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【発明の名称】 ソフトカプセル剤
【発明者】 【氏名】石川 俊光

【氏名】和田 伸行

【氏名】川口 二男

【氏名】嘉島 康二

【要約】 【課題】ソフトカプセル剤の充填調製液(薬液)に油脂や乳化剤を含有しないか、含有しても従来のソフトカプセル剤に比較して低濃度でカプセル化ができるカプセル剤を提供すること。

【解決手段】ソフトカプセル剤の薬液の成分組成の総和を基準として5〜90重量%の食物繊維を含むソフトカプセル剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ソフトカプセル剤の薬液の成分組成の総和を基準として5〜90重量%の食物繊維を含むソフトカプセル剤。
【請求項2】 ソフトカプセル剤の薬液の成分組成の総和を基準として5〜60重量%の食物繊維を含む請求項1記載のソフトカプセル剤。
【請求項3】 植物繊維が極微細化された植物繊維または水溶性食物繊維である請求項1または2記載のソフトカプセル剤。
【請求項4】 分散安定剤を実質的に含有しない、請求項1から3の何れか1項記載のソフトカプセル剤。
【請求項5】 油脂または油溶性原料を実質的に含有しない、請求項1から4の何れか1項記載のソフトカプセル剤。
【請求項6】 ソフトカプセル剤の薬液の成分組成の総和を基準として50重量%以下の油脂または油溶性原料をさらに含有する請求項1から4の何れか1項に記載のソフトカプセル剤。
【請求項7】 ソフトカプセル剤の薬液の成分組成の総和を基準として、5〜90重量%の食物繊維と1〜80重量%の難油溶性原料とから実質的に成る請求項5に記載のソフトカプセル剤。
【請求項8】 ソフトカプセル剤の薬液の成分組成の総和を基準として、5〜60重量%の食物繊維と1〜70重量%の難油溶性原料と1〜50重量%の油脂または油溶性原料とから実質的に成る請求項6に記載のソフトカプセル剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品、医薬品及び化粧品等のソフトカプセル剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、食品、医薬品および化粧品の分野においては、油脂原料や油溶性原料および油溶性香料などがゼラチンカプセル皮包剤に充填して販売されている。このようなカプセルは、一定量の成分を手軽に摂取できたり、1回の使用量を手軽に持ち運びできる点で便利である。またこのようなカプセル剤は、内容成分が空気に触れないため、成分の安定性を保つことができる。
【0003】ソフトカプセル剤の薬液は、一般的には、油脂原料薬液と、油脂原料に有効性成分エキスや有効性成分粉末を含有させ適当な乳化剤で懸濁安定させた薬液とをソフトカプセルに充填して製造する。ソフトカプセル剤の製造方法には、ロータリー式、シームレス式、平板式がある。
【0004】しかしながら、従来の方法で作られたソフトカプセル剤は、内容原液の調製製造に時間がかかり作業性・生産性が悪いこと、生産コストが高いこと、あるいは油脂を比較的多量に含むため摂取されるカロリーが過剰になる可能性がある、などの欠点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的の一つは、従来のソフトカプセル製品に含有されていた油脂及び乳化剤を全く含有しないか、あるいは極低濃度で含有するソフトカプセル剤を提供することである。
【0006】本発明の別の目的は、ソフトカプセル剤の摂取によるカロリーを低減化し、かつ食物繊維を同時に摂取することを可能とするソフトカプセル剤を提供することである。
【0007】本発明のさらに別の目的は、向上した生産性を有し、生産コストが低減化されたソフトカプセル剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ソフトカプセル剤の薬液成分中に一定量の食物繊維を配合することにより上記した通りの所望の性能を有するソフトカプセル剤が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】即ち、本発明によれば、ソフトカプセル剤の薬液の成分組成の総和を基準として5〜90重量%の食物繊維を含むソフトカプセル剤が提供される。本発明のソフトカプセル剤は好ましくは、ソフトカプセル剤の薬液の成分組成の総和を基準として5〜60重量%の食物繊維を含む。
【0010】本発明のソフトカプセル剤中で使用される植物繊維は、好ましくは極微細化された植物繊維である。本発明の一実施態様によれば、本発明のソフトカプセル剤は分散安定剤を実質的に含有しない。本発明の一実施態様によれば、本発明のソフトカプセル剤は油脂または油溶性原料を実質的に含有しない。本発明の別の実施態様によれば、本発明のソフトカプセル剤は、ソフトカプセル剤の薬液の成分組成の総和を基準として50重量%以下の油脂または油溶性原料をさらに含有する。
【0011】本発明の一実施態様によれば、ソフトカプセル剤の薬液の成分組成の総和を基準として、5〜90重量%の食物繊維と1〜80重量%の難油溶性原料とから実質的に成るソフトカプセル剤が提供される。本発明の別の実施態様によれば、ソフトカプセル剤の薬液の成分組成の総和を基準として、5〜60重量%の食物繊維と1〜70重量%の難油溶性原料と1〜50重量%の油脂または油溶性原料とから実質的に成るソフトカプセル剤が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のソフトカプセル剤の特徴の一つは、ソフトカプセル剤の薬液の成分組成の総和を基準として5〜90重量%の食物繊維を含むことである。本発明に使用する食物繊維は好ましくは、従来の食物繊維とは異なり、極微細化された植物繊維または水溶性食物繊維で、食品原料として安価に入手することができるので供給に問題はない。
【0013】食物繊維の使用量は一般的には、ソフトカプセル剤薬液成分組成の総和を基準として5〜90重量%である。この範囲の含有量で植物繊維を使用することにより好適な懸濁化原液を製造することができる。好ましくは、植物繊維の使用量は5〜60重量%であり、この場合には、より十分に安定性が保たれた懸濁化原液を製造することができる。
【0014】また、本発明のソフトカプセル剤中の薬液に処方される原料としては、現在、食品、医薬品または化粧品に処方される任意の粉末原料、エキス原料または油脂原料の何れも適用可能である。
【0015】本発明に使用する難油溶粉末原料および難油溶性軟調エキス原料としては、キトサン、水溶性ビタミン、動植物粉末、食物繊維、生薬エキス粉末、動植物エキス、ミネラル等が挙げられる。
【0016】これらの難油溶性粉末原料(平均粒径が60Mesh〜200Mesh Pass)と難油溶性軟調エキス(水分およびアルコールが50%以下)は、ソフトカプセル剤内容成分組成総量を基準として1〜70重量%配合することが好ましく、5〜60重量%が特に好ましい。
【0017】粉末原料や軟調エキス原料の配合量が少ないと製造上は容易となるが、原料の効果を十分に期待する量を摂取するために、ソフトカプセル剤自体の摂取量が増加するという欠点がある。50重量%を超えた量を配合する場合には、製造作業が複雑化したり作業性が悪くなり、更に配合した懸濁化原液の安定性にも問題を生じる。
【0018】本発明のソフトカプセル剤は、薬液に乳化剤を実質的に含有しない。「実質的に含有しない」とは、含有しないか、含有したとしても従来のソフトカプセル剤より遥かに低い濃度であることを意味する。
【0019】本発明のソフトカプセル剤は、油脂および油溶性原料を含有してもよく、含有しなくてもよい。油脂および油溶性原料を含有しない場合には、これらは全て食物繊維に置き換えられるわけであるが、この場合は、油脂原料や油溶性原料の効果が無くなるという問題がある。しかし、その反面、油脂原料由来のカロリーを低減化することができ、また食物繊維を多量に摂取できるという効果が得られる。また、油脂および油溶性原料を含有する場合でも、その含有量は一般的には従来のソフトカプセル剤より低い。
【0020】また、本発明に使用する食用油および油溶性原料としては、ボラージ油、月見草油、シソ油、DHA・EPA含有精製魚油、肝油、オリーブ油、サフラワー油、卵黄油等の動植物性食用油脂や、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンD、力ロチノイド類等の油溶性原料が挙げられる。
【0021】本発明に使用する油脂および油溶性原料の配合量は、ソフトカプセル剤内容成分組成物の総量を基準として1〜50重量%であることが好ましい。懸濁化原液を製造する際に用いる難油溶性粉末原料、難油溶性軟調エキスと食物繊維および油溶性原料を加えた配合によって懸濁化したソフトカプセル内容原液は、従来販売されている懸濁化原液より優れた安定性を有している。
【0022】また、ソフトカプセル皮包材としては、一般的にゼラチン、グリセリン、砂糖等を組み合わせたものが挙げられる。皮包材に配合できる他の成分としては、卵殻カルシウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラメル、カラギーナン、デンプン、香料等が挙げられる。
【0023】本発明のソフトカプセル内容懸濁化原液を調整する際には、難油溶性粉末原料・難油溶性軟調エキス原料を、食物繊維および油脂原料・油溶性原料と配合し、ホモジェッター等の高速攪拌機または高速粉砕機で20〜30分攪拌処理し均一化する。この処理の際、高速粉砕機および高速攪拌機の回転数は、4,000〜6,000rpm/minである。
【0024】この方法で調整した懸濁化原液は、食物繊維の作用により、従来のミツロウとグリセリン脂肪酸エステルなどの懸濁化安定剤(乳化安定剤)を用いた懸濁化原液より優れた安定性を保っている。
【0025】また、製造作業性の面でも格段の改善が見られ、作業時間の短縮が可能となった。この様な条件で製造したソフトカプセル剤は、カプセルシール面からの液漏れを起こすことなく、懸濁化原液の経日安定性に優れ、品質の向上に役立った。
【0026】
【実施例】以下の実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。実施例に先立ち、各実施例に用いた試験方法について説明する。
【0027】試験法1:懸濁化原液の分散安定性試験配合調整して製造した懸濁化原液を直径lcm、深さ10cm程度のガラス製透明容器に入れ、栓をして温度50℃の恒温器に保管して、懸濁化原液の分散安定性を24時間後、48時間後、72時間後、1ヶ月後、3ヶ月後にそれぞれ観察した。また、遠心分離用のスピッツに懸濁化原液を入れ、3,000rpm/minで1分間処理して分散安定性を観察した。
【0028】試験法2:懸濁化原液含有ソフトカプセル剤の経日安定性試験懸濁化原液を含有するソフトカプセル剤を製造し、ガラス容器に100粒程度入れ、密栓し、温度40℃、湿度75%の恒温恒湿器で保存し、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後にそれぞれ外観、臭い、色調、懸濁化状態、液漏れ等について調べた。
【0029】実施例1:表1の成分組成に基づいて懸濁化原液を製造した。難油溶性原料である生ローヤルゼリーに食物繊維を加え、ホモジェッターの回転を徐々に増加させ、4,000×rpm/minで15分間処理し均一化した(このときの温度は4 0℃程度で行った)。
【0030】ここで調製した懸濁化原液を720mm/Hgで脱泡した。脱泡した懸濁化原液をロータリー式ソフトカプセル製造機でソフトカプセル化し、サポジトリー型のソフトカプセルを得た。
【0031】比較例1:油脂原料であるサフラワー油に、加温溶解した分散安定剤であるグリセリン脂肪酸エステルおよびミツロウを加え、温度65±2℃でホモジェッターを用いて徐々に回転数を上げ、6,000rpm/minで約20分間攪拌して均一化した。
【0032】均一化した中間懸濁化原液を40℃以下まで室温にて冷却し半固形状にした。半固形状になった中間懸濁化原液に、難油溶性原料である生ローヤルゼリーを練り込みながら加えて、ホモジェッターが使用可能な状態にした。ホモジェッターが使用可能な状態になったことを確認した後に、ホモジェッターの回転を徐々に増加させ、6,000rpm/minで約30分間攪拌して懸濁化原液とした。
【0033】ここで調製製造した懸濁化原液を720mm/Hgで脱泡した。脱泡した懸濁化原液をロータリー式ソフトカプセル製造機でソフトカプセル化し、サポジトリー型のソフトカプセルを得た。
【0034】
【表1】

【0035】実施例1および比較例1で示したように、難油溶性原料である生ローヤルゼリーを高含有にするには、非常に困難を伴う。
【0036】一般的には、30%含有が限度であるが今回の実施例1で示したように、食物繊維を配合することによって生ローヤルゼリーを60%と含有させることができた。しかも油脂原料と懸濁安定剤であるミツロウ、脂肪酸グリセリンエステル等の乳化剤を含有させることなく、懸濁安定性に優れた懸濁化原液が製造でき、しかも経日安定性と品質に優れた懸濁化原液含有ソフトカプセル剤が製造可能となった。
【0037】実施例2:表2の成分組成で、実施例1と同様に油脂原料と食物繊維とを均一化したものに、難油溶性原料の順で調製して製造した。また、本成分組成中の難油溶性粉末原料が50%を越えているにもかかわらず、製造作業性やソフトカプセルシール面の不良、経日安定性、液漏れ、懸濁安定性などの点で問題なかった。
【0038】
【表2】

【0039】
【発明の効果】本発明は、難油溶性粉末原料および難油溶性軟調エキス原料を高含有に配合でき、しかも油脂及び乳化剤を配合しないか、配合しても極少量の配合でソフトカプセル剤を提供できる。
【0040】また、本発明により水分を高濃度に含む難油溶性原料や難油溶性粉末原料と油溶性原料の分散性を高め、経日安定性に優れた懸濁化原液含有ソフトカプセル剤の製造が可能となり、品質面で優れたソフトカプセル剤の提供ができる。
【出願人】 【識別番号】594069580
【氏名又は名称】株式会社三協
【出願日】 平成10年9月11日(1998.9.11)
【代理人】 【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
【公開番号】 特開2000−83601(P2000−83601A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−258981