| 【発明の名称】 |
咀嚼・嚥下機能低下者用食品 |
| 【発明者】 |
【氏名】濱千代 善規
【氏名】伊藤 裕子
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| 【要約】 |
【課題】咀嚼や嚥下が容易な食品を提供すること。
【解決手段】水分含量72〜88%の食品において、固形部と液部の比率が固形部/液部=35/65〜60/40であり、液部には澱粉類を1.0〜5.0%含有し、かつ、スプレッドメーターで測定した値が4〜8cmとする、または、水分含量72〜88%の食品において、米を固形分換算で5〜15%、澱粉質を0.25〜3.0%含有し、かつ、スプレッドメーターで測定した値が4〜8cmとする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水分含量72〜88%の食品において、固形部と液部の比率が固形部/液部=35/65〜60/40であり、液部には澱粉類を1.0〜5.0%含有し、かつ、スプレッドメーターで測定した値が4〜8cmである咀嚼・嚥下機能低下者用食品。 【請求項2】 水分含量72〜88%の食品において、米を固形分換算で5〜15%、澱粉質を0.25〜3.0%含有し、かつ、スプレッドメーターで測定した値が4〜8cmである咀嚼・嚥下機能低下者用食品。 【請求項3】 増粘多糖類を0.05〜0.5%含有する請求項1又は請求項2記載の咀嚼・嚥下機能低下者用食品。 【請求項4】 固形部を形成する具材が、略立方体、略球形あるいは不定形な塊状の場合は2〜15mm、偏平状あるいは細長いものの場合は最も長い部分が25mm以下であり、固さが1×106N/m 2以下である請求項1乃至請求項3記載の咀嚼・嚥下機能低下者用食品。 【請求項5】 加圧加熱殺菌してなる請求項1乃至請求項4記載の咀嚼・嚥下機能低下者用食品。 【請求項6】 冷凍してなる請求項1乃至請求項5記載の咀嚼・嚥下機能低下者用食品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は咀嚼や嚥下をし易い食品に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、人口の高齢化が問題となっており、それに伴い各種機能が衰えたり何らかの疾病を患う人が増加している。歯が無いあるいは残っていても状態が悪い、顎の関節が衰える、反射機能が低下するなどの機能の衰えにより、咀嚼(食物をよくかみくだすこと)したり嚥下(食物を飲み込むこと)することが困難になってくる。また、高齢になるにつれて脳血管障害を患う人も増え、咀嚼や嚥下に障害を残す人も増加している。 【0003】そのような場合、通常の食事をするのは困難であるし、食事をすること自体も大変な労力であるため、なるべくやわらかくて飲み込みやすい食事が望まれる。従来より、病院や施設、あるいは各家庭において、通常の食事とは別の食事を提供してきた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高齢者の増加に伴い在宅の高齢者の割合も増加している。高齢者を介護する家族の負担も大きくなり、また、高齢者を介護するのも高齢者であったり、高齢者が単身で生活している場合もあるなどの点から、食事の面の負担の軽減が望まれている。すなわち、調理の手間がかからず、より簡便な、咀嚼や嚥下が困難な人でも食べやすいような食品が求められている。 【0005】したがって、本発明は、咀嚼や嚥下が容易な食品を提供することを目的としてなされたものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するために種々検討した結果本発明に到達した。すなわち、本発明は、(1)水分含量72〜88%の食品において、固形部と液部の比率が固形部/液部=35/65〜60/40であり、液部には澱粉質を1.0〜5.0%含有し、かつ、スプレッドメーターで測定した値が4〜8cmである咀嚼・嚥下機能低下者用食品、(2)水分含量72〜88%の食品において、米を固形分換算で5〜15%、澱粉質を0.25〜3.0%含有し、かつ、スプレッドメーターで測定した値が8〜14cmである咀嚼・嚥下機能低下者用食品、(3)増粘多糖類を0.05〜0.5%含有する(1)又は(2)記載の咀嚼・嚥下機能低下者用食品、(4)固形部を形成する具材が、略立方体、略球形あるいは不定形な塊状の場合は2〜15mm、偏平状あるいは細長いものの場合は最も長い部分が25mm以下であり、固さが1×106N/m 2以下である(1)乃至(3)記載の咀嚼・嚥下機能低下者用食品、(5)加圧加熱殺菌してなる(1)乃至(4)記載の咀嚼・嚥下機能低下者用食品、(6)冷凍してなる(1)乃至(5)記載の咀嚼・嚥下機能低下者用食品、である。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。尚、本発明において、「%」はすべて「重量%」を意味する。まず、本発明において水分含量とは、常圧105℃乾燥法により分析した値であり、72%未満であると状態がパサついて咀嚼や嚥下が困難になり、88%を超えると栄養的に満足できるものを提供するのは難しいため本発明には含まない。 【0008】本発明において固形部とは、肉類や魚介類、野菜、穀物、きのこといった固形を有する部位をいう。略立方体、略球形あるいは不定形な塊状の場合2〜15mmが好ましく、また、偏平状あるいは細長いものの場合最も長い部分が25mm以下であることが好ましい。これは、略立方体、略球形あるいは不定形な塊状の場合、2mmよりも小さいと細かすぎて見た目が悪く食欲をそそるものではなくなり、また15mmよりも大きいと咀嚼機能が低下した人にとっては、大きすぎて食べ難いからである。より好ましくは3〜10mm角とする。また、偏平状あるいは細長状の場合は、最も長い部分が25mmを越えるとやはり咀嚼機能が低下した人にとっては大きすぎて食べ難いからである。 【0009】また、固さは1×106N/m 2以下が好ましい。これは、1×106N/m 2を越えると固すぎて食べ難いからである。より好ましくは、舌でつぶせる固さから歯ぐきで噛める固さである1×103〜5×105N/m 2とする。尚、測定方法は、厚生省生活衛生局食品保健課新開発食品保健対策室長通知(平成6年2月23日発行)衛新第15号「高齢者用食品の標示許可の取扱いについて」記載の別紙「高齢者用食品の試験方法」に準ずる(圧縮距離10mm/s、測定温度20±2℃)。また、本発明の原料そのものが固い具材であっても、加熱調理や加圧加熱殺菌、冷凍処理により柔らかくすることができる。 【0010】液部とは、食品から前記固形部を除いた部分であり、ソース、汁、あん、クリームといった液状またはクリーム状の部位をいう。 【0011】本発明において固形部と液部の比率は、固形部/液部=35/65〜70/40である。これは、35/65未満であると液状を呈するためかえって咀嚼や嚥下が困難になり、70/40を超えると固形感が多すぎて、嚥下が困難になるからである。また、本発明品により一食分の栄養を満たそうとする場合、35/65以上の方がより好ましい。 【0012】また、澱粉質は食用に適していればその種類は特に問わず、例えば米澱粉、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉等の食物由来の澱粉、また、熱処理やリン酸等化学処理を施した加工澱粉もしくは化工澱粉があげられる。澱粉類を含有することにより食品を飲み込みやすくすることができる。本発明においては食品中に1.0〜5.0%含有する。これは、1.0%未満であると食品の粘度が低くなり、飲み込み難く、また、挽き肉のように小さくてもやや固いものを原料とする場合に、飲み込んだときにのどに引っかかりやすいからである。嚥下が困難な者にとっては粘度が低ければ飲み込みやすいというわけではなく、後の試験例にも示すようにある程度の粘度を有する方が飲み込みやすいのである。一方、5.0%を越えると粘度が高くなりすぎて飲み込み難くなる。 【0013】スプレッドメーターとは、同心円とその中心から円周に向かって60°毎6方向に直線が書かれた平板であり、その直線上と円が交わる点には中心からの距離が記されている。このスプレッドメーターの中央に測定する物を置き、特定の時間内の物の広がりを調べる。本発明においては、品温20℃の食品100gをスプレッドメーターの中央にのせ、2分後の6方向の数字(距離)を読み取り(単位cm)、その平均値を計算している。 【0014】本発明においてはスプレッドメーターにより測定した値が4〜8cmである。これは、後の試験例に示すように4cm未満であると飲み込み難く、8cmを越えても飲み込み難いからである。 【0015】また、本発明の食品が米を含有する場合、米の含量は固形分換算で5〜15%とする。これは、5%未満であると粘度が低くさらさらとしたおかゆ状になって飲み込み難く、また、見た目にも米の分量が少なく主食としては物足りなくなるからである。15%を越えるとご飯が硬めで、固形感が多すぎるため、食べ難くく飲み込み難いからである。 【0016】本発明品が米を含有する場合、米以外の澱粉類の含量は0.25〜3.0%とする。これは、後の試験例にも述べるように、0.25%未満であると米の配合量が少ない場合液部の粘度が低くおかゆ状となり、また、特に米の他に挽き肉などの小さくても固い固形物がある場合、飲み込んだ時にのどにひっかかりやすく、飲み込み難いからである。一方、3.0%を越えるとべたついてしまい食べ難くなるからである。 【0017】増粘多糖類も食用に適していればその種類は特に問わず、例えばタマリンドガム、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチンなどがあげられる。増粘多糖類を含有することにより食品になめらかさを付与することができ、より飲み込みやすくなる。本発明においては食品中に0.05〜0.5%含有する。これは、0.05%未満であると増粘多糖類のもつなめらかさは期待できず、0.5%を越えると粘度が高くなりすぎて飲み込み難くなるからである。 【0018】また、加圧加熱殺菌とは、蒸気等による加圧加熱殺菌や、熱水によるレトルト殺菌等で加圧することにより100℃以上に加熱し殺菌する食品の製造方法をいう。 【0019】冷凍してなるとは、前処理もしくは調理された食品を急速凍結し、−18℃以下で保管流通される、いわゆる冷凍食品をいう。 【0020】尚、本発明の効果を損なわない限り、他の任意の原料、成分を含有してもさしつかえない。例えば、糖類、油脂類、食塩、各種調味料、各種香辛料など通常食品を製造する際に用いる原料や、ビタミンA、B群、C、D、ナイアシンなどのビタミン類、カルシウム、無機鉄、ヘム鉄、マグネシウムなどのミネラル類、食物繊維などがあげられる。 【0021】このような本発明の食品は、所望の容器に入れ流通するとよい。容器の形状、材質などは特に問わない。1食分ずつ個包装すれば、使用時により簡便性があり好ましい。また、冷凍品とする場合、1食ずつに分けられるような容器を用いたり、1食分ずつブロック状にしたものを複数の容器に入れてもよい。 【0022】次いで、本発明の食品を、実施例及び試験例により説明する。 【実施例】実施例1(白身魚の煮物) 表1に示す配合割合の原料5kgを鍋に入れ、90℃で20分間加熱した。この時、白身魚(たら)は予めほぐし、大根、人参は皮を剥いて1cm角に切り、さやえんどう、昆布、しょうがはみじん切りにして用いた。 【0023】この食品は、水分含量80%、固形部/液部=48.2/51.8であり、澱粉2.5%、増粘多糖類0.2%を含有し、スプレッドメーターで測定した値が5.5cmであった。この食品200gづつを皿に盛り食したところ、咀嚼や嚥下をすることが容易であった。 【0024】 【表1】
【0025】実施例2(カレー) 表2に示す配合割合の原料5kgを鍋に入れ、90℃で30分間加熱後透明パウチ袋に詰め、急速凍結した。この時、人参、じゃがいも、玉ねぎは皮を剥いて1cm角に切り、マッシュルームはみじん切りにして用いた。 【0026】この食品は、水分含量77%、固形部/液部=53/47であり、澱粉1.5%、増粘多糖類0.2%を含有し、スプレッドメーターで測定した値が5.5cmであった。この食品を電子レンジで解凍加熱して食したところ、咀嚼や嚥下をすることが容易であった。 【0027】 【表2】
【0028】実施例3(親子おじや) 表3に示す配合割合の原料250gずつをレトルトパウチに詰め116℃で45分間加圧加熱殺菌を行なった。この時、人参、里芋、大根は皮を剥いて1cm角に切り、昆布はみじん切りにして用いた。 【0029】この食品は、水分含量80%であり、米を固形分換算で10%、澱粉1.0%を含有し、スプレッドメーターで測定した値が5.5cmであった。この食品を湯せんで加温し食したところ、咀嚼や嚥下をすることが容易であった。 【0030】 【表3】
【0031】 【試験例】試験例1試験方法実施例1の固形部と液部との比率を表4に示すようにしたほかは、実施例1と同様にして白身魚の煮物を製造した。ただし、澱粉類と増粘多糖類の濃度は実施例1と同様とした。よく訓練されたパネル20名により食し、食べやすさと飲み込みやすさを評価した。 【0032】試験結果表4に示すとおりである。すなわち表より、固形部/液部=35/65〜60/40であると食べやすく飲み込みやすいことが理解できる。 【0033】 【表4】
【0034】試験例2試験方法実施例1及び実施例2の澱粉の配合割合を表5に示すようにし、タマリンドガム及びグアーガムを除いたほかは、実施例1及び実施例2と同様にして白身魚の煮物及びカレーを製造した。タマリンドガムとグアーガムの除去分と、澱粉の配合割合の変更分は水により調整した。スプレッドメーターの値を測定するとともに、食べやすさと飲み込みやすさを評価した。 【0035】試験結果表5に示すとおりである。すなわち表より、澱粉類1.0〜5.0%であると、スプレッドメーターで測定した値が4〜8cmとなり、食べやすく飲み込みやすいことが理解できる。 【0036】 【表5】
【0037】試験例3試験方法実施例1及び実施例2の増粘多糖類の配合割合を表6に示すようにしたほかは、実施例1及び実施例2と同様にして白身魚の煮物及びカレーを製造した。但し、澱粉の配合割合は1%とし、増粘多糖類の増減分は水により調整した。スプレッドメーターの値を測定するとともに、食べやすさと飲み込みやすさを評価した。 【0038】試験結果表6に示すとおりである。すなわち表より、増粘多糖類0.05%〜0.5%であると食べやすく飲み込みやすいだけではなく、なめらかなのどごしであり、咀嚼や嚥下が困難な人達にとって、より飲み込みやすいことが理解できる。 【0039】 【表6】
【0040】試験例4試験方法実施例3の米の配合割合を表7に示すようにしたほかは、実施例3と同様にして、親子おじやを製造した。但し、澱粉類の配合割合は0.5%とし、米の増減分は水により調整した。スプレッドメーターの値を測定するとともに、食べやすさと飲み込みやすさを評価した。 【0041】試験結果表7に示すとおりである。すなわち表より、米の乾燥重量が5〜15%であると、スプレッドメーターで測定した値が4〜8cmとなり、食べやすく飲み込みやすいことが理解できる。5%未満であると、さらさらとしておかゆ状で飲み込み難く、米粒が少なすぎて見栄えも悪かった。また、15%を越えると、ご飯が固くなり固形感が多すぎるため、食べ難く飲み込み難かった。 【0042】 【表7】
【0043】試験例5試験方法実施例3の澱粉の配合割合を表8に示すようにしたほかは、実施例3と同様にして、親子おじやを製造した。但し、米の割合は6%とし、澱粉の増減分は水により調整した。スプレッドメーターの値を測定するとともに、食べやすさと飲み込みやすさを評価した。 【0044】試験結果表8に示すとおりである。すなわち表より、澱粉質の含有量が0.25〜3.0%であるとスプレッドメーターで測定した値が4〜8cmであり、食べやすく飲み込みやすいことが理解できる。尚、澱粉を含有しない場合のスプレッドメーターで測定した値が8cmとなっているが、飲み込む時に鶏肉の挽き肉がのどに引っかかり飲み込み難く、澱粉は0.25%以上が好ましいことがわかった。 【0045】 【表8】
【0046】 【発明の効果】以上述べたように、本発明の食品は、適度なやわらかさと粘度を有する為、咀嚼や嚥下の機能が低下した人にとっても、食べやすく飲み込みやすい。また、電子レンジや湯せんなどで解凍や加熱をするだけで食することができるため、介護する人あるいは自らが食事を作っている人の負担を少しでも軽くすることができる、簡便性のある食品である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001421 【氏名又は名称】キユーピー株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年9月16日(1998.9.16) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−83617(P2000−83617A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月28日(2000.3.28) |
| 【出願番号】 |
特願平10−260744 |
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