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【発明の名称】 海苔異物除去装置
【発明者】 【氏名】建部 司

【要約】 【課題】簡易な構成で異物除去能力を大きくする。

【解決手段】複数の環状体12を生海苔の厚みより大きな隙間13を有するように並設して成る筒状体7の端部を塞いで異物分離器5を構成し、その異物分離器5を海苔混合液を貯留可能な供給室1a内に配設し、各隙間13に夫々プレート状の掻出し部材45の一部を臨ませ、それらの掻出し部材45を一部が隙間13に臨んだ状態で環状体12に沿って相対的に回動可能に設け、隙間13に海苔混合液を通過させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 海苔混合液を隙間に通して異物を除去するための海苔異物除去装置において、複数の環状体を各相互間に全周に亘って生海苔の厚みより大きな隙間を有するように並設して成る筒状体の端部を塞いで異物分離器を構成し、その異物分離器の各環状体間の隙間に夫々プレート状の掻出し部材の一部を臨ませ、それらの掻出し部材を一部が隙間に臨んだ状態で環状体に沿って相対的に回動可能に設けて成る海苔異物除去装置。
【請求項2】 筒状体の軸芯を中心にして回動可能な支持腕を備え、その支持腕に各掻出し部材を筒状体の軸線方向へ変移可能に弾性部材を介して装着して成る請求項1記載の海苔異物除去装置。
【請求項3】 掻出し部材の回動方向側の縁部形状を回動方向に対して傾斜させ、隙間に付着している異物を隙間から外すようにした請求項1又は請求項2記載の海苔異物除去装置。
【請求項4】 筒状体の軸芯を中心にして回動可能な支持腕を備え、その支持腕に筒状体の軸芯方向へ弾性変形可能な薄板状の各掻出し部材を装着して成る請求項1記載の海苔異物除去装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】この発明は、生海苔と水(海水を含む)を混合した海苔混合液から異物を除去するための簡易な海苔異物除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】味付け海苔や板海苔等の製品になる乾燥海苔は、海苔混合液を抄造、脱水、乾燥して製造しているが、海苔混合液の中に異物が含まれていると、その異物が乾燥海苔に含まれることになって乾燥海苔の品質を悪くするので、海苔製造業者から乾燥海苔に含まれる異物を除去することが要望されている。そこで、本願出願人によって海苔混合液から小エビや小貝等の異物を分離除去する海苔異物除去装置が開発され、その海苔異物除去装置が特開平6−121660号公報等によって開示されている。この海苔異物除去装置は、海苔混合液を貯留可能なタンク内に生海苔の厚みより僅かに大きい幅の隙間を有する異物分離器を配設し、異物分離器内の海苔混合液を吸引してタンク内の海苔混合液を隙間に通し、隙間より薄い生海苔のみ隙間に通過させ、それより大きな異物を隙間に通過させないようにして異物を分離除去するようにしてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来装置にあっては、異物分離器の製作に比較的多くの費用を必要とし、装置の製造コストが高くなり、また隙間に詰まった異物や生海苔を噴射水にて清掃するものは、異物除去を確実にできる利点はあるが、使用水量が多くなって運転コストの上昇を招き、隙間をブラシにて清掃するものは、隙間の清掃が不十分になり易く、異物除去能力が低下する問題があり、海苔業者からより安価でかつ処理能力の大きな装置が要望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記要望に応えるために、海苔混合液を隙間に通して異物を除去するための海苔異物除去装置において、複数の環状体を各相互間に全周に亘って生海苔の厚みより大きな隙間を有するように並設して成る筒状体の端部を塞いで異物分離器を構成し、その異物分離器の各環状体間の隙間に夫々プレート状の掻出し部材の一部を臨ませ、それらの掻出し部材を一部が隙間に臨んだ状態で環状体に沿って相対的に回動可能に設けて成ることを特徴としている。
【0005】
【発明の実施の形態】図1〜図4は海苔異物除去装置の実施態様を示し、1は海苔混合液を貯留可能な供給室1aを形成する供給タンク(以下タンク1と記す。)で、箱型に形成されている。このタンク1は支持枠2に支持されてその下方に収容空間3が形成されている。タンク1は上方が開放されているが、上方を開放可能な蓋部材で閉鎖した密閉状態の閉鎖タンクであっても良い。タンク1内には、直径1〜3mm程度例えば2mmの多数の小さな連通孔4aを有するパンチングプレートから成る平面形状八角形の仕切壁4が固定的に配設され、タンク1内を仕切壁4の内側の供給室1aと外側の異物貯留室1bに区分している。仕切壁4は八角形等の多角形のものを示しているが、平面形状が円形でも良い。仕切壁4内の供給室1aの中央部付近には、筒状体7の上下側が閉鎖されて内部に閉鎖室5a(排出室とも言う。)を有する異物分離器5が配設されている。
【0006】異物分離器5は、円筒状の筒状体7とその筒状体7の両端部を閉鎖する端板8、9とから構成されている分離容器10を備えている。筒状体7は、複数の薄板状の環状体12を互いに全周に亘って略同じ大きさの隙間13ができるように並設して設けられている。端板8、9は、円板状に形成され、周囲を4等分する位置に挿通孔8a、9aが設けられている。各環状体12は、図3に示すように断面形状が円環状に形成され、周囲を4等分する位置に中心側に張出す支持部12aが形成され、その支持部12aに前記挿通孔8a、9aに対応する挿通孔12bが設けられている。各環状体12は、薄板状の金属板を環状に切断して構成しているが、樹脂等の成形品で構成しても良い。各環状体12は、端板8、9の挿通孔8a、9aに挿通された連結ボルト18に各支持部12aの挿通孔12bが嵌合され、かつ各支持部12a間に前記連結ボルト18に自体の挿通孔16aを嵌合させた円形のスペーサ16を介在させて各環状体12間に生海苔の厚みより大きな環状の隙間13を生じるように積み重ねられ、連結ボルト18に螺合されたナット20によって締め付けて一体に結合されている。上記隙間13の大きさは、生海苔が一般に0.03mm〜0.3mm程度の厚みであるので、例えば約1mmにしてある。なお隙間13の大きさは、生海苔の厚みや大きさが採取時期や切断の仕方によって異なるので、上記数値に限定されるものではない。
【0007】異物分離器5の下側の端板9は、閉鎖室5aに連通するロート状の排出孔21を有し、その排出孔21がタンク1の底板1dに設けた排出孔22に重合するように底板1dに固着されている。異物分離器5は、図では6つの環状体12と上下の端板8、9を層状に積み重ねることで簡易に構成されており、その組立てを少ない人手で容易にでき、しかも環状体12の数を変えることで隙間13の数を容易に変えることができる。また、スペーサ16を厚さの異なるものと交換することで隙間13の大きさを容易に変えることができる。スペーサ16は、円形に限らず、角形でも良く、その形状に限定されない。
【0008】次に、25は異物分離器5の隙間13の詰まりを清掃する清掃装置として示す掻出し装置で、次のように構成されている。異物分離器5の上側の端板8に軸受27が固着され、この軸受27に回転軸28の下端が回転自在に支承されている。回転軸28の上部はタンク1の側板1cに固着された支持枠30に設けた軸受31によって回転自在に支持されている。回転軸28は、上部にスプロケット32が固着され、タンク1に設けられている駆動モータ33によってスプロケット34やチェーン35を介して一方向へ又は正逆方向へ回動されるようにしてある。
【0009】回転軸28の下端部には、直径方法に延びる支持腕40の中間部が固着され、その支持腕40の一端部に設けた取付孔40aに掻出しユニット41が締着されている。掻出しユニット41は、断面角形(図では六角形)の連結杆42の下端部に設けたねじ孔42aに係止鍔43aを有する止めねじ43を螺着し、その連結杆42にゴム等の弾性部材から成る筒状の挟持体44に設けた断面多角形(円形でも良い)の挿通孔44aと、ステンレス等の金属部材から成る掻出し部材として示す三角板状の掻出し板45に設けた断面角形(図では六角形)の挿通孔45aとを交互に複数個嵌合させると共に係止環46を嵌合させ、その係止環46を止めねじ47にて係止して挟持体44と掻出し板45を係止鍔43aとの間に挟持固定し、その後連結杆42の上端部に設けたねじ孔42bに支持腕40の取付孔40aに挿通した取付ねじ48を螺合させて連結杆42の上端部を支持腕40に固着し、各掻出し板45の先端部を異物分離器5の隙間13に臨ませて構成されている。
【0010】掻出し板45は、隙間17の大きさより僅かに小さな厚みの平板によって構成され、その掻出し板45の先端部が隙間13内に挿入されている。掻出し部材45の回動方向側の縁部45bの形状は、隙間13内の詰まり部材を筒状体7の隙間13外に導くように回動方向に対して傾めに形成されている。図では、掻出し部材45を正逆回動させることができるように掻出し部材45の両側が回動方向に対して傾めに形成されている。
【0011】50は供給室1a内の海苔混合液を攪拌する攪拌装置で、支持腕40の他端部に設けられた攪拌棒51と攪拌棒51に固着された攪拌翼52とで構成されている。55は、タンク1の側板1cに設けられている溢水口で、その外側に受水槽56がタンク1に固着されている。60はタンク1内に前工程から海苔混合液を供給する供給手段で、海苔混合液を供給する供給管61と図示しない供給ポンプ等によって構成され、海苔混合液を供給可能にしてある。65は異物分離器5内の海苔混合液を強制排出する排出手段で、タンク1の排出孔22に連結された配管66と排出ポンプ67等によって構成されている。なお、タンク1内の液面の高さを検出する図示しない検出スイッチを備え、検出スイッチの信号によって供給手段60の供給ポンプの作動をON、OFF制御し、図示しない後工程のタンク内の液面の高さを検出する図示しない検出スイッチの信号によって排出手段65の排出ポンプ67の作動をON、OFF制御し、タンク1内に海苔混合液を自動供給したり、タンク1内から海苔混合液を自動排出するようになっている。
【0012】上記海苔異物除去装置は、海苔製造工程における原藻洗い工程自体や、原藻洗い工程と原藻切断工程間や、原藻切断洗浄工程と海苔切断洗浄脱水工程間等に組み込んで使用する。使用に際しては、供給手段60の供給管61によって前工程から所定濃度の海苔混合液をタンク1の供給室1aに供給する。供給室1a内の海苔混合液の生海苔の一部と水の一部は隙間13を通して異物分離器5内に入り、海苔混合液の水と小さな海苔くず等の異物は仕切壁4の連通孔4aを通して異物貯留室1bに入る。タンク1内の液面が高くなり、上限に達したことを図示しない検出スイッチが検出すると、その信号によって供給手段60による海苔混合液の供給が停止される。供給手段60による海苔混合液の供給は、連続的でも間欠的でも良い。次に、駆動モータ33を駆動させ、回転軸28を一方向へ回転させ、また、排出手段65の排出ポンプ67を作動させて異物分離器5の排出口21に吸引力を作用させ、異物分離器5内の海苔混合液を強制吸引して排出する。なお、排出ポンプ67の作動を断続させたり、切換バルブ等を利用して、所定時間おきに所定時間づつ間欠的に強制吸引するようにしても良い。異物分離器5内の海苔混合液が強制吸引されると、タンク1内の海苔混合液が多数の環状の隙間13から異物分離器5内に強制吸引される。
【0013】隙間13は、生海苔の厚みより僅かに大きな幅を有する環状に形成されているので、海苔混合液の生海苔は水と共に隙間13から閉鎖室5a内に流入するが、隙間13の幅より大きな寸法の小エビや小貝等の異物は環状の隙間13の縁部によって係止されて異物分離器5外の供給室1a内に残される。隙間13の幅は生海苔の厚みより僅かに大きな大きさ例えば1mm程度に形成してあるので、異物分離器5内に入った海苔混合液の中には1mm程度以上の異物が全く無くなる。タンク1内の海苔混合液が隙間13から異物分離器5内に積極的に吸引されることによって、海苔混合液の異物が筒状体7の外周に付着して隙間13を塞ぐ現象を示すが、隙間13内に一部が臨んでいる掻出しユニット41の掻出し板45が隙間13内に臨んだ状態で環状体12に対して回動しているので、筒状体7の隙間13に付着したり詰まった異物が掻出し板45の縁部45aにより隙間13の外側へ掻出され、隙間13が開放される。その場合、掻出し板45が弾性部材からなる挟持体44によって隙間13の幅方向に変移可能に支持されているので、掻出し板45や環状体12の位置精度が悪い場合でも、掻出し板45の支持部が僅かに変移することで掻出し板45の一部を対応する隙間13内で円滑に摺動させることができる。その結果、生海苔が隙間13に入り易くなり、生海苔が隙間13に作用する吸引力により隙間13に効率良く吸引され、単位時間当りの海苔異物除去能力が大幅に向上する。また、掻出しユニット41を簡易にかつ安価に製造できる。供給室1a内の海苔混合液は、攪拌装置50によって攪拌されて仕切壁4に押圧されるので、小エビ等の小さな軽い異物や小さな異物が仕切壁4の小孔4aから異物貯留室1bに押し出され、小エビ等の軽い異物や小さな異物が分離除去される。
【0014】供給室7内の海苔混合液が少なくなり、下限になったことを図示しない検出スイッチが検出すると、供給手段60の供給ポンプを再び運転させ、海苔混合液をタンク1の供給室1aに供給する。なお異物貯留室2b内の水に浮かぶ泡や軽いごみは、液面が上限近くになったときにタンク1の側壁に設けた溢水口55から受水槽56に入り、排出される。供給室1の底部に溜まった異物は、供給室1の海苔混合液が少なくなった状態で、必要に応じて、所定時間毎に、自動的又は手動で、底部の図示しない排出口(通常は閉鎖されている。)から排出ポンプ等により排出される。異物貯留室1bに溜った異物も同様に図示しない排出口から排出される。
【0015】なお、本願にあっては、回転軸28を正逆回転させ、掻出し板45を正逆回転させるようにしても良い。また、掻出し板45を先端部が弾性変形するように薄板状に形成し、掻出し板45の元部を連結杆43に固着したり、掻出し板45を先端部が弾性変形するように途中に薄板部を設け、掻出し板45の元部を連結杆42に固着しても良い。また、タンクを上方が密閉された閉鎖タンクとし、その閉鎖タンク内の密閉された供給室に異物分離器及び掻出し部材を配設し、後工程が異物除去された海苔混合液を必要とするときに、異物分離器の外側の供給室に供給ポンプによって海苔混合液を供給して供給室に海苔混合液を圧送すると共に異物分離器内の閉鎖室から海苔混合液を排出ポンプにより排出し、必要時に単に供給ポンプと排出ポンプをON、OFF制御して異物除去するようにしても良い。この場合には、タンク内の液面の高さを検出する検出スイッチを省くことができ、製造コストを低減できる。また、異物分離器の内側を供給室とし、異物分離器の外側を排出室(閉鎖室)とし、異物分離器内の供給室に掻出し部材を配設し、供給室に海苔混合液を供給し、排出室かり海苔混合液を排出するようにしても良い。また、異物分離器の隙間の大きさを異にする複数の海苔異物除去装置を準備し、隙間の大きな異物分離器を備える海苔異物除去装置から隙間の小さな異物分離器を備える海苔異物除去装置に、順に海苔混合液を段階的に通過させ、海苔混合液を大きさの異なる複数の隙間に段階的に通して異物除去するようにしても良い。
【0016】
【発明の効果】以上のように本発明は、複数の環状体を全周に亘って僅かな隙間ができるように並設し、各隙間に掻出し部材の一部を臨ませ、それらの掻出し部材を一部が隙間に臨んだ状態で環状体に沿って相対的に回動可能に設けたので、各隙間の詰まり部材を確実に除去できて各隙間から生海苔を効率良く吸引でき、海苔異物の除去能力を大きくでき、また異物分離器を小さくできて、異物除去装置を小型にできる。また、複数の環状体を並設して筒状体を構成しているので、複数の隙間を簡易に構成でき、装置を安価に供給できる。
【0017】また、本発明は、筒状体の軸芯を中心にして回動可能な支持腕を備え、その支持腕に各掻出し部材を筒状体の軸線方向へ変移可能に装着しているので、各掻出し部材の一部を各隙間に容易にかつ確実に臨ませることができると共に各掻出し部材を各隙間に臨ませた状態で円滑に相対回動させることができ、異物除去装置を簡易迅速にかつ安価に製造できる。また、本発明は、掻出し部材の回動方向側の縁部形状を回動方向に対して傾斜させ、隙間に付着している異物を隙間外に出すようにしたので、各隙間の異物を簡易な構成で容易に除去でき、海苔異物除去能力を維持できる。
【出願人】 【識別番号】592140506
【氏名又は名称】建部 司
【出願日】 平成10年9月4日(1998.9.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−78961(P2000−78961A)
【公開日】 平成12年3月21日(2000.3.21)
【出願番号】 特願平10−267289