骨カルシウム、卵殼カルシウム、サンゴ末等の炭酸カルシウムを主成分とする未焼成天然物またはそれらの焼成物、天然物または合成による重質または軽質の炭酸カルシウム、骨カルシウム、乳カルシウム等のリン酸カルシウム等を主成分とする天然物、合成によるリン酸カルシウム等が挙げられ、水難溶性マグネシウムとしては炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ドロマイト等が挙げられ、水難溶鉄としてはクエン酸鉄、ピロリン酸鉄等が挙げられ、これらの難溶性ミネラルの内のいずれか1種又は2種以上の混合物が用いられる。 【0012】これらの水難溶性ミネラルを食品へ応用するに際しては、摂食時の舌触り等の食感を考慮すると可及的に微粉末であることが好ましく、食品用として応用するに適当な粒子の径は30ミクロン以下、望ましくは10ミクロン以下である。水難溶性ミネラルのこのような粒子は多価アルコール及び/又は糖類とHLB=8以上の乳化剤の混合物の水溶性に水難溶性ミネラル粉末を懸濁させ、湿式粉砕処理を行うことによって達成される。湿式粉砕機としては、粉砕室中でガラスビーズ、ジルコニアビーズ等のメディアを媒体として被粉砕物懸濁液を粉砕する一般にサンドミル、ビーズミル、ダイノーミル等と呼ばれている公知の湿式粉砕機を用いるのが好適である。 【0013】これら水難溶性ミネラルの組成物中への配合比率は50重量%以下、好ましくは10重量%以上35重量%以下が適当である。配合率が50重量%を越えると混合物の粘度が高くなり組成物の調製が難しくなり、配合率が少ないと不経済的である。 【0014】本発明において、多価アルコールとしてはプロピレングリコール、グリセロール、ソルピトール、マルチトールあるいは澱粉加水分解物の水素添加物等の糖アルコール等が挙げられ、糖類としては、グルコース、フラクトース、ショ糖、マルトース、乳糖、澱粉加水分解物等の単糖類、二糖類あるいはオリゴ糖類あるいは転化糖等が挙げられ、これら多価アルコール及び/又は糖類の1種または2種以上の混合物が用いられる。 【0015】これらの多価アルコール又は糖類は本発明の水難溶性ミネラル組成物の保存・流通中の水難溶性ミネラル粒子の沈降分離の防止及び細菌による腐敗防止の目的で使用される。本発明の水難溶性ミネラル組成物において、これらの多価アルコール又は糖類と水との配合比率は用いられる物質により物性が異なり特に限定されるものではないが一般的には多価アルコール又は糖類70重量%ないし50重量%に対して水30重量%ないし50重量%の配合比率が適当である。水の比率が大きくなると水難溶性ミネラルの沈降分離が生じ易くなり、又細菌の増殖抑制効果も落ち腐敗を招き易くなる。又、水の比率が小さ過ぎると系の粘度が高くなり過ぎ水難溶性ミネラルの分散が困難になる。これら多価アルコール又は糖類の水溶液は加温時には粘度は低くなり、冷却すると粘度が高くなる物性を有しており、水難溶性ミネラル粒子の配合及び湿式粉砕時には適度に加温し、粉砕処理を施した後は冷却して保存することにより本発明の目的が効率的に達成される。 【0016】本発明において、HLB=8以上の乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステルが挙げられ、これらの内の1種又は2種以上の混合物として用いられる。 【0017】ショ糖脂肪酸エステルとしては構成脂肪酸がカプリル酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルシン酸等炭素数8ないし22の直鎖飽和又は不飽和脂肪酸の1種または2種以上の混合物を主成分とし、エステルの組成はモノエステル又は構成するエステル中のジエステル含量が概ね40重量%以上のモノ・ジエステル混合物が用いられる。ポリグリセロール脂肪酸エステルとしては構成脂肪酸がカプリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルシン酸等炭素数8ないし22の直鎖飽和又は不飽和脂肪酸の1種又は2種以上の混合物を主成分とし、ポリグリセロールの種類は特には限定しないがトリグリセロール、ヘキサグリセロール、デカグリセロール等のポリグリセロールのモノエステル、ジエステルあるいはトリエステルの単独または混合物でHLB=8以上のエステルが用いられる。 【0018】これら親水性の乳化剤は本発明の水難溶性ミネラルを液状食品等へ応用する場合の当該製品中への分散を補助するものであるが、一方でこれらの親水性乳化剤は高濃度水溶液中においてチクソトロピックな粘性挙動を示し、本発明の水難溶性ミネラル組成物においてもその物性により系の粘性を強くし、結果として水難溶性ミネラルの沈降分離の防止に寄与するものである。 【0019】これらの乳化剤の配合量は水難溶性ミネラル組成物中0.1重量%以上7.5重量%以下、好ましくは0.5重量%以上5.0重量%以下が適当である。 【0020】上述のように、本発明の水難溶性ミネラル組成物は、多価アルコール及び/又は糖類の1種又は2種以上の混合物の水溶性にHLB=8以上の乳化剤の適量を溶解混合し、適度に加温した後、これに水難溶ミネラル粉末を懸濁し、湿式粉砕機により微粒子化処理して冷却することによって達成される。これらの条件は組成物の原料あるいは組成比率によって適宜選択することができる。 【0021】また、組成物成分として、本発明の目的を阻害しない範囲において、その他の乳化剤、有機酸、アミノ酸、着色料、香料、調味料等のその他の成分を配合することを否定するものではない。 【0022】このようにして得られた本発明の水難溶性組成物は、液状で水難溶性ミネラルの分散が長期間安定に保たれ、且つ腐敗の問題もなく長時間の保存に耐えられるものであり、又、液状であることから食品への添加・分散が容易且つ効率的であり、牛乳、加工乳、乳飲料、果汁等の液状食品、米飯、プリン、ゼリー、ヨーグルト、キャンデー等の製造・加工工程中で流動性を有する食品等加工食品を中心に幅広い応用が可能である。 【0023】 【実施例】以下、実施例をもって本発明を説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。 【0024】実施例170重量%ソリピトール水溶液65重量%とグリセロール5重量%の混合液に、40重量%のショ糖パルミチン酸モノエステル[三菱化学フーズ:リョート−エステルP−1670]水溶液5重量%(ショ糖パルミチン酸モノエステル2重量%:水道水3重量%相当)を加え50℃に加温し、これに炭酸カルシウム粉末[白石カルシウム:ポアカルN]25重量%を懸濁し、ダイノーミル[WAB社]を使用して微粒子化処理を行ったのちガラス瓶に採取、密栓し室温に冷却保存した。 【0025】実施例2〜4実施例1と同様にして表−1に示す配合の実施例組成物を調製した。 【0026】比較例1〜2実施例1と同様にして表−1に示す配合の比較例組成物を調製した。
【0027】品質評価室温に3ケ月静置し分離状態及び腐敗の状況を観察した。結果を表−2に示した。
【0028】 【発明の効果】本発明により、保存・流通中の沈殿分離が抑えられ、細菌による腐敗もなく長期間品質の安定な液状の水難溶性ミネラル組成物が得られる。本発明品は液状であり応用食品への添加及び分散が容易且つ効率的である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390010674 【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年9月29日(1998.9.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100063484 【弁理士】 【氏名又は名称】箕浦 清
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| 【公開番号】 |
特開2000−93124(P2000−93124A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月4日(2000.4.4) |
| 【出願番号】 |
特願平10−274626 |
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