| 【発明の名称】 |
水産練り製品の製造法 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊吹 昌久
【氏名】中村 一郎
【氏名】長友 晋一郎
【氏名】川崎 正之
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】すり身生地に対して、融点40℃〜75℃の粉末状の油脂を0.1〜5重量%添加することを特徴とする水産練り製品の製造法。 【請求項2】粉末状の油脂の平均粒子径が0.1〜0.5mmであることを特徴とする請求項1記載の水産練り製品の製造法。 【請求項3】融点40℃〜75℃の粉末状の油脂を0.1〜5重量%含有する冷凍すり身生地。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、水産練り製品の製造法に関し、詳しくは、煮込みのだし液のしみ込みが早く、ジューシーな食感を供し、且つ、冷凍、冷蔵などの低温流通においても弾力性のあるしなやかな食感が失なわれない水産練り製品の製造法に関する。 【0002】 【従来の技術】水産練り製品は、一般には魚肉すり身を主原料とし、これを加水した後、澱粉等の副原料、食塩等の調味料を添加し、フライ、蒸し、焼き加工などしてえられるが、その他、すり身と大豆蛋白あるいは、すり身と大豆蛋白エマルジョン(大豆蛋白、油脂及び水の均質化物)を用いるなどして、すり身原料を比較的少なくしたものも存在する。いずれにせよ、これらは、かまぼこ、さつま揚げ、ちくわ、はんぺん等様々な形態として広く消費者の食生活に浸透しており、その弾力ある食感が好まれる要因になっている。 【0003】この弾力性の発現は、すり身のゲル形成能によるものであるが、水産練り製品は前述したように、その弾力性が好まれるポイントであるがゆえに、ゲル形成が著しく強固になっている。このことは同時に、水産練り製品の組織を緻密なものとし、弾力性強化の反面、だし液のしみ込みにくい組織となっている。したがって、おでん等の煮込み具材としてこれらの水産練製品を利用した場合、だし液が十分に染み込みいわゆる良く煮えた美味しい状態に仕上がるまでに時間がかかるのが常である。 【0004】近年、一般家庭において時間をかけて調理することは、単身者、共稼ぎ夫婦等時間的な制約や手間をかけたくない人々の増加により、敬遠されがちになってきている。この為に、だし液がすばやく染み込むようにするためには、水産練り製品のゲル形成を若干弱くすることが考えられるが、こうすると、先にも述べたように弾力性という本来必要不可欠な食感の低下を免れなく、やむなく弾力性を重視して、煮込み時間を犠牲にしているというのが実状である。 【0005】一方、水産練り製品は、工場において大量生産されたのち、冷凍後、凍結保存、配送され、スーパー等の販売場所においてチルド保存販売されて消費者に届けられるため、この間に冷凍変性してその弾力性のあるしなやかな食感が失われやすいという課題がある。 【0006】この課題解決のために、例えば、グアガムやカラギーナンを酵素処理してある一定の水溶液粘度をもつものを練り込むことが提案されている(特開平8-22875など)。しかし、この方法はしなやかな食感を維持することにはある一定の効果は認めれるものの、だし液の染み込み性は改良できないでいる。また、弾力性の向上と、白色化のために、糖類、蛋白質、乳化剤を用いて油脂を乳化したものを噴霧乾燥して得られる粉末油脂をすり身に練り込むことも提案されている(特開平3-262463)。しかし、ここで使用される粉末油脂の粒子それぞれは、乳化構造に由来する多数の微細な油脂粒子の集合体であり、油脂の実質的粒径が小さすぎて、だし液の染み込み性は改良できない。 【0007】 【発明が解決しようとする問題点】本発明は上述の状況を鑑みて、煮込みのだし液のしみ込みが早く、ジューシーな食感を供し、且つ、冷凍、冷蔵などの低温流通においても弾力性のあるしなやかな食感が失なわれない水産練り製品を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題点に対して鋭意検討した結果、高融点の油脂を粉末化したものをすり身に練り込んだ生地を用いることにより、だし液の染み込み性が早く、しかも、冷凍流通においても冷凍変性しにくく弾力性があってしなやかな食感をもつ水産練り製品が作成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、すり身生地に対して、融点40℃〜75℃の粉末状の油脂を0.1〜5重量%添加することを特徴とする水産練り製品の製造法及び融点40℃〜75℃の粉末状の油脂を0.1〜5重量%含有する冷凍すり身生地を骨子とする。 【0009】本発明で用いる粉末状の油脂の原料としては、油脂の種類は特に限定するものではないが、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、大豆油、ナタネ油、オリーブ油、パーム油、サル脂、シア脂、ヤシ油、パーム核油等の植物油、魚油、牛脂、豚脂等の動物油から選ばれる1種または2種以上の混合油が例示できる。 【0010】本発明の粉末状の油脂は融点を40-75℃、好ましくは50-65℃にする必要があり、前述の油脂原料を用いて、水素添加、分別、化学的エステル交換、酵素的エステル交換又はこれらの2種以上の組み合わせにより達成される。融点が40℃未満であると水産練り製品の弾力性が失われてしまい、75℃を超えると得られた水産練り製品がワキシーな食感となってしまう。 【0011】本発明に用いる油脂は粉末状であることが求められる。粉末状とは粒状、フレーク状等の形状になっていることを指しており、いわゆる粉体状であればその個々の粉体の形状には限定されない。 【0012】粉体の大きさは、平均粒子径0.1mm以上ですり身に練り込み易い大きさが良く、好ましくは0.2mm〜0.5mm、より好ましくは、0.3mm〜0.4mmが良い。例えば、JIS規格の篩いサイズとして10#オールパス品などが好ましい。粉体であることの必要性は、これらの粉末状の油脂が水産練り製品中に点在して存在することにより、水産練り製品がなんらかの加熱処理によりゲル形成する際に、点在している粉末状の油脂部分において不連続な空隙が形成されることによるものである。 【0013】したがって、平均粒子径が0.1mm未満のもの、例えば、糖類、蛋白質、乳化剤を用いて油脂を乳化したものを噴霧乾燥などして得られる油脂組成物も「粉末油脂」と呼ばれているが、このものは多数の微細な油脂粒子と糖類、蛋白質などからなる集合体が粉末粒子を形成し、見かけ状の粒子径が大きくとも、油脂の実質的粒径は非常に小さな(10ミクロン程度)ものとなっている、そのため、上記空隙は明瞭には形成されず本発明の効果を奏さない。 【0014】この不連続な空隙部分によって水産練り製品の弾力性が損なわずしかもだし液の染み込み性に優れたものとなるのである。この空隙により蒸気等の気体の出入りが自由になるため、水産練り製品が加熱による膨張、冷蔵、冷凍による収縮の割合が最少にとどめられ、冷凍流通によるしなやかさの減少が防止できると考えている。粉末状でない場合、例えば繊維状であれば、水産練り製品の組織が連続的に分断されて、弾力性の低下が起こってしまう。 【0015】粉末状の油脂の添加量はすり身生地(加熱前の最終的すり身生地)中0.1-5重量%とするのが好ましく、より好ましくは0.5-3重量%である。0.1重量%未満であると、だし液の染み込み性が劣ってしまい、5重量%を超えるとざらついた食感になってしまう。 【0016】本発明における水産練り製品の製造方法としては、上述した粉末状の油脂を利用する事以外既存の製造方法でよく、特に限定されることはない。粉末状の油脂は、すり身中に均一に分散するようにすればよく、任意の添加時期、方法を採用することができる。例えば、冷凍すり身に食塩を添加して塩ずりし、氷水にて水延ばしを行った後、予め馬鈴薯澱粉と粉末状の油脂を粉体混合しておいたものを加えて魚肉すり身を製造する。 【0017】得られたすり身を、既存の方法、例えば押し出し成型機、ドラム成型機、球天機等で成型し、必要に応じて坐りを行い、油ちょう、蒸煮、焼成等により加熱処理を行い水産練り製品を得る。得られた水産練り製品は、トンネルフリージング等で急速冷凍を行い冷凍流通することができる。 【0018】 【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。尚、実施例中「%」は特に断らない限り重量%を意味する。 【0019】〔実施例1、2及び比較例1、2〕すけそうすり身に3%食塩を添加し、塩ずりしたものに、50%の氷水を加え、水延ばしし、3%馬鈴薯澱粉を加え、調味した簡易てんぷら生地に融点58℃の硬化パーム油粉末(篩い10#オールパス品)を0-10%添加し、成型後フライした。フライ後10℃まで冷却し、-30℃で3時間冷凍後、5℃6時間で解凍を行い食感を調べた。結果を表1に示す。 【0020】 【表1】 粉末状の油脂の添加量と食感−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 粉末状の油脂の 食感 添加量(%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−比較例1(無添加)0 硬く、しなやかさがなくなっている実施例1 1 しなやかさがある弾力性 実施例2 3 しなやかさがある弾力性 比較例2 10 弾力性あるが、ざらつき感あり −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−【0021】以上の結果から、本発明による水産練り製品は、冷凍解凍後においてもしなやかな弾力性を有していることが分かる。 【0022】〔実施例3、比較例3〕すけそうすり身に3%食塩を添加し、塩ずりしたものに、50%の氷水を加え、水延ばしし、3%馬鈴薯澱粉を加え、調味したてんぷら生地に融点58℃の硬化パーム油粉末(篩い10#オールパス品)を無添加(比較例3)もしくは3%添加(実施例3)し、成型後フライした。フライ後10℃まで冷却し、5℃6時間保存後、だし液で5、10、15、20分煮込んだ際の重量変化を測定し、だし液の染み込み性を評価した。結果を表2に示す。 【0023】 【表2】 煮込み時間と重量変化−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 煮込み時間(分) 0 5 10 15 20 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−実施例3 40.0(g) 42.3 43.9 45.4 46.0 比較例3 40.0 42.3 43.3 44.2 45.4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−【0024】以上の結果のように、本発明の水産練り製品はだし液の染み込み性に優れており、食してもジューシーな食感のものであった。 【0025】 【発明の効果】本発明によれば、すり身配合中に融点40-75℃の高融点粉末状の油脂を特定量配合することにより、だし液の染み込み性が良好になり、冷凍解凍後においてもしなやかな弾力性をもった水産練り製品を製造することができ、従来の問題点を一挙に改良することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000236768 【氏名又は名称】不二製油株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年9月8日(1998.9.8) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2000−83627(P2000−83627A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月28日(2000.3.28) |
| 【出願番号】 |
特願平10−253600 |
|