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【発明の名称】 麺類の製造方法
【発明者】 【氏名】半田 明弘

【氏名】塚田 昌宏

【氏名】公文 剛

【要約】 【課題】コシが強く、足があり、茹で伸びがしにくく、茹で汁が濁らない麺を得る。

【解決手段】卵白に、還元糖を添加し、あるいは添加せずに、乾燥した後、50〜75℃で1〜20日間熱蔵処理して得た乾燥卵白を、麺類の水分以外の全原料に対し、0.3〜1.5%程度混合し製麺することを特徴とする麺類の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 卵白に、還元糖を添加し、あるいは添加せずに、乾燥した後、50〜75℃で1〜20日間熱蔵処理して得た乾燥卵白を、原料として用いることを特徴とする麺類の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コシが強く足のある麺類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】麺は一般に、小麦粉に水、食塩、さらに必要に応じてかんすい、卵白、澱粉、ガム質、グルテン等を加えて充分に混練してから圧延、練延、切り出しをして製する。卵白を加えると引っ張り強度が増加しコシが一段と強くなった麺類が得られることが認められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の消費者の嗜好の多様化から、ただ単にコシがある麺だけではなく、足、すなわち粘りや弾力性のある麺が求められている。また、茹で麺は経時的にそのコシと足を失うこと、すなわち茹で伸びが問題になる。
【0004】また、麺類を工場や飲食店で大量に茹でると、麺類から溶出した成分により、ゆで汁が濁ってしまうものとなる。このゆで汁の濁りは麺の茹でる時間を伸ばしてしまったり、あるいは、スープに茹で上げた麺をいれると、スープが濁ってしまい、外観上美味しさに欠けた印象を与えるとして敬遠される傾向がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、コシが強く、足があり、茹で伸びがしにくく、茹で汁が濁らない麺の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するために種々検討した結果本発明に到達した。すなわち、本発明は、卵白に、還元糖を添加し、あるいは添加せずに、乾燥した後、50〜75℃で1〜20日間熱蔵処理して得た乾燥卵白を、原料として用いることを特徴とする麺類の製造方法である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、特別指定のない限り「%」は「重量%」を意味する。本発明の実施に当たって、卵白を準備する。卵白は、鳥卵を割卵して卵黄と分離して得られるもので、卵白の性質である熱凝固性を備えている限り、凍結や加熱殺菌処理、精製、抽出、濃縮あるいは希釈した卵白でもよく、成分の一部例えば糖分やリゾチーム等を除去した卵白でもよい。また、酵素や細菌、酵母等で処理して脱糖したものや、卵白中の蛋白質等の成分が生卵白より低分子になっているもの、逆に、脂肪酸等、他の成分と結合して生卵白中の成分より高分子になっているものを含むものである。なお、ここでいう鳥卵とは、食用に供されるものであれば特に限定はないが、鶏や鶉、アヒル、鴨由来の卵があり、一般によく流通している鶏卵を用いるとよい。
【0008】次に、本発明における還元糖とは、通常カルボニル基を有し、フェーリング反応溶液を還元して赤色の亜硫酸銅を析出させる糖のことをいう。例えば、単糖のグルコースやフラクトース、ガラクトース、二糖類の乳糖や麦芽糖、澱粉の加水分解物等、そして、これらの誘導体類である。ただし、本発明では、蔗糖を主成分とする上白糖やグラニュー糖も含むものとする。なかでも、分子量の小さなもの程、単位重量あたりの反応性が高いので、グルコースやフラクトース、ガラクトース、乳糖、麦芽糖を用いるのが特によい。
【0009】例えば、還元糖を添加する場合は、卵白を酵素、酵母、細菌などを利用して脱糖し、グルコースを除いてから、上記還元糖を添加して乾燥するとよい。なお、卵白はもともと0.4〜0.5%のグルコースが含まれているので、上記還元糖別途を添加しなくても用いることができ、また、更に還元糖を添加してもよいものである。脱糖した卵白に還元糖を添加する方法を用いることで、グルコース以外の反応性の異なる還元糖を用いることができ、また、バラツキの無い製品が得られるので、有効である。還元糖の添加量としては、グルコースや乳糖等の還元糖を卵白液に対して0.01〜5%添加混合する。卵白と還元糖の熱蔵による反応速度はpHを下げると抑制することができるので、必要に応じクエン酸を添加して、pH調整するとよい。乾燥方法としては、通常行われている方法でよく、例えば、スプレードライ(送風温度180℃程度、排風温度70℃程度)やパンドライ、フリーズドライ等がある。次いで乾燥した卵白を50〜75℃程度、相対湿度35〜95%程度で1〜20日間程度熱蔵する。また、卵白を水分含量3〜15%程度に乾燥し、50〜75℃程度で1〜20日間程度熱蔵することもできる。このようにして得られた乾燥卵白を麺類の原料として用いる。熱蔵温度が50℃より低いか、あるいは、熱蔵日数が1日より短いと、麺類に用いても、麺類の足やコシを有効に増強することはできない。また、75℃を越えた温度であったり、熱蔵日数が20日間を越えると、卵白が水に不溶性となり、麺類に用いても、麺類の足やコシを増強することはできないものとなる。
【0010】本発明においては、このように調製した乾燥卵白を、麺類の原料に用いるとよい。麺類としては、穀類を用いて水分とともに練り、線状に切ったり、圧力によって押し出したり、あるいは引き延ばして製したもので、例えば、中華麺、うどん、日本そば、焼きそば、米麺等、形態としては、即席麺や乾麺、茹で麺、蒸し麺、生麺、冷凍麺等が挙げられるが、ここに記載したこれらに限定されるものでないことを付記しておく。乾燥卵白の麺類への添加方法としては、特別限定はなく、例えば、粉物の配合を混ぜる時に最初から混合してもよいし、後から添加してもよい。また、乾燥卵白の配合する量としては、適宜選択すればよいが、例えば、麺類の水分以外の全原料に対し、0.3〜1.5%程度混合し、製麺するとよい。
【0011】本発明において製麺に当たっては、一般的な麺類の製造方法でよく、原料を混合して圧延し、練延後、切出し、適宜、生のままや乾燥したり、茹でたり、蒸したり、加熱乾燥するとよい。なお、麺類の製造方法としては、上記方法に限定されるものではない。このようにして得られる麺類は、コシが強く、足があり、茹で伸びがしにくく、茹で汁が濁らない麺類が得られる。
【0012】
【作用】卵白を添加すると麺にコシがでる理由は定かではないが、卵白タンパク質が小麦粉グルテンからなる網目構造を強化するためと推察される。ここで言うコシとは口の中で噛んだ時に感じる歯ごたえを意味している。
【0013】一方、卵白に還元糖を添加し熱蔵すると、卵白タンパクに還元糖が共有的に結合すると考えられるが、同時に卵白タンパク分子同士が還元糖を介在して共有的に結合する考えられる。よって卵白タンパクと還元糖からなる加熱ゲルは通常の卵白ゲルに比較して非常に弾力性に富み、破断しにくく、ゴムのような物性を有する。以上の機構により、卵白に還元糖を添加して熱蔵した卵白を添加した麺は強いコシだけでなく、同時に弾力性と粘りも付与されるものと考えられる。同様に、茹で伸びも防止できるものと考えられる。また、卵白に還元糖を添加し熱蔵したものは、小麦の澱粉との親和性が強く、茹で時においても麺からの澱粉の溶出が抑えられるものと考えられる。
【0014】
【実施例】液卵白をそのままスプレードライ方法(送風温度170℃、排風温度80℃)で乾燥した後、55℃、相対湿度35%の雰囲気で10日間熱蔵し乾燥卵白を製した。この乾燥卵白を用いて下記の配合で、常法に従い、製麺し、中華麺を製した。得られた中華麺を沸騰したお湯で茹でたが、茹で汁は濁らないものであった。また、茹で上がった麺の食感を確認したところ、コシと足のある麺であった。
【0015】[配合]
小麦粉 1000g清水 380gかんすい 15g食塩 10g乾燥卵白 10g【0016】[試験例]実施例で用いた乾燥卵白の替わりに、液卵白をパン酵母で脱糖後スプレードライ法(送風温度170℃、排風温度80℃)により乾燥し65℃で7日間熱蔵殺菌して得た通常の乾燥卵白を用いた以外は、実施例と同様の方法で製麺し、比較例とした。比較例と実施例で得た麺とを比較試験を行った。
【0017】なお、実施例で用いた乾燥卵白と比較例として用いた通常の乾燥卵白を、それぞれ、乾燥卵白と清水を重量比1:7で混合し、折径57mmの塩化ビニリデン製のケーシングに充填し、80℃の温水中にて40分間加熱凝固させ、氷水で冷却後、室温に戻し加熱ゲルとし、高さ30mmに切断し、ゲルの破断強度(g)を、不動工業株式会社製レオメーターNRM−2001Jで、直径8mmの球状プランジャーを用い、上昇速度6cm/ 分で測定したところ、実施例で用いた乾燥卵白はゲル強度347g、比較例で用いた通常の乾燥卵白のゲル強度は352gであった。
【0018】試験例1.官能試験前述の方法で試作した麺を沸騰水中で2分30秒茹でてお湯を切り、スープの入った容器に移し、その直後と5分後に、良く訓練されたパネラーに試食させ、その食感を評価させた。結果を表1に示す。
【0019】
【表1】


【0020】試験例2.引っ張り強度前述の方法で試作した麺を沸騰水中で2分間茹でた後、氷水中で1分間冷却し水を切った後、7cmの長さに切り、前述のレオメーターで引っ張り強度を測定した。なお、試験は各区5検体ずつ行い、平均値を求めた。結果を表2に示す。
【0021】
【表2】

【0022】試験例3.茹で汁の濁り前述の方法で試作した麺80gを1Lの沸騰水中で3分30秒茹でた後、茹で汁を1Lのメスシリンダーに移し1Lにメスアップし、その液の濁度(500nmの吸光度)を測定した。結果を表3に示す。
【0023】
【表3】

【0024】通常の乾燥卵白と本発明に用いる乾燥卵白のゲル強度は、さほど差がないにもかかわらず、表1、2及び3より、実施例で得られる麺は、比較例に比べ、強いコシだけでなく、独特の弾力感と粘りを持ち、茹で伸びもせず、麺の茹で汁の濁りも少ない麺が得られることが判明した。
【0025】
【発明の効果】本発明の製造方法により、コシが強く、弾力性と粘りがあり、茹で伸びがしにくく、茹で汁が濁らない麺類を提供できるものである。
【出願人】 【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
【出願日】 平成10年9月29日(1998.9.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−93103(P2000−93103A)
【公開日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願番号】 特願平10−274779