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【発明の名称】 カプセル剤
【発明者】 【氏名】石川 俊光

【氏名】和田 伸行

【氏名】川口 二男

【氏名】嘉島 康二

【要約】 【課題】カプセル製品同士の付着を防止でき、かつ水分やアルコールを高濃度に含むカプセル内容充填原液(薬液)の充填を可能とし、生産コストを低減できるカプセル剤を提供すること。

【解決手段】カプセル剤の皮膜成分組成物の総和を基準として1〜60重量%の低糖化ポリデキストロースを皮膜成分中に含むカプセル剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カプセル剤の皮膜成分組成物の総和を基準として1〜60重量%の低糖化ポリデキストロースを皮膜成分中に含むカプセル剤。
【請求項2】 カプセル剤の皮膜成分組成物の総和を基準として5〜40重量%の低糖化ポリデキストロースを皮膜成分中に含む請求項1記載のカプセル剤。
【請求項3】 水またはアルコールの含有量が高いエキスを充填成分として含有する、請求項1または2記載のカプセル剤。
【請求項4】 カプセル剤の皮膜成分組成物の総和を基準として、1〜60重量%の低糖化ポリデキストロース、 5 〜60 重量%のゼラチン、5 〜50重量%のグリセリン、および 30 〜60 重量%の水を皮膜成分中に含む請求項1から3の何れか1項に記載のカプセル剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカプセル剤に関する。より詳細には、本発明は、カプセル製品同士の付着性を改善あるいは防止でき、また生産コストを低減できるカプセル剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、食品、医薬品および化粧品の分野においては、油脂原料や油溶性原料および油溶性香料などがゼラチンカプセル皮包剤中に充填されて販売されている。このようなカプセル剤は、一定量の成分を手軽に摂取できたり、1回の使用量を手軽に持ち歩くことができるため便利である。またカプセルの内容成分は空気に触れないため、内容成分の安定性を保つことができる点でも、カプセル剤は有効な手段である。
【0003】カプセル剤の皮膜は、一般にゼラチンとグリセリンまたは適当な防腐剤(安息香酸ブチル等)や甘味料(砂糖やソルビトール等)から構成されている。これらの成分から構成されるカプセル剤は、皮膜同士の付着性が経時的に高まり、保存時にカプセル剤同士が付着する傾向がある。
【0004】また、製品の保存温度が40℃を越えた場合には、製品同士の付着性が著しく増加する。そのため、飲用時にカプセルを容器から必要量取り出すのが困難になったり、製品のカプセル剤皮膜が破壊されることがある。更に、充填原液中に水やアルコールなどが高濃度で含まれている場合は、カプセル皮膜の乾燥時間が著しく長くなるために、作業効率が悪くなる。更にまた、製品の乾燥仕上がり状態において、形状が変形してしまうなどの問題もある。
【0005】これらの欠点を補う手段として、ゼラチンに他の物質を混合してゼラチンの欠点を補うことにより、優れた性質を持つカプセル剤を製造しようとする技術が報告されている。
【0006】これらの報告では、カプセル剤皮膜に小麦粉、乳性蛋白、セルロース、カルシウム、カラギーナンまたは寒天等を加え、カプセル同士の付着性を改善している。しかし、このようなカプセル剤は、不透明感のある曇りガラス状の製品となってしまう。そのためカプセル剤の特性の一つである内容原液の色をカプセル剤に反映できなかったり、透明な光沢あるカプセル剤を製造することができない。また、透明なカプセル剤を製造しようとすれば、製造コストが高くなったり、充填原液に高水分・高アルコール含有成分を使用できなくなるなどの欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的の一つは、食品、医薬品または化粧品などの用途で使用するための経時的に安全なカプセル剤を提供することである。本発明の別の目的は、カプセル製品同士の付着が防止または改善されたカプセル剤を提供することである。本発明のさらに別の目的は、高水分または高アルコール分を有する充填成分を含有することができるカプセル剤を提供することである。
【0008】本発明のさらに別の目的は、仕上がり状態で透明で光沢あるカプセル剤を提供することである。本発明のさらに別の目的は、ポリデキストロース含有のカプセル剤皮膜の褐変を防止して、経日安定性に優れたカプセル剤を提供することである。本発明のさらに別の目的は、生産コストを低減化できるカプセル剤を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ソフトカプセル剤皮膜の組成物総量を基準として1〜60重量%の低糖化ポリデキストロースをゼラチン溶液作成時に加えて溶解したゼラチン溶液を作成し、従来のカプセル剤皮作成方法でカプセル剤を製造した場合に、上記したような良好な性能を有するカプセル剤が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】即ち、本発明によれば、カプセル剤の皮膜成分組成物の総和を基準として1〜60重量%の低糖化ポリデキストロースを皮膜成分中に含むカプセル剤が提供される。低糖化ポリデキストロースの含有量は好ましくは、カプセル剤の皮膜成分組成物の総和を基準として5〜40重量%である。
【0011】本発明の一実施態様によれば、水またはアルコールの含有量が高いエキスを充填成分として含有するカプセル剤が提供される。本発明の一実施態様によれば、カプセル剤の皮膜成分組成物の総和を基準として、1〜60重量%の低糖化ポリデキストロース、5〜60重量%のゼラチン、5〜50重量%のグリセリン、および 30〜60重量%の水を皮膜成分中に含むカプセル剤が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に使用する低糖化ポリデキストロースは、従来使用されてきたポリデキストロースと異なり、成分組成中に含まれるショ糖含有量を1%以下にした製品である。これは、エネルギーが1Kcal/g以下と低エネルギー化した食物繊維として商品が流通しているので、原料としての供給には問題がない。また、カプセルに充填する薬液は、従来知られている全ての薬液原料が適用できる。
【0013】本発明のソフトカプセル皮膜溶液調整方法は、従来行われているカプセル皮膜剤の調整方法と何ら変わることなく行える。例えば、カプセル剤皮は、ロータリー式、シームレス式または平板式などの任意の製造方法を使用して製造することができる。
【0014】
【実施例】以下の実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。実施例の説明に先立ち、各実施例に用いた試験方法について説明する。
【0015】試験法1:カプセル剤皮の付着性試験実施例で製造したソフトカプセル(A)と従来の技術で製造したソフトカプセル(B)とを用いて、ソフトカプセル同士の付着性について検討した。AおよびBの製品を密栓したガラス容器に一定量入れて、温度40℃、湿度75%で一定期間(48時間)おいた後に室温まで自然放冷し、その後、静かに容器を逆さにして静置したときに落下したソフトカプセルの数を比較した。(このときのA及びBのソフトカプセルの皮膜水分は、両者とも一定とした。)
【0016】また、皮膜の経時安定性試験は、医薬品と同様な加速試験(保存条件:温度40℃、湿度75%)を、製造時、3ヶ月後(1.5年に相当)、6ヶ月後(3年に相当)に行った。
【0017】実施例1:ゼラチン70重量部に対して低糖化ポリデキストロース30重量部の配合に対して、グリセリン30重量部および精製水80重量部を加え、温度70℃で完全に溶解するまで攪拌した。
【0018】溶解を確認後、真空下で脱泡し、皮膜溶液を60Meshで篩過して皮膜溶液とした。上記で調製した皮膜溶液を使用し、ロータリー式ソフトカプセル製造機を用いてソフトカプセルを製造し、Oval型ソフトカプセル得た。
【0019】比較例1は、ゼラチン100重量部にグリセリン30重量部及び精製水80重量部を加え、上記の条件で皮膜液を調製したものを用い、Oval型ソフトカプセルを得た。
【0020】比較例2は、ゼラチン70重量部にグリセリン30重量部及び精製水80重量部を加え、更にポリデキストロース30重量部を加えて、上記の条件で皮膜液を調製したものを用い、Oval型ソフトカプセルを得た。尚、ソフトカプセル充填薬液は、A,Bともに大豆油である。
【0021】
【表1】

【0022】実施例1のソフトカプセル皮膜の乾燥時間は、比較例1に比較して約16時間短縮された。またカプセル同士の付着性は、実施例1及び比較例2が、比較例1に比較して有意に改善され、付着の防止効果が認められた。また比較例2では褐色変化が認められたが、実施例1では褐色変化は認められなかった。
【0023】以上から、本発明の低糖化ポリデキストロースを含有する皮膜は、乾燥時間が短く、カプセル同士の付着性も防止でき、褐色変化を完全に防止できることが認められた。
【0024】
【実施例2】ゼラチン70重量部に対して低糖化ポリデキストロース30重量部の配合に対して、グリセリン30重量部および精製水80重量部を加え、温度70℃で完全に溶解するまで攪拌した。
【0025】溶解を確認後、真空下で脱泡し、皮膜溶液を60Meshで篩過して皮膜溶液とした。上記で調製した皮膜溶液を使用して、ロータリー式ソフトカプセル製造機を用いてソフトカプセルを製造し、Oval型ソフトカプセルを得た。
【0026】比較例3は、ゼラチン100重量部にグリセリン30重量部及び精製水80重量部を加え、上記の条件で皮膜液を調製したものを用い、Oval型ソフトカプセルを得た。
【0027】
【表2】

【0028】実施例2及び比較例3の結果から、充填薬液に高水分のエキスを含有する製品の製造に関して、製造工程時間(乾燥時間)の著しい短縮が可能となった(比較例3では60時間であるのに対し、実施例2では32時間である)。また、実施例2のカプセルは懸濁化原液の安定性に優れ、経日安定性にも優れていた。
【0029】
【発明の効果】低糖化ポリデキストロースを含有するソフトカプセル皮膜は、従来のソフトカプセルと異なり、ソフトカプセルのカプセル同士の付着性が改善され一般的なソフトカプセル剤で問題視されていた付着が防止できる。しかも水分やアルコールを高い割合で含む充填原液(薬液)を充填する際の乾燥工程時間を短縮することができる。
【0030】従来のソフトカプセルにおいては、カプセル同士の付着性を改善することによって、ソフトカプセルの特徴である透明性を失い、外観上曇りガラス状になっていた。しかし、本発明のカプセルは、カプセル同士の付着性が改善されるとともに、透明性にも優れている。
【0031】また本発明のカプセルでは、従来のカプセルに比較して、製造時の乾燥工程時間が短縮できる。これにより、経済的効果も大きい。
【出願人】 【識別番号】594069580
【氏名又は名称】株式会社三協
【出願日】 平成10年9月11日(1998.9.11)
【代理人】 【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
【公開番号】 特開2000−83600(P2000−83600A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−258980