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【発明の名称】 人工粒状物
【発明者】 【氏名】道音 清志

【氏名】長岡 隆司

【氏名】櫻木 誠

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内相とこれを被覆する外相とからなる粒状物において、クロミノウグイスカグラの実質的に原形を有しない果実を内相に含有することを特徴とする人工粒状物。
【請求項2】 原形を有しない果実が果実を破砕し、搾取して得られる果汁である請求項1記載の人工粒状物。
【請求項3】 外相が主としてアルギン酸塩である請求項1または2記載の人工粒状物。
【請求項4】 外相が更に多価金属を含有する請求項1〜3いずれか記載の人工粒状物。
【請求項5】 外相に更にガムを付着させた請求項1〜4いずれか記載の人工粒状物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人工粒状物に関し、詳しくは、クロミノウグイスカグラの実質的に原形を有しない果実を含有した食品分野に利用できる新規な人工粒状物に関する。
【0002】
【従来の技術】クロミノウグイスカグラ(通称ハスカップ)は、酸味のある独特の風味を有し、鉄分、カルシウム、ビタミンC等を豊富に含む栄養価の高い果実であることが知られており、従来からジュースやジャムに加工されてきた。
【0003】しかし、これらの加工品は液体状もしくはゲル状であるので、誤ってこぼしたりした場合は周囲を汚染したり、べたべたした感じが残ったりするため、取り扱いに注意が必要であり、固形状で取り扱いの容易な加工品としての食材の要望が大きかった。また、果汁の利用方法も、飲用としたり、パンやケーキ、チョコレートの生地に練り込んだりする以外にはクロミノウグイスカグラの風味を楽しめる方法がなく、広範囲に使用できる新しい食材が求められていた。
【0004】更に、クロミノウグイスカグラの果実は一旦その果実の原形が崩れて果汁が空気に触れる状態となると、変色及び腐敗しやすく、新鮮な状態を保持しにくいものであり、また優れた栄養価が損なわれやすいといった極めて取り扱いにくいものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記従来技術が有していた上記問題点を解決しようとするものであり、従来全く知られていなかったクロミノウグイスカグラの実質的に原形を有しない果実を含有する人工粒状物を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を解決すべくなされたものであり、内相とこれを被覆する外相とからなる粒状物において、クロミノウグイスカグラの実質的に原形を有しない果実を内相に含有することを特徴とする人工粒状物であり、好ましくは原形を有しない果実が果実を破砕し搾取して得られる果汁であり、好ましくは外相がアルギン酸塩であり、好ましくは外相が更に多価金属を含有し、好ましくは外相に更にガムを付着させたものである人工粒状物を提供するものである。
【0007】しかして、本発明によれば、内相にクロミノウグイスカグラの実質的に原形を有しない果実を含有させ、外相で被覆することにより、内相が空気と遮断され、変色、腐敗を防止でき、クロミノウグイスカグラの独特の風味を保持し、また、流動性のある内相物を固形化できることにより取り扱い性がよくなり、様々な用途に利用できる全く新規な食材に適した粒状物が得られたのである。本発明を以下に更に詳しく説明する。
【0008】本発明の内相に含有されるクロミノウグイスカグラの実質的に原形を有しない果実としては、例えば■クロミノウグイスカグラの果実そのもの及び必要に応じて添加物を混合してミキサー等によって破砕したもの■クロミノウグイスカグラの果実そのもの及び必要に応じて添加物を混合して加熱することによって原形を保っていない状態にしたもので、例えばジャムやフルーツソースのようなもの。
■クロミノウグイスカグラの果実を破砕し、搾取して得られる果汁などのごときものが例示できるが、クロミノウグイスカグラの果実を破砕し、搾取して得られる果汁が最も好ましい。
上記添加物としては例えば、調味料、甘味料、香辛料、牛乳、酒類、ヨーグルト及び他の果実などが挙げられる。
【0009】本発明の人工粒状物を得る方法は任意であり、本発明を実施できれば方法の制限はない。一般に利用される方法の例としては、1) 内相となるクロミノウグイスカグラの実質的に原形を有しない果実を含有する成分のゾルを液滴となし物理的あるいは化学的ゲル化剤に投入してゲルの1次粒子を作り、更に外相となる成分のゾルで1次粒子を被覆し、外相をゲル化させ粒状物を得る方法。
2) 前記1)の方法に於いて、1次粒子の表面に化学ゲル化剤を付着させ、これを外相用ゾル中に浸漬して外相をゲル化させ、粒状物を得る方法。
3) 前記1)2)で得られた粒子を更にゲル化する方法。
4) 内相にクロミノウグイスカグラの実質的に原形を有しない果実を含有する成分を不連続相として含有させるために、2本のノズルを用いて、クロミノウグイスカグラの成分を内相にし、外相をゾルで封包された液滴をつくり、化学ゲル化剤でゲル化させ粒状物をつくる方法などが挙げられる。
【0010】本発明の内相及び外相となる成分として用いられる物質は、本発明が実施できればいずれも使用できるが、内相のゾル成分として使用される成分の物質としては、ペクチン、ゼラチン、寒天、カラギーナン、ゼイン、澱粉、グルテン、ガラクタン、ケラチン、デキストリン、こんにゃく粉、グアーガム、アルビアゴム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、キサンタンガム、タマリンドガム、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、繊維素グリコール酸ナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、澱粉燐酸エステルナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルローズなどである。
【0011】外相となる成分として用いられる物質としては、グアーガム、カゼイン、ペクチン、繊維素グリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、寒天、カラギーナン、グルテン、デキストリン、キサンタンガム、メチルセルロース、澱粉、ゼラチン、ローカストビーンガム、ガラクタン、アルブミン、ケラチンなどが挙げられるが、アルギン酸ナトリウムが本発明の人工粒状物の製造の容易さなどの点で好適に使用できる。
【0012】これらの内相及び外相に使用される物質は、目的により一種又は二種以上が使用される。
【0013】本発明において、クロミノウグイスカグラの実質的に原形を有しない果実の内相の含有量はクロミノウグイスカグラの果汁の量として5〜100重量%であり、好ましくは30〜90重量%であり、更に好ましくは40〜85重量%である。含有量が5重量%より少ないと、クロミノウグイスカグラ独特の風味がしなくなり、商品価値が損ねられるため好ましくない。
【0014】本発明において、人工粒状物の外相の含水率は70〜95%が好ましく、この範囲にすることで保形性が良くなる。本発明において、外相の含水率を70〜95%にする方法は、含水率が70〜95%になれば特に制限されないが、外相に使用する物質の重合度等を選択しながら、含水率70〜95%の水性ゾルとして人工粒状物を作るか、前記水性ゾルの粘度が高くなり、粒状物をつくる事が困難である場合は、一旦作った粒状物を脱水して外相の含水率を70〜95%とするか、もしくは前記2つの方法を組合せて粒状物の含水率を70〜95%とすることができる。
【0015】一旦作った粒状物を脱水する方法としては、例えば1. 特殊なゲル化条件を選ぶ方法例えば酸性(pH3〜4)に調整された10%CaClによる低温(0〜5℃ )によるゲル化。
2. 粒状物を、温度、圧力などで緊張した状態とし、外相を延伸させる方法。
3. 外相のみを急速に乾燥させる方法。
などを挙げることができる。
【0016】尚、人工粒状物の外相の含水率は以下の操作で測定できる。粒子の付着水を軽く布でふきとった後、粒子をカミソリで2つに切り、内相、外相を分離し、外相を60℃×3時間真空乾燥したときの減量分を乾燥前の外相の重量に対する%で示し、これを外相の含水率とする。
【0017】尚、本発明の含水率には、油状物質は含まない。従って油性物質を含むときは、吸引、冷凍などの方法で油性成分を分離、除去して、含水率を測定する。
【0018】本願発明の人工粒状物の外相は、更に多価金属を含有するのが好ましい。多価金属としては、多価金属であれば、いずれでも良い。多価金属として、2価の金属としては、例えばカルシウム、バリウム、マグネシウム、鉄などが挙げられ3価の金属としては、アルミニウム、鉄などが挙げられ、4価の金属としては、珪素などが挙げられる。
【0019】本発明においては、上記多価金属のうち、好ましくは2価及び3価の金属が用いられる。特に本願発明においては、2価の金属としてカルシウムを使用し、かつ他の多価金属とを併用することが好ましい。他の多価金属としては3価のアルミニウムが好適に使用できる。
【0020】本願発明の人工粒状物の外相に多価金属を保持させる方法としては、外相に多価金属が保持されればどのような方法でも良いが、粒状物をつくるときの内相用ゾルに添加する方法、外相用ゾルのゲル化剤として前記金属を使用する方法、粒状物の外側より処理する方法、及びこれらを組み合わせる方法等がある。又、前記多価金属は数種を併用することもできる。
【0021】またカルシウムに対する他の多価金属の比率が0.01〜1.0であることが本願発明の人工粒状物の外相膜の適度な強度と内層の含水量の変化をコントロールする点において特に望ましい。
【0022】本願発明においては、人工粒状物の大きさは特に制限されないが、1mm〜10mm程度で、特に食材として使用する場合に好ましい大きさは3mm〜6mmである。
【0023】本願発明の人工粒状物の形態は通常球形に近く、食材として例えばスプーンを利用して食するときに、人工粒状物の表面が弱い粘着性を有し、数個〜10数個を同時に取り上げる場合には、それらが擬似的に塊状をなしている方が取り扱いやすい。
【0024】本願発明においては、その目的から更に外相表面にガム成分を付着させることが好ましい。ガム成分としては、例えばグアーガム、キサンタンガム、アラビアガムが挙げられ、グアーガムがその効果の点で好ましい。ガム成分の添加量としては、人工粒状物に対し、0.01重量%〜0.2重量%で、好ましくは0.03重量%〜0.1重量%である。人工粒状物の外相にガム成分を付着させる方法としては、外相にガム成分が付着されれば、どのような方法でも良いが、人工粒状物の攪拌下、ガム成分の粉末もしくは水溶液を少量ずつ添加し付着させる方法がある。
【0025】本発明において、必要に応じて内相及び外相に含有することのできる物質としては、一般的に食品に添加できる食品添加剤であればいずれでも使用できるが、甘味料、着色料、防腐剤、栄養剤、風味剤、食欲促進剤、調味料等が挙げられる。
【0026】特に、クロミノウグイスカグラの果汁は腐敗しやすく、クロミノウグイスカグラの実質的に原形を有しない果実には食品用防腐剤を添加することが好ましく、添加できる防腐剤として、例えばソルビン酸、ソルビン酸カリウム、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0027】また、クロミノウグイスカグラは非常に酸味の強い果実であるため、クロミノウグイスカグラの実質的に原形を有しない果実には甘味料を添加することが好ましく、上記甘味料としては、甘茶、液糖、エリスリット、果糖、ガラクトース、甘草甘味料、甘草末、グリチルリチン、砂糖混合ぶどう糖果糖液糖、しょ糖、ステビア甘味料、転化糖、ナイゼリアベリー、ばくが糖、はちみつ、ぶどう糖、ぶどう糖果糖液糖、マルチット、Dーマンノース、水飴、メープルシュガー、ラムノース等が挙げられる。
【0028】次に本発明を実施例によって説明するが、本発明は、これら特定の例に限定されるものではない。
【0029】
【実施例】実施例1人工粒状物の内相を構成する流動体クロミノウグイスカグラの実 86.7重量%カラギーナン 1.0重量%キサンタンガム 1.0重量%ゼラチン 2.0重量%塩化カルシウム 0.3重量%水 9.0重量%上記配合により、次のようにして人工粒状物を得る。先ず、ミキサーにてその果実を破砕したクロミノウグイスカグラを70℃まで加温し、これに他の物質を加えて溶解させて内相用ゾルを作り、内径6.0m/mのノズルよりこれらのゾルを外相となる0.9%アルギン酸ナトリウム水溶液に各々放出滴下する。1分間浸漬した後取り出し、更に2%塩化カルシウム水溶液で15秒間処理し、軽く水洗して、クロミノウグイスカグラを含有したカプセルを得た。得られたカプセル100重量部に対し1%塩化カルシウム水溶液5重量部添加した後、グアーガムを0.05重量部添加することにより離水の少ないクロミノウグイスカグラを含有した人工粒状物を得た。得られた人工粒状物はスプーンでの取り扱いも容易で、これを食してみると適度な硬さの皮膜があり、歯で噛むと歯ざわりよく破れ、クロミノウグイスカグラ独特の風味を食することができた。
【0030】実施例2人工粒状物の内相を構成する流動体クロミノウグイスカグラ果汁 87.6重量%カラギーナン 1.5重量%キサンタンガム 1.5重量%塩化カルシウム 0.4重量%水 9.0重量%上記配合により、次のようにして人工粒状物を得る。先ず、クロミノウグイスカグラの果実をミキサーにて破砕し、搾取した果汁を70℃まで加温し、これに他の物質を加えて溶解させて内相用ゾルを作り、内径6.0m/mのノズルよりこれらのゾルを外相となる0.9%アルギン酸ナトリウム水溶液に各々放出滴下する。1分間浸漬した後取り出し、更に2%塩化カルシウム水溶液で15秒間処理し、軽く水洗して、クロミノウグイスカグラを含有したカプセルを得た。得られたカプセル100重量部に対し1%塩化カルシウム水溶液5重量部添加した後、硫酸アルミニウムカリウム0.05重量部及びグアーガムを0.05重量部添加することにより離水の少ないクロミノウグイスカグラを含有した人工粒状物を得た。得られた人工粒状物はスプーンでの取り扱いも容易で、これを食してみると適度な硬さの皮膜があり、歯で噛むと歯ざわりよく破れ、クロミノウグイスカグラ独特の風味を食することができた。
【0031】
【発明の効果】本発明は、取り扱い性、酸化防止性に優れた今までになかった固形状の新規な人工粒状物、詳しくは内相と外相からなる粒状物の内相ににクロミノウグイスカグラの実質的に原形を有しない果実を含有する人工粒状物に関する。
【0032】本発明の人工粒状物は、デザート、ステーキソース等に混ぜたり、又、アイスクリーム、ヨーグルトの中に入れたり、パンやケーキの生地、トッピング等広範囲の食品に使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000004592
【氏名又は名称】日本カーバイド工業株式会社
【出願日】 平成10年9月22日(1998.9.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−93119(P2000−93119A)
【公開日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願番号】 特願平10−267813