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【発明の名称】 アロエ溶液及びその製造方法
【発明者】 【氏名】冨田 守

【氏名】外山 一吉

【氏名】岩附 慧二

【氏名】安田 智彦

【要約】 【課題】濃縮した状態で、シュウ酸等の苦味、収斂味等の原因物質が少なく、透明度が高く、沈殿が生成することがなく、粘度が低く、かつ有用な成分であるムコ多糖類に富む、アロエ溶液及びその製造方法を提供する。

【解決手段】a)Brix10°のアロエ溶液1g中のシュウ酸の含有量が1mg以下であること、b)同溶液を、セルの厚さ1cmのガラスセルを用いて660nmの波長で測定した透過率が95%以上であること、c)同溶液を90℃で3分間加熱処理し、10℃10日間保存後の沈殿生成がないこと、d)同溶液の粘度が10mPa・s以下であること、及びe)同溶液1g中のグルコサミンの含有量が0.05〜0.5mgであること、の理化学的性質を有するアロエ葉肉由来の溶液を、ペクチナーゼを含有する酵素混合物を用いて処理した、アロエ溶液の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 次のa)〜e)、a)Brix10°のアロエ溶液1g中のシュウ酸の含有量が1mg以下であることb)Brix10°のアロエ溶液を、セルの厚さ1cmのガラスセルを用いて660nmの波長で測定した透過率が95%以上であることc)Brix10°のアロエ溶液を90℃で3分間加熱処理し、10℃10日間保存後の沈殿生成がないことd)Brix10°のアロエ溶液の粘度が10mPa・s以下であることe)Brix10°のアロエ溶液1g中のグルコサミンの含有量が0.05〜0.5mgであることの理化学的性質を有するアロエ溶液。
【請求項2】 アロエ葉肉のゲル部分を含有するアロエ葉肉由来の溶液を、ペクチナーゼ又はペクチナーゼを主成分として含有する酵素混合物を用いて処理し、のちカルシウム剤を添加し、濾過することを特徴とするアロエ溶液の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アロエ溶液及びその製造方法に関するものである。詳しくは、本発明は、アロエ葉肉のゲル部分を含有するアロエ葉肉由来の溶液を、ペクチナーゼ又はペクチナーゼを主成分として含有する酵素混合物を用いて処理することから、アロエ葉肉全体の利用が可能となり、有用な成分であるムコ多糖類に富み、かつ粘度が低く、濃縮溶液としての利用が可能で、カルシウム剤を添加し、濾過することから、ムコ多糖類を減少することなく、シュウ酸等の苦味、収斂味等の原因物質及び不溶性物質が除去され、透明度が高く、かつ沈殿が生成することのない、食品素材として広範に応用可能なアロエ溶液及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アロエ葉肉のゲル部分を含有するアロエ葉肉由来の溶液の製造方法としては、アロエの葉から外皮を除去したアロエ葉肉を均質化する方法、又は必要に応じて、これを限外濾過により分画する方法が知られている(特開平8−165247号公報)。
【0003】また、アロエの葉から外皮を除去したアロエ葉肉を破砕し、ペクチナーゼを用いて酵素処理し、液状化する方法が知られている[特開平5−308947号公報(以下、従来技術1と記載する。)。]。
【0004】更に、アロエエキスをペクチナーゼを主成分として含有する酵素混合物を用いて処理し、のち活性炭を添加し、濾過する方法が知られている[特開平4−149134号公報(以下、従来技術2と記載する。)。]。
【0005】しかしながら、これらの従来技術には、次に記載するとおりの不都合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の技術に開示されるとおり、アロエ葉肉のゲル部分を含有するアロエ葉肉由来の溶液の製造方法として、アロエの葉から外皮を除去したアロエ葉肉を均質化する方法は公知であったが、この方法で得られるアロエ溶液は、不溶性物質を大量に含有し、透明度が低く、沈殿が生成し易く、かつ粘度が大きいため、濃縮溶液としての利用が困難であり、食品素材として応用範囲が限定されるという問題点を有していた。また、前記アロエ溶液を限外濾過により分画する方法で製造したアロエ溶液は、分画操作により、アロエ葉肉全体を有効に利用するものではなくなり、ムコ多糖類の含有量は生来のアロエ葉肉中の含有量とは異なるものとなり、画分ごとにムコ多糖類の含有量が異なるという問題点を有していた。更に、分画操作により得られるムコ多糖類を大量に含有する画分については、透明度が低く、沈殿が生成し易く、かつ粘度が大きいため、濃縮溶液としての利用が困難であり、食品素材として応用範囲が限定されるという問題点が全く解決されておらず、また、分画操作により得られるムコ多糖類をほとんど含有しない画分については、前記問題点は解決されるものの、有効な成分であるムコ多糖類をほとんど含有しないことから、アロエ溶液の有効性が低いという新たな問題点が生じる。
【0007】また、この問題点を解決するため、前記従来技術1及び従来技術2に開示されるとおり、アロエ葉肉の破砕物の全体をペクチナーゼ又はペクチナーゼを主成分として含有する酵素混合物を用いて処理し、液状化する方法が知られているが、ペクチナーゼ処理のみでは、後記する試験例からも明らかなとおり、アロエ溶液中に、シュウ酸等の苦味、収斂味等の原因物質及び不溶性物質が残存し、沈殿が生成するという問題点が解決されなかった。
【0008】更に、従来技術2に開示されるとおり、前記ペクチナーゼ処理後のアロエ溶液に、活性炭を添加し、濾過することにより、苦味、収斂味等の原因物質を吸着除去する方法が知られているが、活性炭がアロエ溶液中のムコ多糖類等の有効な成分も吸着することから、後記する試験例からも明らかなとおり、ムコ多糖類の含有量が生来のアロエ葉肉中の含有量とは大幅に異なるものとなり、アロエ溶液の有効性が低いという新たな問題点が生じる。
【0009】また、従来、アロエ溶液の製造方法において、ペクチナーゼ処理後、カルシウム剤処理を行うアロエ溶液の製造方法については一切知られていなかった。
【0010】本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、アロエ葉肉のゲル部分を含有するアロエ葉肉由来の溶液を、ペクチナーゼ又はペクチナーゼを主成分として含有する酵素混合物を用いて処理し、のちカルシウム剤を添加し、濾過することにより、アロエ葉肉全体の利用が可能となり、生来のアロエ葉肉中に含有されるムコ多糖類が減少することなく、有用な成分であるムコ多糖類に富み、粘度が低く、濃縮溶液としての利用が可能で、シュウ酸等の苦味、収斂味等の原因物質及び不溶性物質が除去され、透明度が高く、かつ沈殿が生成することのないアロエ溶液が製造できるという効果が奏せられることを見い出し、本発明を完成した。
【0011】本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、濃縮した状態(例えば、Brix10°)で、シュウ酸等の苦味、収斂味等の原因物質が少なく、透明度が高く、沈殿が生成することがなく、粘度が低く、かつ有用な成分であるムコ多糖類に富む、食品素材として広範に応用可能なアロエ溶液及びその製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発明の第一の発明は、次のa)〜e)、a)Brix10°のアロエ溶液1g中のシュウ酸の含有量が1mg以下であることb)Brix10°のアロエ溶液を、セルの厚さ1cmのガラスセルを用いて660nmの波長で測定した透過率が95%以上であることc)Brix10°のアロエ溶液を90℃で3分間加熱処理し、10℃10日間保存後の沈殿生成がないことd)Brix10°のアロエ溶液の粘度が10mPa・s以下であることe)Brix10°のアロエ溶液1g中のグルコサミンの含有量が0.05〜0.5mgであることの理化学的性質(以下、a)〜e)をまとめて特定の理化学的性質と記載することがある。)を有するアロエ溶液である。
【0013】前記課題を解決する本発明の第二の発明は、アロエ葉肉のゲル部分を含有するアロエ葉肉由来の溶液を、ペクチナーゼ又はペクチナーゼを主成分として含有する酵素混合物を用いて処理し、のちカルシウム剤を添加し、濾過することを特徴とするアロエ溶液の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明について詳細に説明するが、本発明の理解を容易にするために、最初に本発明の第二の発明(以下,本発明の方法と記載することがある。)から説明する。
【0015】本発明の方法の出発原料としては、アロエ生葉より外皮を剥離し、ゲル部分を摘出し、切断機(例えば,ダイサー等。)により細断したアロエ葉肉を使用することができ、簡便には市販の細断及び殺菌済アロエ葉肉缶詰(例えば、東京果汁社製等。)を使用することができる。
【0016】本発明のアロエ葉肉の破砕に使用される装置は、細断済みアロエ葉肉を最大直径(破砕直径)で300μm以下の大きさに破砕できるものであれば特に限定されることはないが、ホモジナイザー(例えば、三丸機械工業社製等。)、スパイクミル(例えば、井上製作所社製等。)等を使用することが望ましい。
【0017】本発明の方法において、アロエ葉肉の破砕は、前記装置を使用してアロエ葉肉を最大直径(破砕直径)300μm以下の大きさに破砕することにより実施される。具体的には、ホモジナイザーを使用した場合、処理圧力を5〜10MPaの範囲で適宜変更することにより、アロエ葉肉を最大直径(破砕直径)300μm以下の適宜の大きさに破砕することができる。この場合に摩擦熱による原料の加熱を防止するため、処理温度を一定値以下、例えば25℃に保持するため、冷却しながら実施することが望ましい。前記破砕工程により、前記アロエ葉肉原料を破砕することで、本発明のアロエ葉肉のゲル部分を含有するアロエ葉肉由来の溶液を製造することができる。
【0018】本発明のアロエ葉肉由来の溶液のペクチナーゼ処理に使用されるペクチナーゼ又はペクチナーゼを主成分として含有する酵素混合物は、アロエ葉肉の強固なゲル状の植物体組織を形成しているペクチン等を分解することができるものであればいずれであってもよく、簡便には、市販のペクチナーゼ(例えば、天野製薬社製等。)、市販のペクチナーゼを主成分として含有する酵素混合物(例えば、ヤクルト本社製等。)等を使用することができる。
【0019】本発明の方法において、アロエ葉肉由来の溶液のペクチナーゼ処理は、使用する酵素の種類により処理条件が異なるが、通常、Brix0.5〜5°のアロエ葉肉由来の溶液100gに対してペクチナーゼ又はペクチナーゼを主成分として含有する酵素混合物の0.01〜0.1gを添加し、40〜50℃で3〜5時間処理することにより行われる。具体的に、市販のペクチナーゼG(天野製薬社製)を使用した場合には、破砕処理工程で製造されたアロエ葉肉由来の溶液を、必要に応じて水を添加してBrix2°に調整し、ペクチナーゼG0.02gを添加し、40℃で3時間処理することによりペクチナーゼ処理を行うことができる。
【0020】本発明のペクチナーゼ処理済みのアロエ溶液のカルシウム剤処理に使用されるカルシウム剤は、シュウ酸等の苦味、収斂味等の原因物質及び不溶性物質をカルシウム塩として沈殿除去できるものであればいずれであってもよく、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム等を例示することができるが、炭酸カルシウム等の水不溶性カルシウム剤を使用することが、過剰な未反応のカルシウム剤の分離が容易であること、及びアロエ溶液の風味に影響を及ぼさないことから、望ましい。簡便には、市販の炭酸カルシウム(例えば、三栄源エフ・エフ・アイ社製等。)を使用することができる。
【0021】本発明の方法において、ペクチナーゼ処理済みのアロエ溶液のカルシウム剤処理は、前記アロエ溶液を減圧濃縮機(例えば、ヤマト科学社製等。)を用いて、Brix10°以上まで濃縮し、この濃縮液100g当たり前記カルシウム剤0.1〜1.0gを添加し、40〜50℃で1〜2時間処理することにより不溶性物質等のカルシウム塩の沈殿を生成させることにより行われる。
【0022】本発明の方法において、カルシウム剤処理済みのアロエ溶液の濾過は、常法により、カルシウム剤処理で生成した不溶性物質等のカルシウム塩の沈殿を、精密濾過法、珪藻土等の濾過助剤を使用した吸引濾過法により濾過することにより行われる。
【0023】前記本発明の方法により製造されたアロエ溶液は、後記する実施例からも明らかなとおり、特定の理化学的性質を有し、シュウ酸等の苦味、収斂味等の原因物質が少なく、透明度が高く、沈殿が生成することがなく、粘度が低く、かつ有用な成分であるムコ多糖類に富むアロエ溶液である。
【0024】即ち、本発明の第一の発明であるアロエ溶液は、前記のとおりの特定の理化学的性質を有することから、濃縮した状態(例えば、Brix10°)で、シュウ酸等の苦味、収斂味等の原因物質が少なく、透明度が高く、沈殿が生成することがなく、粘度が低く、かつ有用な成分であるムコ多糖類を高濃度で含有しており、必要に応じて減圧濃縮法等でBrix70°まで濃縮可能であり、食品素材として広範に応用可能で有用である。
【0025】次に試験例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明においては、次の試験方法を採用した。
【0026】(1)各試料のBrixの測定方法手持屈折計(アタゴ社製)を使用し、各試料のBrixを測定した。
【0027】(2)各試料のシュウ酸含有量の測定方法Brix1°及びpH5.0に調整した各試料0.1g中のシュウ酸含有量を、市販のシュウ酸測定キット[F−キット・シュウ酸(ベーリンガー・マンハイム社製)]を使用して、測定し、測定結果からBrix10°の各試料の1g当たりのシュウ酸含有量(mg)を算出した。
【0028】(3)各試料の透過率の測定方法Brix10°に調整した各試料を、セルの厚さ1cmのガラスセルを用いて、分光光度計U−3200型(日立製作所社製)により、波長660nmでその透過率(%)を測定した。
【0029】(4)各試料の沈殿生成の試験方法Brix10°に調整した各試料を、250mlの透明ガラスビンに充填し、90℃で3分間加熱処理したのち、水冷し、10℃で10日間保存し、のち沈殿の生成を肉眼観察し、沈殿有り(+)及び沈殿無し(−)で表した。
【0030】(5)各試料の粘度の測定方法Brix10°に調整した各試料を、10℃に24時間静置し、のちB型粘度計(トキメック社製。DV L−BII)を使用し、No.1ローターを装着し、60rpmのローター回転数により粘度(mPa・s)を測定した。
【0031】(6)各試料のグルコサミン含有量の測定方法Brix10°に調整した各試料3gを50mlの精製水に溶解し、この溶液2mlに12mol/l濃度の塩酸1mlを添加し、100℃で6時間加水分解した。次いで、ロータリーエバポレーターを使用して塩酸を蒸発留去し、残存物を1mlの精製水に溶解し、孔径0.45μmのフィルターで濾過し、この溶液25μlを高速液体クロマトカラム(東ソー社製。TSKGEL SCX(Na+) ;直径6mm×長さ150mm)を連結した高速液体クロマトグラフ装置(日立製作所社製)に注入し、移動相(0.16mol/lホウ酸ナトリウム水溶液)0.5ml/minの条件で、グルコサミンをクロマト分離し、蛍光検出器(日立製作所社製)により検出し、グルコサミン含有量を測定し、測定結果から各試料の1g当たりのグルコサミン含有量(mg)を算出した。
【0032】尚、グルコサミンは、ムコ多糖類の一成分であり、グルコサミン含有量は、ムコ多糖類含有量と相関することから、試料中のグルコサミン含有量をムコ多糖類含有量の指標として使用することができる。
【0033】試験例1この試験は、従来技術と本発明の方法とを比較するために行った。
(1)被検試料の調製次に示す2種類の試料を調製した。
試料1:後記実施例1と同一の方法により製造したBrix10°のアロエ溶液試料2:従来技術1と同様に、カルシウム剤処理を実施しないことを除き、後記実施例1と同一の方法により製造したBrix10°のアロエ溶液試料3:従来技術2と同様に、カルシウム剤を活性炭2.6kgに変更し、処理時間を5時間に延長したことを除き、後記実施例1と同一の方法により製造したBrix10°のアロエ溶液【0034】(2)試験方法各試料のシュウ酸含有量、透過率、沈殿生成、及びグルコサミン含有量を前記試験方法により試験した。
【0035】(3)試験結果この試験の結果は、表1に示すとおりである。表1から明らかなとおり、従来技術の試料2に比較して本発明の試料1が、シュウ酸含有量の結果に示すとおり、シュウ酸等の苦味、収斂味等の原因物質及び不溶性物質が除去されており、透過率の結果に示されるとおり、透明度が高く、更に沈殿生成の結果に示すとおり、沈殿が生成することがないことから、優れていることが判明した。また、従来技術の試料3に比較して本発明の試料1が、グルコサミン含有量の結果に示されるとおり、生来のアロエ葉肉中のグルコサミン含有量(Brix10°のアロエ溶液1g中のグルコサミンの含有量が0.5mg)に近似しており、ムコ多糖類含有量の指標であるグルコサミン含有量がほとんど減少していないことから、優れていることが判明した。
【0036】尚、出発原料であるアロエ、ペクチナーゼ又はペクチナーゼを主成分として含有する酵素混合物、及びカルシウム剤の種類を適宜変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0037】
【表1】

【0038】次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
【実施例】実施例1アロエベラの生葉200kgより外皮を剥離し、アロエ葉肉(ゲル部分)を摘出し、これをダイサー(アーシャル社製)により細断し、得られた細断粒をスパイクミル(井上製作所社製)により破砕し、この破砕物に細断工程で生じるアロエ葉肉からの侵出液を加えて混合し、アロエ葉肉のゲル部分を含有するアロエ葉肉由来の溶液約120kg(Brix2°)を製造した。
【0040】前記アロエ葉肉由来の溶液110kgにペクチナーゼG(天野製薬社製)0.22kgを添加し、40℃で3時間処理することによりペクチナーゼ処理を行い、ペクチナーゼ処理済みのアロエ溶液約110kgを製造した。
【0041】次いで、前記ペクチナーゼ処理済みのアロエ溶液105kgを減圧濃縮機(ヤマト科学社製)を用いて、Brix10°まで濃縮し、この濃縮液20kgに対して炭酸カルシウム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)40gを添加し、50℃で1時間処理し、不溶性物質等のカルシウム塩の沈殿を生成させた。
【0042】次いで、前記カルシウム剤処理済みのアロエ溶液約20kgに濾過助剤としてセライトスーパースタンダードセル(セライト社製)2kgを添加して珪藻土吸引濾過法により前記カルシウム塩の沈殿及び過剰な未反応の炭酸カルシウムを濾過し、アロエ溶液約17kgを製造した。
【0043】得られたアロエ溶液を前記試験方法により試験した結果、Brixは10°であり、Brix10°のアロエ溶液1g中のシュウ酸の含有量が0.2mgであり、Brix10°のアロエ溶液を、セルの厚さ1cmのガラスセルを用いて660nmの波長で測定した透過率が98.5%であり、Brix10°のアロエ溶液を90℃で3分間加熱処理し、10℃10日間保存後の沈殿生成がなく、Brix10°のアロエ溶液の粘度が2mPa・sであり、及びBrix10°のアロエ溶液1g中のムコ多糖類の含有量の指標であるグルコサミンの含有量が0.5mgであった。
【0044】即ち、前記アロエ溶液は、前記のとおりの特定の理化学的性質を有することから、濃縮した状態であるBrix10°で、シュウ酸等の苦味、収斂味等の原因物質が少なく、透明度が高く、沈殿が生成することがなく、粘度が低く、かつ有用な成分であるムコ多糖類に富むアロエ溶液であった。
【0045】実施例2市販の細断及び殺菌済アロエ葉肉缶詰(東京果汁社製)のアロエ葉肉(ゲル部分:一辺の長さが3mmの立方体に細断したもの)150kgを、ホモジナイザー(三丸機械工業社製)により、25℃に冷却しながら処理圧力10MPaの条件で破砕し、アロエ葉肉のゲル部分を含有するアロエ葉肉由来の溶液約140kg(Brix3°)を製造した。
【0046】前記アロエ葉肉由来の溶液130kgにマセローム(ペクチナーゼを主成分として含有する酵素混合物:ヤクルト本社製)0.13kgを添加し、50℃で5時間処理することによりペクチナーゼ処理を行い、ペクチナーゼ処理済みのアロエ溶液約130kgを製造した。
【0047】前記ペクチナーゼ処理済みのアロエ溶液105kgを減圧濃縮機(ヤマト科学社製)を用いて、Brix20°まで濃縮し、この濃縮液15kgに対して炭酸カルシウム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)30gを添加し、40℃で2時間処理し、不溶性物質等のカルシウム塩の沈殿を生成させた。
【0048】次いで、前記カルシウム剤処理済みのアロエ溶液約10kgに濾過助剤としてセライトスーパースタンダードセル(セライト社製)1kgを添加して珪藻土吸引濾過法により前記カルシウム塩の沈殿及び過剰な未反応の炭酸カルシウムを濾過し、アロエ溶液約8kgを製造した。
【0049】得られたアロエ溶液を前記試験方法により試験した結果、Brixは20°であり、Brix10°のアロエ溶液1g中のシュウ酸の含有量が0.5mgであり、Brix10°のアロエ溶液を、セルの厚さ1cmのガラスセルを用いて540nmの波長で測定した透過率が98.0%であり、Brix10°のアロエ溶液を90℃で3分間加熱処理し、10℃10日間保存後の沈殿生成がなく、Brix10°のアロエ溶液の粘度が2mPa・sであり、及びBrix10°のアロエ溶液1g中のムコ多糖類の含有量の指標であるグルコサミンの含有量が0.5mgであった。
【0050】即ち、前記アロエ溶液は、前記のとおりの特定の理化学的性質を有することから、濃縮した状態であるBrix20°で、シュウ酸等の苦味、収斂味等の原因物質が少なく、透明度が高く、沈殿が生成することがなく、粘度が低く、かつ有用な成分であるムコ多糖類に富むアロエ溶液であった。
【0051】
【発明の効果】以上詳記したとおり、本発明は、アロエ溶液及びその製造方法に関するものであり、本発明により奏せられる効果は次のとおりである。
1)アロエ葉肉のゲル部分を含有するアロエ葉肉由来の溶液を、ペクチナーゼ又はペクチナーゼを主成分として含有する酵素混合物を用いて処理することから、アロエ葉肉全体の利用が可能となり、有用な成分であるムコ多糖類に富み、かつ粘度が低く、必要に応じてBrix70°まで濃縮可能で、濃縮溶液としての利用が可能である。
2)カルシウム剤を添加し、濾過することから、ムコ多糖類を減少することなく、シュウ酸等の苦味、収斂味等の原因物質及び不溶性物質が除去され風味も良く、透明度が高く、かつ沈殿が生成することがなく、食品素材として広範に応用可能である。
【出願人】 【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
【出願日】 平成10年9月25日(1998.9.25)
【代理人】 【識別番号】390000561
【氏名又は名称】390000561 工藤 力
【公開番号】 特開2000−93110(P2000−93110A)
【公開日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願番号】 特願平10−288827