| 【発明の名称】 |
油脂コーティング澱粉、それを用いたほぐれを改良した麺類およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】袴田 一彦
【氏名】大江 祐紀子
【氏名】中村 卓
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、麺の外観、食味および食感を損なわずに、麺線の付着を防止して、ほぐれを改良した茹で麺、蒸し麺、生麺、即席麺等の麺類、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】製麺原料として、澱粉に対して、融点が5〜80℃の食用油脂0.1〜5重量%の量を、表面付着力が75%以上となるようにコーティングした油脂コーティング澱粉を用いる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 澱粉に対して、融点が5〜80℃の食用油脂0.1〜5重量%の量を、表面付着力が75%以上となるようにコーティングした麺ほぐれ改良作用のある油脂コーティング澱粉。 【請求項2】 製麺原料中に、請求項1記載の油脂コーティング澱粉を0.1〜45重量%含むことを特徴とするほぐれを改良した麺類。 【請求項3】 麺製造時に、製麺原料中に請求項1記載の油脂コーティング゛澱粉を添加することを特徴とする、ほぐれを改良した麺類の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、麺線のほぐれ改良効果を有する油脂コーティング澱粉とそれを用いることによって、作業性は勿論、製品の外観、食感および食味が良好となる麺類、およびその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、麺の食感等の改良のために、製麺原料中に各種澱粉を配合した麺が製造販売されている。これらの麺類は、その食感等は改良されるものの、茹でた際に糊化した澱粉が麺表面に溶出するために麺線同士が付着し、ほぐれ難いという欠点がある。こうした麺線の付着を防止するために、これまで種々の改良法が試みられている。例えば、生麺の場合はカットされた麺線に直接、澱粉(取り粉)をふりかける方法が用いられている。また、茹で麺、蒸し麺については、仕上がった麺に油を噴霧したり、緑豆化工澱粉と乳化剤を併用する方法(特開平6−197717)が用いられている。更に、ミキシングの工程で乳化油脂を添加する方法、乳化剤を用いた湿熱処理澱粉を使用する方法(特開平10−84894)が知られている。 【0003】こうした改良方法は、ある程度麺線の付着防止に効果があるが、同時に以下の如き欠点も有する。例えば、油脂を噴霧する方法は、油脂の酸化に注意しなくてはならないし、製品の外観も悪くなり、かつ油が存在すると食感に影響の出る麺(うどん、そば)には不適である。また、取り粉を使用した生麺は製品の外観が悪く、かつ黴が生えたりあるいは腐敗し易い。一方、乳化剤を混合する場合には、食味が悪化して実用に耐え得ない。そのため、麺の良好な食味、食感を維持しつつ、麺線のほぐれを改良する手段の開発が切望されていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような従来の麺類の有する問題点を解決し、麺の外観、食味および食感を損なわずに、麺線の付着を防止して、ほぐれを改良した生麺、茹で麺、蒸し麺等の麺類、およびその製造方法を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、麺製造工程中の原料混合時に、所定の特性を有する油脂コーティンク゛澱粉を添加して麺類を作製すると、麺の外観、食感および食味を損なわずに、麺線の付着防止に非常に効果のあることを見い出し、本発明を完成した。即ち、本発明は、澱粉に対して、融点が5〜80℃、好ましくは15〜70℃の食用油脂を0.1〜5重量%添加・混合することにより、澱粉への油脂の表面付着力を75%以上とした麺ほぐれ改良作用のある油脂コーティング澱粉およびこの油脂コーティング澱粉を配合した麺類とその製造方法に関する。換言すれば、本発明における油脂コーティング澱粉は、澱粉に対して、■融点が5〜80℃の食用油脂を、■0.1〜5重量%添加混合することにより、■澱粉への油脂の表面付着力が75%以上となるように油脂を澱粉表面に均一かつ強固に付着せしめることを必須の条件とする。 【0006】本発明において油脂コーティング力の指標である表面付着力とは、油脂コーティングした澱粉1重量部に対して100重量部の20℃蒸留水を加えて1時間振とうした後遠心分離(2500rpm×5分)し上澄を除いて、油脂コーティング澱粉中に残った油分含量(付着油分量)の澱粉含有全油分量に対する割合で定義される値をいう。 表面付着力=(付着油分量)/(澱粉含有全油分量) ×100(%) 本発明における油脂コーティング澱粉を麺類に適用した際に優れた効果を発揮する理由は、油脂コーティング澱粉の特性に基くものである。即ち、加熱による膨潤した澱粉粒子からの糊化澱粉の溶出を澱粉表面に強固にコーティンク゛された油脂が抑え、麺線表面への澱粉質からの糊化物の溶出を防ぐことにより、麺線の付着が防止されるものと推定される。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明における上記3つの構成要件はいずれも必要不可欠な要件であり、いずれか1つが条件を満たさないと本発明の効果は得られない。本発明に用いる油脂は融点が5〜80℃であり、常温では固形ないしは半固形状のため、予め融点以上に加熱融解し液状として、澱粉に添加する。当該液状油脂は澱粉と均一に混合することができ、澱粉粒子の表面を均一に被覆し、混合系が常温に復すると、油脂は融点以下となり固化する。その際、油脂はホットメルト接着剤類似の挙動を示し、澱粉粒子の表面に強固に結合した状態となる。 【0008】融点が5℃以下の場合、澱粉と油脂が分離した状態となり油脂の澱粉表面への均一な付着がなされず目的のコーティングされた状態が得られない。一方融点が80℃以上の場合、コーティング工程で油脂が澱粉に付着することなく凝固してしまい、うまく澱粉表面にコーティングできない。 【0009】そして油脂量として澱粉に対して0.1〜5%、好ましくは0.5〜2%を油脂コーティングさて得られる油脂コーティング澱粉を使用することで麺のほぐれ効果が得られる。ここで油脂量が0.1%より少ないと出来上がった生麺、茹で麺の麺線の付着防止効果が出ない。5%を越えると麺の食感・食味が悪くなる。さらに本発明においては表面付着力が75%以上であることが必須であるが、75%以下では、麺生地の調製工程やゆで工程において澱粉と油脂が分離し、十分なほぐれ効果が得られない。 【0010】澱粉を油脂で処理したいわゆる油脂加工澱粉は従来から知られており、又、それらの加工澱粉を麺類に応用した例も報告されている。しかし従来の油脂加工澱粉は、澱粉に単に油脂を混ぜただけで、澱粉と油脂が分離して混在する状態の物や、あるいは澱粉と油脂を混合、加熱して油脂が澱粉粒子内部に結合した物である(特公昭45−321898 特開昭54−23145)。これらの油脂加工澱粉は、本発明の構成要件を満たすことができず、従って麺に利用しても、ほぐれ性、食感、食味とも十分な改良効果は得られない。 【0011】油脂コーティング澱粉の原料澱粉として、食品用澱粉であればいずれも使用できコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、緑豆澱粉、サゴ澱粉、米澱粉およびこれらの化工澱粉、例えばアセチル化処理、エーテル化処理、架橋処理、酸処理、酸化処理、湿熱処理、さらにこれらを組み合わせた加工を施した食品用加工澱粉であればいずれでも使用できる。また使用する融点が5〜80℃の食用油脂としては、パーム油、カポック油、やし油、イリベ油、ウクフバ油、カカオ脂、ガルシニア脂、クス実脂、月桂樹脂等またこれらを分別し、または水素添加したもの、さらに融点が5℃未満である大豆油、菜種油、ひまわり油、綿実油、あまに油、桐油、かや油、サフラワー油、けし油、くるみ油、からし油、米ぬか油、ごま油、とうもろこし油等の植物油脂、牛脂、魚油、鯨油、豚脂、羊脂などの動物油脂を水素添加処理した硬化油脂、およびそれらの混合物を用いることも可能である。 【0012】本発明における油脂コーティング方法としては、高速攪拌ミキサーで澱粉と油脂を均一に混合し表面に吸着させたのち常温静置する方法や、流動層乾燥機内で澱粉を均一分散させた状態で、油脂をスプレー噴霧し表面に吸着させたのち常温静置する方法などがあるが、いずれの場合にも、油脂は予め融点以上に加熱して、融解または半融解の流動性のある状態で使用し、処理時間等を適宜設定することにより、所定の表面付着力が得られるようにすることが肝要である。 【0013】本発明において、麺類とは、小麦粉及びその他の原材料を加えて製麺したものであって、製造方法によって、生麺、茹で麺、蒸し麺および即席麺に分けられ、種類として、うどん、そば、中華麺、焼きそば用麺、スパゲッティ、餃子の皮等を指し、商品形態は常温流通麺(LL麺、即席麺)、低温流通麺(チルド麺)、のいずれであってもよい。 【0014】次に油脂コーティンク゛澱粉を用いた麺類の製造方法について記す。小麦粉に本発明の油脂コーティンク゛澱粉(麺配合全量の0.5〜45%、好ましくは1〜30%)を加え、ミキサーにて混合しながら、食塩またはかん水を溶解した水溶液を加え、それを複合機により麺帯とし、圧延を段階的に繰り返した後、切刃にて切り出し麺線を得る(生麺)。そして、その麺線を沸騰水あるいは蒸気等にて加熱した後、流水にて水洗冷却し包装する(茹で麺、蒸し麺)又は乾燥・油ちょうする(即席麺)。 【0015】油脂コーティング澱粉の配合量は、製麺原料のうち0.5〜45重量%、好ましくは1〜30重量%である。0.5重量%より少ないと付着防止効果が出ず、45重量%を越えると製麺時の作業に支障をきたし、かつ食感が悪くなる。 【0016】 【実施例】本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 <油脂コーティンク゛澱粉の作製>表1に示す条件で澱粉を流動層乾燥装置を用いて常温下にて均一分散させた状態で、加温し液状とした食用油脂を、スプレー噴霧し5分混合したあとビニール袋内に詰めて常温で静置した(試料No1〜7)。また表2に示す条件で回転羽混合機で澱粉と硬化大豆油を加温せずに粉状にして添加し3分混合した(試料No8)。またサフラワー油を混合したあとビニル袋に詰め加熱熟成(60℃ 5日間)させた(試料No.9)。但し、試料No.1〜3は本発明の油脂コーティング澱粉、試料No.4〜9は比較品である。 【0017】 【表1】 【0018】 【表2】 【0019】茹うどんの作製上記で得られた試料1〜9を用いて、表3に示す配合の茹でうどん麺を、以下の作製方法に従って作製した。得られた茹でうどんの麺線の付着状態、食感および食味を評価し、その結果を表4に示した。試験方法は後記の通り行った。比較例7は、油脂コーティンク゛澱粉の試料を含まず(即ち、小麦粉1000gを用いた)、また比較例8は油脂コーティングしていないアセチル化タピオカ澱粉を澱粉として用いた。 作製方法ミキサーにて、小麦粉(中力粉)に試料を混合し、そこへ食塩を水に溶解したものを入れ、20分間混捏した後、常法により、複合圧延、切断(切刃#10角、麺線厚み2.5mm)を行って得られた麺を沸騰水中で7分間茹で流水で30秒間水洗を行い、包装した。 【0020】 【表3】 【0021】茹でうどん麺のほぐれ性評価上記実施例、及び比較例で得られた茹でうどん麺を4℃の冷蔵庫で24時間保存した後、開封してプラスチック製回転ドラム(直径160mm×高さ200mm)に入れ、10回転後取り出して、ほぐれ状態を比較した。 麺ほぐれ度=ほぐれた麺数/全体の麺数 ×100 (%) 茹でうどん麺の接着性評価また茹でうどん麺同志の接着性(付着性)の評価として、上記配合の麺生地を一定の大きさ(20×30mm)にカットして茹でて、この茹で麺同志を重ねて所定の時間静置(20℃ 2時間)したのちレオメーターによるひっぱり試験で接着力を比較した。 茹でうどん麺の食感・風味評価上記実施例、及び比較例で得られた茹でうどん麺を4℃の冷蔵庫で24時間保存した後、それぞれの麺100gを沸騰水400gに3分間浸漬して後に、パネラー10人にて、食味および食感について評価した。評価は5段階評価で行った。食味、食感について非常に良いものを5とし、非常に悪いものを1として、パネラー10人の平均値で示した(表4)。 【0022】 【表4】表4より、本発明の方法により作製した茹でうどん麺は、従来品と比較して、食味および食感を損なうことなく、明らかにほぐれ改良に効果があることがわかる。 【0023】 【発明の効果】本発明の方法により製造した麺類は、麺製造工程中の原料混合時に油脂を含有する油脂コーティンク゛澱粉を添加して麺類を作製することにより、外観、食味および食感を損なわずに、麺線の付着防止に非常に効果があり、ほぐれを向上させ得たものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000241544 【氏名又は名称】株式会社ホーネンコーポレーション
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| 【出願日】 |
平成10年9月28日(1998.9.28) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−93105(P2000−93105A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月4日(2000.4.4) |
| 【出願番号】 |
特願平10−272976 |
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