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【発明の名称】 麺類用穀粉及び該穀粉を用いた麺類
【発明者】 【氏名】佐藤 浩

【氏名】幸坂 聡

【氏名】大坂 賢一

【氏名】立花 慶久

【要約】 【課題】麺を黄色に着色する際、優れた色合いと光沢を呈し、かつ、粘弾性に優れた食感を有する麺類を提供する。

【解決手段】クリコフ小麦粉を20〜100重量%含有する麺類用穀粉を用いて麺類を製麺する。この麺類用穀粉は、その他の穀粉として、麺類用小麦粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、加工澱粉、米粉、大麦粉及びそば粉からなる群から選択される少なくとも1種類の穀粉を含有することができる。その他の穀粉として澱粉類を使用する場合、その添加量は10〜30重量%の範囲内であることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クリコフ小麦粉を20〜100重量%含有することを特徴とする麺類用穀粉。
【請求項2】 クリコフ小麦粉を40〜80重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の麺類用穀粉。
【請求項3】 クリコフ小麦粉の他に、その他の穀粉として、麺類用小麦粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、加工澱粉、米粉、大麦粉及びそば粉からなる群から選択される少なくとも1種類の穀粉を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の麺類用穀粉。
【請求項4】 その他の穀粉として、澱粉類が使用される場合、該澱粉類を10〜30重量%含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の麺類用穀粉。
【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載の麺類用穀粉を用いて製麺されたことを特徴とする麺類。
【請求項6】 製麺用添加物としてかん水を使用する中華麺であることを特徴とする請求項5に記載の麺類。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は麺類用穀粉及び該穀粉を用いた麺類に関する。更に詳細には、本発明はクリコフ(Krichauff)小麦粉からなる麺類用穀粉及び該穀粉を用いて製麺した色合い及び粘弾性に優れた麺類に関する。
【0002】
【従来の技術】生麺類(例えば、中華麺、蕎麦、饂飩など)及び即席麺類(例えば、即席中華麺、即席焼きそば、即席和風麺、スナック麺など)などの麺類は、小麦粉を主原料とし、必要に応じて、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、米粉、大麦粉などを添加した穀粉類に、食塩、増粘多糖類、かん水、乳化剤、着色料、調味料などを適宜添加して製麺される。
【0003】使用する小麦粉は麺類用の中力粉と準強力粉であって、麺の種類や、求める食感によって適宜選択して使用する。
【0004】前記小麦粉や他の穀粉類は色素の含有量が極めて少なく、麺を黄色に着色するために、クロシン、カロチン、合成着色料などを使用してきた。これらの着色料は発色の色合い、安全性、経済性、消費者の添加物アレルギーから全く使用しないか、あるいは、可能な限り使用量を軽減することが望まれている。
【0005】小麦粉の色素はカロチノイドとフラボノイドに大別され、カロチノイドはキサントフィルが大部分を占め、僅かにカロチンが含まれる。これらの色素は淡黄色〜黄色を呈するが、含有量が微量である為、好ましい色合いを発現できない。また、小麦粉の灰分量が多くなると、光沢の無い、くすんだ色合いを呈する欠点を有していた。
【0006】従って、着色料を使って麺に着色する場合、小麦粉由来の色素の影響を受け、明るさ、光沢に欠ける、くすんだ、冴えの無い麺ができる。また、使用した着色料の品質特性が作用して、色合いに偏りが生じる。例えば、クロシンでは、淡緑色系の色を呈し、カロチンでは赤味がかった傾向を示し、バランスの良い、好ましい黄色の発現に欠ける欠点があった。
【0007】一方、麺の粘弾性や食味に関しては、従来の小麦粉に前記穀粉や添加物を単独で使用するか、又は数種類併用した麺は、食感、風味、見た目に問題を生じる場合が多いという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、麺を黄色に着色する際、優れた色合いと光沢を呈し、かつ、粘弾性に優れた食感を有する麺類を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題は、クリコフ(Krichauff)小麦粉を20〜100重量%含有する麺類用穀粉を用いて麺類を製麺することにより解決される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるクリコフ小麦粉とは、オーストラリア産ハード小麦の新品種であり、小麦粉の蛋白質が8〜12%、灰分0.36〜0.45%の成分値を示し、カロチノイド色素であるキサントフィルを豊富に含有していることを特徴とする。クリコフ小麦粉は従来の小麦粉に比べて、キサントフィルが約1.5倍含有されている。従って、このクリコフ小麦粉は黄色に富んだ色調を有する小麦粉系食品の原料として適する。特に、クリコフ小麦粉はアルカリ性を基調とする小麦粉系食品(例えば、麺類)に黄色を帯びさせるのに最適である。クリコフ小麦粉は例えば、東京都中央区に所在するグッドマン・フィールダー・ジャパン(Goodman Fielder Japan)社から入手することができる。
【0011】本発明の麺類用穀粉は、その20〜100重量%、好ましくは40〜80重量%がクリコフ小麦粉からなり、その他の穀粉として、麺類用小麦粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、加工澱粉、米粉、大麦粉及びそば粉からなる群から選択される少なくとも1種類の穀粉を含有する。小麦粉は薄力粉、中力粉、準強力粉及び強力粉の全ての種類を包含する。
【0012】本発明の麺類用穀粉におけるクリコフ小麦粉の配合量が20重量%未満では、最終製品に対する黄色の色合いが不足するばかり、粘弾性に富んだ食感が得られない。その他の穀粉として澱粉(又は澱粉類)を使用する場合、本発明の麺類用穀粉における澱粉の配合量は10〜30重量%、好ましくは、15〜25重量%の範囲内とすることが望ましい。澱粉を使用すると、クリコフ小麦粉と相乗効果をもたらし、従来にない黄色〜黄金色の色合いを呈し、しかも、粘弾性、硬さ、滑らかさなどの食感のバランスが良く、食味の点でも申し分のない麺類を得ることができる。澱粉の配合量が10重量%未満では、澱粉の効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、30重量%を超える場合は、配合澱粉の作用が強くなりすぎ、全体的に軟質な麺類をもたらすので好ましくない。
【0013】本発明の麺類用穀粉を用いて製造することのできる麺類は、例えば、生麺、焼きそば用麺、中華麺、茹麺、即席麺、冷凍麺、乾麺の他、餃子、焼売、ワンタン及び春巻きなどに使用する皮類などである。また、「麺類」という用語は、素麺、冷や麦、饂飩、蕎麦などの和風麺や前記中華麺の他、スパゲッティー及びマカロニなどの西洋パスタ類も包含する意味で使用されている。特に、アルカリ性の“かん水”を使用する中華麺が好ましい。この中華麺は、生、茹で、蒸し、乾燥の全ての状態のものを含む。
【0014】本発明の麺類用穀粉は、クリコフ小麦粉及びその他の穀粉を別々に製造(製粉)してから、所定量を配合することによっても得られるし、あるいは、所定量のクリコフ小麦及びその他の穀粒を混合して、一緒に製粉することによっても得られる。
【0015】本発明の麺類は、上記のクリコフ小麦粉と必要に応じて他の穀粉を含有する麺類用穀粉を使用すること以外は、通常通りの製麺法に従って製造することができる。
【0016】本発明の穀粉は前記の麺類の他に、黄色の色調が好まれるその他の食品類の粉、例えば、パン用粉、カステラ用粉、どら焼き用粉、クッキー用粉、お好み焼き用粉、天ぷら用粉、たこ焼き用粉、クレープ用粉、蒸し饅頭(例えば、肉饅又は餡饅)用粉などとしても使用できる。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0018】実施例1:蒸し焼きそば市販の小麦粉(日穀製粉(株)製の「南風」(商品名):水分14%,蛋白質10.2%及び灰分0.38%)にクリコフ小麦粉(水分14%、蛋白質10.9%及び灰分0.38%)を下記の表1に示す割合で添加して麺類用穀粉を調製した。この穀粉25kgに、かん水95g、黄色色素クロシン30g、食塩250gを水7.5kgに溶解した水溶液を加え、常法により、混捏、展延、複合、圧延して、厚さ1.35mmの麺帯にした後、#20丸の切刃を用いて切出し、麺線とした。
【0019】この麺線を蒸煮圧0.3kg/cm2で1分30秒間蒸煮し、その後、100℃の熱湯中に30秒間浸漬し、次いで、0.1kg/cm2の蒸煮圧で2分間蒸煮した。この蒸煮麺を水洗冷却し、その後、水切りした。この水切りした麺線150gにサラダ油4gを加え、耐熱性透明包材に入れ、密封した後、温度92℃で35分間蒸気殺菌をして、蒸し焼きそばを得た。この焼きそばの官能検査結果を下記の表1に示す。また、色彩測定結果を下記の表2に示す。
【0020】官能検査は、パネラー10人で官能評価をし、その評価値の平均点で表した。評点5は「大変良い」、評点4は「良い」、評点3は「普通」、評点2は「悪い」、評点1は「非常に悪い」を示す。焼きそばの調理方法はフライパンに麺を1食、水30ml、食用油7mlを入れ、ガスレンジを使い、直火で炒めた麺を官能検査の対象物とした。
【0021】色彩測定は日本電色工業(株)製の色彩計SE−2000を用い、一般的なL***表色系に従って行った。L***表色系とは、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した表色系で、この座標上で示される2色の色の一定距離が、どの色領域においても、ほぼ一定の知覚的な差を与えるように定めた均等色空間でCIELAB空間ともいう。ここで、L*はメトリック明度と呼ばれ、マンセル明度(V)をほぼ10倍した値に等しい。この測定値が大きいほど、色の明るさが大きい。また、a*及びb*は色相と彩度に関係する量である。L*、a*、b*は三刺激値X,Y,Zから次の計算式によって求められる。
*=116(Y/Yn)1/3−16a*=500[(X/Xn)1/3−(Y/Yn)1/3]
*=200[(Y/Yn)1/3−(Z/Zn)1/3]
但し、X/Xn,Y/Yn,Z/Znはいずれも0.008856よりも大きな値で、Xn,Yn,Znは標準の光の下の完全拡散面の三刺激値である。一般的に、a*の測定値が(+)側に大きいほど、赤味の度合いが大きく、測定値が(−)側に大きいほど、緑味の度合いが大きい。また、b*の測定値が(+)側に大きいほど、黄味の度合いが大きく、測定値が(−)側に大きいほど、青味の度合いが大きい。更に、c*は彩度を表し、測定値が大きいほど、色の鮮やかさが大きい。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】前記の表1及び表2に示された結果から、試験区1(比較例)に対し、本発明品の試験区2〜6であるクリコフ小麦粉を20重量%〜100重量%配合した焼きそばは、比較例に対し黄色味を強く呈し、鮮やかな冴えのある色合いを呈した。このことは色彩測定値b*及びc*の値がクリコフ小麦粉の配合比率が高いほど大きくなっていることが理解できる。また、粘弾性が優れていて、歯切れのよい硬さを持った滑らかな食感となり、食味、総合評価もクリコフ小麦粉の配合比率が高いほど良好であった。
【0025】実施例2:即席中華麺市販の準強力粉(水分14%、蛋白質10.5%、灰分0.40%)にクリコフ小麦粉を下記の表3に示す割合で添加して麺類用穀粉を調製した。この穀粉25kgに、かん水70g、クロシン25g、食塩450gを水8.7kgに溶解して得られた水溶液を加え、常法により、混捏、展延、複合、圧延して、厚さ0.9mmの麺帯にした後、#20丸の切刃を用いて切出し、麺線とした。
【0026】この麺線を蒸煮圧0.4kg/cm2で2分間蒸煮し、この蒸煮麺を82g枠詰め整形し、次いで、温度142℃のパーム油を用いて40秒間油揚げ乾燥処理し、即席中華麺を得た。
【0027】この即席中華麺の官能検査結果を下記の表3に、また、色彩測定結果を下記の表4にそれぞれ示す。官能検査は麺をカップ容器に入れ、熱湯を満たし、3分間経過後、パネラー10人で官能評価をし、その評価値の平均点で表した。評点5は「大変良い」、評点4は「良い」、評点3は「普通」、評点2は「悪い」、評点1は「非常に悪い」を示す。色彩測定は実施例1と同様に行った。
【0028】
【表3】

【0029】
【表4】

【0030】前記の表3及び表4に示された結果から、試験区1(比較例)に対し、本発明品の試験区2〜6であるクリコフ小麦粉を20重量%〜100重量%配合した即席中華麺の色合いは、油揚げ処理即席中華麺の特徴であるスナック菓子的な焼き色を伴った黄金色を呈し、非常に好ましいものであった。このことは、表4に示された色彩測定値a*が(+)側にシフトし、赤味が大きくなっていることで理解できる。L*、b*、c*の値には大きな差がなかった。また、粘弾性が優れていて、しっかりした煮伸びの少ない、適度な硬さを持った食感を有していた。
【0031】実施例3:澱粉類を併用した即席中華麺クリコフ小麦粉に、実施例2で使用されたものと同じ市販の小麦粉と、市販の小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチを下記の表5に示す割合で添加し、麺類用穀粉を調製した。この穀粉25kgにかん水70g、クロシン25g、食塩450gを水8.7kgに溶解して得られた水溶液を加え、常法により、混捏、展延、複合、圧延して、厚さ0.9mmの麺帯にした後、#20丸の切刃を用いて切出し、麺線とした。
【0032】この麺線を蒸煮圧0.4kg/cm2で2分間蒸煮し、この蒸煮麺を82g枠詰め整形し、次いで、温度142℃のパーム油を用いて40秒間油揚げ乾燥処理し、即席中華麺を得た。この即席中華麺の官能検査結果を下記の表5に示す。官能検査は実施例2に述べた方法と同じ方法で実施した。
【0033】
【表5】

【0034】表5に示された結果から明らかなように、試験区1〜2及び11〜12の比較例に対して、本発明品である試験区3の即席中華麺は、小麦澱粉の配合量が少なく、クリコフ小麦粉との相乗効果を十分引き出すことができなかった。試験区4〜10はクリコフ小麦粉と各種澱粉の併用効果によって優れた粘弾性と滑らかでしっかりした硬さを伴った食感を有し、良好な食味を呈した。また、色合いの点でも、黄色味のある黄金色を強く呈し、従来にない優れた即席中華麺が得られた。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のクリコフ小麦粉を含む麺類用穀粉を用いれば、更に、この穀粉に澱粉類を添加して併用すれば、得られた麺が光沢のある黄色から黄金色を呈し、しかも、粘弾性豊かな食感を有する特徴ある麺類を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000244109
【氏名又は名称】明星食品株式会社
【出願日】 平成10年9月11日(1998.9.11)
【代理人】 【識別番号】100079555
【弁理士】
【氏名又は名称】梶山 佶是 (外1名)
【公開番号】 特開2000−83609(P2000−83609A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−257748