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【発明の名称】 密封容器入り味噌汁
【発明者】 【氏名】中島 嘉彦

【要約】 【課題】加熱殺菌されて保存性があり、味噌汁本来の風味が良好に維持され、製造後時間が経っても風味劣化が起こりにくく、品質安定性の高い密封容器入り味噌汁を提供する。

【解決手段】味噌、酸発酵乳、必要に応じて具材、調味料等を含む原料に温水を加え、混合攪拌して味噌汁とする。この味噌汁を加熱殺菌してから容器に充填し封入するか、あるいは容器に充填し封入した後加熱殺菌して密封容器入り味噌汁を得る。なお、酸発酵乳は、味噌100重量部に対し5〜100重量部含有させることが好ましい。また、味噌汁中の固形分をホモゲナイザー等で微粉砕して飲料のようにそのまま飲めるようにすることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 味噌汁を加熱殺菌して容器に充填し密封するか、あるいは味噌汁を容器に充填し密封した後加熱殺菌して得られる密封容器入り味噌汁において、前記味噌汁の原料として、少なくとも味噌及び酸発酵乳を含有することを特徴とする密封容器入り味噌汁。
【請求項2】 前記味噌100重量部に対して、前記酸発酵乳を5〜100重量部含有する請求項1記載の密封容器入り味噌汁。
【請求項3】 前記味噌汁の原料として、前記味噌及び酸発酵乳の他に、調味料及び/又は具材を含有する請求項1又は2記載の密封容器入り味噌汁。
【請求項4】 前記調味料として、魚介類エキスを含有する請求項3記載の密封容器入り味噌汁。
【請求項5】 前記味噌汁中の固形分が微粉砕されている請求項1〜4のいずれか1つに記載の密封容器入り味噌汁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容器に充填して密封し、かつ、充填前又は充填後に加熱殺菌することにより、いつでもどこでも手軽に食することができるようにした、安定で美味な密封容器入り味噌汁に関する。
【0002】
【従来の技術】日本人に好まれる伝統あるスープの一つである味噌汁は、一般にだし汁を作って具材を入れ、最後に味噌を溶かして作られている。味噌汁は、その場で作り、その場で食するのが、良好な風味を味わう上から好ましいとされてきた。
【0003】しかしながら、生活の変化により、独り暮らしの人が増えたことに伴い、手軽に作ることができる即席味噌汁も多く利用されるようになってきた。即席味噌汁は、例えば、凍結乾燥によって水分5%以下まで乾燥した味噌と、天然調味料と、化学調味料とを混合し、これに凍結乾燥又は熱風乾燥したネギ等の具材を加えたものからなっている。即席味噌汁は、熱湯を注ぐだけで作れるという便利さがあるが、旅行先など、熱湯が手軽に用意できない場所では、利用しにくいという問題点があった。
【0004】このため、特開平5−56770号には、味噌汁を容器に入れて脱気密封し、加熱殺菌する味噌汁飲料の製造方法が提案されている。これによれば、例えば缶入りにして自動販売機などで販売することにより、旅行先など、熱湯が用意できない場所でも、味噌汁を手軽に食することができるという便利さがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、味噌汁は、だし汁に味噌を加えて一吹きボイルした後、すぐに食するのが最も美味しく、何度も煮返すと味が落ちることはよく知られている。したがって、容器に封入して加熱殺菌した味噌汁は、作りたての味噌汁に比べて風味が著しく劣化することを避けられなかった。また、缶詰等にすると、保存中に缶臭が付着して、風味が一層劣化するという問題があった。
【0006】したがって、本発明の目的は、加熱殺菌されて保存性があり、味噌汁本来の風味が良好に維持され、製造後時間が経っても風味劣化が起こりにくく、品質安定性の高い密封容器入り味噌汁を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、味噌汁を加熱殺菌して容器に充填し密封するか、あるいは味噌汁を容器に充填し密封した後加熱殺菌して得られる密封容器入り味噌汁において、前記味噌汁の原料として、少なくとも味噌及び酸発酵乳を含有することを特徴とする密封容器入り味噌汁を提供するものである。
【0008】本発明においては、前記味噌100重量部に対して、前記酸発酵乳を5〜100重量部含有することが好ましい。また、前記味噌汁の原料として、前記味噌及び酸発酵乳の他に、調味料及び/又は具材を含有することが好ましい。更に、前記調味料として、魚介類エキスを含有することが好ましい。更にまた、前記味噌汁中の固形分が微粉砕されていることが好ましい。
【0009】本発明によれば、味噌汁の原料として酸発酵乳を含有させたことにより、理由はよくわからないが、風味、熱安定性が向上し、味噌汁を容器に充填する前又は充填した後に加熱殺菌しても、風味劣化がそれほど起こらず、味噌汁本来の良好な風味が長期間に亙って維持される密封容器入り味噌汁が得られる。
【0010】なお、本発明の好ましい態様において、味噌汁中の固形分を微粉砕すれば、例えば味噌汁を紙パックや飲料缶などに充填して、箸やスプーン等を用いることなく、そのまま飲めるようにした製品とすることが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的態様を挙げて更に詳細に説明する。本発明において味噌汁とは、味噌を含有する汁物(スープ類)全般を意味し、例えば、調味料等を加えただし汁に味噌を溶かし、必要に応じて野菜類、豆腐、油揚げ、海藻類等の具材を加えたものの他、例えば、豚肉を加えた豚汁などもその1種として含むものとする。また、味噌汁中の固形分、例えば味噌の粒や、具材などを微粉砕して、箸やスプーン等を用いることなくそのまま飲める、飲料のような製品にすることができる。
【0012】本発明において、味噌としては、白味噌、赤味噌、合わせ味噌、麹味噌などから選ばれた一種又は二種以上が自由に使用できる。
【0013】また、調味料としては、鰹節、昆布等から調製された天然調味料や、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸等の化学調味料など、各種のものが使用でき、特に魚介類を熱水で煮込んで得られる煮汁を濃縮した、天然調味料の一種である魚介類エキスを使用することにより、磯風味のする美味しい味噌汁を得ることができる。魚介類エキスとしては、味噌汁の風味に合うものであれば、特に限定されるものではなく、例えばしじみ、あさり等のエキスが挙げられる。なお、エキスの形態は、上記したように魚介類の煮汁を濃縮した、濃縮液の状態でもよく、あるいは濃縮液を噴霧乾燥して粉末状にしたものでもよい。
【0014】具材としては、例えば、ネギ、玉ねぎ、しょうが、ほうれん草、馬鈴薯、さといも、かぼちゃ、人参等の野菜類、しいたけ、なめこ、しめじ等のきのこ類、ワカメ等の海藻類、カニ、エビ、しじみ、あさり等の魚介類、豚肉、鶏肉等の肉類、豆腐、油揚げ、こんにゃく、カマボコなどの加工食品など、各種のものが使用できる。
【0015】一方、本発明で用いる酸発酵乳とは、乳酸菌で乳類を発酵した半ゲル状ないし液体の乳製品である発酵乳のうち、乳酸発酵だけによるものを意味し、例えば、ヨーグルト、酸乳飲料、乳酸菌飲料等が挙げられる。これらのうち乳酸菌飲料には、乳製品乳酸飲料(厚生省令での成分規格により無脂乳固形分3.0〜8.0%)と非乳製品乳酸飲料(厚生省令での成分規格により無脂乳固形分3.0%以下)とがあり、この乳製品乳酸飲料には、更に生菌乳酸飲料と殺菌乳酸飲料とがある。生菌乳酸飲料としては、例えば「ヤクルト」(商品名、株式会社ヤクルト本社製)等が知られており、また、殺菌乳酸飲料としては、例えば「カルピス」(商品名、カルピス食品工業株式会社製)等が知られている。本発明では、上記のような酸発酵乳の中から選ばれた1種又は2種以上を自由に用いることができる。更に、酸発酵乳に加えて、牛乳等の乳製品を添加してもよい。
【0016】本発明においては、味噌汁の原料として、少なくとも味噌及び酸発酵乳を含有すればよいが、それら以外に、前述した調味料や、具材の中から選ばれた一種又は二種以上を含むことが好ましい。味噌、酸発酵乳、調味料、水の配合割合は、特に限定されないが、味噌100重量部に対して、酸発酵乳5〜100重量部、調味料1〜5重量部、水1500〜2000重量部とすることが好ましい。それぞれの配合割合が上記の範囲を外れると、味のバランスがくずれるため好ましくない。特に、酸発酵乳5重量部未満では風味改善効果が乏しくなり、100重量部を超えると味噌汁本来の味が変化してしまう傾向がある。
【0017】また、本発明において、密封容器としては、例えば、缶、瓶の他、耐熱性のラミネートフィルムからなる袋状の容器(パウチ)や、牛乳パック等に用いられている紙製の容器等が使用できる。紙製の容器等を用いる場合には、ストローを添付してもよい。
【0018】本発明の密封容器入り味噌汁の好ましい製造方法の一例を挙げると、次の通りである。まず、味噌、酸発酵乳、具材、調味料等の原料混合物に、好ましくは80℃前後に加熱された水を加えて攪拌する。この状態で、必要により予熱し、脱気し、ホモゲナイザー等を用いて固形分を微粉砕する。これにより、味噌の粒、具材等が微粉砕されて均質化すると共に、飲料のようにそのまま飲める製品を得ることができる。また、製造工程のいずれかの段階で濾過し、大きな固形分を除去してもよい。
【0019】こうして調製された味噌汁を、加熱殺菌した後に容器に充填し密封するか、又は容器に充填し密封した後に加熱殺菌をするか、あるいは容器に充填する前後でそれぞれ加熱殺菌する。加熱殺菌条件は、例えば容器に充填する前に行う場合には、110〜150℃程度の温度で、10〜120秒程度の比較的短時間行うことが好ましい。また、容器に充填し密封した後に加熱殺菌する場合は、100〜120℃で10〜30分程度行うことが好ましい。
【0020】なお、加熱殺菌した後に容器に充填する場合には、製品温度が高い状態で充填し、製品の熱で容器内を殺菌するホットパックと呼ばれる方法や、無菌状態で充填する無菌充填をすることが好ましい。また、容器に充填し密封した後に加熱殺菌する場合は、容器内に充填する際に窒素等の不活性ガスを充填することが好ましい。
【0021】こうして得られた本発明の密封容器入り味噌汁は、加熱殺菌されているので保存性に優れ、酸発酵乳を添加したことにより、風味も良好に維持される。このため、例えば、自動販売機等に入れて販売したり、駅の売店や、コンビニエンスストアや、弁当店等で販売するのにも適している。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を挙げて説明する。なお、以下の実施例の記載において「部」は「重量部」を意味する。
【0023】製造例1(乳酸菌飲料の製造)
脱脂粉乳30kg、水90L(リットル)、乳酸菌の前培養液(スターター)1.8L、ショ糖30kg、コーンシロップ50kgを用いて、常法により発酵させることにより、乳酸菌飲料を得た。
【0024】製造例2(ヨーグルトの製造)
脱脂乳1000部、加糖脱脂練乳150部、ショ糖50部、乳酸菌の前培養液(スターター)1.8Lを用い、常法により発酵させることにより、ヨーグルトを製造した。
【0025】実施例180℃に加熱した水2000部に、調味料(商品名「本だし」、味の素株式会社製)2部を加え、白味噌100部、赤味噌50部をこして入れ、更に製造例1で得た乳酸菌飲料50部を加えて混合攪拌した後、更にホモジナイザーにかけて固形分を微粉砕することにより、味噌汁を作成した。この味噌汁を、130℃で70秒間の条件で加熱殺菌し、25℃まで冷却した後、紙製の箱形容器に無菌充填して密封し、密封容器入り味噌汁を得た。
【0026】比較例1実施例1において、乳酸菌飲料を添加しない味噌汁を作成し、以下実施例1と同様にして密封容器入り味噌汁を得た。
【0027】試験例1実施例1及び比較例1で得られた密封容器入り味噌汁の温度を10℃及び75℃に維持し、味噌汁の風味の経日変化について、5名のパネラーに試食させて官能試験を行った。結果を表1に示す。表中の評価を表す数字は、各々の条件において、風味良好とした人の人数を表す。
【0028】
【表1】

表1に示されるように、乳酸菌飲料入りの実施例1の密封容器入り味噌汁は、乳酸菌飲料が入っていない比較例1の密封容器入り味噌汁に比べて、風味が良好であり、経時変化も少ないことがわかる。
【0029】実施例280℃に加熱した水1400部に、裏ごしした合わせ味噌100部と、細片された豚脂肪80部と、あく抜きを行って、下ゆでし、細片としたゴボウ30部を加え、更に製造例2で得たヨーグルト80部を加えて混合攪拌した後、ホモジナイザーにかけて固形分を微粉砕することにより味噌汁を作成した。この味噌汁を空缶内に充填し、減圧シールして、100℃の温度で30分間加熱殺菌した後、冷却して密封容器入り味噌汁を得た。
【0030】比較例2実施例2において、ヨーグルトを添加しない味噌汁を作成し、以下実施例2と同様にして密封容器入り味噌汁を得た。
【0031】試験例2実施例2及び比較例2で得られた密封容器入り味噌汁の温度を33℃に維持して、味噌汁の風味の経日変化について、5名のパネラーに試食させて官能試験を行った。結果を表2に示す。表中の評価を表す数字は、各々の条件において、風味良好とした人の人数を表す。
【0032】
【表2】

表2に示されるように、ヨーグルト入りの実施例2の密封容器入り味噌汁は、ヨーグルトが入っていない比較例2の密封容器入り味噌汁に比べて、風味が良好であり、経時変化も少ないことがわかる。
【0033】実施例380℃に加熱した水4500部に、信州味噌200部、赤味噌150部をこして入れ、更に、市販のしじみエキス粉末100部、しじみフレーバー1部、加糖発酵乳(商品名「カルピス」、カルピス食品工業株式会社製)40部を加えて、ホモジナイザーを用いて混合攪拌して味噌汁を作成した。この味噌汁を130℃の温度で70秒間加熱殺菌した後、無菌状態で紙製の容器内に充填し、密封して密封容器入り味噌汁を得た。
【0034】比較例3実施例3において、加糖発酵乳(商品名「カルピス」、カルピス食品工業株式会社製)を添加しない味噌汁を作成し、以下実施例3と同様にして密封容器入り味噌汁を得た。
【0035】試験例3実施例3及び比較例3で得られた密封容器入り味噌汁の温度を30℃に維持して60日間放置した後、5名のパネラーに試食させて官能試験を行った結果、カルピスを添加した実施例3の味噌汁の方が風味が良く、おいしいという評価が得られた。
【0036】実施例480℃に加熱した水4500部に、赤味噌250部、白味噌50部をこして入れ、更に、予めしじみ肉100部を200mlの水で抽出したしじみエキス100部、市販のヨーグルト30部を加えて、ホモジナイザーを用いて混合攪拌して味噌汁を作成した。この味噌汁を空缶内に充填して密封した後、110℃の温度で20分間加熱殺菌して密封容器入り味噌汁を得た。
【0037】比較例4実施例4において、ヨーグルトを添加しない味噌汁を作成し、以下実施例4と同様にして密封容器入り味噌汁を得た。
【0038】試験例4実施例4及び比較例4で得られた密封容器入り味噌汁の温度を25℃に維持して90日間放置した後、5名のパネラーに試食させて官能試験を行った結果、ヨーグルトを添加した実施例4の味噌汁の方が風味が良く、おいしいという評価が得られた。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、味噌汁の原料として酸発酵乳を含有させたことにより、容器に充填する前後で加熱殺菌しても良好な風味が維持され、缶、紙等の容器臭が軽減され、更には、製造後時間が経過しても、作りたて同様の風味を有する味噌汁を得ることができる。したがって、例えば、自動販売機等に入れて販売したり、駅の売店や、コンビニエンスストアや、弁当店等で販売するのに適した、どこでも誰でも手軽に飲食することができる密封容器入り味噌汁を提供するこができる。
【出願人】 【識別番号】597160082
【氏名又は名称】長崎海道物産株式会社
【出願日】 平成10年8月19日(1998.8.19)
【代理人】 【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
【公開番号】 特開2000−83630(P2000−83630A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−232803