トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 充填容器密封式木綿豆腐およびその製造方法
【発明者】 【氏名】高落 実

【要約】 【課題】従来の充填豆腐は、低温の豆乳と凝固剤をよく混合した後、容器に充填し、密封した後、加熱し、豆乳を凝固させていたので、均一な凝固状態となり、きぬこし豆腐状の豆腐しか製造することができなかった。しかし、木綿豆腐のような少しざらついたテクスチャーをもった、衛生的で、日持ちのする、充填豆腐の出現が待ち望まれていた。

【解決手段】豆腐の充填容器に豆乳と凝固剤を別々に、または十分に攪拌混合せずに、注入し、その後攪拌混合し、プラスチック製フィルムにより密封した後、加熱し、凝固させる木綿豆腐の製造方法および密封された木綿豆腐であって、密封する前に半凝固状態の豆乳を物理的にかき混ぜてもよい。また、低温の豆乳および凝固剤を、十分に攪拌混合した後、豆腐の充填容器に注入し、加温し、半凝固状態の豆乳を物理的にかき混ぜ、密封した後、加熱し、凝固させる充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法および密封された木綿豆腐である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】充填容器に密封された木綿豆腐。
【請求項2】豆腐の充填容器に緩慢凝固温度帯の豆乳と凝固剤を別々に注入し、その後攪拌混合し、プラスチック製フィルムにより密封した後、加熱し、凝固させることを特徴とした充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法。
【請求項3】豆腐の充填容器に緩慢凝固温度帯の豆乳と凝固剤を別々に注入し、その後攪拌混合し、さらに半凝固状態の豆乳を物理的にかき混ぜ、プラスチック製フィルムにより密封した後、加熱し、凝固させることを特徴とした充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法。
【請求項4】豆腐の充填容器に緩慢凝固温度帯の豆乳と凝固剤を十分に攪拌混合せずに注入し、その後攪拌混合し、プラスチック製フィルムにより密封した後、加熱し、凝固させることを特徴とした充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法。
【請求項5】豆腐の充填容器に緩慢凝固温度帯の豆乳と凝固剤を十分に攪拌混合せずに注入し、その後攪拌混合し、さらに半凝固状態の豆乳を物理的にかき混ぜ、プラスチック製フィルムにより密封した後、加熱し、凝固させることを特徴とした充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法。
【請求項6】請求項2乃至5に記載の豆乳の水分が、80乃至88%であることを特徴とした充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法。
【請求項7】請求項2乃至6に記載の凝固剤が塩化マグネシウムが主体であるとき、豆乳の温度が15乃至50℃であることを特徴とした充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法。
【請求項8】緩慢凝固温度帯より低温の豆乳および凝固剤を、十分に攪拌混合した後、該混合液を豆腐の充填容器に注入し、緩慢温度帯になるまで加熱し、さらに半凝固状態の豆乳を物理的にかき混ぜ、プラスチック製フィルムにより密封した後、加熱し、凝固させることを特徴とした充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、充填容器に密封された木綿豆腐およびその製造方法、さらに詳しくは、豆腐の充填容器に豆乳と凝固剤を注入し、プラスチック製フィルムにより密封した後、加熱し、凝固させる、充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法である。
【0002】
【従来の技術】従来の充填豆腐の製造方法では、低温の豆乳と凝固剤をよく混合した後、容器に充填し、密封した後、加熱し、豆乳を凝固させていたので、均一な凝固状態となり、きぬこし豆腐状の豆腐しか製造することができなかった。
【0003】また、従来の木綿豆腐の製造方法では、一度凝固した豆腐を壊し、それを布を敷いた型箱に入れ、重石を載せて長時間放置し、再結着させて製造していたため、菌の繁殖などの原因で賞味期限の短い木綿豆腐しか製造できなかった。最近では、賞味期限を長くするために、一度木綿豆腐をパッケージした後、高温で殺菌処理をした木綿豆腐が市場に出てきたが、加工工程が長いためか、高温処理をしないものに比較して、硬過ぎたりして、味覚的に満足できる状態には至っていない。また、特公昭59−12266号公報には、小箱の中に豆乳を入れて箱内において凝固せしめ、その凝固の途中乃至は凝固完了の状態において上記小箱内の豆乳塊を破砕し、更に上記小箱内に豆乳を入れた後、蓋を閉じて加熱することによって小箱入豆腐を製造することを特徴とする小箱入り豆腐の製造方法が記載されているが、凝固した豆乳を壊した後、凝固剤を混合した豆乳を継ぎ足すという方法では、豆腐の中に気泡が混入する可能性が高いこと、さらに該特許でいう灰汁水と、後で継ぎ足された豆乳の混合も完全には行われにくいこと、および壊れ易いため、従来の木綿豆腐に比較して、食味的に満足のできる木綿豆腐が製造できていないのが、現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような状況のもとに、木綿豆腐のような少しざらついたテクスチャーをもった、衛生的な、日持ちのする、充填豆腐の出現が待ち望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来技術における課題を解決するために鋭意研究を行った結果、充填容器に密封された木綿豆腐を提供するに至った。
【0006】本発明の第二は、豆腐の充填容器に緩慢凝固温度帯の豆乳と凝固剤を別々に注入し、その後攪拌混合し、プラスチック製フィルムにより密封した後、加熱し、凝固させることを特徴とした充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法であって、豆腐の充填容器に緩慢凝固温度帯の豆乳と凝固剤を別々に注入し、その後攪拌混合し、さらに半凝固状態の豆乳を物理的にかき混ぜてもよい。このとき、豆乳の水分が、80乃至88%であることが好ましく、凝固剤が塩化マグネシウムが主体であるとき、豆乳の温度が15乃至50℃であることがさらに好ましい、充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法である。
【0007】本発明の第三は、豆腐の充填容器に緩慢凝固温度帯の豆乳と凝固剤を十分に攪拌混合せずに注入し、その後攪拌混合し、プラスチック製フィルムにより密封した後、加熱し、凝固させることを特徴とした充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法であって、豆腐の充填容器に緩慢凝固温度帯の豆乳と凝固剤を十分に攪拌混合せずに注入し、その後攪拌混合し、さらに半凝固状態の豆乳を物理的にかき混ぜてもよい。このとき、豆乳の水分が、80乃至88%であることが好ましく、凝固剤が塩化マグネシウムが主体であるとき、豆乳の温度が15乃至50℃であることがさらに好ましい、充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法である。
【0008】本発明の第四は、緩慢凝固温度帯より低温の豆乳および凝固剤を、十分に攪拌混合した後、該混合液を豆腐の充填容器に注入し、緩慢温度帯になるまで加熱し、さらに半凝固状態の豆乳を物理的にかき混ぜ、プラスチック製フィルムにより密封した後、加熱し、凝固させることを特徴とした充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】豆腐の製造は、原料の大豆を水洗して混入物を除去し、大豆の2〜3倍量の水に浸漬し、大豆の組織を柔らかくした後、膨潤した大豆を磨砕し、呉を作製し、この呉にさらに水を添加した後、加熱、ろ過して、豆乳を製造する。本発明にいう木綿豆腐とは、豆乳に凝固剤を添加し、凝固させた後、崩し、上澄みを分離して型箱に入れ、圧搾、成型した豆腐をいい、充填容器に密封された木綿豆腐とは、包装容器に密封された豆腐であって、且つ木綿豆腐様の食味を有するものをいう。
【0010】本発明にいう凝固剤とは、豆乳に添加し、豆乳を凝固させる薬剤をいい、具体的には、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、グルコノデルタラクトン、などを例示することができ、塩化マグネシウムが主体の凝固剤とは、凝固剤の成分のうち、塩化マグネシウムが50重量%以上のものをいう。
【0011】本発明にいう充填容器とは、豆乳を充填後、凝固殺菌できる耐熱性包装容器であって、特に限定されるものではないが、包装材質は高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、などを使用することができる。
【0012】本発明にいう緩慢凝固温度帯とは、豆乳と凝固剤とを充分に混合した状態で5秒以上流動性を維持でき、且つ10分以内に流動性を失い、凝固状態に入る温度範囲をいう。また、豆乳並びに豆乳および凝固剤の加熱とは、これらを熱水中に置くことおよび蒸気と接触させることによる加熱のみではなく、マイクロ波、赤外線、遠赤外線、湯煎、熱板に接触させる方法、などにより豆乳並びに豆乳および凝固剤を加熱することをいう。豆乳と凝固剤とを豆腐の充填容器に密封した後に加熱するときの温度は、70〜90℃であって、この温度に30分以上保つことにより、豆乳を凝固させることができる。
【0013】
【実施例】本発明による充填容器に密封された木綿豆腐は、充填豆腐容器に、所定の温度の豆乳および凝固剤を所定の条件により注入し、その後所要の処理を行い、プラスチック製フィルムにより密封した後、熱水、蒸気、マイクロ波、赤外線、遠赤外線、湯煎、熱板に接触させる、などの方法により豆乳および凝固剤を加熱し、凝固殺菌処理を行って充填容器に密封された木綿豆腐を製造する。このとき、充填豆腐容器に入れた豆乳および凝固剤が、該容器よりこぼれた場合、豆乳および凝固剤を補充することによって、該容器を充たすことができる。また、当初より充填豆腐容器に入れる豆乳および凝固剤の充填量を少なくすることにより、こぼれを防ぎ、次いで豆乳および凝固剤を補充することによって、該容器を充たすことができる。
【0014】次に本発明の詳細を実施例に基づいて説明するが、本発明の趣旨はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)水分85%の豆乳を温度25℃とし、容量300mlの長方形のポリプロピレン製の充填豆腐容器に290ml注入した。次に濃度12.5重量%の苦汁溶液10mlを注入し、直ちに、板幅が容器幅の80%であるステンレス製の攪拌板を容器の長さ方向に可能な限り、大きくゆっくりと3往復させ、苦汁と豆乳を完全に混合させた後、10秒後に攪拌板より幅の狭い壊し板を容器の隅にいたるまで、横にスライドさせながら、前後に大きく3往復させることにより、半凝固状態の豆乳を弱く攪拌した。その後、ナイロンとポリプロピレンのラミネートシートを該充填豆腐容器と熱密着させ容器を完全密封し、80℃の熱水中で45分間凝固殺菌処理を行った。その結果、味および食感的にも従来の木綿豆腐と同等以上の衛生的で賞味期限の長い充填容器に密封された木綿豆腐を作製することができた。
【0015】(実施例2)水分85%の豆乳290mlを温度25℃とし、濃度12.5重量%の苦汁溶液10mlと混合し、攪拌することなく、容量300mlの長方形のポリプロピレン製の充填豆腐容器に注入した。次いで、板幅が容器幅の80%であるステンレス製の攪拌板を容器の長さ方向に可能な限り、大きくゆっくりと3往復させ、苦汁と豆乳を完全に混合させた後、10秒後に攪拌板より幅の狭い壊し板を容器の隅にいたるまで、横にスライドさせながら、前後に大きく3往復させることにより、半凝固状態の豆乳を弱く攪拌した。その後、ナイロンとポリプロピレンのラミネートシートを該充填豆腐容器と熱密着させ容器を完全密封し、80℃の熱水中で45分間凝固殺菌処理を行った。その結果、味および食感的にも従来の木綿豆腐と同等以上の衛生的で賞味期限の長い充填容器に密封された木綿豆腐を作製することができた。
【0016】(実施例3)水分85%の豆乳290mlを温度5℃とし、濃度12.5重量%の苦汁溶液10mlと充分に攪拌混合した後、容量300mlの長方形のポリプロピレン製の充填豆腐容器に注入した。次いで、マイクロ波により内部温度が20℃になるまで加熱し、壊し板を容器の隅にいたるまで、横にスライドさせながら、前後に大きく3往復させることにより、半凝固状態の豆乳を弱く攪拌した。その後、ナイロンとポリプロピレンのラミネートシートを該充填豆腐容器と熱密着させ容器を完全密封し、80℃の熱水中で45分間凝固殺菌処理を行った。その結果、味および食感的にも従来の木綿豆腐と同等以上の衛生的で賞味期限の長い充填容器に密封された木綿豆腐を作製することができた。
【0017】(比較例1)濃度10%の苦汁溶液を、容量300mlの長方形のポリプロピレン製の充填豆腐容器に5ml注入し、次に温度70℃、水分85%の豆乳150mlを勢いよく注入した。20秒間静置した後、櫛状の器具を1回、容器の端から他端まで移動させ凝固した豆乳を破砕し、さらに前記の豆乳を30ml注入した。その上に濃度12.5重量%の苦汁溶液を混合した水分85%の豆乳を温度10℃とし、勢いよく100ml注入した後、容器に満杯になるまで緩やかに同じ冷豆乳を注いだ。その後、実施例1と同様に、密封し加熱処理した。できた豆腐をよく観察し、試食してみた結果、上部は完全なプリン状のきぬこし豆腐で、内部に泡も多数混在し、極端に柔らかい部分や堅い部分もみられ、従来、木綿豆腐として認識されているものとは異質な豆腐であると認識された。
【0018】
【発明の効果】本発明による充填容器に密封された木綿豆腐は、従来法による木綿豆腐よりも均質な木綿風味の豆腐である。特に、うま味成分や栄養分が水分とともに捨て去られることがないので、糖分の残留が増え、甘味の強い木綿豆腐を容易に製造することができ、味覚的にも、栄養的にも、優れた豆腐である。
【0019】また、本発明による充填容器に密封された木綿豆腐の製造方法は、豆乳の状態で最後の工程まで移動させることができるので、すなわち工程中で固形物を扱わないので、豆乳の移動、計量が簡単で、自動化が容易で工程も短くなる。従って、人手が掛からず、衛生的で合理化が容易になり、製造コストを低く抑えることができる。さらに、従来の充填豆腐の製造において、苦汁を使用した場合には、豆乳温度を10℃以下にしなければならなかったが、本発明では豆乳温度は20℃以上でもよいので、豆乳冷却のためのエネルギーコストを低くすることができる。
【0020】さらに、本発明による木綿豆腐の製造方法は、豆乳と凝固剤を予め混合することをしないので、後工程においてトラブルが発生し、作業が中断された場合でも、豆乳が凝固することがなく、無駄に豆乳を捨てたり、タンクやパイプを再度洗浄する必要がない。また、従来の木綿豆腐の製造工程にみられるように、重石を置いて水分を絞ることはしないので、製造工程からの排水量を少なくすることができ、排水処理の負担が小さく、環境問題のうえからも優れた木綿豆腐の製造方法といえる。
【出願人】 【識別番号】597013607
【氏名又は名称】株式会社高丸食品
【出願日】 平成10年9月14日(1998.9.14)
【代理人】 【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
【公開番号】 特開2000−83615(P2000−83615A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−260246