| 【発明の名称】 |
魚介類内蔵の処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】川田 常宏
【氏名】川瀬 進
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| 【要約】 |
【課題】魚介類の内蔵に含まれるCdなどの重金属を簡易な設備によって効率よく除去することができる処理方法を提供する。
【解決手段】魚介類の内蔵に含まれる重金属を除去するための処理方法において、前記重金属を含む溶液2のpH調整を行う第1工程と、ゼオライト4を充填した処理管3に前記pH調整された溶液を滴下する第2工程とを含むことを特徴とする。第1工程はpH6〜7程度に調整するものであり、第2工程で用いるゼオライト4の平均粒径は、0.5〜2mmとすることが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】魚介類の内蔵に含まれる重金属を除去するための処理方法において、前記重金属を含む溶液のpH調整を行う第1工程と、ゼオライトを充填した処理管に前記pH調整された溶液を滴下する第2工程とを含むことを特徴とする魚介類内蔵の処理方法。 【請求項2】前記第1工程はpH6〜7程度に調整するものであり、前記第2工程で用いるゼオライトの平均粒径は、0.5〜2mmであることを特徴とする、請求項1記載の魚介類内蔵の処理方法。 【請求項3】前記第2工程の後に、前記ゼオライトを充填した処理管に酸性液を投下ろ過する工程を更に有することを特徴とする、請求項1又は2記載の魚介類内蔵の処理方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、魚介類の内蔵に含まれる重金属を除去するための処理方法に関し、特に、ホタテ貝のウロやイカのゴロに含まれるCdを除去するための処理方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ホタテ貝やイカなどの魚介類は、水揚げの後に加工されて出荷される。加工工程では内蔵が除去されるが、ホタテ貝の内蔵はウロと呼ばれ、イカの内蔵はゴロと呼ばれている。これらの内蔵は、産業廃棄物として埋立て又は焼却によって処分されているが、埋立て処分では用地難という問題点があり、またいずれの処分方法によっても、悪臭などの公害を招くという問題点がある。またホタテ貝のウロやイカのゴロには、食物連鎖によってCdが多量に含まれていることから、埋立て処分や焼却処分を行うと、Cdによって水資源の汚染や大気の汚染を招くという問題点もある。他方、ホタテ貝のウロやイカのゴロには、有用な蛋白質が多量に含まれていることから、肥料、飼料、調味料などとして再利用することが期待されている。 【0003】ホタテ貝のウロやイカのゴロを、埋立て又は焼却によって処分する場合でも、また資源として再利用する場合でも、先ずCdを除去する必要があり、そのために従来よりいくつかの技術が提案されている。例えば特開平6−153863号には、中空糸膜による限外ろ過によって、Cdを除去する技術が開示されている。また特開平7−16081号には、平膜による限外ろ過と、加熱処理又は酵素分解とを組み合わせて、Cdを除去する技術が開示されている。また特開平8−214841号には、酵素剤によってCdを除去する技術が開示されている。また特開平9−217131号には、希硫酸にCdを溶出させて、カチオン交換樹脂によってCdを除去する技術が開示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術のうち、あるものはCdの除去率が必ずしも十分に高くないという問題点があり、また、あるものは設備費が高いという問題点があり、いずれにしろ実用に供するまでには至っていない。したがって本発明は、魚介類の内蔵に含まれるCdなどの重金属を簡易な設備によって効率よく除去することができる処理方法を提供することを課題とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、すなわち、魚介類の内蔵に含まれる重金属を除去するための処理方法において、前記重金属を含む溶液のpH調整を行う第1工程と、ゼオライトを充填した処理管に前記pH調整された溶液を滴下する第2工程とを含むことを特徴とする魚介類内蔵の処理方法である。その際、前記第1工程はpH6〜7程度に調整するものであり、前記第2工程で用いるゼオライトの平均粒径は、0.5〜2mmとすることが好ましい。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面によって説明する。ホタテ貝のウロやイカのゴロを処分し、あるいは資源として再利用するためのプラントにおいて、中核となる技術はCdの除去である。そこでCdが除去されるか否かを原理的に検証するための実験を行った。対象とする試料としてはゼオライトを選定し、比較試料として麦飯石を選定した。図1はこの実験設備を示し、スキーブ型分液ロート1の中にCdを含有する投入液2を投入して、ガラスクロマト管3の中に滴下する。ガラスクロマト管3の中には、試料4、すなわちゼオライト又は麦飯石を充填しておく。試料4によってろ過された投入液は、グラスウール5によって粗粒子をろ過された後に、ビーカー6中にろ過液7として集められる。 【0007】投入液2は、次のようにして作成・調整した。すなわち、市販の原子吸光用Cd−1000ppm標準液を用いて超純水で希釈し、Cd濃度を50ppmとした。この時点でのpHは約3である。次いで水酸化ナトリウムを添加して、pH6〜7に調整した。こうして調整された投入液200mlをスキーブ型分液ロート1に投入した。また、ガラスクロマト管3に滴下する速度は、2〜3ml/分とした。ろ過液7中のCd濃度は、誘導結合型プラズマ発光分光分析器によって測定し、次式によってCd除去率(%)を求めた。 Cd除去率(%)=(A−B)/A×100A:投入液中のCd濃度(A=50ppm) B:ろ過液中のCd濃度【0008】試料4、すなわちゼオライト又は麦飯石は、ディスクミルで粉砕し、ステンレススチール製のメッシュフィルターによって分級したしたもの20gを、ガラスクロマト管3の中に充填した。試料の成分(重量%)は、表1に示す通りである。表1中、ゼオライト#1と#2は、入手先の相違による。同表に示すように、麦飯石はAl2O3を主成分とするものであり、ゼオライトはSiO2を主成分とするものである。 【0009】 【表1】
【0010】実験では、先ず、試料の粒度及び投入液のpHによるCd除去率の変化を調べた。用いた試料は麦飯石である。結果を表2に示す。同表に示すように、粒度については、0.5mm以下、0.5〜2mm、及び2mm以上の3種類に分級した。またpHについては、実験No.1〜3は水酸化ナトリウムを添加して約pH7に調整し、実験No.4は水酸化ナトリウムを添加しないものを用いた。 【0011】 【表2】
【0012】実験No.1〜3は、pHをほぼ同一として粒度を変化させたものであるが、この結果より明らかなように、粒度が小さくなると比表面積(単位質量当たりの表面積)が大きくなるために、Cd除去率が向上することが分かる。しかしながら粒度0.5mm以下では、目詰まりによりろ過することができなかった。以上より、粒度については0.5〜2mmとすることが好ましいことが分かった。次に実験No.3、4は、粒度をほぼ同一としてpHを変化させたものであるが、この結果より明らかなように、pH3ではほとんどCdが除去されていないことが分かる。したがってpHについては、pH6〜7程度に調整することが好ましいことが分かった。 【0013】以上より、試料の粒度は0.5〜2mm、pHは6〜7程度が好ましいことが分かったが、この状態(実験No.2)から、粒度が2mm以上の状態(実験No.3)に変化させると、Cd除去率は91.0%から、71.3%に落ちる。他方、実験No.2の状態からpHが3の状態(実験No.4)に変化させると、Cd除去率は91.0%から、4.3%に落ちる。したがってCd除去率を向上させる要因としては、粒度もさることながら、pHへの依存性が大きいことが分かった。 【0014】次に、Cd除去のメカニズムを調べる実験を行った。先ず、試料として麦飯石を用い、ろ過前とろ過後とのpHの変化を測定したところ、ろ過前後のpHの高低にかかわらず、いずれもpHは高くなることが分かった。そこで、ろ過前後でのNa、Ca等のアルカリイオン量(単位:ppm)の変化を測定した。結果を表3に示す。もともと、Cd−50ppmの投入液は、超純水に市販の原子吸光用Cd−1000ppm標準液を希釈して作成し、その際、pH調整に水酸化ナトリウムを添加している。そのため、表3に示すように、Naは大きな変化は示さないが、Mg、Ca等は明らかに増加している。これは、麦飯石中のアルカリ成分が溶離し、Cdとのイオン交換が行われているものと考えられる。 【0015】 【表3】
【0016】以上の検討により、アルカリイオンがCdの除去に関与しているものと考えられるから、次に、麦飯石にトラップされたCdを、イオン交換によって回収できるかどうかを実験した。実験では先ず、pH6〜7のCdを含む投入液をろ過して、麦飯石にCdをトラップさせた。次いで同様のpHである超純水(pH6.5)をろ過した場合と、超純水に塩酸を添加して低pHに調整(pH1.8)してろ過した場合について、ろ過液のCd量を測定した。その結果を表4に示す。アルカリイオンのない超純水を用いた場合には、ろ過によってpHは高くなるものの、Cd濃度は変化していない。他方、低pH液を用いた場合には、Cdがほぼ回収できることがわかる。このことより、HとCdとの間でイオン交換がなされているものと考えられる。 【0017】 【表4】
【0018】次に、イオン交換物質の代表として知られているゼオライトを用いて、麦飯石との比較を行った。ゼオライトの粒度とpHとは、0.5〜2mm、pH6〜7に調整した。粒度調整した試料をSEM(走査型電子顕微鏡)によって観察したところ、ゼオライトも麦飯石も、塊状粒に微細粒子が付着して形態が観察された。その塊状粒は、麦飯石では比較的平滑な表面形態であるが、ゼオライトでは細かな凹凸が多く、また、ゼオライト#2においては、他とは異なり、針状と粒状粒子の集合体であった。 【0019】Cd除去率を比較した結果を表5に示す。同表に示すように、ゼオライトは麦飯石以上の効果のあることが確認でき、ほぼ完全にCdが除去できている。これはSEMによる観察から推定すると、比表面積の差によるものと考えられる。ただし、ゼオライトの方が麦飯石よりもCd除去率が高いが、その分、ろ過速度は遅いこと、また繰り返し使用した場合の目詰まりを考慮する必要がある。 【0020】 【表5】
【0021】次に、Cdの飽和吸着量を測定した。この実験では、実験を加速するために、Cd−1000ppm標準液をCd−100ppm程度に希釈し、pH6〜7に調整した。試料は、ゼオライトと麦飯石をそれぞれディスクミルで粉砕し、粒度を合わせ、両者とも20gの試料を用いた。また、ろ過速度は0.5〜1ml/分とした。実験では、ろ過液を100mlずつに区分して、各100mlずつのろ過液中のCd濃度を測定した。結果を図2に示す。 【0022】同図(A)は、麦飯石を試料としたときの結果であり、同図(B)は、ゼオライトを試料としたときの結果である。麦飯石では、同図(A)に示すように、約1000mlをろ過すると飽和状態に達し、麦飯石に吸着されるCdの総量は23.5mgとなる。他方ゼオライトでは、同図(B)に示すように、飽和状態になかなか到達しない。そこで実験した領域を外挿すると、約12500mlをろ過すると飽和状態に達し、ゼオライトに吸着されるCdの総量は、100.19(μg/ml)×12500(ml)/2≒630(mg) となる。すなわち、単位質量当たりのCdの吸着量は、ゼオライトの方が麦飯石よりも約30倍も多く、したがってろ過材として優れていることが分かる。 【0023】 【発明の効果】以上のように、ゼオライトを用いることにより、Cdを効率よく吸着することができ、したがって本発明方法により、魚介類の内蔵に含まれる重金属を効率よく除去することができる。また、Cdを吸着したゼオライトに酸性液を投下ろ過することにより、Cdをほぼ全量回収することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005083 【氏名又は名称】日立金属株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年9月4日(1998.9.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094329 【弁理士】 【氏名又は名称】猪熊 克彦
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| 【公開番号】 |
特開2000−78959(P2000−78959A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月21日(2000.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願平10−267378 |
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