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【発明の名称】 食品用添加剤
【発明者】 【氏名】佐藤 学

【氏名】新居 賢紀

【氏名】木村 輝行

【氏名】山口 浩明

【要約】 【課題】良好な風味を与え、保存安定性にも優れた粉末状又は顆粒状の食品用添加剤を提供する。

【解決手段】蛋白変性度が15%以上の蛋白質粉末とリン脂質を混練して得られる、水分含量が15重量%以下である粉末状又は顆粒状の食品用添加剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蛋白変性度が15%以上の蛋白質粉末とリン脂質を混練して得られる、水分含量が15重量%以下である粉末状又は顆粒状の食品用添加剤。
【請求項2】 蛋白質粉末の蛋白変性度が20〜30%である請求項1記載の食品用添加剤。
【請求項3】 蛋白質粉末とリン脂質の比率が0.5 /1〜100 /1(重量比)である請求項1又は2記載の食品用添加剤。
【請求項4】 明細書本文に規定する複合化率が10〜20%である請求項1〜3の何れか1項記載の食品用添加剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な風味を与える粉末状又は顆粒状の食品用添加剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】食品が有する風味は、食生活に豊かさ、満足感を与える上で重要な因子のひとつであり、風味を向上させるために色々な試みがなされてきている。他方、食品の多くは、経時的に安定性が低下し、例えば、風味が低下するに伴って腐敗臭や酸敗臭などの異臭が生じ、食品の価値を著しく損なうことは日常よく経験する。食品の風味を豊かに維持する為に、脂質類と蛋白質を単なる混合物として利用した食品用添加剤(特開昭63−22172号公報)、乳化油脂組成物として利用した食品用添加剤(特開昭57−26540号公報)が提案されている。しかしながら、これらの添加剤は、風味発現の上である程度初期の目的を達成するが、経時的な安定性をみると腐敗臭あるいは酸敗臭を伴う等、一定の風味を長期に渡って維持する上で未だ十分ではない。また、特開平6−133722号公報では、脂質と蛋白質を混合する際に水分量を多くすることによって好適な混合を図ることが示されているが、得られた食品用添加剤は保存性が悪く、調製後速やかに使用する必要があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の蛋白質粉末とリン脂質を混練して得られる食品用添加剤が、良好な風味を与え、保存性もよいことを見出した。即ち、本発明は、蛋白変性度が15%以上の蛋白質粉末とリン脂質を混練して得られる、水分含量が15重量%以下である粉末状又は顆粒状の食品用添加剤である。
【0004】
【発明の実施の形態】蛋白質としては、カゼイン、レンネットカゼイン、酸カゼイン、ホエー蛋白、ラクトアルブミン、全脂粉乳、卵白粉末、卵黄粉末等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられるが、特にホエー蛋白及びラクトアルブミンが好ましい。本発明で用いられる蛋白質は、蛋白変性度が15%以上、好ましくは20〜30%のものである。蛋白変性度が15%未満のものを用いた場合、得られる食品用添加剤の風味向上効果が低い。ここで、蛋白質の変性度は、ゲル濾過法により分画を行った場合の高分子画分を変性部とみなして定量した。即ち、分子量270,000 以上の可溶性凝集体の部分を高分子画分とし、蛋白変性度の指標とした。
[測定条件]
使用カラム :TSKgel G3000 SWxl(東ソー(株)製)
溶媒 :0.1mol/lリン酸Naバッファー(pH6.5 )+0.3mol/l N aCl ポンプ流量 : 0.5ml/min 検出波長 :280nm サンプル溶液 :5mg/ml サンプリング量:20μl また、分子量は以下の蛋白質を用いた検量線より読みとった。
チログロブリン(分子量650,000 )
γ−グロブリン(分子量156,000 )
牛血清アルブミン(分子量69,000)
オブアルブミン(分子量45,000)
上記方法により市販のラクトアルブミン(太陽化学(株)製、サンラクトシリーズ)について、蛋白変性度を測定した結果は以下の通りである。
サンラクトN−21;22.7%サンラクトN−2 ;16.8%サンラクトN−5 ;14.4%サンラクトN−12;18.9%サンラクトI−1 ; 1.9%本発明に用いられるリン脂質としては、大豆等の植物あるいは卵黄等の動物起源のレシチンあるいはそれらを精製処理、酵素処理して得られるものが挙げられる。中でもペースト状レシチンが好ましい。
【0005】蛋白質とリン脂質の配合比率は、風味発現の観点から0.5 /1〜100 /1(重量比)が好ましく、更に好ましくは1/1〜10/1(重量比)である。
【0006】本発明では、蛋白質粉末とリン脂質を混練するに際し、下記の測定法による複合化率が10%以上、特に10〜20%となるように混練することが好ましい。
[複合化率の測定法]蛋白質粉末とリン脂質の混練物10g(その中のリン脂質の重量を■とする)と蒸留水90gを充分に混合し、次いでロータリーミキサーを用いて、200rpm、30分、25℃の条件で混合する。混合後、遠心分離(100000×g、60分、5℃)し、その上澄みのリン脂質量を測定する。この複合化していないリン脂質の重量を■とし、下記式により複合化率を求めた。
複合化率(%)=(■−■)/■×100複合化率が10%以上で、風味の発現効果が強い。但し、過度の複合化は雑味成分をも強めるため、風味のバランスを損ねてしまう場合がある。このような複合化率を達成するには、混練機を用いて適度に混練すればよい。混練機としては、回分式ニーダー、回分式プラネタリーミキサー、連続式ニーダー及び多軸の押出機等を用いることができる。例えば、回分式ニーダーの場合、50rpm では10〜30分、100rpmでは5〜10分程度の混練が適当である。
【0007】また、本発明の食品用添加剤の水分含有量は、15重量%以下、好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは3〜8重量%である。水分含有量が多いと保存性能が著しく低下してしまう。この水分は原料由来でも、また混練しやすくなるように添加してもよい。
【0008】本発明の食品用添加剤には、混練しやすくなるように、液状のモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド等の他の脂質類、プロピレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の食品用乳化剤を添加してもよい。
【0009】本発明の食品用添加剤が適用できる食品としては、例えば冷凍擂身、擂身、竹輪、サツマアゲ、魚畜ソーセージ、ハンバーグ、肉ダンゴ等の各種肉製品、粉末スープ、ミートソース、トマトケチャップ、マヨネーズ、マスタード、ドレッシング、たれ類、カレー、カレールー、ピーナッツバター等の各種調味料、パン、、ドーナツ、まんじゅう、焼き菓子、ケーキ、クッキー、カスタードプディング、ホットケーキミックス、めん類等の各種小麦粉製品、乳製粉末飲料、アイスクリーム、ヨーグルト、シャーベット等の各種乳製品、コーヒー、紅茶、清涼飲料、ココア等の各種飲料等が挙げられる。これらの中でも、特にパン(とりわけ食パン)、焼き菓子、ケーキ、クッキー、ホットケーキミックス等の小麦粉を用いた食品に利用すると顕著な効果が得られる。
【0010】
【実施例】実施例1ラクトアルブミン(太陽化学(株)製、サンラクトN−21;蛋白変性度22.7%)70gに市販のペースト状大豆レシチン(日清製油(株)製、日清レシチンDX)30gを加え、ニーダーを用いて50 rpmで15分間室温で混練し、粉末状の添加剤100 gを得た。この添加剤の複合化率は12%、水分含量は7.2 重量%であり、20℃で6ヶ月保存しても安定であった。この添加剤1.5 重量部を加えた小麦粉500 重量部、ベーキングパウダー10重量部、砂糖500 重量部、全卵650 重量部、起泡性乳化脂75重量部、水100 重量部の配合組成で常法によりスポンジケーキを製造した。このスポンジケーキは、釜伸びが良く、ふんわりと焼き上がった。また、風味も良好であり、食感もしっとりとしていた。
【0011】比較例1実施例1において、添加剤1.5 重量部に代えて上記ラクトアルブミン1.05重量部及び上記市販レシチン0.45重量部を小麦粉に加えた他は全く同様にしてスポンジケーキを製造した。このスポンジケーキは、実施例1のものに比べ釜伸びが悪く、乳化剤臭が強く感じられた。また、食感もぱさついており、実施例1のものに比べ著しく劣っていた。
【0012】比較例2実施例1において、ラクトアルブミンとして、サンラクトN−5(太陽化学(株)製、蛋白変性度14.4%)を用いた以外は同様にして複合化率13%、水分含量8.0 重量%の添加剤を得て、同様にスポンジケーキを製造した。このスポンジケーキは、実施例1のものに比べ釜伸びが悪く、乳化剤臭が強く感じられた。また、食感もぱさついており、実施例1のものに比べ著しく劣っていた。
【0013】
【発明の効果】本発明の食品用添加剤は、例えば、スポンジケーキの製造に用いた場合、蛋白質及びリン脂質をそのまま配合した場合に比べ、乳化剤臭がマスキングされ風味が顕著に向上し、食感もしっとりとし、ぱさつき感が生じない。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成10年9月9日(1998.9.9)
【代理人】 【識別番号】100063897
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 馨 (外3名)
【公開番号】 特開2000−83604(P2000−83604A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−254761