| 【発明の名称】 |
餅入り加熱殺菌処理食品 |
| 【発明者】 |
【氏名】出野 知恵子
【氏名】伊藤 隆章
|
| 【要約】 |
【課題】高温下に保存しても、型くずれを起こさず、コシや弾力感等の食感が損なわれることのない餅入りの加熱殺菌処理食品を提供する。
【解決手段】全体量当たり10〜20重量%の澱粉質および全体重量当たり0.6重量%以上のジェランガムを含む餅および調味液を、餅と調味液の浸透圧をほぼ等しくし、加熱殺菌処理して密封したことを特徴とする高温安定性に優れた餅入り加熱殺菌処理食品。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 全体量当たり10〜20重量%の澱粉質および全体重量当たり0.6重量%以上のジェランガムを含む餅および調味液を、餅と調味液の浸透圧をほぼ等しくし、加熱殺菌処理して密封したことを特徴とする高温安定性に優れた餅入り加熱殺菌処理食品。 【請求項2】 餅および/または調味液にカルシウム塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の餅入り加熱殺菌処理食品。 【請求項3】 餅および調味液に糖類または塩類を添加して餅と調味液の浸透圧をほぼ等しくしたことを特徴とする請求項1に記載の加熱殺菌処理食品。 【請求項4】 餅にさらにローカストビーンガムおよび/またはキサンタンガムを添加したことを特徴とする請求項1に記載の加熱殺菌処理食品。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、高温安定性に優れた餅入り加熱殺菌処理食品に関するものである。 【0002】 【従来の技術】餅または団子類、あるいはそれらを利用したぜんざいや汁粉等は、日本人の好む食品の一つである。近年、餅入りのぜんざいや汁粉を加熱殺菌処理したレトルト食品が普及する傾向にある。これらのレトルト食品は調理済みであるので、ただ加熱するだけで食することができ、需要者のニーズに適した食品である。 【0003】ぜんざいや汁粉のレトルト食品は、調味液に餅や団子を加えて加熱殺菌処理するため、保存または流通中に調味液が餅や団子中に浸透し、餅や団子の型くずれを生じ、コシや弾力感などの食感が損なわれ、その商品価値が著しく低下するという欠点を有する。上記欠点を解消する目的で、餅や団子に増粘剤等を加える技術が提案されている(特開平5−236892号、特公平4−40979号)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来の改良技術は常温下の保存においてはそれなりの効果を発揮するものの、高温下に保存すると、餅や団子に調味液が浸透し、型くずれを起こし、コシや弾力感などの食感が損なわれてしまう。従って、自動販売機中に高温保存される缶入りのぜんざいや汁粉等のホット飲料には、餅や団子を加えることができないのが実状である。 【0005】本発明が解決しようとする課題は、高温下に保存しても、型くずれを起こさず、コシや弾力感等の食感が損なわれることのない餅入りの加熱殺菌処理食品を提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らが、鋭意研究を進めたところ、餅における澱粉質の割合を低くし、特定の増粘剤を添加することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0007】すなわち、本発明は、全体量当たり10〜20重量%の澱粉質および全体重量当たり0.6重量%以上のジェランガムを含む餅および調味液を加熱殺菌処理して密封したことを特徴とする高温安定性に優れた餅入り加熱殺菌処理食品に関するものである。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の餅入り加熱殺菌処理食品は、餅の全体量当たりの澱粉質の添加割合を10〜20重量%に限定し、ジェランガムを0.6重量%以上加えたことを特徴とするものである。澱粉質の添加量が10重量%未満では、餅の食感が不十分となり、また、20重量%を超えるとレトルト殺菌後高温の保存状態で経時的な崩れを起こし、保形性が悪くなるため好ましくない。 【0009】ジェランガムは澱粉質原料に対するゲル化剤であり、その添加量は全体量当り0.6重量%未満では十分なゲル強度がでず、澱粉質原料がくずれてしまい好ましくない。また、さらに澱粉質原料に対し、6重量%以上であることが保形性の点でより好ましい。 【0010】本発明の餅に用いる澱粉質としては特に限定されないが、例えばうるち粉、もち粉(白玉粉)、うるち粉およびもち粉の混合物が挙げられるが、食感の点でもち粉が好ましい。 【0011】本発明の餅に用いるジェランガムとは、微生物が産生するハイドロコロイドの1種であるが、添加量が0.6重量%以下では、レトルト殺菌後の保存状態でゲル強度の著しい低下が見られる点で好ましくない。 【0012】本発明の餅入り加熱殺菌処理食品における調味液は、食品により異なるが例えば、汁粉やぜんざいの場合は、こし餡またはつぶ餡に砂糖を入れて水で増量させたものであり、雑煮の場合は、醤油または味噌をベースにした液に化学調味料で味付けをし、野菜等の具材を入れたものが挙げられる。 【0013】高温保存安定性をより高めるために、餅および/または調味液にカルシウム塩を添加することが好ましい。カルシウム塩を添加することにより、ジェランガムとカルシウム塩が反応し、よりゲル強度がますため、高温安定性がより高まる。カルシウム塩としては、例えば塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等から選ばれる少なくとも1種を挙げることができるが、味および可溶性の点で乳酸カルシウムが好ましい。カルシウム塩の添加量は、餅または調味液当たり0.01重量%以上が好ましい。 【0014】高温安定性をより高めるために、餅と調味液の浸透圧をほぼ等しくすることが好ましい。餅と調味液の浸透圧をほぼ等しくする方法として、汁粉やぜんざいの場合は餅と調味液に糖類を添加する方法を挙げることができる。添加する糖類としては特に限定されないが、例えばグラニュー糖、ソルビトール、トレハロース、エリスリトール等を挙げることができる。また、雑煮の場合は、調味液中の化学調味料等の塩類と餅の塩類の濃度をほぼ等しくする方法が挙げられる。 【0015】高温安定性をより高めるために、餅にローカスウトビーンガムおよび/またはキサンタンガムを添加することが好ましい。ローカストビーンガムおよび/またはキサンタンガムの添加量は、餅の全体量当たり0.2〜0.8重量%の範囲で適宜選択すればよい。0.2重量%未満では、効果がなく、0.8重量%を超えて添加しても、高温安定性の効果が向上せずコスト増となり、好ましくない。 【0016】本発明の餅は、上記したように澱粉質を主原料とし、ジェランガム、必要に応じて添加されるカルシウム塩、糖類、ローカストビーンガム、キサンタンガムおよび残余の水からなるものであるが、食感等を改良する目的で、グァーガム、グルコマンナン、カラギーナン、カードラン等の補助剤を添加してもよい。 【0017】本発明の餅を製造するには、澱粉質原料、ジェランガムおよび上記した他の成分を配合した原料粉を水に入れて攪拌し、約90℃に加温して30分程度混練し、平面型に充填して冷却して固め、1cm角程度に切断すればよい。このようにして製造した餅を、あらかじめ製造しておいた調味液に加え、容器に密封して加熱殺菌すれば、餅入り加熱殺菌処理食品が得られる。 【0018】本発明の餅入り加熱殺菌処理処理食品の容器はレトルト処理できるものであれば特に限定されないが、例えば、耐熱ビン、レトルトパウチ、アルミ缶等を挙げることができる。 【0019】本発明における高温安定性とは、35℃以上の温度で保存しても、加熱処理食品中の餅が型くずれ、コシや弾力性等の食感が損なわれないことをいう。 【0020】本発明の餅入り加熱殺菌処理食品は、高温安定性に優れるが、もちろん常温における保存安定性にも優れるものである。 【0021】 【実施例】(お汁粉の作成) 実施例1〜5、比較例1〜4表1に示した組成のうち水以外の粉末状成分を混合し、水に攪拌投入した。温浴中で90℃になるまで加温し、さらに30分混練した。その後、混練物を平面型に充填し、冷却した後、1cm角に切断して餅を調製し、お汁粉用調味液(生餡20%、グラニュー糖16%、乳酸カルシウム2%からなる)に入れ、121℃にて50分レトルト殺菌した。レトルト殺菌後の、餅の外観を観察し保形性として評価し、その結果を表1に記載した。 【0022】レトルト殺菌後、50℃の恒温槽にて保存し、2日後、3日後、4日後、5日後、2週間後のゲル強度をレオメーター(サン科学(株)製「CR200D」使用、プランジャー径:5mm、圧縮速度:60mm/min)で測定し、その結果を表2に示した。 【0023】 【表1】
【0024】 【表2】
【0025】表1および表2の結果から、以下のことが明かである。 【0026】まず、澱粉質の白玉粉10重量%とジェランガム0.6〜0.8重量%を含み、D−ソルビットを加えて調味液の浸透圧と餅の浸透圧をほぼ等しくした実施例1〜4の餅は保形性に優れ、高温保存5日後のゲル強度100g/cm2以上であり溶けくずれが見られなかったのに対し、白玉粉が5重量%の比較例1は成形時に崩れが認められ、白玉粉が50重量%の比較例2,3では、成形が不可能か、レトルト直後から崩れていた。 【0027】また、白玉粉が20、15重量%でジェランガムが全体量当り1.0、0.6重量%(澱粉質原料当り5、4%)の実施例5、6は、保形性がやや劣るのに対し、澱粉質原料当り6.0%のジェランガムを配合した実施例7の餅は、保形性に優れていた。 【0028】 【発明の効果】澱粉質を全体量の10〜20重量%とし、ジェランガムを全体量の0.6重量%以上配合した餅を用いることにより、高温下に保存しても溶けくずれせず、コシや弾力感等の食感が損なわれることのない餅入り加熱殺菌処理食品が得られる。特に本発明の餅入り加熱殺菌処理食品は、自動販売機用の餅入り汁粉等のホット飲料として好適である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004400 【氏名又は名称】オルガノ株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年9月21日(1998.9.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067541 【弁理士】 【氏名又は名称】岸田 正行 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−93100(P2000−93100A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月4日(2000.4.4) |
| 【出願番号】 |
特願平10−266702 |
|