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【発明の名称】 鰻ペーストおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】川口 勇

【氏名】川口 妙子

【要約】 【課題】菓子類やそばなどの食品に混入して鰻の風味を備えた製品を作ることのできる鰻ペーストおよびその製造方法。

【解決手段】鰻から少なくとも内蔵を摘出して鰻原料を形成し、その鰻原料を所定の糖水溶液または所定のミネラル水に所定時間に亘って浸漬する。その後、鰻原料を所定温度で所定時間に亘って焼き、焼いた鰻原料を粉砕して微粒化することによって鰻ペーストを製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鰻から少なくとも内蔵を摘出して鰻原料を形成し、形成した前記鰻原料を所定の糖水溶液または所定のミネラル水に所定時間に亘って浸漬し、浸漬した前記鰻原料を所定温度で所定時間に亘って焼き、焼いた前記鰻原料を粉砕して微粒化することによって鰻ペーストを製造することを特徴とする鰻ペーストの製造方法。
【請求項2】 前記所定の糖水溶液は、0.5%以上の所定量のペントースを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】 前記所定の糖水溶液に対する前記鰻原料の浸漬時間は、40分間〜60分間であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】 前記鰻原料を焼く工程は、120°C以上の所定温度で30分間以上の所定時間に亘って行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】 前記鰻ペーストを所定温度で所定時間に亘ってさらに湯煎することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】 前記鰻原料は、鰻の頭と鰻の骨とからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】 前記鰻の頭および前記鰻の骨を十分に軟化させるために、前記鰻原料の粉砕に先立って高圧高温加熱処理を施すことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の製造方法にしたがって製造されたことを特徴とする鰻ペースト。
【請求項9】 そば生地に対して請求項8に記載の鰻ペーストを練り込むことによって製造されたことを特徴とするそば。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鰻ペーストおよびその製造方法に関し、特に所定の食品に混入するのに好適な鰻ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、菓子類やそばなどの食品に鰻を実際に混入してその風味を出した製品は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの食品に鰻の一部を混入して鰻の風味を出そうとすると、脂分の多い鰻の加工中に有臭成分が発生し、結果として鰻の生臭さや鰻の脂の酸敗臭が強く発生することが予想される。すなわち、これらの食品に鰻の一部を単に混入しても、鰻の風味を備えた製品とは成り得ず、その安定性は非常に劣ることが予想される。
【0004】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、菓子類やそばなどの食品に混入して鰻の風味を備えた製品を作ることのできる鰻ペーストおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、本発明においては、鰻から少なくとも内蔵を摘出して鰻原料を形成し、形成した前記鰻原料を所定の糖水溶液または所定のミネラル水に所定時間に亘って浸漬し、浸漬した前記鰻原料を所定温度で所定時間に亘って焼き、焼いた前記鰻原料を粉砕して微粒化することによって鰻ペーストを製造することを特徴とする鰻ペーストの製造方法を提供する。
【0006】本発明の好ましい態様によれば、前記所定の糖水溶液は、0.5%以上の所定量のペントースを含む。この場合、前記所定の糖水溶液は、1%〜5%の食塩をさらに含むことが好ましい。また、本発明の好ましい態様によれば、前記所定の糖水溶液に対する前記鰻原料の浸漬時間は、40分間〜60分間である。
【0007】さらに、本発明の好ましい態様によれば、前記鰻原料を焼く工程は、120°C以上の所定温度で30分間以上の所定時間に亘って行う。この場合、前記鰻原料を焼く工程は、150°C〜170°Cの温度で約45分間に亘って行うことが好ましい。また、本発明の好ましい態様によれば、前記鰻ペーストを所定温度で所定時間に亘ってさらに湯煎する。この場合、前記鰻ペーストの湯煎は、90°C以上の所定温度で約50分間に亘って行うことが好ましい。
【0008】さらに、本発明の好ましい態様によれば、前記鰻原料は、鰻の頭と鰻の骨とからなる。この場合、前記鰻の頭および前記鰻の骨を十分に軟化させるために、前記鰻原料の粉砕に先立って高圧高温加熱処理を施すことが好ましい。またこの場合、前記高圧高温加熱処理は、約115°Cの温度で約70分間に亘って行うことが好ましい。
【0009】また、本発明の別の局面によれば、上述の製造方法にしたがって製造されたことを特徴とする鰻ペーストを提供する。さらに、本発明の別の局面によれば、そば生地に対して上述の鰻ペーストを練り込むことによって製造されたことを特徴とするそばを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明では、内蔵などを摘出した鰻原料を、たとえばペントースを主成分とする糖水溶液に浸漬する。その後、浸漬した鰻原料を焼くことにより、鰻原料に含まれているアミンと糖質とが反応して鰻の生臭さを消去する。加えて、この反応に伴って生成されたメラノイジンが、鰻の蒲焼きの香りを出す。また、メラノイジンは酸化防止効果も有するので、鰻の脂の酸敗臭の発生を有効に防止する。さらに、鰻原料を焼き上げることにより、鰻の脂の一部を流出させ、最終的に製造される鰻ペースト中に含まれる脂分を低下させることができる。
【0011】なお、本発明において、「鰻原料」とは、鰻から少なくとも内蔵を摘出した部分をいう。すなわち、「鰻原料」とは、内蔵だけを摘出した鰻部分であっても、頭と骨と内蔵とを除去したおろし身であっても、あるいは鰻の頭と骨とからなる残り部分であってもよい。ここで、鰻の頭および骨は、調理に際して通常使用されない部分であり、場合によっては生ゴミとして処分すべき最も価値の少ない部分である。したがって、「鰻原料」として鰻の頭および骨を用いて鰻ペーストを製造することが、環境の観点から最も好ましく、また社会的貢献度も高いということになる。
【0012】また、「ペントース」とは、キシロース、アラビノースなどの単糖類またはその多糖類を乾燥重量で10%以上含んだもので、安価なキシロースであれば50%以上含んだものである。本発明において鰻原料を浸漬すべき糖水溶液は、0.5%以上の所定量のペントースを含んでいることが好ましい。なお、この糖水溶液に1%〜5%の食塩をさらに含ませることにより、消臭効果を向上させるとともに鰻の風味も向上させることができる。糖水溶液に鰻原料を浸漬する時間は、40分間〜60分間程度が好ましい。
【0013】浸漬した鰻原料を焼く工程は、その工程で得られるべき本発明の作用(上述したように鰻の生臭さを消去するとともに鰻の蒲焼きの香りを出す作用)を十分に達成するために、120°C以上の温度で30分間以上行うことが好ましい。さらに具体的は、150°C〜170°Cの温度で約45分間に亘って鰻原料を焼くことが好ましい。
【0014】焼き上がった鰻原料は、粉砕により微粒化することによってペースト化することができる。具体的には、オートクレーブなどを用いて鰻原料に高温高圧加熱処理を施して、鰻原料のうち頭および骨からなる硬い部分を軟化させ、通常のミルやミキサーなどを用いて微粒化することによりペースト化することができる。ここで、高温高圧加熱処理は、約115°Cの温度で約70分間に亘って行うことが好ましい。
【0015】あるいは、高温高圧加熱処理を施すことなく、鰻原料のうち頭および骨からなる硬い部分をコロイドミルなどの微粒化装置で1μm〜2μm以下の大きさに微粒化することによりペースト化することもできる。こうして製造された鰻ペーストを湯煎(湯せん)することにより、さらに滑らかさを出すとともに、さらに日持ちさせることができる。なお、鰻ペーストの湯煎は、90°C以上の所定温度で約50分間に亘って行うことが好ましい。
【0016】実用例として、本発明にしたがって製造した鰻ペーストを用いて煎餅およびそばを作った。まず、煎餅の生地に鰻ペーストを練り込み、練り込んだ生地を乾燥させた後に焼いた。焼き上がった煎餅に蒲焼のタレを薄めて塗り、再び乾燥させ、煎餅1枚ずつを乾燥剤とともに包装した。その結果、3ケ月以上経過しても、鰻の風味の低下や異臭の発生などは全くなく、美味しく試食することができた。
【0017】同様に、そば生地に鰻ペーストを練り込み、鰻風味のそばを作った。この場合も、異臭などは全くなく、美味しく試食することができた。なお、試作したそばが生麺であったため、十分日保ちするか否かを確認することはできなかった。しかしながら、そば生地に鰻ペーストを練り込んだ後に乾燥させて乾麺にすることにより、十分日持ちさせることができることは明らかである。
【0018】なお、上述の発明の実施の形態では、鰻原料を浸漬すべき液体として糖水溶液を用いた例を説明しているが、本発明者らは糖水溶液に代えてミネラル水を用いても本発明が成立することを確認している。
【0019】また、上述の実用例では、本発明の鰻ペーストを用いて煎餅およびそばを作った例を説明しているが、菓子類、健康食品、肉まんの皮、ペットフードなどの他の食品に本発明の鰻ペーストを混入して、鰻の風味を備えた製品を作ることができることは明らかである。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の鰻ペーストによれば、菓子類、そば、健康食品、肉まんの皮、ペットフードなどの食品に混入して、鰻の風味を備えた製品を作ることができる。
【出願人】 【識別番号】598124940
【氏名又は名称】川口 妙子
【出願日】 平成10年9月11日(1998.9.11)
【代理人】 【識別番号】100095256
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 孝雄
【公開番号】 特開2000−83626(P2000−83626A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−257724